説明

書込み型情報表示装置

【課題】タッチパネルを介して手書き書込みした情報を情報表示用パネルに表示することができ、メモ、アンダーライン等の手書きの情報をペン等の入力手段により情報表示用パネルに表示することができる書込み型情報表示装置を提供する。
【解決手段】表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネル2と、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネル3と、書込み情報表示用の駆動装置4と、を一体に構成した書込み型情報表示装置1において、タッチパネルを介して手書き書込みした情報を情報表示用パネルに表示するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルと、対向する位置検出電極からなるドットスペーサー方式のタッチパネルと、を一体に構成した情報表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−45518号公報
【0003】
図11は上述した構成の従来の情報表示装置の一例を説明するための図である。図11に示す例において、情報表示装置51は、画像等の情報を表示する情報表示用パネル52と、入力情報の位置を検出するタッチパネル53と、を一体に重ねて構成している。上述した情報表示装置51では、タッチパネル53から入力した位置情報に対応して情報表示用パネル52が表示する表示内容を書き換える機能を有していた。例えば、図12に示すように、情報表示装置51の情報表示面の「YES」または「NO」の文字を、位置指示器54で選択することで、選択した内容に応じて情報表示51の情報表示面の画面が書き変わる構成となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した情報表示装置51は、例えば銀行のATMのように、タッチパネル53からは位置情報を入力するだけであり、情報表示用パネル52の表示面に情報を書き込みそれを表示する機能を持っていなかった。そのため、従来の情報表示装置51では、メモ、アンダーライン、手書きの情報等をペン等の入力手段により情報表示用パネル52に表示したいとの要望に応えることができなかった。
【0005】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、タッチパネルを介して手書き書込みした情報を情報表示用パネルに表示することができ、メモ、アンダーライン等の手書きの情報をペン等の書込み手段により情報表示用パネルに表示することができる書込み型情報表示装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の書込み型情報表示装置は、表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置において、タッチパネルを介して書込みした情報を情報表示面に表示するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の書込み型情報表示装置の好適例としては、電磁授受方式タッチパネルと情報表示用パネルとを、情報表示用パネルが前面に、電磁授受方式のタッチパネルが背面に配置されるように積層一体に構成したこと、抵抗膜方式タッチパネルまたは静電容量方式タッチパネルまたはドットスペーサー方式タッチパネルと情報表示用パネルとを、抵抗膜方式タッチパネルまたは静電容量方式タッチパネルまたはドットスペーサー方式タッチパネルが前面に、情報表示用パネルが背面に配置されるように積層一体に構成したこと、タッチパネルと情報表示用パネルとを、並列一体に構成したこと、情報表示用パネルが、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、帯電粒子から構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルであること、タッチパネルが、位置検出機能を有し、検出した位置情報を情報表示用パネルの書込み表示用駆動装置に、検出位置対応画素への画像駆動情報として入力し、作動させるよう構成されたタッチパネルであること、リサイクルメモカード、電子黒板、部屋表示ボード、ポスター、掲示物、伝言板、行き先掲示板、のいずれかとして用いること、がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タッチパネルから与えられた位置情報を情報表示用パネルの駆動装置に検出位置対応画素への駆動情報として入力するよう構成したことで、タッチパネルを介して手書き書込みした情報を情報表示用パネルに表示するとができ、メモ、アンダーライン等の手書きの情報をペン等の書込み手段により情報表示用パネルに表示することができる書込み型情報表示装置を得ることができる。また、情報表示用パネルとして、表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルを用いることで、書込した情報(表示情報)を電源を切った状態で表示させておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1(a)、(b)および図2はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置の一例の構成を説明するための図である。図1(a)、(b)に示す例において、本発明の書込み型情報表示装置1は、表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネル2と、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネル3と、書込み情報表示用の駆動装置4と、を一体にして構成されている。図1(a)は駆動装置4を書込み型情報表示装置1に組み込んで構成した例を示し、図1(b)は駆動装置4を書込み型情報表示装置1とは別に構成した例を示す。そして、図2に示すように、書込み入力ペン5がタッチした位置の位置情報をタッチパネル3が検知し、情報表示用パネル2のタッチした位置に情報が書込まれ表示される。なお、図1(a)、(b)に示す例では、タッチパネル3を表示装置1の上面(表側)に積層したが、下面(裏側)に積層することもできる。裏側に配置するタッチパネル3の例としては、電磁授受方式のタッチパネルを好適に用いることができ、その場合は、書込み入力ペン5として電磁波を発信する電子ペンを用いる。以下、タッチパネル3および情報表示用パネル2について、詳細に説明する。
【0010】
<タッチパネル3について>
タッチパネル3としては、圧力方式、静電容量方式、電磁授受方式、光学結合方式、表面弾性波(超音波を含む)結合方式、ドットスペーサー方式などにより、入力手段としての書込み入力ペン5の位置を検出できるものを使用する。
【0011】
タッチパネル3の検出位置単位が単位画素となるように、表示装置の対向基板に配置する対電極の空間的な重なり部分と対応させることが好ましい。また、タッチパネル3に書込み入力ペン4のペン先が押し付けられた位置でスイッチがONとなり、対応する表示装置の電極に書換え電圧が印加されるよう構成することも好ましい。
【0012】
<帯電駆動型の情報表示用パネル2について>
帯電駆動型の情報表示用パネル2は、2色の表示媒体(それぞれ異なる帯電特性を有する2色の表示用有色粒子で構成される)を、少なくとも一方が透明な基板間のセル(隔壁で形成した)に封止した構造とすることが好ましい。
【0013】
帯電駆動型の情報表示用パネル2は、隔壁で形成するセルを3ピクセルに細分して、各ピクセルにそれぞれ異なる帯電特性を有する2色の表示用有色粒子で構成される2色の表示媒体(黒色表示媒体&赤色表示媒体、黒色表示媒体&緑色表示媒体、黒色表示媒体&青紫色表示媒体)を、少なくとも一方が透明な基板間のセル(隔壁で形成する)に封止した構造とすることもできる。
【0014】
帯電駆動型の情報表示用パネル2は、隔壁で形成するセルを3ピクセルに細分して、各ピクセルにそれぞれ異なる帯電特性を有する2色の表示用有色粒子で構成される2色の表示媒体(白色表示媒体&シアン色表示媒体、白色表示媒体&マゼンタ色表示媒体、白色表示媒体&イエロー色表示媒体)を、少なくとも一方が透明な基板間のセル(隔壁で形成する)に封止構造とすることもできる。
【0015】
表示媒体色を白黒の2色にして、セル毎に三原色のカラーフィルターを設けた場合にはカラー表示ができる。
