説明

暖房便座装置

【課題】便座が冷えることを抑制できる暖房便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱源を内蔵した便座と、前記便座を覆う便蓋と、便器のボウル内の空気を吸引し脱臭して前記ボウルの外部に排出する脱臭装置と、前記便座の外部を加熱する便座外部加熱装置と、暖房便座装置の使用終了を検知する使用検知手段と、前記脱臭装置の駆動中に、前記使用検知手段が使用終了を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させる制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、暖房便座装置に関し、具体的には便器に設けられる便座を暖めることができる暖房便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房便座装置は、例えば、便座を暖めるヒータを有する。ヒータは、通電されることにより発熱し、使用者が着座する便座を暖めることができる。このような暖房便座装置では、省エネルギー化を図るために種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、使用者が便座に着座する直前に熱容量の小さな便座表面に温風を当て、その便座を瞬間的に加熱する暖房便座装置がある(特許文献1)。また、便蓋を閉じた状態において、便座と便蓋との間からの放熱によるエネルギーロスを防ぐために、便座と便蓋との双方にヒータを設けた暖房便座装置がある(特許文献2)。さらに、便座や便蓋からの放熱を防ぐために、便座および便蓋の内部に断熱材が設けられた暖房便座装置がある(特許文献3)。
【0004】
しかしながら、使用者が便座から離座した後には、便座の着座面が外気に露出されるため、便座は、主として着座面からの放熱により冷めてしまう。また、便器のボウル内の臭気を吸引する脱臭装置が駆動すると、その脱臭装置は、便座と便器との間の隙間を通してボウル内に外気を吸引してしまう。その結果、便座が冷えたり、ボウル内が冷えるおそれがある。さらに、例えば座り心地を向上させるために、伝熱抵抗の大きいクッション部などがヒータの上方に設けられた便座では、冷えた着座面の温度を上げるのに時間がかかる。そのため、便座を保温温度にするのに時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−65518号公報
【特許文献2】特開2000−279347号公報
【特許文献3】特開2000−83862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便座が冷えることを抑制できる暖房便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、加熱源を内蔵した便座と、前記便座を覆う便蓋と、便器のボウル内の空気を吸引し脱臭して前記ボウルの外部に排出する脱臭装置と、前記便座の外部を加熱する便座外部加熱装置と、暖房便座装置の使用終了を検知する使用検知手段と、前記脱臭装置の駆動中に、前記使用検知手段が使用終了を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させる制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、脱臭装置がボウル内の空気を吸引することで便座の周囲に外気が侵入することを防止することができる。あるいは、便座の周囲の外気を加熱することができる。その結果、便座が冷えることを抑制することができるため、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。また、省エネルギー化を図ることができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記使用検知手段は、前記便座への着座を検知する着座検知手段であり、前記制御部は、前記着座検知手段が前記便座からの離座を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させることを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、温風発生装置は、使用者が便座から立ち上がった後に温風を噴出するため、不要なときに使用者の局部に風が当たることを防止することができる。そのため、使用者は、暖房便座装置をより快適に使用できる。
【0009】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記使用検知手段は、前記便蓋が閉止したことを検知する便蓋開閉検知手段であり、前記制御部は、前記便蓋開閉検知手段が前記便蓋の閉止を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させることを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座外部加熱装置は、便蓋が閉止された後に便座の周囲を加熱するため、便座の周囲を加熱する熱の放熱を防止することができる。そのため、より省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
また、第4の発明は、加熱源を内蔵した便座と、前記便座を覆う便蓋と、便器のボウル内の空気を吸引し脱臭して前記ボウルの外部に排出する脱臭装置と、前記便座の外部を加熱する便座外部加熱装置と、前記脱臭装置の駆動中に、前記便座外部加熱装置を駆動させる制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、脱臭装置がボウル内の空気を吸引することで便座の周囲に外気が侵入することを防止することができる。あるいは、便座の周囲の外気を加熱することができる。その結果、便座が冷えることを抑制することができるため、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。また、省エネルギー化を図ることができる。
