説明

月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物

【課題】 本発明は、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療に有用な組成物を提供する。
【解決手段】 黒酢を含有することを特徴とする、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
月経前症候群(Premenstrual Syndrome;PMSともいう)は、月経(生理)の1週間程前(黄体期)に発症する身体的症状群又は精神的症状群を意味するもので、医学的には例えば「月経開始の3〜10日前から始まる身体的、精神的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの」(日本産科婦人科学会、1990による)などと定義されている。このPMSは、月経前緊張症(Premenstrual Tension)とか、医療ではなくセルフケアの対象とすべきという意見から月経前体験(Premenstrual Experience)とか、様々に表現されている。
PMSや月経中症状など月経隋伴症状を有する閉経前の女性の数は非常に多く、症状の重さの違いはあるが、閉経前の女性の過半数以上が何らかの症状を有しているものと考えられている。その上、重度の患者になると日常生活そのものにも支障をきたし、職場、家族、友人関係などにおいて潜在的な対人関係悪化の原因ともなり得、さらには犯罪との関与も考えられる。また、女性の社会への進出が益々増加する中で、女性の労働生産性とPMSとの関係を指摘する学者もいる。
こうした状況の中では、症状を緩和、軽減して、女性のQOL(Quality of Life)を向上させることは、大きな社会的課題というべきである。
【0003】
一方、黒酢は、米や大麦から醸造される酢の一種で、発酵又は熟成によって褐色又は黒褐色などに着色されたものである。黒酢は、食品以外に皮膚外用剤(特許文献1)、健康食品(特許文献2)、又は抗癌剤(特許文献3)としての利用が知られている。
【特許文献1】特開2004−217584号公報
【特許文献2】特開2004−166616号公報
【特許文献3】特開2003−342188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、黒酢の薬理作用を研究する過程で知見を得たものであり、黒酢を利用した月経痛及び月経前症候群の症状の予防及び治療に有用な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、黒酢が月経痛及び月経前症候群の症状を改善することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、黒酢を含有することを特徴とする、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は、月経痛を軽減する効果、及び月経前症候群の症状を改善する効果を有する。特に、黒酢は食品として長年利用されてきたものであり、安全性が高く長期間服用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で使用される黒酢は、デンプン質原料から醸造された、発酵又は熟成によって褐色又は黒褐色などに着色された酢;又はこの着色された酢を、特開2006-042807号公報に記載された方法などにより、脱色し透明化した酢若しくは色を薄めた酢である。
本発明では、米黒酢又は大麦黒酢が使用できる。米黒酢として、デンプン質原料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いたものを除く)若しくは玄米、又はこれに小麦若しくは大麦を加えたものみを使用し、かつ米若しくは玄米の使用量が穀物酢1Lあたり180g以上である米黒酢若しくは玄米黒酢が好適に使用できる。大麦黒酢として、デンプン質原料として大麦のみを使用し、かつ大麦の使用量が穀物酢1Lあたり180g以上である大麦黒酢が好適に使用できる。特に、鹿児島県福山町で製造される壷酢と呼ばれる黒酢が好適に使用できる。
【0008】
