説明

映像表示装置

【課題】 映像の立体認識を行わせるとき、視聴者に常に明瞭な映像を視聴させることが可能な映像表示装置を提供する。
【解決手段】 映像表示装置1において、表示制御部4は、視聴者による映像の立体認識が可能な状態か否かを、視聴者のメガネ10の装着状態等に基づいて判別する。表示制御部4は、立体認識が可能な場合だけ、基本映像信号の映像を立体的に認識させるための1以上の映像を示す立体表示信号を、表示信号生成部3に生成させる。残余の場合は、基本映像信号の映像を平面的に認識させるための映像を示す平面表示信号が、表示信号生成部3で生成される。表示素子5は、生成した立体表示信号または平面表示信号が示す映像を、平坦な表示面7に表示する。視聴者は、表示される映像を視認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な表示面を有する表示素子を用いて、視聴者に映像の立体認識を行わせる映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平坦な表示面を有する表示素子を含む映像表示装置において、いわゆる三次元(以下「3D」という)映像表示として、立体映像を視聴者に擬似的に視聴させる技術が提案されている。映像の立体認識技術の1つとして、視差に基づく立体視を利用して平面映像に立体感を与える技術がある。
【0003】
図11は、従来技術における立体視を利用する立体認識技術の原理を説明するための模式図である。図11の技術においては、映像を視聴者に平面的に認識させる平面表示モードと、映像を視聴者に立体的に認識させる立体表示モードの2通りの表示モードがある。図11の技術では、表示面に平面映像を表示する表示素子と、視聴者の左右の視界を選択的に遮断するメガネとが用いられる。
【0004】
通常表示である平面表示モードにおいては、図11(A)に示すように、物体に対して単一視点から視た映像91が、1種類だけ用意される。表示素子は、単一視点からの映像91だけを表示し、かつ、メガネ90が視聴者の左右の視界の遮蔽を両眼94とも行わない。この結果、視聴者は、左右の眼94で単一視点からの映像91を同時に見るため、表示される映像91が平面状に表示されているように認識する。
【0005】
立体表示モードにおいては、図11(B)および図11(C)に示すように、物体に対して視差の分だけ相互にずれた視点からの2種類の映像が、左眼用映像92および右眼用映像93として用意される。表示素子は、左眼用映像92および右眼用映像93を高速で切換えて交互に表示し、かつ、メガネ90が、左右の映像の切換えと同期して右眼側視界および左眼側視界を交互に遮断する。この結果、視聴者は、右眼では右眼用映像93を視認して左眼では左眼用映像92を視認するため、視差による錯覚によって、映像が立体的に表示されているように認識する。
【0006】
図12は、従来技術における映像表示装置の立体表示モードおよび平面表示モードの視聴手順を説明するための図である。図12(A)は、従来技術の映像表示装置における立体表示モードの視聴手順を示す図である。映像ソースである基本映像信号が立体認識用の映像信号である場合、映像表示装置の表示モードが立体表示モードに切換えられて、かつ、視聴者が専用のメガネを装着する。この結果、図11(B)および図11(C)で説明した映像が表示されるので、視聴者は、映像を立体認識することが可能になる。
【0007】
また、図12(B)は、従来技術の映像表示装置における平面表示モードの視聴手順を示す図である。基本映像信号が立体認識用の映像信号ではない場合、映像表示装置の表示モードが平面表示モードに切換えられ、かつ、視聴者が専用のメガネを外す。この結果、図11(A)で説明した映像が表示されるので、視聴者は、映像を平面認識することになる。
【0008】
このような立体視を利用する立体認識技術においては、立体表示モードにおいて、専用のメガネを装着していない状態の視聴者が表示素子に表示される映像を視ると、左眼用映像と右眼用映像とが混ざって視認されるため、立体視は困難である。さらには、左眼用映像と右眼用映像とが混ざって視認される場合、メガネを未装着の視聴者は、表示される映像を明瞭に認識することが難しい。このため、立体認識技術を用いる従来技術の映像表示装置は、立体表示モードと平面表示モードとを適宜切換える構成になっている。
【0009】
図11および図12で示した表示モードの切換えは、たとえば、視聴者自身の操作によって行われている。またたとえば、基本映像信号が立体認識用であるか否かに応じて、映像表示装置が表示モードを切換えている。さらにまた、特許文献1は、表示モードの切換えに関する技術を提案している。
【0010】
特許文献1の立体テレビジョンシステムにおいては、映像を表示するテレビジョン受像機と専用のメガネとが用意されている。メガネには、表示モードの切換え信号を発する切換信号発生手段と、該切換え信号に基づいて点滅する赤外線ランプとが付随している。またテレビジョン受像機には、赤外線ランプからの信号の受信手段が付随している。
【0011】
メガネがテレビジョン受像機の正面に向けられている状態では、赤外線ランプからの信号をテレビジョン受像機側の受信手段が受信する。メガネが収納される、またはメガネがテレビジョン受像機の正面から外されると、赤外線ランプからの信号をテレビジョン受像機側の受信手段が受信不能になる。テレビジョン受像機は、赤外線ランプからの信号を受信手段が受信している間は、立体映像用の映像をそのまま受像面に表示させ、赤外線ランプからの信号を受信手段が受信していない間は、立体映像用の映像を平面映像化して受像面に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平1−93987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、立体視を利用した立体認識技術を用いる従来技術の映像表示装置において、映像を立体認識するために、視聴者は、専用のメガネを装着する必要がある。このため、視聴者は、立体表示モード時に表示される映像を明瞭に視聴するためには、メガネを探して装着するか、立体表示モードを平面表示モードに手動で切換える必要がある。ゆえに、従来技術の映像表示装置は、視聴に手間がかかる。
【0014】
前述の特許文献1の立体テレビジョンシステムは、メガネに付随する赤外線ランプからの切換え信号の受信の有無に応じて、立体表示モードと平面表示モードとを自動的に切換えている。しかしながら、特許文献1の立体テレビジョンシステムは、視聴者がメガネを装着していること自体を明確に把握していないため、テレビジョン受像機の正面にメガネが単に置かれているだけでも、立体表示モードに切換えられてしまう。この結果、視聴者が明瞭な映像を視聴することが困難になる。
【0015】
また、上述した立体認識技術を用いる従来技術の映像表示装置において、専用のメガネは、左右の視界の選択的遮断のために駆動する液晶シャッタ等の構成部品と、構成部品の駆動用電源を備えている。仮に、視聴者がメガネを未装着の状態で立体表示モードが選択されている場合、視聴者が映像を視聴していないのにメガネの構成部品が駆動されるため、無駄な電力を消費することになる。
【0016】
本発明の目的は、映像の立体認識を行わせるとき、視聴者に常に明瞭な映像を視聴させることが可能な映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、映像を表す映像信号に基づき、該映像信号の映像を立体的に認識させるための立体表示信号と、該映像信号の映像を平面的に認識させるための平面表示信号とを、選択的に生成可能な表示信号生成手段と、
映像の立体認識が可能な状態か否かを判別し、立体認識が可能な場合だけ前記表示信号生成手段に前記立体表示信号を生成させ、立体認識が可能でない場合には前記平面表示信号を生成させる表示制御手段と、
前記表示信号生成手段によって生成された立体表示信号および前記表示信号生成手段によって生成された平面表示信号のうちのいずれか一方の表示信号が与えられ、与えられた表示信号に基づく映像を平坦な表示面に表示する表示素子とを含むことを特徴とする映像表示装置である。
【0018】
また本発明は、前記立体表示信号に基づいて前記表示素子に表示される映像を視聴者に立体的に認識させるためのメガネと、
前記メガネの視聴者への装着状態を判別する装着状態判別手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、前記装着状態判別手段の判別結果に基づき、前記メガネが装着されている場合に前記立体表示信号を生成させることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記メガネに付随して設けられ、該メガネが視聴者に装着されている状態および未装着の状態において、相互に異なる信号を発する装着センサをさらに含み、
前記装着状態判別手段は、前記装着センサから出力される信号に応答して前記メガネの装着状態を判別することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記表示素子に付随して設けられ、該表示素子の表示面に向かい合う視聴可能領域を撮影する撮影手段をさらに含み、
前記装着状態判別手段は、前記撮影手段が撮影した前記視聴可能領域の映像を解析し、前記視聴可能領域内のメガネを装着した視聴者の有無を判別することによって、前記メガネの装着状態を判別することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記装着状態判別手段は、前記メガネの装着状態の判別を所定の時間周期毎に繰返し行い、所定回数連続してメガネが未装着であると判別される場合に、メガネが未装着である旨の判別結果を前記表示制御手段に与えることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記メガネに付随して設けられ、前記映像の立体認識に係る該メガネの駆動に用いられる電力を供給するためのメガネ用電源と、
前記装着状態判別手段に応答し、前記メガネが未装着である場合、前記メガネ用電源からの電力供給を停止させる電源制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記表示制御手段は、所定の時間周期毎に、映像の立体認識が可能な状態か否かを判別し、判別結果が得られる度に、該判別結果に基づいて前記立体表示信号または前記平面表示信号を生成させることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記映像信号が、立体認識用の映像または平面認識用の映像を、時間経過に伴って交互に示し、
前記表示信号生成手段は、前記映像の立体認識が可能であると前記表示制御手段が判別した場合、前記映像信号が立体認識用の映像を示すならば、該立体認識用の映像を示す前記立体表示信号を生成させ、前記映像信号が平面認識用の映像を示すならば、該平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換して、変換後の映像を示す前記立体表示信号を生成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、映像表示装置は、映像信号に基づく映像を立体認識が可能な様態で表示素子の平坦な表示面に表示させて、該映像を視聴者に立体認識させる。前記映像表示装置は、表示素子のほかに、表示素子に与えるべき表示信号を生成する表示信号生成手段と、表示信号の生成を制御する表示制御手段とを含む。表示制御手段は、視聴者が映像の立体認識が可能な状態にあるか否かを判別し、判別結果に応じて表示信号生成手段に立体表示信号および平面表示信号のいずれか一方を生成させる。すなわち、視聴者の立体認識が可能な場合だけ、映像を立体認識させるための1以上の映像を表示させるための立体表示信号が生成され、立体認識が可能でない場合には、映像を平面認識させるための映像を表示させるための平面表示信号が生成される。
