説明

映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法

【課題】複数の標準的な映像受信端末に対して、同じ映像コンテンツを同じタイミングでユニキャスト方式により配信することを実現する映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法を提供する。
【解決手段】複数の映像コンテンツデータを格納するコンテンツストレージ3と、映像受信端末に具備されたWebブラウザを利用して映像コンテンツを選択させる手段を提供する映像配信ポータルサーバ1と、前記配信グループIDの配信セッションを同じ映像を同じタイミングでユニキャスト配信するよう制御する手段を有する映像配信サーバ2とを有する映像配信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法に関し、特に、ネットワーク内で、単一のアドレスを指定して特定の相手にデータを送信するユニキャスト方式にて、複数の映像受信端末に対して映像配信を行う映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法として用いると好適である。
【背景技術】
【0002】
近年のブロードバンド回線の普及によって、ネットワークを利用して映像コンテンツを配信する映像配信サービスが広まっている。
【0003】
映像配信サービスは、ユニキャスト方式によるビデオ・オン・デマンド(VOD:Bideo on Demand)型映像配信サービス(以下ビデオ・オン・デマンドサービスと称する)と、マルチキャスト方式による放送型映像配信サービス(以下放送型サービスと称する)に大きく分類される。
【0004】
複数の利用者に対して同じ映像コンテンツを同じタイミングで配信するサービスを提供する場合、従来の技術ではマルチキャスト方式を用いて映像コンテンツを映像受信端末に配信していた。しかしながら、マルチキャスト方式で配信するためには、マルチキャストに対応したネットワークを構築しなければならないという課題があった。この為、1つの事業者内でCDN(Contents Delivery Network)を構築してマルチキャスト配信するサービスに留まっていたのが一般的であった。
【0005】
上記マルチキャスト方式の課題を解決するために、マルチキャスト方式ではなくユニキャスト方式にて、端末同士で同じ内容の映像を共有して同時に視聴することができるシステムが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
別の従来技術として、映像配信サーバの映像配信処理の負荷軽減を目的として、複数端末への映像配信する開始タイミングをとる方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
更に別の従来技術として、受信端末側でコンテンツを画面更新するタイミングを独自に同期させるコンテンツ同期システムが提案されている。(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2007−104193号公報
【特許文献2】特開2007−189437号公報
【特許文献3】特開2007−150838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術(特許文献1)においては、端末装置においてシステム時刻情報を送信する手段と、映像共有コマンドを受信する手段と、受信した映像共有コマンドから映像配信要求を送信する手段が必要となり、専用の端末装置が必要となり、標準的な端末装置ではサービスが利用できない。
【0007】
また、従来技術(特許文献2)においては、同一の映像コンテンツに対して、同期ありの配信と、同期なしの配信とを区別して配信制御することができないばかりか、映像配信中に別の端末から同一コンテンツの配信要求があった場合、既に開始している映像配信と同期させることはできない。
【0008】
更に、従来技術(特許文献3)においては、画面の更新権の扱いに関するコンテンツ同期方法システムであり、この場合も受信側の端末装置は専用の端末装置が必要となり、標準的な端末装置ではサービスが利用できない。
【0009】
本発明は、複数の標準的な映像受信端末に対して、同じ映像コンテンツを同じタイミングでユニキャスト方式により配信することを実現する映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための第1の発明は、ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信システムにおいて、
複数の映像コンテンツデータを格納するコンテンツストレージと、前記映像受信端末に具備されたWebブラウザを利用して映像コンテンツを選択させる手段を提供する映像配信ポータルサーバと、前記配信グループIDの配信セッションを同じ映像を同じタイミングでユニキャスト配信するよう制御する手段を有する映像配信サーバとを有する。