上記黒酢の製造に使用されるデンプン質原料は、デンプン質を含有していれば特に制限されず、例えば、うるち米及びもち米などの米、大麦などの穀類、麦胚芽、もろみ、ならびにこれらデンプン質原料の加工品、例えば酒粕などである。本発明の黒酢を製造するために、これらデンプン質原料を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
上記の穀類は、精白せずに、例えば玄米若しくは玄麦などとして、又は精白して、精白米若しくは精白麦などとして、使用することができる。精白度は特に制限されず、ぬか層が一部残っていてもよく、全部除かれていてもよい。また、ぬか層は全部除かれても胚芽は残っていもの、例えば胚芽精米なども使用できる。
さらに、本発明では、デンプン質原料は蒸したものが好ましい。
本発明では、月経痛や月経前症候群の症状を良好に軽減できる黒酢が得られる点から、米又は大麦、特に玄米、とりわけ蒸した玄米が好ましい。
【0009】
前記の米としては、イネ(Oryza sativa L.(Gramineae))の種子の他、アフリカイネ(O. glaberrima Steud.)などの同属植物の種子を用いることもでき、品種、産地、栽培方法などは特定されない。また、米をデンプン質原料として使用した場合は、米に、大麦、小麦、ヒエ、アワ、キビ、大豆、大豆、及び/又はたね酢などを、好ましくは小麦若しくは大麦などを混合させて、本発明の黒酢を製造してもよい。
【0010】
本発明の黒酢を製造する際のデンプン質原料の使用量は、特に制限されないが、得られる黒酢1Lあたり180g以上使用するのが好ましい。
【0011】
本発明で使用される黒酢は慣用の方法で製造される。例えば、デンプン質原料を、糖化・アルコール発酵・酢酸発酵・熟成させることで、本発明の黒酢を製造することができる。
上記の糖化では、例えば、麹、麹菌、麦芽、又は糖化酵素によって、デンプン質原料中のデンプンを糖化させる。麹には麹菌の他、乳酸菌が付着しているが、この乳酸菌が生成する乳酸が不要で有害な微生物の汚染防止に役立つことから、麹を使用するのが好ましい。
上記のアルコール発酵では、例えば、酵母によって、糖をアルコール発酵させることができる。酵母はSaccharomyces属に属する微生物であれば特に制限されず、パン酵母、アルコール酵母、清酒酵母、ビール酵母、ブドウ酵母が例示され、アルコール酵母や清酒酵母が好適に使用される。
上記の酢酸発酵工程では、例えば酢酸菌によって、アルコールを酢酸発酵させることができる。酢酸発酵は、通常、静置発酵法又は深部発酵法で行うが、月経痛や月経前症候群の症状を良好に軽減できる黒酢が得られる点から、静置発酵法で行うのが好ましい。
上記の各工程は、別々の容器で独立して行ってもよいが、同一容器中で連続して行うのが好ましい。例えば、同一容器中で上記の糖化及びアルコール発酵の各工程を連続的に行ってもよいし、同一容器中で糖化、アルコール発酵、酢酸発酵、及び熟成の各工程を連続的に行ってもよい。
また、上記の糖化、アルコール発酵、酢酸発酵、及び熟成の各工程は、屋外の環境に置かれた容器中で行うのが好ましい。
なお、これら工程の要する期間は、得られる黒酢が褐色又は黒褐色などに着色するのに十分な期間であれば特に制限されず、通常、上記各工程を合わせた期間として、発酵開始から6カ月、好ましくは1年、より好ましくは3年間である。
【0012】
本発明で使用される黒酢は、例えば、以下のようにして製造されてもよい。
最初に仕込み混合を行う。先ず、穀類を脱穀し洗浄して、水に浸漬させる。次いで、蒸煮させ、冷却して、蒸した穀類を得る。次に、米麹などの麹と、上記の蒸した穀類と、水とを、好ましくはこの順序で、同一の醸造用容器、好ましくは陶器製壺、より好ましくはいわゆる薩摩焼の壷中へ仕込んでいく。各原料の仕込み量は、当業者によって適宜調整され得るが、一般的には水100重量部に対して麹5〜20重量部、穀類15〜50重量部である。また、麹を仕込む前に、容器の中へ種酢を予め仕込んでおき、その上に麹を仕込んでもよい。上記各原料を仕込んだ後に、さらに麹で水面が完全に覆われるまで麹を添加して仕込み混合を行ってもよい。
