説明

映像送出システム、および映像送出制御方法

【課題】 モーション表示の開始タイミング制御が容易な映像送出システムと映像送出制御方法を提供する。
【解決手段】 ビデオサーバ3Aは、効果映像作成装置7によって作成されたモーション表示のフレーム毎の画像のファイルf0〜fnをファイル群F1にして記憶し、APC1は、局内時計8を参照しつつ番組進行を制御するテーブルTに設定されたタイミングに従って、静止画ファイルf0からモーションの動画ファイルf1〜fnを順番にビデオサーバ3Aから読み出してスイッチャ4を介して送信器へ向けて出力するモーション表示の映像送出制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送の映像送出システム、および映像送出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送では、番組提供者や番組タイトルのマークや文字を静止した画面表示から、マークや文字を回転する「ターン表示」を代表としてモーション表示と呼ばれる映像効果がある。ターン表示は、例えば、実況中継やスタジオ収録番組の動画面を背景に静止して番組提供者の企業マークやロゴが表示され、あるタイミングでそのロゴ表示が回転し背面表示され再び正面表示になるものである。
【0003】
以下、テレビ放送のモーション表示の映像効果について、ターン表示を例に映像送出システムの動作、処理を説明する。モーション表示される時の放送の画面表示は、番組本来の映像の出力信号と、効果映像の出力信号との2つのコンテンツがそれぞれの映像出力源から同時に出力され、これらの出力信号がミキシング編集された放送映像となり映像送出システムから送信器へ向けて出力される。
【0004】
図9は、従来の放送の本体のコンテンツの映像出力と効果映像の出力とのタイミング図である。
ターン表示のコンテンツでは、そのマークをターン表示する時間の前後の静止時間を含めた想定放送時間の長さの効果映像(コンテンツ)ファイルを作成して、一旦ビデオサーバに収録し、それを放送時間に合せて読み出し、番組本来のコンテンツと重畳編集することにより放送している。
【0005】
図9において、Rは効果映像が出力される時間、Pは本放送(本来出力される番組コンテンツ)が出力される時間、t0は番組の放送開始時刻、t0〜t1およびt2〜t3は、静止表示、t1〜t2は、文字が回転を開始する時間である。
【0006】
しかし、放送時間は、スポーツ中継や、報道中継を代表とするように番組の開始タイミングt1が変動し、それに伴いターン表示タイミングが変更されることがある。この場合、上記のような効果映像は、予定された送信開始時間がずれ、t0〜t1、t2〜t3の時間が変わってもターン表示時間長t1〜t2は一定にして放送しなければならない。
【0007】
従来のターン表示を行う効果映像の表示は、コンテンツが正しいものが準備されているかどうかを確認できるよう、その番組の開始の映像をスチル表示して保持することにより内容を確認している例があるが、この場合でも、マークが静止画表示される上記t0〜t1およびt2〜t3を含んだ連続した効果映像ファイルが準備される(例えば、特許文献1。)。
【0008】
つまり放送時間変更に伴いターン表示開始タイミングも変更される場合に、ターン表示開始タイミング制御をしなければならないが、作成済みの効果映像ファイル中のt0〜t1およびt2〜t3を変えるのは容易ではない。また、ターン表示開始タイミングを書き換えた効果映像ファイルを準備したとしても、ビデオサーバで速やかに差し替えるのは困難である。かつ静止画を表示する時間を含めたデータファイルがビデオサーバに蓄えられるのでその蓄積容量を無駄に消費する問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するために、モーション表示の開始タイミング制御が容易な映像送出システムと映像送出制御方法を提供することを目的とする。
【特許文献1】特開2004−274568号公報 (第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、モーション表示を含む番組の放送時間が変更される場合、効果映像ファイル中のターン表示の開始タイミングの書き換えが困難、更に書き換えられた映像効果ファイルを、ビデオサーバで速やかに差し替えるのは困難であり、かつ不要な待機時間を含めた長さのファイルがビデオサーバに蓄えられるのでその蓄積容量を無駄に消費する問題があった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するために、モーション表示の開始タイミング制御が容易なビデオサーバシステムと番組信号制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の映像送出システムは、制御信号を伝送するネットワークに接続された放送局機材を局内時計に同期して放送番組の送出管理を行うAPCにより制御され、番組のコンテンツを蓄積出力するビデオサーバを備える映像送出システムにおいて、それぞれが識別情報を有する1フレーム単位の画像ファイル複数を編集してファイル群を作成し、モーション表示のコンテンツとする効果映像作成装置と、前記ネットワークに接続され、前記効果映像作成装置との間で前記ファイル群を前記効果映像作成装置との間の通信手段又は、記憶媒体を介する入力手段により入力して記憶手段に蓄積するビデオサーバと、前記モーション表示のコンテンツをフレーム単位で出力する前記画像ファイルの識別情報とタイミングとをテーブルにして管理し、前記ビデオサーバから静止画の画像情報を出力するために前記テーブルに設定された前記前記モーション表示のコンテンツの第1のフレームの画像ファイルを継続して出力する開始タイミングと終了タイミング、および前記ビデオサーバがモーション表示の動画を出力するために前記第1のフレームに続く第2のフレーム以降の画像ファイルを順次出力するタイミングを与える制御信号とを前記ネットワークを介して前記ビデオサーバへ出力するAPCとを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の映像送出システムの映像送出制御方法は、制御信号を伝送するネットワークに接続された放送局機材を局内時計に同期して放送番組の送出管理を行うAPCにより制御され、効果映像作成装置が作成した番組のコンテンツを蓄積出力するビデオサーバを備える映像送出システムの映像送出制御方法において、前記効果映像作成装置は、それぞれが識別情報を有する1フレーム単位の画像ファイル複数を編集してモーション表示の前記コンテンツとなるファイル群を作成し、ビデオサーバは、前記ネットワークに接続され、前記効果映像作成装置との間で前記ファイル群を前記効果映像作成装置との間の通信手段又は、記憶媒体を介する入力手段により入力して記憶手段に蓄積し、前記APCは、前記モーション表示のコンテンツをフレーム単位で出力する前記画像ファイルの識別情報とタイミングとをテーブルにして管理し、前記ビデオサーバから静止画の画像情報を出力するために前記テーブルに設定された前記前記モーション表示のコンテンツの第1のフレームの画像ファイルを継続して出力する開始タイミングと終了タイミング、および前記ビデオサーバがモーション表示の動画を出力するために前記第1のフレームに続く第2のフレーム以降の画像ファイルを順次出力するタイミングを与える制御信号とを前記ネットワークを介して前記ビデオサーバへ出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モーション表示の開始タイミング制御が容易な映像送出システムと映像送出制御方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る映像送出システムの機能構成を示すブロック図である。
図1において映像送出システムは、APC(自動番組創出設備:Automatic Program Controller)1、制御卓2、ビデオサーバ3A〜3n(以下、必要のない限りビデオサーバ3と省略する。)スイッチャ4、ミキサ5、および前記各構成の間に設けられるネットワーク6とを備え、更に効果映像作成装置7と局内時計8とを具備している。
【0017】
また、上記構成に加えてスイッチャ4とミキサ5との間ビデオサーバ3A〜3n、および効果映像作成装置7とビデオサーバ3Aの間が伝送ラインLにより映像情報が入出力するよう接続され、スイッチャ4に接続される装置間では映像信号の伝送網が構成されている。
【0018】
効果映像作成装置7は、CG作成を行うコンピュータ、または、カメラで撮影した映像を電子ファイル化する情報処理端末である。
【0019】
局内時計8は、映像送出システムのAPC1、ビデオサーバ3A〜3n、スイッチャ4、ミキサ5始め、放送局内の各装置が同期して動作するための時刻情報を出力するものである。時刻情報は、局内時計8から図示されないクロックラインにより上記の各構成に供給されて各装置内の内部時計としてされるか、または、適宜各装置の内部時計が、局内時計8の時刻情報のタイミングと同期するよう定期的に所定の同期処理が行われる。
【0020】
APC1は、図示されない上位のデータサーバから供給される番組時刻表に従って、各構成の動作を制御し、所定のコンテンツをミキサ5から送信機へ向けて出力する制御を行う。この制御は、APC1の制御部11が局内時計8を参照してAPC1のメモリMに作成されたタイムテーブル(以下、テーブルと称する。)Tを読み出して生成した各構成を制御する制御信号をネットワーク6を介して各構成へ伝送することにより行われる。
