説明

映像配信システム

【課題】要求に応じた設定の映像ストリームを配信することができる映像配信システムを提供する。
【解決手段】監視装置110は、監視カメラから映像信号を入力し、クライアントPC120、クライアントPC130、及び記録装置140に、要求に応じた設定の映像メインストリームまたは映像サブストリームを配信する。クライアントPC120が4台の監視装置110に低い解像度が設定されている映像サブストリームを要求し、映像サブストリームが配信されると、映像表示処理部121が映像を4分割された画面エリアに表示する。クライアントPC130が1台の監視装置110に高い解像度が設定されている映像メインストリームを要求し、映像メインストリームが配信されると、映像表示処理部131が映像を画面エリアに表示する。記録装置140は、記録媒体141に監視装置110から配信される解像度の高い映像メインストリームを記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置が映像をネットワークを経由してクライアントに配信する映像配信システムに係り、特に監視装置が配信する映像にクライアントの要求に対応した設定、またはクライアントの状況に対応した設定を行って配信することができる映像配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の監視装置から配信される映像を同時に監視するために、複数の画面をクライアント機器(以下、クライアントPCという)に、同時に表示させている。このように複数の画面の表示(以下、多画面表示という)を行うことで画面の表示エリアが分割されるため、1つの画面表示(以下、単画面表示という)に比べて画面の表示エリアのサイズが小さくなる。このため、クライアントPCが監視装置から配信される映像データ(以下、映像ストリームという)を多画面表示するときには、多画面表示の表示エリアのサイズに合わせるために、映像ストリームの解像度を下げて映像ストリームのサイズを縮小していた。
【0003】
従来の実施例に係る映像配信システムについて、図面を参照して説明する。従来の映像配信システム200の構成を図7に示す。映像配信システム200は、監視装置210、クライアントPC220、クライアントPC230、記録装置240、及びネットワーク250から構成されている。クライアントPC220は、映像を表示する映像表示処理部221を備えている。クライアントPC230は、映像を表示する映像表示処理部231を備えている。記録装置240は、HDDドライブなどの記録媒体241を備えている。監視装置210については、実際には複数台設けられているが、図7の映像配信システム200においては1台の監視装置210のみを記載している。
【0004】
監視装置210は、監視カメラなどから映像信号を入力する。また、監視装置210は、クライアントPC220、クライアントPC230、及び記録装置240からの映像ストリーム配信要求を受信すると、ネットワーク250を経由して映像ストリームを配信する。クライアントPC220は、オペレータから映像の単画面表示または多画面表示の要求を受け付けると、映像ストリーム配信要求をネットワーク250を経由して監視装置210に送信する。また、クライアントPC220は、監視装置210から映像ストリームが配信されると、映像表示処理部221により単画面表示または多画面表示を行う。例えば、クライアントPC220に、4台の監視装置210から単画面表示用の映像ストリームが配信され、4画面で同時に表示するときには、映像表示処理部221が4分割された表示エリアのサイズに合わせて映像ストリームの解像度を下げてから表示する。クライアントPC230は、クライアントPC220と同様に、オペレータからの映像の単画面表示または多画面表示の要求を受け付けると、映像ストリーム配信要求をネットワーク250を経由して監視装置210に送信する。また、クライアントPC230は、監視装置210から映像ストリームが配信されると、映像表示処理部231により単画面表示または多画面表示を行う。例えば、クライアントPC230が、1台の監視装置210から単画面表示用の映像ストリームが配信され、1画面で表示するときには、映像表示処理部231は映像ストリームの解像度を下げることなくそのまま表示する。記録装置240は、記録媒体241に監視装置210から配信される映像ストリームを記録する装置である。ネットワーク250は、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、複数の監視装置210、クライアントPC220、クライアントPC230、及び記録装置240が接続され通信が行われる。ネットワーク250の通信プロトコルとしては、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、RTP(Real-time Transport Protocol)などのプロトコルが使用できる。
【0005】
従来の監視装置210の機能構成を図8に示す。監視装置210は、配信要求受信部211、映像入力部212、不揮発性メモリ213a、メモリ213b、制御部214、及び配信部215から構成されている。これらの部位はバスなどにより接続されている。不揮発性メモリ213aは、映像ストリーム設定データ213a1を備えている。メモリ213bは、不揮発性メモリまたは揮発性メモリであり、映像ストリームバッファ213b1を備えている。制御部214は、映像ストリーム変換処理部214p1と映像ストリーム配信処理部214p2を備えている。
