説明

映像装置、映像処理方法およびこの装置における画質モード設定方法

【課題】高品質なHD映像出力が可能な映像出力機器を映像表示装置に接続した際に、映像出力機器が出力する映像に応じて、任意に像表示装置の画質モードを選べるようにする。
【解決手段】入力映像(1080p)をそのまま出力するピュアダイレクトモードと、入力映像(480i/480p)をよりスキャンレートの高い映像信号へアップコンバートして出力するビデオファインモードと、入力映像の種類によって映像成分に補正を自動的に加えて出力するおまかせモードを用意する。ピュアダイレクトモードとおまかせモードとビデオファインモードの選択メニュー(M3)を表示する(ST102)。映像出力機器が高品質なHD映像を出力する場合は、前記ピュアダイレクトモードを前記入力映像の視聴者(ユーザ)が選択できるようにする(ST104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々な画質の映像を扱える映像装置と映像処理方法および、この装置に外部映像出力機器が接続された際の画質モードを設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVDビデオなどの標準解像度映像(Standard Definition:SD映像:480×480〜720×480ドット)あるいは地上デジタル放送などの準高解像度映像(1440×1080ドット)を高解像度映像(Full High Definition:フルHD映像:1920×1080ドット)にアップコンバートする技術(超解像処理)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−67110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像のアップコンバートが実用化されたことにより、HD映像信号(ハイビジョン信号)には、本来のフルHD映像信号の他に、SD映像をHD信号形態にアップコンバートしたものが混在し得るようになってきた。しかし、そのHD映像信号を受ける映像表示装置では、画面の明るさ的な要素(ブライトネス、コントラストなど)および見た目の鮮鋭感的な要素(シャープネスなど)の調整はユーザに開放されていても、信号形態応じた解像度的な要素の調整は装置まかせであった。
【0005】
同じハイビジョン信号出力の映像機器であってもその出力信号品質は千差万別である。高品質なフルHD映像信号(例えば水平解像度1080本のプログレッシブビデオ信号:1080pと略記)を出力する高級ビデオプレーヤの所持者は、プレーヤ出力の生の高画質映像を見たいであろう。しかし、従来の映像表示装置ではその希望がかなうとは限らず、高品質なフルHD映像が、映像表示装置内部で何らかの処理を受けて、相対的に品位が落ちた画質で視聴される可能性があった。
【0006】
この発明の課題の1つは、高品質なHD映像出力が可能な映像出力機器を映像表示装置に接続した際に、映像出力機器が出力する映像に応じて、任意に映像表示装置の画質モードを選べるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施の形態に係る画質モード設定方法では、入力映像(1080p)をそのまま出力するピュアダイレクトモードと、入力映像(480i/480p)をよりスキャンレートの高い映像信号へアップコンバートして出力するビデオファインモードと、入力映像の種類によって映像成分に補正を自動的に加えて出力するおまかせモードが用いられる。この方法を用いる映像表示装置では、ピュアダイレクトモードとおまかせモードとビデオファインモードの選択メニュー(M3)を表示し、前記ピュアダイレクトモードと前記おまかせモードと前記ビデオファインモードのうちの任意の1つを前記入力映像の視聴者(ユーザ)が選択できるようにしている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、高品質なHD映像出力が可能な映像出力機器を映像表示装置に接続した際に、映像出力機器が出力する映像(1080pなど)に応じて、任意に映像表示装置の画質モード(ピュアダイレクトモードなど)を選ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施の形態に係るメニュー表示例を説明する図。
【図2】この発明の一実施の形態に係るメニュー表示選択処理の一例を説明する図。
【図3】この発明の一実施の形態に係るメニュー表示選択処理の他例を説明する図。
【図4】この発明の一実施の形態に係る、映像表示装置の構成の一例を説明する図。
【図5】超解像技術を利用した映像処理部の構成例を説明する図。
【図6】鮮鋭化処理技術を利用した映像処理部の構成例を説明する図。
【図7】ヒストグラム取得/周波数状態判定部の構成を説明する図。
【図8】映像の鮮鋭化処理の具体例を説明する図。
【図9】鮮鋭化帯域フィルタと鮮鋭化加算処理部の具体例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明の種々な実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係るメニュー表示例を説明する図である。ユーザが図示しないリモコンの設定メニューキーを押すと、ハイビジョンTVセット等の映像装置の表示画面上に、映像設定項目を含むメニューM1が表示される(図1左側)。図示しないリモコンのカーソルキー操作でメニューM1中の「映像設定」項目を選択し、同リモコンのエンターキーを押すと、当該装置で最高の画質モードである1080p処理モードを設定する項目を含むメニューM2が表示される(図1中央)。続いてリモコンのカーソルキー操作でメニューM2中の「1080p処理モード設定」項目を選択し、同リモコンのエンターキーを押すと、「おまかせ」項目と「DVDファイン」項目と「ピュアダイレクト」項目を含むメニューM3が表示される(図1右側)。
