説明

時間分解蛍光測定装置、及び方法

【課題】時間分解蛍光測定装置において、測定対象物から発せられた蛍光の検出効率を向上させる。
【解決手段】測定対象物30には、励起光が照射される。蛍光検出手段24は、測定対象物30から発せられた蛍光を検出する。蛍光検出手段24は、複数の検出器が所定方向に一列に配列された検出器群を有する。光学素子23は、蛍光が蛍光検出手段24に入射するまでの間の光路中に配置される。光学素子23は、励起光が測定対象物30に照射された後、時間経過と共に蛍光が検出器群の複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。PC26は、検出器群での蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間分解蛍光測定装置及び方法に関し、更に詳しくは、時間領域測定法、特に時間ゲート法を用いて蛍光を測定する時間分解蛍光測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光を発する物質に可視光や紫外光を照射すると、蛍光が発することが知られている。蛍光を発する物質にパルス幅が短い光を照射すると、その照射後、ピコ秒からナノ秒オーダーにわたって蛍光が観察される。一般的に、この蛍光の発光強度は光照射直後で最大となり、その後、指数関数的に減衰していく。この指数関数における減衰定数が、蛍光寿命と呼ばれる。蛍光寿命を顕微鏡下で観測し、2次元的にマッピングを行う手法をFLIM(Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy)と呼ぶ。
【0003】
ここで、蛍光寿命の特徴は、時間という定量性に優れた指標を基準にできることである。蛍光の特性を、蛍光の発光強度で定量化することもできるが、蛍光の発光強度は、蛍光を発する物質の濃度、退色、励起光の波長、強度、集光効率、検出器の感度、観測試料中での光の減衰、光学系の透過率など様々な要因による影響を受ける。一方、蛍光寿命は、測定条件に依存して変化し得る蛍光の発光強度とは異なり、蛍光を発する物質に固有な値となることから、定量的な議論が可能となる。蛍光寿命は、その分子の構造や電子状態に関し重要な情報を与えるほか、周囲の環境(イオン濃度、pH、酸素濃度、屈折率、粘性、温度など)に関する情報も提供する。
【0004】
蛍光寿命を観測する方法は、大きく分けて2つある。1つは、パルス状の光を励起光に用いる時間領域測定法(time-domain measurement)であり、もう1つは、正弦波状に強度変調した光を励起光に用いる周波数領域測定法(frequency-domain measurement)である。時間領域測定法では、短パルスレーザを試料に入射し、その時間応答を高速な検出器で観測する。時間領域測定法における代表的な観測方法として、時間相関単一光子計数法(time-correlated single photon counting:TCSPC)や、イメージインテンシファイア付きCCDを用いた時間ゲート法、ストリークカメラを用い、時空間変換によってスペクトルと時間波形を一度に観測する手法が挙げられる。これらの方法に、アレイタイプの高感度検出器やスキャナミラーを組み合わせることで、蛍光寿命のマッピング、つまりイメージングが可能となる。
【0005】
時間ゲート法では、蛍光発光の減衰曲線を時間軸方向にいくつかのウィンドウに分割し、パルス光を試料に照射した後、測定すべきウィンドウ(時間領域)に応じた遅延時間で検出器を一瞬だけオンにする。複数のウィンドウで蛍光の検出を行い、各ウィンドウ内の積分発光強度の値を時間に対してプロットし、積分発光強度が単一指数関数的に減衰すると仮定して蛍光寿命を求める。時間ゲート法は、時間相関単一光子計数法に比べ、測定時間を短縮できる。しかし、例えば時間領域を4分割したと仮定した場合、4つのウィンドウのそれぞれにおいて積分発光強度を求めるためには、同一の測定箇所に対して最低でも4回測定を行うことが必要である。このため、例えば細胞などの時々刻々と変化するサンプルに対して、同一時刻での蛍光寿命測定は困難であった。また、何度もパルス光を照射することで蛍光物質の退色が生じ、また、測定箇所が細胞であれば細胞が損傷するなどの問題もあった。
【0006】
上記問題点に対し、特許文献1には、1度の励起光で単一蛍光減衰曲線の2つのウィンドウにおける積分発光強度を測定する方法が開示されている。引用文献1に記載の時間分解イメージング装置は、分離光学系と、遅延光学系と、合成光学系とを有する。分離光学系は、測定対象で発生した蛍光を、第1の光と第2の光とに分離して出力する。第1の光は遅延光学系を介して合成光学系に出力され、第2の光はそのまま合成光学系に出力される。遅延光学系は、第1の光に対して、第2の光の光路長に比して長い光路長を設定する。合成光学系は、分離光学系が出力する第2の光、及び遅延光学系を通った第1の光それぞれが形成する測定対象の像を、結像面上の互いに重ならない領域に合成し、合成した像を撮像部に出力する。第1の光は遅延光学系で遅延が与えられた分だけ遅れるため、撮像部において第1の光と第2の光とを同時刻に撮像することで、2つの時間領域における積分発光強度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−43146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、時間ゲート法では、ウィンドウ幅に対応する時間だけ検出器がオンにされ、検出器がオンされたときに入射された蛍光は検出器で検出されるものの、それ以外の時間領域の蛍光は検出器で検出されることはない。このことは、励起光に対する蛍光の検出効率を下げる要因となっている。特許文献1においても、分離された第1の光及び第2の光は、それぞれウィンドウ幅の分しか撮像部において撮像されず、ウィンドウ外の時間領域における蛍光が撮像部で撮影されることはないため、励起光に対する蛍光の検出効率を向上させることはできない。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、測定対象物から発せられた蛍光の検出効率を向上できる時間分解蛍光測定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の波長を有する光を励起光として測定対象物に照射する光照射手段と、前記測定対象物から発せられる蛍光を検出する蛍光検出手段であって、複数の検出器が所定の方向に沿って一列に配列された検出器群を有する蛍光検出手段と、前記蛍光が前記蛍光検出手段に入射するまでの間の光路中に配置され、前記励起光が前記測定対象物に照射された後、時間経過と共に前記蛍光が前記検出器群の複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子と、前記検出器群での蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段とを備えたことを特徴とする時間分解蛍光測定装置を提供する。
【0011】
本発明の時間分解蛍光測定装置では、前記蛍光寿命算出手段が、前記複数の検出器での蛍光の検出結果に基づいて複数の時間領域のそれぞれにおける蛍光発光強度を求め、該求められた蛍光発光強度に基づいて前記蛍光寿命を算出する構成を採用できる。
【0012】
前記蛍光寿命算出手段は、前記複数の検出器のうちの、求めるべき蛍光発光強度の時間領域に対応した1以上の検出器での蛍光の検出結果に基づいて、各時間領域における蛍光発光強度を求めてもよい。