【0006】
配信要求受信部211は、クライアントPC220またはクライアントPC230からの映像ストリーム配信要求をネットワーク250を経由して受信すると、制御部214に出力する。映像入力部212は、監視装置210と接続されている監視カメラ(図示せず)から映像信号を入力すると、映像信号を監視装置210で処理可能な映像データに変換し、制御部214に出力する。不揮発性メモリ213aは、制御部214が実行する処理のプログラムやデータを記憶するメモリである。不揮発性メモリ213aの映像ストリーム設定データ213a1には、映像データを映像ストリームに変換するときの設定データである解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータが記憶されている。メモリ213bは、変換された映像ストリームを保存するメモリである。メモリ213bの映像ストリームバッファ213b1には、変換された映像ストリームが一時的に保存される。制御部214の映像ストリーム変換処理部214p1は、映像入力部212から映像データを入力する。そして、映像ストリーム変換処理部214p1は、映像ストリーム設定データ213a1から解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータを取り出し、これらのデータに基づいて映像データを映像ストリームに変換し、メモリ213bの映像ストリームバッファ213b1に保存する。また、制御部214の映像ストリーム配信処理部214p2は、配信要求受信部211から映像ストリーム配信要求を入力する。そして、映像ストリーム配信処理部214p2は、メモリ213bの映像ストリームバッファ213b1から映像ストリームを取り出し、配信部215に出力する。配信部215は、制御部214の映像ストリーム配信処理部214p2から映像ストリームを入力し、ネットワーク250を経由してクライアントPC220、クライアントPC230、及び記録装置240に映像ストリームを配信する。
【0007】
このような監視装置210において、映像ストリーム設定データ213a1に単画面表示用の高い解像度が設定されているときには、監視装置210はクライアントPC220、クライアントPC230、及び記録装置240に対して解像度が高い映像ストリームを配信する。このため、クライアントPC220またはクライアントPC230が受信した映像ストリームを多画面で表示するときに、表示エリアのサイズに合わせるため映像ストリームの解像度を下げる必要がある。このように高い解像度が設定されると、クライアントPC220またはクライアントPC230の映像表示による負荷が増加し、映像を表示するまでに時間を要していた。更に、クライアントPC220またはクライアントPC230の処理性能が低い場合には、受信した映像ストリームを多画面表示することができないことがあった。逆に、映像ストリーム設定データ213a1に単画面表示用の低い解像度を設定すると、監視装置210はクライアントPC220、クライアントPC230、及び記録装置240に対して解像度が低い映像ストリームを配信する。しかし、クライアントPC220またはクライアントPC230が受信した映像ストリームを単画面表示するときには、映像ストリームの解像度を上げることができない。更に、記録装置240にも解像度が低い映像ストリームが記録される。このため、クライアントPC220またはクライアントPC230が受信した映像ストリーム、または記録装置240に記録されている映像ストリームを単画面表示すると、画質が低い映像が表示される。
【0008】
なお、上記従来の映像配信技術として下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−173259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の映像データ保存方法及び映像データ保存システムでは、映像データを蓄積する映像蓄積配信サーバに記録された任意の映像のうち、長期保存したい映像を選択して長期保存記録装置で保存される。このように長期保存したい映像は長期保存記録装置に保存されるので、映像蓄積配信サーバの記録媒体が一杯になっても、記録媒体の古い映像に上書きするので記録媒体を交換する必要がない。この構成により、映像蓄積配信サーバはライブ映像に対して記録漏れを許さない無停止運転を維持し、長期保存記録装置は、記録媒体の長期に渡る保存を容易にすることができる。しかし、映像蓄積配信サーバや長期保存記録装置に蓄積された映像に高い解像度が設定され、その映像を多画面表示するときには、映像表示装置が映像の解像度を低く設定しなければならないので映像を表示するまでに時間を要してしまうという問題があった。