【0011】
ここで、「おまかせ」項目は、映像の種類によって自動的に補正を加えて表示するモードの選択項目である。「DVDファイン」項目は、DVDビデオのSD映像を超解像処理などでアップコンバートした映像に適宜補正を加えて表示するモードの選択項目である。「ピュアダイレクト」項目は、当該映像装置で扱い得る最高の画質モードに対応した高画質HD映像(1080p)に対しては、特別な処理をせずにそのまま表示するモードの選択項目である。
【0012】
図2は、この発明の一実施の形態に係るメニュー表示選択処理の一例を説明する図である。この処理は、図1のメニュー表示に用いる画像情報(オンスクリーン情報)を生成する機能と、このメニューにより選択された項目に対応する映像処理を行う機能と、前記メニュー画像情報および入力映像を表示する機能を持つ映像装置において、実行することができる。この映像装置の具体的な製品形態としては、ビデオ入力端子(HDMI端子、D1〜D5端子、DVI端子、IEEE1394端子など)を持つデジタルハイビジョンTV受信機、ビデオ入力端子を持つモニタ付パーソナルコンピュータ、外部モニタに接続されビデオ入力端子を持つデジタルレコーダ、外部モニタに接続されビデオ入力端子を持つセットトップボックスなどがある。この映像装置に映像信号を供給する外部機器としては、ビデオ出力端子(HDMI端子、D端子など)を持つDVDプレーヤ、BDプレーヤ、DVDレコーダ、BDレコーダ、HDDレコーダ、セットトップボックス(STB)などがある。
【0013】
映像装置にHDMI(High Definition Multimedia Interface)などのデジタルインターフェースを介して外部機器が接続され、あるいは接続された外部機器から映像装置に映像入力があると(ST100)、図1のメニューM3が表示される(ST102)。このメニューはオンスクリーン(OSD)処理により生成できる。ここで、メニューを生成する処理は、HDMIなどの信号端子に複数解像度(例えば480i/p〜1080i/p)の入力が得られる場合に、前記メニューの画像情報を提供するように構成できる。
【0014】
外部機器が例えば高級ハイビジョンプレーヤで高画質HD映像(例えば1080p)を送出する機器であるときは、ユーザはメニューM3から「ピュアダイレクト」の項目を選んでリモコン(後述する図4の装置では17)のエンターキーを押す(ST104の「ピュアダイレクト」分岐)。すると、入力された高画質HD映像(1080p)を無加工でそのまま表示する処理へ移行する。外部機器が例えばDVDプレーヤでSD映像(例えば480iまたは480p)を送出する機器であるときは、ユーザはメニューM3から「DVDファイン」の項目を選んでリモコンのエンターキーを押す(ST104の「DVDファイン」分岐)。すると、入力されたSD映像(480iまたは480p)は超解像処理などでアップコンバート(1080iまたは1080p)され画質改善されてから表示する処理へ移行する(ST106)。ST106の超解像処理には、特開2008−67110号公報に開示された超解像処理(この公報の図4、図5および、段落0020、段落0051等参照)を利用することができる。
【0015】
ここで、超解像処理は、低解像度の画像信号から本来の画素値を推定して画素を増やすことにより、高解像度の画像信号を復元する処理を含む。「本来の画素値」とは、例えば、低解像度(第1解像度)の画像信号を得たときと同じ被写体を、高解像度(第2解像度)のカメラで撮像したときに得られる画像信号の各画素が示す値をいう。また、「推定して画素を増やす」とは、対象とする画像の特徴を捉えて、同一フレーム内、またはフレーム間において相関の高い画像から、本来の画素値を推定して、新たな画素に対応付ける画素値とすることを意味する。つまり、画像の相関性を利用する。
【0016】
さらに詳しく説明すると、まず、オリジナルの入力映像から、アップコンバート処理によって、仮のフルHD高解像度映像を作る。つまり、隣り合う画素の情報をもとに間の画素を補間し、仮のフルHD高解像度映像を作る。補間された画素は必ずしもオリジナル映像にあったものとは言えない。つまり、計算誤差によるノイズやエッジの乱れなどが発生し得る。
【0017】
次に、撮像モデル関数に基づき、仮のフルHD高解像度映像から、オリジナル映像と同じ解像度にダウンコンバートした映像を作る。撮像モデル関数とは、一般的なカメラが撮像素子の情報を映像信号に変換するのと同じ処理を計算で再現するものである。
【0018】
ダウンコンバートした映像はオリジナルの入力映像と同じものになるはずであるが、アップコンバート処理における計算誤差などのため、ダウンコンバートした映像とオリジナルの入力映像との間には相違部分が発生する。この相違部分を検出し、また、周辺の画素の情報などを参考に計算誤差が出ないように補正して、オリジナルの入力映像に近い超解像処理された出力映像が生成される。
【0019】
このように、超解像処理とは、ダウンコンバートした映像とオリジナルの入力映像とを比較し、オリジナルの入力映像が本来持っているはずの信号を復元する技術である。なお、以上説明した超解像処理は一例であり、他の手法を適用することも出来る。
【0020】