次に、この醸造用容器を屋外に静置させる。この屋外に置いておく間、壺の中で麹菌による糖化作用、酵母によるアルコール発酵、及び酢酸菌による酢酸発酵が進行し、各種の有用な成分が生成させてくる。通常、麹菌以外の菌類の添加は必要ではない。これは上記醸造用容器、特に陶器製容器には酵母・酢酸菌が住み着いているからである。もっとも、適宜、酵母若しくは酢酸菌又は乳酸菌など必要な菌を仕込みの段階で添加してもよい。これら菌は、気候、太陽熱、地熱を利用して、自然に糖化・発酵を行っていくことができる。この製造法により得られる黒酢は、成分として、水分、アミノ酸、酢酸等の有機酸、蛋白質、炭水化物、脂肪を中心にカリウム、カルシウム等のミネラル類、ビタミンB1、B2等のビタミン類を含み、特に必須アミノ酸をバランスよく含んでいる。
【0013】
黒酢は、通常液体として得られるが、これを濃縮して得た濃縮液、さらに乾燥させた固形物を黒酢として使用してもよい。濃縮液として、黒酢5mlを0.25mlまでに濃縮するなどした20倍濃縮液が好ましい。
黒酢の濃縮や乾燥方法としては、膜濃縮法、減圧濃縮法、常圧加熱濃縮法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などの公知の方法がある。また、例えば、黒酢にデキストリン類や米粉を添加した後、乾燥処理して製造される乾燥物を使用してもよい。
さらに、本発明では、黒酢として、黒酢の抽出成分を使用してもよい。あるいは、これらの抽出成分を、常法によって乾燥させて得た固形物を黒酢として使用してもよい。
【0014】
本発明の組成物は、黒酢以外に、他の成分、例えば月経痛又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療に有用な物質などを含んでいてもよい。例えば、イソフラボン、ビタミンE、鉄、カルシウムであり、好ましくはヘム鉄、カルシウム、特に卵殻カルシウムである。
【0015】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限り、添加剤、例えば、賦形剤、甘味料、酸味料、増粘剤、香料、色素、又は乳化剤などを含有してもよい。
【0016】
本発明に係る組成物は、食品として、特に健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品として使用することができる。これら食品は、例えばお茶、ジュースといった飲料水;ゼリー、あめ、チョコレート、チューインガムなどの形態であってもよい。また、本発明に係る食品は、栄養補助食品(サプリメント)として、液剤、粉剤、粒剤、カプセル剤、錠剤の形で製造されてもよい。
【0017】
また、本発明に係る組成物は、医薬としても使用することができる。これら医薬は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬若しくは軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、又は懸濁剤の形態で経口投与することができるが、例えば坐剤の形態で直腸内に;例えば軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤又は液剤の形態で局部又は経皮的に;例えば注射剤又は輸液の形態で非経口的に;点鼻薬の形態で鼻腔内に投与することもできる。
【0018】
本発明に係る組成物の摂取量は、特に制限されないが、投与経路、月経痛や月経前症候群の症状の程度、剤型、並びに摂取者の年齢、体重、及び症状に応じて、適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物を摂取する場合には、体重60kgの成人1日当たり有効成分量として黒酢を0.5〜100ml、好ましくは5〜30mlを摂取する(黒酢が濃縮状態若しくは粉末状態又は抽出物の場合は、上記に相当する量を摂取する)ことが、月経痛や月経前症候群の症状の良好な改善効果を得る上で望ましい。また、摂取期間は、摂取者の年齢、症状に応じて任意に定めることができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を、実施例によってさらに詳細に説明する。本発明は、実施例によって限定されるものではない。また、実施例では%は特に規定されていない限り重量%を意味する。
【0020】
1.試験食品
市販の黒酢含有ソフトカプセル剤(商品名「伝統黒酢かめ吉」、株式会社健康家族製)を試験食品として使用した。試験食品の内容は以下のとおりである
【0021】
【表1】