【0013】
前記光学素子は、前記蛍光の測定期間にわたって、前記蛍光の進行方向を、前記一列に配列された複数の検出器の一端側から他端側へ連続的に変化させてもよい。
【0014】
前記光学素子には、弾性変位可能に支持され、第1の方向及びこれとは逆方向の第2の方向へ変位可能な可動部と、該可動部へ前記第1の方向の物理的作用力を加える第1の駆動源と、前記可動部へ前記第2の方向の物理的作用力を加える第2の駆動源とを含む電気機器素子を用いることができる。
【0015】
前記励起光は、点光源とすることができる。この場合、前記蛍光検出器手段は、前記測定対象物の前記励起光が照射された箇所から発せられる蛍光を、前記検出器群の複数の検出器で検出することができる。
【0016】
上記に代えて、前記励起光にライン光源を用いてもよ。その場合、前記蛍光検出手段は、前記測定対象物の前記励起光が照射された1行×m列(mは2以上の整数)の領域に対応した複数の検出器群を含み、前記測定対象物の前記励起光が照射された1行のm列の領域から発せられる蛍光のそれぞれを、前記複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出することができる。
【0017】
更に上記に代えて、前記励起光に面光源を用いてもよい。その場合、前記蛍光検出手段が、前記測定対象物の前記励起光が照射されたn行×m列(n、mはそれぞれ2以上の整数)の領域に対応して、それぞれが1行×m列の領域に対応した複数の検出器群をnセット有し、前記光学素子は、前記測定対象領域の励起光が照射された各行のm列の領域から発せられた蛍光を、前記蛍光検出手段の対応するセットの複数の検出器群に向けて出射し、前記蛍光検出手段は、前記測定対象物の前記励起光が照射された各行のm列の領域から発せられる蛍光のそれぞれを、前記対応するセットの複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出すればよい。
【0018】
前記蛍光検出手段は、ゲート機能を有するイメージインテンシファイアと電荷撮像素子とを含んでいてよい。
【0019】
本発明の時間分解蛍光測定装置は、前記励起光を前記測定対象物の表面上で走査する走査手段と、前記走査された励起光の各位置に対応する前記蛍光の発光強度、及び前記算出された蛍光寿命の少なくとも一方の分布を表す蛍光画像を生成する蛍光画像生成手段とを更に備える構成とすることができる。
【0020】
前記走査手段は、前記測定対象物の表面上に加えて、前記測定対象物上の前記励起光の集光位置を深さ方向にも走査し、前記蛍光画像生成手段は、前記蛍光画像を3次元情報として生成することができる。
【0021】
本発明は、本発明の時間分解蛍光測定装置を備えたことを特徴とする顕微鏡システムを提供する。
【0022】
また本発明は、本発明の時間分解蛍光測定装置を備えたことを特徴とする内視鏡ファイバプローブシステムを提供する。
【0023】
本発明は、更に、所定の波長を有する光を励起光として測定対象物に照射するステップと、前記励起光が前記測定対象物に照射された後、前記測定対象物から発せられる蛍光が、時間経過と共に所定の方向に沿って一列に配列された複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、前記蛍光の進行方向を変化させるステップと、前記複数の検出器における蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出するステップとを有することを特徴とする時間分解蛍光測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の時間分解蛍光測定装置及び方法では、測定対象物から発せられた蛍光の検出に際して、蛍光が時間経過と共に所定の方向に沿って一列に配列された複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。このようにすることで、例えば測定期間にわたって蛍光を順次に異なる検出器で検出することができ、励起光に対する蛍光の検出効率を高めることができきる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の時間分解蛍光測定装置を示すブロック図。
【図2】蛍光寿命測定の動作手順を示すフローチャート。
【図3】(a)及び(b)は、MEMSミラーとCCDとを模式的に示す図。
【図4】DMDの基本構造を示す斜視図。
【図5】(a)及び(b)は、DMDの基本動作原理を示す断面図。
【図6】駆動信号を供給したときの時間と回転角との関係を示すグラフ。
【図7】ライン光源の励起光が照射された場合の光学素子と蛍光検出手段とを模式的に示す斜視図。
【図8】面光源の励起光が照射された場合の光学素子と蛍光検出手段とを模式的に示す斜視図。
【図9】顕微鏡システムを示すブロック図。
【図10】内視鏡プローブシステムを示すブロック図。
【図11】内視鏡プローブの断面を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の時間分解蛍光測定装置を示す。時間分解蛍光測定装置10は、レーザ光源11、パルスピッカー12、ミラー13、21、ビームスプリッター14、励起光検出手段15、非線形光学結晶16、ダイクロイックミラー17、対物レンズ18、励起光除去フィルター19、分光器20、集光レンズ22、光学素子23、蛍光検出手段24、光学素子制御手段25、及びコンピュータ(PC:Personal Computer)26を備える。
【0027】
時間分解蛍光測定装置10は、時間ゲート法を用いて蛍光寿命を求める。すなわち、蛍光発光の減衰曲線を数分割のウィンドウ(時間領域)に分割し、励起光としてパルス光を試料に照射した後、複数のウィンドウにおいて蛍光発光強度を検出し、各ウィンドウ内の蛍光発光強度の値(積分値)を時間に対してプロットし、積分発光強度が指数関数的に減衰すると仮定して蛍光寿命を求める。なお、測定対象の光は、測定対象物から発せられた蛍光のみに限定されるわけではなく、それと類似した特徴を持つ光、例えばりん光でもよい。つまり、時間分解蛍光測定装置10を用いてりん光の寿命を求めてもよい。
【0028】
レーザ光源11は、試料である測定対象物30に照射される所定波長の励起光を生成する。レーザ光源11には、例えばTiSaレーザなどを用いることができる。レーザ光源11は、パルス的なレーザ光を生成する。レーザ光源11は、例えばピコ秒からフェムト秒のパルス時間であるパルス光をパルス励起光として生成する。パルスピッカー12は、例えばレーザ光源11が周期的に生成するパルス励起光を所定の割合で間引く。パルスピッカー12がパルス励起光を間引くことで、測定対象物30に所望の周期でパルス励起光を照射できる。レーザ光源11がパルス励起光を生成する周期が所望の周期となっている場合、パルスピッカー12は省いてもよい。
【0029】
ビームスプリッター14は、パルス励起光の一部を反射し、残りを透過する。励起光検出手段15は、ビームスプリッター14で反射した光を検出する。励起光検出手段15にはフォトダイオードなどを用いることができる。非線形光学結晶16は、ビームスプリッター14を透過した光を入射し、入射光の波長の第2高調波又は第3高調波を発生する。ダイクロイックミラー17は、励起光の波長帯域の光を透過し、測定対象物30から発せられた蛍光の波長帯域の光を反射する。
