説明

映像表示装置

【課題】表示画面に複雑なマーカーを表示することができ、マーカー作成操作が容易であり、番組制作を容易にすることができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像にその関連情報を合成して番組制作する際、該関連情報の位置を設定する目印としてマーカーを表示することができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置であり、映像表示装置が画素表示用の映像表示部30と、映像表示部30の画面に映像の関連情報を配置するためのマーカーを映像の描画用のXY座標基準により作成するマーカー作成部10と、マーカー作成手段10によりマーカーを作成するためのポインタ入力手段11が接続される第1の入出力端子Iと、マーカー作成手段10により作成したマーカー属性情報を記憶する外部マーカー記憶手段13が接続される第2の入出力端子Iと、マーカー作成手段10により作成したマーカー属性情報によるマーカーを映像に重畳するマーカー合成部19とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組制作に使用するスタジオビデオモニタ用の映像表示装置に関し、詳しくはマウス等によるポインタ入力操作により目印となるマーカーを画面に表示して番組制作ができる映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビショッピング等の番組制作は、ビデオカメラで撮影した商品の映像に加えて、商品のタイトルやその説明、価格等の関連情報をスタジオビデオモニタの画面上に重ねて表示し確認しながら行われている。従来、スタジオビデオモニタとしCRTモニタを使用して商品映像や関連情報を重ねた映像信号を作成する場合、CRTモニタのガラス素材の画面上にマジックで直に配置位置を書いてマーカーとし、このマーカーを目印に関連情報を重畳して映像を制作していた。液晶映像表示装置を使用する場合は、画面に直にマジックでマーカーを書き付けることができないので、液晶画面に透明なフィルムを貼って、そのフィルム上にマジックでマーカーを描いて番組制作を行っているが、煩わしく、また、フィルムを通して映像を確認しなければならず、フィルムが光を反射することもあって見づらいといった問題点があった。
【0003】
また、従来、映像表示装置の画面にマーカーを映像表示して番組制作をする場合がある。マーカーの表示には、図7(a)〜(c)に図示したように、マーカーをスイッチSで固定位置に固定マーカーM1を表示したり、画面の縦2本横2本ラインマーカーM2をスイッチSの操作により任意に動かして表示したり、或いは、箱形マーカーM3をスイッチSで任意のサイズや位置に動かして表示することができる機能があった。しかし、これらのスイッチ操作は、映像表示装置の前面に設けたスイッチSを操作して映像表示装置の画面にマーカーM2,M3の何れかを所望の位置に表示しており、そのスイッチ操作が複雑なため、複数のラインマーカーM2や複数の箱形マーカーM3及びそれらを組み合わせたマーカーを表示させることは困難であった。
【0004】
一方、番組制作に使用するスタジオビデオモニタではないが、従来の映像表示装置にマーカーを利用してノーマル画面からズーム画面へと映像変換を行う技術がある。図8を参照して説明すると、この映像表示装置は、入力映像のアスペクト比の変換の様子が容易に把握できることを目的とし、現在の表示状態を確認しながら円や四角形のマーカーを用いて変換過程の映像を随時確認することができるようにしたものであり、放送波がチューナー1に入力されるとともに、ビデオ信号が外部入力2に入力され、同図を参照して説明すると、操作部3での操作により映像入力切り替え部4を切り替えられて何れかが選択され、OSD(On Screen Display )生成部5で生成されたマーカーと映像入力切り替え部4からの映像とを映像混合部6で混合し、映像変換部7を通して映像表示部8で表示する。制御部9はこれら機能ブロックを制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−88581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テレビ番組の番組制作では、テレビショッピング等のような番組があり、このようなテレビ番組では、紹介する商品の数が多く、また、個々の商品のタイトルやその説明、価格等の商品情報を一画面に複数箇所表示して放送しなければならない場合があり、短時間に商品情報の映像を作成し放映する必要があり、従来のマーカーの手描き等の方法では種々の情報を画面上にレイアウトするのは煩わしく、非効率的であり、複雑な配置のマーカーを簡便に作成できる装置が望まれていた。また、テレビ番組の番組制作では、テレビショッピング以外にも、同様に一画面に多くの関連情報を配置して表示し放映しなければならない場合があり、画面が大型化する昨今では通常の放送番組でも一画面を関連する複数の画面に分けて放映する傾向があり、従来のスタジオビデオモニタ用の映像表示装置では、大型の画面に主映像とその映像の関連情報とを複雑に配置するのは困難な面があった。