なお、DVDビデオのSD信号(相対的に低品質な映像信号)をアップコンバートした映像信号(外部機器側でDVDビデオ信号を例えば1080pにアップコンバートした信号など)の信号品質をさらに改善して表示する画質モード(第3の画質モード)がメニューの「DVDファイン」で選択される場合において、前記アップコンバートした映像信号の信号品質改善処理(超解像処理など)を行うように構成することもできる。すなわち、スキャンレートが1080pのまま変わらなくても超解像処理などによりさらに品質改善される場合も、「DVDファイン」におけるアップコンバートに含まれる。
【0021】
接続される外部機器が複数あり、あるいは外部機器から入力される映像信号の信号品質が複数あって、入力される信号品質が特定し難いときは、ユーザはメニューM3から「おまかせ」の項目を選んでリモコンのエンターキーを押す(ST104の「おまかせ」分岐)。すると、入力された映像のビデオ属性から解像度およびフレームレート(スキャンレート)を解読し、入力された映像の空間周波数分布をフレーム単位のヒストグラムから分析して、映像分析を行う(ST108)。この分析結果から、入力映像の空間周波数分布(細かい映像成分が多いか少ないか等を示す)に応じた鮮鋭化処理を行い、処理後の映像を表示する処理へ移行する(ST110)。ST110の鮮鋭化処理の詳細については後述する。
【0022】
なお、「おまかせ」モードでST106の超解像処理を行い、「DVDファイン」モードでST108〜ST110の映像分析〜鮮鋭化処理を行うようにしてもよい。
【0023】
図3は、この発明の一実施の形態に係るメニュー表示選択処理の他例を説明する図である。図3のST100〜ST110の処理は図2のST100〜ST110の処理と同じでよいが、図3の処理ではST108とST110の間にST109が入っている。ST109では、入力映像信号のビデオ属性から1080p信号であるか否かと、分析映像のヒストグラムに含まれる高域成分が所定値以上であるか否かが判定される。すなわち、「おまかせ」モードにおいて最高画質の映像(1080pで細かい絵柄が多い)が検知されたときは(ST109イエス)、ST104における「ピュアダイレクト」モード分岐と同じ処理が行われる。一方、「おまかせ」モードにおいて最高画質の映像でない(1080pでない、あるいは1080pであってもSD映像のアップコンバート映像であって細かい絵柄が少ないなど)が検知されたときは(ST109ノー)、ST110の処理が行われる。
【0024】
図3の「おまかせ」モードにしておけば、入力される映像の種類をユーザが一々考えなくても、入力される映像信号の品質(480i/p〜1080i/p)に応じて適宜画質改善(ST109ノーからST110へ)が施された映像を表示できるばかりでなく、入力される映像信号の最高品質(1080p)を損なうことなくそのまま当該映像装置の最高画質品位(1080p)で表示することもできる(ST109イエス)。
【0025】
図4は、この発明の一実施の形態に係る、映像装置(デジタルTV受信機11)の構成の一例を説明する図である。このデジタルTV受信機11は、IEEE802.3準拠の通信インターフェース73に繋がる信号端子21、第1のHDMIインターフェース74に繋がる信号端子22、第2のHDMIインターフェース75に繋がる信号端子23、第1のD端子インターフェース74aに繋がる信号端子22a、第2のD端子インターフェース75aに繋がる信号端子23a、USB(Universal Serial Bus)インターフェース76に繋がる信号端子24、IEEE1394準拠の通信インターフェース77に繋がる信号端子25、DVI(Digital Visual Interface)インターフェース78に繋がる信号端子26などを装備している。その他のビデオソースとして、ハイビジョンデジタル放送を録画できるHDDレコーダ84も装備されている。
【0026】
図4の例では、IEEE802.3信号端子21と第1のHDMI信号端子22と第1のD端子22aにハイビジョン対応DVDレコーダ(衛星デジタル/地上デジタルチューナ内臓)79が接続され、第2のHDMI信号端子23と第2のD端子23aとIEEE1394信号端子25に高級DVDプレーヤ(またはBDプレーヤ)80が接続され、USB信号端子24とDVI信号端子26にDVD/BDドライブ内臓でハイビジョンビデオ再生可能なPC(Personal Computer)81が接続されている。
【0027】
端子21〜26、22a〜23aに入力された外部映像信号あるいはHDDレコーダ84の再生信号は制御部65で適宜選択され、選択された映像信号S65は映像処理部62へ送られる。一方、OSD信号生成部61で生成されたメニュー画像等のOSD信号S61はグラフィック処理部58へ送られる。メニュー画像(図1参照)の表示処理を含む図2または図3の処理は、制御部65内のファームウエアであるメニュー表示制御部66aにより行われる。
【0028】
グラフィック処理部58には、信号処理部51を介してTV放送番組等の映像信号S51が入力される。この映像信号S51および/またはメニュー画像を含むOSD信号S61に対応する映像信号S58が、映像処理部62へ送られる。映像処理部62は、入力された信号(S58またはS65)に超解像処理および/または鮮鋭化処理を施し、高品質な映像信号S62として映像表示部(フラットパネルディスプレイなど)14へ送出する。映像処理部62で処理された映像信号S62は、ビデオ端子(HDMI端子、D5端子など)63を介して外部モニタ82へも送出可能となっている。
【0029】
