説明

映像記録再生装置

【課題】物理メモリ上で従来保持・管理していたフレームデータに関する管理テーブルのメモリ使用量を削減するとともに、記録媒体の性能を落とさずに、効率良く記録・再生を行う。
【解決手段】記録媒体は、記録する映像データの単位データよりも十分に大きな固定サイズのブロック単位で区画されたブロックデータ領域と、映像管理テーブルと、ブロック管理テーブルを有し、記録・読出し制御部は、記録する映像データの単位データをブロック単位にまとめ、その際、ブロックに含まれる映像データの単位データ毎の記録時刻およびブロック上の位置情報をブロックのヘッダ情報として付加し、生成したブロックを前記ブロックデータ領域に順次記録し、またこの記録処理に伴って映像管理テーブルおよびブロック管理テーブルを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラで取得した映像をデジタル化してハードディスクなどの記録媒体へ記録し、記録した映像を要求に応じて再生する映像記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の監視システムでは、監視対象を撮影する場所にカメラを設置し、その映像をリアルタイムに表示装置で監視すると共に、監視映像を映像記録再生装置に蓄積し、必要に応じて記録した映像を再生できるようにしている。このような映像記録再生装置では、記録した映像の中から必要な映像を再生する場合、監視対象を識別するカメラ番号や撮影時刻などを指定して映像を呼び出すようにしている。そのため、記録時には映像データと各種情報を随時結びつける処理を行っている。また、映像記録再生装置の記録媒体としては、ランダムアクセス可能なハードディスクなどが用いられるが、近年は記録容量が数百GBを超えるハードディスクも登場し記録可能な映像の時間長が延びると共に、データの入出力性能も向上している。
ハードディスクへアクセスする際の連続書込みサイズが大きくなるほど転送速度の向上が期待できるため、従来の映像記録再生装置の中には、記録領域をブロックと呼ばれるある固定の大きさで区画しておき、そのブロック単位で映像データを出し入れすることで、データの入出力性能の向上を図っているものがある(例えば特許文献1参照)。また、この特許文献1に記載の技術では、映像データの記録媒体上での位置情報を管理した管理テーブルなどは、記録媒体上に書き込まれると同時に、再生や検索を素早く行うために高速アクセス可能な物理メモリに保持されており、映像データを記録しながら媒体上の管理テーブルも適宜更新され、装置の電源が切断された場合でも、次回起動時には記録した内容が保持されているような機構を実現している。
【0003】
図8は、特許文献1に記載されているような映像記録再生装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図において、映像記録再生装置1は、監視カメラ2で撮影した映像を蓄積し、記録した監視映像を再生して表示装置3に表示する。映像記録再生装置1は、図示していないが操作者が記録映像の再生を要求する入力機構も備えている。映像受信部11では、監視カメラ2からの監視映像を受信して映像変換部12に与える。映像変換部12では、受信した映像を記録に適した形式に変換する。記録・読出し制御部13では、映像変換部12で変換された映像データをハードディスクなどの記録媒体14に所定の方法に従って記録していく。また、記録・読出し制御部13は、再生要求に応じて記録媒体14に記録されている映像データを読み出し、映像変換部15に与える。映像変換部15では、記録・読出し制御部13が読み出した映像データを表示に適した形式に変換して映像送信部16へ与える。映像送信部16では、映像変換部15から出力された映像情報を表示のため表示装置3へ送出する。
【0004】
図9は従来の記録媒体上に形成されるデータ構造を示す。
記録媒体14は、映像管理テーブル20、ブロック管理テーブル30、ブロックデータ領域40、フレーム管理テーブル50からなる記録領域を持つ。映像管理テーブル20は、記録される映像データの一つ一つを管理するためのデータテーブルである。ブロックデータ領域40は、映像データの単位よりも十分に大きなサイズのブロックと呼ばれる単位で区画された記録領域である。実際の映像データはブロック単位に分割されて順次対応するブロックに記録される。ブロック管理テーブル30は、ブロックデータ領域40上のブロックにアクセスするための位置情報などを格納するデータテーブルである。フレーム管理テーブル50は、映像データの単位であるフレームを撮影時刻や区画されたブロック上での記録位置情報を格納するデータテーブルである。ここで、映像管理テーブル20、ブロック管理テーブル30、フレーム管理テーブル50は、映像記録再生装置1が起動した後は、映像再生などの要求に素早く応えるために記録・読出し制御部13の物理メモリ(図示せず)に保持され、各管理テーブルで変更が発生した都度、記録媒体40上の同管理テーブルへは変更内容が書き込まれる。