【0026】
これによって、本発明の映像表示装置は、映像を視聴者に立体認識させるための立体表示モードと映像を視聴者に平面認識させるための平面表示モードとを、視聴者の立体認識の能否に応じて自動的に切換えることができる。ゆえに、本発明の映像表示装置は、視聴者に明瞭な映像を常に提供することができる。またこれによって、本発明の映像表示装置は、視聴者の表示モードの切換えの手間を軽減させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0027】
また本発明によれば、映像表示装置は、視聴者が装着すべきメガネと、メガネの装着状態を判別する装着状態判別手段とをさらに含む。メガネは、前記立体表示モードにおいて、前記立体表示信号に基づいて前記表示素子の表示面に表示される映像を、視聴者に立体認識させるために用いられる。前記表示制御手段は、前記視聴者の立体認識の能否を、メガネの装着状態の判別結果に基づいて判別する。前記メガネが視聴者に装着されている場合、視聴者による映像の立体認識が可能な状態であると判別され、前記立体表示信号が生成される。前記メガネが未装着の場合、視聴者による映像の立体認識が不可能な状態であると判別され、前記平面表示信号が生成される。
【0028】
これによって、本発明の映像表示装置は、立体表示モードにおいて視聴者にメガネの装着を要求する必要がある状況下において、メガネの装着状態に応じて映像の表示モードを自動的に切換えることができる。ゆえに、本発明の映像表示装置は、メガネの装着の有無に関わらず、視聴者に明瞭な映像を常に提供することができる。またこれによって、本発明の映像表示装置は、視聴者の表示モードの切換えの手間を具体的に軽減させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0029】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置は、前記メガネに付随して設けられ、該メガネの視聴者への装着状態に応じた信号を発する装着センサをさらに含む。本発明の映像表示装置において、前記装着センサから出力される信号に応答して、視聴者のメガネの装着状態が判別される。
【0030】
これによって、本発明の映像表示装置は、視聴者のメガネの装着状態を直接検出可能なので、該装着状態を確実に判別することができる。したがって、本発明の映像表示装置は、メガネの装着状態に応じた表示モードの切換えを、誤り無く確実に行うことができる。ゆえに、本発明の映像表示装置は、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0031】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置は、前記表示素子に付随して設けられ、該表示素子の表示面に向かい合う視聴可能領域を撮影する撮影手段をさらに含む。本発明の映像表示装置において、前記撮影手段が撮影した前記視聴可能領域の映像が解析される。前記解析の結果に基づき、前記視聴可能領域内のメガネを装着した視聴者の有無に応じて、前記メガネの装着状態が判別される。
【0032】
これによって、本発明の映像表示装置は、メガネ側ではなく表示素子側に付随する構成を用いて、視聴者のメガネの装着状態を確実に判別して表示モードを切換えることができる。ゆえに、メガネの構成が従来よりも複雑化することが防止されるため、本発明の映像表示装置は、視聴者の負荷の増加を防止することができる。 またこれによって、本発明の映像表示装置は、視聴者のメガネの装着状態だけでなく、視聴可能領域内の視聴者の存在の有無をも判別することができる。ゆえに、視聴可能領域内にメガネだけが存在して視聴者が不在である場合に、立体表示モードへの切換えが行われない。したがって、本発明の映像表示装置は、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0033】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置は、前記メガネの装着状態の判別を、所定の時間周期毎に繰返し行う。メガネが未装着であるとの判別結果が所定回数連続して得られる場合に、メガネが未装着である旨の判別結果を前記表示制御手段に与える。この結果、メガネが未装着であるとの判別結果が複数回連続する場合だけ、平面表示信号が生成される。
【0034】
これによって、本発明の映像表示装置は、連続する複数回の判別に亘ってメガネが未装着であると判別される場合に、立体表示モードから平面表示モードに表示モードを切換える。ゆえに、本発明の映像表示装置は、メガネの未装着状態の誤認を防止することができるため、使い勝手がさらに向上する。
【0035】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置は、メガネに付随するメガネ用電源と、該メガネ用電源の電源制御手段とをさらに含む。メガネ用電源は、前記映像の立体認識に係るメガネの駆動に用いられる電力を供給するための電源である。本発明の映像表示装置において、前記メガネが未装着であると判別される場合、電源制御手段は、前記メガネ用電源からの電力供給を停止させる。これによって、本発明の映像表示装置は、メガネ用電源の電力の不必要な消費を抑制することができるため、メガネ用電源の電力消費を効率化することができる。
【0036】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置において、映像の立体認識の能否の判別および判別結果に基づく表示信号の生成が、所定の時間周期毎に繰返し行われる。この結果、所定時間周期毎に、立体認識の能否に応じて、立体表示信号または平面表示信号が適宜生成される。
【0037】
すなわち、本発明の映像表示装置は、立体表示モードおよび平面表示モードが切換え可能な状況下において、時間経過に伴う立体認識の能否の変化に応じて、表示モードを自動的に適宜切換える。たとえば、平面表示モード時に立体認識が可能になれば立体表示モードに切換え、立体表示モード時に立体認識が不可能になれば平面表示モードに切換える。これによって、本発明の映像表示装置は、前記状況下において視聴者の映像の認識状態の時間変化に応じて表示モードを適宜切換えるので、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0038】
また本発明によれば、本発明の映像表示装置において、前記映像信号が、立体認識用の映像および平面認識用の映像を、時間経過に伴って交互に示している。本発明の映像表示装置は、視聴者の立体認識が可能であると判別される場合、前記映像信号が立体認識用の映像を示していれば、そのまま立体表示信号を生成する。映像表示装置は、前記映像信号が平面認識用の映像を示していれば、該平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換し、変換後の映像を示す立体表示信号を生成する。
【0039】
これによって、本発明の映像表示装置は、視聴者の立体認識が可能な状況下であれば、映像信号が立体認識用の映像を示す期間だけでなく、映像信号が平面認識用の映像を示す期間も、立体表示モードでの映像表示を行う。これによって、本発明の映像表示装置は、立体表示モードでの表示期間を従来よりも増加させることができるので、さらに使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態である映像表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】メガネ10の一部分の具体的な機能的構成を示すブロック図である。
【図3】メガネ10に含まれる装着センサ13の第1の構成を説明するための図である。
【図4】メガネ10に含まれる装着センサ13の第2の構成を説明するための図である。
【図5】立体表示モード時における表示素子5およびメガネ10の挙動を説明するための図である。
【図6】映像表示装置1における表示モード切換えを説明するためのタイミングチャートである。
【図7】受像機20側の基本動作の第1の例を説明するためのフローチャートである。
【図8】受像機20側の基本動作に応答するメガネ10側の基本動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】受像機20側の基本動作の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【図10】受像機20側の基本動作の第3の例を説明するためのフローチャートである。
【図11】従来技術における立体視を利用する立体認識技術の原理を説明するための模式図である。
【図12】従来技術における映像表示装置の立体表示モードおよび平面表示モードの視聴手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明の一実施形態である映像表示装置1の構成を示すブロック図である。図1の映像表示装置1は、いわゆる三次元映像表示のために、視聴者に立体的に認識可能な映像を平坦な表示面7に表示可能な構成を有する。本明細書において、映像とは、静止画および動画の両方を含む。また動画は、たとえば。具体的には、静止画である複数のフレームを時間経過に伴って順次表示することで実現される。
【0042】
図1の映像表示装置1は、映像を視聴者に立体的に認識させるだけでなく、映像を視聴者に平面的に認識させることもある。このために、映像表示装置1は、立体表示モードと平面表示モードの2通りの表示モードを有する。立体表示モード選択時には、視聴者に映像を立体認識させるための表示が行われる。平面表示モード選択時には、視聴者に映像を平面認識させるための表示が行われる。
【0043】
図1の映像表示装置1は、表示信号生成部3と、表示制御部4と、平坦な表示面7を有する表示素子5とを最低限含む。また映像表示装置1は、好ましくは、視聴者が装着すべきメガネ10、装着状態判別部11、装着センサ13、撮影部14、メガネ用電源16、および電源制御部17のうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
装着センサ13とメガネ用電源16と電源制御部17とは、メガネ10に付随する。撮影部14は、表示素子5に付随する。装着状態判別部11は、メガネ10および表示素子5の少なくとも一方に付随する。図1の例では、装着状態判別部11は、メガネ10および表示素子5の両方に付随している。また図1の例では、映像表示装置1は、メガネ10の他に、受像機20を備える構成になっている。表示素子5と表示信号生成部3と表示制御部4と撮影部14とは、受像機20の筐体内に収納される。
【0045】
図1の映像表示装置1において、表示信号生成部3は、映像を表す基本映像信号に基づき、表示素子5の平坦な表示面7に該映像を表示させるための立体表示信号および平面表示信号を、選択的に生成可能に構成される。立体表示信号は、基本映像信号の映像を視聴者に立体的に認識させるための1以上の映像を表示素子に表示させるための信号である。平面表示信号は、基本映像信号の映像を視聴者に平面的に認識させるための映像を表示素子に表示させるため信号である。基本映像信号は、映像信号である。
【0046】
表示制御部4は、視聴者による映像の立体認識が可能な状態か否かを判別し、判別結果に応じて、立体表示信号および平面表示信号のいずれか一方の表示信号を、表示信号生成部3に生成させる。すなわち、表示制御部4は、立体認識が可能な場合だけ表示信号生成部3に立体表示信号を生成させ、残余の場合、つまり立体認識が可能でないには平面表示信号を生成させる。生成された立体表示信号または平面表示信号は、表示信号生成部3から表示素子5に与えられる。表示素子5は、与えられた立体表示信号または平面表示信号に基づく映像を、平坦な表示面7に表示する。