また、映像蓄積配信サーバや長期保存記録装置に蓄積された映像に低い解像度が設定され、その映像の単画面表示を行うと画質の低い映像が表示されてしまうという問題があった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる映像配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の映像配信システムは、監視装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、映像ストリームの配信用の設定が変更可能な前記監視装置の配信用設定手段と、前記配信用の設定がされた前記映像ストリームを配信する前記監視装置の配信手段と、前記映像ストリームを受信する映像受信装置の受信手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クライアントからの要求、状況、及び用途に対応した設定を行った映像ストリームを監視装置からクライアントに配信するので、クライアントに適した映像ストリームを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1に係る映像配信システムの構成示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る監視装置の機能構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る監視装置の映像メインストリーム変換処理と映像メインストリーム配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係る監視装置の映像サブストリーム変換処理と映像サブストリーム配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態2に係る映像配信システムの構成示す構成図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る映像配信システムの構成示す構成図である。
【図7】従来の実施例に係る映像配信システムの構成示す構成図である。
【図8】従来の実施例に係る監視装置の機能構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施するための実施形態1を、図面を参照して説明する。実施形態1は、オペレータからの映像ストリーム配信要求に応じて、解像度が高い映像ストリーム(以下、映像メインストリームという)または解像度が低い映像ストリーム(以下、映像サブストリームという)のどちらかを配信する実施形態である。
【0016】
まず、本発明の実施形態1の映像配信システム100について説明する。本発明の映像配信システム100の構成を図1に示す。映像配信システム100は、監視装置110、クライアントPC120、クライアントPC130、記録装置140、及びネットワーク150から構成されている。クライアントPC120は、映像メインストリームまたは映像サブストリームの映像を表示する映像表示処理部121を備えている。クライアントPC130は、映像メインストリームまたは映像サブストリームの映像を表示する映像表示処理部131を備えている。記録装置140は、HDDドライブなどの記録媒体141を備えている。監視装置110については、実際には複数台設けられているが、図1の映像配信システム100においては1台の監視装置110のみを記載している。
【0017】
監視装置110は、監視カメラなどから映像信号を入力する。また、監視装置110は、クライアントPC120またはクライアントPC130、から映像メインストリームまたは映像サブストリームの配信要求を受信すると、ネットワーク150を経由して映像メインストリームまたは映像サブストリームを配信する。クライアントPC120は、オペレータから映像の単画面表示または多画面表示の要求を受け付けると、単画面表示の要求であれば映像メインストリーム、また多画面表示の要求であれば映像サブストリームの配信要求をネットワーク150を経由して監視装置110に送信する。また、クライアントPC120は、監視装置110から映像メインストリームが配信されると映像表示処理部121により単画面表示し、監視装置110から映像サブストリームが配信されると映像表示処理部121により多画面表示する。例えば、クライアントPC120に、4台の監視装置110から多画面表示用の映像サブストリームが配信され、4画面で同時に表示するときには、図1に示すように映像表示処理部121が4分割された表示エリアに映像サブストリームの解像度を下げることなく、映像サブストリームの映像を表示する。クライアントPC130は、クライアントPC120と同様に、オペレータから映像の単画面表示または多画面表示の要求を受け付けると、単画面表示の要求であれば映像メインストリーム、また多画面表示の要求であれば映像サブストリームの配信要求をネットワーク150を経由して監視装置110に送信する。また、クライアントPC130は、監視装置110から映像メインストリームが配信されると映像表示処理部131により単画面表示し、監視装置110から映像サブストリームが配信されると映像表示処理部131により多画面表示する。例えば、クライアントPC130に、1台の監視装置110から単画面表示用の映像メインストリームが配信され、1画面で表示するときには、図1に示すように映像表示処理部131は表示エリアに映像メインストリームの映像を表示する。
【0018】