【0005】
図10に、図9に示したデータ構造の各部の具体例とデータ関係を示す。
映像管理テーブル20は、新しい映像データの記録が開始されると新規エントリが確保され、記録の進捗に合わせて、先頭フレーム番号、終端フレーム番号、先頭時刻、終端時刻などが更新される。ブロック管理テーブル30は、ブロックデータ領域40における記録媒体14上の位置情報を保持し、ブロックの使用・未使用を管理する。フレーム管理テーブル50は、映像データのアクセス単位であるフレームデータの記録時刻、ブロックデータ領域40上でのブロック番号、ブロック内での開始位置(開始アドレス)、フレームデータのサイズを管理するとともに、フレームデータ間のリンク情報を次フレーム番号と前フレーム番号によって管理する。次フレーム番号は該当フレームデータの次のフレームデータのインデックスが入り、前フレーム番号には一つ前のフレームデータへのインデックス番号が入る。
【0006】
図10の例では、映像管理テーブル20の映像番号1のレコードには、先頭フレーム番号1から終端フレーム番号jの間に、記録時刻1から記録時刻jまでの時刻範囲で映像データが記録されていることを示している。また、これとリンクしてフレーム管理テーブル50には、フレーム番号1からフレーム番号jまでのレコードに、映像データのアクセス単位であるフレーム一つ一つの情報が記録されていることを示している。例えば、フレーム番号1のフレームデータについては、記録時刻1で、ブロック番号1のブロックのアドレス0から100バイトのサイズで記録されていることを示している。実際のデータは、ブロックデータ領域40のブロック1の先頭から100バイト分の領域に格納されている。以下同様に、フレーム番号2からjまでの映像データが、ブロックデータ領域40のブロック1からブロック2にそれぞれ領域を確保して記録されている。なお、ブロックはあらかじめ固定サイズで確保されるが、実際には符号化によって圧縮されたフレームデータは映像の複雑度などにより大きさが変動するため、フレームデータを記録していく過程でブロックをまたがるようなフレームデータも記録できるような機構を備える。
【0007】
また、図10に示した例で、記録されている映像番号1の映像データについて、任意の時刻Tから再生するには、時刻Tが映像番号1の記録時刻の範囲(先頭時刻〜終端時刻)に入っていることを確認する。次に、フレーム管理テーブル50に登録されているフレーム情報を順に辿って、時刻T以上となる記録時刻を持つフレームを検索する。該当フレームがあれば、実際に記録されている位置情報であるブロック番号、開始アドレス、サイズの各情報を使用して、ブロックデータ領域40からフレームデータを読み出し送出する。以降は、次フレーム番号を参照して次フレームデータを、記録時刻を再現するようにタイミングよく順次送出していくことで、再生処理を実現する。
【0008】
上記図8〜図10で説明した従来の映像記録再生装置の例では、記録・読出し制御部130は、再生や検索を迅速に行うために、管理テーブル20,30,50を高速アクセス可能な物理メモリで保持している。これら管理テーブルの中で、フレーム管理テーブル50の大きさは、記録する映像データの単位サイズや記録媒体の大きさにも依存するが、JPEGなど圧縮フォーマットを使用した場合のフレームデータは、数KBから数十KBである。一方、記録媒体をハードディスクと想定した場合、ハードディスク単体使用では数百GBであるが、複数のハードディスクを使用してRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks )を構成するような場合は、数TBの記録容量を実現できる。このような条件下で記録できるフレーム数は数百億枚のオーダとなり、フレーム管理テーブル50のサイズは数GBオーダとなり、より多くのメモリが必要になるため、コスト的にも装置のメモリ量の削減が必要となる。これに対して、映像管理テーブル、ブロック管理テーブル、フレーム管理テーブルのような管理情報を仮想記憶(ハードディスク等)で管理することで、少ない容量の物理メモリでも管理情報を扱える仕組みが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−20365号公報(図7)
【特許文献2】特開2004−192402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2の技術では、映像管理テーブル、ブロック管理テーブル、フレーム管理テーブルのような管理情報を、仮想記憶で管理するようにしているが、アクセス対象の管理情報が物理メモリにない状態が発生するような場合は、その都度ハードディスクからの読み込みが発生し、その後、実際のデータ領域へアクセスすることになるため応答が悪くなるという問題がある。
