説明

暖房システム

【課題】汎用構成を極力利用して、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させることにある。
【解決手段】室内床面を加熱流体で暖房可能な第一暖房装置10と、室内に温風を供給可能な第二暖房装置20と、第一暖房装置10の単独作動を操作する第一コントローラ30と、第二暖房装置20の単独作動を赤外線で操作する室内据置の赤外線ユニット50とを有する暖房システムにおいて、制御装置60を、第一暖房装置10と第一コントローラ30の少なくとも一方に信号線接続するとともに、赤外線ユニット50に信号線接続し、制御装置60によって、第一暖房装置10又は第一コントローラ30から第一暖房装置10の作動情報を取得するとともに、第一暖房装置10の作動情報に基づいて赤外線ユニット50を介して第二暖房装置20を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類の暖房装置を用いた室内の暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の暖房システムとして、特許文献1に開示のシステムが公知である。この暖房システムは、床暖房装置(第一暖房装置)と、エアコン(第二暖房装置)と、赤外線ユニットと、コントローラを有する。
床暖房装置は、室内床面を加熱流体で暖房可能な装置である。またエアコンは、室内に温風を供給可能な装置であり、赤外線の受信部を有する。
そしてコントローラは、室内に設置される操作装置であり、床暖房装置を制御する機構と、エアコンを制御する機構(信号発信制御機構)と、接続手段(コネクタや端子台等)を有する。
【0003】
公知の暖房システムでは、上述のコントローラが、赤外線ユニットと床暖房装置の双方に信号線で接続される。
そしてコントローラによって、床暖房装置を作動させるとともに、赤外線ユニットを介してエアコンを作動させる。これにより床暖房装置とエアコンを連動して室内を効率良く暖房することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで公知技術のコントローラは、いわゆる専用品であり、汎用のコントローラ(各暖房装置を単独作動させるコントローラ)とは異なる構成を有する。
このため公知技術のコントローラは、構成が複雑化又は大型化しがちであり、製造コストなどを考慮すると、すんなり採用できる構成ではなかった。
【0006】
また公知技術の構成は、使用者の要求に柔軟に対応できる構成ではなかった。例えば公知技術のコントローラ(専用品)を供給しようとした場合、エアコンを制御する機構(信号発信制御機構)を必要としない使用者に対して、下記の対応法が考えられる。
(i)信号発信制御機構を備えない別のコントローラを供給する。
この場合、公知技術のコントローラ(専用品)を別途準備する必要があるとともに、その製造設備などの投資が必要となる。また専用品の製造数量が少ない場合にはその投資効率が悪化する。
(ii)赤外線ユニットを接続施工しない。
この場合、信号発信制御機構を必要としない使用者であっても、同機構や接続手段(コネクタや端子台等)に関する製造コスト等を負担しなければならない。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、汎用構成を極力利用して、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の暖房システムは、室内床面を加熱流体で暖房可能な第一暖房装置と、室内に温風を供給可能な第二暖房装置と、第一暖房装置の単独作動を操作する第一コントローラと、第二暖房装置の単独作動を赤外線で操作する室内据置の赤外線ユニットとを有する。
この種の構成では、汎用構成(例えば既存構成のコントローラ)を極力利用して、第一暖房装置と第二暖房装置を連動できることが望ましい。
【0008】
そこで本発明では、制御装置を、第一暖房装置と第一コントローラの少なくとも一方に信号線接続するとともに、赤外線ユニットに信号線接続する。そして制御装置によって、第一暖房装置又は第一コントローラから第一暖房装置の作動情報を取得するとともに、第一暖房装置の作動情報に基づいて赤外線ユニットを介して第二暖房装置を作動させる構成とした。
本発明では、制御装置によって、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させる。このため汎用構成(例えば第一コントローラ)の大幅変更を要することなく、両暖房装置を連動させることができる。