【0011】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記便座外部加熱装置は、前記ボウル内に温風を噴出する温風発生装置であることを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、温風発生装置からボウル内に噴出される温風により、ボウル内に外気が吸引されることを抑制することができる。そのため、便座が冷えることを抑制することができる。また、ボウル内の温度低下を防止することができる。
【0012】
また、第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記温風発生装置は、前記便座に着座した人の局部に温風を噴出する局部乾燥装置であることを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、暖房便座装置の小型化を図ることができる。
【0013】
また、第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記便座は、使用者が着座可能な着座面と、前記加熱源と前記着座面との間に介在するクッション部と、を有することを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座はクッション性を有するため、使用者が便座に座ったときの座り心地を向上させることができる。
【0014】
また、第8の発明は、第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記脱臭装置の駆動を停止させた後に、前記便座外部加熱装置の駆動を停止させることを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座外部加熱装置の駆動停止を脱臭装置の駆動停止よりも遅らせるため、ボウル内に外気が吸引されることをより確実に防止することができる。また、便座が冷えた場合であっても、便座を外部から加熱することにより、便座を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。
【0015】
また、第9の発明は、第6の発明において、前記局部乾燥装置からの温風の供給風量は、前記便座に着座した人の局部に前記温風を噴出する局部乾燥時よりも、前記便座の外部を加熱する便座外部加熱時の方が小さいことを特徴とする請求項6記載の暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、局部乾燥装置からの温風が便座と便器との間の隙間から外部に放出されることを抑制することができる。そのため、省エネルギー化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、便座が冷えることを抑制できる暖房便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する断面模式図である。
【図2】本実施形態の便座の内部構造を表す断面模式図である。
【図3】本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を例示するタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する断面模式図である。
【図6】本実施形態の便座の内部構造を表す断面模式図である。
【図7】本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
【図8】本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する断面模式図である。
また、図2は、本実施形態の便座の内部構造を表す断面模式図である。
【0019】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)500と、その上に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、便座200と、便蓋300と、ケーシング400と、を有する。また、便器500は、その内部にボウル510を有する。
【0020】
便座200は、図2に表したように、第1の加熱部(加熱源)210を内蔵する。この第1の加熱部210は、通電されて発熱することにより、便座200を暖めることができる。第1の加熱部210としては、いわゆる「チュービングヒータ」や、「シーズヒータ」、「ハロゲンヒータ」、「カーボンヒータ」などを用いることができる。また、第1の加熱部210の形状は、ワイヤ状やシート状やメッシュ状などのいずれであってもよい。
【0021】
また、便座200は、基材230と、弾力性(クッション性)を有するクッション部240と、クッション部240の上面や側面を覆う表面部250と、第1の加熱部210の上に隣接して設けられた熱伝導体260と、基材230の内部に設けられた断熱材220と、を有する。基材230は、上板231と底板233とを有する。但し、基材230は、一体的に形成されていてもよい。また、表面部250の表面は、着座面として機能する。
【0022】
基材230は、例えばPP(polypropylene:ポリプロピレン)等の樹脂から形成されている。熱伝導体260としては、例えばアルミシートやカーボンシートなどが挙げられる。クッション部240は、クッション性を有するため、使用者が便座200に座ったときの座り心地を向上させることができる。また、断熱材220は、便座200の下への放熱を抑制できる。なお、第1の加熱部210は、クッション部240に内蔵されていてもよい。すなわち、第1の加熱部210と着座面との間に、クッション部240が介在していればよい。
【0023】
また、便座200は、図1に表したように、その下部に支持部203を有する。この支持部203は、便座200が閉じた状態において、便器500に当接され、便座200を支持することができる。そして、便座200と便器500との間には、隙間が存在する。また、便蓋300は、便座200を覆っている。