【0011】
この第1の発明によれば、標準的な映像受信端末に対して、同じ映像コンテンツを同じタイミングでユニキャスト方式により配信することが可能であり、サーバ側の機能追加のみで実現可能な映像配信システムを提供できる。
【0012】
第2の発明は、ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信方法であって、映像配信ポータルサーバが映像受信端末からのポータルアクセス要求を受信するステップと、登録されているコンテンツ情報をポータル情報として前記映像受信端末に応答するステップと、前記映像受信端末が表示された前記映像配信ポータルサーバ上で視聴したい映像コンテンツを選択するステップと、前記映像配信ポータルサーバが前記映像受信端末からのコンテンツURLの要求を受信するステップと、ユニキャスト配信グループIDを含むコンテンツURLの応答を行うステップとを含んでいる。
【0013】
この第2の発明によれば、利用者がユニキャスト配信グループIDを含むコンテンツURLを獲得できるユニキャスト型多地点映像配信方法を提供できる。
【0014】
第3の発明は、ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信方法であって、映像配信サーバが映像受信端末からのコンテンツURLの要求を受信するステップと、前記コンテンツURLに配信グループIDが含まれているかのチェックを行い配信グループIDが含まれる場合にグループ配信が必要なユニキャスト配信と判断し、新規に配信セッションの生成を行うステップと、該当するコンテンツを読み込み、コンテンツのグループ配信を行うステップとを含んでいる。
【0015】
この第3の発明によれば、標準的な映像受信端末に対して、同じ映像コンテンツを同じタイミングでユニキャスト方式により配信することが可能であり、利用者は同じ映像を観ながら電話で会話するといった映像共有サービスを実現するユニキャスト型多地点映像配信方法を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明の映像配信システムおよびユニキャスト型多地点映像配信方法によれば、特別なプロトコルや特別な機能部を具備した映像受信端末を必要としない。この為、標準的な複数の映像受信端末に対して同じ映像を同じタイミングでユニキャスト方式により配信することが可能となり、利用するネットワークや利用する端末が異なる利用者同士であっても同じ映像コンテンツを同じタイミングで視聴することが可能である。
【0017】
また、ネットワーク装置や映像受信端末を変更することなく、サーバ側の機能追加のみで実現可能なシステムとなっているため、既に提供を行っている映像配信サービスにおいても実現し易い。
【0018】
更に、ユニキャスト方式の配信セッションをグループ別に管理する手段を備えているため、同じ映像コンテンツに対する再生要求であっても、再生同期の有無を判定可能となり、それぞれを独立または同時に配信するなどの、配信制御を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態における映像配信システムの構成図である。同図において、本実施形態に関する映像配信システムは、映像配信ポータルサーバ1、映像配信サーバ2、コンテンツストレージ3、映像受信端末5〜5を備える。これらはネットワークを介して接続される。
【0021】
映像配信ポータルサーバ1は、利用者が映像受信端末5〜5に具備されたWebブラウザ等を利用して、映像配信システムに登録されている映像コンテンツを選択させる手段を提供する機能を有している。
【0022】
映像配信サーバ2は、映像受信端末5〜5から要求された配信要求に対して、要求された映像コンテンツをコンテンツストレージ3から読み出し、ネットワーク4を介して映像受信端末5〜5に対してユニキャスト配信を行う機能を有している。配信に使用するプロトコルは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)や、RTSP(Real Time Streaming Protocol)とRTP(Real-time Transport Protocol)の組み合わせ等を想定するが、これらに限定されるものではない。
【0023】
映像受信端末5〜5は、ネットワーク4に接続可能なPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、セットトップボックス、テレビ、パソコン等の標準的な映像受信端末を想定する。
【0024】
本実施形態では、映像配信ポータルサーバ1、映像配信サーバ2、コンテンツストレージ3がそれぞれ分離された構成となっているが、部分的または全体を1つサーバに統合した構成でもよい。
【0025】