図5は、超解像技術を利用したアップコンバートを行う映像処理部の構成例を説明する図である。図1のグラフィック処理部58からの映像信号S58または制御部65で選択された映像信号S65は、IP変換/NR処理/スケーリング処理部621に入力される。この処理部621において、入力信号がインターレース信号であればプログレッシブ信号に変換され(IP変換)、入力信号がノイズの多い信号であれば適宜ノイズ低減処理が施され(NR処理)、入力信号の画像が映像表示部14の表示エリアに程よく収まらないようなサイズであれば適正サイズで表示エリアに収まるようなスケーリング処理が施される。このような処理が施された信号S621が超解像変換処理部622に入力される。
【0030】
超解像変換処理部622は、入力された信号S621に対して超解像処理を施して、1080pにアップコンバートされた信号S622を出力する。アップコンバートされた信号S622は動画像改善処理部623に入力される。この処理部623において、例えば毎秒60コマの画像の隣接フレーム間の動きが毎秒120コマの区切りで補間される。この補間処理(モーションクリア処理)により、信号S622の動画像の見え方がクリアとなる。超解像変換処理部622で1080pにアップコンバートされ、動画像改善処理部623で動画像の見え方が改善された映像信号S62が、表示部14で表示され、あるいは外部モニタ82で表示されることになる。
【0031】
上記の超解像処理(図2または図3のST106)は、480i/p〜720i/pのみならず1080i/pの映像に対しても動作可能である。そのため、例えばDVDや地上デジタル放送を1080i/pへアップコンバートした外部入力信号に対しても、超解像処理によりさらに精細感を向上させることができる。さらに、図2または図3のST106〜ST110において、周波数ヒストグラム検出により超解像の再構成処理ゲインやフィルタを自動制御し、入力信号に対して高域成分を補正し、映像シーンに応じた最適な処理も可能である。このような処理は、映像処理部62(その内部の超解像変換処理部622および/または鮮鋭化処理装置62a)により行うことができる。
【0032】
また、超解像処理は「おまかせ」モードのほか、DVDの再生に最適な画質モード「DVDファイン」でも有効である。また、「ピュアダイレクト」モードでは、BDプレーヤなどで4:4:4にクロマアップサンプリング処理された信号をそのまま表示することもできる。通常は4:4:4信号を入力すると、一部プロセスで4:2:2に変換し、表示時に4:4:4に戻して処理しているが、「ピュアダイレクト」モードでは一部プロセスをスキップして、4:4:4のまま入力から出力までを一貫処理できる。
【0033】
HDMI入力については、RGB入力時のダイナミックレンジをフルレンジ(8ビット階調レベル0-255)とリミテッド(階調レベル16-235)から任意に選択できる「RGB入力ダイナミックレンジ切替」も可能である。HDMI入力した映像の解像度や走査方式、アスペクト、色深度、色空間、クロマフォーマットなどを画面(OSD信号生成部61による表示)上で確認することもできる。また、クロマフォーマットごとに最適な処理を行なう色帯域切替も可能である。これにより、「スタンダード」と、より広色域表現が可能という「ワイド」の2モードが選択できる。
【0034】
図6は、鮮鋭化処理技術を利用した映像処理部の構成例を説明する図である。鮮鋭化処理装置62aに入力される映像信号の原信号としては、例えばレコーダ79からD端子22aへ入力される480i〜1080iの映像信号、プレーヤ80からHDMI端子23へ入力される1080pの高品位映像信号、PC81からDVI端子26へ入力される480i〜720pの映像信号、HDDレコーダ84から制御部65へ送出される480i/p〜1080i/pの映像信号などを想定することができる。
【0035】
この映像信号(S58、S65またはS621)は、輝度信号(Y)101、色差青信号(Cb/Pb)102、および色差赤信号(Cr/Pr)103を含んでいる(場合によっては赤緑青のRGB信号の場合もあり得る)。映像信号101〜103はフレームメモリ124に一旦格納される。また、映像信号101〜103のうち少なくとも輝度信号(Y)101に対して、フレーム毎に、周波数帯域分布を示すヒストグラムを取得する。このヒストグラム取得はヒストグラム取得/周波数状態判定部104において行われる。
【0036】
ヒストグラム取得/周波数状態判定部104は、取得したヒストグラムから、入力された輝度信号(Y)の周波数状態(信号の低域成分から高域成分までがどのように分布しているか)をフレーム単位でチェックしている。このチェック結果から、ヒストグラム取得/周波数状態判定部104は、低域成分に対して高域成分が相対的に少ないのか多いのかの判定を、リアルタイムで行う。ヒストグラム取得/周波数状態判定部104による判定結果が出ると、フレームメモリ124に格納された映像信号101〜103は、それらに対応する信号101*〜103*として読み出される(フレームメモリ124は一種の遅延素子として機能している)。読み出された信号101*〜103*は、鮮鋭化処理ブロック107内の鮮鋭化帯域フィルタ108および鮮鋭化加算処理部110に入力される。
【0037】
ヒストグラム取得/周波数状態判定部104は、低域成分に対して高域成分が相対的に少ないのか多いのかを判定し、その判定結果として、状態判定データ(制御パラメータ)105を鮮鋭化帯域フィルタ108に供給する。状態判定データ(制御パラメータ)105は、鮮鋭化を行うための映像信号成分を抽出する鮮鋭化帯域フィルタ108に対する、制御信号(微小信号コアリング制御信号)となる。
【0038】