【0011】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、物理メモリ上で保持・管理していたフレームデータに関する管理テーブル分のメモリ使用量を削減するとともに、記録媒体の性能を落とさずに、効率良く記録・再生を行うことができる映像記録再生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る映像記録再生装置は、監視カメラからの映像を記録に適した形式の映像データに変換する第1の映像変換部と、映像データを記録する記録媒体と、映像変換部で変換された映像データを記録媒体に記録し、要求に応じて当該記録媒体から記録された映像データを読み出す処理を行う記録・読出し制御部と、記録・読出し制御部から読み出された映像データを表示に適した形式の信号に変換する第2の映像変換部とを備え、記録媒体は、記録する映像データの単位データよりも十分に大きな固定サイズのブロック単位で区画されたブロックデータ領域と、ブロックデータ領域に記録された映像データがあてはめられたブロックの先頭ブロック番号、終端ブロック番号、記録時刻の範囲を含む映像管理テーブルと、ブロックデータ領域上のブロックの位置情報、リンクする前後ブロック番号、映像データの単位データの数、記録時刻の範囲を含むブロック管理テーブルを有し、記録・読出し制御部は、記録する映像データの単位データをブロック単位にまとめ、その際、ブロックに含まれる映像データの単位データ毎の記録時刻およびブロック上の位置情報をブロックのヘッダ情報として付加し、生成したブロックを前記ブロックデータ領域に順次記録し、またこの記録処理に伴って映像管理テーブルおよびブロック管理テーブルを更新するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、映像データの単位データ(フレームデータ)をまとめたブロック単位毎に記録媒体上で連続的に記録し、映像データの単位データに関する管理情報をブロックのヘッダ情報にして映像データとともに記録するようにしたので、データ入出力処理の性能向上を図ることができる。また、記録時および再生時には、映像情報を管理する映像管理テーブルとブロックの位置情報を管理するブロック管理テーブルのみを物理メモリに読み出して管理するため、アクセス性能の向上を図ることができるとともに、従来映像データの単位データの管理テーブルに割り当てられたメモリ使用量を削減できる。また、再生時においては、該当映像データを含むブロックを特定した後、そのヘッダの該当映像データの管理情報を参照すると同時に該当データを含むブロックを一度に読み出せるようにできるので、効率よい再生が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。この構成は前述の図8に示された従来の構成と外観上類似するが、この実施の形態1の場合、記録・読出し制御部130の処理と記録媒体140のデータ構造に以下に説明する特徴を持たせている。その他の部分は従来と同様である。
図2に、この実施の形態1に係る記録媒体上に形成されるデータ構造を示す。記録媒体140は、映像管理テーブル200、ブロック管理テーブル300、ブロックデータ領域400からなる記録領域を持つ。映像管理テーブル200は、記録される映像データの一つ一つを管理するためのデータテーブルである。ブロックデータ領域400は、映像データの単位よりも十分に大きな固定サイズのブロックと呼ばれる単位で区画された記録領域である。実際の映像データはこのブロック単位に分割されて順次対応するブロックに記録される。ブロック管理テーブル300は、ブロックデータ領域400上のブロックにアクセスするためのブロックの位置情報などを格納するデータテーブルである。ここで、映像管理テーブル200およびブロック管理テーブル300は、映像記録再生装置1が起動した後は、映像再生などの要求に素早く応えるために記録・読出し制御部130の物理メモリ(図示せず)に読み込まれ保持され、記録・再生処理により変更が発生する都度、記録媒体140上の同管理テーブルへは変更内容が書き込まれ、装置の電源が切断された場合でも次回起動時には記録した内容が保持されている機能を有している。
【0015】
図3に、図2に示したデータ構造の各部の具体例とデータ関係を示す。