【0007】
なお、特許文献1の映像表示装置は、BSデジタル放送や地上デジタル放送等の受信機における表示器に、OSD生成部で生成したマーカーを映像混合部で放送波やビデオ信号に合成することが記載されている。しかし、番組制作において、文字等の関連情報を映像信号に合成する際に、画面上の位置を設定するためのマーカーではなく、番組制作に使用するスタジオビデオモニタには適用することはできないし、このようなマーカー合成技術では多くの関連情報を映像信号に合成して放映する番組を作成することは困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表示画面に複雑なマーカーを表示することができ、マーカー作成操作が容易であり、番組制作を容易にすることができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、映像にその関連情報を合成して番組制作する際、該関連情報の位置を設定するための目印としてマーカーを表示することができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置であって、
前記映像表示装置が、画素表示用の映像表示部と、該映像表示部の画面に映像の関連情報を配置するためのマーカーを描画用のXY座標基準により作成するマーカー作成手段と、該マーカー作成手段によりマーカーを作成するためのポインタ入力手段が接続される第1の入出力端子と、該マーカー作成手段からのマーカー属性情報を記憶する外部マーカー記憶手段が接続される第2の入出力端子と、前記マーカー作成手段により作成したマーカー属性情報によるマーカーを映像に重畳するマーカー合成部とを備え、該映像の表示方式に基づいて前記映像表示部の画面に表示されるマーカーを目印として表示することを特徴とする映像表示装置である。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記マーカー作成手段が、前記第1の入出力端子から入力されるマーカー入力情報による描画時のマーカーのXY座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部から出力されるXY座標を描画用座標に変換する座標変換部と、
前記第2の入出力端子に接続された前記外部マーカー記憶手段からのマーカー属性情報、又は前記座標検出部からのXY座標情報を基にそのマーカー属性情報を記憶するXY座標基準データテーブルと、
前記XY座標基準データテーブルからのマーカー属性情報を前記座標変換部によって描画用座標に変換したマーカー属性情報を記憶する表示用XY座標データテーブルとからなることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置である。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記第1と第2の入出力端子がUSBインターフェースであり、前記ポインタ入力手段がマーカーのXY座標を設定するUSBマウスであり、前記USBマウスのドラッグ操作により前記マーカー描画時の起点及び終点を確定し、その起点及び終点に基づいて前記マーカーを前記映像表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置である。
【0012】
また、請求項4の発明は、前記XY座標基準データテーブルに記憶されたマーカー属性情報が前記USBメモリに書き込まれ、該USBメモリに書き込まれたマーカー属性情報を前記XY座標基準データテーブルに読み出して前記マーカーを再現表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の映像表示装置である。
【0013】
