説明

時間放出指標を有するステント

医療用デバイスは、細長い本体の第1の末端部分が尿路の第1の位置に配置され、そしてこの細長い本体の第2の末端部分が、この尿路の第2の異なる位置に配置されるように、患者の尿路内に配置されるような形態の細長い部分を含む。この細長い本体は、上記尿路内の第1の位置から上記尿路内の第2の位置まで尿を運搬するような形態である管腔を規定する。試薬が、患者の尿を視覚的に変えるよう処方され、この試薬は、上記細長い本体に連結され、そして患者の尿中に放出可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
開示される発明は、一般に医療用デバイスに、そしてより詳細には、患者の尿を視覚的に変えるような形態の試薬を有する尿管ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の尿管ステントは、代表的には、患者の尿路内に、尿管ステントの1つの末端部分が患者の腎臓または尿管のいずれか、そしてこの尿管ステントの別の末端部分が患者の膀胱に位置されるように配置される。いくつかの公知の尿管ステントは、尿管ステントを患者内の位置に保持することを支援するような形態の保持部材を含む。公知の尿管ステントは、代表的には、患者内にガイドワイヤを配置すること、このガイドワイヤ上で尿管ステントをスライドすること、そして次にこの尿管ステントを、カニューレを用いて患者内の所望の位置にガイドワイヤに沿って所望の位置に押し込むことによって、患者の尿路内に位置決めされる。適切な期間の後、尿管ステントは、この尿管ステントを患者の尿路から引き抜くことによって、患者から除去される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような公知の尿管ステントの使用に付随する問題は、患者が、ステントが患者の身体内に配置されていることを忘れ得、そして/または患者が適切な時間の期間の後、ステントを除去するための再診を遅らせ得ることである。この状況が生じるとき、ステントは、覆われるか、またはそうでなければブロックされるようになり得、ステントを通る流体通過の損失、そして腎臓機能の可能な損失を引き起こす。従って、ステントが、患者にステントが除去されるべき時間である指標を提供することが所望され得る。
【0004】
ステントにおける最近の発展は、ステントを、ステントが患者の尿路内でインサイチュ(in situ)で溶解または分解するように、生分解性材料から形成することである。これは、ステントを除去する必要性を排除する。ステントが患者の尿路内になお存在するか否かのような、ステントの状況をモニターするための手段を有することが所望され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
尿管ステントは、患者の尿路内に、細長い本体の第1の末端部分が尿路の第1の位置に配置され、そして該細長い本体の第2の末端部分が、該尿路の第2の異なる位置に配置されるような形態の細長い本体を含む。この細長い本体は、上記尿路内の第1の位置から上記尿路内の第2の位置まで尿を運搬するような形態である管腔を規定する。試薬は、患者の尿を視覚的に変えるよう処方され、この試薬は上記細長い本体に連結され、そして上記患者の尿中に放出可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(詳細な説明)
図1は、本発明の実施形態に従うステントの概略図である。ステント20は、哺乳動物身体の尿路中に配置、またはそうでなければ移植(経尿道的に、または経皮的に)されるような形態である。
【0007】
ステント20は、尿管ステントの任意の従来構造を含み得る。図1に概略的に示される実施形態では、ステント20は、近位端部分28から遠位端部分30まで延び、それを通って尿が運搬され得る管腔32を規定する細長い本体22を含む。細長い本体22および管腔32は、尿管ステントのための任意の従来形態における形態であり得る。同様に、上記近位端部分28および遠位端部分30の各々は、尿路内でステント20の保持を提供するような形態であり得るか、または尿路内でステント20の保持を提供する保持部材38を含み得る。このステント20は、近位端部分28が患者の尿管または膀胱内のいずれかに配置され、そして遠位端部分30が患者の尿管または腎臓内のいずれかに配置されるように、患者の尿路内に配置され得る。細長い本体22は、この細長い本体22によって規定される管腔32と連通する1つ以上の開口部(図1では示されていない)を含み得る。例えば、この細長い本体22は、細長い本体22の側壁に沿って、そして/またはこの細長い本体22の端部上に開口部を含み得る。この細長い本体22はまた、1つ以上の管腔を含み得る。