また、ヒストグラム取得/周波数状態判定部104は、低域成分に対して高域成分が相対的に少ないのか多いのかの前記判定結果として、状態判定データ(制御パラメータ)106を加算器111に供給する。状態判定データ(制御パラメータ)106は、鮮鋭化効果を決定するための制御信号(効果ゲイン制御信号)となっている。加算器111には、鮮鋭化の程度を決めるイニシャルパラメータ(装置メーカによる標準設定値あるいはユーザが好みで決めたユーザ設定値)が与えられている。加算器111は、状態判定データ(制御パラメータ)106にイニシャルパラメータを加えた鮮鋭化効果ゲイン制御信号112を、鮮鋭化加算処理部110に供給する。
【0039】
鮮鋭化帯域フィルタ108および鮮鋭化加算処理部110で構成される鮮鋭化処理ブロック107は、フレームメモリ124から読み出された信号101*〜103*に対し、フレーム単位で鮮鋭化処理を施す(この鮮鋭化処理の内容は、フレーム内の絵柄が変わると、適宜変化する)。鮮鋭化処理ブロック107により適宜鮮鋭化された輝度信号(Y*)121、色差青信号(Cb*/Pb*)122、および色差赤信号(Cr*/Pr*)123に対応する信号S62は、映像表示部14に供給される。また、この信号S62は、フルHD信号を扱うことができるHDMI端子22、23あるいはD端子(D5端子など)22a、23aを介して、外部に出力することもできる。
【0040】
図7は、ヒストグラム取得/周波数状態判定部104の構成を説明する図である。鮮鋭化処理ブロック107に入力された映像信号(S58、S65またはS621)のうち、輝度信号(Y)101は、フレーム単位で、n個のバンドパスフィルタBPF1〜BPFnと1個のハイパスフィルタHPFに入力される。ここで、HPFは、フルHD信号でなければ頻繁に表れないような微細映像信号成分(空間周波数の特に高い成分)を通過させる。BPF1は、SD映像あるいはHD映像のうち変化が少ない映像信号成分(空間周波数の低い成分)を選択的に通過させる。BPFnは、SD映像あるいはHD映像のうち変化が多い映像信号成分(空間周波数の高い成分)を選択的に通過させる。BPF2〜BPF(n-1)は、変化が少ない場合と変化が多い場合の間の映像信号成分を、複数の周波数区間に区切って、選択的に通過させる。これらのBPF1〜BPFnおよびHPFを用いて、入力映像のフレーム内情報分布(ヒストグラム)を取得することができる。
【0041】
すなわち、ある1つのデジタル映像フレーム(例えば1920×1080ピクセル相当のフレーム)内において、BPF1を通過する信号成分に対応したピクセルの発生頻度(大きな面積の画像の表示に用いられるピクセルの累積ピクセル数)から、BPFnを通過する信号成分に対応したピクセルの発生頻度(小さな面積の画像の表示に用いられるピクセルの累積ピクセル数)までと、HPFを通過する信号成分に対応したピクセルの発生頻度(極小さな面積の画像の表示に用いられるピクセルの累積ピクセル数)のヒストグラムが、BPF1〜BPFnおよびHPFそれぞれの出力を累積記憶することで得られる。この累積記憶は、レジスタ1041〜104nおよび104h内で行われる。
【0042】
レジスタ1041は、BPF1の通過帯域に対応する累積ピクセル数に所定の重み付け係数を掛けた値を記憶する。レジスタ1042は、BPF2の通過帯域に対応する累積ピクセル数に所定の重み付け係数を掛けた値を記憶する。以下同様にして、レジスタ104nは、BPFnの通過帯域に対応する累積ピクセル数に所定の重み付け係数を掛けた値を記憶する。また、レジスタ104hは、HPFの通過帯域に対応する累積ピクセル数に所定の重み付け係数を掛けた値を記憶する。なお、各レジスタにおける重み付け係数をどのように選ぶかは、鮮鋭化処理対象の映像コンテンツ(映画フィルム映像かスタジオビデオ映像かCGアニメ映像か等)によりケースバイケースで実験的に決める。
【0043】
レジスタ1041〜104nに記憶された累積ピクセル数は、加算器104aにより合算され、その合算結果が基準データAとして比較器104cに入力される。一方、レジスタ104hに記憶された累積ピクセル数は、比較データBとして比較器104cに入力される。比較器104cは、加算器104aから入力された基準データAを基に、レジスタ104hから入力された比較データBが大きいか小さいかの判定を行う(この大小判定はレジスタ1041〜104n、104hにおける重み付けの程度に影響される)。
【0044】
なお、比較器104cは、最も簡単な場合は2値コンパレータとなるが、この実施の形態では、データAとデータBの大きさの違いの程度に応じた多値を出力するマルチレベルコンパレータで構成される。このマルチレベルコンパレータの多値出力が、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105および状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106として使用される。
【0045】
図8は、映像の鮮鋭化処理の具体例を説明する図である。図7の比較器104cにおいて、基準データA(低域成分に対応)より比較データB(高域成分に対応)が小さいとき(ケース1)は、現在チェックしている映像のフレーム内に微細な映像成分が少ない(あるいは無い)ことになる(図8(a))。この場合は、現在チェックしている映像が「SD映像をアップコンバートした疑似HD映像」であると判定し、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105および状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106が、「SD映像をアップコンバートした疑似HD映像」を示す値を持つようにする(図8(c)(d)左側参照)。
【0046】