また、請求項5の発明は、前記マーカー属性情報が、マーカーを表示したか否を示す表示、現在描画中であるか否かを示す描画中フラグ、マーカーの表示色、及びマーカーのスタート座標である起点とエンド座標である終点の数値を含むことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の映像表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、映像にその関連情報を合成して番組制作する際、該関連情報の位置を設定するための目印としてマーカーを表示することができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置であって、
前記映像表示装置が、画素表示用の映像表示部と、該映像表示部の画面に映像の関連情報を配置するためのマーカーを描画用のXY座標基準により作成するマーカー作成手段と、該マーカー作成手段によりマーカーを作成するためのポインタ入力手段が接続される第1の入出力端子と、該マーカー作成手段からのマーカー属性情報を記憶する外部マーカー記憶手段が接続される第2の入出力端子と、前記マーカー作成手段により作成したマーカー属性情報によるマーカーを映像に重畳するマーカー合成部とを備え、該映像の表示方式に基づいて前記映像表示部の画面に表示されるマーカーを目印として表示することを特徴とする映像表示装置であるので、マーカーの作成に際しポインタ入力手段による画面操作によりマーカー入力情報を作成することが可能であり、即ち、画面上に表示されるポインタやアイコンを操作してマーカー属性情報の設定が可能であって、テレビ放映方式の規格に則った表示方式に沿って映像表示部の画面上にマーカーが表示され、文字発生装置から発生する映像信号の関連情報(文字、画像、文字と画像との複合画像)を、画面に表示されたマーカーに従って配置すれば、映像と関連情報とを容易に合成することが可能であり、また、マーカー属性情報を外部マーカー記憶手段に記憶することができ、外部マーカー記憶手段に記憶したマーカー属性情報に基づいて、新たにマーカーを作成することなく、既に作成したマーカー属性情報を利用して関連情報を画面上に配置して映像信号を作成することができ、番組制作を効率良く素早く作成して放映することができる利点がある。なお、番組としては、例えば、多数の商品を同一規格で紹介するテレビショッピング、或いは災害情報等の関連情報を組み込む番組等があり、これらの番組制作に効果的である。また、表示装置の画面サイズが大型化すれば、通常の番組においても画面を主画面と主画面の関連情報を複数表示するための副画面とを組み合わせて放映される場合が想定され、このような番組制作に有効である。また、マーカーの作成がポインタ入力手段によって、画面のポインタを操作しながら作図する感覚で作成することができる利点がある。
【0015】
また、請求項2の発明では、前記マーカー作成手段が、前記第1の入出力端子から入力されるマーカー入力情報による描画時のマーカーのXY座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部から出力されるXY座標を描画用座標に変換する座標変換部と、
前記第2の入出力端子に接続された前記外部マーカー記憶手段からのマーカー属性情報、又は前記座標検出部からのXY座標情報を基にそのマーカー属性情報を記憶するXY座標基準データテーブルと、
前記XY座標基準データテーブルからのマーカー属性情報を前記座標変換部によって描画用座標に変換したマーカー属性情報を記憶する表示用XY座標データテーブルとからなることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置であるので、
座標変換部が表示画素に合わせたXY座標に変換する機能を有し、座標検出部から出力されるXY座標が描画用座標に変換されて画面にマーカーが表示されており、マーカーが映像の表示方式に則って表示され、コンピュータで作図する感覚でマーカーを作成することができるし、複雑なマーカーを作成することができ、映像にその映像の関連情報を容易に合成した映像信号を作成できる利点がある。また、マーカー属性情報が確定した段階で、XY座標基準データテーブルに記憶され、XY座標基準データテーブルに記憶されたマーカー属性情報は外部マーカー記憶手段に書き込むことができ、このマーカー属性情報を他の映像表示装置で再生することができる利点がある。また、マーカー属性情報は映像の放映方式に対応する描画座標情報に基づいてマーカーが画面に表示され、コンピュータで作図する感覚でマーカーを作成することができ、容易に複雑なマーカーを作成することができ、映像にその映像の関連情報を合成した映像信号の作成が容易である利点がある。