【0022】
2.被験者
下記の選択基準を全て満たす者を被験者とした。但し、下記の除外基準のいずれかに該当する者は被験者から除外した。
選択基準:
ア)年齢20歳以上40歳未満の女性
イ)普段から月経痛を感じている者
ウ)ほぼ定期的に月経のある者
除外基準:
ア)月経痛の軽減に作用のある健康食品又は医薬品を常用している者
イ)糖尿病、重度の高脂血症、及び著明な肝機能障害の罹患暦がある者
ウ)普段の生活が不規則な者
エ)試験期間中に妊娠、授乳の予定がある者
オ)重篤な疾患既往歴がある者
カ)心肺機能に顕著な障害がある者
キ)食物及び薬剤アレルギーのある者
ク)本試験開始時に他の臨床試験に参加している者
ケ)その他、試験担当医師が不適当と判断した者
【0023】
3.検査項目
(1)体調調査・計測
被験者への聞き取りなどで、自他覚症状を確認した。また、体重、血圧、及び脈拍数も計測した。
(2)生活習慣アンケート
痛みの程度及び発症時期、月経痛用医薬品の使用の有無、名称、使用開始時期、及び使用頻度、ならびに生理の周期について回答させた。上記の被験者の選択の参考にした。
(3)症状の評価
ア 月経痛強度
生理開始1週間前から開始後2日の間に感じた痛み及び不快感の程度についてVAS法に従い評価させた。10cmの直線の左端を「なし」、右端を「耐え切れない」として、該当する箇所にまっすぐ交差するように被験者に線を引かせ、左端から被験者が記録した線の左端までの距離(2回測定した平均値)で数値化し、この数値が低下した場合に、改善したと評価した。尚、記録用紙は都度回収して、被験者が前回記録した内容と比較することのないように配慮した。
イ 不定愁訴症状
生理開始1週間前から開始後2日の間に感じた気分について、POMS(日本語版、Profile of Mood States)を用いて、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「疲労」、「混乱」の6つの尺度で評価した。「活気」は数値が上昇した場合に、その他は数値が低下した場合に、改善したと評価した。尚、記録用紙は都度回収して、被験者が前回記録した内容と比較することのないように配慮した。
ウ 出血量
生理時の出血量は定量が困難であるため、PBLAC(月経量測定チャート:Pictorial Blood Loss Assessment Chart)を用いてスコア化して評価した。生理用品への血液の付着感を3最階(少ない、中くらい、一面に付着)の図に合わせて記録させ、使用した生理用品のサイズも記録させた。血液の付着感は既存のPBLACを用いた文献に従って、少ない:1点、中くらい:5点、一面に付着:ナプキンは20点・タンポンは10点を係数としてスコア化した。使用した生理用品のサイズは、生理用品の吸水量に関する文献を参考として、昼用(昼夜兼用、ライナー含む):1点、夜用(スーパーサイズ含む):2点を係数としてスコア化した。
(4)日誌
試験食品の摂取期間中、胃腸症状、試験食品摂取の確認、自覚症状、医薬品の服薬状況などについて、被験者に日誌をつけさせた。
【0024】
4.試験スケジュール
先ず、試験開始前に前記の被験者を来院させて、生活習慣アンケート、体調調査・計測、及び月経前症候群の症状を評価させた。
その後、被験者に、試験食品を、1日1回3カプセル、12週間連続して摂取させた。
そして、摂取期間中に月経前症候群の症状を評価させた。すなわち、生理開始予定日の1週間前に月経痛強度及び不定愁訴症状を評価させ、生理開始日から2日の間にも月経痛強度及び不定愁訴症状を再度評価させた。出血量は生理期間中に評価させた。
また、摂取期間中における生理開始から1週間程度の時期に体調調査も行った。
摂取期間終了後に、体調調査・計測を行った。
【0025】
5.試験結果
試験結果を以下に示す。なお、試験食品摂取前を「摂取前」、摂取後1回目の生理周期(摂取後約4週)を「1回目」と、2回目の生理周期(摂取後約8週)を「2回目」と、3回目の生理周期(摂取後約12週)を「3回目」と、摂取期間終了後を「摂取後」と、それぞれ略記した。
(1)被験者の背景
月経痛の自覚症状のある女性12名(29.5±4.8歳)の被験者が試験に参加した。全ての被験者で試験食品摂取率は75%以上であり、また中途で脱落・中止した者はいなかった。
これら被験者の背景を表2に示す。体重、血圧、及び脈拍数について、摂取後の値に摂取前からの変化はみられなかった。
【0026】
【表2】