記録装置140は、記録媒体141に監視装置110から配信される映像メインストリームを記録する装置である。ネットワーク150は、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、複数の監視装置110、クライアントPC120、クライアントPC130、及び記録装置140が接続され通信が行われる。ネットワーク150の通信プロトコルとしては、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、RTP(Real-time Transport Protocol)などのプロトコルが使用できる。
【0019】
次に、本発明の実施形態1の映像配信システム100における監視装置110の機能構成について説明する。本発明の監視装置110の機能構成を図2に示す。監視装置110は、配信要求受信部111、映像入力部112、不揮発性メモリ113a、メモリ113b、制御部114、及び配信部115から構成されている。これらの部位はバスなどにより接続されている。不揮発性メモリ113aは、映像メインストリーム設定データ113a1と映像サブストリーム設定データ113a2を備えている。メモリ113bは、映像メインストリームバッファ113b1と映像サブストリームバッファ113b2を備えている。制御部114は、映像メインストリーム変換処理部114p1、映像サブストリーム変換処理部114p2、映像メインストリーム配信処理部114p3、及び映像サブストリーム配信処理部114p4を備えている。
【0020】
配信要求受信部111は、クライアントPC120またはクライアントPC130からの映像メインストリーム配信要求または映像サブストリーム配信要求をネットワーク150を経由して受信すると、制御部114に出力する。映像入力部112は、監視装置110と接続されている監視カメラ(図示せず)から映像信号を入力すると、映像信号を監視装置110で処理可能な映像データに変換し、制御部114に出力する。不揮発性メモリ113aは、制御部114が実行する処理のプログラムやデータを記憶するメモリである。不揮発性メモリ113aの映像メインストリーム設定データ113a1には、映像データを映像メインストリームに変換するときの設定データである解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータが記憶されている。不揮発性メモリ113aの映像サブストリーム設定データ113a2には、映像データを映像サブストリームに変換するときの設定データである解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータが記憶されている。メモリ113bは、変換された映像ストリームを保存するメモリである。メモリ113bの映像メインストリームバッファ113b1には、変換された映像メインストリームが一時的に保存される。メモリ113bの映像サブストリームバッファ113b2には、変換された映像サブストリームが一時的に保存される。
【0021】
制御部114の映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像入力部112から映像データを入力する。そして、映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像メインストリーム設定データ113a1から解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータを取り出し、これらのデータに基づいて映像データを映像メインストリームに変換し、メモリ113bの映像メインストリームバッファ113b1に保存する。また、制御部114の映像メインストリーム配信処理部114p3は、配信要求受信部111から映像メインストリーム配信要求を入力する。そして、映像メインストリーム配信処理部114p3は、メモリ113bの映像メインストリームバッファ113b1から映像メインストリームを取り出し、配信部115に出力する。制御部114の映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像入力部112から映像データを入力する。そして、映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像サブストリーム設定データ113a2から解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータを取り出し、これらのデータに基づいて映像データを映像サブストリームに変換し、メモリ113bの映像サブストリームバッファ113b2に保存する。また、制御部114の映像サブストリーム配信処理部114p4は、配信要求受信部111から映像サブストリーム配信要求を入力する。そして、映像サブストリーム配信処理部114p4は、メモリ113bの映像サブストリームバッファ113b2から映像サブストリームを取り出し、配信部115に出力する。配信部115は、制御部114から映像メインストリームまたは映像サブストリームを入力し、ネットワーク150を経由してクライアントPC120またはクライアントPC130に映像メインストリームまたは映像サブストリームを配信する。また、記録装置140には映像メインストリームが配信される。
【0022】