【0016】
帯電駆動型の情報表示用パネル2を、1色の表示媒体(帯電特性を有する表示用有色粒子で構成される)を、少なくとも一方が透明な基板間のセル(隔壁で形成した)に封止し、表示装置の背面基板側に表示用有色粒子とは異なる色のカラー板を配置した構成とすることもできる。
【0017】
以下、本発明の書込み型情報表示装置において好適に用いられる情報表示用パネルの一例について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電位の切替による電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0019】
本発明の対象となる情報表示用パネルの例を、図3(a)、(b)に基づき説明する。図3(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体13(ここでは表示用白色粒子13Waの粒子群からなる白色表示媒体13Wと表示用黒色粒子13Baの粒子群からなる黒色表示媒体13Bを示す)を、基板11に設けた電極15と基板12に設けた電極16との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板11、12と垂直に移動させ、黒色表示媒体13Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体13Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図3(b)に示す例では、基板11、12との間に例えば格子状に隔壁14を設けセルを形成している。また、図3(b)において、手前にある隔壁は省略している。さらに、電極は基板の外側に設けても基板内部に埋め込むように設けてもよい。
【0020】
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体13Wを粉流体からなる白色媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体13Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。粉流体については後述する。また、表示媒体用粒子の色は白/黒に限らず、様々な色の組合せが可能である。
【0021】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0022】
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板12であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板11は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0023】
電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板12に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板11に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板11に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。また、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0024】
必要に応じて基板に設ける隔壁14については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板11、12の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図4に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0025】
次に、表示用有色粒子から構成される表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0026】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0027】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0028】
本発明の対象となる情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、小さな電界の力等でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
【0029】
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0030】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0031】
荷電制御剤(CCA)としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0032】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0033】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0034】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0035】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0036】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
上記した各種着色剤を配合して所望の色の表示用有色粒子を作製できる。
【0037】
また、表示用有色粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0038】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0039】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0040】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0041】
表示用有色粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示用有色粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示用有色粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0042】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0043】
更に、表示用有色粒子で構成する粒子群や粉流体等の表示媒体を本発明の対象となる情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図3(a)、(b)において、対向する基板11、基板12に挟まれる部分から、電極15、16(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体13の占有部分、隔壁14の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0044】
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0045】
<本発明の書込み型情報表示装置の用途について>
図5〜図10はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置の用途を説明するための図である。いずれの例においても、本発明の書込み型情報表示装置の特徴である、情報表示用パネルに情報をタッチパネルを介した入力で書込んだ情報を表示できる点、および、書込みした情報(表示情報)を電源を切った状態で表示させておける点、を利用している。
【0046】