【0047】
これによって、図1の映像表示装置1は、映像の立体認識と映像の平面認識とを、視聴者の立体認識の能否状態に応じて、自動的に切換えることができる。すなわち、映像表示装置1は、立体表示信号を用いる立体表示モードと平面表示信号を用いる平面表示モードとを、視聴者の立体認識の能否状態に応じて自動的に切換えることができる。このように、視聴者の視聴状況に応じて表示モードが自動的に切換えられるので、映像表示装置1は、視聴者に映像を常に明瞭に認識させることができる。したがって、図1の映像表示装置1は、使い勝手を向上させることができる。
【0048】
図1において、メガネ10は、立体表示信号に基づいて表示素子5に表示される映像を、視聴者に立体的に認識させるために用いられる。装着状態判別部11は、メガネ10の視聴者への装着状態を判別する。映像表示装置1がメガネ10を含む場合、表示制御部4は、視聴者の立体認識の能否状態を、視聴者へのメガネ10の装着状態に基づいて判別する。
【0049】
すなわち、メガネ10が視聴者に装着されていると判別される場合、表示制御部4は、視聴者による映像の立体認識が可能であると判別し、立体表示信号を表示信号生成部3に生成させる。メガネ10が未装着であると判別される場合、表示制御部4は、視聴者による映像の立体認識が不可能であると判別して、平面表示信号を表示信号生成部3に生成させる。この結果、メガネ10が装着済であると判別される場合、立体表示信号に基づく立体認識用の映像が表示素子5に表示され、メガネが未装着であると判別される場合、平面表示信号に基づく平面認識用の映像が表示素子5に表示される。
【0050】
これによって、映像表示装置1は、立体表示モードにおいて視聴者にメガネ10の装着を要求する必要がある状況下において、視聴者のメガネ10の装着状態に応じて、表示モードを自動的に切換えることができる。具体的には、メガネが装着済の場合は、視聴者が映像を明瞭に立体認識可能であるので、立体表示モードの映像表示が実行される。メガネが未装着の場合は、立体表示モードでは視聴者による明瞭な映像認識が難しいので、裸眼でも明瞭に映像を認識可能な平面表示モードの映像表示が実行される。ゆえに、映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着の有無に関わらず、視聴者に映像を常に明瞭に認識させることができる。
【0051】
また映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着状態の自動的な判別結果に基づいて、表示モードを切換える。すなわち、視聴者がメガネを着脱するだけで、着脱に応答して映像表示装置の表示モードが切換えられる。これによって映像表示装置1は、視聴者にメガネ着脱以外の操作を要求していた従来技術よりも、視聴者の表示モードの切換えの手間を具体的に軽減させることができる。したがって、図1の映像表示装置1は、使い勝手をより向上させることができる。
【0052】
図1の映像表示装置1において、装着センサ13は、メガネ10に付随して設けられており、メガネ10が視聴者に装着されている状態および未装着の状態において、相互に異なる信号を発する。装着状態判別部11は、装着センサ13から出力される信号に応答して、メガネ10の装着状態を判別する。装着センサ13の出力に応答した装着状態の判別結果に基づき、上述したような映像表示装置1の表示モードの切換えが実行される。
【0053】
これによって、図1の映像表示装置1は、メガネ10に付随する装着センサ13によって視聴者のメガネ10の装着状態を直接検出することができるので、メガネ10の装着状態を確実に判別することができる。したがって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態に応じた表示モードの切換えを、誤り無く確実に行うことができる。ゆえに、映像表示装置1は、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0054】
また図1の映像表示装置1において、撮影部14は、表示素子5に付随して設けられており、予め定める視聴可能領域8を撮影する。視聴可能領域8は、たとえば、表示素子5の表示面7に向かい合う所定範囲の領域である。視聴可能領域8は、視聴可能領域8内に存在して表示面7に対面する視聴者が表示面7に表示中の映像を目視可能になるように、設定される。装着状態判別部11は、撮影部14が撮影した視聴可能領域8の映像を解析し、視聴可能領域8内のメガネ10を装着した視聴者の有無を判別することによって、メガネ10の装着状態を判別する。撮影部14の撮影結果に応答した装着状態の判別結果に基づき、上述したような映像表示装置1の表示モードの切換えが実行される。
【0055】
これによって、図1の映像表示装置1は、メガネ10ではなく表示素子5に付随する構成を用いて、視聴者のメガネ10の装着状態を確実に判別して表示モードを切換えることができる。ゆえに、映像の立体認識の能否の判別のための構成がメガネ10ではなく表示素子5に付随するため、メガネ10の構成が従来よりも複雑化することが防止される。したがって、図1の映像表示装置1は、メガネ10の重量増加等に起因する視聴者の負荷増加を防止することができる。
【0056】
また撮影部14の撮影結果に応答して表示モードが切換えられる場合、図1の映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着状態だけでなく、視聴可能領域8内の視聴者の存在の有無をも判別することが可能である。ゆえに、視聴可能領域8内にメガネ10だけが存在して視聴者が不在である場合に、立体表示モードへの移行が行われない。したがって、映像表示装置1は、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0057】
また図1の映像表示装置1において、装着状態判別部11は、メガネ10の装着状態の判別を所定の時間周期毎に繰返し行う。所定回数連続してメガネ10が未装着であると判別される場合に、装着状態判別部11は、メガネ10が未装着である旨の判別結果を表示制御部4に与える。この結果、メガネ10が未装着である判別結果が複数回連続する場合だけ、平面表示信号が生成されて平面認識用の映像が表示面7に表示される。
【0058】
これによって、図1の映像表示装置1において、連続する複数回の判別に亘ってメガネ10が未装着であると判別される場合に、立体表示モードから平面表示モードに表示モードが切換えられる。ゆえに、映像表示装置1は、メガネ10の未装着状態の誤認を防止することができるため、使い勝手がさらに向上する。未装着状態の誤認は、たとえば、装着センサ13の一時的な信号ブレ、または撮影部14の一時的な撮影不良等が考えられる。
【0059】
さらにまた図1において、メガネ10は、好ましくは、立体認識用の映像を視聴者に立体的に認識させるための構成部品を有している。メガネ10の立体認識に係る構成部品は、静的な構成であってもよく、動的な構成であってもよい。メガネ10の立体認識に係る構成部品が動的構成である場合、該構成部品は駆動に電力を必要とすることがある。この場合、メガネ用電源16が、メガネ10に付随して設けられる。
【0060】
メガネ用電源16は、メガネ10内の映像の立体認識に係る構成部品に電力を供給する。電源制御部17は、装着状態判別部11の判別結果に応答し、メガネ10が未装着であると判別される場合、メガネ用電源16からの電力供給を停止させる。すなわち、映像表示装置1において、メガネ10が未装着である場合、すなわち平面表示モードで映像表示装置1が動作する状況下において、メガネ10内の映像の立体認識に係る構成への電力供給が停止される。
【0061】
平面表示モード時には映像の立体認識に係る構成部品の駆動は不要であるため、平面表示モード時に映像の立体認識に係る駆動部品への電力供給が停止されれば、メガネ用電源16の電力の消費を抑制することができる。したがって、図1の映像表示装置1は、装着状態判別部11の判別結果に応答してメガネ用電源16からの電力供給を制御することによって、メガネ用電源16の電力消費を効率化して省電力化することができる。
【0062】
また図1において、表示制御部4は、所定の時間周期毎に、映像の立体認識が可能な状態か否かを判別する。映像の立体認識の能否の判別結果が得られる度に、表示制御部4は、該判別結果に基づいて立体表示信号または平面表示信号を表示信号生成部3に生成させる。この結果、図1の映像表示装置1において、映像の立体認識の能否の判別および判別結果に基づく表示信号の生成が、所定の時間周期毎に繰返し行われる。
【0063】
すなわち、立体表示モードおよび平面表示モードが切換え可能な状況下において、図1の映像表示装置1は、時間経過に伴う立体認識の能否の変化に応じて、表示モードを自動的に適宜切換える。たとえば、平面表示モード時に立体認識が可能になれば立体表示モードに切換え、立体表示モード時に立体認識が不可能になれば平面表示モードに切換える。これによって、図1の映像表示装置1は、前記状況下において視聴者の映像の認識状態の時間変化に応じて表示モードを適宜切換えるので、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0064】
また図1において、基本映像信号が、立体認識用の映像または平面認識用の映像を、時間経過に伴って交互に示している。このような状況下で視聴者による映像の立体認識が可能であると表示制御部4が判別した場合、表示信号生成部3は、基本映像信号が立体認識用の映像を示すならば、該立体認識用の映像を示す立体表示信号を生成させる。また前記状況下で視聴者による映像の立体認識が可能である場合、基本映像信号が平面認識用の映像を示すならば、表示信号生成部3は、平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換して、変換後の映像を示す立体表示信号を生成させる。
【0065】
すなわち、映像表示装置1は、視聴者が映像を立体認識可能である場合、基本映像信号が平面認識用の映像を示すならば、平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換する平面立体変換処理、いわゆる2Dー3D変換処理を行う。平面立体変換処理の具体例としては、たとえば、平面認識用の映像が該映像内の連続する複数フレーム単位で解析され、解析結果に基づいて、視点の異なる2種類の映像が立体認識用の映像として生成され、該2種類の視点からの映像を示す映像信号が生成される。平面立体変換処理は、平面認識用の映像から立体認識用の映像を生成可能であれば、上述の具体例に限らず他の処理でもよい。
【0066】
この結果、図1の映像表示装置1は、視聴者の立体認識が可能な状況下であれば、基本映像信号が平面認識用の映像を示していても立体表示モードに切換え、平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換して、映像の立体認識を行わせる。これによって、映像表示装置1は、視聴者の立体認識が可能な状況下であれば、基本映像信号が立体認識用の映像を示す期間だけでなく、基本映像信号が平面認識用の映像を示す期間も、立体表示モードでの映像表示を行う。これによって、映像表示装置1は、立体表示モードでの表示期間を従来よりも増加させることができるので、さらに使い勝手が向上する。
【0067】
図1の映像表示装置1は、さらにたとえば、平面表示モードにおいて、基本映像信号が平面認識用の映像を示す場合、表示信号生成部3は、平面認識用の映像をそのまま示す平面表示信号を生成させる。また平面表示モードにおいて、基本映像信号が立体認識用の映像を示す場合、表示信号生成部3は、立体認識用の映像を平面認識用の映像に変換して、変換後の映像を示す平面表示信号を生成させる。