映像管理テーブル200は、新しい映像データの記録が開始されると新規エントリが確保され、記録の進捗に合わせて、先頭ブロック番号、終端ブロック番号、先頭時刻、終端時刻などが更新される。ブロック管理テーブル300は、ブロックデータ領域400における記録媒体140上のブロックの位置情報である開始アドレスを格納し、ブロックデータのリンク情報である次ブロック番号と前ブロック番号を管理する。また、ブロック内に記録される映像データのフレーム数、先頭フレームの記録時刻および終端フレームの時刻を管理する。さらに、ブロックの使用・未使用を管理し、空きブロック情報として利用できるようにしている。ブロックデータ領域400は、フレームデータよりも十分に大きなサイズを持つ単位ブロックで固定的に分割されているが、各ブロックの先頭にはブロックヘッダを設けており、401および402に示すように、ブロック内に記録されているフレームに関する情報をヘッダ情報として管理している。ブロックヘッダは、具体的には、ブロック内に記録されているフレームのインデックス番号、記録時刻、ブロック内での開始位置を示す開始アドレス、フレームデータのサイズ、および該当ブロック内に収まらずに次のブロックにまたがることを示す続き情報を管理している。
【0016】
図3に示した例において、映像管理テーブル200、ブロック管理テーブル300およびブロックデータ領域400の関連について詳述する。
映像管理テーブル200の映像番号1のレコードには、先頭ブロック番号1から終端ブロック番号2のブロックに、記録時刻B11から記録時刻B2jまでの時刻範囲で映像データが記録されていることを示している。これとリンクしてブロック管理テーブル300では、ブロック番号1とブロック番号2が使用状態となっていることを示している。ブロック番号1のブロックは、次ブロック番号2が順方向にリンクされており、前ブロック番号にはリンクがないため、先頭ブロックであることが判別できる。また、フレームデータがi枚記録されており、記録されているフレームデータの時間範囲は記録時刻B11から記録時刻B1iとなっている。一方、ブロック番号2のブロックは、前ブロック番号が1で逆方向リンクされており、次ブロック番号としてはリンクがないため終端ブロックであることが判別できる。また、フレームデータがj枚記録されており、記録されているフレームデータの時間範囲は記録時刻B21から記録時刻B2jとなっている。
【0017】
ブロックデータ領域400に記録されているブロック1のヘッダ401には、上記ブロック管理テーブル300のブロック番号1の情報とリンクして、ブロック1内に記録されているフレームデータそれぞれに関する情報が記録されている。本例ではブロックサイズを500バイトとしているが、フレーム番号iのフレームデータは、ブロック内での記録開始アドレスが410、サイズが150バイトであるため、該当ブロックに収まらずに次ブロックへまたがっており、続き情報は「あり」となっている。ブロック2のヘッダ402も同様にブロック管理テーブル300のブロック番号2の情報とリンクしており、ブロック2内に記録されているフレームデータそれぞれに関する情報が記録されている。
【0018】
次に、図4のフローチャートに従って記録動作を説明する。
映像受信部11では、監視カメラ2からの映像を受信すると映像変換部12に渡す。映像変換部12では、渡された映像を記録に適した形式に変換する。ここでは、例えば監視カメラ2からの映像がアナログ映像であった場合にはA/D変換した後、例えばJPEGなどの符号化処理を行って、撮影日時等の情報を付加して映像データにする。記録・読出し制御部130では、映像変換部12で得られた映像データを受信すると(ステップST1)、映像データに付加された情報から映像データなどの撮影日時(記録時刻)を識別する(ステップST2)。映像データは、ブロックデータ領域400のブロックへ記録するために準備されたブロックサイズ(例、500バイト)と同じ蓄積サイズを持つカレントバッファ(図示せず)に蓄積される。また、同じくカレントバッファ内のブロックヘッダに相当する領域のフレーム番号、記録時刻、開始アドレス、フレームデータのサイズを更新する(ステップST3)。カレントバッファへ蓄積した映像データの累積がブロックサイズ以上となっているかを調べ(ステップST4)、ブロックサイズよりも小さい場合には映像データの受信処理を継続する。
【0019】
一方、ステップST4において、カレントバッファへ蓄積した映像データの累積がブロックサイズ以上であった場合は、カレントバッファに収まらなかった余剰フレームデータを確認し(ステップST5)、余剰フレームデータを、あらかじめ準備しておいた次バッファへ蓄積する(ステップST6)。一方、ステップST5において余剰フレームデータがなければ、ブロック管理テーブル300から空きブロックを検索して、カレントバッファに記録されているヘッダ情報とフレームデータをブロックデータ領域400の該当空きブロックへ記録する(ステップST7)。ステップST7で記録した該当ブロックのブロック管理テーブルについて、前ブロック番号、フレーム数、先頭時刻、終端時刻および使用情報に関して更新するとともに、ブロック管理テーブルにおける前ブロックの情報についても次ブロック番号を更新する(ステップST8)。次バッファをカレントバッファとして処理ステップST1へ戻る。
【0020】