【0008】
細長い本体22は、生体適合性プラスチックおよび/または金属のような種々の異なる材料で構築され得る。この細長い本体22は、その長さにわたって、1つの材料からなり得るか、または、例えば、2つ以上の材料の押し出しによって形成され得る。例えば、1つの実施形態では、細長い本体22の遠位端部分30は、第1のデュロメーターを有する第1の材料から形成され、そして近位端部分28は、第2の材料から形成される。従って、この近位端部分28は、遠位端部分30の材料より柔軟または可撓性である材料から作製され得、その逆もあり得る。
【0009】
細長い本体22は、尿管ステントを構築する際に用いられる当該技術分野で公知の任意の材料から形成され得る。この細長い本体22のために最も適する生体適合性材料のうちの1つのサブセットは、以下の特徴の少なくともいくつかを示す:高い引っ張り強度、高い保持コイル強度、優れた生体適合性および生体耐久性、優れた放射線不透過性または蛍光透視の可視性、種々のデュロメーターにおける利用可能性、および通過に対する低い抵抗性。例えば、1つの実施形態では、この細長い本体22は、ポリ乳酸(polyactic acid)、ポリグルコール酸、コラーゲン、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸(hylauric acid)、接着タンパク質、これら材料のコポリマー、ならびにそれらの複合体および組み合わせのようなポリマー材料から形成される。
【0010】
上記細長い本体22はまた、種々の異なる生体吸収性または生分解性材料から形成され得る。例えば、ステント20は、生体吸収性ポリマーから形成され得る。公知の生体吸収性ポリマーは、米国特許番号第5,464,450号;同第6,387,124号;および同第5,500,013号(これらの開示は、本明細書中にそれらの全体が参考として援用される)に開示されるステントを含む。適切なポリマーは、例えば、ポリ−L−ラクチド、エチルビニルアセテート、およびポリアミドを含む。
【0011】
ステント20はまた、視覚指標試薬24を含む。この試薬24は、患者の尿路中に放出されるとき、患者の尿の外観を変えるように処方される。例えば、この試薬24は、尿の色を変えるように処方され得る。それ故、この試薬24が患者の尿路中に放出されるとき、患者は、患者によって排出された尿の変化した外観に気づき、そして患者の尿路内のステント20の存在について注意を払うか、または思い出す。この試薬24は、制限されないで、FD&C Red No.40、Allura Red AC、FD&C Blue No.2およびIndigotine粉末を含む。
【0012】
上記試薬24は、種々の方法でステント20に連結されるか、含まれるか、または取り込まれ得る。この試薬24は、リザーバー、コーティング、またはその他の別個の本体中に任意の形態(固体、液体、またはガス)で、ステント20の材料とは別個であり得るか、またはステント20の材料の一部または全て、および/またはステント20の一部分に直接取り込まれ得る。
【0013】
試薬24がステント20の患者の尿路中への配置後直ぐに尿路中に放出されるように、またはその配置後ある時間の経過後まで尿路中に放出されないように、ステント20は形態が定められ、そして/または試薬24は処方され得る。同様に、試薬24が尿路中に、より長いかもしくはより短い有限の期間にわたって、または患者の尿路中のステントの存在の持続時間にわたって放出されるように、ステント20は形態が定められ、そして/または試薬24は処方され得る。それ故、例えば、ステント20が生分解性材料から形成される場合には、試薬24は、このステントが完全に生分解されるかまたは溶解されるまで、患者の尿路中に連続的に放出されるように、ステント中に取り込まれ得、それ故、患者に対し、患者の尿路中にステントがあることの継続的な視覚指標を提供する。患者の尿が特定の期間の後、通常の外観に戻らない場合、これは、患者に対し、(ステントが完全に生分解されていないため)問題があり、しかも、彼らが医師に通知すべきであるという指標であり得る。
【0014】
試薬24の放出が、ステント20の患者尿路中の配置後一定の期間まで遅延される場合、ステント20は、試薬24が放出されるまで試薬24を尿路(この路内の尿など)から分離するように配置されるインヒビターまたはバリア26を含み得る。バリア26は、試薬24の層の上に、または試薬24が取り込まれたステント20の一部分の表面上に配置された固形形態の溶解可能もしくは分解可能なコーティングであるか、または試薬24を含むリザーバーへの開口部を覆う膜であり得る。
【0015】