次に、本発明の実施形態1に係る監視装置110の映像メインストリーム変換処理と映像メインストリーム配信処理、及び映像サブストリーム変換処理と映像サブストリーム配信処理について説明する。図3は、映像メインストリーム変換処理と映像メインストリーム配信処理の手順を示すフローチャートである。図4は、映像サブストリーム変換処理と映像サブストリーム配信処理の手順を示すフローチャートである。
【0023】
まず、図3に示す映像メインストリーム変換処理と映像メインストリーム配信処理について説明する。監視装置110が起動されると、制御部114により映像メインストリーム変換処理部114p1が起動される。この起動により映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像メインストリーム変換処理を開始する。また、制御部114が映像メインストリーム配信要求を入力すると、映像メインストリーム配信処理部114p3を起動する。この起動により、映像メインストリーム配信処理部114p3は映像メインストリーム配信処理を開始する。
【0024】
まず、ステップS110において、映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像入力部112から映像データを入力する。
【0025】
次に、ステップS111において、映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像メインストリーム設定データ113a1に設定されている解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータを取り出す。この映像メインストリーム設定データ113a1に設定されている解像度は、単画面表示用の高い解像度である。
【0026】
次に、ステップS112において、映像メインストリーム変換処理部114p1は、映像データに、ステップS111で取り出した解像度、フレームレート、及びビットレートなどの設定を行う。この設定により映像データに映像メインストリーム用の高い解像度が設定される。そして映像メインストリーム変換処理部114p1は、設定された映像データを映像メインストリームに変換する。
【0027】
次に、ステップS113において、映像メインストリーム変換処理部114p1は、ステップS112で変換された映像メインストリームを映像メインストリームバッファ113b1に保存し、終了する。以降、映像メインストリーム変換処理は、制御部114により繰り返し起動される。
【0028】
また、ステップS120において、映像メインストリーム配信処理部114p3は、配信要求受信部111から映像メインストリーム配信要求を入力する。
【0029】
次に、ステップS121において、映像メインストリーム配信処理部114p3は、映像メインストリームバッファ113b1から映像メインストリームを入力する。
【0030】
次に、ステップS122において、映像メインストリーム配信処理部114p3は、ステップS121で入力した映像メインストリームを配信部115に出力する。
【0031】
配信部115に出力された映像メインストリームは、例えばクライアントPC130が映像メインストリーム配信要求を送信したときには、配信部115によりクライアントPC130に、ネットワーク150を介して配信される。このように、実施形態1の映像メインストリーム変換処理部114p1と映像メインストリーム配信処理部114p3により、映像メインストリーム用の解像度が設定された映像メインストリームの配信を行うことができる。
【0032】
次に、図4に示す映像サブストリーム変換処理と映像サブストリーム配信処理について説明する。監視装置110が起動されると、制御部114により映像サブストリーム変換処理部114p2が起動される。この起動により映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像サブストリーム変換処理を開始する。また、制御部114が映像サブストリーム配信要求を入力すると、映像サブストリーム配信処理部114p4を起動する。この起動により、映像サブストリーム配信処理部114p4は映像サブストリーム配信処理を開始する。
【0033】
まず、ステップS210において、映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像入力部112から映像データを入力する。
【0034】
次に、ステップS211において、映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像サブストリーム設定データ113a2に設定されている解像度、フレームレート、及びビットレートなどのデータを取り出す。この映像サブストリーム設定データ113a2に設定されている解像度は、多画面表示用の低い解像度である。
【0035】
次に、ステップS212において、映像サブストリーム変換処理部114p2は、映像データに、ステップS211で取り出した解像度、フレームレート、及びビットレートなどの設定を行う。この設定により映像データに映像サブストリーム用の低い解像度が設定される。そして映像サブストリーム変換処理部114p2は、設定された映像データを映像サブストリームに変換する。
【0036】
次に、ステップS213において、映像サブストリーム変換処理部114p2は、ステップS212で変換された映像サブストリームを映像サブストリームバッファ113b2に保存し、終了する。以降、映像サブストリーム変換処理は、制御部114により繰り返し起動される。