【0021】
APC1は、映像送出システムの各装置が動作をするタイミング(時刻)にファイル出力やスイッチャ4を介しての機器間接続等の所定の動作を命令する制御信号を送信するか、又は、予め各構成(装置)が行う上記同様の動作とその動作時刻を、ネットワーク6を介して送信する制御信号に書き込んで各構成に送信する。各構成は、このいずれかの方法により制御され、所要のタイミングでコンテンツを送信器に向けて出力する動作を行う。
【0022】
制御卓2は、APC1に動作コマンドや、番組データ等を入力する入力手段でテーブルTにもこの入力データが書き込まれる。
【0023】
ビデオサーバ3A、3BはAPC1の制御に従って各種の放送番組のコンテンツをデジタルの映像情報として蓄積し、図1の各構成との間の映像情報の通信手段である伝送ラインLを介して出力する。ここでは、ビデオサーバ3Aには、企業マークのターン表示のようなモーション表示の効果映像が蓄積され、ビデオサーバ3Bにはドラマ等の番組コンテンツや広告映像が蓄積され、APC1からの制御信号により、両ビデオサーバ3A、3Bからスイッチャ4を介してミキサ5へコンテンツの映像情報が出力されるものとする。
【0024】
続いて、以下に効果映像の表示形態について説明する。
【0025】
図2は、ターン表示による効果映像の一例を示す図である。
図2(a)は、ターン表示で「TURN」のマークが静止画で表示される状態を示し、図2(b)は、回転中のマークを示す。
【0026】
マークは、通常CG(コンピュータ グラフィック)処理するか、または、手書きの図画等を1こま(1フレーム毎)ずつ撮影する効果映像作成装置7等により画像が作成され、その画像は、更にアニメーションに必要な例えば、TIFF(Tagged Image File Format)の効果映像のファイルにされる。
【0027】
例えば、効果映像作成装置7は、1フレーム毎のTIFFのファイルf0〜fnを作成し、最初と最後の静止画表示用のf0とそれに続くモーション画面、動画f1〜fnが連続する効果映像に編集したターン表示のファイル群F1を作成する。そして、作成されたファイル群F1は、効果映像作成装置7から記憶媒体によりビデオサーバ3Aに受け渡されてコピーされるか、または、APC1からオペレータが入力するファイル管理コマンドにより伝送ラインLへ出力され、その接続先のビデオサーバ3Aの記憶手段に予め蓄積される。
【0028】
図3は、ビデオサーバの機能ブロック図である。
図3においてビデオサーバ3は、ネットワーク6に接続され、制御信号が入出力する制御I/F31、デジタル映像データが入出力するインタフェースのビデオI/F32、データやファイル群F1を記憶蓄積する記憶手段の記憶部33、そして記録媒体とのデータや、自装置の動作設定や映像モニタを行う入出力部34、制御部35、これらの各構成の間を接続し情報を伝送する内部バス36、内部時計37とを備えている。制御部35は、各構成との間で情報、データ等を入出力し映像入出力に係わる処理、および制御監視を行う。
【0029】
次に図3を参照して、ビデオサーバ3による映像情報の処理概要を説明する。
【0030】
効果映像作成装置7で作成された映像情報は、ファイル群F1が記憶された半導体メモリ、光磁気ディスク等の記録媒体が入出力部34に挿入され、ファイル群F1が読み出され制御部35の制御により内部バス36を介して一旦、記憶部33へ転送され書き込まれる。又は、他の方法としてファイル群F1が効果映像作成装置7との間を接続する伝送ラインLによってビデオI/F32を介して入力され、制御部35により内部バス36を介して記憶部33へ書き込まれる。
【0031】
サーバ3Aは、書き込まれたこのファイル群F1の各ファイルf0〜fnを読み出して制御部35によって所定の放送用素材のデータファイル、例えばモーションJPEG表示するためにJPEGフォーマットのデータファイルに変換した後、記憶部33に書き込み蓄積記憶する。
【0032】
一方、サーバ3AにはAPC1から番組放送時刻に先駆けて映像情報(コンテンツ)の出力管理を行うテーブルTを参照して送信した制御信号がネットワーク6と制御I/F31を介して入力される。制御部35は、入力された制御信号からモーション表示をするためのタイミング制御情報を判読し、そのタイミングに記憶部33から順次所定のファイルf0〜fnを読み出して、ビデオI/F32を介して伝送ラインLへ出力する。
【0033】