【0016】
また、請求項3の発明では、前記第1と第2の入出力端子がUSBインターフェースであり、前記ポインタ入力手段がマーカーのXY座標を設定するUSBマウスであり、前記USBマウスのドラッグ操作により前記マーカー描画時の起点及び終点を確定し、その起点及び終点に基づいて前記マーカーを前記映像表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置であるので、USBマウスを使用してマーカーの作成が可能であり、広く普及するUSB規格に則っており、放映される映像の放送規格でマーカーが表示され、コンピュータを操作する感覚でマーカーの作成が可能であり、使い勝手の良い映像表示装置を提供できる利点がある。
【0017】
また、請求項4の発明では、前記XY座標基準データテーブルに記憶されたマーカー属性情報が前記USBメモリに書き込まれ、該USBメモリに書き込まれたマーカー属性情報を前記XY座標基準データテーブルに読み出して前記マーカーを再現表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の映像表示装置であるので、USBメモリに書き込まれたマーカー属性情報に基づいて複数台の映像表示装置で同一のマーカーを利用して番組制作ができる利点があり、番組制作における作業性が改善できる利点がある。
【0018】
また、請求項5の発明では、前記マーカー属性情報が、マーカーを表示したか否を示す表示、現在描画中であるか否かを示す描画中フラグ、マーカーの表示色、及びマーカーのスタート座標である起点とエンド座標である終点の数値とを含むことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の映像表示装置であるので、これらマーカー属性情報がUSBメモリに書き込まれ、複数台の映像表示装置であっても同様のマーカー属性情報を利用して番組制作を行うことが可能であり、マーカーの表示色を主映像の色彩に応じてマーカの表示色を変更したりし、マーカの作成、利用に利便性を与えることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る映像表示装置の一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は本発明に係る映像表示装置の一実施形態を示すブロック図であり、図2は本発明の映像表示装置の一実施形態の正面図である。図3(a)〜(c)は本実施形態における箱型マーカ−の表示方法を示す図である。図4は1080用の表示方式に対応するXY座標を含むマーカー属性情報を記録するXY座標基準データテーブル図、図5は「1080」「720」「575」「480」の各表示方式による表示用XY座標(描画用座標)を作成するための概略ブロック図、図6は本実施形態の使用例を示す概略図である。
【0020】
本実施形態は、画面にマーカーを表示しこのマーカーを目印とし主映像とその文字情報等による関連情報と合成して番組制作する際に使用するスタジオビデオモニタ用の映像表示装置であって、図1に示すように、マーカーを映像信号の描画用座標基準(表示用XY座標基準)により作成するマーカー作成部(マーカー作成手段)10と、映像信号にマーカー映像信号を重畳するマーカー合成処理部20と、マーカー合成処理部20からのマーカー映像信号を重畳した映像信号を表示する画素表示用の映像表示器30とからなる。この映像表示装置には、マーカー作成部10と接続するためのUSB(Universal Serial Bus)インターフェースである入力端子I,Iが設けられているとともに、スイッチ操作による固定マーカー等を作成するためのスイッチ12が設けられており、入力端子Iにはマーカー入力情報を作成するためのUSBマウス等によるポインタ入力手段(以下、USBマウスと称する)11が接続され、入力端子Iにはマーカー属性情報を記憶するUSBメモリ等の外部マーカー記憶手段(以下、USBメモリと称する)13が接続可能である。スイッチ12は固定マーカー等を画面に表示するための操作スイッチであり、USBマウス11で作成するマーカーはユーザーが任意に作成できるユーザーマーカーである。
【0021】