【0030】
対物レンズ18は、ダイクロイックミラー17を透過した励起光を、測定対象物30上の所望の箇所に集光する。また、対物レンズ18は、測定対象物30の励起光が照射された箇所で発生した蛍光を、励起光とは逆向きに入射し、平行光化して出射する。励起光除去フィルター19及び分光器20は、入射光から、励起光の波長帯域の光を除去する。集光レンズ23は、入射光を光学素子23上に集光する。
【0031】
蛍光検出手段24は、測定対象物30から発せられる蛍光を検出する。蛍光検出手段24は、複数の検出器が所定の方向に沿って一列に配列された検出器群を有する。光学素子23は、励起光が測定対象物30に照射された後、時間経過と共に蛍光が検出器群の複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。光学素子制御手段25は、光学素子23を駆動制御する。PC26は、蛍光検出手段24の駆動、及び光学素子制御手段25に対する制御指示などを行う。また、PC26は、蛍光検出手段24の検出器群での蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する。
【0032】
励起光照射から蛍光寿命算出までの一連の動作について説明する。レーザ光源11から出射したパルス励起光は、ミラー13で反射して進行方向を変え、ビームスプリッター14に入射して一部が反射し、残りがビームスプリッター14を透過する。ビームスプリッター14を透過した光は、測定対象物30に照射される励起光となる。一方、ビームスプリッター14で反射した光は、励起光が照射された旨を検出するために使用される。励起光検出手段15は、ビームスプリッター14で反射した光を検出し、励起光が検出された旨を表す信号をPC26に伝達する。PC26は、励起光が検出された旨を表す信号を受け取ると、蛍光検出手段24における蛍光の検出を開始させる。
【0033】
ビームスプリッター14を透過した励起光は、非線形光学結晶16に入射する。非線形光学結晶16は、入射光の波長の第2高調波又は第3高調波を発生する。非線形光学結晶16を出射した励起光は、ダイクロイックミラー17に入射する。ダイクロイックミラー17は、励起光の波長(波長帯域)の光を対物レンズ18側に透過する。ダイクロイックミラー17を透過した励起光は、対物レンズ18により、測定対象物30の所望の箇所に集光される。なお、レーザ光源11から対物レンズ18に至る光路に配置された各部は、励起光を測定対象物30に照射する励起光照射手段に相当する。
【0034】
測定対象物30の励起光が照射された箇所では、蛍光が発生する。測定対象物30から発せされた蛍光は、対物レンズ18を励起光とは逆向きに通り、平行光としてダイクロイックミラー17に入射する。ダイクロイックミラー17は入射した蛍光を反射し、その反射光は、励起光除去フィルター19及び分光器20に入射して、必要な波長のみが取りだされる。分光器20に代えて、ローパスフィルターやバンドパスフィルターを用いてもよい。必要な波長成分が取り出された蛍光は、ミラー21で反射して方向を変え、集光レンズ22により、光学素子23上に集光される。集光レンズ22を用いずに、蛍光を、平行光として光学素子23に照射してもよい。
【0035】
光学素子23は、例えば微小ミラーとして構成される。微小ミラーには、半導体プロセスにて作成されたMENS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを好適に用いることができる。光学素子23には、例えば、弾性変位可能に支持され、所定の方向及びそれとは逆方向へ変位可能な可動部と、可動部へ所定方向の物理的作用力を加える第1の駆動源と、所定方向とは逆方向の物理的作用力を加える第2の駆動源とを含む電気機器素子を用いることができる。可動部の上面には反射ミラーが形成される。可動部を駆動する物理的作用力には、静電気力又は電磁力を用いることができる。光学素子制御手段25は、光学素子23における可動部(反射ミラー)の駆動を制御する。
【0036】
光学素子23を反射した蛍光は、蛍光を検出する蛍光検出手段24に入射する。蛍光検出手段24は、複数の検出器が所定の方向に沿って一列に配列された検出器群を含んでいる。蛍光検出手段24には、電荷撮像素子(CCDイメージセンサ:Charge Coupled Device Image Sensor)を用いることができる。この場合、CCDを構成する各画素が、各検出器に対応する。蛍光検出手段24は、CCDに加えて、ゲート機能付きのイメージインテンシファイアを有していてもよい。蛍光検出手段24は、測定対象物30から発せられた蛍光を、1つ又は複数の波長の蛍光として検出してもよい。蛍光検出手段24の前段にマイクロレンズ又はマイクロレンズアレイを設け、各検出器に、測定対象物30から発せられた蛍光を平行光又は収束光として入射してもよい。
【0037】
PC26は、励起光検出手段15から励起光を検出した旨の信号を受け取ると、光学素子制御手段25を介して、光学素子23の反射ミラーを回転変位させる。光学素子23は、反射ミラーが回転変位することで、反射ミラー面で反射して蛍光検出手段24へ向かう蛍光の進行方向(反射方向)を変化させる。光学素子23は、時間経過と共に、測定対象物30から発せられた蛍光が、蛍光検出手段24の検出器群を構成する複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。言い換えれば、蛍光検出手段24は、検出器群において、時間が進むに連れて順次に異なる検出器で蛍光を検出する。光学素子23は、例えば、蛍光の測定期間にわたって、一列に配列された複数の検出器の一端側から他端側へ、蛍光の進行方向を連続的に変化させる。
【0038】
蛍光検出手段24の各検出器は、検出した蛍光の発光強度に応じた電気信号を出力する。蛍光検出手段24では、光学素子23が回転変位することで測定対象物30から発せされた蛍光が順次に異なる検出器で検出されるため、各検出器で検出される蛍光の発光強度は、蛍光が1つの検出器を横切る時間幅における蛍光発光強度の積分値を表す。PC26は、蛍光寿命算出手段としても機能し、蛍光検出手段24の検出器群で検出された蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する。より詳細には、PC26は、検出器群を構成する複数の検出器での蛍光の検出結果に基づいて、複数の時間領域のそれぞれにおける蛍光発光強度の積分値を求め、それらに基づいて蛍光減衰曲線と蛍光寿命とを求める。
【0039】
図2は、蛍光寿命測定の動作手順を示す。レーザ光源11は、パルス励起光を出射する(ステップS1)。このパルス励起光は、必要に応じてパルスピッカー12で間引かれた後、ミラー13で反射してビームスプリッター14に入射する。ビームスプリッター14はパルス励起光の一部を反射し、残りを測定対象物30方向に透過する。ビームスプリッター14を透過した励起光は、非線形光学結晶16及びダイクロイックミラー17を通り、対物レンズ18により測定対象物30の所望の箇所に集光される。このとき測定対象物30に照射される励起光は点光源であるとする。
【0040】
測定対象物30の励起光が照射された箇所では蛍光が発生する(ステップS2)。この蛍光は、対物レンズ18を逆向きに通り、ダイクロイックミラー17で反射し、励起光除去フィルター19及び分光器20を通って励起光の成分が除去される。測定対象物30から発せられた蛍光は、不所望な成分が除去された後、ミラー21で反射して向きを変え、集光レンズ22により光学素子23の反射ミラー面上に集光される。