前述の如く、制御信号がターン開始などのタイミングの時刻情報を含むもので有れば、制御部35は、内部時計37を参照して記憶部33からファイルf0〜fnを読み出してファイル出力を行う。また制御信号のタイミング情報が時刻情報を含まずにファイル出力を都度命ずるコマンドで有れば、制御部35は、入力される制御信号のコマンドに応答して制御信号を受信したタイミングにファイルf0〜fnを記憶部33から読み出して出力する処理を行う。
【0034】
さて、ファイルf0の“f0”は、ターン表示の固定画面(静止画)に割り振られる識別番号である。また、f1〜fnはモーション表示の各フレームを構成するファイルに割り当てられる順番の識別番号であり、最終の1フレームがfnである。f1〜fnはフレーム数からモーション表示時間が算定できる。1秒では、30フレーム表示出来るので、例えば、90枚(フレーム)のアニメ画を用いれば、3秒のターン表示となる。
【0035】
図4は、アニメーションによりターン表示を行う場合のビデオサーバの動作タイミング図である。
図4において、Rは効果映像が出力される時間、Pは、本放送(本来出力される番組コンテンツ)が出力される時間、t0が番組の放送開始時刻、t0〜t1およびt2〜t3は、静止表示、t1〜t2は、文字が回転を開始するタイミングである。なお、図4中の時刻表示は、後の図5以降で示される映像送出システムのターン表示のタイミングを表している。
【0036】
図4のタイミングt0では、APC1からの制御により、ファイル群F1が記憶部33から読み出され、図2(a)の静止画であるJPEGファイルf0が出力される。またタイミングt1では、続いてモーション最初のJPEGファイルf1が読み出されて出力される。同様にタイミングt2まで順次JPEGファイルf2〜fnまでが出力されマークが回転する映像が表示される。そして、タイミングt2を過ぎるとタイミングt3まで再びJPEGファイルf1が読み出されて出力されて静止画となる。
【0037】
図5は、本発明の実施例に係わる映像送出システムのAPC1の番組コンテンツの送出を管理するタイムテーブルの例である。
テーブルTは、APC1の記憶部に書き込まれ、番組名称とその放送コンテンツの指定およびコンテンツを出力する装置名称が挙げられ、各装置からコンテンツを出力するタイミングを示す時刻表である。テーブルTは、予めAPC1に設定されるが、その後オペレータが制御宅2から入力するデータ、コマンドにより修正変更される。
【0038】
以下、図5を参照して映像送出システムの動作を説明する。図5では、20:50分に予定されていたニュース番組に代わって放送中のスポーツ中継が延長して放送されることになり、スポンサーのマークがターン表示される例である。そして、ビデオサーバ3Aから送出されるターン表示の効果映像と、中継車から供給されるスポーツ中継の映像信号をミキサ5が重畳編集して送信器に向け出力される。
【0039】
図5において、20:30:00からは「中継車」からのカメラ映像等の映像信号「EDIT V」のみが送信器へ向けて出力されている。即ち、スイッチャ4からミキサ5へ入力されるのは、1つの映像信号のみである。
【0040】
そして20:40:00になると、定時の広告を放送するために一旦中継車の映像がカットされることが「−」で示され、一方、図1のビデオデオサーバ3Bに相当する「VS−B」から広告コンテンツ「BCM001」に切り替えられ、20:40:30までの30秒に亘り出力される。ミキサ5は、この時点までスイッチャ4により選択されたいずれか1つの映像信号を送信器に向けて出力している。
【0041】
そして20:40:30まで再び「中継車」からのコンテンツである映像信号「EDIT V」が出力される。その後、本来で有れば、20:50:00になると、ニュース番組に切り替えられるが、ここではスポーツ中継が継続して放送されるので、それに伴って修正変更されたコンテンツ送出のタイミングがテーブルTに設定されている。
【0042】
図5では、書き換えられた部分が太字表示され、20:50:00になるとそのまま「中継車」からの映像信号を入力することと、図1のビデオサーバ3Aに相当する「VS―A」から、ターン表示の効果映像コンテンツ、言い替えれば静止画表示ファイル「ACMF1−f0」が出力されることが示されている。
【0043】
ここで、「ACMF1−f0」の“ACMF1”は、ファイル群、コンテンツ名称、“―f0”のファイルf0を出力することをビデオサーバ3Aに示すコマンドである。また、“−f1/fn”は、ファイルf1〜fnまでを出力することを示すコマンド、“−”は出力を停止しスイッチャ4から切り離すコマンドである。
【0044】
20:50:00になるとスイッチャ4は、2つの映像信号をミキサ5に出力し、画面では、スポーツの中継カメラ映像を背景にしてマークがターン表示されるようにミキサ5は2つの映像信号を混合して送信器に向けて出力する。