【0009】
第2発明の暖房システムは、第1発明の暖房システムであって、第一暖房装置が、室内床面を加熱流体で暖房する放熱体と、放熱体に加熱流体を供給する熱源機とを有する。そして第一コントローラと熱源機の間で、第一暖房装置の作動情報を双方向通信で交換する構成である。
そこで本発明では、上述の制御装置を、第一コントローラと熱源機の双方に信号線接続して、第一コントローラと熱源機の間で交換される第一暖房装置の作動情報を取得可能とした。本発明によると、より広範な情報を制御装置が取得可能であるため、第一暖房装置と第二暖房装置をより正確に連動させることができる。
【0010】
第3発明の暖房システムは、第2発明の暖房システムであって、第一暖房装置が、熱源機の加熱流体を放熱体に供給する管部材と、管部材に設けられる弁部材を有する。そして弁部材の開閉によって放熱体に供給する加熱流体量を調節する(例えば弁部材の開閉時間を調節して第一暖房装置の暖房負荷を変化させる)構成である。
そこで本発明では、第一暖房装置の作動情報に弁部材の開閉情報が含まれる。このため制御装置によって、弁部材の開閉情報に基づいて、第二暖房装置をより正確に作動させることができる。
【0011】
第4発明の暖房システムは、第1発明〜第3発明のいずれかの暖房システムであって、上述の第一暖房装置の作動情報に、暖房運転モードと、試運転モードや凍結防止運転モードなどの他の運転モードが含まれる。
そこで制御装置によって、第一暖房装置の暖房運転モードに基づいて第二暖房装置を暖房運転させるとともに、第一暖房装置の他の運転モードに基づいて第二暖房装置を非暖房運転状態(例えば非作動状態等)とする。このように第一暖房装置の各運転モードに基づいて第二暖房装置を連動等させることで、更に正確に室内を暖房できる。
【0012】
第5発明の暖房システムは、第1発明〜第4発明のいずれかの暖房システムであって、第一暖房装置の作動情報に、設定温度や設定能力段階などの第一コントローラの設定が含まれる。
そこで制御装置によって、第一コントローラの設定に基づいて、設定温度や設定風量などの第二暖房装置の設定を決定することとした。このように第一コントローラの設定に対応して第二暖房装置の設定を決定することで、更に効率良く室内を暖房できる。
【0013】
第6発明の暖房システムは、第1発明〜第5発明のいずれかの暖房システムであって、第二暖房装置の単独作動を赤外線で操作する第二コントローラを有する。また赤外線ユニットが、第二コントローラからの第二暖房装置の作動情報を受信する受信部を有する。
そこで本発明では、上述の制御装置が、第二コントローラを介した第二暖房装置の作動情報を赤外線ユニットから取得して、第二暖房装置の作動情報に基づいて第一暖房装置を作動させる構成とした。
本発明では、第一コントローラと第二コントローラのいずれかを操作することで、制御装置によって、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させることができる(より使い勝手の良いシステム構成となる)。
【0014】
第7発明の暖房システムは、第6発明の暖房システムであって、制御装置が、第一コントローラを介して第一暖房装置を作動させる構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1発明によれば、汎用構成を極力利用して、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させることができる。また第2発明〜第5発明によれば、第一暖房装置と第二暖房装置をより正確に連動させることができる。そして第6発明及び第7発明によれば、より使い勝手の良いシステム構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】暖房システムの概略図である。
【図2】実施形態2の暖房システムの概略図である。
【図3】比較例1の試験結果を示す図であり、(a)は、エネルギー消費量のグラフであり、(b)は、室内の温度分布を示すグラフである。
【図4】実施例1の試験結果を示す図であり、(a)は、エネルギー消費量のグラフであり、(b)は、室内の温度分布を示すグラフである。
【図5】実施例2の試験結果を示す図であり、(a)は、エネルギー消費量のグラフであり、(b)は、室内の温度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図5を参照して説明する。