また、本発明に関する映像配信システムは、映像は利用せず音声のみのコンテンツで配信することも想定する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態における映像配信ポータルサーバの機能ブロックである。同図において、映像配信ポータルサーバ1は、ネットワーク4を介して接続された映像受信端末からのポータルアクセス要求を受け付け、登録されているコンテンツ情報をポータル情報として公開し、利用者に配信コンテンツの選択手段を提供するポータルアプリ部11と、ユニキャストのグループ配信を行うためのコンテンツURL(Uniform Resource Locator)に含める配信グループIDを生成する配信グループID生成部12を有する。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態における映像配信サーバ2の機能ブロック図である。同図において、映像配信サーバ2は、ネットワーク4を介して接続された映像受信端末からのコンテンツ配信要求を受け付け、これを契機にコンテンツ配信の制御を行う配信制御部21と、コンテンツ配信要求に含まれるコンテンツURLで通知された配信グループIDを管理し、同じ配信グループIDの配信セッション23〜23をグループ管理して、同じ配信セッショングループに属する配信セッション23〜23は、同じ映像を同じタイミングでユニキャスト配信するよう制御を行う配信セッショングループ管理部22と、コンテンツストレージ3から読み出した映像コンテンツを一時的に保存するコンテンツキャッシュ部24を有する。
【0028】
なお、映像受信端末5でのコンテンツURLの入手手段は、映像配信ポータル・サイト上でリモコンやマウスなどを使って観たい映像コンテンツを選択することで、映像配信ポータル・サイトからコンテンツURLを入手することを想定するが、コンテンツURL入手は、映像配信ポータル・サイトからの入手に限定されるものではなく、他の手段にてコンテンツURLを入手してもよい。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態における映像受信端末の機能ブロック図である。同図において、映像受信端末5は、標準的な映像受信端末に一般的に備えられている機能部を有することを想定し、ネットワーク4を経由して映像配信ポータルサーバ1にアクセスして映像コンテンツを選択するWebブラウザなどのポータルアクセス部52と、映像配信サーバに対して映像コンテンツの配信要求を行う配信制御部53と、映像配信サーバ2から配信された映像コンテンツの映像再生を行う映像再生部54を有する。
【0030】
図5は、映像共有サービスの内容を示す説明図(その1)である。ここに示す映像共有サービスは、電話で会話しながらグループ配信サービスを利用するサービスイメージである。
【0031】
サービス利用者1とサービス利用者2とは、それぞれ電話機6、6を用いてお互いに会話しながら、且つそれぞれの映像受信端末5、5を用いて映像配信サービスを利用する。
【0032】
音声通話は、電話機6、6より電話ネットワーク4を経由して音声通話データのやり取りがなされる。一方、映像のグループ配信は、コンテンツストレージ3に格納されているグループ配信用の映像が、映像配信サーバ2より配信ネットワーク4を経由してユニキャスト配信データとして映像受信端末5、5へ同時に配信される。
【0033】
本サービスイメージは、配信ネットワーク4と電話ネットワーク4がそれぞれ分離されたネットワーク構成となっているが、1つに統合されたネットワーク構成でもよい。
【0034】
図6は、映像共有サービスの内容を示す説明図(その2)である。ここに示す映像共有サービスは、チャットを行いながらグループ配信を利用するサービスイメージである。
【0035】
サービス利用者1とサービス利用者2とは、それぞれチャットソフト7、7を用いてお互いにチャットしながら、且つそれぞれの映像受信端末5、5を用いて映像配信サービスを利用する。
【0036】
チャットデータは、チャットソフト7、7よりチャットネットワーク4を経由してチャットデータのやり取りがなされる。一方、映像のグループ配信は、コンテンツストレージ3に格納されているグループ配信用の映像が、映像配信サーバ2より配信ネットワーク4を経由してユニキャスト配信データとして映像受信端末5、5へ同時に配信される。
【0037】
本サービスイメージでは、配信ネットワーク4とチャットネットワーク4がそれぞれ分離されたネットワーク構成となっているが、1つに統合されたネットワーク構成でもよい。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態における映像配信フローチャート(その1)である。以下に、図1〜図4および図7を参照して配信グループIDを含む映像コンテンツURLの入手手順を説明する。
【0039】
S1.利用者は、映像受信端末5〜5のポータルアクセス部52に具備されたWebブラウザなどのポータルアクセス機能を利用して、映像配信ポータルサーバ1へポータルアクセス要求を行う。
【0040】
S2.映像配信ポータルサーバ1は、ポータルアプリ部11にて映像受信端末5〜5からのポータルアクセス要求を受信する.