【0068】
すなわち、映像表示装置1は、視聴者の映像の立体認識が不可能である場合、映像表示装置1は、基本映像信号が平面認識用の映像を示すならば、立体認識用の映像を平面認識用の映像に変換する立体平面変換処理、いわゆる3Dー2D変換処理を行う。立体平面変換処理の具体例としては、たとえば、立体認識用の映像に含まれる2種類の視点からの映像のうちのいずれか一方の視点からの映像だけが抽出されて、抽出された映像だけからなる映像信号が生成される。立体平面変換処理は、立体認識用の映像から平面認識用の映像を生成可能であれば、上述の具体例に限らず他の処理でもよい。
【0069】
これによって、メガネ10が未装着等の映像の立体認識が困難な状況下において、映像表示装置1は、基本映像信号の映像種別に関わらず、平面表示モードでの映像表示を行う。これによって、映像表示装置1は、映像の立体認識が困難な状況下において視聴者に映像を常に平面認識させるので、該状況下で視聴者が映像を常に明瞭に認識可能になり、使い勝手がさらに向上する。
【0070】
図1の映像表示装置1において、基本映像信号が示す立体認識用の映像は、具体的には、対象物に対して視差の分だけ相互にずれた2つの各視点からの映像、いわゆる左眼用映像および右眼用映像を含む。図1の映像表示装置1は、具体的には、映像の立体認識技術として、いわゆるフレームシーケンシャル方式の映像立体認識技術を用いている。
【0071】
フレームシーケンシャル方式の映像立体認識技術において、表示素子5は、左眼用映像および右眼用映像を、周期的にかつ高速で切換えて交互に表示する。かつ、メガネ10が、左眼用映像および右眼用映像の切換えと同期して、右眼側視界および左眼側視界を交互に遮断する。この結果、視聴者は、右眼で右眼用映像を視認して左眼で左眼用映像を視認するため、視差による錯覚によって、映像が立体的に表示されているように認識する。
【0072】
前述した基本映像信号は、立体認識用の2種類の視点からの映像を示す映像信号が含まれる。また基本映像信号は、立体認識用の映像信号と、平面認識用の1種類の視点からの映像を示す映像信号が、時間経過に伴って交互に含まれる構成であってもよい。立体認識用の映像信号に基づき生成される立体表示信号は、該立体認識用の映像信号が示す2種類の視点からの映像を、所定期間分ずつ交互に表示面7に表示させる。平面認識用の映像信号に基づき生成される平面表示信号は、該平面認識用の映像信号が示す1種類の視点からの映像を表示面7に表示させる。たとえば、基本映像信号は、テレビジョン放送の規格に基づく放送信号で実現され、立体表示信号および平面表示信号は、映像表示装置1ならびに表示素子5の規格に基づいた内部信号で実現される。
【0073】
フレームシーケンシャル方式の図1の映像表示装置1は、具体的には、表示素子5を含む受像機20と、視聴者が装着するメガネ10とを含む構成を有する。受像機20は、具体的には、表示信号生成部3と表示制御部4と表示素子5の他に、送信部21、受信部22、コントローラ23、映像入力端子24、立体映像判別部25、および同期信号生成部26をさらに含む。また表示信号生成部3は、立体表示信号生成部27と、平面表示信号生成部28と、立体平面表示選択部29とを機能的に含む。メガネ10は、映像の立体認識に係る構成部品として、視聴者の左眼側視界および右眼側視界の遮断透過を選択的に制御するための視界制御機構30を有する。またメガネ10は、視界制御機構30の他に、具体的には、送信部31、受信部32、コントローラ33、および電源スイッチ37をさらに含む。視界制御機構30は、左眼用シャッタ35と右眼用シャッタ36とを最低限含む。
【0074】
受像機20の送信部21とメガネ10の受信部32との間、およびメガネ10の送信部31と受像機20の受信部22との間で、基本映像信号に基づく映像表示に係る各種の信号がそれぞれ送受される。受像機20とメガネ10との間の信号送受は、無線通信であり、たとえば、赤外線通信で実現されてもよく、電波通信で実現されてもよい。
【0075】
受像機20のコントローラ23は、受像機20内部の構成部品を制御するための演算回路である。図1の例では、表示制御部4および受像機20側の装着状態判別部11は、コントローラ23の演算機能によって実現される機能的部品である。表示制御部4および装着状態判別部11に限らず、受像機20の他の構成部品、たとえば、表示信号生成部3、立体映像判別部25および同期信号生成部26のうちの少なくとも1つが、コントローラ23の演算機能によって機能的に実現されてもよい。
【0076】
映像入力端子24は、外部から受像機20に基本映像信号を入力するための端子である。たとえば、基本映像信号がテレビジョン放送の放送信号である場合、映像入力端子24は該テレビジョン放送の信号規格に応じた入力端子で実現される。立体映像判別部25は、映像入力端子24から入力される基本映像信号が立体認識用の映像および平面認識用の映像のどちらを示すかを判別する。
【0077】
同期信号生成部26は、立体表示モード時に、受像機20からメガネ10に与えるべき同期信号を生成する。同期信号は、立体表示モードにおいて、表示素子5における左眼用映像および右眼用映像の表示タイミングと、メガネ10の左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の遮断タイミングとの同期を取るためのタイミング信号である。同期信号は、受像機20の送信部21から送信され、メガネ10の受信部32で受信される。
【0078】
立体表示信号生成部27は、基本映像信号に基づいて、立体表示信号を生成する。平面表示信号生成部28は、基本映像信号に基づいて、平面表示信号を生成する。立体平面表示選択部29は、受像機20のコントローラ23の制御に応答して、立体表示信号および平面表示信号のうちのいずれか一方の表示信号を、表示信号生成部3において選択的に生成出力させる。
【0079】
立体平面表示選択部29は、立体表示信号生成部27および平面表示信号生成部28の前段ならびに後段の少なくとも一方に設けられる。立体平面表示選択部29が両信号生成部27,28の前段に設けられるならば、選択された前記いずれか一方の表示信号だけを、いずれか一方の信号生成部に選択的に生成出力させる。また立体平面表示選択部29が両信号生成部27,28の後段に設けられるならば、両信号生成部27,28によって並行して生成される両表示信号のうちの選択されるいずれか一方の表示信号だけを、選択的に出力させる。
【0080】
図1の映像表示装置1において、メガネ10の構成部品のうちで駆動時に電力が必要な部品には、メガネ用電源16から電力が供給される。電力供給が必要な構成部品は、たとえば、映像の立体認識の係る構成部品、図1の例では左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36ならびにシャッタ駆動回路34である。メガネ用電源16は、具体的には、メガネ10に内蔵可能な小型電池、たとえばリチウム電池あるいはアルカリマンガン乾電池によって実現される。
【0081】
図1の映像表示装置1は、好ましくは、平面表示モードから立体表示モードへの切換え時に映像の立体認識に係る構成部品への電力供給が解禁され、立体表示モードから平面表示モードへの切換え時に映像の立体認識に係る構成部品への電力供給が停止または極小レベルに低下される。具体的には、表示モード切換えに係る受像機20からの信号をメガネ10が受信し、該信号に応答して映像の立体認識に係る構成部品への電力供給が解禁停止される。この結果、平面表示モードが選択される待機時には、電力消費が最小レベルに抑制されるため、メガネ用電源16の電力消耗が抑制される。映像の立体認識に係る構成部品とは、たとえば、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36を最低限含む視界制御機構30である。
【0082】
メガネ用電源16の電力消耗をさらに軽減するためには、具体的には、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36は、電力が未供給の状態で左眼側視界および右眼側視界を透過させる構成であることが好ましい。これによって、待機中である平面表示モード時に左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36への電力供給を停止可能なので、電力消耗を抑制することができる。また上述の構成であれば、平面表示モード中にメガネ10を装着したままであっても視野が遮断されることがないので、映像を問題なく視聴することができ、さらに電力消費も抑えることができる。
【0083】
左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36は、シャッタ駆動回路34によって駆動され、視聴者の左眼側視界および右眼側視界を、それぞれ選択的に遮断する。具体的には、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36は、メガネ10のフレーム枠50のリムに、レンズの代わりに嵌め込まれている。左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36が左眼側視界および右眼側視界をそれぞれ遮断していない状況下では、左眼側視界および右眼側視界が左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36を透過するので、左眼および右眼が表示素子5の表示面7を目視可能になる。
【0084】
メガネ10のコントローラ33は、メガネ10に付随する構成部品を制御するための演算回路である。図1の例では、電源制御部17は、コントローラ33の演算機能によって実現される機能的部品である。電源制御部17に限らず、メガネ10の他の構成部品、たとえば、装着状態判別部11が、コントローラ33の演算機能によって機能的に実現されてもよい。電源スイッチ37は、視聴者が映像の立体表示の開始および停止を指示する際に、視聴者によって操作される。
【0085】
図2は、メガネ10の一部分の具体的な機能的構成を示すブロック図である。メガネ10において、コントローラ33が、デコード部41およびタイミング信号生成部42を機能的に実現している。シャッタ駆動回路34は、具体的には、スイッチ回路44と左眼用シャッタ駆動回路45と右眼用シャッタ駆動回路46とを含む。
【0086】
受像機20側からの同期信号がメガネ10の受信部32で受信されると、デコード部41は該同期信号をデコードする。タイミング信号生成部42は、デコード部41のデコード結果に基づき、左眼用シャッタ35ならびに右眼用シャッタ36の状態を切換えるタイミングを示すタイミング信号を生成する。スイッチ回路44は、タイミング信号生成部42からのタイミング信号に基づいて、左眼用シャッタ駆動回路45と右眼用シャッタ駆動回路46を制御する。左眼用シャッタ駆動回路45および右眼用シャッタ駆動回路46は、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36を駆動して、左眼用視界および右眼用視界を選択的に遮断させる。左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の駆動タイミング、すなわち左眼用視界および右眼用視界の遮断タイミングは、スイッチ回路44によって制御される。
【0087】
フレームシーケンシャル方式の映像表示装置1において、各眼用視界の遮断状態および透過状態は、高速に切換える必要がある。ゆえに、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36は、高速反応が可能な液晶シャッタで実現されることが好ましい。なお、図1の例では、左右の視界の遮断に、液晶シャッタを利用している。左眼および右眼に異なる映像を見せるための手法としては、左右に角度を変えた偏光板または左右の色を変えた着色板を用いる手法であってもよい。
