説明

更生管の管口拡管装置および管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法

【課題】マンホールの構造などに関係なく、更生管の管口を確実に拡管させる。
【解決手段】径大位置と径小位置との間を変位可能な複数個のグリップバー26を備えた固定ユニット2と、固定ユニット2に対して着脱自在に装着され、更生管の管口を拡径する拡径部33aを有するとともに、ヒーター35を介して加熱可能な拡管金型31を備えた拡管治具3とから管口拡管装置1が構成される。そして、更生管の内部に径大位置のグリップバー26を介して固定された固定ユニット2に拡管金型31を装着するとともに、加熱した拡管金型31を更生管の管口に押し付けて管口rを拡径部33aに対応する形状に拡管させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホール内に設定長さ突出された更生管の管口を拡管させる管口拡管装置および管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、経年によって老朽化した下水管路、農業用水路、ガス管路、電力通信ケーブル管路などの既設管を更生するため、隣接するマンホールにわたって地中に埋設された既設管内に、既設管の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂製のライナー材を挿入し、ライナー材を加熱して拡径させ、円管形状に復元させた後、円管形状のライナー材を既設管の内周面に密着させて更生管を形成する更生方法が提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、ケーブル管路を更生管によって更生する場合、電力ケーブル、光ファイバケーブルなどの通信ケーブルといった各種ケーブルを更生管内に挿入して敷設するに際して、更生管の端縁部と各種ケーブルが接触すると、各種ケーブルが損傷するおそれがある。このため、ケーブル管路を更生する更生管においては、その管口をマンホール内に一定長さ突出させ、その突出された管口を外径が拡径するように拡管させている。これにより、各種ケーブルと更生管の管口端縁部との接触を防止し、各種ケーブルを損傷させることなく更生管内に円滑に挿入することができる。
【0004】
具体的には、マンホール内に熱風吹き出しダクトを導入し、熱風を更生管の管口に供給して軟化させるとともに、軟化した更生管の管口に拡管金型を押し付けて更生管の管口を拡管金型の拡径部に対応する形状に拡管させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−230412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、更生管の管口に対する拡管金型の押し付けは、マンホール内にジャッキを固定した後、ジャッキに対して伸縮機構を介して拡管金型を前進させることによって実施されている。しかしながら、マンホールの構造や形状、あるいは、他のケーブル管路に挿通された各種ケーブルとの関係によっては、マンホール内にジャッキや伸縮機構を配設することができない場合がある。また、熱風吹き出しダクトより熱風を更生管の管口に供給して加熱する方式では、更生管の管口の温度管理が難しいという欠点もある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、マンホールの構造などに関係なく、更生管の管口を簡単確実に拡管させることのできる更生管の管口拡管装置および管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の更生管の管口拡管装置は、既設管を更生する更生管を設定長さマンホール内に突出させた管口を拡管させる管口拡管装置であって、センタースクリューに周方向に間隔をおいて設けられ、径大位置と径小位置との間を移動可能な複数のグリップバーを備えた固定ユニットと、固定ユニットのセンタースクリューに着脱自在に装着され、更生管の管口を拡管する拡径部を有するとともに、ヒーターを介して加熱可能な拡管金型を備えた拡管治具とからなり、センタースクリューの回転によってグリップバーを径大位置に移動させて固定ユニットを更生管の内部に固定し、センタースクリューに装着された拡管金型を加熱して更生管の管口に押し付け、管口を拡径部に対応する形状に拡管させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、更生管の内部に挿入した固定ユニットのセンタースクリューを回転させ、各グリップバーを径大位置に移動させて固定ユニットを更生管に固定する。次いで、センタースクリューに拡管金型を装着するとともに、ヒーターを介して設定温度に加熱した後、加熱された拡管金型を更生管の管口に押し付けて管口を拡管金型の拡径部に対応する形状に拡管させる。
【0010】
この結果、マンホールの構造などに影響されることなく更生管の内部に固定ユニットを固定できるとともに、更生管に固定された固定ユニットを利用して拡管金型を更生管の管口に押し付けることができることから、マンホールの構造などに関係なく更生管の管口を簡単確実に拡管させることができる。
