説明

曝気装置及びその曝気槽の運転方法

【課題】全面曝気式において、槽底部の汚泥堆積を安価な手段によって拡散させる。
【解決手段】曝気槽1内の散気装置10を一方の散気部10bと他方の散気部10aに分割し、両散気部の境のラテラル管11に開閉弁機能を有する自在管継手17を介設する。通常は、実線のごとく、両散気部10a、10bを水平状態にして全ての散気部に空気を供給して槽1内全域に散気して全面曝気を行う。槽底部に汚泥が堆積した場合には、一方の散気部10bを鎖線のごとく起立させ、その起立による自在管継手17の開閉弁機能によってその散気部10bへの空気流通を遮断する。これにより、他方の散気部10aにのみに空気が送り込まれることとなって、旋回流が生じて曝気槽底部に堆積した汚泥を攪拌する。この旋回流によって、曝気槽1底部の汚泥堆積が無くなれば(拡散すれば)、一方の散気部10bを倒伏させて水平状態に復帰させ、全面曝気に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水処理場における曝気槽、活性汚泥法用曝気槽、家畜糞尿貯留槽用曝気槽等において、その曝気を全面曝気とするとともに、その槽底部に堆積した汚泥を攪拌して円滑に槽全体に拡散するようにした曝気装置及びその曝気槽の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場における曝気槽は、その槽内に散気装置を設けて、その散気装置の散気管から散気し、槽内の好気性微生物を利用して曝気処理するものが一般的である。
この好気性処理を行う曝気槽における曝気方法として、旋回流式、全面曝気式、水中攪拌式等の種々のものが採用されているが、普及度では、旋回流式と全面曝気式の2つが主流となっている。
【0003】
上記旋回流式の曝気方法は、曝気槽内の一側に散気装置を設け、その散気装置の散気管から散気して、その散気による上昇流により、槽内に旋回流を生じさせ、旋回流によって、槽内全域を攪拌するとともに曝気するものである(特許文献1参照)。
全面曝気式の曝気方法は、曝気槽内底部に散気装置を設置し、その散気装置の散気管から槽内全面に散気して曝気するものである(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平9−276891号公報
【特許文献2】特開平9−174066号公報
【0004】
また、曝気槽には、下水処理場の曝気槽に比べて高濃度の屎尿を投入して活性汚泥法によってその屎尿を処理するものもある。この曝気槽にも、上記旋回流式、全面曝気式、水中攪拌式等の種々のものが採用されているが、同様に、普及度では、旋回流式と全面曝気式の2つが主流となっている。
【0005】
さらに、乳牛尿などの家畜糞尿は貯留することによって大腸菌群数が減少し、さらに曝気することにより、硫化水素臭が減少してアンモニア臭のみとなる。この曝気槽にも、同様に、上記旋回流式、全面曝気式、水中攪拌式等の種々のものが採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全面曝気式は、槽全域に円滑に散気されるため、曝気効率(処理効率)が高い利点はあるが、槽底部に汚泥(SS等の沈降物)が沈降して堆積する。この汚泥の堆積は、腐敗して悪臭(硫化水素)が発生するため、浚渫や引き抜きが必要である。しかし、それらの作業を軽減するため、従来から、その堆積した汚泥を攪拌して槽内に拡散させている。従来では、その拡散を攪拌翼などによる機械的手段によって行なっている。
旋回流式は、旋回流によって槽底部の汚泥も攪拌するため、上記全面曝気式における汚泥堆積の問題は少ない。しかし、全面曝気式に比べて、曝気効率が劣る。
【0007】
このため、全面曝気式と旋回流式を選択的に切り換え、その旋回流によって槽底部の堆積汚泥を拡散するようにした技術がある(特許文献1 段落0012、図3、段落0013 図4参照)。
しかし、この技術は、複数の散気装置を設けて、その各散気装置の個々に制御装置を付設し、その制御装置によって、各散気装置を個々に制御して散気するようにしている。このため、曝気装置としては高価なものとなっている。
【0008】
また、槽底部に散気装置を設け、その散気装置の全散気管から散気することにより全面曝気するとともに、その一部の散気管から散気して旋回流を生じさせて、添加物の滞留を防止した技術もある(特許文献2 段落0009〜0010)。
【0009】
この発明は、全面曝気式において、槽底部の汚泥堆積を安価な手段によって拡散(攪拌)させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するために、この発明は、上記特許文献2の旋回流による攪拌作用を採用して、全面曝気を行う散気管の一部から散気することにより、旋回流を生じさせて槽底部の堆積汚泥を拡散するようにしたのである。