【0041】
一方、ビームスプリッター14で反射した励起パルス光の一部は励起光検出手段15に入射し、励起光検出手段15は、励起光が照射された旨を検出する(ステップS3)。励起光検出手段15は、PC26に励起光照射を検出した旨を通知し、PC26は、光学素子制御手段25に対して、光学素子23における反射ミラーの回転変位を指示する。光学素子制御手段25は、光学素子23の可動部に対して信号を与え、可動部を回転変位させる。可動部が回転変位することで、光学素子23は、測定対象物30から発せられる蛍光の反射方向を、時間経過と共に変化させる(ステップS4)。蛍光の進行方向が時間経過と共に変化することで、測定対象物30から発せられた蛍光は、時間軸に対して1次元アレイ状に配列された複数の検出器上を移動していき、各検出器は、相互に異なる時間領域の蛍光を検出する。
【0042】
PC26は、蛍光検出手段24における蛍光の検出結果を演算処理し、蛍光減衰曲線と蛍光寿命の値とを計算する(ステップS5)。PC26は、ステップS5において、検出器群を構成する複数の検出器での蛍光の検出結果に基づいて、複数の時間領域のそれぞれにおける蛍光発光強度の積分値を求める。その際、PC26は、例えば複数の検出器のうちの、求めるべき蛍光発光強度の時間領域に対応した1以上の検出器での蛍光の検出結果に基づいて、各時間領域における蛍光発光強度を求めることができる。PC26は、各ウィンドウ内の積分発光強度を時間軸に対してプロットし、積分発光強度が指数関数的に減衰すると仮定して蛍光寿命を求める。
【0043】
PC26は、例えば検出器群を構成する検出器の数が100個で、蛍光減衰特性を求める際に使用するウィンドウ(時間領域)の数が5つであるとき、計100個の検出器を隣接する20個の検出器ずつグループ化し、各グループ20個の検出器で検出された蛍光発光強度の和を、各ウィンドウにおける蛍光発光強度の積分値としてもよい。検出器群を構成する検出器の数が多いほど、蛍光減衰特性を求める際のウィンドウ分割数を増やすことができる。ウィンドウ分割数を増やすことで、多成分解析も可能となる。
【0044】
続いて、光学素子23として用いるMENSミラーとその周辺について説明する。図3(a)及び(b)は、光学素子であるMEMSミラー51と、蛍光検出手段であるCCD52とを模式的に示す。静電駆動のMEMSミラー51は、ミラー裏に備えられた可動電極と、その下部に位置する固定電極との間に働く静電力に応じて回転変位する。図3(a)は、静電力が供給されない状態を示しており、このとき可動ミラーはフラットな状態であるとする。可動ミラーを励起光と同期して駆動すると、図3(b)に示すように、可動ミラーが初期状態に対して所定方向に傾く。
【0045】
CCD52では、MEMSミラーを中心とする円弧に沿って、画素(検出器)が一列に配列されている。蛍光の測定期間にわたって、可動ミラーを回転変位させることで、測定対象物30から発せられた蛍光は、時間軸に対応して画素が1次元的に配列されたCCD52の別々の画素で検出されることになる。なお、可動ミラーをフラットな状態から所定方向に傾けるのに代えて、初期状態で可動ミラーが所定方向とは逆の方向に傾いており、その状態から所定方向へ傾けることとしてもよい。
【0046】
MEMSミラー51における可動ミラーの回転角を10°とし、可動ミラーがフラットの状態から下部に接触するまでの時間を2μsecとする。つまり、可動ミラーは、2μsecの間に、回転角度を10°だけ変化させるものとする。蛍光測定する時間軸を200nsecとすると、200nsecの間に可動ミラーが回転変位する角度は、10°×(200nsec/2μsec)=1°となる。一次元アレイ状のCCD52の画素数を2000画素とし、1画素のサイズを10μmとすると、CCD52の蛍光検出面の長さは2000×10μm=20mmとなる。MEMSミラー51とCCD52との好適な距離rは、円弧の関係(2πr×(1/360)=20mm)から、およそ1.1mと求まる。言い換えれば、CCD52をMEMSミラー51からおよそ1.1m離れた位置に配置することで、測定期間200nsecの間に回転角1°で進行方向が変化する蛍光を20mmのCCDで検出できる。
【0047】
CCD52の10画素を時間ゲート法の1ウィドウに対応させると、ウィンドウ数は、2000画素/10画素=200ウィンドウとなる。1ウィンドウ時間幅は、トータルの測定時間幅が200nsecであるので、200nsec/200ウィンドウ=1nsecとなる。つまり、時間ゲート法の時間分解能は、1nsecとなる。CCDの100画素を時間ゲート法の1ウィンドウに対応させた場合は、時間分解能は10nsecで、ウィンドウ数は20となる。CCD52の何画素を時間ゲート法の1ウィンドウに対応させるかに応じて、ウィンドウの数及び時間分解能を任意に設定することが可能である。なお、CCDにおいて画素が可動ミラーを中心とする円弧に沿って配列されていない場合、例えばCCDが平面の場合は、MESミラー表面からの距離差に応じて検出画素を補正すればよい。
【0048】
次いで、MEMSミラーの構成について説明する。MEMSミラーは、半導体プロセス等を用いて作製された微小サイズのミラーの総称として用いている。本実施形態において、MEMSミラーとして好適に用いることができるDMD素子(Digital Micro-mirror Device)について説明する。DMDは、米国TI社(Texas Instrument)が1987年に発明し、1996年に量産化した2次元光変調用のミラーアレイデバイスである。以下に、DMDの基本的な構造と動作原理とを説明する。
【0049】
図4は、DMDの基本構造を示す。DMD60は、Si基板61に形成されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の駆動回路上に、1辺が10μm〜13μmのミラー62が2次元に配列された構造である。2次元配列されたミラーのうちの1つを、測定対象物30(図1)の一点から発せられた蛍光の進行方向を変化させる微小ミラーとして用いる。ミラー62は、薄膜サーフェースMEMS技術により形成された回転自在な構造であり、静電駆動により±10deg〜12degの傾斜変位が可能である。
【0050】
Si基板61上には、1画素ごとにCMOSプロセスによる1bitのSRAM(Static Random Access Memory)回路が形成されている。このSRAMには、ミラー62の変位の方向を定めるデータが書き込まれる。SRAM回路の上部には、第1電極と第2電極とが絶縁層を介して形成され、各々はSRAM回路の出力に接続される。第1電極及び第2電極には、それぞれSRAM回路に書き込まれたデータ及びその相補データに対応するアドレス電圧Va1及びVa2が供給される。
【0051】
また、Si基板61上にはランディングパッドが形成されている。それらの上部に空隙を介して両端が支持されたヒンジ63と称される梁が形成される。ヒンジ63上にはヨーク64と称される剛性のある膜が形成され、ヨーク64の上に支柱を介して剛性のあるミラー62が形成されている。ミラー62は、ヒンジ63により、ヨーク64と一体に弾性捩れ可能となっている。第1電極、第2電極、ヨーク64、及びミラー62は、ヒンジ軸に対して対称に配置され、従って、ヨーク64及びミラー62は、ヒンジ軸のねじれ弾性により左右の回転(傾斜)が可能となる。
【0052】