【0011】
本発明において、前記固定ユニットが、雄ねじを有するセンタースクリューと、センタースクリューに回転自在に支持された軸受部材と、センタースクリューの雄ねじにねじ結合された移動ナットと、軸受部材に周方向に間隔をおいて基端部がそれぞれ回動自在に連結された複数の前グリップアームと、移動ナットに周方向に間隔をおいて基端部がそれぞれ回動自在に連結された複数の後グリップアームと、各前グリップアームの先端部および各後グリップアームの先端部がそれぞれ回動自在に連結された複数のグリップバーとからなり、各前グリップアームおよび各後グリップアームは同一の長さに形成され、また、対応する各前グリップアームおよび各後グリップアームが、それぞれセンタースクリューとのなす角度が90度未満の等角台形の脚を形成することが好ましい。これにより、センタースクリューを回転操作することで、移動ナットを進退させ、各前グリップアームおよび各後グリップアームを等角台形の脚を形成しつつセンタースクリューに対して起伏する方向に回動させ、対応する各グリップバーを径大位置と径小位置との間で移動させることができる。したがって、グリップバーを径小位置から径大位置に移動させて更生管に固定ユニットを容易に固定することができ、また、グリップバーを径大位置から径小位置に移動させて更生管に対する固定ユニットの固定を容易に解除して取り出すことができる。
【0012】
本発明において、前記各後グリップアームが、移動ナットおよび対応するグリップバーとの間に平行リンク機構を形成するように、前後に一組ずつ設けられることが好ましい。これにより、グリップアームの長さが長くなっても安定して支持することができる。
【0013】
本発明において、前記拡管金型が、拡径部を有するとともに、略円錐台状の中空部を有する金型本体と、更生管の内径に対応する外径を有して金型本体の前端面に一体に連結されたガイド部材と、金型本体の中空部に対応する略円錐台状に形成されて金型本体の中空部にセンターボスを介して一体に連結されたヒーターベースと、ヒータベースの外周側円錐面に配設された面状発熱体とから構成され、ガイド部材、金型本体およびセンターボスの中心にセンタースクリューを挿通可能な挿通穴が形成されることが好ましい。これにより、拡管金型を固定ユニットのセンタースクリューに簡単に装着して設定温度に加熱することができ、設定温度に加熱された拡管金型を更生管の管口に押し付けることで管口を金型本体の拡径部に対応する形状に拡管させることができる。
【0014】
本発明において、前記拡管金型が、センタースクリューにねじ結合された操作部材を介して更生管の管口に向けて押し出されることが好ましい。これにより、操作部材の回転によって加熱された拡管金型を更生管の管口に向けて確実に押し出すことができる。
【0015】
本発明の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法は、既設管を更生する更生管を設定長さマンホール内に突出させた管口を請求項1乃至5のいずれか1つに記載の管口拡管装置を用いて拡管する拡管方法であって、固定ユニットを更生管の内部に挿入するとともに、センタースクリューを回転させ、各グリップバーを径大位置に移動させて固定ユニットを更生管に固定した後、センタースクリューに拡管金型を装着し、ヒーターを介して設定温度に加熱した拡管金型を更生管の管口に押し付けて管口を拡径部に対応する形状に拡管させることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、固定ユニットを更生管の内部に挿入し、センタースクリューを回転させて各グリップバーを径大位置に移動させ、径大位置に移動した複数のグリップバーを介して固定ユニットを更生管に固定する。次いで、センタースクリューに拡管金型を装着し、ヒーターを介して拡管金型を設定温度に加熱した後、加熱された拡管金型を更生管の管口に押し付けて管口を拡管金型の拡径部に対応する形状に拡管させる。
【0017】
この結果、固定ユニットを更生管の内部に挿入し、センタースクリューを回転させてグリップバーを介して固定ユニットを更生管に固定した後、センタースクリューに拡管金型を装着し、拡管金型を設定温度に加熱して更生管の管口に押し付けるという簡単な作業によって、マンホールの構造などに関係なく更生管の管口を確実に拡管させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マンホールの構造などに関係なく更生管の管口を簡単確実に拡管させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の更生管の管口拡管装置の一実施形態を示す半断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図4】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図5】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図6】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図7】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図8】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図9】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【図10】図1の管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2には、本発明の更生管の管口拡管装置1の一実施形態が示されている。