一方、比較データB(高域成分に対応)が基準データA(低域成分に対応)以上であるとき(ケース2)は、現在チェックしている映像のフレーム内に微細な映像成分が多いことになる(図8(b))。この場合は、現在チェックしている映像が「本来のフルHD映像」であると判定し、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105および状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106が「本来のフルHD映像」を示す値を持つようにする(図8(c)(d)右側参照)。
【0047】
また、比較データB(高域成分に対応)が基準データA(低域成分に対応)以下であるが、その程度が前記ケース1とケース2の間にあるとき(ケース3)は、状態判定データ105および106は、「SD映像をアップコンバートした疑似HD映像」の場合と「本来のフルHD映像」の場合の間を示す値を持つようになる(図8(c)(d)において、閾値TH1と閾値TH2の間参照)。
【0048】
鮮鋭化処理ブロック107内の鮮鋭化帯域フィルタ108は、入力された映像信号のうち、鮮鋭化処理を行うための交流信号成分を抜き出す。その際のフィルタ帯域設計の一例を以下で説明する。図6の鮮鋭化帯域フィルタ108は可変フィルタ特性を持つ。可変フィルタ108には複数のフィルタ特性(カットオフ周波数が異なる複数のローパスフィルタ)が設定されている。そのうちどのフィルタ特性が選択されるかは、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105の値により決まる。
【0049】
すなわち、現在チェックしている映像のフレーム内に微細な映像成分が少ない場合(図8(a))は、高域側に鮮鋭化対象の画素情報が少なくて殆どノイズであると判断する。その場合、高域ノイズの抑制レベルが大きくなるように、すなわちフィルタ108の高域周波数応答が相対的に下降するように、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105の値が設定される。このように「殆どノイズしかない高域成分」を抑えておけば、状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106により鮮鋭化効果ゲインを上げて低解像度映像の鮮鋭感を改善しても、それに伴いノイジーな映像になることを防止できる。
【0050】
一方、現在チェックしている映像のフレーム内に微細な映像成分が多い場合(図8(b))は、フィルタ108の高域周波数応答が相対的に上昇するように、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105の値が設定される。このようにして「微細な映像成分が多い高域成分」を素通しすれば、状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106により鮮鋭化効果ゲインを下げても、元々微細映像成分が多く存在するので、映像の精細感は損なわれない。また鮮鋭化効果ゲインを下げるので、鮮鋭化に伴うノイズの増加も回避できる。
【0051】
なお、現在チェックしている映像のフレーム内の高域情報(微細な映像成分)が少ない場合と多い場合の間にあるときは、フィルタ108の周波数応答には、複数レスポンスカーブのうち、カットオフ周波数が上限のものと下限ものとの間が選ばれる。
【0052】
図9は、鮮鋭化帯域フィルタ108と鮮鋭化加算処理部110の具体例を説明する図である。フレームメモリ124から読み出された輝度信号(Y)101*は加算器1103yおよびカットオフ可変のローパスフィルタLPF(Y)108yに入力される。フレームメモリ124から読み出された色差信号(Cb/Pb)102*は加算器1103bおよびカットオフ可変のローパスフィルタLPF(Cb/Pb)108bに入力される。フレームメモリ124から読み出された色差信号(Cr/Pr)103*は加算器1103rおよびカットオフ可変のローパスフィルタLPF(Cr/Pr)108rに入力される。
【0053】
LPF(Y)108y、LPF(Cb/Pb)108b、およびLPF(Cb/Pb)108bは、いずれも、状態判定データ(鮮鋭化コアリング調整パラメータ)105y、105b、105rの値に応じて周波数応答特性が変化し、カットオフ周波数が移動するようになっている。なお、フィルタ108y、108b、および108rは、状態判定データ105y、105b、105rの値に応じて通過帯域が変化するバンドパスフィルタでもよい。
【0054】
LPF(Y)108yの出力109y、LPF(Cb/Pb)108bの出力109b、およびLPF(Cb/Pb)108bの出力109rは、それぞれ、2次微分回路1101y、1101b、および1101rを介して、可変ゲインアンプ1102y、1102b、および1102rに入力される。2次微分回路1101y、1101b、および1101rは、入力された映像信号の不要低域成分をカットするとともに、入力された映像信号の高域成分を抽出し、画像エッジをシャープに立てる。これらの2次微分回路でエッジがシャープに立てられた鮮鋭化信号のレベルは、可変ゲインアンプ1102y、1102b、および1102rで適切に調整される。可変ゲインアンプ1102y、1102b、および1102rのゲインは、それぞれ、鮮鋭化効果ゲイン制御信号112y、112b、および112rによって決定される。ここで、鮮鋭化効果ゲイン制御信号112y、112b、および112rは、それぞれ、加算器111y、111b、および111rにおいて、状態判定データ(鮮鋭化効果ゲインパラメータ)106y、106b、および106rに所定のイニシャルパラメータを加えることで得られる。