ミラー62及びヨーク64が傾斜すると、ヨーク64の端部がランディングパッドに接触し、ミラー62及びヨーク64はそれ以上傾斜しない。ランディングパッドは、ストッパとして機能する。ヒンジ63、ヨーク64、ミラー62、及びランディングパッドは、Al又はAl合金で形成され、電気的に同電位である。ヒンジ63、ヨーク64、ミラー62、及びランディングパッドには、バイアス電圧Vbが供給される。
【0053】
図5(a)及び(b)は、DMDの基本動作原理を示す。可動部67を構成するヨーク64/ミラー62には、バイアス電圧Vbが供給される。一方、駆動信号、すなわち可動部67(ミラー62)の回転方向に応じたデータがSRAM回路に書込まれると、第1電極65及び第2電極66には、アドレス電圧Va1、Va2が供給される。アドレス電圧Va1とVa2は、デジタル電圧で互いに相補的である。ここで、ΔV1=|Vb−Va1|とし、ΔV2=|Vb−Va2|とすると、ΔV1、ΔV2の値に従って、画素電極(第1電極65及び第2電極66)と、対向する可動部67との間に静電気力(回転に対しては静電トルク)が発生する。ΔV1>ΔV2のとき、可動部67は、図5(a)に示すように第1電極65に向かって傾斜する。逆に、ΔV1<ΔV2のときは、可動部67は、図5(b)に示すように第2電極66に向って傾斜する。
【0054】
実際のDMDは、電源ONの状態で可動部67がどちらか一方に傾き、ΔV1とΔV2との関係に応じて、可動部67が初期状態とは反対側に傾くか、或いは初期状態と同じ側に傾く。反対側に傾く動作をCROSS動作といい、同じ側に傾く動作をSTAY動作と呼ぶ。図6は、駆動信号を供給したときの時間と回転角との関係を示す。図6において、CROSS動作における時間と回転角との関係を実線で示し、STAY動作における時間と回転角との関係を点線で示す。ΔV1又はΔV2による静電トルクがヒンジ弾性トルクに比べて十分に大きい場合(pull−inトルク以上)、可動部67はランディングパッドに接触して停止し、回転角度が決定される。
【0055】
本実施形態では、測定対象物30から発せされた蛍光が蛍光検出手段24に入射するまでの間の光路中に光学素子23を配置し、光学素子23を用いて、時間経過と共に蛍光検出手段24に向かう蛍光の進行方向を変化させる。蛍光検出手段24は、測定対象物30から発せられた蛍光を、時間経過と共に検出器群を構成する複数の検出器のうちの異なる検出器で順次に検出する。本実施形態では、複数の検出器が時間軸に対して一次元的に配置された検出器群において、測定期間にわたって、蛍光が順次に異なる検出器で検出される。このため、蛍光検出手段24において、無駄なく測定対象物30から発せられた蛍光を検出でき、励起光に対する蛍光の検出効率を高めることができきる。
【0056】
また、通常の時間ゲート法において、例えば3つのウィンドウで積分蛍光発光強度を求めるためには、励起光パルスを最低でも3回照射する必要があった。特許文献1に記載の技術では、励起光パルスの照射回数を半分に減らすことはできるものの、それでも最低限2つの励起光パルスの照射が必要となっていた。本実施形態では、検出器群が3以上の検出器を有するとき、最低限1回の励起光パルス照射で、3以上のウィンドウにおいて積分蛍光発光強度を求めることができ、複数回の励起光パルス照射が必要であった従来技術に比して、測定時間を短縮することができる。本実施形態では、最低1つの励起光パルスで測定を完了できるため、細胞などの時々刻々と変化する試料の同一時刻での蛍光寿命測定が可能である。また、1パルス又は少ないパルス数で測定が可能であるため、光退色の影響を抑えることができる。
【0057】
本実施形態では、最大で、蛍光検出手段24において検出器群を構成する検出器の数の分のウィンドウで、積分蛍光発光強度を求めることができる。その場合、1つの検出器での蛍光検出結果が、1つのウィンドウでの積分蛍光発光強度に対応する。いくつかの検出器をまとめて1ウィンドウに対応させ、隣接する1以上の検出器での蛍光検出結果を合算してもよい。検出器群を構成する検出器の数が多いほど、時間ゲート法におけるウィンドウの数を増やすことができ、蛍光減衰曲線をフィッティングする点の数を増やして、解析の精度を向上することができる。また、蛍光減衰曲線のフィッティング数を増やすことで、多成分の解析も可能となる。
【0058】
時間分解蛍光測定装置10は、図1に示す構成に加えて、測定対象物30上で励起光の照射位置を走査する走査手段を有していてもよい。走査手段は、測定対象物30の表面上で、例えば点光源である励起光の照射位置を互いに直交するx方向とy方向との2方向に走査する。走査手段には、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントミラー、ピエゾステージなどを用いることができる。PC26(蛍光寿命算出手段)は、走査された各位置において、蛍光発光強度(減衰特性)と蛍光寿命とを求める。
【0059】
PC26は、蛍光寿命算出手段としての機能に加えて、走査された励起光の各位置に対応する蛍光の発光強度の分布を表す蛍光画像を生成する蛍光画像生成手段として機能してもよい。PC26は、蛍光発光強度に代えて、走査された各位置に対応して算出された蛍光寿命の分布を表す画像を蛍光画像として生成してもよい。または、PC26は、発光強度と蛍光寿命の双方の分布を表す画像を蛍光画像として生成してもよい。PC26は、生成した蛍光画像を、例えばディスプレイなどの表示装置に表示する。
【0060】
上記の走査手段は、測定対象物30の表面だけでなく、測定対象物30に対する励起光の集光位置を深さ方向に走査してもよい。深さ方向の走査には、ピエゾステージ又は集光レンズ(対物レンズ18)を用いることができる。蛍光寿命測定手段は、測定対象物の表面上の各位置だけではなく、深さ方向に走査された各位置についても、蛍光発光強度(減衰特性)と蛍光寿命とを求めればよい。また、蛍光画像生成手段は、測定対象物30の表面上の2方向に深さ方向を加えて、蛍光画像を3次元情報として生成すればよい。
【0061】
上記実施形態の説明では、光学素子23に静電駆動のMEMS素子を用いる例を説明したが、光学素子23に、駆動力が電磁力のMEMS素子、例えば電磁スキャナを用いることも可能である。電磁駆動は、スキャナ素子で一般に用いられている。電磁駆動の場合、可動部に電流を流すと、電流の向きと永久磁石の磁力の方向とによりローレンツ力が発生し、可動部を駆動させる。電流の流れる向きを交互にすることで、可動部を回転振動させることができる。
【0062】
上記実施形態の説明では、励起光として点光源を想定しており、測定対象物30の一点(1つの微小領域)に励起光を照射し、その微小領域から発せられた蛍光を、光学素子23を介して蛍光検出手段24で検出するものとして説明した。これに代えて、ライン光源を用い、一度に測定対象物30の複数の箇所に励起光を照射することも可能である。その場合も、測定対象物30の励起光が照射された各微小領域(1ライン上の各地点)から発せられた蛍光が蛍光検出手段24で検出される仕組みは、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0063】
ライン光源を用いる場合、光学素子23は、測定対象物30の1ラインの励起光が照射された箇所から発せられた蛍光を、時間経過と共に蛍光の進行方向を変化させつつ、蛍光検出手段24に向けて出射すればよい。また、蛍光検出手段24は、励起光が照射される1ラインの各地点に対応した数の検出器群を有していればよい。例えば蛍光検出手段24は、測定対象物30の励起光(ライン光)が照射された1行×m列の微小領域に対応して、m個の検出器群を有していればよい。各検出器群では、複数の検出器が一列に配列されており、その検出器群を複数並べて配置するため、複数の検出器は、蛍光検出手段24において2次元配列で配列されることになる。