上記動作において、映像データを受信している状態では、記録・読出し制御部130は、記録媒体140上のブロックデータ領域400に対して、ブロック1、ブロック2、ブロック3、…のように順番に映像データを記録していくとともに、ブロック管理テーブル300のブロック情報を更新して、ブロック単位で記録を行うため、記録媒体140へのデータ記録性能の向上が図れる。
ここで、ブロックデータは数百KB〜数MBのオーダである。記録媒体140をハードディスクと想定した場合、ハードディスク単体使用では数百GBであるが、複数のハードディスクを使用してRAIDを構成するような場合は、数TBの記録容量を実現できる。このような条件下で記録できるブロック数は数千万〜数億個のオーダとなり、ブロック管理テーブルのサイズは数MB〜数十MBのオーダであるため、従来例と比較してメモリ使用量削減の効果がある。
また、昨今の映像記録再生装置が搭載する物理メモリ量は数十MB程度であるが、管理情報を仮想記憶で管理する必要がないので、ページフォルト等に起因する物理メモリとハードディスク間のデータ入れ替え処理による遅延は発生することがない。
【0021】
次に、図5のフローチャートに従って再生動作を説明する。
まず、操作者により再生したい映像番号Iと指定時刻Tが入力された場合(ステップST10)、記録・読出し制御部130では、映像管理テーブル200から映像番号Iに該当し、指定時刻Tが記録時刻の範囲(先頭時刻〜終端時刻)にあるブロック番号を抽出し、ブロック管理テーブル300に登録されているブロック情報を順に辿って、時刻Tを含む記録時刻の範囲(先頭時刻〜終端時刻)を持つブロックを検索する(ステップST11)。検索により該当ブロックがない場合(ステップST12)、再生処理を終了する。一方、ステップST12において該当ブロックが存在した場合は、該当ブロック情報の開始アドレス、サイズの各情報を使用して、ブロックデータ領域400から該当ブロックのデータをバッファ(図示せず)へ読み出す(ステップST13)。読み出したブロックのブロックヘッダに記録されているフレーム情報の記録時刻から、時刻T以降のフレーム情報を検索し、検索された該当フレームをブロック内から読み出して映像変換部15へ出力する(ステップST14)。映像変換部15では、記録・読出し制御部130が読み出した映像データを表示に適した形式に変換し、映像送信部16を介して表示装置3へ送出する(ステップST15)。
【0022】
記録・読出し制御部130は、続いて、送出した映像データの次フレーム情報をヘッダ情報から確認し(ステップST16)、該当ブロック内に次フレームデータがない場合(ステップST17)は、次ブロックデータをバッファへ読み込む(ステップST18)。一方、ステップST17において、次フレームデータがあった場合は、バッファのブロックデータから次フレームデータを取り出し、前回送出したフレームデータの記録時刻と次フレームデータの記録時刻の時間差を送出待ち時間Wとして保持する(ステップST19)。前回フレームデータを送出した時刻から待ち時間Wが経過していた場合(ステップST20)、次フレームデータで処理ステップST15の処理を実行する。また、ステップST20において、待ち時間Wが経過していない場合は経過するまで待つ。
【0023】
上記再生処理を実行している間、記録・読出し制御部130は記録媒体140上のブロックデータ領域400から、ブロック管理テーブル300のリンク情報に従って、ブロックデータを順番に読み出すとともに、ブロックデータ内のヘッダ情報に記録されているフレーム管理情報に従ってフレームデータを順番に記録時刻を再現するように取り出し、表示装置3へ再生映像を送出する。このとき、記録媒体140からのデータ読み出しは、ブロック単位の映像データにアクセスすることになるため、記録媒体からのデータ読み出し性能の向上が図れる。
また、フレームデータへアクセスするためにブロックデータのヘッダ情報を読み出す必要があるが、このとき一度の処理で、ヘッダ情報を読み出すと同時に該当フレームデータを含むブロックデータも読み出すことができるため、管理情報を仮想記憶によって管理するメモリ削減方法と比較して効率が良い。
【0024】
以上のように、この実施の形態1によれば、フレームデータ(映像データの単位データ)をブロック単位にまとめて記録するようにし、その際ブロックデータのヘッダ情報としてフレームデータに関する管理情報を付加しておき、ブロックデータをブロック情報テーブルにて管理するようにしている。したがって、記録時および再生時には、映像情報を管理する映像管理テーブルとブロックの位置情報を管理するブロック管理テーブルのみを物理メモリに読み出して管理するため、アクセス性能の向上を図ることができるとともに、従来フレーム管理テーブルに割り当てられたメモリ使用量を削減できる。また、再生時には、フレームデータにアクセスするためにブロックのヘッダ情報を読み出すと同時に該当フレームデータを含むブロックデータを読み出すようにしたので、効率よくフレームデータにアクセスができるため、再生時の性能向上も図ることができる。