バリア26は、種々の異なる生体適合性材料および/または生体吸収性材料もしくは生分解性材料から形成され得る。例えば、バリア26は、細長い本体22について上で考察されたような、任意の適切なポリマー材料、および/または適切な生体吸収性ポリマーから形成され得る。このバリア26はまた、例えば、コラーゲンベースのゼラチン、または圧縮された塩ポリマー混合物で形成され得る。
【0016】
試薬24のステント20からの放出の速度は、所望であれば、試薬24の処方および形態、厚み、吸収速度、およびバリア26によって保護される試薬24の部分、および/または試薬24が取り込まれるステント20の材料および部分の吸収速度を含む変数について適切な値を選択することにより、経時的に選択かつ変動され得る。試薬24の放出の速度はまた、バリア26または細長い本体22が接触している組織および/または体液の性質および状態に影響され得る。例えば、患者の尿のpHのような身体管腔の生理化学的性質は、試薬24の放出の速度、および/またはバリア26の溶解または分解の速度に影響を与え得る。バリア26および/または試薬24の幾何学的形状および/または組成は、身体管腔のこのような性質を反映するように選択され得る。例えば、いくつかの代替の成分の1つにおいて、種々の処方物(例えば、固体または液体形態)中に試薬24を含む各々、そして付随するバリア26をともなう各々は、尿路の関係ある性質の測定を基に、患者の尿路中への挿入の直前にステント20への取り付けのために選択され得る。
【0017】
上記の種々の一般的原理を説明し、これら概念のいくつかの例示の実施形態が、ここで説明される。これらの実施形態は例示に過ぎず、そして細長い本体22、試薬24、およびバリア26の多くのその他の形態および処方は、本発明の原理によって意図され、そして上記に記載される一般的原理および例示の実施形態を考慮して当業者に明らかである。
【0018】
図2〜4は、本発明の1つの実施形態に従うステント120を示す。このステント120は、近位端部分128、遠位端部分130を有し、そして管腔132(図3を参照のこと)を規定する細長い本体122を含む。この近位端部分128は保持部材138を含み、そして患者の膀胱B内に配置可能であり、そして遠位端部分130は保持部材138’を含み、そして患者の腎臓K内に配置可能である。患者の身体内に位置決めされるとき、ステント120は、腎臓Kから尿管Uを通り、そして膀胱Bへと延びる。これら保持部材138および138’は、ステント120を患者の尿路内のこの位置に保持することを支援する。
【0019】
この細長い本体122はまた、管腔132と連通する複数の開口部134を規定する。これら開口部134と管腔132は、ステント120を通る流体(例えば尿)の流れを許容する。
【0020】
このステント120はまた、試薬124を含むリザーバー148を含み、これは図3および4に示されるように、細長い本体122内に配置され、そしてバリアまたはコーティング126によって管腔132から分離される。このバリア126は、ステントが患者の尿路内に配置された後の適切な時間後に、バリア126がリザーバー148から管腔132中に、そしてそれ故患者の尿路中に、試薬124を放出するために十分に溶解するように、尿に可溶性である適切な物質から形成される。試薬124は、例えば尿の色を変えることによって、尿の外観を視覚的に変えるよう処方される。試薬124は、それ故、患者に対し、ステント120が患者の身体内になお配置されていることの指標である。試薬124は、細長い本体122の内面に付与されるか、またはその上に配置される固形形態であり得、バリア126は、管腔132中の尿が試薬124と接触することを防ぐためのコーティングとして、試薬124上に付与される。バリア126が溶解され、試薬124が尿に暴露されると、尿は試薬124を溶解し始め、その結果、それは、尿とともに溶液を形成する。試薬124が尿中に溶解する速度に依存して、尿は、試薬124によって、より多い程度、またはより少ない程度に、そして対応してより短いか、またはより長い期間、視覚的に改変され(例えば、着色され)得る。あるいは、試薬124は、流体形態であり得、そして細長い本体122の内壁とバリア126によって形成され、そして境されるリザーバー148内に含まれる。バリア126が尿によって十分に溶解されるとき、それは、破裂し、そして上記試薬を管腔132中に、そしてそれ故、尿路中に放出し、尿と混合される。
【0021】
