説明

有価文書を検査するための装置及び方法

発光性有価文書(BN)、特に銀行券を発光光センサ(12)によって検査するための、検査されるべき有価文書を照射して発光を励起し、有価文書からの発光光をスペクトル分解によって検出する、方法及び装置(1)。
搬送方向(T)に搬送されて発光光センサ(12)を通過する検査されるべき有価文書(BN)は搬送方向(T)に広がる照明領域(35)で照射されるから、極めて僅かにしか発光しない有価文書であっても有効な測定が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価文書が光で照射され、有価文書の発光光がスペクトル分解により検出される、特に有価文書を発光光で検査するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような発光性有価文書には、例えば、銀行券、小切手、クーポン券またはICカードがあり得る。本発明は主に銀行券の検査を扱うが、これには限定されない。銀行券は一般に、紙または印刷インクに、発光特性を有する、例えば蛍光または燐光を発する、特性物質または複数の特性物質の混合物を含有する。
【0003】
そのような有価文書の真正性を検査するための多くの既知のシステムがある。1つのシステムが例えば特許文献1によって知られている。このシステムにおいては、銀行券の真正性を検査するため、すなわち、発光特性物質が、検査される銀行券に実際に存在するか否かを特に検査するため、銀行券が斜め方向から照射され、垂直方向に発っせられた蛍光が干渉フィルタを用いたスペクトル分解により検出される。スペクトロメータの別々の光電セルからの信号を比較することによって評価がなされる。
【0004】
このシステムはほとんどの場合に極めて確実に作動する。しかし、構造がより小型であり、しかも検出されるべき発光光の強度が非常に低くとも十分確実に検査できる発光光センサが必要とされている。
【特許文献1】独国特許発明第2366274C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、小型の発光光センサによる確実な検査が可能となる、発光性有価文書の検査のための装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は独立特許請求項によって解決される。従属特許請求項及び以下の記述は好ましい実施形態を説明する。
【0007】
搬送方向に搬送されて発光光センサを通過する検査されるべき有価文書は搬送方向に広がる照明領域で照明されるから、極めてわずかにしか発光しない有価文書を有効に測定することも可能である。これにより、特に燐光の測定が実質的に改善される。
【0008】
従属特許請求項及び以下の説明で述べられる実施形態の特徴は、組み合わせて、または互いに、また主特許請求項の主題とは独立に、例えば、搬送方向に広がる照明領域を形成しないかまたは発光光以外の光の測定を実施する装置においても有益に用いられ得ることを特に強調しておく。
【0009】
本発明のさらなる利点は以下で、例として、添付図面を参照してより綿密に説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の装置は光学的放射光、特に発光光を検査するための全ての種類の装置に用いることができる。以下の説明は、例えば銀行券の計数及び/または仕分及び/または入金及び/または払出のために用いることができる銀行券処理装置において、銀行券を検査するための好ましい実施形態に関してなされるが、本発明はこれには限定されない。
【0011】
図1はそのような銀行券仕分機1を例示的態様で示す。銀行券仕分機1は、ハウジング2及び、処理されるべき銀行券BNを外部から人手で供給することができ、あるいは銀行券の束を、必要に応じて帯封を外した後に、自動的に供給することができる、銀行券BNのための投入ポケット3を有する。投入ポケット3に供給された銀行券BNは枚葉抜取機4によってスタックから1枚ずつ抜き取られ、搬送機5によりセンサ装置6を通して搬送される。センサ装置6は、共通のハウジング内に一括して収められているかまたは個別のハウジングに搭載された1つまたはそれより多くのセンサモジュールを有することができる。センサモジュールは、例えば検査される銀行券BNの真正性及び/または状態及び/または額面の検査のために、用いることができる。検査される銀行券BNは、センサ装置6を通り過ぎた後、次いでセンサ装置6の検査結果及び与えられた仕分規準に依存して仕分けされ、ゲート7及び対応するスパイラルスロットスタッカー8を通して排出されて取出ポケット9に入れられる。銀行券BNは、そこから、人手で取り出されるかあるいは、必要に応じて帯封をかけるかまたは包装した後に、自動的に搬出される。正規であるがもはや流通には適していないと分類された銀行券BNを破棄するために、シュレッダー10を備えることもできる。銀行券仕分機1の制御はコンピュータ支援制御ユニット11によって行われる。
【0012】
上述したように、センサ装置6は複数のセンサモジュール12を有することができる。センサ装置6の特徴は特に、発光光を検査するための、以降略して発光光センサ12と称される、センサモジュール12である。図2は、本発明の実施形態にしたがう、特に小型に設計された、発光光センサ12の光コンポーネントの内部構造及び配置を簡略な断面図で示す。図3はさらに、発光光センサ12の内部に配置された光コンポーネントの一部の上面図を示す。発光光センサ12は構造が特に小型であり、信号対雑音比に関して最適化されている。
【0013】
発光光センサ12は特に、発光を励起するための1つまたはそれより多くの光源14及び発光光のスペクトル分解検出のための検出器30,好ましくはスペクトロメータ30のいずれをも共通のハウジング13内に有する。ハウジング13は、ハウジング13を破損せずにはハウジング13内に収められたコンポーネントへの不正アクセスができないような態様で封止される。
【0014】