【0025】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。図において、この実施の形態2は、監視カメラおよび表示装置をそれぞれ複数台接続した映像記録再生装置について示している。ここでは、2台接続を例としているが、2台以上であってもよい。
映像受信部11では、監視カメラ2a,2bからそれぞれの監視映像を受信するが、各映像は別々に受信されて映像変換部12へ渡される。映像変換部12では、各映像を記録に適した形式に変換するが、このとき、撮影時刻および監視カメラ2a,2bのそれぞれを識別するための情報(カメラID)を対応する映像データに付加する。記録・読出し制御部130では、映像データに付加された識別情報から、どの監視カメラからの映像データかを識別して、カメラ毎に映像データを記録媒体140に記録する。記録・読出し制御部130にて行われる記録処理の動作は、監視カメラごとの映像データに対して図4に示した処理フローが行われるだけであり、処理内容そのものは殆んど変わらない。そのため、監視カメラごとの映像データが時間経過とともに対応ブロックへ記録されていく。ただし、符号化レートの異なる監視カメラからの複数映像を同時に記録する場合は、撮影日時が同時刻帯の映像データを含むブロックは交互に隣接して連続して記録する。このことにより、ハードディスクのような記録媒体は物理的にヘッド移動量が少なくなり、シーケンシャルな記録を行うことができる。
【0026】
この実施の形態2に係るデータ構造の各部の具体例とデータ関係を図7に示す。実施の形態2の映像管理テーブル200では、実施の形態1の図3における映像管理テーブルに対して、カメラIDのフィールドが追加されており、それ以外の構成は基本的に同じである。この例では、映像管理テーブル200の映像番号1にはカメラIDとしてaが記録されていることから、監視カメラ20aからの映像データが記録されていることを表す。また、映像番号2のレコードにはカメラIDとしてbが記録されていることから、監視カメラ20bからの映像データが記録されていることを表す。これとリンクするブロック管理テーブル300では、映像番号1の映像としてブロック番号1と3が使用され、映像番号2の映像としてブロック番号2が使用されていることを表している。なお、映像管理テーブル200のカメラIDは、再生要求するときに操作者が指定する記録映像の検索キーとして指定時刻とともに用いられる。
【0027】
一方、記録した映像を表示装置3aおよび表示装置3bで再生する場合、記録・読出し制御部130では、記録媒体140から読み出したブロックの映像データに、送出先となる表示装置を識別する情報(表示装置ID)を付加して、映像変換部15へ出力する。この場合、どのカメラの映像をどの表示装置で再生するかということが一般的に行われるから、例えばカメラIDと表示装置IDとの組み合わせテーブルを予め設けておき、読み出した映像データに付加されているカメラIDに対応する表示装置IDを取り出して付加するようにすればよい。映像変換部15および映像送信部16では、付加された識別情報に基づいて表示先の表示装置に切り替えて映像を送出するように動作する。なお、記録媒体140から読み出す映像データは表示先の表示装置の数に応じて、複数の映像データを同時に読み出して送出することも可能である。
また、監視用途では異なる場所に設置された複数の監視カメラからの映像を同時に記録しておき、これら記録されている映像を、記録時刻と同期させて複数の表示装置に並べて表示する場合がある。このような場合の再生動作においては、記録・読出し制御部130は再生処理をそれぞれの表示装置に対して複数同時に行うことになる。この場合の記録されている映像データは既に同時刻帯のブロックとして記録媒体140上に交互に隣接して記録されているので、ハードディスクのような記録媒体では物理的に少ないヘッドの移動量で各ブロックを読み出すことができる。
【0028】
以上のように、この実施の形態2によれば、複数台のカメラによる記録を行う場合でも、映像管理テーブルに監視カメラの識別情報を追加することで、実施の形態1での基本構成を変更することなく記録が行え、撮影日時が同時刻帯の映像データを含むブロックは交互に隣接して連続して記録されるようにしたので、シーケンシャルなデータの記録が行える。