図5および6は、本発明の別の実施形態に従うステントを示す。ステント220は、患者の尿路内に配置されるように示される。このステント220は、患者の尿管U内に配置されるような形態の近位端部分228、および患者の腎臓K中に配置される形態の遠位端部分230を有する細長い本体222を含む。この実施形態では、遠位端部分230のみが保持部材238を含み、このステントを腎臓K内に保持する。細長い本体222はまた、図6に示されるような管腔232を規定する。この実施形態では、バリア226は、細長い本体222の内壁内に同心円状に配置され、試薬224を含む環状リザーバー248を形成する。先の実施形態のように、試薬224は固体または流体であり得る。
【0022】
図7〜9Bは、本発明の別の実施形態に従うステントを示す。ステント320は、患者の膀胱内に配置されるような形態の近位端部分328、および患者の腎臓内に配置されるような形態の遠位端部分330を有する細長い本体322を含む。この実施形態では、近位端部分328および遠位端部分330の両方が、保持部材338および338’を含み、尿路内の位置にステント20を保持することを支援する。この細長い本体322は、第1の管腔332、第2の管腔336、および第2の管腔336と連通する開口部344を規定する。
【0023】
この実施形態では、第1の管腔332は、(図8および9B中に示されるように)薬剤324のためのリザーバーであり、そしてバリア326は、第1の管腔332を横切って配置され、(図9Aおよび9Bに示されるように)薬剤324上にシールを形成する。バリア326は、それ故、管腔332中の試薬324を患者の尿路から分離する。バリア326が尿によって溶解されるとき、試薬324の少なくとも一部分は、患者の尿路中に放出される。このバリア326は、単一の位置で第1の管腔332と尿路との間の連通を遮断する単一のシール形態として含められ得るか、あるいは、管腔332の2つの開放部分を遮断する2つの位置に位置し得る。例えば、コーティング326は、管腔332内の二つの位置に配置され得る。いくつかの実施形態において、コーティング326が、細長い本体322の遠位端および/または近位端から離れた位置よりもむしろ、細長い本体322の遠位端および/または近位端に配置され得る。
【0024】
図10および11は、本発明の別の実施形態に従うステントを示す。ステント420は、近位端部分428、遠位端部分430を有し、そして管腔432を規定する細長い本体422を含む。ステント420の近位端部分428および遠位端部分430は、保持部材を含まない。この実施形態では、遠位端部分430は、患者の尿管内または患者の腎臓内に位置決めされ得、そして近位端部分428は、患者の尿管内または患者の膀胱内に位置決めされる。この実施形態では、試薬424のためのリザーバー448は、細長い本体422の外側上で、細長い本体422の外壁とバリア426との間に形成される。試薬424のためのリザーバー448は、細長い本体422上、またはその一部として形成される必要はない。
【0025】
図12〜15は、本発明の別の実施形態に従う尿管ステントを示す。ステント520は、患者の膀胱B内に配置されるような形態の近位端部分528、患者の腎臓K内に配置されるような形態の遠位端部分530を有し、そして(図14に示されるような)管腔532を規定する細長い本体522を含む。この実施形態では、近位端部分のみが保持要素538を含む。
【0026】
図12に示されるように、放出要素540は、細長い本体522の近位端部分528にテザー542で連結される。図13Aに示されるように、この放出要素540は、試薬524が配置され得る空洞またはリザーバー548を規定するコーティングまたはバリア526を含む。この放出要素540は、先の実施形態で説明されるリザーバーおよびバリア組み合わせと類似の機能を果たすが、テザーを通して、細長い本体522とは離れている。試薬524は、上に記載される方法と類似の方法で、そして以下でより詳細に記載されるように、放出要素540から患者の尿路へと放出される。
【0027】
上記テザーは、上記放出要素が尿路内に維持されるように、この放出要素を細長い本体522と連結する役割を果たす。このテザーは、例えば、種々の異なる材料(例えば、編状ナイロンまたはポリエステル繊維)で形成され得る。あるいは、この放出要素540は、遠位端部分530に、または細長い本体522の任意のその他の適切な位置で連結され得る。テザー542が示されているが、その他の適切な連結方法が用いられ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、放出要素540’は、図13Bに示されるように、バリアまたはコーティング526’およびベース544を含み得る。ベース544は、例えば、ベース544を構築するために用いられる物質中に取り込まれた試薬524’を含み得る。例えば、ベース544は、その中に試薬524’を保持し得る吸収性発泡体または繊維物質のような、透過性材料で構築され得る。あるいは、放出要素540’’は、図13Cに示されるように、非透過性であるベース544’、およびコーティング526’’を含み得る。この実施形態では、ベース544’およびバリア526’’は、試薬524’’が配置され得るリザーバー548を規定する。