【0024】
ケーシング400は、脱臭装置420と、温風発生装置(便座外部加熱装置)430と、を内蔵する。脱臭装置420は、ボウル510内の空気を吸引し脱臭した後に、ケーシング400の外部に排出できる。また、温風発生装置430は、ボウル510内に温風を噴出でき、便座200の外部を加熱できる。つまり、温風発生装置430は、温風によって便座200の外側の空間を暖めることができる。さらに、ケーシング400は、便座200への使用者の着座を検知する着座検知手段(使用検知手段)440と、便蓋300が閉止したことを検知する便蓋開閉検知手段(使用検知手段)450と、を内蔵する。
【0025】
着座検知手段440としては、例えば、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。また、便蓋開閉検知手段450としては、例えば、ホールICまたはマイクロスイッチなどを用いることができる。そのため、便蓋開閉検知手段450は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されず、便蓋300のヒンジ部やケーシング400の外部に設けられていてもよい。つまり、便蓋開閉検知手段450は、便蓋300が閉止したことを検知できればよい。これは、着座検知手段440についても同様であり、着座検知手段440は、ケーシング400に内蔵されていることに限定されず、便座200への使用者の着座を検知できればよい。
【0026】
また、ケーシング400は、制御部410を内蔵する。この制御部410は、例えば着座検知手段440や便蓋開閉検知手段450などの検知結果に基づいて、第1の加熱部210や脱臭装置420や温風発生装置430などの動作を制御できる。以下、これらの動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図3は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
まず、使用者がトイレ室に入室すると、図示しない入室検知手段がトイレ室への使用者の入室を検知する(タイミングT1)。この検知結果に基づいて、制御部410は、便蓋300を開放し、便蓋開閉検知手段450は、便蓋300が開放したことを検知する(タイミングT1)。なお、入室検知手段は、着座検知手段440と同様に、例えばケーシング400の内部に設けられている。また、入室検知手段としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。
【0028】
続いて、使用者が便座200に着座すると、着座検知手段440は、便座200への使用者の着座を検知し、この検知結果に基づいて、制御部410は、脱臭装置420の駆動を開始させる(タイミングT2)。なお、このときの脱臭装置420の風量は、例えば「小」である。続いて、使用者が「温水洗浄スイッチ」および「止スイッチ」を操作して局部洗浄を実行した後(タイミングT3〜T4)、「温風乾燥スイッチ」を操作すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させる(タイミングT4)。このときの温風発生装置430の風量は、例えば「大」である。これにより、温風発生装置430は、便座200に着座した使用者の局部や臀部を乾燥させることができる。すなわち、本実施形態にかかる暖房便座装置100では、温風発生装置430は、便座200に着座した使用者の局部や臀部に温風を噴射する局部乾燥装置を兼ねている。
【0029】
続いて、使用者が「止スイッチ」を操作して温風発生装置430の駆動を停止させ(タイミングT5)、便座200から立ち上がって離座すると、制御部410は、脱臭装置420の風量を「小」よりも大きな「大」に設定する(タイミングT6)。これにより、脱臭装置420は、ボウル510内の空気をより強力に吸引し、より早急に脱臭できる。このとき、図1に関して前述したように、便座200と便器500との間には隙間が存在するため、その隙間を通してボウル510内に外気が吸引される。また、使用者が便座200から離座すると、便座200の着座面は、外気に露出される。これらにより、便座200は、冷めるおそれがある。そして、便座200の温度が低下すると、その便座200はクッション部240を有するため、第1の加熱部210からの熱伝達率を低下させる。そのため、便座200の温度を上昇させるのに時間がかかる場合がある。
【0030】
そこで、本実施形態にかかる暖房便座装置100では、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させる(タイミングT6)。このときの温風発生装置430の風量は、例えば局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「中」である。そして、このときの温風発生装置430の風量「中」は、脱臭装置420の風量「大」と同等あるいはそれ以上である。
【0031】
これにより、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることを抑制することができる。また、便座200の周囲を加熱することができ、さらにはボウル510内の温度が低下することを防止することができる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できるため、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。これにより、省エネルギー化を図ることもできる。
【0032】
続いて、使用者がトイレ室から退出すると、入室検知手段は、トイレ室からの使用者の退室を検知する(タイミングT7)。この検知結果に基づいて、所定時間が経過すると、制御部410は、便蓋300を閉止し、便蓋開閉検知手段450は、便蓋300が閉止したことを検知する(タイミングT8)。このときにも、温風発生装置430は、引き続き、脱臭装置420の風量「大」と同等あるいはそれ以上の風量「中」の温風を噴射する(タイミングT8〜T9)。