マーカー作成部10は、USBマウス11からのマーカー入力情報を入出力端子Iを介し、又はスイッチ12から入力されるマーカー入力情報が入力され、マーカー入力情報から描画中のマーカーのXY座標を検出するXY座標検出部15と、入出力端子Iに接続されたUSBメモリ13から読み込まれるマーカー属性情報、又は座標検出部15からのXY座標情報を基に、映像の表示方式に対応したXY座標情報を含むマーカー属性情報を記憶するXY座標基準データテーブル16と、座標検出部15から出力されるXY座標情報とXY座標基準データテーブル16から読み出されるマーカー属性情報とにより描画用座標に変換する表示用XY座標変換部17と、XY座標基準データテーブル16に書き込まれたマーカー属性情報を読み出し、座標変換部17にて描画用座標(表示用XY座標)に変換してマーカー属性情報を記憶する表示用XY座標データテーブル18とを備えている。
【0022】
また、中央処理装置(CPU)14は、マーカー作成部10のXY座標検出部15とXY座標基準データテーブル16と表示用XY座標変換部17と表示用XY座標データテーブル18を制御するとともに、入力端子I,I、スイッチ12等に接続され、これらからのデータ有無を常時検出し、USBマウス11、USBメモリ13、或いはスイッチ12からの各データを待ち受けている。
【0023】
マーカー合成処理部20は、表示用XY座標変換部17からの描画用座標信号を含むマーカー属性信号、または表示用XY座標データーテーブル18に書き込まれた描画用座標信号を含むマーカー属性信号が入力されるとともに、外部の編集機40から映像信号に関連情報が重畳されて入力される。因みに、編集機40は映像信号の編集機能と文字発生装置41からの文字情報・図柄等による関連情報を映像信号に加算する加算器42等とが備えられている。主映像の関連情報は、編集機40を必要に応じて操作することによって、映像表示器30の画面上のマーカー表示位置へと移動させて所定位置に合成される。映像信号と関連情報とが合成された映像信号が映像表示器30に出力されて表示される。なお、マーカー合成処理部20は、図中、21の符号で示したFPGA(Field Programmable Gate Array )で構成することができるが、この形態に限定するものではない。また、関連情報の位置合わせは、編集機40を操作して画面に表示されたマーカーを参照して行われる。
【0024】
映像表示装置の映像表示器30の表示としては、図2のテレビショッピングにおける商品を表示する典型的な表示例がある。この映像表示装置には、マーカーが作成可能なスイッチSが設けられているとともに、USBマウス11によりマーカー入力情報が入力されてユーザーマーカーを作成することができ、起動時、映像表示部30の画面31には、図示していないが、マーカーメニューが表示されるとともに、矢印(或いは十字キー)で示したような描画用ポインタPが表示され、マーカーメニューには箱形マーカーと縦2本ラインマーカー、横2本ラインマーカー、確定ボタン、マーカー消去等が表示される。マーカーメニューに従ってマーカーの作成を開始すると、例えば、画面のポインタPが「十字キー」の表示に切り替わり、USBマウス11を操作し、例えば、画面に商品タイトル位置を示すマーカーm1、商品説明範囲を示すマーカーm2、価格表示位置を示すマーカーm3、商品表示位置を示すマーカーm4、電話番号表示位置を示すマーカーm5を作成することができる。
【0025】
なお、マーカーm1〜m5は箱形マーカーmaであり、マーカーm2は縦2本ラインマーカーmlであり、これらはユーザーマーカーである。また、マーカーメニューは、本装置が起動することによりCPU14により制御されているマーカーメニュー表示手段が作動し画面31に表示され、画面31に表示されたマーカーメニューに従ってマーカーの作成ができる。また、画面31にはマーカーの設定状況を表示するステータスバーを表示してもよい。ステータスバーには、箱型マーカーの色表示、マーカーを表示したか否を示す表示ON/OFF、現在描画中であるか否かを示す描画中フラグの表示、或いはXY軸によるスタート座標である起点とエンド座標である終点ポイントの各数値を表示することができる。
【0026】