光源14は、例えばLEDとすることができるが、レーザダイオード14などのレーザ光源が好ましい。レーザダイオード14は1つまたはそれより多くの相異なる波長または波長範囲で発光することができる。複数の相異なる波長または波長範囲が用いられる場合、同じ光源ハウジングまたは個別光源ハウジング、すなわち個別光源モジュールが、横並びに配置され、好ましくは銀行券BN上の同じ場所または隣接する場所の上に投射され得る平行光線を発することが好ましい、相異なる波長または波長範囲に対する複数の光源14を収める形態を備えることもできる。
【0015】
光源14が複数の相異なる波長または波長範囲で発光できる場合、個々の波長または波長範囲を選択的に利用できる形態を備えることができる。
【0016】
別の実施形態を後に図4を参照して説明する。
【0017】
レーザダイオード14から発する光は、結像光学系15,16,17によって検査されるべき銀行券上に照射される。結像光学系は、コリメータレンズ15,レーザダイオード14から発してコリメータレンズ15により整形されたレーザビームを90°偏向させる、ビームスプリッタ16,特にダイクロイックビームスプリッタ16としての偏向ミラー及び、偏向されたレーザビームを搬送システム5によって方向Tに搬送されて通過する検査されるべき銀行券BN上に好ましくは垂直に前面ガラス18を通して結像させ、よって銀行券BNを励起して発光させる、大ビーム広がり角をもつコンデンサレンズ17を有する。
【0018】
次いで、スペクトロメータ30を用いて、照射された銀行券BNからの発光光が好ましくは同じく垂直に、すなわち励起光と同軸で、検出される。これにより、例えば特許文献1にしたがう、斜め入射の場合よりも、測定時の搬送される銀行券BNの方位余裕が大きくなって干渉感度が低くなる。
【0019】
発光光を光電検出器ユニット21上に結像させるための光学系は同様に、前面ガラス18,コンデンサレンズ17及び測定されるべき発光光に対して少なくともある程度透明なミラー16を有する。さらに、光学系は続いて、大開口の別のコンデンサレンズ19,後続の、光源14の照明波長及び測定されるべきではないその他の波長を遮断するように設計されたフィルタ20及び偏向ミラー23を有する。偏向ミラー23は、ビーム経路を折り返し、測定されるべき発光光を結像グレーティング24またはスペクトル分解のための別のデバイス24上に偏向させるようにはたらく。偏向ミラーは、構造を可能な限り小型にするために、スペクトロメータの焦平面に平行またはほとんど平行(角度<15°)に取り付けられることが有利である。結像グレーティング24は、検出器ユニット21上に1次または−1次の発光光を結像させることが好ましい、凹面鏡26を含む波長分散素子を有する。しかし、より高次の光も結像させることができる。検出器ユニット21は、例として、例えば図6または7を参照して以降で説明されるように、列配置された複数の光電ピクセル、すなわち像点を有する検出器列22を有することが好ましい。
【0020】
図2において、スペクトロメータ30の入射スリットには参照符号ASが付されている。入射スリットASはビーム経路における開口ASの形態でハウジング13に設けることができる。しかし、この点に開口を設けず、銀行券BN上の光源14の照明走路によって与えられる「仮想」入射スリットASだけとすることも可能である。後者の実施形態では、得られる光強度が高くなるが、周囲光または散乱光に対する感度も高くなる、望ましくない結果になり得る。
【0021】
別の実施形態において、偏向ミラー23は入射スリットASが偏向ミラー23の領域にくるように結像グレーティング24に対して配置される。これによって、偏向されるべき光の偏向ミラー上のビーム断面積が特に小さくなるから、偏向ミラー23自体の寸法も特に小さくすることができる。偏向ミラー23が検出器ユニット21のコンポーネントであれば、偏向ミラー23を、図2にしたがう、検出器ユニット21の光電領域の上方だけでなく、その側方にも取り付けることができる。
【0022】
発光光を励起するための光源14が検査されるべき銀行券BN上で搬送方向Tに延びる細長照明領域35を形成することが本発明の独特のアイデアである。
【0023】
この実施形態には、搬送されて発光光センサ12を通過している間に、搬送方向に延びている照明領域によって、通常は極めて低濃度でしか銀行券BNに存在しない発光性の、特に燐光性の、特性物質がより長時間励起され、よって持続性の燐光性特性物質の光放射強度が特に高められるという利点がある。
【0024】
図5は関連するある瞬間の図を示す。搬送方向Tに広がる細長照明領域35は、照明光が、搬送方向Tに垂直な方向よりも搬送方向Tにかなり長い任意の形態の、特に矩形走路の形態の銀行券上の領域を所定の瞬間に照射することを意味すると理解することができる。好ましくは、搬送方向Tでの照明領域35の広がりは、搬送方向Tに垂直な方向への広がりの少なくとも2倍であり、特に好ましくは少なくとも3倍、4倍または5倍であろう。
【0025】
図5は同様に、像領域36,すなわちスペクトロメータ30の入射ひとみ36,すなわち所定の瞬間に入射スリットASの寸法にしたがってスペクトロメータ30上に結像される銀行券BNの領域を、異なるハッチングで示す。スペクトロメータ30の入射ひとみ36の長さ及び幅が、レーザダイオード14の照明領域35の対応する寸法より小さいことが好ましくことが認められる。これにより、個々のセンサコンポーネントに対してより大きな位置合せの余裕が得られる。
【0026】
さらに、図5の瞬間図は照明領域35が、像領域36に比較して、搬送方向Tに垂直な側よりも搬送方向Tに沿う側に実質的に大きく延びている場合を示す。これは高められた励起効果の利用に特に有利である。しかし、代りに、照明領域35と像領域36が搬送方向Tにおいて一部しか重なり合わない形態を備えることもできる。ただし、像領域36が対称に、すなわち照明領域35の中央に配置されれば、銀行券BNが図示される搬送方向Tに搬送される装置1及び銀行券BNがTとは逆の方向に搬送される装置1のいずれにおいても、銀行券BNに発光光センサ6を通過させることができる。
【0027】