【0064】
図7は、ライン光源の励起光が照射された場合の光学素子23と蛍光検出手段24とを示す。光学素子23は、例えばMEMSミラーアレイ53として構成される。MEMSミラーアレイ53にDMD60(図4)を用いた場合、DMD60は、例えば2次元配列されたミラーの1行(1行を構成する各画素)を用いて、測定対象物30のライン光が照射された部分(1行×m列の微小領域)から発せられた蛍光を反射すればよい。DMDの1行を構成する各画素には、同じ駆動信号(SRAMに記憶させるデータ)を、同じタイミングで供給すればよい。画素ごとに独立に駆動が可能なMEMSミラーアレイ53に代えて、励起光の1ラインに対応した長さ、例えば図7における画素5つ分の長さを有する1枚のMEMSミラーを用いてもよい。
【0065】
蛍光検出手段24は、例えば画素が2次元配列されたCCDアレイ54として構成される。CCDアレイ54の2次元配列された画素のうち、MEMSミラーアレイ53におけるミラーの回転変位の方向に対応した方向に沿って配列された複数の画素が、測定対象物30の一点(1つの微小領域)に対応した検出器群を構成する。CCDアレイ54では、この検出器群が、MEMSミラーアレイ53の画素の配列方向に対応した方向に並べられている。CCDアレイ54は、測定対象物30の励起光が照射された1行×m列の微小領域から発せられる蛍光のそれぞれを、m個の検出器群のうちの対応する検出器群で検出する。
【0066】
測定対象物30に対し、励起光をライン光として照射するとで、測定対象物の1ラインを一括で励起することができ、1ラインから発せられた蛍光をMEMSミラーアレイ53に一度に入射することができる。MEMSミラーアレイ53は、1ラインから発せられた蛍光を、時間経過と共に蛍光の進行方向を変化させつつ、CCDアレイ54に向けて出射(反射)する。蛍光検出手段24として2次元アレイ状のCCDアレイ54を用いれば、1ラインからの蛍光を時間分解して検出することが可能となる。ライン光を用いる場合、ライン励起光を試料表面の1方向に走査することで、イメージングが可能となる。
【0067】
測定対象物30に照射する励起光は、面光源であってもよい。面光源を励起光として照射する場合、蛍光検出手段24は、測定対象物30の励起光が照射されるn行×m列の微小領域に対応して、それぞれが1行×m列の領域に対応した複数の検出器群をnセット有していればよい。また、光学素子23は、測定対象物30の励起光が照射された各行のm列の微小領域から発せられた蛍光を、蛍光検出手段24の対応するセットの複数の検出器群に向けて反射(出射)すればよい。蛍光検出手段24は、測定対象物30の励起光が照射された各行のm列の領域から発せられる蛍光のそれぞれを、対応するセットの複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出する。
【0068】
図8は、面光源の励起光が照射された場合の光学素子23と蛍光検出手段24とを示す。光学素子23は、例えばMEMSミラーが2次元配列されたMEMSミラーアレイ55として構成される。MEMSミラーアレイ55にはDMD60(図4)を用いることができる。蛍光検出手段24は、例えば画素が2次元配列されたCCDアレイ56として構成される。CCDアレイ56は、図7に示すCCDアレイ54が、n個(nセット)連結されたものでよい。図7に示すCCDアレイ54は、測定対象物30の励起光が照射された1行に対応した複数の検出器群を含んでおり、CCDアレイ56は、その1行に対応した複数の検出器群をnセット有している。
【0069】
MEMSミラーアレイ55(DMD)の1行を構成する各画素には、同じ駆動信号(SRAMに記憶させるデータ)を、同じタイミングで供給すればよい。DMDの各行には、相互に異なるタイミングで駆動信号を供給する。各行に駆動信号を供給するタイミングは、測定対象物30の励起光が照射された各行から発せられた蛍光が、CCDアレイ56の対応するセットの複数の検出器群に向けて出射されるように調整しておく。CCDアレイ56は、測定対象物30の励起光が照射された各行のm列の微小領域から発せられる蛍光のそれぞれを、対応するセットの複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出する。面光源を用いて測定対象物30を一括励起し、測定対象物30の励起光が照射された領域から発せられた蛍光を蛍光検出手段24で検出することで、励起光を測定対象物30上を走査することなく、一括で蛍光画像が取得可能である。
【0070】
例えば、図8において、CCDアレイ56の第1セット(第1受光部)を構成する画素は測定対象物30の第1行の領域に対応し、第2セット(第2受光部)を構成する画素は測定対象物30の第2行の領域に対応し、第3セット(第3受光部)を構成する画素は測定対象物30の第3行の領域に対応する。第1受光部は、第1行の5つの微小領域に対応した5つの検出器群を有し、第2受光部は、第2行の5つの微小領域に対応した5つの検出器群を有し、第3受光部は、第3行の5つの微小領域に対応した5つの検出器群を有する。
【0071】
MEMSミラーアレイ55の第1行から第3行に、互いにタイミングをずらして駆動信号が供給されることで、測定対象物30の第1行の各領域から発せられた蛍光は第1受光部で検出され、測定対象物30の第2行の各領域から発せられた蛍光は第2受光部で検出され、測定対象物30の第3行の各領域から発せられた蛍光は第3受光部で検出される。各受光部では、測定対象物30の対応する各行の5列の微小領域から発せられる蛍光のそれぞれを、各受光部を構成する5つの検出器群のうちの対応する検出器群で検出する。例えば第1行から第3行の第1列の微小領域から発せられた蛍光は、それぞれ、第1受光部の第1列の微小領域に対応した検出器群、第2受光部の第1列に対応した検出器群、及び第3受光部の第1列に対応した検出器群で検出される。
【0072】
次いで、上記の時間分解蛍光計測装置を組み込んだ顕微鏡システムを説明する。図9は、顕微鏡システムを示す。顕微鏡システム100の構成は、図1に示す時間分解蛍光測定装置10を構成する手段のうちの一部が顕微鏡101に組み込まれている点を除けば、基本的に時間分解蛍光測定装置10の構成と同様である。
【0073】
レーザ光源11から出射したパルス励起光は、必要に応じてパルスピッカー12で所望の繰り返し周波数に間引かれ、ミラー13を介してビームスプリッター14に入射し、2つの光に分離される。分離された光のうちの一方は、ビームスプリッター14で反射して励起光検出手段15に向かう。分離された光の他方は非線形光学結晶16に入射し、非線形光学結晶16により入射波長の第2高調波又は第3高調波が発生する。
【0074】
非線形光学結晶16により第2高調波又は第3高調波が発生した励起光は、顕微鏡101に導入される。導入された励起光は、励起フィルター102を介してダイクロイックミラー17に入射し、ダイクロイックミラー17を透過して、対物レンズ18により、測定対象物30の所望の箇所に照射される。測定対象物30から発せられた蛍光は、対物レンズ18により平行光化され、ダイクロイックミラー17を透過する。ダイクロイックミラー17を透過した光は、励起光除去フィルター19を通り、ミラー103で反射して、顕微鏡101の外部に出射する。