【0033】
続いて、制御部410は、便器洗浄後あるいはしばらくして脱臭装置420の駆動を停止させると、温風発生装置430の風量を「中」よりも小さな「小」に設定する(タイミングT9)。すなわち、制御部410は、脱臭装置420の駆動を停止させた後でも、温風発生装置430の駆動を停止させない。これによれば、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることをより確実に防止することができる。また、便座200が冷えた場合であっても、便座200を外部から加熱することにより、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。続いて、所定時間が経過すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を停止させる(タイミングT10)。
【0034】
以上説明したように、本具体例の動作によれば、脱臭装置420の駆動中に、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させる。なお、制御部410は、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知したときではなく、便蓋開閉検知手段450が便蓋300の閉止を検知したときに、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させてもよい。すなわち、制御部410は、図3に表したタイミングT8において、温風発生装置430の駆動を開始させてもよい。
【0035】
これによれば、温風発生装置430は、便蓋300が閉止した状態でボウル510内に温風を噴出させるため、その温風は、ボウル510の外部に流出しにくい。また、便座200は、便蓋300により覆われる。そのため、この場合の暖房便座装置100は、より効率的に、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることを防止することができる。そのため、より効率的に、便座200が冷えることを抑制でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0036】
また、本具体例の動作では、制御部410は、使用者が便座200に着座している場合、すなわち着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知している場合には、局部乾燥以外のときに温風発生装置430を駆動させない。つまり、制御部410は、着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知している場合には、温風発生装置430の風量を局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「中」あるいは「小」に設定しない。温風であっても、より小さい風量の温風が使用者の局部や臀部に当たると、その使用者は違和感を感じる場合がある。これに対して、本具体例の動作では、制御部410は、使用者が便座200に着座している場合には、局部乾燥以外のときに温風発生装置430を駆動させないため、使用者は、より小さい風量の温風により違和感を感じることはない。
【0037】
また、本具体例では、制御部410は、脱臭装置420の駆動を停止させた後でも、温風発生装置430の駆動を停止させない場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、脱臭装置420の駆動停止と同時に温風発生装置430の駆動を停止させてもよい。すなわち、制御部410は、図3に表したタイミングT9において、温風発生装置430の駆動を停止させてもよい。これによれば、便座200が冷えていない場合には、温風発生装置430の無駄な駆動を防止することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0038】
また、制御部410は、脱臭装置420の風量に応じて温風発生装置430の風量を変更してもよい。この場合、制御部410は、温風発生装置430の風量を、脱臭装置420の風量と同等あるいはそれ以上の風量に設定する。これによれば、脱臭装置420の風量に応じて、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることを防止することができるため、省エネルギー化を図りつつ、便座200が冷えることを抑制することができる。
【0039】
また、制御部410は、トイレ室内の室温に応じて温風発生装置430からの温風の温度を変更してもよい。すなわち、制御部410は、室温が低いときには温風発生装置430からの温風の温度を高く設定し、室温が高いときには温風発生装置430からの温風の温度を低く設定してもよい。これによれば、温風発生装置430からの温風の放熱を抑えることができ、便座200が冷えることをより効率的に抑制することができる。
【0040】
また、便器洗浄中には、洗浄水が排水される際に外気がボウル内に吸引されるため、制御部410は、便器洗浄が開始されると、温風発生装置430の風量や温風温度をさらに上げてもよい。これによれば、便座200が冷えることをより抑制することができる。なお、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、ボウル510内に温風を噴出させるため、ケーシング400内の結露を防止できる。
【0041】
図4は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を例示するタイミングチャートである。
本具体例の動作では、着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を開始させる(タイミングT2)。すなわち、制御部410は、脱臭装置420の駆動開始と略同時に、温風発生装置430の駆動を開始させる(タイミングT2)。このときの温風発生装置430の風量は、例えば局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「小」である。