【0029】
放出要素540(540’、540’’)上に配置されるバリア526(526’、526’’)は種々の厚みを有し得、これらバリア526(526’、526’’)の吸収または分解の速度を変える。例えば、より厚いバリア526(526’、526’’)は、より薄いコーティングを有するバリア526(526’、526’’)に比べ、より遅い速度の吸収または分解、および/または吸収または分解の開始の前のより長い遅延を提供し得る。それ故、放出要素540(540’、540’’)は、バリア526(526’、526’’)の特定速度の吸収または分解、そしてそれ故、患者の尿路中への試薬524(524’、524’’)の異なる期間の放出を有するような形態であり得る。先に述べたように、このバリアの吸収または分解の速度は、例えば、患者の生理機能、ならびにバリアの厚みおよび量に影響され得る。患者の尿のpHのような特定の患者の生理機能に依存して、特定の形態の放出要素540(540’、540’’)が必要とされ得る。例えば、第1の患者は、6.5の尿pHを有し得、そして医師は、ステントが、患者の身体内にある期間(例えば1週間)にわたって保持されることを所望する。医師は、その特定の患者のpHレベルに対して試薬524(524’、524’’)の所望の時間放出を達成する放出要素540(540’、540’’)を選択し得、そしてそれ故、患者に、所望の時間でステントの存在を思い出させる。従って、単一のステントを、複数の放出要素とともに梱包することが所望され得、医師は、試薬の放出前に所望の遅延を提供する放出要素を選択し得、そしてステントに取り付け得る。
【0030】
代替の実施形態では、ステントは、1つ以上のバリア/コーティングによって規定される複数のリザーバーを含み得、そしてこのリザーバーは、複数の異なる試薬を含み得る。例えば、このようなステントは、尿の外観を、第1の期間後の第1の状態(例えば、オレンジ色のような外観)に、第2の期間後の第2の状態(紫色など)に、そして第3の期間後の第3の状態(青色など)に変えるような形態であり得る。このようなステントは、患者に対し、尿の変化した外観に基づき、ステントを除去するために異なるレベルの緊急度を伝達し得る。
【0031】
別の実施形態では、吸収性または分解性ステントは、各々の層が異なる試薬を取り込む複数の層を含み得る。先の実施形態と同様に、種々の層が吸収または分解されるとき、これら異なる試薬は、尿路中に放出され、ステントの吸収の状態または状況について患者に情報を伝達する。
【0032】
本発明の実施形態に従う尿管ステントを構成する方法が、図16のフローチャートに示される。患者の尿のpHは、ステップ50で試験され、そして決定され得る。ステップ52では、放出要素が、異なる形態を有する複数の放出要素から選択され得る。これら複数の放出要素は、各々が異なる厚みの吸収性もしくは分解性のバリアまたはコーティングを有し、そして/またはこのバリア/コーティングの異なる速度の吸収/分解を有し得る。特定の放出要素の選択は、患者の尿のpHに基づき得る。ステップ54では、この放出要素は、次いで、患者の尿路内に配置されるような形態であるステントに連結され得る。この放出要素は、テザーまたはその他の適切な連結を経由してステントに連結され得る。この(放出要素を有する)ステントは、次いで、ステップ56で患者の尿路内に配置され得る。ステントおよび放出要素の形態によって決定される期間の後、この放出要素上に配置されたコーティングは、患者の身体内で少なくとも部分的に溶解または分解(または生体吸収)され、そして試薬は、患者の尿路内に放出される。試薬は、患者の尿の外観を、例えば、尿の色を変えることによりその外観を変え得る。この尿の色の変化は、患者に、ステントが患者の身体内に配置され、そして除去されることが必要であり得ることを警告または思い出させる。
【0033】
(結論)
本発明の種々の実施形態が上で説明されたが、それらは、例として示されたに過ぎず、そして制限ではないことが理解されるべきである。それ故、本発明の広さおよび範囲は、上に記載の実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、添付の請求項およびそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。
【0034】