図1及び図2の家屋では、破線で囲った範囲を室内RIとし、破線から外れる部分を室外ROとし、室内床面に符号RFを付す。また各図には、家屋の上方に符号UP、家屋の下方に符号DWを付す。そして各同図では、既存構成の信号線SLを破線で示し、新たに追加の信号線SLを実線で示す。
【0018】
[実施形態1]
本実施形態の暖房システムは、第一暖房装置10と、第二暖房装置20と、第一コントローラ30と、第二コントローラ40と、赤外線ユニット50と、制御装置60を有する(図1を参照、各部材の詳細は後述する)。
第一暖房装置10は、室内床面RFを加熱流体で暖房可能な装置であり、その作動(単独作動)を第一コントローラ30にて操作できる。また第二暖房装置20は、室内RIに温風を供給可能な装置であり、その作動(単独作動)を、第二コントローラ40又は赤外線ユニット50にて操作できる。
そして本実施形態では、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動することにより、室内RIを効率良く暖房する(後述の[試験例]を参照)。この種の構成では、汎用構成(例えば汎用構成のコントローラ)を極力利用して、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動できることが望ましい。
そこで本実施形態では、後述の制御装置60により、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動することとした。以下、各構成について詳述する。
【0019】
(第一暖房装置)
第一暖房装置10は、放熱体12と、熱源機14と、管部材(第一管部材16f,第二管部材16s)と、弁部材18を有する(図1を参照)。
放熱体12(パネル状)は、加熱流体の流通可能な保温部13(管状)を有し、室内床面RFの下方に配設できる。また熱源機14は、放熱体12に加熱流体を供給する部材であり、室外ROに配設できる。
【0020】
本実施形態の熱源機14は、筺体14aと、その内部構成(熱交換器14b,燃焼バーナ14c,内部配管14d,循環ポンプ14e,制御部14f)と、燃料供給路19を有する。筺体14aは、略矩形の箱体(中空状)であり、下部側を開閉可能又は開放状とすることができる。燃料供給路19は、熱交換器14b中の燃焼バーナ14cに燃料(化石燃料)を供給する管部材である。
また熱交換器14bと燃焼バーナ14cは、内部配管14dの途中に配設される。そして内部配管14dの流体(水やブライン等)を、熱交換器14b中で燃焼バーナ14cにより加温できる。また内部配管14dの一端は循環ポンプ14eに通じており、内部配管14dの他端は、筺体14a下部に開口する。そして内部配管14d(他端)に弁部材18がつなげられる。
そして弁部材18の開閉を制御部14fにて制御することができる。本実施形態の制御部14fは、筺体14a下部側に配置しており、弁部材18の開閉設定を外部から変更することができる(弁部材18の開閉設定が比較的容易な構成である)。
【0021】
そして第一管部材16fと第二管部材16sにより、放熱体12と熱源機14の間で加熱流体を流通させる。本実施形態では、第一管部材16fにより、循環ポンプ14e(内部配管14d一端)と保温部13をつなぐ。また第二管部材16sにより、弁部材18(内部配管14d他端)と保温部13をつなぐ。
本実施形態では、弁部材18の開閉動作によって、放熱体12に対する加熱流体の供給量を調節することができる。このとき弁部材18の開閉時間を調節するなどして、第一暖房装置10の暖房負荷を変化させることができる。
【0022】
(第一コントローラ)
第一コントローラ30は、第一暖房装置10の作動を単独操作する部材であり(典型的な汎用のコントローラであり)、室内RIに配置することができる。
そして本実施形態の第一コントローラ30は、後述する制御装置60を介して、熱源機14(制御部14f)と通信線SLで接続されており、第一暖房装置10の作動情報(交換情報)を双方向通信で交換することができる。
上述の双方向通信の作動情報(通信電文)として、運転の開始と停止(エラー判定を含む)、運転モード(暖房運転モード、試運転及び凍結防止運転などの他の運転モード)、弁部材18の開閉情報や供給電力、循環ポンプ14eの駆動電力、第一コントローラの設定情報(設定温度や設定能力段階など)を例示できる。
【0023】
(第二暖房装置)