本発明の別の独特のアイデアにしたがえば、発光光、特にスペクトル分解のためのデバイス24,例えば結像グレーティング24からくる発光光を検出するために、独立の検出器ユニット21,27が用いられる。すなわち、独立検出器ユニット27の上または前に,例えば1つまたはそれより多くの与えられた波長または波長範囲においてのみ測定するためのフィルタを備え、よって、好ましくは独立の検出器21,27の測定可能なスペクトル範囲が異なるように、例えば、一部しか重なり合わないかまたは全く重なり合わないようにすることが可能である。相異なる波長または波長範囲で測定する複数の独立検出器ユニット27を備えることも可能であることを強調しておく。複数の独立検出器ユニット27は、互いに隔てて配置することができ、または、例えば独国特許発明第10127837A1号明細書に説明されているように、サンドイッチ構造にして配置することもできる。
【0028】
一方の検出器ユニット21,すなわち、特に検出器列22は、銀行券BNの発光光のスペクトル分解測定用に設計され、したがって、少なくとも1つの独立検出器ユニット27は、追加にあるいは代りに、スペクトロメータ30の広帯域でスペクトル分解されていない0次光及び/または発光光の減衰特性の測定のような、発光光の少なくとも1つの別の測定を行うために用いることができる。
【0029】
さらに、独立検出器ユニット27は銀行券BNの少なくとも1つの特性物質の別の光学特性を検査するように設計することもできる。これは、例えば別の波長または波長範囲における上述した測定によって行うことができる。好ましくは、独立検出器ユニット27は銀行券BNの別の特性物質を検査するように設計することもできる。すなわち、例えば、検出器列22を銀行券BNの第1の特性物質の光学特性を測定するために設計することができ、銀行券BNの別の特性物質を、特に検出器列22とは異なるスペクトル範囲においても、測定するために独立検出器ユニット27を設計することができる。検出器22,27は測定中の望ましくない散乱光または高次光を抑えるためのフィルタを有することが好ましいであろう。
【0030】
図3の平面図に認められるように、独立検出器ユニット27は、特にスペクトロメータ30の0次光を測定するために設計された場合、凹面鏡26上への再反射妨害を避けるために結像グレーティング24及び検出器列22に対して傾けて配置することができる。この場合、黒色領域のような、光吸収トラップを独立検出器ユニット27からくる光ビームの経路の末端にさらに配することができる。
【0031】
発光光センサ12の較正及び機能試験のため、銀行券BNにおいて検査されるべき発光特性物質と同等かまたは異なる化学組成を有することができる、1つまたはそれより多くの発光特性物質を含む基準試料32を備えることができる。図2に示されるように、基準試料32はハウジング13内に収めることができ、ビームスプリッタ16を間にしてレーザダイオード14に対向して配置された別の光源(LED31)に例えばホイル32として設けることができる。基準試料32は代りに、例えばLED31と傾斜ミラー16の間の独立コンポーネントとすることもできる。例えば2枚の銀行券の発光光センサ12の測定サイクルの合間における、較正のため、LED31を用いる照射によって基準試料32を励起して、ダイクロイックビームスプリッタ16上の寄生反射によって検出器列22上に結像され、評価される、明確に定められた発光光を放射させることができる。
【0032】
スペクトロメータ30の強度較正のため、基準試料32の発光特性物質は広帯域で、例えばスペクトロメータ30によって検出され得る全スペクトル範囲にわたって、発光することが好ましい。しかし、基準試料32の発光特性物質は、あるいはまたはさらに、波長較正を行うために挟帯域ピークをもつある特性スペクトルサインを発光することができる。しかし、スペクトロメータ30の調整のために基準試料32をもたない別の光源31だけを用いることも可能である。
【0033】
したがって、代わりにまたは追加に、基準試料32はハウジング13の外部に、特に測定されるべき銀行券BNの背側に、取り付けることができ、例えばプレート28のような、背側要素に一体化することができる。
【0034】
ハウジング13の外部には、独立のまたはプレート28に一体化されたコンポーネントとして、追加の検出器ユニット33を配することもできる。追加検出器ユニット33は、例えば、前面ガラス18を通過し、場合によっては銀行券BNを通過したレーザダイオード14の光、及び/または銀行券BNの発光光を測定するための1つまたはそれより多くの光電セルとすることができる。この場合、プレート28は、レーザダイオード14の放射光に基準試料32または光電セル33を交互に位置合せできるように、ガイド内を方向Pに可動であるように取り付けることができる。
【0035】
プレート28は、銀行券BNの搬送平面の外側にある、点線で描かれた、連結素子55によってハウジング13に連結されることが好ましいであろう。したがって、図2で水平方向に延びる断面平面に、ほぼU字形の形態のハウジング13,連結領域55及びプレート28がある。プレート28のこの取り付け法には、基準試料32及び光電セル33をもたない実施形態においても、レーザダイオード14のレーザ光の望ましくない漏れに対する光遮蔽を提供するという利点がある。保守目的のため、または機構のもつれを解くために、取り外し可能な態様でプレート28がハウジング13に取り付けられる場合は、プレート28が外されるかまたは取り除かれたときにレーザダイオード14を消光させる形態を備えることができる。
【0036】
図4は、図1にしたがう銀行券仕分機に用いることができる、別の実施形態の、非常に小型の発光光センサ6の簡略な断面図を示す。図2と同じコンポーネントには同じ参照数字が付されている。
【0037】
図4にしたがう発光光センサ6における光コンポーネントの配置は、特に偏向ミラー23を省略できる点で、図2にしたがう発光光センサ6と異なる。図4にしたがう発光光センサ6は、検出器ユニット31,33のいずれかをさらに備えることは可能であろうが、そのような検出器ユニットを全く備えていないことに注意されたい。この場合、ダイクロイックビームスプリッタ16は発光光を透過させることはなく、発光光をミラー態様で偏向させる。