次に、本実施形態におけるマーカー表示方法について図3(a)〜(c)を参照して説明する。画面31に表示される矢印PをUSBマウス11で操作してマーカー入力信号を入出力端子Iを介してXY座標検出部15に入力し箱形マーカーmaを作成するものとする。なお、図3(a)の画面31において、画面31上の任意の位置をXY座標で示すと、描画用ポインタPの座標位置はP(x,y)と標記できる。USBマウス11の操作は、図3(a)の画面31上の矢印による描画用ポインタPを画面上の任意の位置に移動し、所定位置でUSBマウス11を左クリックして箱形マーカーmaの起点とし、USBマウス11をドラッグして左ボタンを離して箱形マーカーmaの終点とする。箱形マーカーmaの起点(スタート座標)、終点(エンド座標)の各点のXY座標信号は、XY座標検出部15にてライン数による垂直方向信号(Y軸方向)とサンプリングクロックによる水平方向信号(X軸方向)とを検出することができる。図3(a)に示すように、起点のXY座標信号がP(x,y)であり、図3(b)に示すように、終点のXY座標信号がP(i,j)である。さらに、起点のP(x,y),終点のP(i,j)は描画座標に変換されて画面31に表示される。また、図3(c)に示すように、同一画面31に他の箱形マーカーmaのマーカー入力信号を入力することができる。同一画面には、例えば、10個程度の箱形マーカーma等が表示できる。
【0027】
さらに、本実施形態では、先ず、XY座標検出部15から出力されるXY座標信号(マーカー属性信号)が表示用座標変換部17に入力されて、そのXY座標を表示画素数、スキャンサイズ(走査数)、表示位相の各情報を元に表示用座標変換部17にて描画用座標信号に変換される。表示用座標変換部17から出力された描画用座標信号(マーカー属性信号)は、マーカー合成処理部20を経て映像表示器30の画面31にマーカーが表示される。一方、本実施形態とは外部機能である編集機40からは、映像信号に文字発生装置41から出力される文字情報等の関連情報が加算器42で重畳されてマーカー合成処理部20に入力され、関連情報が所定表示位置ではない場合、映像表示器30の画面31に表示されたマーカーを参照し、編集機40を操作することによって、関連情報を所定位置に合成し、主映像とその文字情報等による関連情報とが一画面に位置決めされて表示される。なお、関連情報とは、テレビショッピングを例示した場合、図2に示した映像又は画像情報による商品、文字情報等による商品タイトル、商品説明、価格表示、電話番号等である。
【0028】
また、本実施形態では、USBマウス11を操作しマーカーの終点を決定した時点で、XY座標信号等のマーカー属性情報がXY座標基準データテーブル16に書き込まれるとともに、表示用XY座標データテーブル18には描画用座標に変換されたマーカー属性情報が書き込まれる。さらに、USBメモリ13が入力端子Iに差し込まれている場合、作成されたマーカー属性情報がUSBメモリ13に自動的に書き込まれる。
【0029】
また、既にマーカー属性情報がUSBメモリ13に書き込まれており、このマーカー属性情報を利用してマーカーを表示する場合、USBメモリ13のマーカー属性情報がXY座標基準データテーブル16に書き込まれ、マーカー表示ON設定時、現在の信号フォーマット、スキャンサイズ、表示位相の情報を元に、XY座標基準データテーブル16のデータを表示用XY座標データテーブル18に書き込み、そのマーカー属性情報によるマーカー画像信号が合成部19に送られて映像表示器30に表示される。
【0030】
XY座標基準データテーブル16には、走査線のライン数に合わせて、有効走査線数が「480」,「575」の従来放送、ハイビジョン放送の「720」,「1080」の4種類のデータテーブルがある。因みに、「480」はNTSC方式、「575」はPAL方式、「720」はハイビジョン放送の720p方式、「1080」はハイビジョン放送の1080i方式を示し、iはインターレース方式、pはプログレッシブ方式を示している。図4は1080用XY座標基準データテーブルである。このデータテーブルについて説明すると、一画面には、例えば図中の「種類」の欄に「1」から「10」のデーターテーブルがあり、10種類のマーカーの設定が可能であり、「1」から「10」に対応してマーカー名が例えばBOXMK1〜10にように書き込むことができる。「表示ON/OFF」の欄にはマーカーが設定されると、「1」が付与され、マーカーが設定されていない場合、「0」が付与される。また、現在描画中の場合は「1」、描画中でない場合は「0」となる。「色」の欄には、「青」,「白」,「赤」の色彩が設定されている。表示色は白、赤、緑、青、マゼンダ、シアン、黄の7種類がある。さらに、設定されたマーカーの起点(スタート座標)の数値、終点(エンド座標)のXY座標の数値が書き込まれる。なお、図4は「1080」用のデータテーブルであるが、「480」、「575」、「720」であれば、これらの表示方式に対応する数値がXY座標基準データに書き込まれる。なお、本実施形態の映像表示装置には、各放送方式に対応するXY座標基準データが存在するが、選択的に数種の放送方式のXY座標基準データを用意してもよい。