図5(a)〜(c)はそれぞれリサイクルメモカードとしての用途を説明するための図である。図5(a)〜(c)に示す例において、21は本発明の書込み型情報表示装置から構成されるメモカード、22は表示面、23は書込みペン、24は書込み時駆動用装置である。まず、図5(a)に示すようにして、書込み時駆動用装置24にメモカード21を接続して、表示面22に書込みペン23により書込みを行う。図5(b)は表示面22に書込み終了後の様子を示す。そして、図5(c)に示すように、書込み時駆動用装置24からメモカード21を外して、書込み済みのメモカード21を移動して使用することが可能となる。
【0047】
図6は電子黒板(ホワイトボード)としての用途を説明するための図である。図6に示す例において、電子黒板25を本発明の書込み型情報表示装置から構成することで、電子黒板25の表示面26に書込みペン27により文字などを書き込むことができる。
【0048】
図7(a)〜(c)はそれぞれ部屋表示ボードとしての用途を説明するための図である。図7(a)〜(c)に示す例において、28は本発明の書込み型情報表示装置から構成される部屋表示ボード、29は表示面、30は書込みペン、31は書込み時駆動用装置である。まず、図7(a)に示すようにして、書込み時駆動用装置31に部屋表示ボード28を接続して、表示面29に書込みペン30により書込みを行う。図7(b)は表示面29に書込み終了後の様子を示す。そして、図7(c)に示すように、書込み時駆動用装置31から部屋表示ボード28を外して、書込み済みの部屋表示ボード28を移動して使用することが可能となる。
【0049】
図8(a)、(b)はそれぞれポスター(掲示物)としての用途を説明するための図である。図8(a)、(b)に示す例において、32は本発明の書込み型情報表示装置から構成されるポスター、33は表示面、34は書込み時駆動用装置である。まず、図8(a)に示すように、書込み時駆動用装置34にポスター32を接続して、表示面33に書込みペン35で書き込むを行う。そして、図8(b)に示すように、情報を書き込んだポスター32を書込み時駆動用装置34から取り外し、掲示ボードなどに掲示する。
【0050】
図9は伝言板としての用途を説明するための図である。図9に示す例において、電子伝言板36を複数の伝言表示領域37から構成している。そして、各伝言表示領域37を1枚の本発明の書込み型情報表示装置から構成することで、伝言表示領域37の表示面38に書込みペン39により文字などを書き込むことができる。
【0051】
図10は行き先掲示板としての用途を説明するための図である。図10に示す例において、電子行き先掲示板40を本発明の書込み型情報表示装置から構成することで、電子行き先掲示板40の表示面41の所定の位置に、書込みペン42により文字などを書き込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の書込み型情報表示装置は、タッチパネルを介して手書き書き込みした情報を情報表示用パネルに表示することができ、メモ、アンダーライン等の手書きの情報をペン等の入力手段により情報表示用パネルに表示することができるため、リサイクルメモカード、電子黒板、部屋表示ボード、ポスター、掲示物、伝言板、行き先掲示板、のいずれかとして好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の書込み型情報表示装置の一例の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の書込み型情報表示装置の動作を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置に好適に用いられる情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図4】本発明の書込み型情報表示装置に好適に用いられる情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置の用途の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の書込み型情報表示装置の用途の他の例を説明するための図である。
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置の用途のさらに他の例を説明するための図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ本発明の書込み型情報表示装置の用途のさらに他の例を説明するための図である。
【図9】本発明の書込み型情報表示装置の用途のさらに他の例を説明するための図である。
【図10】本発明の書込み型情報表示装置の用途のさらに他の例を説明するための図である。
【図11】従来の情報表示装置における問題点を説明するための図である。
【図12】従来の情報表示装置における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1 書込み型情報表示装置
2 情報表示用パネル
3 タッチパネル
4 制御装置
5 書込み入力ペン
11、12 基板
13 表示媒体(粒子群、粉流体)
13W 白色表示媒体
13Wa 表示用白色粒子
13B 黒色表示媒体
13Ba 表示用黒色粒子
14 隔壁
15、16 電極
21 メモカード
22、26、29、33、38、41 表示面
23、27、30、35、39、42 書込みペン
24、31、34 書込み時駆動用装置
25 電子黒板
28 部屋表示ボード
32 ポスター
36 電子伝言板
37 伝言表示領域
40 電子行き先掲示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置において、タッチパネルを介して書込みした情報を情報表示面に表示するよう構成されたことを特徴とする書込み型情報表示装置。
【請求項2】
表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置において、電磁授受方式タッチパネルと情報表示用パネルとを、情報表示用パネルが前面に、電磁授受方式のタッチパネルが背面に配置されるように積層一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の書込み型情報表示装置。
【請求項3】
表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置において、抵抗膜方式タッチパネルまたは静電容量方式タッチパネルまたはドットスペーサー方式タッチパネルと情報表示用パネルとを、抵抗膜方式タッチパネルまたは静電容量方式タッチパネルまたはドットスペーサー方式タッチパネルが前面に、情報表示用パネルが背面に配置されるように積層一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の書込み型情報表示装置。
【請求項4】
表示メモリー性を有する帯電駆動型の情報表示用パネルと、タッチ式位置検出機能を有するタッチパネルと、書込み情報表示用駆動装置と、を一体に構成した書込み型情報表示装置において、タッチパネルと情報表示用パネルとを、並列一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の書込み型情報表示装置。
【請求項5】
情報表示用パネルが、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、帯電粒子から構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の書込み型情報表示装置。
【請求項6】
タッチパネルが、位置検出機能を有し、検出した位置情報を情報表示用パネルの書込み表示用駆動装置に、検出位置対応画素への画像駆動情報として入力し、作動させるよう構成されたタッチパネルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の書込み型情報表示装置。
【請求項7】
リサイクルメモカード、電子黒板、部屋表示ボード、ポスター、掲示物、伝言板、行き先掲示板、のいずれかとして用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の書込み型情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−226534(P2007−226534A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46782(P2006−46782)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】