【0042】
そして、制御部410は、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知するまで、温風発生装置430の風量を「小」に設定した状態で駆動を継続させる(タイミングT2〜T6)。但し、使用者が「温風乾燥スイッチ」を操作した場合には、制御部410は、温風発生装置430の風量を「小」および「中」よりも大きな「大」に設定する(タイミングT4〜T5)。
【0043】
この場合、図3に関して前述したように、温風であっても、より小さい風量の温風が使用者の局部や臀部に当たると、その使用者は違和感を感じる場合がある。そこで、本具体例の動作では、暖房便座装置100は、温風発生装置430が局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「小」で温風を噴射するときの風向を使用者の局部や臀部に当たらない方向に変更する風向変更手段を備えることが好ましい。
【0044】
より具体的には、温風発生装置430からの温風をボウル510内に吹き出す吹出口を塞ぐ温風ダンパが、ケーシング400のボウル510を臨む部分に設けられていることが好ましい。この温風ダンパは、例えば、略水平な回動軸の回りに回動可能に支持されており、温風発生装置430からの温風の風圧を受け上方に向けて回転することにより開く。
【0045】
これによれば、温風発生装置430が局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「小」で温風を噴射すると、温風ダンパは、局部乾燥時よりも小さい風圧を温風から受けるため、局部乾燥時よりも小さい開口率で開く。すなわち、温風ダンパは、局部乾燥のときよりも下側の位置で回転停止する。そのため、温風ダンパは、温風発生装置430が局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「小」で温風を噴射するときの風向を下側に変更することができる。したがって、温風ダンパは、温風発生装置430が局部乾燥時の風量「大」よりも小さな風量「小」で温風を噴射するときの風向を使用者の局部や臀部に当たらない方向に変更できる。
【0046】
本具体例の動作によれば、制御部410は、脱臭装置420の駆動を開始させると、温風発生装置430の駆動を開始させる。このとき、制御部410は、脱臭装置420の駆動開始に基づいて温風発生装置430の駆動を開始させてもよいし、着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知したことに基づいて温風発生装置430の駆動を開始させてもよい。
【0047】
これによれば、脱臭装置420の駆動中には、制御部410は、温風発生装置430を自動的に駆動しボウル510内に温風を噴出させるため、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることをより防止することができる。また、便座200の周囲を加熱することができ、さらにはボウル510内の温度が低下することを防止することができる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることをより抑制できる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることをより抑制できるため、便座200をより早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備をより早期に完了させることができる。これにより、省エネルギー化を図ることもできる。
【0048】
その他の動作については、図3に関して前述した具体例の動作と同様である。なお、制御部410は、図3に関して前述したように、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知したときではなく、便蓋開閉検知手段450が便蓋300の閉止を検知したときに、温風発生装置430の風量を「小」よりも大きな「中」に設定してもよい。また、制御部410は、図3に表したタイミングチャートのように、脱臭装置420の駆動を停止させた後に、温風発生装置430の駆動を継続させてもよい。さらに、その他の変形動作についても、図3に関して前述した変形動作と同様の変形動作を行うことができる。これによれば、図3に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、本実施形態にかかる暖房便座装置100では、温風発生装置430が局部乾燥装置を兼ねている場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。すなわち、温風発生装置430は、局部乾燥装置とは別の装置であって、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることを防止するための温風発生装置であってもよい。但し、温風発生装置430が局部乾燥装置を兼ねている場合には、暖房便座装置100の小型化を図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する断面模式図である。
また、図6は、本実施形態の便座の内部構造を表す断面模式図である。
【0051】