【0038】
さらに、光源14は、相異なる波長で発光する互いに垂直な2つのレーザダイオード51,52を有し、個々のレーザダイオード51,52の光は銀行券BN上の同じ照明領域35あるいは重なり合うかまたは隔てられた照明領域35が照射され得るように、例えば別のダイクロイックビームスプリッタ53により、結合させることができる。好ましくは、検査されるべき銀行券に依存して、レーザダイオード51,52のどちらか一方あるいは両方のレーザダイオード51,52を、同時にまたは交互に発光させることができる。
【0039】
直立投影において認めることができる光電検出器素子、すなわち検出器列22は、図7を参照してさらに綿密に説明されるように、キャリア上に非対称に搭載される。
【0040】
さらに、発光光センサ6自体が、スペクトロメータ30の測定値の信号処理のため及び/または発光光センサ6の個々のコンポーネントの電力制御のために用いられる制御ユニット50を、ハウジング13内に有することが好ましい。
【0041】
図6及び7を参照して、発光光センサ12に用いることができる検出器列22の2つの相異なる実施形態を次に説明する。図6は、略してピクセル40と称される、並べて配置された100個より多くの光電画像素子を通常は有する従来型検出器列22を詳細図で示し(図6には左側の初めの7個のピクセル40しか示されていない)、ピクセル40は大きさが等しく、ピクセル40の幅にほぼ対応する距離だけ隔てられて基板41上または基板41内に配置される。
【0042】
対照的に、例として図7に示されるような、ピクセル面積がより大きく、非光電素子相当面積はより小さい、かなり少数のピクセル40をもつ改変型検出器列22を用いることが好ましい。そのような改変型検出器列22には、図6の従来型検出器列22よりかなり高い信号対雑音比を有するという利点がある。改変型検出器列22は基板41内または基板41上に、好ましくは10個から32個だけ、特に好ましくは10個から20個の、単ピクセル40を有するように構成される。個々のピクセル40は、少なくとも0.5mm×0.5mm,好ましくは0.5mm×1mm,特に好ましくは1mm×1mmの寸法を有することができる。図7の実施形態にしたがえば、検出器列22は、例として、高さが2mmで幅が1mmの12個のピクセル40を有し、隣接するピクセル40間の非光電領域41は約50μmの幅を有する。
【0043】
さらに、図7に示されるように、単ピクセル40が、特に測定されるべき発光光の発散方向で、相異なる寸法を有する形態を備えることもできる。スペクトルの全ての波長ではなく、通常は単一の波長または波長範囲だけが選択的に評価されるから、評価されるべき特定の波長(または波長範囲)に適合するようにピクセル40を構成することができる。
【0044】
スペクトル検出される波長範囲に依存して、上述した場合には検出器列22を相異なる材料で構成することができる。紫外スペクトル範囲または可視スペクトル範囲の発光光に対しては、約1100nmより短波長に感度をもつシリコンでつくられた検出器が特に適しており、赤外スペクトル範囲に対しては、約900nmに感度をもつInGaAsでつくられた検出器が適している。好ましくは、そのようなInGaAs検出器列22は、InGaAs検出器列22のピクセル40のアナログ信号を増幅するためにシリコン技術でつくられた増幅器段を有することが特に好ましいシリコン基板42に直接に設けられることになろう。これによって同様に、信号経路が短く、信号対雑音比が高められた、特に小型の構造が得られる。
【0045】
(例えば図7にしたがう)わずかな数のピクセル40をもつ検出器列22は、好ましくは500nm未満、特に好ましくは約300nm以下の、比較的狭いスペクトル範囲だけを検出する。測定された発光光スペクトルの評価中のベースライン決定のような規格化を実施するため、銀行券BNで測定されるべき発光光スペクトルの外側に光感度をもつ少なくとも1つのピクセル40を検出器列22が有する形態を備えることもできる。
【0046】
結像グレーティング24は、本発明の発光光センサ6は小型の構造をもつにもかかわらず、検出器素子21上への発光光の十分な分散を可能にするため、線数が好ましくは約300本/mmより多く,特に好ましくは約500本/mmより多い、回折素子になるであろう。結像グレーティング24と検出器素子21の間隔は、好ましくは約70mmより短く、特に好ましくは約50mmより短くすることができる。
【0047】
検出器列22の個々のピクセル40の読出しは、この場合、例えばシフトレジスタを用いてシリアルに行うことができる。しかし、好ましくは検出器列22の単ピクセル40及び/またはピクセル群のパラレル読出しが行われるであろう。図9の例にしたがえば、左側の3個のピクセル40はそれぞれ、例えば図7にしたがうシリコン基板42の一部とすることができる、それぞれの増幅器段45を用いて増幅され、それぞれのアナログ/デジタルコンバータ46に供給される、それぞれのピクセル40の信号を測定することによって単独に読み出される。続いて、図9の簡略な表示における右側の2つのピクセルは、初めに個別の増幅器45によって増幅され、次いで、必要に応じてサンプルアンドホールド回路を有することができる、共通のマルチプレクサユニット47に供給され、次いでマルチプレクサ47に接続された共通のアナログ/デジタルコンバータ46に供給される。
【0048】
このようにして可能になった複数のピクセル40またはピクセル群のパラレル読出しにより、銀行券BNの短積分時間及び同期化された測定が可能になる。このことも同様に信号対雑音比の向上に寄与する。
【0049】
本発明の別の独立のアイデアにしたがえば、検出器30のコンポーネントを含む発光光のための結像光学系のコンポーネントの集積化が行われる。特に、検出されるべき発光光をスペクトロメータ30上に偏向させるための偏向ミラー23を、図2に示されるように、検出器ユニット21に直結させることができる。
【0050】