【0045】
ここではターン前の静止画表示が20:50:10までの10秒間行われ、「コマンドF1−f1/fn」によって続く5秒間20:50:15までマークが回転する動画のファイル「F1−f1〜fn」が続いて順番に出力される。そして、動画表示が終わると、再び静止画用の「F1−f0」が5秒間出力される。前述の通り1秒では、30フレーム表示するので、5秒のターン表示に150枚(フレーム)のアニメーション画像を用いることになり「fn」は150のサフィックスが付与されている。
【0046】
このフレーム数と表示時間の関係は一義的に定まるので、フレーム数を制御卓2から入力設定すれば、APC1の制御部が演算することによりターン表示を終える時刻が自動的にテーブルTへ設定される。また、反対にターン表示を終える時刻が入力された場合には、フレーム枚数が演算され設定されるようにしても良い。
【0047】
また、アニメーション画像が例えば、75枚(2.5秒のターン表示画)の様な単位で構成される場合、f300の様にフレーム数に75枚以上(または、2.5秒以上)の数が設定された場合は、フレームの最初のf0から繰り返す様にAPC1のターン表示の制御、言い替えればテーブルTを設定するようにしても良いし、76枚目以降は75枚目で停止し静止画の表示を続けるようにしても良い。これらの選択は、APC1の制御部11に対するプログラムによって制御卓2からパラメータ設定出来るようにしておけばよい。
【0048】
最後に20:50:25になると、ビデオサーバ3Aの「VS―A」は切り離され、また、スポーツ中継の映像「EDIT V」のみが放送される。
【0049】
なお、APC1のプログラムに、ビデオサーバ3Aの仕様に対応していくつか応用モードを設定できる様にしても良い。例えば、所定フレーム数のフレーム出力指定をする場合、その制御信号をAPC1から受信するビデオサーバ3Aが、予め所定の動作モード設定により、繰り返し表示か静止画表示を設定できる場合には、それに合わせて制御卓2から繰り返し表示か静止画表示を指定するコマンドを入力すれば良い。
【0050】
本発明の映像送出システムは、上記構成に限ることなく構成の組み合わせ等に変形があるもので有っても良く、例えば、ビデオサーバに効果映像作成装置が組み込まれるか、一体化したもので有っても良い。
【0051】
従来は、番組変更が有った場合、ビデオサーバから出力するターン表示映像はターン開始するまでの時間変更が出来ず、例えば、VTRからの出力信号を、一度出力してオペレータがモニタして回転開始する直前のタイミングでスチル表示に保ち、回転開始の時刻(タイミング)でオペレータがスチル解除をするなどの操作を必要とするなど、映像信号を自動送出できなかった。
【0052】
しかし、本発明による映像送出システムでは、上記説明の如く効果映像をフレーム単位でファイルして送出制御していることにより、ターン表示を行う場合に、頭出しのタイミングは、ターン開始フレームのファイルを出力するターン開始タイミングを指定するだけで後は自動的に送出される。
【0053】
従って制御卓2から随時入力されるタイミング設定に従ってターン表示の効果映像を自動送出することができるとともに、ビデオサーバ3Aが記憶しなければならない映像データは、25秒間のターン表示の内5秒間で済ませることができるのでビデオサーバの蓄積容量節約に役立つ。
【実施例2】
【0054】
実施例2は、映像送出システムの構成は実施例1と同様である。
【0055】
実施例1においては、アニメーション画面の効果映像をフレーム単位で送出制御している。しかし、ビデオサーバ3は、効果映像のファイル群F1を上位から管理し、画像ファイルの出力開始と終了、およびターン開始及び停止のタイミングを指示することも可能である。
【0056】
図6は、本発明の実施例2に係わる映像送出システムのAPC1の番組コンテンツの送出を管理するタイムテーブルの例である。
図6(a)は、静止画出力開始、ターン開始し動画出力、ターン停止し静止画出力を時刻「20:50:00」、「20:50:10」、「20:50:15」に行うことを、それぞれ、コマンド“−s”、“−m”、“−s”で指定し、「20:50:25」になるとコマンド“−”により、出力停止とビデオサーバ3Aが切り離されることが指定されている。
【0057】
図6(b)は、実施例2における別のコマンドによるターン制御の設定例であって、静止画出力開始、ターン開始し動画出力、を時刻「20:50:00」、「20:50:10」に行うことを、それぞれ、コマンド“−s”、“−m&s”、で指定している。ここでコマンド“−m&s”は、順番に動画のファイルを出力してターンを1回行い、つまりファイルfnまで出力されると、その後静止画出力(ファイルf0)を行うコマンドである。