上記の実施形態の先の説明は、当業者が本発明をなすか、または用いることを可能にするために提供される。本発明は、その実施例を参照して詳細に示され、そして説明されたが、当業者によって、形態および詳細における種々の変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくその趣旨および範囲内でなされ得ることが理解される。例えば、尿管ステント20(120、220、320、420、520)の種々の特徴は、詳細には示されてはいないが、なお本発明の範囲内にある、その他の形態、形状および物質を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従うステントの概略図である。
【図2】図2は、患者の尿路内に配置されることが示される本発明の実施形態に従うステントの側面斜視図である。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2の線4−4に沿った断面図である。
【図5】図5は、患者の尿路内に配置されることが示される本発明の実施形態に従うステントの側面斜視図である。
【図6】図6は、図5の線6−6に沿った断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態に従うステントの側面斜視図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿ってとった断面図である。
【図9A】図9Aは、図7の線9A−9Aに沿った断面図である。
【図9B】図9Bは、図7の線9B−9Bに沿った断面図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態に従うステントの側面斜視図である。
【図11】図11は、図10の線11−11に沿った断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に従うステントの一部分の側面斜視図である。
【図13A】図13Aは、図12の線13−13に沿った断面図である。
【図13B】図13Bは、本発明のその他の実施形態に従うステントの一部分の断面図である。
【図13C】図13Cは、本発明のその他の実施形態に従うステントの一部分の断面図である。
【図14】図14は、図12の線14−14に沿った断面図である。
【図15】図15は、尿路内に配置されることが示される図12に示されるステントの側面斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態に従う方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスであって:
細長い本体であって、該細長い本体は、細長い本体の第1の末端部分が尿路の第1の位置に配置され、そして該細長い本体の第2の末端部分が、該尿路の第2の異なる位置に配置されるように、患者の尿路内に配置されるような形態の細長い部分であり、該細長い本体は、管腔を規定し、該管腔が該尿路内の第1の位置から該尿路内の第2の位置まで尿を運搬するような形態である、細長い部分;および
該患者の尿を視覚的に変えるよう処方され、該細長い本体に連結され、そして該患者の尿中に放出可能である試薬、を備える医療用デバイス。
【請求項2】
前記試薬が、前記尿の色を視覚的に変えるように処方される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記細長い本体からの前記試薬の放出を阻害するように配置され、そして前記患者の尿路またはその中の尿との接触によって、該試薬の放出を可能にするに十分なほど分解されるように処方されるバリアをさらに備える、請求項1に記載の尿管ステント。
【請求項4】
前記試薬が、前記細長い本体に連結される放出要素上に配置される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記細長い本体によって規定される管腔が第1の管腔であり、該細長い本体が第2の管腔をさらに規定し、前記試薬が該第1の管腔または該第2の管腔のうちの1つの少なくとも一部分内に配置され、そして前記尿管から該試薬を流体的に隔離するように該細長い本体に連結されたバリアをさらに含み、該バリアが、前記患者の尿路またはその中の尿との接触によって、該試薬の放出を可能にするに十分なほど分解されるように処方される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記試薬と前記管腔との間に配置され、該試薬の該管腔中への放出を阻害する、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記細長い本体の外面に連結されるバリアをさらに備え、前記試薬が該細長い本体と該バリアとの間に配置される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記第1の位置が腎臓であり、そして前記第2の位置が膀胱である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記細長い本体が、哺乳動物身体によって完全に分解されるような形態である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