図1〜図4に関して前述した暖房便座装置のケーシング内には、ボウル510内に温風を噴出する温風発生装置430が設けられているが、本実施形態のケーシング400の内部には、温風発生装置430は設けられていない。そのため、脱臭装置420の駆動が開始されると、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引される。また、使用者が便座200から離座すると、便座200の着座面は、外気に露出される。これらにより、便座200は、冷めるおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態の便座200の底板233には、第2の加熱部(便座外部加熱装置)270が設けられている。この第2の加熱部270は、底板233の便器500に対向する表面に付設されていてもよいし、底板233の内部に設けられていてもよい。また、第2の加熱部270の形状は、ワイヤ状やシート状やメッシュ状などのいずれであってもよい。そして、第2の加熱部270は、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に吸引される外気を加熱できる。すなわち、第2の加熱部270は、外気が便座200と便器500との間の隙間を通る際に、その外気を加熱可能であり、便座200の周囲を加熱できる。
【0053】
これによれば、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引された場合であっても、その外気を第2の加熱部270により加熱することができるため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できるため、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。これにより、省エネルギー化を図ることもできる。
【0054】
なお、第2の加熱部270は、便座200と便器500との間の隙間が狭くなるように設けられることがより好ましい。これによれば、外気は、便座200と便器500との間の隙間を通りにくくなるため、便座200が冷えることより抑制することができる。さらに、第2の加熱部270は、外気との接触面積が大きくなるように設けられることがより好ましい。これによれば、第2の加熱部270は、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に吸引される外気をより効率的に加熱できる。
【0055】
なお、トイレ装置および暖房便座装置100のその他の構造については、図1〜図4に関して前述したトイレ装置および暖房便座装置の構造とそれぞれ同様である。以下、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
【0056】
図7は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
本具体例の動作では、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知すると、制御部410は、第2の加熱部270の駆動(通電)を開始して発熱させる(タイミングT6)。これにより、第2の加熱部270は、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に吸引される外気を加熱できる。
【0057】
そして、制御部410は、便器洗浄後あるいはしばらくして脱臭装置420の駆動を停止させた後でも、第2の加熱部270への通電を継続させる(タイミングT9〜T10)。すなわち、制御部410は、脱臭装置420の駆動を停止させた後でも、温風発生装置430への通電を停止させない。これによれば、図3に関して前述したように、便座200が冷えた場合であっても、便座200を外部から加熱することにより、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。なお、その他の動作については、図3に関して前述した具体例の動作と同様である。
【0058】
本具体例の動作によれば、図5および図6に関して前述したように、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引された場合であっても、その外気を第2の加熱部270により加熱することができる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できる。
【0059】
なお、図3に関して前述したように、制御部410は、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知したときではなく、便蓋開閉検知手段450が便蓋300の閉止を検知したときに、第2の加熱部への通電を開始して発熱させてもよい。これによれば、より効率的に、便座200が冷えることを抑制でき、省エネルギー化を図ることができる。また、図3に関して前述したように、制御部410は、脱臭装置420の駆動停止と同時に第2の加熱部270への通電を停止させてもよい。すなわち、制御部410は、図7に表したタイミングT9において、第2の加熱部270への通電を停止させてもよい。これによれば、便座200が冷えていない場合には、第2の加熱部270への無駄な通電を防止することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0060】
図8は、本実施形態にかかる暖房便座装置の動作の他の具体例を例示するタイミングチャートである。
本具体例の動作では、着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知すると、制御部410は、第2の加熱部270の駆動(通電)を開始して発熱させる(タイミングT2)。すなわち、制御部410は、脱臭装置420の駆動開始と略同時に、第2の加熱部270の駆動(通電)を開始して発熱させる(タイミングT2)。このとき、制御部410は、脱臭装置420の駆動開始に基づいて第2の加熱部270への通電を開始してもよいし、着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知したことに基づいて第2の加熱部270への通電を開始してもよい。
【0061】
そして、制御部410は、脱臭装置420の駆動停止と略同時に第2の加熱部270への通電を停止させる。但し、図7に表したタイミングチャートのように、脱臭装置420の駆動を停止させた後に、第2の加熱部への通電を継続させてもよい。その他の動作については、図4に関して前述した具体例の動作と同様である。
【0062】