【0055】
こうして鮮鋭化効果ゲイン制御信号112y、112b、および112rによりレベル調整された鮮鋭化信号は、加算器1103y、1103b、および1103rにおいて、元の信号101*、102*、および103*に加えられ、鮮鋭感が改善された信号121、122、および123となって出力される。
【0056】
<実施の形態のまとめ>
1.ハイビジョン出力が可能な映像出力機器(DVDプレーヤ/レコーダ、BDプレーヤ/レコーダ等)をテレビセット等に接続した際、映像出力機器に出力させる映像に応じてユーザ(機器の操作者)が任意に画質モードを選ぶ手段(ST104)を提供する。
【0057】
2.映像出力機器が出力する最高画質のハイビジョン映像出力(例えば1080p信号)は、接続するテレビセットが入力可能とする最大解像度とする。
【0058】
3.映像出力機器が出力する映像信号が上記最高画質の映像信号でない場合は、その映像信号を上記最大解像度にアップコンバートして表示する。
【0059】
上記の画質モードを選ぶ手段(ST104)は、ユーザメニュー(図1)による切り換えで提供される。このユーザメニューでは、3つの画質モード(「おまかせ」モードと「DVDファイン」モードと「ピュアダイレクト」モード)を選択できる。
【0060】
「おまかせ」モードは、ハイビジョン対応DVD/BDレコーダなどに録画を行ったデジタル放送番組の視聴に適用できる。このモードでは、入力画像の周波数帯域等を検出する事でどのような映像か判断し、図6〜図9を参照して説明した鮮鋭化処理を行うことで自動的に最適な映像補正を行う。
【0061】
「DVDファイン」モードは、DVDビデオ等の低解像度映像(SD映像)に特化された専用設定モードとすることができる。このモードでは、DVDなどの低解像度映像が出力機器側でアップコンバート処理されて入力される場合にも対応するが、出力機器側でアップコンバートされていない場合にも対応する。出力機器側でアップコンバートされている場合、ユーザ(機器操作者)がその入力映像を指定している(DVDが見たい)のであれば、図6〜図9を参照して説明した鮮鋭化処理を行うことができる。出力機器側でアップコンバートされていない場合は、図5等を参照して説明した超解像処理を行うことができる。
【0062】
「ピュアダイレクト」モードは、高級ハイビジョンプレーヤ向けのモードとすることができる。高額なハイビジョンプレーヤを所持するユーザからは、そのプレーヤ(映像出力機器)から送出される高品位映像をそのまま表示したいという要求がある。この「ピュアダイレクト」モードでは、映像表示パネルのバラツキ吸収や色見補正程度の最低限の処理のみを行い、映像へのフィルタ処理や強調処理といったものを一切行わず、映像出力機器の素の信号を表示させる。
【0063】
<実施の形態の効果>
高品質なフルHD映像(ハイビジョン)出力が可能な映像出力機器(DVDプレーヤ/レコーダ、BDプレーヤ/レコーダ等)を映像表示装置(フルHD対応テレビジョンセット等)に接続した際に、映像出力機器が出力する最高画質の映像(1080pなど)をそのままの品質で表示できるように、ユーザ(機器の操作者)が映像表示装置の画質モード(ピュアダイレクトモードなど)を自由に選べるようになる。
【0064】
<実施の形態と発明との対応例>
この発明の一実施の形態に係る映像装置は、所定の高品質映像信号(1080p)をその信号品質のまま表示する第1の画質モード(ピュアダイレクトモード)と、前記所定の高品質映像信号(1080p)より相対的に低品質な映像信号(480i、480p、1080i、720pなど)の信号品質を適宜改善して表示する第2の画質モード(おまかせモード)を有する。この映像装置は、前記所定の高品質映像信号(1080p)または前記相対的に低品質な映像信号(480i、480p、1080i、720pなど)が入力される信号端子(21〜26)と、前記信号端子に外部映像機器(79〜81)が接続された際あるいは前記信号端子に外部映像信号が入力された際もしくはユーザがメニューを出す操作をした際に、前記第1の画質モードまたは前記第2の画質モードを選択するメニュー(M3)の画像情報を提供するメニュー手段(58、61、66a)と、前記メニュー(M3)により前記第1の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記高品質映像信号(1080p)をそのまま出力し、前記メニュー(M3)により前記第2の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記映像信号(480i、480p、1080i、720pなど)の信号品質をその信号成分に応じて改善する処理(ヒストグラム分析を利用した鮮鋭化処理や超解像処理など)を施す映像処理手段(62、62a)を備えている。
【0065】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、ヒストグラム取得/周波数状態判定部104から判定結果をNフレーム(Nは整数)毎に取り出し、鮮鋭化処理ブロック107における鮮鋭化処理を入力映像のNフレーム毎に行うようにしてもよい。このようにNフレーム毎の処理もフレーム単位の範疇とする。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0066】
14…映像表示器、51…信号処理部、65…制御部、58…グラフィック処理部、61…OSD信号生成部、62…映像処理部、62a…映像の鮮鋭化処理装置、104…ヒストグラム取得/周波数状態判定部、107…鮮鋭化処理ブロック、108…鮮鋭化帯域フィルタ、110…鮮鋭化加算処理部(鮮鋭化処理部)、124…フレームメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高品質映像信号をその信号品質のまま表示する画質モードを第1の画質モードとし、前記所定の高品質映像信号より相対的に低品質な映像信号の信号品質を改善して表示する画質モードを第2の画質モードとするときに、