また、同時に記録した複数台のカメラからの同時刻帯の映像を、複数台の表示装置によりマルチ画面のように同時に映像を並べて再生するような場合、同時刻帯に記録されたブロックは記録媒体上で交互に隣接してシーケンシャルに記録されているため、ハードディスクのような記録媒体では物理的にヘッド移動量が少なくなり、効率の良い再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施の形態1による映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る記録媒体に形成されるデータ構造を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るデータ構造の各部の具体例とデータ関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る記録時の処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る再生時の処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2による映像記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るデータ構造の各部の具体例とデータ関係を示す説明図である。
【図8】従来の記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】従来の記録媒体のデータ構造を示す説明図である。
【図10】従来の記録媒体のデータ構造の各部の具体例とデータ関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 映像記録再生装置、2 監視カメラ、3 表示装置、11 映像受信部、12 映像変換部(第1の映像変換部)、15 映像変換部(第2の映像変換部)、16 映像送信部、130 記録・読出し制御部、140 記録媒体、200 映像管理テーブル、300 ブロック管理テーブル、400 ブロックデータ領域、401,402 ブロックヘッダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラからの映像を記録に適した形式の映像データに変換する第1の映像変換部と、映像データを記録する記録媒体と、前記映像変換部で変換された映像データを前記記録媒体に記録し、要求に応じて当該記録媒体から記録された映像データを読み出す処理を行う記録・読出し制御部と、記録・読出し制御部から読み出された映像データを表示に適した形式の信号に変換する第2の映像変換部とを備え、
前記記録媒体は、記録する映像データの単位データよりも十分に大きな固定サイズのブロック単位で区画されたブロックデータ領域と、前記ブロックデータ領域に記録された映像データがあてはめられたブロックの先頭ブロック番号、終端ブロック番号、記録時刻の範囲を含む映像管理テーブルと、前記ブロックデータ領域上のブロックの位置情報、リンクする前後ブロック番号、映像データの単位データの数、記録時刻の範囲を含むブロック管理テーブルを有し、
前記記録・読出し制御部は、記録する映像データの単位データをブロック単位にまとめ、その際、ブロックに含まれる映像データの単位データ毎の記録時刻およびブロック上の位置情報をブロックのヘッダ情報として付加し、生成したブロックを前記ブロックデータ領域に順次記録し、またこの記録処理に伴って前記映像管理テーブルおよび前記ブロック管理テーブルを更新することを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】
記録・読出し制御部は、指定時刻の映像データを読み出す際には、映像管理テーブルとブロック管理テーブルに基づいて該当映像データを含むブロックを特定して読み出し、そのブロックのヘッダ情報に基づいて前記指定時刻以降にある映像データを当該特定されたブロックから読み出して第2の映像変換部へ出力することを特徴とする請求項1記載の映像記録再生装置。
【請求項3】
第1の映像変換部は、複数のカメラからの映像データが同時に入力された場合に、カメラの撮影時刻およびカメラの識別情報を対応する映像データに付加して出力し、
記録・読出し制御部は、撮影時刻が同じ時刻帯の映像データを含むブロックを記録媒体上で隣接させて連続的に記録し、
映像管理テーブルは、記録した各映像データに対応するカメラの識別情報を含み、前記記録・読出し制御部により記録時に更新されるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の映像記録再生装置。
【請求項4】
記録・読出し制御部は、記録された映像データを異なる表示装置で再生する場合は、記録媒体から読み出したブロックの映像データに、送出先となる表示装置の識別情報を付加して第2の映像変換部へ出力することを特徴とする請求項2または請求項3記載の映像記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−193598(P2008−193598A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28339(P2007−28339)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】