第二暖房装置20は、放熱機22(第一受信部22a)と、冷媒配管24a,24bと、室外機26を有する(図1を参照)。放熱機22(略長方形)は、温風を供給可能な部材であり、室内RIの壁面上部に配設できる。また室外機26は、放熱機22に温風を発生させる部材であり、室外ROに配設できる。
本実施形態の第二暖房装置20は、第一受信部22aにて、後述の第二コントローラ40(第一送信部40b)又は赤外線ユニット50(第二送信部50b)の赤外線を受取ることができる。そして第二暖房装置20の作動により、放熱機22と室外機26と冷媒配管24a,24bにて形成される冷凍サイクルによって温風をつくり、それを放熱機22から室内RIに供給できる。
【0024】
(第二コントローラ)
第二コントローラ40は、第二暖房装置20の作動を単独操作する部材であり(典型的な汎用のコントローラであり)、第一送信部40bを有する。
第一送信部40bは、第二暖房装置20の制御指令(作動情報)を赤外線信号に変換する部材であり、例えば透明な筺体内にLEDランプを配置することで形成できる。
この第二コントローラ40を操作することにより、第二暖房装置20を単独で作動させることができる。なお第二コントローラ40の形状や寸法は特に限定しないが、使用者の手持ち可能な外形寸法を有することが好ましい。
上述の作動情報(通信電文)として、運転の開始と停止(エラー判定を含む)、運転モード(暖房運転モード、試運転及び凍結防止運転などの他の運転モード)、設定温度、設定風量を例示できる。
【0025】
(赤外線ユニット)
赤外線ユニット50は、第二暖房装置20の作動を赤外線により操作する室内据置の部材であり、第二受信部50aと、第二送信部50bを有する。第二受信部50aと第二送信部50bは各々単独の機構でもよく、シンプルな一体の機構でもよい。
本実施形態の赤外線ユニット50は、第二送信部50bにより、第二暖房装置20を単独作動させることができる。また赤外線ユニット50は、第二受信部50aにより、第二コントローラ40からの第二暖房装置20の作動情報(指令)を取得することができる。
なお赤外線ユニット50の据置箇所は特に限定しないが、第二暖房装置20との送受信がスムーズな高さ位置に取付けられることが好ましい。
【0026】
(制御装置)
制御装置60は、上述の既存構成(20,30,40,50)とは別部材であり、同既存構成に後付けすることができる(図1を参照)。
本実施形態の制御装置60は、第一暖房装置10を制御する機構(図示しない第一制御機構)と、第二暖房装置20を制御する機構(図示しない第二制御機構)と、通信電文を解析する機構(図示しない解析機構)と、複数の信号線SLを接続する構成(図示しないコネクタや端子台等)を有する。解析機構は、例えば各暖房装置の運転モードを判別したり、弁部材18の開閉回数をカウントしたりすることができる。
【0027】
本実施形態では、制御装置60を、赤外線ユニット50に信号線SLにて接続する。つぎに制御装置60を、第一暖房装置10(制御部14f)と第一コントローラ30の双方に(両装置の間に)信号線接続する。本実施形態では、第一暖房装置10と第一コントローラ30の間の信号線SL(既存の信号線SL)に制御装置60を介装することで、制御装置60の取付け工事の工数を簡略化できる。また制御部14fは、筺体14a下部側に配置することから、制御装置60との信号線接続が比較的容易である。
そして制御装置60は、制御部14fと第一コントローラ30の間に介装されて、両部材14f,30間の双方向通信(通信電文)を受取ることができる。
【0028】
[両暖房装置の連動]
本実施形態では、制御装置60によって、制御部14f(第一暖房装置10)又は第一コントローラ30から第一暖房装置10の作動情報を取得する。さらに制御装置60によって、第一暖房装置10の作動情報に基づいて赤外線ユニット50を介して第二暖房装置20を作動させる。そして制御装置60によって、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動することにより、室内RIを効率良く暖房する(後述の[試験例]を参照)。
このため本実施形態によれば、汎用構成を極力利用して(各コントローラの既存構成の大幅変更を要することなく)、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動させることができる。このように本実施形態の暖房システムによると、第一暖房装置10と第二暖房装置20をスムーズに連動させることで、快適な室内暖房空間の形成と、暖房システムの省エネルギー化を両立することができる。
【0029】