【0058】
そして、ターンは5秒間かかるので、その後「20:50:15」になると静止画表示になることが制御部35によりターン表示処理の時間の算出により時刻表示のみされているが、この表示は省略されても良い。「20:50:25」になるとコマンド“−”により、出力停止とビデオサーバ3Aが切り離されることは、図6(a)と同様である。
【0059】
実施例1、実施例2では、ターン表示を例にモーション表示の動作処理を説明したが、モーション表示は、ターン表示に限られること無く、形状、色が白色から順次赤色へ変化する等他の表示形態変化、それらの組み合わせであっても本発明が適用されることは同様である。
【0060】
図7、図8は、ターン表示以外のモーション表示の形態の例である。
図7(a)〜(c)は文字や、マークの形状が波状に変化して元に戻るものである。また、図8は、最初の静止画(球形)からモーション表示後に別の静止画(立体)になって終了するものである。また、運動や形体のモーション表示以外に色が変化するもので有っても良い。
【0061】
また、この他、MPEGで作成された実写の映像コンテンツを用いるものであっても良い。例えば、ゴルフのスイングの様にティーアップ後のスイング開始姿勢の静止画からフォロースルー姿勢までの静止画の間の実写映像をモーション表示するものを上記の方法で表示するものである。
【0062】
以上説明した如く、本発明の映像送出システムおよび映像送出制御方法は、モーション開始、終了のタイミング設定のみでモーション表示の効果映像を自動送出することができるとともに、ビデオサーバが記憶する効果映像データを少量で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1に係る映像送出システムの機能構成を示すブロック図。
【図2】ターン表示による効果映像の一例を示す図。
【図3】ビデオサーバの機能構成を示すブロック図。
【図4】ビデオサーバがターン表示を行う場合の動作タイミング図。
【図5】本発明の実施例1に関わる映像送出システムのAPCの番組コンテンツの送出を管理するタイムテーブルの例。
【図6】本発明の実施例2に関わる映像送出システムのAPCの番組コンテンツの送出を管理するタイムテーブルの例。
【図7】マークが波状に変化するモーション表示の例。
【図8】立体が球形から立方体へ変化するモーション表示の例。
【図9】従来の放送の本体のコンテンツの映像出力と効果映像の出力とのタイミング図
【符号の説明】
【0064】
1 APC(自動番組送出設備:Automatic Program Controller)
2 制御卓
3 ビデオサーバ (A、B・・・)
31 制御I/F
32 ビデオI/F
33 記憶部
34 入出力部34
35 制御部
36 内部バス36
37 内部時計
4 スイッチャ
5 ミキサ
6 ネットワーク
7 効果映像作成装置
8 局内時計
L 伝送ライン
T テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を伝送するネットワークに接続された放送局機材を局内時計に同期して放送番組の送出管理を行うAPCにより制御され、番組のコンテンツを蓄積出力するビデオサーバを備える映像送出システムにおいて、
それぞれが識別情報を有する1フレーム単位の画像ファイル複数を編集してファイル群を作成し、モーション表示のコンテンツとする効果映像作成装置と、
前記ネットワークに接続され、前記効果映像作成装置との間で前記ファイル群を前記効果映像作成装置との間の通信手段又は、記憶媒体を介する入力手段により入力して記憶手段に蓄積するビデオサーバと、
前記モーション表示のコンテンツをフレーム単位で出力する前記画像ファイルの識別情報とタイミングとをテーブルにして管理し、前記ビデオサーバから静止画の画像情報を出力するために前記テーブルに設定された前記前記モーション表示のコンテンツの第1のフレームの画像ファイルを継続して出力する開始タイミングと終了タイミング、および前記ビデオサーバがモーション表示の動画を出力するために前記第1のフレームに続く第2のフレーム以降の画像ファイルを順次出力するタイミングを与える制御信号とを前記ネットワークを介して前記ビデオサーバへ出力するAPCとを
具備することを特徴とする映像送出システム。
【請求項2】
前記APCが出力する前記制御信号の前記各タイミングを与える情報は、時刻情報であって、
前記ビデオサーバは、内部時計を備え、入力される前記制御信号の時刻情報と内部時計とを参照して前記各画像ファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システム。
【請求項3】
