説明

有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法

【課題】有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除用組成物を提供すること。
【解決手段】クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、さらにアゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる化合物を含有する有害生物防除用組成物は、有害生物に対する優れた防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除用組成物及び有害生物の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有害生物防除用組成物の有効成分として、多くの化合物が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual − 15th edition(BCPC刊)ISBN 1901396188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除用組成物を見出すべく検討した結果、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルを含有する有害生物防除用組成物が、有害生物に対する優れた防除効力を有することを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明とは以下の〔1〕〜〔9〕のものである。
[1] クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルを含有する有害生物防除用組成物。
[2] クロチアニジン1000重量部に対して、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルが合計で、2〜10000000重量部の含有割合である[1]記載の有害生物防除用組成物。
[3] さらに下記群(A)より選ばれる化合物を含有する[1]又は[2]記載の有害生物防除用組成物。
群(A):
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群。
[4] クロチアニジン1000重量部に対して、下記群(A)より選ばれる化合物が2〜10000000重量部の含有割合である[3]記載の有害生物防除組成物。
群(A):
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群。
[5] [1]〜[4]いずれか一項記載の有害生物防除用組成物の有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する工程を有してなる有害生物の防除方法。
[6] [1]〜[4]いずれか一項記載の有害生物防除用組成物の有効量を植物種子に施用する工程を有してなる有害生物の防除方法。
[7] 植物種子が、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、テンサイ、ナタネ又はイネの種子である[6]記載の有害生物の防除方法。
[8] 植物種子が、遺伝子組換え植物種子である[6]記載の有害生物の防除方法。
[9] 植物種子が、除草剤耐性遺伝子組換えダイズ又は除草剤耐性遺伝子組換えワタの種子である[6]記載の有含生物の防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、有害生物を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の有害生物防除用組成物は、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルを含有する。
【0008】
本発明に用いられるクロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルは、いずれも公知の化合物であり、例えば「THE PESTICIDE MANUAL − 15th EDITION(BCPC刊)ISBN 1901396188」の229ページ、749ページ、737ページ及び1135ページに記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0009】
本発明の有害生物防除用組成物における、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルの含有割合は、特に限定されるものではないが、クロチアニジン1000重量部に対して、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルが合計で、通常2〜10000000重量部、好ましくは5〜50000重量部である。メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルの含有割合は、特に限定されるものではないが、メトコナゾール1000重量部に対してメタラキシル及びトルクロホスメチルがそれぞれ通常5〜20000重量部である。
【0010】
本発明の有害生物防除用組成物には、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルとともに、さらに下記群(A)より選ばれる化合物を含有することができる。
群(A):
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群。
【0011】
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールはいずれも公知の化合物であり、例えば「THE PESTICIDE MANUAL − 15th EDITION(BCPC刊)ISBN 1901396188」の62ページ、538ページ、1167ページ、971ページ、840ページ、164ページ、855ページ、520ページ、1132ページ、154ページ、1128ページ、1109ページに記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0012】
本発明の有害生物防除剤が、前記群(A)から選ばれる化合物を含有する場合、その含有割合は、特に限定されるものではないが、クロチアニジン1000重量部に対して、前記群(A)から選ばれる化合物が、通常2〜10000000重量部、好ましくは5〜50000重量部である。
【0013】
本発明の有害生物防除用組成物は、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物を単に混合したものでもよいが、通常は、これらの化合物と不活性担体とを混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものが用いられる。また、前記有害生物防除用組成物は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して有害生物防除剤として使用することができる。
【0014】
本発明の有害生物防除用組成物における、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物の合計量は通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%の範囲、さらに好ましくは1〜80重量%の範囲である。
【0015】
また、本発明の有害生物防除組成物は、上記以外の殺虫剤あるいは殺菌剤を任意に追加してもよい。殺虫剤あるいは殺菌剤の種類は特に限定しないが、好ましくはエタボキサムなどが挙げられる。
【0016】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0017】
本発明の有害生物防除用組成物は、植物に対して摂食、吸汁等の加害を行う有害生物(例えば、有害昆虫及び有害ダニ等の有害節足動物、並びに、植物病害)による加害から植物を保護するために用いることができる。
【0018】
本発明の有害生物防除用組成物が防除効力を有する有害節足動物としては、例えば次のものが挙げられる。
【0019】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricidus)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、ターニッシュッドプラントバグ(Lyus lineolaris)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、 シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Tryporyza incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilaris)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Pediasia teterrellus)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、タマナギンウワバ(Plusia nigrisigna)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、アズキサヤムシガ(Matsumuraeses azukivora)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)のホソガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)等のヒロズコガ類等;
アザミウマ目害虫:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、タバコアザミウマの(Frankliniella fusca)等のアザミウマ類等;
双翅目害虫:タマネギバエ(Hylemya antiqua)、タネバエ(Hylemya platura)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イネキモグリバエ(Chlorops oryzae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)等;
甲虫目害虫:ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)等;
直翅目害虫:ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等;
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等;
【0020】
前記有害節足動物の中でも、好ましい例として、アブラムシ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類、ハリガネムシ、コロラドハムシ、マメコガネ、ドウガネブイブイ、ワタミゾウムシ、イネミズゾウムシ、タバコアザミウマ、コーンルートワームの仲間、コナガ、アオムシ、マメシンクイガ等を挙げることができる。
【0021】
本発明の有害生物防除用組成物が防除効力を有する植物病害としては、例えば次のものが挙げられる。
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)。
コムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P. graminis、P. recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale)、雪腐小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici−repentis)。
オオムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、ひょう紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
【0022】
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum)、フィトフトラ病(Phytophthora parasitica,Phytophthora citrophthora)。
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)。
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophtora cactorum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)。
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)。
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae)。
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)。
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)。
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica)。
ネギの病害:さび病(Puccinia allii)、べと病(Peronospora destructor)。
【0023】