このように、全面曝気を行う散気管の一部からの散気によって旋回流を生じさせて攪拌すれば、特許文献1記載技術のように、全面曝気用の散気装置とは別に、旋回流を生じさせるための散気装置を設ける場合に比べて安価となる。
【0011】
つぎに、この発明は、弁の切換によって、全面曝気と旋回流の生成を切換えるように、例えば、散気用空気供給管からそれぞれ分岐したライザー管によって全面曝気時の空気供給と旋回流時の空気供給を行い、その切り換えを前記空気供給管と両分岐ライザー管の間に設けた弁により行なうこととしたのである。
このように、一の空気供給管によって全面曝気時の空気供給と旋回流時の空気供給を行い、かつ、その切り換えを弁で行うようにすれば、構造も簡単であり、安価なものとし得る。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、以上のようにしたので、安価にして、槽底部の汚泥の堆積をなくしつつ、全面曝気によって効率の高い曝気を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記課題を達成するこの発明に係る曝気槽の運転方法は、下水処理場における曝気槽、活性汚泥法用曝気槽、家畜糞尿貯留槽用曝気槽等に採用でき、その実施形態としては、曝気槽内の散気装置からの散気によって曝気する方法において、通常は、前記散気装置の全ての散気管に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、曝気槽底部に汚泥が堆積した場合には、散気装置の一部の散気管のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて曝気槽底部に堆積した汚泥を攪拌する構成を採用できる。
【0014】
このとき、上記散気装置の一部の散気管と他の散気管の間に上下方向の仕切り壁を設けたものとすれば、その仕切り壁によって槽内を上昇流域と下降流域とに分けることができて上記旋回流が生じ易くなるため、上記攪拌作用も円滑となる。
また、上記他の散気管はその一側でもって起伏自在として、上記旋回流を生じさせる際には、その他の散気管を起立させるようにすれば、その他の散気管が上記仕切り壁の役目を果たすと共に、旋回流の邪魔とならず、円滑に旋回流が生じる。
【0015】
上記課題を達成する曝気槽に関するこの発明の実施形態としては、曝気槽内に散気装置を設け、その散気装置の全部の散気管又は一部の散気管のみに空気を選択的に供給可能とし、通常は、前記散気装置の全ての散気管に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、前記曝気槽底部に汚泥が堆積した場合には、前記散気装置の一部の散気管のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて前記曝気槽底部に堆積した汚泥を攪拌する構成を採用することができる。
【0016】
この構成における散気装置への空気供給構造としては、上記一部の散気管と他の散気管に、空気供給管からそれぞれ分岐したライザー管を設けてそのライザー管によって両散気管にそれぞれ空気を供給可能とするとともに、前記空気供給管と両分岐ライザー管の間に設けた弁によって両散気管又は一部の散気管のみに選択的に空気を供給可能とする構成を採用できる。
【0017】
これらの構成において、上記他の散気管をその一側でもって起伏自在にして、上記旋回流の形成時には、その他の散気管を起立させるようにすれば、旋回流を生じさせた場合に、その他の散気管は起立しているため、その旋回流の邪魔にならず、その流れが円滑になされるとともに、その起立した他の散気管は上記仕切り壁の作用も少なからず行う。
【0018】
この他の散気管を起伏自在とした構成において、上記一部の散気管と他の散気管に、空気供給管からそれぞれ分岐したライザー管を設けてそのライザー管によって両散気管にそれぞれ空気を供給可能とするとともに、他の散気管に至るライザー管に自在管継手を介設してその他の散気管を起伏自在とし、前記自在管継手は開閉弁機能を有したものとすることができる。
また、上記空気供給管からのライザー管、ラテラル管によって一部の散気管から他の散気管に連続して空気を供給可能とし、その両散気管の境のラテラル管に自在管継手を介設し、その自在管継手は開閉弁機能を有したものとすることもできる。
これらの構成とすれば、上記旋回流を生じさせる際、上記他の散気管を前記自在管継手を介して起立させると、その開閉弁機能によって他の散気管への空気供給を遮断するようにすることができる。
【0019】
上記他の散気管を起伏させる手段としては、その散気管から上記曝気槽の上面に導いたワイヤーによって行う、その散気管の他側にエアバックを設け、そのエアバックに空気を供給することにより膨張させて、そのエアバックの浮力により行う等を採用できる。このとき、他の散気管の他側に倒伏状態への復帰用重りを設けて、全面曝気時の態様に円滑に復帰できるようにすることができる。
【0020】