図7は、偏向ミラー23が検出器列22を有する共通キャリアに、すなわち、詳しくはシリコン基板42に、直接設けられている改変形態を示す。あるいは、偏向ミラー23は、例えば検出器ユニット21のカバーガラスに設けることもできる。
【0051】
さらに、光電セル56のような、光検出器を偏向ミラー23の下に配置することもできる。この好ましい別形態が、例として、図7の線I-Iに沿う断面を示す図8に示される。この場合、光電セル56に設けられた偏向ミラー23は光電セル56によって測定されるべき波長に対して少なくともある程度は透明である。光電セル56は、同じく、較正目的のため及び/または発光光のその他の特性の評価のために用いることができる。
【0052】
図4に示されるように、検出器列22は、図4に示されるような、小型センサ構造の理由だけではなく、別の光コンポーネント23,56の取り付けのためにも、担体、すなわちシリコン基板42に非対称に設け得ることが好ましい。
【0053】
上述したように、銀行券BNの検査において通常期待される発光光の信号強度は非常に低いため、稼働中の、すなわち、特には例えば発光光センサ12の2枚の銀行券の測定サイクルの合間に、発光光センサ12の較正が必要となるであろう。既述のように基準試料32を用いることにより、測定が可能となる。
【0054】
別のアイデアにしたがえば、これは、発光光センサ12の光コンポーネントの能動機械的変位によって行うこともでき、この変位は発光光センサ12の測定値に依存して、例えば、外部制御ユニット11によって、あるいは、好ましくは内部制御ユニット50によって、制御することができる。
【0055】
例えば、結像グレーティング24のコンポーネントは、アクチュエータ25によってS方向に変位可能な態様で取り付けることができる。同様に、例えば図2の矢印Dの方向に能動的に駆動される、変位可能であり得る検出器21のような、その他の光コンポーネントの機械的変位を得るために、図示されていない別のコンポーネントを用いることも可能である。光コンポーネントを1つより多くの方向に変位させることもできる。
【0056】
したがって、発光光センサ12の測定値の評価は、例えば発光光センサ12の稼働中に行うことが可能であり、(例えば、検出器列22,別の検出器ユニット27または光電セル33の)測定値あるいはそのような測定値から導かれる量がある基準値または基準範囲から外れれば、高められた信号利得及び、例えば照明または電子回路によって引き起こされる温度変動、または光コンポーネントの経時変化の徴候による、望ましくない変化の補償を得るために、発光光センサ12の1つまたはいくつかの光コンポーネントを、能動的に、機械的変位をおこさせることができる。これは、ピクセル40の数が少ない検出器ユニット21にとって特に重要である。
【0057】
発光光センサ12の光源の寿命を延ばすため、例えば銀行券BNが測定ウインドウ、すなわち前面ガラス18の領域にあるときにだけ、レーザダイオード14を高パワーで駆動する形態を備えることもできる。
【0058】
もちろん、上述の別形態に対し、さらに別の形態または追加の形態を考えることもできる。
【0059】
結像グレーティング24が凹湾曲面を有する例を図2及び4に関して説明したが、代りに平面グレーティングを用いることもできる。そのような発光光センサ12の構造が例として図10に示される。この場合、検査されるべき銀行券BNから発し、入射ウインドウ18を通って検出される光は、コリメータレンズ17を通ってビームスプリッタ16に入射し、ビームスプリッタ16によって90°偏向され、レンズ19を通り、照明抑制のためのフィルタ20を通って第1の球面コリメータミラー70に入射する。光はミラー70によって偏向されて、平面グレーティング71上に入射する。平面グレーティングによってスペクトル分解された光は次いで、第2の球面コリメータミラー72及び円柱レンズ73を通して、検出器アレイ21上に向けられる。
【0060】
図10の発光光センサ12はさらに、光ガイド結合によって発光光が結合されることを特徴とする。詳しくは、レーザ光源68によって発生された光が光ガイド69,ビーム整形光学系66,ビームスプリッタ16,コリメータレンズ17及び入射ウインドウ18を通して、検査されるべき銀行券上に照射される。光ガイド69は可撓性かつ変形可能であり、よって望む場所であれば(ほぼ)どこにでも照明ビーム経路を延ばすことができるから、例えば、ハウジング13内の特に空間を節約できる場所に光源を固定することが可能である。
【0061】
そのような光ガイドが用いられる場合は特に、発光光センサ12のハウジング13の外部に光源を取り付けることさえも可能である。この空間的分離には、ハウジング13内におかれたその他の光コンポーネント、特に高感度検出器21の、動作及び調整に、光源68によって生じる熱がほとんど影響しないという利点がある。図11は、対応する、光源68が発光光センサ12のハウジング13内に導かれる光ガイド69に光を送り込む、簡略な例を示す。例として、ハウジング13は図10と同様に構成することができ、唯一の違いは光源68がハウジング13の外部におかれ、よって光ガイド69がハウジング13の外部にも延びていることである。
【0062】
例えば図11にしたがう光源の別の独特の特徴は、光源68とハウジング13を接続している光ガイド69が、図11の断面図に簡略に示される中間領域70においてコイル巻にされて螺旋形状になっていることである。光源68が光ガイド69に光を送り込むと、光ガイド69内で全反射が連続しておこる。これにより、光源68の結合レーザ光のビーム断面が空間的に一様化される。これには、検査中の照明変動が小さくなり、よって再現性がより高い検査結果を達成できるという利点がある。しかし、この目的のためには、光ガイドがコイル巻にされて平面内で螺旋形状にされる必要はない。むしろ、不可欠なことは光ガイドがある長さを有することだけである。すなわち、光ガイド69は、50μmから200μmのファイバ断面において、1mから20mの長さを有することが好ましいであろう。
【0063】