医療用デバイスであって:
患者の尿管中に少なくとも部分的に配置されるような形態の細長い本体;
該細長い本体の少なくとも一部分上に配置され、哺乳動物身体および/または体液との接触によって生分解可能であるバリア;および
該細長い本体に連結され、そして該バリアによって該哺乳動物身体から流体的にブロックされる試薬であって、該試薬は、該バリアの少なくとも一部分が該哺乳動物身体によって十分に分解されるとき、該患者の尿管、膀胱または腎臓のうちの少なくとも1つの中に放出されるような形態である、試薬、
を備える、医療用デバイス。
【請求項11】
前記細長い本体が、近位端および遠位端を有し、そして該近位端と該遠位端との間の管腔を規定する、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記試薬が、前記患者の尿を視覚的に変えるような形態である、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記細長い本体が管腔を規定し、前記試薬が、前記バリアと該細長い本体との間の管腔内に配置される、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記細長い本体と前記バリアがリザーバーを規定し、前記試薬が該リザーバー内に配置される、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
前記試薬が、前記バリア内に取り込まれている、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
前記試薬が、放出要素上に配置され、該放出要素が前記細長い本体に連結されている、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
前記細長い本体が第1の管腔および第2の管腔を規定し、前記試薬が該第1の管腔および該第2の管腔のうちの少なくとも1つの中に配置される、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
前記試薬が、前記患者の尿の色を変えるように処方される、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項19】
前記細長い本体および前記バリアが、各々、前記哺乳動物身体によって完全に分解可能であるように処方される、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項20】
患者の尿のpHを決定する工程;
該pHに基づき、該患者の尿路中に配置されるべき複数の放出要素のうちの1つを選択する工程であって、該複数の放出要素からの各々の放出要素は、尿管ステントに連結されるような形態であり、該ステントは、患者の尿管内に少なくとも部分的に配置されるような形態であり、該放出要素は、試薬およびバリアを含み、該試薬が該患者の尿の色を変えるような形態であり、該バリアは該試薬の該尿管中への放出を阻害し、そして該尿管および/またはその中の尿によって、所定のpHで該尿路における該ステントの廃棄の所定の期間内に該試薬を放出するに十分なほど分解されるように形態が定められ、かつ処方される、工程、
を包含する、方法。
【請求項21】
前記選択された放出要素をステントに連結する工程をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ステントを、患者の尿管内に少なくとも部分的に配置する工程を
さらに包含する、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−542355(P2009−542355A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518409(P2009−518409)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064745
【国際公開番号】WO2008/005596
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】