【0088】
図3は、メガネ10に含まれる装着センサ13の第1の構成を説明するための図である。図3(A)に示すように、装着センサ13は、具体的には、展開センサ51、近接センサ52、および対物センサ53の少なくとも1つで実現される。展開センサ51は、たとえば、スイッチ部品で実現される。近接センサ52および対物センサ53は、たとえば光学的センサで実現される。
【0089】
展開センサ51は、メガネ10のフレーム枠50の左右のヒンジのうちの少なくとも一方のヒンジに設けられる。展開センサ51は、メガネ10のフレーム枠50のテンプル(「つる」ともいう)が展開されているか折畳まれているかを検出する。視聴者がメガネ10を装着するには、フレーム枠50の左右のテンプルを展開する必要があるため、テンプルの展開の有無は視聴者のメガネ10の装着状態に対応する。展開センサ51は、視聴者のメガネ10の装着の有無を示す信号として、テンプル展開の有無を示す信号を出力する。
【0090】
近接センサ52は、メガネ10のフレーム枠50のブリッジおよび該ブリッジ近傍において装着時に視聴者と対向する位置に、設けられる。近接センサ52は、図3(B)に示すように、メガネ10とフレーム枠50に対向する位置の物体との距離を検出している。視聴者がメガネ10を装着する間は、フレーム枠50と視聴者の顔面との距離が所定距離未満になるまで近接する。近接センサ52は、フレーム枠50と物体との距離そのものを検出して、またはフレーム枠50と視聴者顔面との距離が所定距離未満に近接したか否かを検出して、検出結果に応じた信号を、視聴者のメガネ10の装着の有無を示す信号として出力する。
【0091】
対物センサ53は、1対の発信素子54および受信素子55を含む。発信素子54および受信素子55は、メガネ10のフレーム枠50の左右のテンプルにおいてテンプル展開時に相互に対向する位置に、設けられる。図3(C)に示すように、発信素子54と受信素子55の間で光または電磁波等の信号59が送受されている。図3(D)に示すように、発信素子54と受信素子55との間に視聴者の頭部等が介在すると、発信素子54からの信号59が遮断されて受信素子55に届かなくなる。対物センサ53は、発信素子54からの信号59が受信素子55に受信されるか否か、すなわち発信素子54と受信素子55との間に物体が存在するか否かを検出して、検出結果に応じた信号を、視聴者のメガネ10の装着の有無を示す信号として出力する。
【0092】
装着状態判別部11は、上述した3種類の装着センサ13からの信号に応答し、メガネ10が視聴者に装着されているか否か、すなわち映像の立体認識が可能か否かを判別する。メガネ10の装着状態の判別結果は、映像の立体認識の可否を示す視聴可否信号として、表示制御部4に与えられる。
【0093】
図4は、メガネ10に含まれる装着センサ13の第2の構成を説明するための図である。図4の例では、装着センサ13として、曲面状の反射板56が設けられる。反射板56は、メガネ10のフレーム枠50のブリッジおよび該ブリッジ近傍において装着時に受像機20と対向する位置に、設けられる。また受像機20は、装着検出用の送信部57および受信部58をさらに含む。信号送受用の送信部21および受信部22が、装着検出用の送信部57および受信部58を兼ねていてもよい。
【0094】
装着検出用送信部57は、視聴可能領域8内に、反射板56で反射可能な信号を、常に送信している。反射板56は、受像機20の装着検出用送信部57からの信号を反射する。視聴者がメガネ10を装着して表示素子5の視聴可能領域8で受像機20と向き合う場合だけ、反射板56から反射された信号が装着検出用受信部58で受信される。前記反射された信号が装着検出用受信部58で受信される場合だけ、視聴者がメガネ10を装着して表示素子5の視聴可能領域8に存在していると判別される。これによって、メガネ用電源16の電力を消費することなく、メガネ10を装着した視聴者の存在確認を行うことができるため、メガネ10をさらに省電力化することができる。
【0095】
図5は、立体表示モード時における表示素子5およびメガネ10の挙動を説明するための図である。図5(A)は、表示素子5に表示される映像の時間経過に伴う変化を示す。図5(B)は、メガネ10の左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の時間経過に伴う駆動状態の変化を示す。図5(C)は、メガネ10を装着した視聴者の左眼および右眼の視界の遮断状態の時間変化を示す。図5の説明において、立体表示信号が示す左眼用映像および右眼用映像は、複数のフレームを含む動画でそれぞれ実現される。
【0096】
立体表示モード時において、表示素子5は、与えられる立体表示信号に基づき、時間経過に伴って周期的に、左眼用映像および右眼用映像を、所定数のフレームずつ、表示面7に交互に表示させる。表示面7の左眼用映像および右眼用映像の切換えに同期して、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36は、左眼用視界および右眼用視界のいずれか一方を透過していずれか他方を遮断させる。
【0097】
具体的には、表示面7に左眼用映像が表示される期間内に、左眼用シャッタ35が透過状態を保ち、かつ右眼用シャッタ36が遮断状態を保つ。この結果、右眼用視界が遮断されて左眼用視界だけが表示面7を目視可能になる。表示面7に右眼用映像が表示される期間内には、左眼用シャッタ35が遮断状態を保ち、かつ右眼用シャッタ36が透過状態を保つ。この結果、左眼用視界が遮断されて右眼用視界だけが表示面7を目視可能になる。この結果、視聴者は、右眼用映像表示時には右眼で右眼用映像を視認し、左眼用映像表示時には左眼で左眼用映像を視認する。
【0098】
このように、図1の映像表示装置1において、立体表示モードでは、相互に異なる視点からの映像が左右の眼でそれぞれ目視されるため、左右の視差が生じる。視聴者は、生じた視差に起因する錯覚によって、映像が立体的に表示されているように認識する。これによって、映像表示装置1は、平坦な表示面7を有する表示素子5を用いて、視聴者に映像を立体的に認識させることができる。
【0099】
図6は、映像表示装置1における表示モード切換えを説明するためのタイミングチャートである。図6において、横軸は時間経過を示す。図6(A)は、映像表示装置1の視聴者の存在の時間変化を示す。図6(B)は、視聴者のメガネ10の装着状態の時間変化を示す。図6(C)は、映像表示装置1の表示モードの時間変化を示す。図6(D)は、受像機20からの同期信号の送信状態の時間変化を示す。図6(E)は、メガネ10の動作モードの時間変化を示す。図6(F)は、メガネ10の左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の駆動状態の時間変化を示す。図6(G)は、基本映像信号が示す映像の種別の時間変化を示す。図6(H)は、受像機20における映像の平面立体変換処理の実行状態の時間変化を示す。
【0100】
映像表示装置1は、動作開始直後は、たとえば平面表示モードで動作する。平面表示モードの受像機20は、同期信号の送信を停止させており、映像の平面立体変換処理も停止させている。ゆえに、動作開始直後に与えられる基本映像信号が平面認識用の映像を示す場合、受像機20において、基本映像信号から平面表示信号が生成されて、平面表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。これによって、映像表示装置1は、動作開始直後から、視聴者に明瞭に映像を視認させることができる。
【0101】
なお、動作開始直後に与えられる基本映像信号が立体認識用の映像を示す場合、受像機20において、たとえば、立体認識用の映像が平面認識用の映像に変換され、変換後の映像を示す平面表示信号が生成され、平面表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。これによって、映像表示装置1は、基本映像信号の映像種別に関わらず、動作開始直後から、視聴者に明瞭に映像を視認させることができる。また映像表示装置1の動作開始直後において、メガネ10は待機モードで動作する。待機モードのメガネ10は、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の動作を、透過状態を保たせたまま停止させている。これによって、待機モードのメガネ10は、省電力化を図ることができる。また映像表示装置1の装着状態判別部11は、メガネ10の待機モード中も、メガネ10の装着状態を周期的に判別している。
【0102】
映像表示装置1の動作開始後、視聴者が現れた時点t0において、メガネ10が未装着であれば、映像表示装置1は平面表示モードのまま保たれる。視聴者出現後の時点tx(以下「メガネ10装着時点tx」という)で視聴者がメガネ10を装着すると、装着センサ13の信号変化等に応答して、メガネ10が装着済である旨を装着状態判別部11が判別する。この結果、メガネ10が装着済であると判別された時点t1(以下「切換え時点t1」という)において、映像表示装置1が平面表示モードから立体表示モードに切換えられる。以上の動作によって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態の変化に応答して、動作モードを自動的に切換えることができる。
【0103】
図6において、視聴者のメガネ10装着時点txと立体表示モードへの切換え時点t1とに時間差があるのは、たとえば、装着センサ13の信号に応答して装着状態判別部11がメガネ10の装着状態を判別ために所定の時間を要するためである。また好ましくは、視聴者のメガネ10装着後、メガネ10が装着済であると所定回数連続して装着状態判別部11が判別した時点で、映像表示装置1は立体表示モードへ切換えられる。この結果、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態の誤認を防止することができるため、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0104】
立体表示モードへの切換えに応答して、立体表示モードへの切換え時点t1から、受像機20からの同期信号の送信が開始される。同期信号送信に応答して、立体表示モードへの切換え時点t1において、メガネ10が待機モードから通常動作モードに切換えられる。通常動作モードのメガネ10は、映像の立体認識に係る構成部品への電力供給が可能な状態になっている。この結果、立体表示モードへの切換え時点t1から、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36が、左眼側視界および右眼側視界の選択的遮断動作を開始する。すなわち、立体表示モードへの切換え時点t1から、同期信号に同期して、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36が、左眼側視界および右眼側視界を、時間経過に伴って交互に遮断する。
【0105】
図6の例では、立体表示モードへの切換え時点t1において、基本映像信号は平面認識用の映像を示している。この場合、受像機20において、基本映像信号の平面認識用の映像が立体認識用の映像に変換され、該変換後の映像を示す立体表示信号が生成され、該立体表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。立体表示信号に基づく映像において、左眼用映像と右眼用映像の切換えタイミングは、メガネ10に与えられている同期信号と同期している。通常動作モードのメガネ10を装着した状態で視聴者が表示面7を目視すると、表示されている映像が視聴者に立体的に認識される。これによって、映像表示装置1は、基本映像信号が平面認識用の映像を示している状況下であっても、視聴者がメガネ10を装着していると判別される期間は、視聴者に映像を立体的に認識させることができる。