また本実施形態では、制御装置60が、第一コントローラ30と熱源機14の間で交換される第一暖房装置10の作動情報(通信電文)を取得可能である。このように制御装置60が、より広範な情報を取得可能であることから、第一暖房装置10と第二暖房装置20をより正確に連動させることができる。
例えば本実施形態では、第一コントローラ30が熱源機14に対して作動情報を発信せず、熱源機14の指令により第一暖房装置10が作動する形態(試運転や凍結防止運転等)がある。
そこで制御装置60によって、第一暖房装置10の暖房運転モードに基づいて第二暖房装置20を暖房運転させる。また制御装置60によって、第一暖房装置10の他の運転モードに基づいて第二暖房装置20を非暖房運転状態(例えば非作動状態や、同様の他の運転モードで作動する状態)とすることができる。
このように第一暖房装置10の各運転モードに基づいて第二暖房装置20を連動等させることで、更に正確に室内を暖房できる。
【0030】
また本実施形態では、弁部材18の開閉によって放熱体12の加熱流体量を調節する(例えば弁部材18の開閉時間を調節して第一暖房装置10の暖房負荷を変化させる)ことができる。
そこで本実施形態では、制御装置60によって、弁部材18の開閉情報(第一暖房装置10の加熱流体供給量等)に基づいて、第二暖房装置20をより正確に作動させることができる。
例えば制御装置60が、弁部材18の開閉情報に基づいて、第一暖房装置10の暖房負荷を推定することができる。これにより第一暖房装置10と第二暖房装置20を適切に連動させて、効率良く室内を暖房できる。
【0031】
また本実施形態では、弁部材18の開閉周期(開弁開始から次回の開弁開始までの間)を一定に設定することができる。このとき制御装置60は、弁部材18の開閉周期に基づいて、第一暖房装置10の作動状態を判断することができる。
すなわち制御装置60は、弁部材18の開閉周期が通常よりも短い場合、弁部材18が閉弁状態であっても、第一暖房装置10の作動(暖房運転)が継続しているものと判断することができる。
また制御装置60は、弁部材18の前回の開弁動作からの経過時間が通常の開閉周期よりも長い場合、第一暖房装置10の作動(暖房運転)が停止したものと判断することができる。加えて制御装置60は、弁部材18の前回の開弁動作から次の開弁動作までの経過時間が通常の開閉周期よりも長い場合、第一暖房装置10の作動(暖房運転)が開始されたものと判断することができる。
【0032】
また本実施形態では、制御装置60によって、第一コントローラ30の設定(設定温度や設定能力段階等)に基づいて、第二暖房装置20の運転状態(運転モード、設定温度、風量等)を決定することができる。
このように第一コントローラ30の設定に対応して第二暖房装置20の設定を決定することで、更に効率良く室内を暖房できる。よって本実施形態によると、頭寒足熱型の室内の空間温度分布を維持したまま、一次エネルギー消費量を削減する(省エネルギー化を図る)ことができる。
【0033】
また本実施形態では、赤外線ユニット50が第二受信部50aを有する。このため制御装置60が、第二コントローラ40を介して、第二暖房装置20の作動情報(通信電文)を赤外線ユニット50から取得することができる。そして制御装置60により、第二暖房装置20の作動情報に基づいて第一暖房装置10を作動させることができる。このとき制御装置60が、第一コントローラ30を介して第一暖房装置10を作動させる構成とすることもできる。
本実施形態では、第一コントローラ30と第二コントローラ40のいずれかを操作することで、制御装置60によって、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動させることができる(より使い勝手の良いシステム構成となる)。
これにより使用者は、第一コントローラ30を操作した場合でも、第二コントローラ40を操作した場合でも、快適な空調空間が得られ、かつ省エネルギー化を実現できる。
【0034】
[実施形態2]
実施形態2の基本構造は、実施形態1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第二暖房装置20(制御部14f)と第一コントローラ30が通信線SL(既存の信号線SL)にて接続される(図2を参照)。そのうえで制御装置60を、第一コントローラ30に信号線接続することなく、第一暖房装置10(制御部14f)に信号線SLにて接続した。