【0031】
また、表示用XY座標データテーブル18は、図4のデータテーブルと同様の構造であり、図5に示すように、4種類の基準データテーブルから放送方式のフォーマットに合わせてその内の1種類が選択されて、スキャン情報、表示位相情報、表示画素数(水平画素数×垂直画素数)といったマーカー属性情報を元に画素変換されたデータがこの表示用座標データテーブル18に書き込まれる。
【0032】
一方、USBメモリ13が入力端子Iに差し込まれると、CPU14がUSBメモリ13を検出し、その検出信号に基づいて、USBメモリ13に書き込まれたマーカー属性情報がXY座標基準データテーブル16に書き込まれ、XY座標基準データテーブル16に書き込まれたマーカー属性情報が表示用座標変換部17を経て、描画用座標に変換されたマーカー属性情報が表示用座標データテーブル18に書き込まれる。続いて、表示用座標データテーブル18に書き込まれたマーカー属性情報が読み出されて合成器19に送られ、合成器19にて映像信号とマーカー映像信号とが合成され、映像表示器30の画面に映像信号の画面サイズに対応してマーカーが表示される。
【0033】
なお、マーカーは1画面(映像)のマーカー設定に対し10種類のマーカを作成することができ、また、2種の従来方式、2種のハイビジョン方式の4種の表示方式があり、全数では40種類のマーカーの設定が可能であり、これらを1画面毎に設定するのは困難な面があるが、本実施形態にように、設定したマーカー属性情報をUSBメモリ13に書き込むことによって、多大な労力を費やすことなくマーカー属性情報をUSBメモリ13から読み出して映像信号の表示方式に合わせてマーカーを表示することができ、番組制作が容易になる利点がある。
【0034】
また、本実施形態の他の使用形態について図6を参照し説明する。本実施形態では、図6の映像表示装置50でマーカーmaを作成し、USBメモリ13を入力端子Iに接続し、作成したマーカー属性信号をUSBメモリ13に読み込み、マーカー属性信号を読み込んだUSBメモリ13を、他の映像表示装置51の入力端子Iに接続し、USBメモリ13に読み込んだマーカー属性信号を読み出して映像表示装置51の表示画面にマーカーmaを表示することができる。従って、複数台の映像表示装置を簡単に同じ設定のマーカーmaを表示することができる。
【0035】
さらに、USBメモリ13に読み込んだマーカー属性信号は、USBメモリ13をパソコン52の入力端子Iに接続してパソコン52に取り込み保存することができる。マーカー属性信号は、パソコン52で管理することができるので、誤って消去した場合であってもパソコン52からデータをUSBメモリ13に取り込み、USBメモリ13のマーカー属性信号を映像表示装置50に読み出してマーカーmaを表示することができる。また、パソコン52に多くのマーカーを保存しファイル管理を行うことによって、番組制作に使用するマーカーをパソコン52のファイルから選択してUSBメモリ13に取り込むことができ、煩雑な番組制作における編集作業を容易なものとすることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、マーカーを合成する映像信号の表示方式を検出する表示方式検出手段が映像表示装置に設けられ、表示方式検出手段からの出力に基づいて描画用座標基準を自動的に設定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の活用例としては、テレビショッピングのようなテレビ番組において、商品の主映像に価格等の関連する情報を一画面に配置して放映する番組制作に活用するスタジオビデオモニタ用の映像表示装置として利用することができる。また、本発明の映像表示装置では、主映像が静止画或いは動画であってもよく、画面をマーカーにより区分けして主映像データとともに文字データを含む各映像データを組み込んで構成する番組制作に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る映像表示装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の映像表示装置の一実施形態の正面図である。
【図3】(a)〜(c)は本実施形態における箱型マーカ−の表示方法を示す図である。
【図4】本実施形態における1080用の表示方式に対応するXY座標を含むマーカー属性情報を記録するXY座標基準データテーブル図である。