【0027】
(2)生理期間、月経痛ありの日数
1回目、2回目及び3回目の生理期間中の日数及びその期間中に月経痛の発現した日数を摂取前と比較したところ、月経痛の発現した日数に低下が認められた(表3)。
【0028】
【表3】

【0029】
(3)生理開始1週間前から開始までの期間における月経前症候群の症状の改善評価
生理日始1週間前から開始までの期間(黄体期後期)は、月経前症候群(PMS)が起こりやすいといわれている。この時期における月経前症候群の症状の改善を評価した。
【0030】
ア 月経痛強度
生理開始1週間前から開始後2日の間に感じた痛み及び不快感の程度について、VASで評価し、結果を表4に示した。
痛みは、1回目、2回目、及び3回目で、摂取前から低下し、低下量は各時点で摂取前より有意であった。不快感は、1回目、2回目、及び3回目で、摂取前から低下し、特に低下量は2回目及び3回目で摂取前より有意であった。
【0031】
【表4】

【0032】
イ 不定愁訴症状の程度
生理開始1週間前から開始後2日の間に感じた気分について、POMSで評価し、結果を表5に示した。
「疲労」は1回目、2回目、及び3回目で、摂取前から低下し、特に、低下量は2回目で摂取前より有意であった。その他の尺度でも一部で低下がみられた。
【0033】
【表5】

【0034】
ウ 生理期間中の出血量の評価
出血量の変化はみられなかった。
【0035】
(5)生理開始予定日の1〜2週間前の期間における月経前症候群の症状の改善評価
生理開始予定日の1〜2週間前の期間(黄体期前期)は、比較的心身状態が良好な卵胞期が終わり、月経前症候群(PMS)が起こり始める時期といわれている。この時期における月経前症候群の症状の改善を評価した。但し、実際の生理開始時期は予定日から前後する場合があった。
【0036】
ア 月経痛強度
生理開始予定日の1〜2週間前に感じた痛み及び不快感の程度について、VASで評価し、結果を表7に示した。
痛みは1回目、2回目、及び3回目で、摂政前から低下し、特に低下量は3回目で摂取前より有意であった。不快感は1回目、2回目、及び3回目で、摂取前から低下し、特に低下量は3回目で摂取前より有意であった。
【0037】
【表6】

【0038】
イ 不定愁訴症状
生理開始予定日の1〜2週間前に感じた気分について、POMSで評価し、結果を表8に示した。
「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「混乱」はそれぞれ摂食前より一部で低下がみられ、特に3回目では低下量は摂取前より有意であった。また、「疲労」は1回目、2回目、及び3回目で、摂取前から低下し、低下量は各時点で摂取前より有意であった。「活気」は、摂食前より上昇が見られた。
【0039】
【表7】

【0040】
(6)有害事象(別途、病院からの症例報告書を提示)
被験者から、摂取期間中も主に月経痛に関連のある自覚症状が報告されたが、試験食品との関連が疑われる事象はなかった。
【0041】
6.まとめ
月経痛を含めた月経前の症状が、試験食品の摂取によって、摂取前より有意に改善された。生理期間及び生理中の出血量の悪化はなく、試験食品との関連が疑われる有害事象もみられなかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物を得ることができる。
本発明の組成物は、医薬品、あるいは健康食品、健康補助食品、特定保健用食品又は栄養補助食品などの食品に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒酢を含有することを特徴とする、月経痛及び/又は月経前症候群の症状の予防及び/又は治療用組成物。
【請求項2】
黒酢が玄米黒酢である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
黒酢が、屋外に置かれた同一容器内において、テンプン質原料から糖化・アルコール発酵・酢酸発酵・熟成の各工程を連続的に行う静置発酵法により製造されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
食品である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
医薬である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。

【公開番号】特開2008−19181(P2008−19181A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190369(P2006−190369)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(398013554)株式会社健康家族 (9)
【Fターム(参考)】