同様に、検査されるべき銀行券の照射がハウジング13の外側にある光コンポーネントによって独占的に行われ、ハウジング13内には照射された銀行券から発せられる光の測定に用いられる光コンポーネントだけを発光光センサ12が収めることが、代りに考えられる。
【0064】
照明ビームを安定化させるために、例えば、レーザの共振器に別のグレーティングが内蔵された、いわゆるDFBレーザ、あるいはレーザの共振器の外部に別のグレーティングがつくり込まれた、いわゆるDFRレーザを使用することも可能である。
【0065】
グレーティングスペクトロメータ、すなわち結像グレーティング24を有するスペクトロメータ30を用いる検査の好ましい実施形態を例として上述したが、グレーティングスペクトロメータを用いず、例えばスペクトル分散のためのプリズムを有するスペクトロメータ30を用いるか、または発光光において検出されるべき相異なる波長または波長範囲をフィルタリングするために相異なるフィルタを用いて測定を行うことも、基本的に可能である。これは、特にマルチトラック測定または高感度測定に対しても用いることができる。
【0066】
グレーティングスペクトロメータを用いない発光光センサ1の例が図12に示される。図12は発光光センサの検出部だけを簡略に示す。ハウジング、照明光学系及び結像光学系のようなその他のコンポーネントは全て、明解さのために省略されている。この図12の例にしたがえば、検査されるべき銀行券BNから発せられるビームは、回転軸58を中心として回転できる偏向ミラー57によって偏向されて、相異なる波長または波長範囲に感度をもつ単検出器59上に選択的に入射する。これは、初めに、検出器59について相異なる波長範囲に光電感度をもつ検出器領域を選択することによって行うことができる。しかし、図12に例として示されるように、相異なる波長範囲に対するフィルタ60を検出器59の上流に配置し、好ましくは検出器59に固着させることも可能である。
【0067】
同様に、相異なるフィルタを有する、いわゆるフィルタホイールを用いることも可能である。フィルタホイールの回転によって、検査されるべき銀行券BNの光ビームが個々の相異なるフィルタを次々に通過し、次いで検出器に入射する。
【0068】
図13はまた別の例にしたがう検出器61を極めて簡略に示す。検出器は基板62上に同じタイプの光電ピクセル63の列またはアレイを有する。検出器61上では、矢印の方向に示される、フィルタリング波長分布を有するフィルタ64がピクセル63上に取り付けられている。これは、矢印の方向に関して、フィルタ64の相異なる場所において相異なる波長がフィルタリングされることを意味する。そのようなフィルタリング波長分布を有するフィルタ64の使用には、検査されるべき光が検出器61上に直接に照射され、グレーティング24または偏向ミラー23,57のような波長分散素子が必要ではないという利点がある。したがって、発光光センサ1の構造は特に単純であり、わずかなコンポーネントで構成することができる。
【0069】
さらに、例えば、発光光センサの特に好ましい例におけるだけでなく、その他のセンサ、特に光センサを有する発光光センサにおいても、単一コンポーネントの能動光学変位を有利に用いることが可能である。さらに、スペクトロメータの上記の特殊な実施形態は、例えば、発光光センサ自体は発光を励起するための光源をもたない場合に有利である。
【0070】
さらに、本発明のシステムは、1枚の銀行券BNの発光光センサ12の測定値が評価されている間に、同時に、次の銀行券BNの測定値が既に検出されているように構成することもできる。しかし、前の銀行券BNの測定値の評価は、前の銀行券BNを対応する格納ポケット9に向けるに十分に高速で搬送経路5の個々のゲート7を切り換えることができるように高速に行われなければならない。
【0071】
したがって、本発明の方法及び装置により、発光性有価文書の簡単かつ確実な検査及び仕分が可能になる。検査は、例えば、特性物質を励起するためにある持続時間0〜tにわたり、第1の波長をもつ光を与えられた強度で発生する光源14によって行うことができる。方向Tに搬送されて前面ガラス18を通過する、検査されるべき銀行券BNの特性物質を光源14の光が励起し、そこで特性物質が第2の波長で発光する。発光光の強度は一定の原理にしたがい、励起の持続時間0〜tにわたって増大する。発光強度の増大及び減衰の態様は、用いられる特性物質及び励起光源14,すなわち励起光の強度及び波長または波長分布に依存する。時刻tにおける励起の終了後、発光強度は一定の原理にしたがって低下する。
【0072】
次いで、スペクトロメータ30を用いて、銀行券BNから垂直に、すなわち励起光と平行に発せられる光が検出され、評価される。1つまたはそれより多くのある時刻t,tにおいて検出器ユニット21の信号を評価することにより、銀行券BNのために用いられる特性物質または特性物質の組合せだけがそのような減衰特性を有するから、そこにある銀行券BNが正規の銀行券であるか否かを特に確実に検査することができる。減衰特性の検査は、1つまたはそれより多くのある時刻における発光光強度の正規の銀行券BNについて与えられた強度との上述した比較によって行うことができる。発光光の強度パターンを既知の銀行券BNについて与えられたパターンと比較する形態を備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】銀行券仕分機の略図である
【図2】図1にしたがう銀行券仕分機に用いることができる本発明の発光光センサの内部の簡略な側面図である
【図3】図2の発光光センサのコンポーネントを上面図で示す
【図4】図1にしたがう銀行券仕分機に用いることができる本発明の別の発光光センサの内部の簡略な側面図である
【図5】図2及び3の発光光センサの用法を説明するための銀行券の略図である
【図6】図2の発光光センサに使用するための例示的な検出器列の上方からの図である
【図7】図2の発光光センサに使用するための別の例示的な検出器列の上方からの図である
【図8】図7の線I−Iに沿う断面図である
【図9】図2または図4の発光光センサの検出器列からのデータ読出についての略図である