これらの曝気槽は、上記運転方法によって円滑な曝気を行うことができ、同様に、上記散気装置の一部の散気管と他の散気管の間に上下方向の仕切り壁を設けて、攪拌作用を円滑にすることができる。
【実施例】
【0021】
一実施例を図1及び図2に示し、この実施例は、平面視長方状の曝気槽1の底面長さ方向に沿って散気装置10を水平状態に設けている。各散気装置10は、略中央において2つの散気部10a、10bに分割されており、各散気部は、ラテラル管11の両側に超微細気泡型の散気管12を設けた同一面上となったものであり、それぞれサポート用架台13で槽1の底に50cm程度の間隙をもって支持されている。
【0022】
各散気部10a、10bのラテラル管11には一の空気供給管14から分岐させたライザー管15が接続されており、このライザー管15を介して各ラテラル管11に空気供給管14から空気が供給されて、各散気管12から超微細気泡が吐出して槽1の全域に散気され、その散気によって槽1内が曝気される。
各ライザー管15には開閉弁16がそれぞれ介設されており、この開閉弁16の開閉によって、各散気部10a、10bに選択的に空気が供給される。
【0023】
この実施例は以上の構成であり、通常、各開閉弁16を開放して全ての散気部10a、10b(全ての散気装置10)に空気を供給して槽1内全域に散気して全面曝気を行う。
槽1底部に汚泥が堆積した場合には、各散気装置10の一方の散気部(散気管)10a又は10bに接続のライザー管15の開閉弁16を閉じ、他の散気部10b又は10aの散気管12のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて曝気槽1底部に堆積した汚泥を攪拌する。
【0024】
この旋回流による汚泥攪拌は、目視により、汚泥の堆積を確認した都度、開閉弁16を操作して行ったり、一定時間毎に開閉弁16を自動操作して行う。その一定時間は実験・実操業に基づき適宜に設定する。また、汚泥堆積量をセンサーで検出し、その検出信号に基づきその操作をすることもできる。旋回流の操作時間も、実験・実操業に基づく堆積量に応じて適宜に設定する。
【0025】
図3、図4に示す実施例は、各散気装置10の一方の散気部10b(「請求の範囲」で言う「他の散気管」)をその一側でもって起伏自在にしたものであり、上記空気供給管14からの一本のライザー管15、ラテラル管11によって他方の散気部10a(「請求の範囲」で言う「一部の散気管」)から一方の散気部10bに連続して空気を供給可能としている。
その両散気部10a、10bの境のラテラル管11にスイベル継手等の自在管継手17を介設し、その自在管継手17は開閉弁機能を有したものとする。
【0026】
図3の実施例は、一方の散気部10bの一側縁にはワイヤー18及び重り19が設けられ、ワイヤー18は曝気槽1の上面に導かれており、このワイヤー18を引くことにより、図示鎖線のように、一方の散気部10bが起立する。
ワイヤー18を緩めれば、重り19及び自重によって一方の散気部10bは倒伏して水平状態(実線状態)に復帰する。
【0027】
図4の実施例は、一方の散気部10bの他側にエアバック20を設け、そのエアバック20に空気供給用ホース21を接続しており、そのホース21に介在した弁22を適宜に開閉することにより、ホース21を介してエアバック20に空気を供給して膨張させると、図示鎖線のように、そのエアバック20の浮力により、一方の散気部10bが起立する。
一方、弁22の適宜な開閉により、ホース21を介してエアバック20内の空気を抜けば、重り19及び自重によって一方の散気部10bは倒伏して水平状態(実線状態)に復帰する。
【0028】
この両実施例も、通常は、各図実線のごとく、各散気装置10の両散気部10a、10bを水平状態にして全ての散気部10a、10b(全ての散気装置10)に空気を供給して槽1内全域に散気して全面曝気を行う。
槽1底部に汚泥が堆積した場合には、一方の散気部10bを鎖線のごとく起立させ、その起立による自在管継手17の開閉弁機能によってその散気部10bへの空気流通を遮断する。これにより、他方の散気部10aにのみに空気が送り込まれることとなって、旋回流が生じて曝気槽1底部に堆積した汚泥を攪拌する。
この空気供給は、散気部10bの起立作用時も継続していてもよいが、空気供給を一時停止し、散気部10bの起立後に空気供給をすることもできる。
【0029】
この旋回流によって、曝気槽1底部の汚泥堆積が無くなれば(拡散すれば)、一方の散気部10bを倒伏させて水平状態に復帰させ、全面曝気に移行する。
この旋回流による汚泥攪拌は、上記と同様に、目視により、汚泥の堆積を確認した都度、一方の散気部10bを起立操作して行ったり、一定時間毎にその起立を自動操作して行い、その一定時間は実験・実操業に基づき適宜に設定する。また、汚泥堆積量をセンサーで検出し、その検出信号に基づきその操作をすることもできる。旋回流の操作時間も、実験・実操業に基づく堆積量に応じて適宜に設定する。
【0030】