前記APCは、
前記テーブルに設定された時刻になると、都度画像ファイルを出力するコマンドの前記制御信号を出力し、
前記ビデオサーバは、
前記制御信号が入力されたタイミングに前記コマンドへの応答として前記識別情報で指定される前記画像ファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システム。
【請求項4】
前記APCは、
前記静止画の表示を開始する制御を行う場合、
前記識別情報に代わり、静止画表示を指定するコマンドを含む前記制御信号を出力し、
前記静止画表示を指定するコマンドを受信した前記ビデオサーバは、
前記ファイル群の先頭にあるファイルを前記第1の画像ファイルとして出力し、
前記APCは、前記動画の表示を開始する制御を行う場合、
前記識別情報に代わり、動画の表示を指定するコマンドを含む前記制御信号を出力し、
前記動画表示を指定するコマンドを受信した前記ビデオサーバは、
前記ファイル群の先頭に続くファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システム。
【請求項5】
前記効果映像作成装置は、前記ビデオサーバの構成に含まれることを特徴とする請求項1記載の映像送出システム。
【請求項6】
制御信号を伝送するネットワークに接続された放送局機材を局内時計に同期して放送番組の送出管理を行うAPCにより制御され、効果映像作成装置が作成した番組のコンテンツを蓄積出力するビデオサーバを備える映像送出システムの映像送出制御方法において、
前記効果映像作成装置は、それぞれが識別情報を有する1フレーム単位の画像ファイル複数を編集してモーション表示の前記コンテンツとなるファイル群を作成し、
ビデオサーバは、前記ネットワークに接続され、前記効果映像作成装置との間で前記ファイル群を前記効果映像作成装置との間の通信手段又は、記憶媒体を介する入力手段により入力して記憶手段に蓄積し、
前記APCは、前記モーション表示のコンテンツをフレーム単位で出力する前記画像ファイルの識別情報とタイミングとをテーブルにして管理し、
前記ビデオサーバから静止画の画像情報を出力するために前記テーブルに設定された前記前記モーション表示のコンテンツの第1のフレームの画像ファイルを継続して出力する開始タイミングと終了タイミング、および前記ビデオサーバがモーション表示の動画を出力するために前記第1のフレームに続く第2のフレーム以降の画像ファイルを順次出力するタイミングを与える制御信号とを前記ネットワークを介して前記ビデオサーバへ出力する
ことを特徴とする映像送出システムの映像送出制御方法。
【請求項7】
前記APCが出力する前記制御信号の前記各タイミングを与える情報は、時刻情報であって、
前記ビデオサーバは、内部時計を備え、入力される前記制御信号の時刻情報と内部時計とを参照して前記各画像ファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システム映像の送出制御方法。
【請求項8】
前記APCは、
前記テーブルに設定された時刻になると、都度画像ファイルを出力するコマンドの前記制御信号を出力し、
前記ビデオサーバは、
前記制御信号が入力されたタイミングに前記コマンドへの応答として前記識別情報で指定される前記画像ファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システムの映像送出制御方法。
【請求項9】
前記APCは、
前記静止画の表示を開始する制御を行う場合、
前記識別情報に代わり、静止画表示を指定するコマンドを含む前記制御信号を出力し、
前記静止画表示を指定するコマンドを受信した前記ビデオサーバは、
前記ファイル群の先頭にあるファイルを前記第1の画像ファイルとして出力し、
前記APCは、前記動画の表示を開始する制御を行う場合、
前記識別情報に代わり、動画の表示を指定するコマンドを含む前記制御信号を出力し、
前記動画表示を指定するコマンドを受信した前記ビデオサーバは、
前記ファイル群の先頭に続くファイルを出力することを特徴とする請求項1記載の映像送出システム映像の送出制御方法。
【請求項10】
前記効果映像作成装置は、前記ビデオサーバの構成に含まれることを特徴とする請求項1記載の映像送出システムの映像送出制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−28502(P2008−28502A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196472(P2006−196472)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】