【0037】
また、ステップS220において、映像サブストリーム配信処理部114p4は、配信要求受信部111から映像サブストリーム配信要求を入力する。
【0038】
次に、ステップS221において、映像サブストリーム配信処理部114p4は、映像サブストリームバッファ113b2から映像サブストリームを入力する。
【0039】
次に、ステップS222において、映像サブストリーム配信処理部114p4は、ステップS221で入力した映像サブストリームを配信部115に出力する。
【0040】
配信部115に出力された映像サブストリームは、例えばクライアントPC120が映像サブストリーム配信要求を送信したときには、配信部115によりクライアントPC120に、ネットワーク150を介して配信される。このように、実施形態1の映像サブストリーム変換処理部114p2と映像サブストリーム配信処理部114p4により、映像サブストリーム用の解像度が設定された映像サブストリームの配信を行うことができる。
【0041】
なお、実施形態1では、記録装置140に対しては常に解像度の高い映像メインストリームを配信するようにしたが、映像サブストリームを配信することも可能である。また、解像度により映像メインストリームと映像サブストリームの2種類の映像ストリームに分けるのでなく、複数の解像度に対応した複数の映像ストリームを配信することも可能である。また、複数の記録装置140に映像メインストリームまたは映像サブストリームを配信することも可能である。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明を実施するための実施形態2を、図面を参照して説明する。実施形態2は、回線負荷に応じて、ビットレートが高い映像ストリーム(以下、映像メインストリームという)またはビットレートが低い映像ストリーム(以下、映像サブストリームという)のどちらかを配信する実施形態である。
【0043】
まず、本発明の実施形態2の映像配信システム100aについて説明する。本発明の映像配信システム100aの構成を図5に示す。映像配信システム100aは、監視装置110a、クライアントPC120a、クライアントPC130a、及びネットワーク150aから構成されている。クライアントPC120aは、映像メインストリームまたは映像サブストリームの映像を表示する映像表示処理部121aを備えている。クライアントPC130aは、映像メインストリームまたは映像サブストリームの映像を表示する映像表示処理部131aを備えている。監視装置110aについては、実際には複数台設けられているが、図5の映像配信システム100aにおいては1台の監視装置110aのみを記載している。
【0044】
監視装置110aは、監視カメラなどから映像信号を入力する。また、監視装置110aは、クライアントPC120a、クライアントPC130aからの映像ストリームの配信要求を受信すると、監視装置110aとクライアントPC120a、監視装置110aとクライアントPC130aとの回線負荷を検出する。監視装置110aとクライアントPC120a、監視装置110aとクライアントPC130aとの回線負荷が軽いときには、監視装置110aは、ネットワーク150aを経由してクライアントPC120a、クライアントPC130aに映像メインストリームを配信する。監視装置110aとクライアントPC120a、監視装置110aとクライアントPC130aとの回線負荷が重いときには、監視装置110aは、ネットワーク150aを経由してクライアントPC120a、クライアントPC130aに映像サブストリームを配信する。クライアントPC120aは、オペレータから映像の表示要求を受け付けると、映像ストリームの配信要求をネットワーク150aを経由して監視装置110aに送信する。また、クライアントPC120aは、監視装置110aから回線負荷に対応した映像メインストリームまたは映像サブストリームが配信されると、映像表示処理部121aにより表示を行う。クライアントPC130aは、オペレータから映像の表示要求を受け付けると、映像ストリームの配信要求をネットワーク150aを経由して監視装置110aに送信する。また、クライアントPC130aは、監視装置110aから回線負荷に対応した映像メインストリームまたは映像サブストリームが配信されると、映像表示処理部131aにより表示を行う。ネットワーク150aは、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、複数の監視装置110a、クライアントPC120a、及びクライアントPC130aが接続され通信が行われる。ネットワーク150aの通信プロトコルは、図1のネットワーク150と同様である。
【0045】
このような実施形態2により、監視装置110aとクライアントPC120a、監視装置110aとクライアントPC130aとの回線負荷に対応して、監視装置110aは、ビットレートが高い映像ストリームまたはビットレートが低い映像ストリームのどちらかを配信する。このように回線負荷が重いときにビットレートの低い映像ストリームを配信することで、クライアントPC120a及びクライアントPC130aにおいて、フレームの抜けが無い映像を表示することができる。また、回線負荷が軽いときにビットレートの高い映像ストリームを配信することで、クライアントPC120a及びクライアントPC130aにおいて、画質の高い映像を表示することができる。