【0022】
この実施形態の管口拡管装置1は、更生管Rの内部に挿入されて更生管Rに固定可能な固定ユニット2と、固定ユニット2に着脱自在に装着され、更生管Rの管口rに押し付けてその管口rを拡管させる拡管治具3とから構成されている。
【0023】
固定ユニット2は、先端部を除いて雄ねじ21aに形成されたセンタースクリュー21と、周方向に120度の間隔をおいて3個の連結部221が設けられ、センタースクリュー21の先端部に軸受22aを介して回転自在に支持された軸受部材22と、周方向に120度の間隔をおいて前後に一組ずつ計3組の連結部231が設けられ、センタースクリュー21の雄ねじ21aに対応する雌ねじが形成されてセンタースクリュー21にねじ結合された移動ナット23と、軸受部材22の各連結部221にそれぞれ基端部がピンを介して回動自在に連結された3本の前グリップアーム24と、移動ナット23の各前後一組の連結部231にそれぞれ基端部がピンを介して回動自在に連結された各前後一組、計6本の後グリップアーム25と、前後にそれぞれ連結部261が設けられ、対応する各前グリップアーム24の先端部および各前方の後グリップアーム25の先端部がそれぞれ前方の連結部261にピンを介して回動自在に連結されるとともに、各後方の後グリップアーム25の先端部がそれぞれ後方の連結部261にピンを介して回動自在に連結された3個のグリップバー26とから構成されている。
【0024】
ここで、各前グリップアーム24および各後グリップアーム25は、同一の長さに形成され、各グリップバー26は、センタースクリュー21の軸心と平行な受け面を有している。また、対応する各前グリップアーム24および各後方の後グリップアーム25は、センタースクリュー21とのなす角度が90度未満の等角台形の脚を形成するように、軸受部材22の各連結部221と各グリップバー26の前方の連結部261、移動ナット23の各後方の連結部231と各グリップバー26の後方の連結部261にそれぞれ連結されている。さらに、各前後一組の後グリップアーム25が平行リンク機構を形成するように、移動ナット23の各前後一組の連結部231,231と各グリップバー26の前後の連結部261,261にそれぞれ連結されている。
【0025】
具体的には、軸受部材22の各連結部221および各グリップバー26の前方の連結部261に対する各前グリップアーム24のピン連結点と、移動ナット23の各後方の連結部231および各グリップバー26の後方の連結部261に対する各後方の後グリップアーム25のピン連結点とが等角台形を形成するように設定されている。また、移動ナット23の各前後一組の連結部231,231および各グリップバー26の前後の連結部261,261に対する各前後の後グリップアーム25,25のピン連結点が平行四辺形を形成するように設定されている。
【0026】
これにより、各グリップバー26は、対応する各前グリップアーム24および各前後一組の後グリップアーム25が回動することによってセンタースクリュー21の軸心に対して受け面を平行に維持して径小位置と径大位置との間を移動することができる。すなわち、センタースクリュー21を回転させることにより、移動ナット23を進退させることができ、軸受部材22および移動ナット23に対して各前グリップアーム24および各前後一組の後グリップアーム25,25をそれぞれ起伏させて、対応するグリップバー26を径大位置と径小位置との間で移動させることができる。
【0027】
拡管治具3は、前述した固定ユニット2のセンタースクリュー21に着脱自在な拡管金型31と、センタースクリュー21にねじ結合されて拡管金型31をセンタースクリュー21に沿って押し出す操作部材32とから構成されている。
【0028】
拡管金型31は、拡径部33a、例えば、朝顔形状の外周面を有するとともに、略円錐台形状の中空部33bが形成された金型本体33と、更生管Rの内径に対応する外径に形成されて、金型本体33の前端面にボルトを介して一体に連結された耐熱樹脂製の円筒状ガイド部材34と、金型本体33の中空部33bに対応する略円錐台形状に形成され、外周面にヒーター35、具体的には、外周面および内周面が前方に向かって先窄まりの平行なテーパー面を有する面状発熱体が配設された耐熱樹脂製のヒーターベース36と、ヒーターベース36を金型本体33にボルトを介して一体に連結するセンターボス37とからなり、センターボス37、金型本体33およびガイド部材34には、その中心部を貫通して固定ユニット2のセンタースクリュー21の外径よりも若干大径の挿通穴31aが形成されている他、ヒーターベース36には、面状発熱体に通電するためのコネクタ(図示せず)が設けられている。
【0029】