上記各実施例において、上記散気装置10の一方の散気部10bと他方の散気部10aの間に、例えば、図1(b)の鎖線で示すように、上下方向の仕切り壁30を設けることができる。このようにすれば、その仕切り壁30によって槽1内を上昇流域と下降流域とに分けることができて上記旋回流が生じ易くなって、上記攪拌作用も円滑となる。その仕切り壁30は、上方のみ、下方のみでもよい。
【0031】
上記各実施例は、一の空気供給管14によって各散気装置10に空気供給を行っているため、その設備も安くなり、また、その制御、例えば、全面曝気時と旋回流時の空気供給量を適宜に変動させること等も容易である。
また、旋回流によって、槽1底部の堆積汚泥を攪拌するようにしたので、各散気装置10の位置も槽1の底面から比較的高い位置にすることができ、高くなれば、圧力損失も少なくなるとともに空気供給圧も小さくし得るため、供給空気能力との関係では有利である。このため、水深:8〜10m程度の深層曝気槽1においても、この発明を採用することによって、円滑な曝気作用を得ることができる。例えば、散気装置10を槽1の水深の中程に設置し得る。
【0032】
なお、各実施例において、各弁16、22は、三方弁等を使用して、一の弁で、両散気部10a、10b等への選択的な空気供給・排気を行なうようにすることもできる。
また、図1〜図2の実施例においても、槽1底面に平行なライザー管15の途中に上記自在管継手17を介在し、その他方の散気部10bの起立によって、その散気部10bへの空気供給を遮断するようにすることもできる。
【0033】
因みに、上記各実施例において、旋回流による曝気作用を行う場合には、上記槽底部の堆積汚泥の攪拌作用、例えば、図1の実施例では、各散気装置10の一方の散気部(散気管)10a又は10bに接続のライザー管15の開閉弁16を閉じ、他の散気部10b又は10aのみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて行う。この旋回流による曝気は、冬季の硝化抑制時に採用することができるが、冬季に限らず、任意であって、全面曝気と適宜に切り換えることができる。
【0034】
また、旋回流の発生時、各弁16等を適宜に開閉して、散気装置10の一方の散気部10bと他方の散気部10aへの空気供給を交互に繰り返し、旋回流の向きの変更及び散気管12からの散気・その停止を繰り返すことによるエアブロー効果により、散気管12の目詰りを解消・防止できる。
【0035】
上記実施例は、下水処理場における曝気槽の場合であったが、高濃度の屎尿を投入して活性汚泥法によってその屎尿を処理する曝気槽、また、曝気することにより、硫化水素臭が減少してアンモニア臭のみとする家畜糞尿貯留槽用曝気槽等にも、この発明を採用できることは勿論であり、その場合、上記実施例の各態様を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施例を示し、(a)は同実施例の平面図、(b)は同切断右側面図、(c)は(b)の切断要部右側面図
【図2】同実施例の概略斜視図
【図3】他の実施例の概略切断側面図
【図4】他の実施例の概略切断側面図
【符号の説明】
【0037】
1 曝気槽
10 散気装置
10a 他方の散気部(一部の散気管)
10b 一方の散気部(他の散気管)
11 ラテラル管
12 散気管
14 空気供給管
15 ライザー管
16、22 開閉弁
17 自在管継手
18 ワイヤー
19 重り
20 エアバック
21 空気供給用ホース
30 仕切り壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水処理場における曝気槽1内に散気装置10を設けて、その散気装置10からの散気によって曝気する方法であって、
通常は、上記散気装置10の全ての散気管12に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、上記曝気槽1底部に汚泥が堆積した場合には、前記散気装置10の一部の散気管12のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて前記曝気槽1底部に堆積した汚泥を攪拌することを特徴とする曝気槽の運転方法。
【請求項2】
活性汚泥法用曝気槽1内に散気装置10を設けて、その散気装置10からの散気によって曝気する方法であって、
通常は、上記散気装置10の全ての散気管12に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、前記曝気槽1底部に汚泥が堆積した場合には、前記散気装置10の一部の散気管12のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて前記曝気槽1底部に堆積した汚泥を攪拌することを特徴とする曝気槽の運転方法。
【請求項3】
家畜糞尿貯留槽を曝気して硫化水素臭を減少させる曝気槽1内に散気装置10を設けて、その散気装置10からの散気によって曝気する方法であって、