【0046】
なお、実施形態2では、監視装置110aが回線負荷に対応して映像メインストリームまたは映像サブストリームのどちらを配信しているが、クライアントPC120aまたはクライアントPC130aからの要求に応じてどちらかを配信することも可能である。また、回線負荷により映像メインストリームと映像サブストリームの2種類の映像ストリームに分けるのでなく、複数の回線負荷状態に対応して複数の映像ストリームを配信することも可能である。また、クライアントPC120aまたはクライアントPC130aでなく記録媒体に配信することも可能である。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、本発明を実施するための実施形態3を、図面を参照して説明する。実施形態3は、映像表示または映像断面(以下、スナップショットという)記録などの映像の用途に応じて、表示用映像ストリームまたはスナップショット記録用映像ストリームのどちらかを配信する実施形態である。
【0048】
まず、本発明の実施形態3の映像配信システム100bについて説明する。本発明の映像配信システム100bの構成を図6に示す。映像配信システム100bは、監視装置110b、クライアントPC120b、及びネットワーク150bから構成されている。クライアントPC120bは、表示用映像ストリームの映像を表示する映像表示処理部121bと、スナップショット記録用映像ストリームを記録するHDDドライブなどの記録媒体122bを備えている。監視装置110bについては、実際には複数台設けられているが、図6の映像配信システム100bにおいては1台の監視装置110bのみを記載している。
【0049】
監視装置110bは、監視カメラなどから映像信号を入力する。また、監視装置110bは、クライアントPC120bからの表示用映像ストリームまたはスナップショット記録用映像ストリームの配信要求を受信すると、ネットワーク150bを経由して表示用映像ストリームまたはスナップショット記録用映像ストリームを配信する。クライアントPC120bは、オペレータから映像の表示の要求を受け付けると、表示用映像ストリームの配信要求をネットワーク150bを経由して監視装置110bに送信する。また、クライアントPC120bは、スナップショットを記録するタイミングになると、スナップショット記録用映像ストリームの配信要求をネットワーク150bを経由して監視装置110bに送信する。また、クライアントPC120bは、監視装置110bから表示用映像ストリームが配信されると映像表示処理部121bにより表示を行い、監視装置110bからスナップショット記録用映像ストリームが配信されると記録媒体122bに記録する。ネットワーク150bは、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、複数の監視装置110bとクライアントPC120bが接続され通信が行われる。ネットワーク150bの通信プロトコルは、図1のネットワーク150と同様である。
【0050】
このような実施形態3により、映像の用途に応じて、表示用映像ストリームまたはスナップショット記録用映像ストリームのどちらかが配信される。例えば、表示用映像ストリームを解像度が低い映像ストリームとし、スナップショット記録用映像ストリームを解像度が高いストリームとすることで、映像表示処理の負荷が小さくなり、また高画質の映像が記録媒体122bに記録できる。また、逆に表示用映像ストリームを解像度が高い映像ストリームとし、スナップショット記録用映像ストリームを解像度が低い映像ストリームとすることで、映像が高画質で表示されるのでオペレータが映像を確認しやすくなり、また記録媒体121bには多量の映像を記録することができる。
【0051】
なお、実施形態3では、記録媒体122bを1台備える形態としているが、記録媒体122bを複数台備える形態とすることも可能である。また、解像度だけでなく映像の用途に応じてフレームレート、ビットレートなどのあらゆる要素、またはその組み合わせにより表示用映像ストリームとスナップショット記録用映像ストリームに分けることが可能である。また、映像の用途に応じて表示用映像ストリームとスナップショット記録用映像ストリームの2種類の映像ストリームに分けるのでなく、複数の用途に対応した複数の映像ストリームを配信することも可能である。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、クライアントからの要求、状況、及び用途に対応した設定を行った映像ストリームを監視装置からクライアントに配信するので、クライアントに適した映像ストリームを配信することができる。
【0053】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0054】
以上の実施態様の特徴をまとめると次のようになる。
(1) 本発明の映像配信システムは、監視装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、映像ストリームの配信用の設定が変更可能な前記監視装置の配信用設定手段と、前記配信用の設定がされた前記映像ストリームを配信する前記監視装置の配信手段と、前記映像ストリームを受信する映像受信装置の受信手段と、を備えることを特徴としている。