ここで、面状発熱体としては、発熱体を両面からシリコン樹脂シートで挟んで形成された、株式会社八光電機製作所の製造販売に係るシリコンラバーヒーターが採用されている。
【0030】
一方、操作部材32は、固定ユニット2におけるセンタースクリュー21の雄ねじ21aに対応する雌ねじを有してセンタースクリュー21にねじ結合可能なハンドルボス38と、ハンドルボス38に複数本のアーム391を介して連結された操作ハンドル39とからなり、操作ハンドル39を回転操作することにより、ハンドルボス38をセンタースクリュー21に沿って進退させることができる。
【0031】
なお、更生管Rは、前述したように、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂によって形成されたライナー材を既設管Lの内周面に密着させたものである。
【0032】
次に、このように構成された拡管装置1を用いて更生管Rの管口rを拡管する施工要領について以下説明する。
【0033】
この場合、更生対象の既設管Lが更生管Rによって更生され、その管口rがマンホールM内に設定長さ突出されて切断されているものとする。
【0034】
まず、センタースクリュー21の基端部が一定長さマンホールM内に突出するように、固定ユニット2を更生管Rの内部に挿入した後、センタースクリュー21に拡管金型31をその挿通穴31aを通して装着し、そのガイド部材34の先端を更生管Rの管口rに挿入する(図3参照)。次いで、センタースクリュー21をその基端部に取り付けたクランクアームなどを利用して正回転させ、センタースクリュー21にねじ結合された移動ナット23を前進させる。移動ナット23が前進し、軸受部材22との間隔を狭めれば、軸受部材22に連結された各前グリップアーム24に支持されて、各前後一組の後グリップアーム25,25が移動ナット23に対して起立するとともに、対応する軸受部材22に連結された各前グリップアーム24も軸受部材22に対して各後グリップアーム25の起立角度と同じ角度だけ起立する。これにより、対応する各前グリップアーム24および各前後一組の後グリップアーム25にそれぞれ連結された各グリップバー26が徐々に径大位置に移動する。各グリップバー26が径大位置に移動し、その受け面が更生管Rの内周面に突き当てられたならば、固定ユニット2を3個のグリップバー26を介して更生管Rに移動しないように固定することができる(図4参照)。
【0035】
固定ユニット2を更生管Rに固定したならば、センタースクリュー21に操作部材32のハンドルボス38をねじ結合した後(図5参照)、ヒーター35(面状発熱体)に通電し、金型本体33を加熱する。
【0036】
ここで、金型本体33の設定温度は、ライナー材に対応して、例えば、100℃に設定されている。この場合、金型本体33の温度は、ヒーター35(面状発熱体)に対する電流量によって簡単に調整することができるとともに、その温度は、詳細には図示しないが、非接触式の温度センサーを介して容易に把握することができる。
【0037】
金型本体33が加熱され、設定温度である100℃に上昇したことを確認したならば、操作ハンドル39を正回転させ、操作部材32をセンタースクリュー21に沿って前進させる。これにより、操作部材32のハンドルボス38を拡管金型31に突き当ててセンタースクリュー21に装着された拡管金型31を前方に向けて押し出すことができる。前方に向けて拡管金型31が押し出されれば、設定温度に加熱された金型本体33を更生管Rの管口rに押し付けて管口rを軟化させるとともに、金型本体33の拡径部33aに対応する形状、具体的には、朝顔形状に拡管させることができる(図6参照)。
【0038】
更生管Rの管口rが金型本体33の拡径部33aに対応する形状に拡管したならば、ヒーター35への通電を遮断し、金型本体33を冷却させる。そして、金型本体33が冷却し、設定温度、例えば、40℃以下に低下したならば、操作ハンドル39を逆回転させてハンドルボス38をセンタースクリュー21に沿って後退させ、操作部材32を離脱させる(図7参照)。さらに、拡管金型31を把持して後方に引き出し、同様に、センタースクリュー21から離脱させる(図8参照)。
【0039】
その後、センタースクリュー21を前述とは逆方向に回転させれば(図9参照)、移動ナット23を後退させ、対応する前グリップアーム24および各前後一組の後グリップアーム25をそれぞれ伏倒させてグリップバー26をその受け面が更生管Rの内周面に突き当てられた径大位置から内周面とは離隔した径小位置に移動させることができる(図10参照)。これにより、3個のグリップバー26による更生管Rに対する固定ユニット2の固定を解除することができる。この後、固定ユニット2を、管口rが朝顔形状に拡径した更生管Rから引き出すことができる。
【0040】
このように、固定ユニット2を更生管Rの内部に挿入し、3個のグリップバー26をそれぞれ径大位置に移動させ、更生管Rの内周面に突き当てて固定ユニット2を固定した後、固定ユニット2に拡管金型31を装着するとともに、拡管金型31を加熱して更生管Rの管口rに押し付けるという簡単な作業によって、更生管Rの管口rを拡管金型31における金型本体33の拡径部33aに対応する形状に確実に拡管させることができる。
【0041】