通常は、上記散気装置10の全ての散気管12に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、上記曝気槽1底部に汚泥が堆積した場合には、前記散気装置10の一部の散気管12のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて前記曝気槽1底部に堆積した汚泥を攪拌することを特徴とする曝気槽の運転方法。
【請求項4】
上記散気装置10の一部の散気管と他の散気管の間に上下方向の仕切り壁30を設けて上記旋回流を生じ易くしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の曝気槽の運転方法。
【請求項5】
上記他の散気管はその一側でもって起伏自在として、上記旋回流を生じさせる際には、その他の散気管を起立させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の曝気槽の運転方法。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の曝気槽の運転方法を行う曝気装置であって、
上記曝気槽1内に散気装置10を設け、その散気装置の全部の散気管又は一部の散気管のみに空気を選択的に供給可能とし、通常は、前記散気装置10の全ての散気管に空気を送り込むことによって全面曝気を行い、前記曝気槽1中に汚泥が堆積した場合には、前記散気装置10の一部の散気管のみに空気を送り込むことにより、旋回流を生じさせて前記曝気槽1中に堆積した汚泥を攪拌することを特徴とする曝気装置。
【請求項7】
上記一部の散気管と他の散気管に、空気供給管14からそれぞれ分岐したライザー管15を設けてそのライザー管15によって両散気管にそれぞれ空気を供給可能とするとともに、前記空気供給管14と両分岐ライザー管15の間に設けた弁16によって両散気管又は一部の散気管のみに選択的に空気を供給可能としたことを特徴とする請求項6に記載の曝気装置。
【請求項8】
上記一部の散気管以外の他の散気管を起伏自在とし、旋回流を生じさせる際には、その他の散気管を起立させることを特徴とする請求項6又は7に記載の曝気装置。
【請求項9】
上記一部の散気管と他の散気管に、空気供給管14からそれぞれ分岐したライザー管15を設けてそのライザー管15によって両散気管にそれぞれ空気を供給可能とするとともに、上記他の散気管に至るライザー管15に自在管継手17を介設してその他の散気管を起伏自在とし、前記自在管継手17は開閉弁機能を有して、上記旋回流を生じさせる際には、前記他の散気管を前記自在管継手17を介して起立させ、その開閉弁機能によって他の散気管への空気供給を遮断するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の曝気装置。
【請求項10】
上記空気供給管14からのライザー管15、ラテラル管11によって一部の散気管10aから他の散気管10bに連続して空気を供給可能とし、その両散気管10a、10bの境のラテラル管11に自在管継手17を介設してその他の散気管10bを起伏自在とし、前記自在管継手17は開閉弁機能を有して、上記旋回流を生じさせる際には、前記他の散気管10bを前記自在管継手17を介して起立させ、その開閉弁機能によって他の散気管10bへの空気供給を遮断するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の曝気装置。
【請求項11】
上記他の散気管10bの起立をその散気管10bから上記曝気槽1の上面に導いたワイヤー18によって行うことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の曝気装置。
【請求項12】
上記他の散気管10bの他側にエアバック20を設け、そのエアバック20に空気を供給することにより膨張させて、そのエアバック20の浮力により、前記他の散気管10bを起立させるようにしたことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の曝気装置。
【請求項13】
上記他の散気管10bの他側に倒伏状態への復帰用重り19を設けたことを特徴とする請求項8乃至12の何れかに記載の曝気装置。
【請求項14】
上記散気装置10の一部の散気管と他の散気管の間に上下方向の仕切り壁30を設けたことを特徴とする請求項6乃至13の何れかに記載の曝気装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−198478(P2006−198478A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10564(P2005−10564)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】