S3.次に、映像配信ポータルサーバ1は、登録されているコンテンツ情報をポータル情報として公開するためにアクセス応答を行う。
【0041】
S4.利用者は、表示された映像配信ポータル上で、リモコンやマウスなどを使って視聴したい映像コンテンツを選択することでコンテンツURLの要求を行う。
【0042】
S5. 要求を受け付けたポータルアプリ部11にてコンテンツURLの応答を行う。映像受信端末5〜5が受信したコンテンツURLには、映像配信サーバ2にてユニキャストのグループ配信を管理するために必要となる配信グループIDが含まれる。
【0043】
この配信グループIDは、複数のユニキャスト配信を同期させてグループ配信するために、同期を行う複数の配信セッション23〜23をグループで管理し識別するために生成し、コンテンツURLに付与して使用する。
【0044】
従来のコンテンツURLが
http://example.domain/contentsnameurl
だとすると、本発明の配信グループID生成部12では、例えばsharegroupid=1234567890のような書式で配信グループIDを生成し、ポータルアプリ部11では配信グループID生成部12が生成した配信グループIDを含めたコンテンツのURLを生成する。
http://example.domain/contentsnameurl?sharegroupid=1234567890
上記例では配信グループIDはURLに付与しているが、これに制限されるものではなく、他の手段にて配信グループIDの情報を映像配信ポータルサーバ1と映像受信端末5〜5の間で受け渡ししてもよい。また、配信グループIDは動的に生成せず、ポータル管理者や利用者が固定的に付与してもよい。
【0045】
どのような契機やグループ単位で配信グループIDを生成し、ユニキャストグループ配信用のコンテンツURLを生成するかはポータル上で提供するサービスに依存するが、例えば、利用者自身でポータル画面上からグループ配信を行うメンバを選択するサービスであれば、選ばれたメンバに対しては同じ配信グループIDを付与したコンテンツURLを通知するサービスの提供方式が考えられる。
【0046】
また、イベント中継などのリアルタイムで配信するコンテンツをグループ配信したいサービスであれば、ポータル上に特定の配信グループIDを付与したコンテンツURLを含む専用の特設サイトを用意することで、利用者に特設サイト専用の配信グループIDを付与したコンテンツURLを通知するサービスの提供方式が考えられる。
【0047】
本実施例では映像配信ポータルからコンテンツURLを入手しているが、コンテンツURLの入手は映像配信ポータルからに限定されるものではなく、他の手段にて入手してもよい。例えば、メール、チャット、ブログなどからコンテンツURLを入手することも考えられる。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態における映像配信フローチャート(その2)である。以下に、図1〜図4および図8を参照して配信グループIDを含む映像コンテンツの配信手順を説明する。
【0049】
S6.映像受信端末5〜5は、映像コンテンツのコンテンツURLを受け取ると、映像コンテンツの配信要求を行うために、受信したコンテンツURLを基に映像配信サーバ2に対してコンテンツの配信要求を行う。配信要求を行う際に使用するプロトコルは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)やRTSP(Real Time Streaming Protocol)を想定するがこれらに限定されるものではない。
【0050】
S7.映像配信サーバ2は、配信制御部21にて映像受信端末5〜5からのコンテンツの配信要求を受信する。
【0051】
S8.次に、映像配信サーバ2は、受信したコンテンツURLに配信グループIDが含まれているかチェックを行う。
【0052】
S9.受信したコンテンツURLに配信グループIDが含まれていない場合は、グループ配信が不要な通常のユニキャスト配信と判断し、従来のユニキャスト配信と同様に、新規に配信セッションの生成を行う。
【0053】
S10.受信したコンテンツURLに配信グループIDが含まれている場合は、同じ配信グループIDの配信グループと、これに属する配信セッションを生成していないかチェックを行う。
【0054】
S11.同じ配信グループIDの配信グループと配信セッションを生成していない場合は、新規に配信グループと配信セッションの生成を行う。
【0055】
S12.同じ配信グループIDの配信グループと配信セッションを生成している場合は、生成済みの配信グループ内に新規に配信セッションの生成を行う。
【0056】
配信セッションのグループ管理とグループ配信の実現は、配信制御部21から配信セッション生成の指示を受けて、配信セッショングループ管理部22にて行う。
【0057】
S13.配信セッションを生成した後は、指定されたコンテンツをコンテンツストレージ3からコンテンツキャッシュ部24に読み込む。
【0058】
S14.次に、配信要求を行った映像受信端末5に対してコンテンツの配信を行う。
【0059】
配信動作を行う際に、配信グループが生成されている場合は、配信グループ内で一番早いタイミングで生成した配信セッションが、指定されたコンテンツをコンテンツストレージ3からコンテンツキャッシュ部24に読み込み、映像受信端末5に対してコンテンツの配信を行う。