【0075】
顕微鏡101から出射した光は、分光器20で分光され、ミラー21で反射し、集光レンズ22を経て、収束光として光学素子23に入射する。光学素子23は、時間経過と共に、測定対象物30から発せられた蛍光が、蛍光検出手段24の検出器群を構成する複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。蛍光検出手段24は、検出器群において、時間が進むに連れて順次に異なる検出器で蛍光を検出する。PC26は、蛍光検出手段24の検出器群で検出された蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する。
【0076】
励起光に点光源を用いる場合、励起光を、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントミラー、ピエゾステージなどの走査手段を用いて測定対象物30の表面上を2次元走査すれば、2次元的に蛍光減衰曲線を得ることができ、蛍光寿命の2次元画像情報を得ることができる。励起光にライン光源を用いる場合、励起光を1方向に走査することで、蛍光寿命の2次元画像情報を得ることができる。励起光に面光源を用いる場合、走査手段を用いなくても、蛍光寿命の2次元画像を得ることができる。表面上の2方向に加えて、測定対象物30に励起光を集光する集光レンズ又はピエゾステージにより深さ方向(Z軸方向)にも走査を行うことで、3次元画像情報を得ることができる。
【0077】
引き続き、上記の時間分解蛍光計測装置を組み込んだ内視鏡プローブシステムを説明する。図10は、内視鏡プローブシステムを示す。内視鏡プローブシステム200の構成は、図1に示す時間分解蛍光測定装置10を構成する手段のうちの一部が内視鏡プローブ装置201に組み込まれている点を除けば、基本的に時間分解蛍光測定装置10の構成と同様である。
【0078】
レーザ光源11から出射したパルス励起光は、必要に応じてパルスピッカー12で所望の繰り返し周波数に間引かれ、ミラー13を介してビームスプリッター14に入射し、2つの光に分離される。分離された光のうちの一方は、ビームスプリッター14で反射して励起光検出手段15に向かう。分離された光の他方は非線形光学結晶16に入射し、非線形光学結晶16により入射波長の第2高調波又は第3高調波が発生する。
【0079】
非線形光学結晶16により第2高調波又は第3高調波が発生した励起光は、内視鏡プローブ装置201に導入される。導入された励起光は、励起フィルター202を介してダイクロイックミラー17に入射し、ダイクロイックミラー17を透過する。ダイクロイックミラー17を透過した励起光は、光ファイバ203を介して内視鏡プローブ204に導かれ、内視鏡プローブ204の先端から測定対象物30の所望の箇所に照射される。測定対象物30から発せられた蛍光は、内視鏡プローブ204を逆向きに通り、光ファイバ203を経てダイクロイックミラー17に入射する。
【0080】
図11は、内視鏡プローブ204の断面を示す。内視鏡プローブ204は、内視鏡の鉗子口を通して、測定対象物30である患部へと到達する。内視鏡プローブ204は、中央に形成された光ファイバ206と、周囲に形成された複数の光ファイバ207とを有する。中央に形成された光ファイバ206は、励起光を測定対象物30(図10)まで導光する入射用として機能する。周囲に形成された複数の光ファイバ207は、測定対象物30から発せられた蛍光を受光し、光ファイバ203側へ導光するための受光用として機能する。
【0081】
図10に戻り、光ファイバ203側からダイクロイックミラー17に入射した光は、励起光除去フィルター19を通り、ミラー205で反射して、内視鏡プローブ装置201の外部に出射する。内視鏡プローブ装置201から出射した光は、分光器20で分光され、ミラー21で反射し、集光レンズ22を経て、収束光として光学素子23に入射する。光学素子23は、時間経過と共に、測定対象物30から発せられた蛍光が、蛍光検出手段24の検出器群を構成する複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、蛍光の進行方向を変化させる。蛍光検出手段24は、検出器群において、時間が進むに連れて順次に異なる検出器で蛍光を検出する。PC26は、蛍光検出手段24の検出器群で検出された蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する。
【0082】
励起光に点光源を用いる場合、励起光を、内視鏡先端に設けたMEMSスキャナミラーなどの走査手段を用いて測定対象物30の表面上を2次元走査すれば、2次元的に蛍光減衰曲線を得ることができ、蛍光寿命の2次元画像情報を得ることができる。また、ファイバハンドルなどで、測定対象物30からの信号を2次元的に受光することで、2次元的に蛍光減衰曲線を得てもよい。励起光にライン光源を用いる場合、励起光を1方向に走査することで、蛍光寿命の2次元画像情報を得ることができる。励起光に面光源を用いる場合、走査手段を用いなくても、蛍光寿命の2次元画像を得ることができる。表面上の2方向に加えて、測定対象物30に励起光を集光する集光レンズなどにより深さ方向(Z軸方向)にも走査を行うことで、3次元画像情報を得ることができる。
【0083】
以下、実施例を説明する。DMSO(dimethyl sulfoxide)を溶媒とし、Pd meso-Tetra(4 carboxyphenyl) porphineを溶かして5.0×10−4mol/Lの溶液を作った。この溶液を、10mm角の密閉可能な石英セルに適量入れ、窒素バブリングにより溶存酸素を除去した後に石英セルに蓋をし、励起波長を405nm、蛍光波長を697nmとして、時間分解蛍光測定装置10(図1)を用いて蛍光寿命測定を行った。試料から発する光はりん光であり、その減衰曲線を5msec程度の時間範囲で測定した。
【0084】
光学素子23には、回転角が±10°、駆動周波数が100Hzのスキャナ素子を用いた。また、蛍光検出手段24には、画素数が2000画素、1画素サイズが10μmの1次元アレイ状CCDを用いた。スキャナ素子が−10°から+10°まで駆動する時間は5msecであり、この時間は蛍光減衰曲線の測定時間とほぼ等しい。CCDの100画素を時間ゲート法の1ウィンドウに対応させると、5msec×(100画素/2000画素)=250μsecとなり、時間ゲート法の時間分解能は250μsecとなる。
【0085】
上記の装置を用い、時間ゲート法によるPd meso-Tetra(4 carboxyphenyl) porphineのりん光寿命測定を行った。CCDの100画素が1ウィンドウに対応するため、ウィンドウ数は20となる。時間軸に対して20点のプロットが得られ、この20点をフィッティングすることで、Pd meso-Tetra(4 carboxyphenyl) porphineのりん光寿命はおよそ690μsecと求められた。
【0086】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の時間分解蛍光測定装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10:時間分解蛍光測定装置
11:レーザ光源
12:パルスピッカー
13、21:ミラー
14:ビームスプリッター
15:励起光検出手段