前記所定の高品質映像信号または前記相対的に低品質な映像信号が入力される信号端子と、
前記第1の画質モードまたは前記第2の画質モードを選択するメニューの画像情報を提供するメニュー手段と、
前記メニューにより前記第1の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記高品質映像信号をそのまま出力し、前記メニューにより前記第2の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記映像信号の信号品質をその信号成分に応じて改善する処理を施す映像処理手段を備えた映像装置。
【請求項2】
前記相対的に低品質な映像信号の一部について、その信号品質を前記第2の画質モードとは別に改善して表示する画質モードを第3の画質モードとするときに、前記メニューは前記第3の画質モードの画像情報を提供するように構成され、前記メニューにより前記第3の画質モードが選択されたときは、前記相対的に低品質な映像信号の一部の解像度に対応した特定信号品質改善処理を行うように前記映像処理手段が構成される請求項1に記載の映像装置。
【請求項3】
前記特定信号品質改善処理が、前記相対的に低品質な映像信号の一部の解像度を前記所定の高品質映像信号の解像度にアップコンバートする処理を含む請求項2に記載の映像装置。
【請求項4】
前記映像処理手段が、
前記信号端子に入力された映像信号に含まれる映像コンテンツの周波数状態を判定する周波数状態判定部と、
前記入力映像信号のうち映像の鮮鋭化処理に用いる信号成分を取り出すものであって、前記周波数状態判定部により前記入力映像信号の高域成分が相対的に少ないと判定されたときは、高域周波数応答が相対的に下降するように調整される鮮鋭化帯域フィルタと、
前記鮮鋭化帯域フィルタから取り出された信号成分を用いて前記入力映像信号に対して鮮鋭化処理を行ない、鮮鋭化処理が施された映像出力信号を提供する鮮鋭化処理部を含む請求項1に記載の映像装置。
【請求項5】
前記周波数状態判定部により前記入力映像信号の高域成分が相対的に多いと判定されたときは、前記鮮鋭化帯域フィルタの高域周波数応答が相対的に上昇するように、前記鮮鋭化帯域フィルタの周波数応答特性が調整される請求項4に記載の映像装置。
【請求項6】
前記映像処理手段は、前記信号端子に入力された映像信号に含まれる映像コンテンツの周波数状態を判定する周波数状態判定部を含み、
前記周波数状態判定部により前記入力映像信号が前記所定の高品質映像信号と同等と判定されたときは、前記入力映像信号がそのまま出力される請求項1に記載の映像装置。
【請求項7】
前記メニュー手段から提供された前記メニューを表示する映像表示部をさらに備えた請求項1に記載の映像装置。
【請求項8】
前記メニュー手段は、前記信号端子に複数解像度の入力が得られる場合に前記メニューの画像情報を提供するように構成される請求項1に記載の映像装置。
【請求項9】
前記相対的に低品質な映像信号をアップコンバートした映像信号の信号品質を前記第2の画質モードとは別に改善して表示する画質モードを第3の画質モードとするときに、前記メニューは前記第3の画質モードの画像情報を提供するように構成され、前記メニューにより前記第3の画質モードが選択されたときは、前記アップコンバートした映像信号の信号品質改善処理を行うように前記映像処理手段が構成される請求項1に記載の映像装置。
【請求項10】
所定の高品質映像信号をその信号品質のまま表示する画質モードを第1の画質モードとし、前記所定の高品質映像信号より相対的に低品質な映像信号の信号品質を改善して表示する画質モードを第2の画質モードとするときに、
前記所定の高品質映像信号または前記相対的に低品質な映像信号が入力される信号端子信号端子に外部映像機器が接続された際、あるいは前記信号端子に外部映像信号が入力された際、もしくはユーザがメニューを出す操作をした際に、前記第1の画質モードまたは前記第2の画質モードを選択するメニューの画像を表示し、
前記メニューにより前記第1の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記高品質映像信号をそのまま出力し、前記メニューにより前記第2の画質モードが選択されたときは前記信号端子に入力された前記映像信号の信号品質をその信号成分に応じて改善する処理を施す映像処理方法。
【請求項11】
入力映像をそのまま出力する場合をピュアダイレクトモードとし、入力映像をより高品位な映像にアップコンバートして出力する場合をビデオファインモードとし、入力映像の種類によって映像成分に補正を自動的に加えて出力する場合をおまかせモードとする場合に、
ピュアダイレクトモードとおまかせモードとビデオファインモードの選択メニューを表示し、
前記ピュアダイレクトモードと前記おまかせモードと前記ビデオファインモードのうちの任意の1つを選択できるように構成した画質モード設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−251988(P2010−251988A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98304(P2009−98304)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】