【0060】
それ以降、配信グループ内で遅れて配信セッションを生成した場合は、コンテンツキャッシュ部24からコンテンツを読み込んで映像配信動作を行っている配信セッションが既にあるため、配信セッショングループ管理部22にて、最初に生成された配信セッションが読み込んで配信を行っているコンテンツ情報を、遅れて生成した配信セッションにコピーして、映像受信端末5に対してコンテンツの配信を行うことで、複数の映像受信端末5に対するグループ配信を実現する。
【0061】
同じ配信グループIDを含んだ複数の配信要求は、異なるタイミングで受信しても、同じタイミングで受信しても、グループ配信を行うことが可能である。異なるタイミングで受信した場合は先ほど説明した通り、同じ配信グループIDの配信グループ内に配信セッションを追加生成することで、既に開始されているコンテンツと同じ内容、同じ再生位置から配信することが可能である。同じタイミングで受信した場合は、予め何らかの論理で決めたポリシーにて先に生成する配信セッションを決定すればよく、先に生成する配信セッションを生成した後は、異なるタイミングで受信した場合と同様の動作で処理を行うことが可能である。
【0062】
上記の実施形態では、Webブラウザなどに実装されたHTTPプロトコルを利用してコンテンツURLを映像配信ポータルサーバから映像受信端末5に受け渡しを行うものであったが、上記技術を応用して、SIP(Session Initiation Protocol)プロトコルのボディ部に記述するSDP(Session Description Protocol)にコンテンツURLと配信グループIDを含めることで、SIPを使ったユニキャスト映像配信に適応することが可能である。配信グループIDは、先ほど説明した通りの手順で生成する以外に、Call−IDなどのSIPプロトコルで既に生成されているパラメータを利用することも考えられる。
【0063】
SIPプロトコルを利用することで、音声セッションを確立して電話6、6で会話しながら、映像配信セッションを確立して同一映像コンテンツを同じタイミングで配信することが可能となり、利用者は同じ映像を観ながら電話6、6で会話するといったことも考えられる。SIPで確立するセッションは、音声セッションと映像配信セッションをそれぞれ分けて確立する手順と、音声セッションと映像配信セッションを1つに統合して確立する手順が考えられる。
【0064】
図9は、本発明により利用者が配信グループIDを自動作成する場合の説明図である。以下に、図2および図9を参照して配信グループIDを自動作成する手順を説明する。
【0065】
S15.グループ配信サービスの作成者であるFJTさんは、配信ネットワーク4に接続された映像受信端末を操作して、端末の配信グループID自動生成画面を見ながら、画像記録させた「旅の思い出」のグループ配信メンバを決定する。
【0066】
S16.映像配信ポータルサーバ1内のポータルアプリ部11は、配信グループID生成部に依頼して配信グループIDを自動生成する。
【0067】
S17.グループ配信の参加メンバであるxyzさんは、「旅の思い出」のグループ配信メンバに加わると、配信ネットワーク4に接続されたxyzさんの映像受信端末の映像配信ポータル画面に、グループ配信可能なコンテンツとして表示される。
【0068】
図10は、本発明により利用者が配信グループを手動作成する場合の説明図である。以下に、図2および図10を参照して配信グループIDを手動作成する手順を説明する。
【0069】
S18.グループ配信サービスの作成者であるFJTさんは、配信ネットワーク4に接続された端末を操作して、端末の配信グループID手動生成画面を見ながら、画像記録させた「旅の思い出」のグループ配信の任意の「合言葉」を入力する。
【0070】
S19.FJTさんは入力した「合言葉」を決定すると、この「合言葉」が配信グループIDとして生成される。この場合は、グループ配信のメンバは固定的に設定せずとも、「合言葉」が一致すればグループ配信のメンバとして参加可能となる。
【0071】
S20.グループ配信の参加メンバであるxyzさんは、配信ネットワーク4に接続された映像受信端末を操作して映像コンテンツの選択画面である映像配信ポータル画面を見ながら、「旅の思い出」のグループ配信に参加する場合は、その映像コンテツを選択し、視聴開始時に「合言葉」を入力する。
【0072】
S21.「旅の思い出」の視聴が開始される。「合言葉」を入力しない場合は、グループ配信は行われず、通常の映像配信となる。
【0073】
図11は、本発明によりサービス提供事業者が配信グループIDを作成する場合の説明図である。以下に、図2および図10を参照して配信グループIDを手動作成する手順を説明する。
【0074】
S22.サービス提供事業者が、グループ配信を行う映像コンテンツと配信グループIDを予め設定しておく。
【0075】