【0106】
図6の例では、基本映像信号が示す映像の種別、すなわち基本映像信号が立体認識用の映像を示すか平面認識用の映像を示すかは、時間経過に伴って変化する。映像表示装置1は、基本映像信号が示す映像種別の変化時に、メガネ10が視聴者に装着されたままであれば、立体表示モードを継続する。
【0107】
具体的には、基本映像信号が示す映像の種別が平面認識用の映像から立体認識用の映像に切換った時点t2で、メガネ10が視聴者に装着されたままであれば、受像機20において、平面認識用の映像から立体認識用の映像への変換処理が停止される。平面立体変換処理停止後、受像機20において、基本映像信号から立体表示信号が直接生成されて、該立体表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。通常動作モードのメガネ10を装着した状態で視聴者が表示面7を目視すると、表示されている映像が視聴者に立体的に認識される。
【0108】
また、基本映像信号が示す映像の種別が立体認識用の映像から平面認識用の映像に切換った時点t3で、メガネ10が視聴者に装着されたままであれば、受像機20において、平面認識用の映像から立体認識用の映像への変換処理が再開される。平面立体変換処理再開後、受像機20において、基本映像信号が示す平面認識用の映像が立体認識用の映像に変換され、変換後の映像を示す立体表示信号が生成され、該立体表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。通常動作モードのメガネ10を装着した状態で視聴者が表示面7を目視すると、表示されている映像が視聴者に立体的に認識される。
【0109】
このように、映像表示装置1において、基本映像信号の映像種別の切換えに自動的に応答して表示信号の生成手法が切換えられるため、視聴者は、基本映像信号の映像種別の切換えを意識すること無く、映像の立体認識を続行することができる。これによって、基本映像信号の映像種別に関わらず、メガネ10が視聴者に装着される期間内には視聴者は映像を立体認識することができるため、映像表示装置1の使い勝手が向上する。
【0110】
立体表示モード実行中の時点ty(以下「メガネ10除装時点ty」という)で視聴者がメガネ10を外すと、装着センサ13の信号変化等に応答して、メガネ10が未装着である旨を装着状態判別部11が判別する。この結果、メガネ10が未装着であると判別された時点t4(以下「切換え時点t4」という)において、映像表示装置1が立体表示モードから平面表示モードに切換えられる。以上の動作によって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態の変化に応答して、動作モードを自動的に切換えることができる。
【0111】
図6において、視聴者のメガネ10除装時点tyから平面表示モードへの切換え時点t4までに時間差があるのは、メガネ10装着時と同様に、たとえば、装着センサ13の信号に応答した装着状態判別部11の装着状態判別に、所定の時間を要するためである。また好ましくは、視聴者のメガネ10除装後、メガネ10が未装着であると所定回数連続して装着状態判別部11が判別した時点で、映像表示装置1は平面表示モードへ切換えられる。この結果、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態の誤認を防止することができるため、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0112】
平面表示モードへの切換えに応答して、平面表示モードへの切換え時点t4から、同期信号の送信が停止され、映像の平面立体変換処理も停止される。ゆえに、動作開始直後に与えられる基本映像信号が平面認識用の映像を示す場合、受像機20において、基本映像信号から平面表示信号が直接生成されて、該平面表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。これによって、映像表示装置1は、平面表示モードへの切換え時点t4以後も、視聴者に明瞭に映像を視認させることができる。
【0113】
平面表示モードへの切換え時点t4において、同期信号の停止に応答して、メガネ10が通常動作モードから待機モードに切換えられる。この結果、平面表示モードへの切換え時点t4から、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36への電力供給が停止されて、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36が透過状態を保たせたまま停止する。これによって、メガネ10は、平面表示モードへの切換え時点t4から、省電力化を図ることができる。たとえば、平面表示モードへの切換え時点t4以後に視聴者が視聴可能領域8から退出しても、メガネ10において電力消費の無駄が発生しない。
【0114】
なお、平面表示モードへの切換え時点t4以後に、基本映像信号が立体認識用の映像を示す場合、受像機20において、たとえば、該立体認識用の映像が平面認識用の映像に変換され、該変換後の映像を示す平面表示信号が生成され、該平面表示信号に基づく映像が表示素子5の平坦な表示面7に表示される。これによって、映像表示装置1は、視聴者がメガネ10を外した後も、基本映像信号の映像種別に関わらず、視聴者に明瞭に映像を視認させることができる。
【0115】
以上説明したように、図1の映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着状態の変化に応答して、すなわち視聴者による映像の立体認識状態の変化に応答して、立体表示モードと平面表示モードとを自動的に切換える。これによって、映像表示装置1は、視聴者の操作の手間を軽減させつつ、視聴者に明瞭な映像を常に提供することができる。
【0116】
また映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着状態の変化だけでなく、基本映像信号が示す映像種別の変化に応答して、表示信号の生成手法を自動的に切換える。すなわち、映像表示装置1は、視聴者がメガネ10を装着している間、すなわち視聴者が映像の立体認識を望んでいる間は、基本映像信号が示す映像種別の変化に関わらず、視聴者に映像を立体認識させる。これによって、映像表示装置1の使い勝手がさらに向上する。
【0117】
図6の例では、映像表示装置1は、平面表示モードの間も、視聴者のメガネ10の装着状態を判別している。映像表示装置1は、視聴者のメガネ10の装着状態の有無を、受像機20からの同期信号がメガネ10で受信されている間だけ行わせてもよい。この場合、たとえば、視聴者が映像表示装置1を視聴者が直接操作して立体表示モードに移行すべき旨を指示し、映像表示装置1指示が指示に応答して同期信号の送信を開始する。この結果、同期信号の送信開始後に、メガネ10の装着状態の判別が開始される。これによって、同期信号の受信期間だけメガネ10の装着状態が判別される構成においても、映像表示装置1は、視聴者の操作の手間を軽減させつつ、視聴者に明瞭な映像を常に提供することができる。
【0118】
図7は、受像機20側の基本動作の第1の例を説明するためのフローチャートである。図7の例は、概略的には、映像の立体認識のために、視聴者がメガネ10を装着する等、映像の立体認識が可能な状態になるかを映像表示装置1が判別し、立体認識の能否に応じて映像表示装の動作モードを立体表示モードまたは平面表示モードに切換えて、視聴者に映像を明瞭に認識させる。映像表示装置1の受像機20の起動後、ステップA0からステップA1に進む。ステップA1では、映像表示装置1のモード切換えに先立って、映像表示装置1の立体表示機能が起動される。立体表示機能は、映像表示装置1における映像の立体認識のための各種の機能であり、同期信号の生成送受、立体表示信号の生成、ならびにメガネ10の左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の選択的遮断動作等を含む。
【0119】
ステップA2において、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として動作し、装着状態判別回数を計数するためのカウンタcを0にリセットする。ステップA3において、映像の立体認識の能否を示す視聴可否信号がメガネ10から送信されることを待つ。メガネ10からの視聴可否信号が受像機20で受信されると、ステップA4において、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として動作し、視聴可否信号に基づいて、メガネ10が装着されているか否か、すなわち映像の立体認識が可能か否かを判別する。
【0120】
映像の立体認識が不可能であると判別される場合、ステップA4からステップA5に進む。ステップA5において、装着状態判別用のカウンタcの現在の値に1が加算されて更新される。カウンタcのインクリメント後、ステップA5からステップA6に進み、更新後のカウンタcの値が予め定める装着状態判別回数の上限値Cを超えたか否かが判別される。更新後のカウンタcの値が上限値C以下であれば、ステップA6からステップA3に戻り、次の視聴可否信号の受信を待つ。ステップA3〜ステップA6の装着状態判別処理は、ステップA4で映像の立体認識が可能であると判別されるまで、または更新後のカウンタcの値が上限値Cを超えるまで、繰返される。
【0121】
ステップA4で映像の立体認識が可能であると判別された場合、ステップA4からステップA7に進む。ステップA7において、受像機20は立体表示モードに切換えられ、映像の立体認識に係る動作を開始する。立体表示モード切換え後、ステップA8において、受像機20のコントローラ23は、表示制御部4として動作し、予め定める基準数N枚分のフレームに相当する同期信号を同期信号生成部26に生成させて送信部21から送信する。同期信号送信後、ステップA2に戻る。
【0122】
立体表示モード切換え後に基準数N枚分のフレームの同期信号が受信されると、メガネ10は、該同期信号に同期して、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の選択的遮断動作を、該同期信号の所定のNフレーム分だけ行わせる。また受像機20の表示制御部4は、基準数N枚分のフレームを含む映像を表示するための立体表示信号を生成させて、Nフレーム分の映像を表示素子5に表示させる。
【0123】
ステップA8において同期信号をNフレーム分だけ送信したのは、視聴可否信号のチェックの頻度を調整するためである。視聴可否信号のチェック頻度は、同期信号を何フレーム分送るかによって調整することが可能である。
【0124】
ステップA6で装着状態判別回数の上限値Cを超える回数だけ映像の立体認識が不可能であると判別された場合、ステップA6からステップA9に進む。ステップA9において、受像機20は平面表示モードに切換えられ、映像の平面認識に係る動作を開始する。平面表示モード切換え後、ステップA10において、図7の処理を終了する。
【0125】
平面表示モード切換え後、たとえば、メガネ10が待機モードに移行し、同期信号の生成送信が停止され、基本映像信号から平面表示信号が生成されて、表示素子5が平面表示用の映像を表示する。またたとえば、平面表示モード時に基本映像信号が立体認識用の映像を示していれば、立体平面変換処理を行って、変換後の映像に基づく平面表示信号を生成してもよい。
【0126】