16:非線形光学結晶
17:ダイクロイックミラー
18:対物レンズ
19:励起光除去フィルター
20:分光器
22:集光レンズ
23:光学素子
24:蛍光検出手段
25:光学素子制御手段
26:コンピュータ(PC)
30:測定対象物
51:MEMSミラー
52:CCD
53、55:MEMSミラーアレイ
54、56:CCDアレイ
60:DMD
61:基板
62:ミラー
63:ヒンジ
64:ヨーク
65:第1電極
66:第2電極
67:可動部
100:顕微鏡システム
101:顕微鏡
102:励起フィルター
103:ミラー
200:内視鏡プローブシステム
201:内視鏡プローブ装置
202:励起フィルター
203:光ファイバ
204:内視鏡プローブ
205:ミラー
206、207:光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長を有する光を励起光として測定対象物に照射する光照射手段と、
前記測定対象物から発せられる蛍光を検出する蛍光検出手段であって、複数の検出器が所定の方向に沿って一列に配列された検出器群を有する蛍光検出手段と、
前記蛍光が前記蛍光検出手段に入射するまでの間の光路中に配置され、前記励起光が前記測定対象物に照射された後、時間経過と共に前記蛍光が前記検出器群の複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子と、
前記検出器群での蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段とを備えたことを特徴とする時間分解蛍光測定装置。
【請求項2】
前記蛍光寿命算出手段が、前記複数の検出器での蛍光の検出結果に基づいて複数の時間領域のそれぞれにおける蛍光発光強度を求め、該求められた蛍光発光強度に基づいて前記蛍光寿命を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項3】
前記蛍光寿命算出手段が、前記複数の検出器のうちの、求めるべき蛍光発光強度の時間領域に対応した1以上の検出器での蛍光の検出結果に基づいて、各時間領域における蛍光発光強度を求めるものであることを特徴とする請求項2に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項4】
前記光学素子が、前記蛍光の測定期間にわたって、前記蛍光の進行方向を、前記一列に配列された複数の検出器の一端側から他端側へ連続的に変化させるものであることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項5】
前記光学素子が、弾性変位可能に支持され、第1の方向及びこれとは逆方向の第2の方向へ変位可能な可動部と、該可動部へ前記第1の方向の物理的作用力を加える第1の駆動源と、前記可動部へ前記第2の方向の物理的作用力を加える第2の駆動源とを含む電気機器素子であることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項6】
前記励起光が点光源であることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項7】
前記蛍光検出器手段が、前記測定対象物の前記励起光が照射された箇所から発せられる蛍光を、前記検出器群の複数の検出器で検出するものであることを特徴とする請求項6に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項8】
前記励起光がライン光源であることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項9】
前記蛍光検出手段が、前記測定対象物の前記励起光が照射された1行×m列(mは2以上の整数)の領域に対応した複数の検出器群を含み、前記測定対象物の前記励起光が照射された1行のm列の領域から発せられる蛍光のそれぞれを、前記複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出するものであることを特徴とする請求項8に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項10】
前記励起光が面光源であることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項11】
前記蛍光検出手段が、前記測定対象物の前記励起光が照射されたn行×m列(n、mはそれぞれ2以上の整数)の領域に対応して、それぞれが1行×m列の領域に対応した複数の検出器群をnセット有し、
前記光学素子が、前記測定対象領域の励起光が照射された各行のm列の領域から発せられた蛍光を、前記蛍光検出手段の対応するセットの複数の検出器群に向けて出射し、
前記蛍光検出手段が、前記測定対象物の前記励起光が照射された各行のm列の領域から発せられる蛍光のそれぞれを、前記対応するセットの複数の検出器群のうちの対応する検出器群で検出するものであることを特徴とする請求項10に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項12】
前記蛍光検出手段が、ゲート機能を有するイメージインテンシファイアと電荷撮像素子とを含むことを特徴とする請求項1から11何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項13】
前記励起光を前記測定対象物の表面上で走査する走査手段と、
前記走査された励起光の各位置に対応する前記蛍光の発光強度、及び前記算出された蛍光寿命の少なくとも一方の分布を表す蛍光画像を生成する蛍光画像生成手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1から12何れかに記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項14】
前記走査手段が、前記測定対象物の表面上に加えて、前記測定対象物上の前記励起光の集光位置を深さ方向にも走査し、前記蛍光画像生成手段が、前記蛍光画像を3次元情報として生成するものであることを特徴とする請求項13に記載の時間分解蛍光測定装置。
【請求項15】
請求項1から14何れかに記載の時間分解蛍光測定装置を備えたことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項16】
請求項1から14何れかに記載の時間分解蛍光測定装置を備えたことを特徴とする内視鏡ファイバプローブシステム。
【請求項17】
所定の波長を有する光を励起光として測定対象物に照射するステップと、
前記励起光が前記測定対象物に照射された後、前記測定対象物から発せられる蛍光が、時間経過と共に所定の方向に沿って一列に配列された複数の検出器のうちの異なる検出器で検出されるように、前記蛍光の進行方向を変化させるステップと、
前記複数の検出器における蛍光の検出結果に基づいて、蛍光寿命を算出するステップとを有することを特徴とする時間分解蛍光測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−132742(P2012−132742A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284105(P2010−284105)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】