S23.グループ配信の参加メンバであるxyzさんは、配信ネットワーク4に接続された映像受信端末装置を操作して映像コンテンツの選択画面である映像配信ポータル画面を閲覧すると、映像コンテンツ一覧(山の景色、海の景色、空の景色など)以外に、グループ配信可能な映像コンテンツ一覧(イベント会場の実況中継など)が表示される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ユニキャスト方式の配信セッションをグループ別に管理できるので、映像配信グループ内で音声通話をしながら、またはチャットをしながら楽しめるという、新規な映像共有サービスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態における映像配信システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における映像配信ポータルサーバの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における映像配信サーバの機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における映像受信端末の機能ブロック図である。
【図5】映像共有サービスの内容を示す説明図(その1)である。
【図6】映像共有サービスの内容を示す説明図(その2)である。
【図7】本発明の一実施形態における映像配信フローチャート(その1)である。
【図8】本発明の一実施形態における映像配信フローチャート(その2)である。
【図9】本発明により利用者が配信グループIDを自動作成する場合の説明図である。
【図10】本発明により利用者が配信グループIDを手動作成する場合の説明図である。
【図11】本発明によりサービス提供事業者が配信グループIDを作成する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 映像配信ポータルサーバ
11 ポータルアプリ部
12 配信グループID生成部
13 ネットワーク送受信部
2 映像配信サーバ
21 配信制御部
22 配信セッショングループ管理部
23,23,23 配信セッション
24 コンテンツキャッシュ部
25 ネットワーク送受信部
3 コンテンツストレージ
4 ネットワーク
,5,5 映像受信端末
51 ネットワーク送受信部
52 ポータルアクセス部
53 配信制御部
54 映像再生部
,6 電話機
, 7 チャットソフト





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信システムにおいて、
複数の映像コンテンツデータを格納するコンテンツストレージと、
前記映像受信端末に具備されたWebブラウザを利用して映像コンテンツを選択させる手段を提供する映像配信ポータルサーバと、
前記配信グループIDの配信セッションを同じ映像を同じタイミングでユニキャスト配信するよう制御する手段を有する映像配信サーバと、
を有することを特徴とする映像配信システム。
【請求項2】
請求項1項記載の映像配信システムにおいて、
前記映像配信ポータルサーバは、複数の配信セッションをグループ管理するために必要となる配信グループIDの生成を行う配信グループID生成部と、
前記配信グループIDを含むコンテンツURLの提供を行うポータブルアプリ部と、
を有することを特徴とする映像配信システム。
【請求項3】
請求項1項記載の映像配信システムにおいて、
前記映像配信サーバは、前記映像受信端末からの映像配信要求に対して、他の配信セッションと同期させてグループ配信する必要があるか判断を行う配信制御部と、
複数の配信セッションを同期させてグループ配信を行うために、配信グループIDにくくり付けて配信セッションのグループ管理を行う配信セッショングループ管理部と、
を有することを特徴とする映像配信システム。
【請求項4】
ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信方法であって、
映像配信ポータルサーバが映像受信端末からのポータルアクセス要求を受信するステップと、
登録されているコンテンツ情報をポータル情報として前記映像受信端末に応答するステップと、
前記映像受信端末が表示された前記映像配信ポータルサーバ上で視聴したい映像コンテンツを選択するステップと、
前記映像配信ポータルサーバが前記映像受信端末からのコンテンツURLの要求を受信するステップと、
ユニキャスト配信グループIDを含むコンテンツURLの応答を行うステップと、
を含むことを特徴とするユニキャスト型多地点映像配信方法。
【請求項5】
ネットワークを介して所定グループを組んだ複数の映像受信端末に対して映像データをグループ配信する映像配信方法であって、
映像配信サーバが映像受信端末からのコンテンツURLの要求を受信するステップと、前記コンテンツURLに配信グループIDが含まれているかのチェックを行い配信グル
ープIDが含まれる場合にグループ配信が必要なユニキャスト配信と判断し、新規に配信セッションの生成を行うステップと、
該当するコンテンツを読み込み、コンテンツのグループ配信を行うステップと、
を含むことを特徴とするユニキャスト型多地点映像配信方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−147845(P2010−147845A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323351(P2008−323351)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】