以上説明した図7の処理によって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態に応じて、すなわち視聴者の映像の立体認識の能否に応じて、立体表示モードと平面表示モードを自動的に切換える。これによって、視聴者がメガネ10を装着していない場合に、立体表示モードに誤って切換えられることによって視聴者が映像を明瞭に認識できなくなることを、映像表示装置1が未然に防止することができる。またステップA2〜ステップA7の処理によって、メガネ10が未装着である旨が上限値Cを超える回数だけ判別された場合だけ、平面表示モードに切換えられる。これによって、映像表示装置1は、メガネ10の未装着状態の誤認を防止することができる。
【0127】
図8は、受像機20側の基本動作に応答するメガネ10側の基本動作を説明するためのフローチャートである。概略的には、映像の立体認識のためにメガネ10を装着しているか否かをメガネ10が判別して判別結果を受像機20に送信し、かつ、受像機20からの同期信号に応答して映像の立体認識に必要な動作をメガネ10が行う。また、メガネ10は、立体表示モード時に送信される同期信号に応答して左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36を駆動し、かつ、シャッタ駆動中にもメガネ10の装着状態を判別する。
【0128】
映像表示装置1の起動後、ステップB0からステップB1に進む。ステップB1において、メガネ10のコントローラ33が、たとえば操作者が電源スイッチ37を操作することによって、映像の立体認識に係る構成部品にメガネ用電源16が電力を供給可能な状態になるのを待つ。メガネ用電源16が供給可能状態になると、ステップB1からステップB2に進む。
【0129】
ステップB2において、メガネ10のコントローラ33は、装着状態判別部11として動作し、装着状態の判別回数を計数するためのカウンタccを0にリセットする。ステップB3において、メガネ10のコントローラ33は装着状態判別部11として動作し、装着センサ13からの信号に基づいて、メガネ10の装着状態を調べる。ステップB4において、メガネ10のコントローラ23は、装着状態判別部11として動作し、メガネ10が装着されているか否か、すなわち映像の立体認識が可能か否かを判別する。
【0130】
映像の立体認識が不可能であると判別される場合、ステップB4からステップB5に進む。ステップB5において、装着状態判別用のカウンタccの現在の値に1が加算されて更新される。カウンタccのインクリメント後、ステップB5からステップB6に進み、更新後のカウンタccの値が予め定める装着状態判別回数の上限値CCを超えたか否かが判別される。更新後のカウンタccの値が上限値CC以下であれば、ステップB6からステップB3に戻り、装着センサ13からの次の信号出力を待つ。ステップB3〜ステップB6の装着状態判別処理は、ステップB4で映像の立体認識が可能であると判別されるまで、またはステップB6で更新後のカウンタccの値が上限値CCを超えるまで、繰返される。
【0131】
ステップB4で映像の立体認識が可能であると判別された場合、ステップB4からステップB7に進む。ステップB7において、メガネ10のコントローラ33は、装着状態判別部11として動作し、映像の立体認識の可否を示す視聴可否信号として、映像の立体認識が可能である旨を示す視聴OK信号を、受像機20に対して送信する。
【0132】
ステップB8において、メガネ10のコントローラ33は、受像機20から送信される同期信号がメガネ10の受信部32で受信されているか否かを調べる。ステップB9において、同期信号が受信されているか否かが判別される。同期信号が受信されていなければ、ステップB9からステップB7に戻り、視聴OK信号の送信を再度行う。ステップB7〜ステップB9の動作は、同期信号が得られるまで繰返される。
【0133】
受像機20からの同期信号が受信されると、ステップB9からステップB10に進む。ステップB10において、映像表示装置1が立体表示モードに切換えられるので、メガネ10も通常動作モードに移行し、映像の立体認識に係る動作を開始する。
【0134】
立体表示モード切換え後、ステップB11において、メガネ10のコントローラ33は、受像機20から送信される同期信号を受信する。ステップB12において、メガネ10のコントローラ33は、同期信号に基づいて、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の遮断状態の切換えタイミングを制御するための左右切換信号を生成する。左右切換信号は、たとえば、左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36のどちらを透過状態にするかに応答して、「0」および「1」のいずれかの値を示す。ステップB13において、左右切換信号が左眼用シャッタの透過を示す「0」であるか否かが判別される。
【0135】
左右切換信号が「0」である場合、ステップB14において、シャッタ駆動回路34が右眼用シャッタ36を遮断状態に切換えることによって、右眼側視界が遮断される。さらにステップB15において、シャッタ駆動回路34が左眼用シャッタ35を透過状態に切換えることによって、左眼側視界を透過させる。
【0136】
また逆に、左右切換信号が右眼用シャッタの透過を示す「1」である場合、ステップB16において、シャッタ駆動回路34が左眼用シャッタ35を遮断状態に切換えることによって、左眼側視界が遮断される。さらにステップB17において、シャッタ駆動回路34が右眼用シャッタ36を透過状態に切換えることによって、右眼側視界を透過させる。シャッタ駆動後、ステップB15およびステップB17からステップB2に戻る。
【0137】
ステップB6で更新後のカウンタccの値が上限値CCを超えた場合、ステップB6からステップB18に進む。ステップB18において、メガネ10のコントローラ33は、装着状態判別部11として動作し、映像の立体認識の可否を示す視聴可否信号として、映像の立体認識が不可能である旨を示す視聴不可信号を、受像機20に対して送信する。
【0138】
ステップB19において、メガネ10のコントローラ33が、映像の立体認識に係る構成部品へのメガネ用電源16からの電力の供給を停止させる。この結果、メガネ10は待機モードに切換えられる。電力供給停止後、ステップB20で図8の処理が終了する。
【0139】
以上説明した図8の処理によって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態に応じて、すなわち視聴者の映像の立体認識の能否に応じて、立体表示モードと平面表示モードを切換えることができる。またステップB2〜ステップB6の処理によって、メガネ10が未装着である旨が上限値CCを超える回数だけ判別された場合だけ、平面表示モードに切換えられる。これによって、映像表示装置1は、メガネ10の未装着状態の誤認を防止することができる。さらに、平面表示モードへの移行時にメガネ用電源16の電源供給が停止されるので、メガネ10を省電力化することができる。
【0140】
図9は、受像機20側の基本動作の第2の例を説明するためのフローチャートである。図9の受像機20の基本動作の第2の例に応答するメガネ10側の基本動作は、たとえば図8の例に準ずる。
【0141】
映像表示装置1の受像機20の起動後、ステップD0からステップD1に進む。ステップD1において、映像表示装置1のモード切換えに先立って、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として動作し、映像の立体認識の能否を示す視聴可否信号がメガネ10から送信されることを待つ。メガネ10からの視聴可否信号が受像機20で受信されると、ステップD2において、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として動作し、視聴可否信号に基づいて、メガネ10が装着されているか否か、すなわち映像の立体認識が可能か否かを判別する。
【0142】
ステップD2で映像の立体認識が不可能であると判別された場合、ステップD2からステップD3に進む。ステップD3において、受像機20は平面表示モードに切換えられ、平面認識に係る各種の動作を行う。すなわち、メガネ10の待機モードへの移行、平面表示信号の生成、および平面認識用の映像の表示等が行われる。平面表示モード切換え後、ステップD3からステップD1に戻り、次の視聴可否信号を待つ。勿論、ステップD2における映像の立体認識が不可能である旨の判別が複数回連続した場合に、平面表示モードに切換えられる構成でもよい。
【0143】
ステップD2で映像の立体認識が可能であると判別された場合、ステップD2からステップD4に進む。ステップD4において、受像機20のコントローラ23は、表示制御部4として動作し、受像機20の立体映像判別部25の判別結果に基づいて、基本映像信号が示す映像が立体認識用および平面認識用のどちらであるかを調べる。
【0144】
ステップD5において、基本映像信号が立体認識用の映像を示しているか否かが判別される。基本映像信号が立体認識用ではなく平面認識用の映像を示している場合、ステップD5からステップD6に進む。ステップD6において、受像機20のコントローラ23は、表示制御部4として動作し、基本映像信号が示す平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換する。この場合、変換された映像に基づき、立体表示信号が生成される。平面立体変換後、ステップD7に進む。また、基本映像信号が立体認識用の映像を示している場合、ステップD5からステップD7に直接進む。この場合、基本映像信号から立体表示信号が直接生成される。
【0145】
ステップD7において、受像機20は立体表示モードに切換えられ、映像の立体認識に係る各種の動作を行う。すなわち、メガネ10の通常動作モードへの移行、同期信号の生成送信、立体表示信号の生成、および立体認識用の映像の表示等が行われる。立体表示モード切換え後、ステップD7からステップD1に戻り、次の視聴可否信号を待つ。
【0146】
以上説明した図9の処理によって、映像表示装置1は、メガネ10の装着状態に応じて立体表示モードと平面表示モードを切換え、かつ、立体表示モード時には基本映像信号の映像種別に関わらず視聴者に映像を立体認識させる。これによって、映像表示装置1の使い勝手がさらに向上する。
【0147】
図10は、受像機20側の基本動作の第3の例を説明するためのフローチャートである。図10の受像機20の基本動作の第3の例に応答するメガネ10側の基本動作は、たとえば図8のステップB8〜ステップB17に準ずる。
【0148】
図10の例では、映像表示装置1は、受像機20側の撮影部14によって撮影される表示面7の視聴可能領域8の映像の映像解析に基づいて、映像の立体認識が可能な状態になるかを判別し、立体認識の可否に応じて映像表示装の動作モードを立体表示モードまたは平面表示モードに切換えて、視聴者に映像を明瞭に認識させる。
【0149】
映像表示装置1の受像機20の起動後、ステップE0からステップE1に進む。ステップE1では、映像表示装置1に対して、映像表示装置1の動作モードの切換えの指示を待つ。映像表示装置1の動作モード切換えの指示は、たとえば、映像表示装置1に備えられるリモコンのキーまたは受像機20に備えられるキーを視聴者が直接操作することによって行われる。また、基本映像信号が立体認識用映像を示す旨が検出されたことが、前記切換えの指示として捉えられてもよい。前記切換え指示があれば、ステップE1からステップE2に進む。
【0150】
ステップE2において、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として機能し、所定の視聴可能領域8の映像を、受像機20の撮影部14に撮影させる。視聴可能領域8とは、表示素子5の表示面7に対向する領域であって、メガネ10を装着した視聴者が表示面7を目視可能な領域である。撮影部14によって撮影される映像は、静止画および動画のどちらであってもよい。