(2)(1)の映像配信システムの前記配信用の設定は、前記映像受信装置からの要求に対応した設定が行われることを特徴としている。
(3)(1)の映像配信システムの前記配信用の設定は、前記映像受信装置の状態に対応した設定が行われることを特徴としている。
(4)(1)から(3)のいずれかの映像配信システムの前記配信用設定手段は、複数の映像ストリームに異なる前記配信用の設定を行い、前記配信手段は前記複数の映像ストリームを配信することを特徴としている。
(5)(1)から(4)のいずれかの映像配信システムの前記映像受信装置は、前記映像ストリームを表示する表示手段を備えたクライアント機器であることを特徴としている。
(6)(1)から(4)のいずれかの映像配信システムの前記映像受信装置は、前記映像ストリームを記録する記録手段を備えた記録装置であることを特徴としている。
(7)(1)から(6)のいずれかの映像配信システムの前記配信用の設定は、解像度、フレームレート、ビットレート等の前記映像ストリームのパラメータ情報のいずれかの設定であることを特徴としている。
(8)(1)から(6)のいずれかの映像配信システムの前記配信用の設定は、解像度、フレームレート、ビットレート等の前記映像ストリームのパラメータ情報の内で複数項目を組み合わせた設定であることを特徴としている。
(9)本発明の映像配信システムの配信方法は、監視装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、映像ストリームの配信用の設定が変更可能な前記監視装置の配信用設定工程と、前記配信用の設定がされた前記映像ストリームを配信する前記監視装置の配信工程と、前記映像ストリームを受信する前記映像受信装置の受信工程と、を備えることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、映像配信システムに好適であるが、映像配信システムに限られるものではなく、映像を表示または記録できる装置一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
100・・・・・映像配信システム
100a・・・・映像配信システム
100b・・・・映像配信システム
110・・・・・監視装置
110a・・・・監視装置
110b・・・・監視装置
111・・・・・配信要求受信部
112・・・・・映像入力部
113a・・・・不揮発性メモリ
113a1・・・映像メインストリーム設定データ
113a2・・・映像サブストリーム設定データ
113b・・・・メモリ
113b1・・・映像メインストリームバッファ
113b2・・・映像サブストリームバッファ
114・・・・・制御部
114p1・・・映像メインストリーム変換処理部
114p2・・・映像サブストリーム変換処理部
114p3・・・映像メインストリーム配信処理部
114p4・・・映像サブストリーム配信処理部
115・・・・・配信部
120・・・・・クライアントPC(クライアント機器)
120a・・・・クライアントPC(クライアント機器)
120b・・・・クライアントPC(クライアント機器)
121・・・・・映像表示処理部
121a・・・・映像表示処理部
121b・・・・映像表示処理部
122b・・・・記録媒体
130・・・・・クライアントPC(クライアント機器)
130a・・・・クライアントPC(クライアント機器)
131・・・・・映像表示処理部
131a・・・・映像表示処理部
140・・・・・記録装置
141・・・・・記録媒体
150・・・・・ネットワーク
150a・・・・ネットワーク
150b・・・・ネットワーク
200・・・・・映像配信システム
210・・・・・監視装置
211・・・・・配信要求受信部
212・・・・・映像入力部
213a・・・・不揮発性メモリ
213a1・・・映像ストリーム設定データ
213b・・・・メモリ
213b1・・・映像ストリームバッファ
214・・・・・制御部
214p1・・・映像ストリーム変換処理部
214p2・・・映像ストリーム配信処理部
215・・・・・配信部
220・・・・・クライアントPC(クライアント機器)
221・・・・・映像表示処理部
230・・・・・クライアントPC(クライアント機器)
231・・・・・映像表示処理部
240・・・・・記録装置
241・・・・・記録媒体
250・・・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、
映像ストリームの配信用の設定が変更可能な前記監視装置の配信用設定手段と、
前記配信用の設定がされた前記映像ストリームを配信する前記監視装置の配信手段と、
前記映像ストリームを受信する映像受信装置の受信手段と、
を備えることを特徴とする映像配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−19407(P2012−19407A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156001(P2010−156001)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】