これにより、マンホールMの構造などに影響されることなく更生管Rの内部に固定ユニット2を固定することができるとともに、更生管Rに固定された固定ユニット2を利用して拡管金型31を更生管Rの管口rに押し付けることができることから、マンホールMの構造などに関係なく更生管Rの管口rを簡単確実に拡管させることができる。
【0042】
なお、前述した実施形態においては、センタースクリュー21の周方向に120度の間隔をおいて3組の前グリップアーム24、後グリップアーム25およびグリップバー26を設けた場合を説明したが、2組以上であればよく、その数は限定されない。
【0043】
また、拡管金型31における金型本体33の拡径部33aとしては、朝顔形状に形成した場合を例示したが、各種ケーブルと更生管Rの管口r端縁部との接触を防止できるならば、突出方向に向かって拡径するように拡管できる任意の拡径部33aを採用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 管口拡管装置
2 固定ユニット
21 センタースクリュー
22 軸受部材
23 移動ナット
24 グリップバー
25 前グリップアーム
26 後グリップアーム
3 拡管治具
31 拡管金型
32 操作部材
33 金型本体
33a 拡径部
34 ガイド部材
35 ヒーター(面状発熱体)
36 ヒーターベース
37 センターボス
M マンホール
L 既設管
R 更生管
r 管口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管を更生する更生管を設定長さマンホール内に突出させた管口を拡管させる管口拡管装置であって、センタースクリューに周方向に間隔をおいて設けられ、径大位置と径小位置との間を移動可能な複数のグリップバーを備えた固定ユニットと、固定ユニットのセンタースクリューに着脱自在に装着され、更生管の管口を拡管する拡径部を有するとともに、ヒーターを介して加熱可能な拡管金型を備えた拡管治具とからなり、センタースクリューの回転によってグリップバーを径大位置に移動させて固定ユニットを更生管の内部に固定し、センタースクリューに装着された拡管金型を加熱して更生管の管口に押し付け、管口を拡径部に対応する形状に拡管させることを特徴とする更生管の管口拡管装置。
【請求項2】
請求項1記載の更生管の管口拡管装置において、前記固定ユニットが、雄ねじを有するセンタースクリューと、センタースクリューに回転自在に支持された軸受部材と、センタースクリューの雄ねじにねじ結合された移動ナットと、軸受部材に周方向に間隔をおいて基端部がそれぞれ回動自在に連結された複数の前グリップアームと、移動ナットに周方向に間隔をおいて基端部がそれぞれ回動自在に連結された複数の後グリップアームと、各前グリップアームの先端部および各後グリップアームの先端部がそれぞれ回動自在に連結された複数のグリップバーとからなり、各前グリップアームおよび各後グリップアームは同一の長さに形成され、また、対応する各前グリップアームおよび各後グリップアームが、それぞれセンタースクリューとのなす角度が90度未満の等角台形の脚を形成することを特徴とする更生管の管口拡管装置。
【請求項3】
請求項2記載の更生管の管口拡管装置において、前記各後グリップアームが、移動ナットおよび対応するグリップバーとの間に平行リンク機構を形成するように、前後に一組ずつ設けられることを特徴とする更生管の管口拡管装置。
【請求項4】
請求項1記載の更生管の管口拡管装置において、前記拡管金型が、拡径部を有するとともに、略円錐台状の中空部を有する金型本体と、更生管の内径に対応する外径を有して金型本体の前端面に一体に連結されたガイド部材と、金型本体の中空部に対応する略円錐台状に形成されて金型本体の中空部にセンターボスを介して一体に連結されたヒーターベースと、ヒーターベースの外周側円錐面に配設された面状発熱体とから構成され、ガイド部材、金型本体およびセンターボスの中心にセンタースクリューを挿通可能な挿通穴が形成されることを特徴とする更生管の管口拡管装置
【請求項5】
請求項4記載の更生管の管口拡管装置において、前記拡管金型が、センタースクリューにねじ結合された操作部材を介して更生管の管口に向けて押し出されることを特徴とする更生管の管口拡管装置。
【請求項6】
既設管を更生する更生管を設定長さマンホール内に突出させた管口を請求項1乃至5のいずれか1つに記載の管口拡管装置を用いて拡管する拡管方法であって、固定ユニットを更生管の内部に挿入するとともに、センタースクリューを回転させ、各グリップバーを径大位置に移動させて固定ユニットを更生管に固定した後、センタースクリューに拡管金型を装着し、ヒーターを介して設定温度に加熱した拡管金型を更生管の管口に押し付けて管口を拡径部に対応する形状に拡管させることを特徴とする管口拡管装置を用いた更生管の管口拡管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−122666(P2011−122666A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280828(P2009−280828)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】