本具体例の動作によれば、脱臭装置420の駆動中には、制御部410は、第2の加熱部を自動的に発熱させるため、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引された場合であっても、その外気をより確実に加熱できる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることをより抑制できる。また、使用者が便座200に着座している場合、すなわち着座検知手段440が便座200への使用者の着座を検知している場合に、制御部410が第2の加熱部270を発熱させても、温風は発生しない。そのため、使用者の局部や臀部には温風は当たらず、使用者が違和感を感じることはない。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、脱臭装置420の駆動中に、着座検知手段440が便座200からの使用者の離座を検知すると、あるいは便蓋開閉検知手段450が便蓋300の閉止を検知すると、制御部410は、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させたり、第2の加熱部270への通電を開始してその第2の加熱部270を発熱させる。または、制御部410は、脱臭装置420の駆動を開始させると、温風発生装置430の駆動を開始してボウル510内に温風を噴出させたり、第2の加熱部270への通電を開始してその第2の加熱部270を発熱させる。これによれば、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に外気が吸引されることを防止したり、便座200と便器500との間の隙間を通してボウル510内に吸引される外気を加熱することができる。また、便座200の周囲を加熱することができ、さらにはボウル510内の温度が低下することを防止することができる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できる。また、本実施形態にかかる暖房便座装置100は、便座200が冷えることを抑制できるため、便座200を早期に保温温度に復帰させることができ、使用準備を早期に完了させることができる。これにより、省エネルギー化を図ることもできる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや着座検知手段440や便蓋開閉検知手段450の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
100 暖房便座装置、 200 便座、 203 支持部、 210 第1の加熱部、 220 断熱材、 230 基材、 231 上板、 233 底板、 240 クッション部、 250 表面部、 260 熱伝導体、 270 第2の加熱部、 300 便蓋、 400 ケーシング、 410 制御部、 420 脱臭装置、 430 温風発生装置、 440 着座検知手段、 450 便蓋開閉検知手段、 500 便器、 510 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源を内蔵した便座と、
前記便座を覆う便蓋と、
便器のボウル内の空気を吸引し脱臭して前記ボウルの外部に排出する脱臭装置と、
前記便座の外部を加熱する便座外部加熱装置と、
暖房便座装置の使用終了を検知する使用検知手段と、
前記脱臭装置の駆動中に、前記使用検知手段が使用終了を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させる制御部と、
を備えたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記使用検知手段は、前記便座への着座を検知する着座検知手段であり、
前記制御部は、前記着座検知手段が前記便座からの離座を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させることを特徴とする請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項3】
前記使用検知手段は、前記便蓋が閉止したことを検知する便蓋開閉検知手段であり、
前記制御部は、前記便蓋開閉検知手段が前記便蓋の閉止を検知すると前記便座外部加熱装置の駆動を開始させることを特徴とする請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項4】
加熱源を内蔵した便座と、
前記便座を覆う便蓋と、
便器のボウル内の空気を吸引し脱臭して前記ボウルの外部に排出する脱臭装置と、
前記便座の外部を加熱する便座外部加熱装置と、
前記脱臭装置の駆動中に、前記便座外部加熱装置を駆動させる制御部と、
を備えたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項5】
前記便座外部加熱装置は、前記ボウル内に温風を噴出する温風発生装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項6】
前記温風発生装置は、前記便座に着座した人の局部に温風を噴出する局部乾燥装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項7】
前記便座は、使用者が着座可能な着座面と、前記加熱源と前記着座面との間に介在するクッション部と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記脱臭装置の駆動を停止させた後に、前記便座外部加熱装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項9】
前記局部乾燥装置からの温風の供給風量は、前記便座に着座した人の局部に前記温風を噴出する局部乾燥時よりも、前記便座の外部を加熱する便座外部加熱時の方が小さいことを特徴とする請求項6記載の暖房便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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