そして制御装置60によって、第一暖房装置10の作動情報を制御部14fから取得する。つぎに第一暖房装置10の作動情報に基づいて赤外線ユニット50を介して第二暖房装置20を連動させることとした。
本実施形態によれば、制御装置60は、制御部14fの通信を受取るだけでよいため、その解析機構を簡略化することができる。また第一コントローラ30と第一暖房装置10の通信線SL(既存構成)をそのまま生かしつつ、制御装置60によって、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動できる。
【0035】
[変形例]
変形例では、第一コントローラ30と第二コントローラ40の少なくとも一方が、電話回線などの外部回線を通じて遠隔操作可能である(ホームオートメーション機能を備える)。そして制御装置60が、遠隔操作による一方のコントローラの運転指令を取得して第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動させる。
本変形例によれば、遠隔操作によって、第一暖房装置10と第二暖房装置20を連動させることができる(より使い勝手の良いシステム構成となる)。
【0036】
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。
本試験では、図1に示す暖房システムを使用して、同システムの一次エネルギー消費量と、室内温度分布を測定した。本試験は、高さ2.4m、幅3.6m及び奥行3.6mの試験室(断熱性能Q値[2.7W/m2・K])にて行った。第二暖房装置は、室内床面から2000mmの高さ位置に配置した(図3〜図5を参照)。
比較例1(リファレンス)として、第一暖房装置のみを使用し、その設定温度を20℃とした(図3を参照)。
また実施例1では、第一暖房装置の設定温度を20℃とし、第二暖房装置の設定温度を17℃に設定した(図4を参照)。また実施例2では、第一暖房装置の設定温度を20℃とし、第二暖房装置の設定温度を20℃に設定した(図5を参照)。
【0037】
そして第一暖房装置の一次エネルギー消費量(kcal)を、第一暖房装置の使用ガス量(ガス)と、第一暖房装置の消費電力(補機電力)を合計して算出した。補機電力として、給湯暖房用ガス熱源機(図1の熱源機14に相当)の消費電力を測定した。本試験では、暖房開始から所定時間毎の一次エネルギー消費量を測定した。
また暖房開始から6時間〜7時間の間における室内中央部の垂直方向の温度分布を測定した。このとき室内床面を0として、400mm、800mm、1200mm、1600mm、2000mm、2400mmの高さ位置の温度を測定した。
【0038】
[結果及び考察]
図3〜図5を参照して、実施例1及び実施例2の暖房システムでは、比較例1と比較して、第一暖房装置の一次エネルギー消費量を好適に低減できた。特に実施例2の暖房システムでは、一次エネルギー消費量を好適に低減しつつ、理想的な室内の温度分布を形成できた。
このことから実施例1及び実施例2の暖房システムによれば、第一暖房装置と第二暖房装置を連動させることにより、快適な室内暖房空間の形成と、システムの省エネルギー化を両立できることがわかった。
【0039】
本実施形態の暖房システムは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、第一暖房装置10と第二暖房装置20と赤外線ユニット50の構成を例示したが、これら装置の構成を限定する趣旨ではない。そして本暖房システムは、汎用の第一暖房装置と第二暖房装置と赤外線ユニットに広く適用できる。例えば電気的に流体を加熱する第一暖房装置を使用することができる。また第一暖房装置と第二暖房装置と赤外線ユニットの設置位置は適宜変更可能である。
(2)また本実施形態では、第一コントローラ30と第二コントローラ40の構成を例示したが、これら装置の構成を限定する趣旨ではない。すなわち本暖房システムは、汎用の第一コントローラと第二コントローラに広く適用できる。
【0040】
(3)また実施形態2では、制御装置60を、制御部14fに信号線接続した。これとは異なり制御装置60を、制御部14fに信号線接続することなく、第一コントローラ30に信号線接続することができる。
(4)また本実施形態では、制御装置60によって、第一コントローラ30の設定に基づいて、第二暖房装置20の運転状態を決定する例を説明した。これとは異なり、制御装置60によって、第二コントローラ40の設定に基づいて、第一暖房装置10の運転状態を決定することもできる。
【0041】