【図10】本発明の別の発光光センサの内部の簡略な側面図である
【図11】外部光源をもつ本発明の発光光センサの略図である
【図12】本発明の別の発光光センサの一部の略図である
【図13】本発明のまた別の発光光センサの検出器部の略図である
【符号の説明】
【0074】
1 銀行券仕分機
6,12 発光光センサ
11,50 制御ユニット
13,68 ハウジング
14,31,51,52,68 光源
21,27 検出器ユニット
22 検出器列
23 偏向ミラー
24 結像グレーティング
32 基準試料
35 照明領域
36 像領域
40 ピクセル
42 シリコン基板
45 増幅器段
46 アナログ/デジタルコンバータ
50 制御ユニット
56,59,63 光検出器
60,64 フィルタ
69 光ガイド
AS 入射スリット
BN 有価文書
T 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光性有価文書(BN)を検査するための装置(1)であって、発光を励起するための光源(14,51,52,68)及び前記有価文書(BN)からの発光光をスペクトル分解で検出するための発光光センサ(12)を有する装置(1)において、
前記光源(14,51,52,68)が搬送方向(T)に搬送されて前記発光光センサ(12)を通過する前記有価文書(BN)上に前記搬送方向(T)に広がる照明領域(35)を形成することを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記搬送方向(T)の前記照明領域(35)の前記広がりの長さが、前記搬送方向(T)に垂直な方向の広がりの長さの少なくとも2倍であることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記発光光センサ(12)の像領域(36)が搬送されて前記発光光センサ(12)を通過する前記有価文書(BN)の前記搬送方向(T)に広がることを特徴とする請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記像領域(36)の長さ及び/または幅が前記光源(14,51,52,68)の前記照明領域(35)の対応する寸法より小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項5】
前記有価文書(BN)上の前記像領域(36)及び前記照明領域(35)が与えられた時刻において少なくともある程度、あるいは完全に、重なり合っていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項6】
前記発光光センサ(12)が、相異なる波長で発光する1つまたはそれより多くの光源(14,51,52,68)を有し、よって、波長を選択的に利用できることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項7】
前記発光光センサ(12)が少数のピクセル(40)をもつ少なくとも1つの検出器列(22)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項8】
前記発光光センサ(12)が前記有価文書(BN)の発光スペクトルの外側の波長の光を測定するための少なくとも1個の検出器素子(40)を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項9】
前記発光光センサ(12)が、寸法が相異なるピクセル(40)をもつ少なくとも1つの検出器列(22)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項10】
前記発光光センサ(12)がシリコン基板(42)上のInGaAs検出器列(22)を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項11】
前記発光光センサ(6)の検出器ユニット(21)が500nm未満のスペクトル範囲を検出し、及び/または前記発光光センサ(6)の結像グレーティング(24)が約300本/mmより多くの線数を有し、及び/または前記結像グレーティング(24)と前記検出器ユニット(21)の間隔が約70mmより小さいことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項12】
前記光源(14)及び/または前記発光光センサ(12)及び/または、前記発光光センサ(6)の測定値の信号処理のため及び/または前記発光光センサ(6)のコンポーネントの電力制御のための、制御ユニット(50)が一括して共通のハウジング(13)内に収められているか、及び/または個別のハウジング(13,68)内に収められていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項13】
前記光源(14)が検査されるべき前記有価文書(BN)を垂直方向に照射し、前記発光光センサ(12)が前記照射された有価文書(BN)からの発光光を垂直方向に検出し、及び/または前記光源(68)によって発生される光が光ガイド(69)を介して検査されるべき前記有価文書上に照射されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項14】
前記発光光センサ(12)が、測定されるべき前記発光光のビーム経路を折り返すため及び/または測定されるべき前記発光光を別の光学ユニット上に偏向させるための偏向ミラー(23)を有することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項15】
前記発光光センサ(12)が光検出器(56)を有し、前記光検出器(56)により測定されるべき波長に対して少なくともある程度透明である偏向ミラー(23)が前記光検出器(56)の表面上にまたは表面上方に配置されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項16】