【0151】
ステップE3〜ステップE9において、受像機20のコントローラ23は、装着状態判別部11として機能する。装着状態判別部11は、撮影部14によって撮影された視聴可能領域8の映像を解析することによって、視聴可能領域8にメガネ10を装着した視聴者が存在するか否かを判別する。
【0152】
具体例としては、ステップE3において、撮影部14によって撮影された視聴可能領域8の映像が解析される。前記映像の解析においては、たとえば、視聴可能領域8内の映像にメガネ10が写っているか否か、および、視聴可能領域8内の映像にメガネ10を装着している視聴者が写っている否かが調べられる。
【0153】
ステップE4において、映像解析結果に基づき、視聴可能領域8にメガネ10が存在するか否かが判別される。視聴可能領域8にメガネ10が存在しないと判別される場合、視聴者による映像の立体認識が不可能であると判別され、ステップE4からステップE1に戻り、次の切換え指示を待つ。ステップE2〜ステップE4の装着状態の第1の判別処理は、ステップE4で視聴可能領域8のメガネ10の存在が確認されるまで、繰返される。
【0154】
ステップE4において、視聴可能領域8にメガネ10が存在すると判別される場合、ステップE4からステップE5に進む。ステップE5において、装着状態判別回数を計数するためのカウンタcが、0にリセットされる。ステップE6において、映像解析結果に基づき、視聴可能領域8にメガネ10を装着している視聴者が存在するか否かが判別される。メガネ10装着済の視聴者が存在していない場合、すなわち映像の立体認識が不可能であると判別される場合、ステップE6からステップE7に進む。
【0155】
ステップE7において、予め定める待機時間tv秒間だけ、映像立体認識の能否の判別処理が待機する。待機後、ステップE8において、装着状態判別用のカウンタcの現在の値に1が加算されて更新される。カウンタcのインクリメント後、ステップE8からステップE9に進み、更新後のカウンタcの値が予め定める装着状態判別回数の上限値Cを超えたか否かが判別される。更新後のカウンタcの値が上限値C以下であれば、ステップE9からステップE6に戻り、次の視聴可能領域8の映像解析結果を待つ。ステップE6〜ステップE9の装着状態の第2判別処理は、ステップE6でメガネ10装着済の視聴者が存在すると判別されるまで、または更新後のカウンタcの値が上限値Cを超えるまで、繰返される。
【0156】
ステップE6でメガネ10装着済の視聴者が存在すると判別された場合、すなわち映像の立体認識が可能であると判別された場合、ステップE6からステップE10に進む。ステップE10において、受像機20は立体表示モードに切換えられ、映像の立体認識に係る動作を開始する。立体表示モード切換え後、ステップE11において、受像機20のコントローラ23は、表示制御部4として動作し、基準数M枚分のフレームの同期信号を同期信号生成部26に生成させて送信部21から送信する。同期信号送信後、ステップE2に戻る。これによって、Mフレーム分の映像の表示面7への表示、および該映像に同期した左眼用シャッタ35および右眼用シャッタ36の選択的遮断動作が、実行される。
【0157】
ステップE9で装着状態判別回数の上限値Cを超える回数だけ映像の立体認識が不可能であると判別された場合、ステップE9からステップE12に進む。ステップE12において、受像機20は平面表示モードに切換えられ、映像の平面認識に係る動作を開始する。平面表示モード切換え後、ステップE13において、図10の処理を終了する。平面表示モード切換え後、たとえば、メガネ10が待機モードに移行し、同期信号の生成送信が停止され、基本映像信号から平面表示信号が生成されて、表示素子5が平面表示用の映像を表示する。
【0158】
以上説明した図10の処理によって、映像表示装置1は、視聴可能領域8の映像の映像解析結果に基づいて判別されるメガネ10の装着状態に応じて、すなわち視聴者の映像の立体認識の能否に応じて、立体表示モードと平面表示モードを切換える。これによって、映像表示装置1は、メガネ10の構成を複雑化することなく、視聴者に映像を常に明瞭に認識させることができる。
【0159】
図10のステップE11において同期信号をMフレーム分だけ送信したのは、視聴可能領域8のチェックの頻度を調整するためである。視聴可能領域8のチェック頻度は、同期信号を何フレーム分送るかによって調整することが可能である。視聴可能領域8のチェックは、所定時間周期で繰返されることに限らず、たとえば、撮影部14とは別に受像機20が備える測距センサおよび人感センサを用いて視聴可能領域8の状態変化、すなわち視聴者の出入りが検出され、視聴可能領域8の視聴者の状態変化があった時点で視聴可能領域8のチェックを行うようにしてもよい。
【0160】
図10の例では、視聴可能領域8の撮影映像に基づく映像立体認識の能否の判別処理は、メガネ10の有無を判別する第1判別処理と、メガネ10を装着した視聴者の有無を判別する第2判別処理の2段階になっている。これによって、メガネ10装着済の視聴者が確実に視聴可能領域8に存在する場合だけ立体表示モードに切換えられるため、メガネ10の有無だけを判別する従来技術と比較して、図1の映像表示装置1は、視聴者に映像を明瞭に認識させる精度を向上させることができる。
【0161】
また、図10の例では、視聴可能領域8の状態変化を映像解析によって映像表示装置1が把握しているので、映像表示装置1は、メガネ10を装着した視聴者の有無に基づく動作モードの切換えだけでなく、明瞭な映像認識のための視聴者への働きかけを行ってもよい。明瞭な映像認識のための視聴者への働きかけとは、たとえば、視聴者へのメガネ10の装着を促す呼掛け、映像の立体表示に適切な場所への視聴者の移動を促す呼掛けで実現される。これによって、図1の映像表示装置1は、視聴者に映像をより明瞭に認識させることができる。
【0162】
上述の実施形態の映像表示装置1は、本発明の構成要素の最良の実施形態の1つである。本発明の構成要素の詳細構成は、上述の作用効果が発揮可能な構成であれば、上述した構成に限らず、他の様々な構成が用いられてもよい。また本発明の映像表示装置は、立体認識が可能な映像の放送を受信する映像表示装置はもちろん、立体認識が可能な映像を表示する装置に有効な手法であり、用途の広いものである。
【符号の説明】
【0163】
1 映像表示装置
3 表示信号生成部
4 表示制御部
5 表示素子
7 表示素子の表示面
10 メガネ
11 装着状態判別部
13 装着センサ
14 撮影部
16 メガネ用電源
17 電源制御部
20 受像機
21 受像機の送信部
22 受像機の受信部
23 受像機のコントローラ
24 映像入力端子
25 立体映像判別部
26 同期信号生成部
27 立体表示信号生成部
28 平面表示信号生成部
29 立体平面表示選択部
30 視界制御機構
31 メガネの送信部
32 メガネの受信部
33 メガネのコントローラ
34 シャッタ駆動回路
35 左眼用シャッタ
36 右眼用シャッタ
37 電源スイッチ
41 デコード部
42 タイミング信号生成部
44 スイッチ回路
45 左眼用シャッタ駆動回路
46 右眼用シャッタ駆動回路
50 メガネのフレーム枠
51 展開センサ
52 近接センサ
53 対物センサ
54 対物センサの発信素子
55 対物センサの受信素子
56 反射板
57 装着センサ用の送信部
58 装着センサ用の受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表す映像信号に基づき、該映像信号の映像を立体的に認識させるための立体表示信号と、該映像信号の映像を平面的に認識させるための平面表示信号とを、選択的に生成可能な表示信号生成手段と、
映像の立体認識が可能な状態か否かを判別し、立体認識が可能な場合だけ前記表示信号生成手段に前記立体表示信号を生成させ、立体認識が可能でない場合には前記平面表示信号を生成させる表示制御手段と、
前記表示信号生成手段によって生成された立体表示信号および前記表示信号生成手段によって生成された平面表示信号のうちのいずれか一方の表示信号が与えられ、与えられた表示信号に基づく映像を平坦な表示面に表示する表示素子とを含むことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記立体表示信号に基づいて前記表示素子に表示される映像を視聴者に立体的に認識させるためのメガネと、
前記メガネの視聴者への装着状態を判別する装着状態判別手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、前記装着状態判別手段の判別結果に基づき、前記メガネが装着されている場合に前記立体表示信号を生成させることを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記メガネに付随して設けられ、該メガネが視聴者に装着されている状態および未装着の状態において、相互に異なる信号を発する装着センサをさらに含み、
前記装着状態判別手段は、前記装着センサから出力される信号に応答して前記メガネの装着状態を判別することを特徴とする請求項2記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記表示素子に付随して設けられ、該表示素子の表示面に向かい合う視聴可能領域を撮影する撮影手段をさらに含み、
前記装着状態判別手段は、前記撮影手段が撮影した前記視聴可能領域の映像を解析し、前記視聴可能領域内のメガネを装着した視聴者の有無を判別することによって、前記メガネの装着状態を判別することを特徴とする請求項2記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記装着状態判別手段は、前記メガネの装着状態の判別を所定の時間周期毎に繰返し行い、所定回数連続してメガネが未装着であると判別される場合に、メガネが未装着である旨の判別結果を前記表示制御手段に与えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記メガネに付随して設けられ、前記映像の立体認識に係る該メガネの駆動に用いられる電力を供給するためのメガネ用電源と、
前記装着状態判別手段に応答し、前記メガネが未装着である場合、前記メガネ用電源からの電力供給を停止させる電源制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、所定の時間周期毎に、映像の立体認識が可能な状態か否かを判別し、判別結果が得られる度に、該判別結果に基づいて前記立体表示信号または前記平面表示信号を生成させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記映像信号が、立体認識用の映像または平面認識用の映像を、時間経過に伴って交互に示し、
前記表示信号生成手段は、前記映像の立体認識が可能であると前記表示制御手段が判別した場合、前記映像信号が立体認識用の映像を示すならば、該立体認識用の映像を示す前記立体表示信号を生成させ、前記映像信号が平面認識用の映像を示すならば、該平面認識用の映像を立体認識用の映像に変換して、変換後の映像を示す前記立体表示信号を生成させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−80376(P2012−80376A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224425(P2010−224425)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】