(5)また本実施形態では、赤外線ユニット50に、第二受信部50aと第二送信部50bを設ける例を説明したが、赤外線ユニットの構成を限定する趣旨ではない。赤外線ユニットは、第二送信部だけを有することができる。
(6)また本実施形態では、第二コントローラ40を使用する例を説明した。例えば赤外線ユニットが、既存構成として第二暖房装置の操作バネル等を有している場合には、第二コントローラを省略することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 第一暖房装置
12 放熱体
13 保温部
14 熱源機
16f 第一管部材
16s 第二管部材
18 弁部材
19 燃料供給路
20 第二暖房装置
22 放熱機
22a 第一受信部
26 室外機
30 第一コントローラ
40 第二コントローラ
40b 第一送信部
50 赤外線ユニット
50a 第二受信部
50b 第二送信部
60 制御装置
RF 室内床面
RI 室内
RO 室外
SL 信号線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内床面を加熱流体で暖房可能な第一暖房装置と、室内に温風を供給可能な第二暖房装置と、第一暖房装置の単独作動を操作する第一コントローラと、第二暖房装置の単独作動を赤外線で操作する室内据置の赤外線ユニットとを有する暖房システムにおいて、
制御装置を、第一暖房装置と第一コントローラの少なくとも一方に信号線接続するとともに、赤外線ユニットに信号線接続し、
制御装置によって、第一暖房装置又は第一コントローラから第一暖房装置の作動情報を取得するとともに、第一暖房装置の作動情報に基づいて赤外線ユニットを介して第二暖房装置を作動させる暖房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の暖房システムにおいて、
第一暖房装置が、室内床面を加熱流体で暖房する放熱体と、放熱体に加熱流体を供給する熱源機とを有するとともに、第一コントローラと熱源機の間で、第一暖房装置の作動情報を双方向通信で交換する構成であり、
制御装置を、第一コントローラと熱源機の双方に信号線接続して、第一コントローラと熱源機の間で交換される第一暖房装置の作動情報を取得可能とした暖房システム。
【請求項3】
請求項2に記載の暖房システムにおいて、
第一暖房装置が、熱源機の加熱流体を放熱体に供給する管部材と、管部材に設けられる弁部材を有するとともに、弁部材の開閉によって、放熱体に供給される加熱流体量を調節する構成であり、
第一暖房装置の作動情報に、弁部材の開閉情報が含まれる暖房システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の暖房システムにおいて、
第一暖房装置の作動情報に、暖房運転モードと、試運転モードや凍結防止運転モードなどの他の運転モードとが含まれるとともに、
制御装置によって、第一暖房装置の暖房運転モードに基づいて第二暖房装置を暖房運転させるとともに、第一暖房装置の他の運転モードに基づいて第二暖房装置を非暖房運転状態とする暖房システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の暖房システムにおいて、
第一暖房装置の作動情報に、設定温度や設定能力段階などの第一コントローラの設定が含まれるとともに、
制御装置によって、第一コントローラの設定に基づいて、設定温度や設定風量などの第二暖房装置の設定を決定する暖房システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の暖房システムにおいて、
暖房システムが、第二暖房装置の単独作動を赤外線で操作する第二コントローラを有するとともに、赤外線ユニットが、第二コントローラからの第二暖房装置の作動情報を受信する受信部を有し、
制御装置が、第二暖房装置の作動情報を赤外線ユニットから取得して、第一暖房装置を作動させる暖房システム。
【請求項7】
請求項6に記載の暖房システムにおいて、
制御装置が、第一コントローラを介して第一暖房装置を作動させる暖房システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−127860(P2011−127860A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288840(P2009−288840)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】