前記発光光センサ(12)が測定されるべき前記光のビーム経路における前記光検出器(56,59,63)の上流に配置されたフィルタ(60,64)を有することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項17】
前記発光光センサ(12)が、発光光に対する光電検出器ユニット(22)及び前記光電検出器ユニット(22)上に前記発光光を結像させるためのコンポーネント(23)のいずれをも有する、コンポーネント(21)を有することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項18】
前記発光光センサ(12)が基板(42)に非対称に設けられた検出器列(22)を有することを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項19】
前記発光光センサ(12)が、前記発光光の相異なる特性を検出するための複数の検出器ユニット(21,27)を有することを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項20】
前記有価文書(BN)の相異なる特性物質を検査するために相異なる検出器ユニット(21,27)が構成されていることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項21】
一方の検出器ユニット(21)が前記発光光のスペクトル分解測定のために構成され、他方の検出器ユニット(27)が前記発光光の非スペクトル分解測定のために構成されることを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項22】
一方の検出器ユニット(21)が前記発光光の時間積分測定のために構成され、他方の検出器ユニット(27)が前記発光光の時間分解測定のために構成されることを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項23】
一方の検出器ユニット(27)が前記スペクトル分解された発光光の0次光の測定のために構成され、他方の検出器ユニット(21)が前記スペクトル分解された発光光の別の次数の光の測定のために構成されることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項24】
スペクトル分解のためのデバイス(24)上への再反射を避けるために、検出器ユニット(27)が前記デバイス(24)に対して傾けられて配置されることを特徴とする請求項1から23のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項25】
前記発光光センサ(12)が発光特性物質を含む基準試料(32)を有することを特徴とする請求項1から24のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項26】
前記発光光センサ(12)が、発光特性物質が与えられた基準試料(32)を照射するための別の光源(31)を有することを特徴とする請求項1から25のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項27】
前記発光光センサ(12)が前記発光光センサ(12)の光コンポーネント(21,24)の、能動機械的変位のための手段(25)を有することを特徴とする請求項1から26のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項28】
前記発光光センサ(12)の光コンポーネント(21,24)の、能動機械的変位が前記発光光センサ(12)の測定値に依存して制御ユニット(11,50)によって制御されることを特徴とする請求項1から27のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項29】
1枚の有価文書(BN)についての前記発光光センサ(12)の前記測定値がまだ評価されている間、同時に、次の有価文書(BN)の測定値が既に検知されていることを特徴とする請求項1から28のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項30】
前記検出器列(22)の単一ピクセル(40)及び/またはピクセル群のパラレル読出しが可能であることを特徴とする請求項1から29のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項31】
前記検出器列(22)の単一ピクセル(40)及び/またはピクセル群がそれぞれ、後段にアナログ/デジタルコンバータ(46)が接続されている、個別の増幅器段(45)に接続されていることを特徴とする請求項1から30のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項32】
発光光センサ(12)によって発光性有価文書(BN)を検査するための方法であって、検査されるべき前記有価文書(BN)が発光を励起するために照射され、前記有価文書(BN)からの発光光がスペクトル分解で検出される方法において、
搬送方向(T)に搬送されて前記発光センサ(12)を通過する検査されるべき前記有価文書(BN)が、前記搬送方向(T)に広がる照明領域(35)で照射されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−507052(P2008−507052A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521891(P2007−521891)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007872
【国際公開番号】WO2006/010537
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(596007511)ギーゼッケ ウント デフリエント ゲーエムベーハー (47)
【氏名又は名称原語表記】Giesecke & Devrient GmbH
【Fターム(参考)】