【図5】本実施形態における「1080」,「720」,「575」,「480」の各表示方式による表示用XY座標を作成するための概略ブロック図である。
【図6】本実施形態の使用例を示す概略図である。
【図7】(a)はマーカーを固定位置を表示した表示図、(b)は画面の縦2本横2本ラインをスイッチで任意に動かして表示した表示図、(c)は箱形マーカーをスイッチで任意のサイズや位置に動かして表示した表示図である。
【図8】従来の映像表示装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
10 マーカー作成部(マーカー作成手段)
11 USBマウス(ポインタ入力手段)
12 スイッチ
13 USBメモリ(外部マーカー記憶手段)
14 中央処理装置(CPU)
15 XY座標検出部
16 XY座標基準データテーブル
17 表示用座標変換部
18 表示用XY座標データテーブル
19 合成部(マーカー合成部)
20 マーカー合成処理部
21 FPGA
30 映像表示器(映像表示部)
31 画面
40 編集機
41 文字発生装置
42 加算器
50,51 映像表示装置
,I入力端子(USBインターフェース)
S スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像にその関連情報を合成して番組制作する際、該関連情報の位置を設定するための目印としてマーカーを表示することができるスタジオビデオモニタ用の映像表示装置であって、
前記映像表示装置が、画素表示用の映像表示部と、該映像表示部の画面に映像の関連情報を配置するためのマーカーを描画用のXY座標基準により作成するマーカー作成手段と、該マーカー作成手段によりマーカーを作成するためのポインタ入力手段が接続される第1の入出力端子と、該マーカー作成手段からのマーカー属性情報を記憶する外部マーカー記憶手段が接続される第2の入出力端子と、前記マーカー作成手段により作成したマーカー属性情報によるマーカーを映像に重畳するマーカー合成部とを備え、該映像の表示方式に基づいて前記映像表示部の画面に表示されるマーカーを目印として表示することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記マーカー作成手段が、前記第1の入出力端子から入力されるマーカー入力情報によるマーカー描画時のXY座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部から出力されるXY座標を描画用座標に変換する座標変換部と、
前記第2の入出力端子に接続された前記外部マーカー記憶手段からのマーカー属性情報、又は前記座標検出部からのXY座標情報を基にそのマーカー属性情報を記憶するXY座標基準データテーブルと、
前記XY座標基準データテーブルからのマーカー属性情報を前記座標変換部によって描画用座標に変換したマーカー属性情報を記憶する表示用XY座標データテーブルとからなることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記第1と第2の入出力端子がUSBインターフェースであり、前記ポインタ入力手段がマーカーのXY座標を設定するUSBマウスであり、前記USBマウスのドラッグ操作により前記マーカー描画時の起点及び終点を確定し、その起点及び終点に基づいて前記マーカーを前記映像表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記XY座標基準データテーブルに記憶されたマーカー属性情報が前記USBメモリに書き込まれ、該USBメモリに書き込まれたマーカー属性情報を前記XY座標基準データテーブルに読み出して前記マーカーを再現表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記マーカー属性情報が、マーカーを表示したか否を示す表示、現在描画中であるか否かを示す描画中フラグ、マーカーの表示色、及びマーカーのスタート座標である起点とエンド座標である終点の数値を含むことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−50555(P2010−50555A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210898(P2008−210898)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】