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)。
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)。
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)、根腐病(Fusarium solani f. sp. pisi)。
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病(Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. subterranea)。
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭そ病(Glomerella cingulata)。
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)。
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)。
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
ワタの病害;リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、萎凋病(Fusarium oxysporum)。
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)。
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、べと病(Peronospora sparsa)。
キク及びキク科野菜の病害:べと病(Bremia lactucae)、褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana)。
種々の植物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum,Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)。
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola)。
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani)。
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)。
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii)。
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、及びDiplodia属菌等によって引き起こされる、各種植物の種子病害または生育初期の病害。
【0024】
本発明の有害生物防除用組成物は、有害生物又は有害生物が生息する場所若しく生息する可能性のある場所に施用することにより、有害生物を防除するために用いられる。
【0025】
有害生物が生息する場所若しく生息する可能性のある場所としては、植物の茎葉、植物の種子、植物の球根が挙げられる。なお、ここで球根とは、詳しくは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎及び担根体が挙げられる。
【0026】
本発明の有害生物防除方法は、本発明の有害生物防除用組成物を処理することにより行われるが、具体的には例えば、茎葉散布などの植物の茎葉への処理、種子消毒及び種子コート等の種子への処理、種芋などの球根への処理が挙げられる。
【0027】
本発明の有害生物防除方法における、植物の茎葉への処理方法としては、具体的には、例えば、茎葉散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。
【0028】
本発明の防除方法における、種子への処理方法、及び、球根への処理方法としては、例えば、有害生物から保護しようとする植物の種子、球根等に本発明の有害生物防除用組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明の有害生物防除用組成物の懸濁液を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明の有害生物防除用組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明の有害生物防除用組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
【0029】
本発明の有害生物防除用組成物を植物に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である有害生物の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物の合計量として、当該植物を栽培する場所10000m2あたり通常1〜5000g、好ましくは2〜400gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物の合計での濃度は、通常0.0001〜3重量%、好ましくは0.0005〜1重量%である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
種子への処理においては、種子1kgに対して、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物が合計量で、通常0.001〜20g、好ましくは0.01〜5gで施用される。
球根への処理においては、球根1kgに対して、クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチル、並びに任意に含有される前記群(A)から選ばれる化合物が合計量で、通常0.001〜20g、好ましくは0.01〜5gで施用される。
【0030】
本発明の有害生物防除方法は、畑、水田、果樹等の農耕地にて使用することができる。
また、本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、当該農耕地の有害生物を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、エンドウ、インゲン、ラッカセイ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0031】
前記植物の中でも、好ましい例として、トウモロコシ、コムギ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ等を挙げることができる。
【0032】
上記「植物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、グリホサート等のEPSP合成酵素阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、セトキシジム等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ、2,4−D等の除草剤に対する耐性を古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
古典的な育種法により耐性を付与された「植物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のナタネ、コムギ、ヒマワリ、イネがありClearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によるチフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤に耐性のダイズがあり、STSダイズの商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例としてSRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物はプロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87巻、7175〜7179頁(1990年)等に記載されている。またアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼがウィード・サイエンス(Weed Science)53巻、728〜746頁(2005年)等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するかもしくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入する事により、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T. 1999. Repairing the Genome’s Spelling Mistakes. Science 285: 316−318.)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0033】
遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物の例として、グリホサート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ品種があり、ラウンドアップレディ(RoundupReady(登録商標))、AgrisureGT等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種があり、リバティーリンク(LibertyLink(登録商標))等の商品名ですでに販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるブロモキシニル耐性のワタはBXNの商品名で既に販売されている。
【0034】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった植物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
またこの様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34AbまたはCry35Ab等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例およびこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP−A−0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP−A−0 427 529、EP−A−451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、半翅目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類への耐性を植物へ付与する。
【0035】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与するためにホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0036】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0 392 225、WO 95/33818、EP−A−0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
【0037】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質を付与した植物も含まれる。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)あるいは、high−lysine(high−oil) corn(リジンまたはオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0038】
さらに、上記の古典的な除草剤形質あるいは除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を製剤例、適用例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0040】
製剤例1
クロチアニジンを5.0部、メトコナゾールを1.0部、メタラキシルを5.0部、トルクロホスメチルを1.0部、アゾキシストロビンを0.5部、エタボキサムを5.0部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合しフロアブル製剤を得る。
【0041】
製剤例2〜12
アゾキシストロビン0.5部に代えて、〔表1〕記載の化合物及び使用量で用いた以外は製剤例1と同様の操作を行い、フロアブル製剤を得る。
【0042】
【表1】

【0043】
製剤例13
クロチアニジンを10.0部、メトコナゾールを0.1部、メタラキシルを0.2部、トルクロホスメチルを0.2部、アゾキシストロビンを0.2部、エタボキサムを0.2部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部、及び水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することによりフロアブル製剤を得る。
【0044】
製剤例14〜24
アゾキシストロビン0.2部に代えて、〔表2〕記載の化合物及び使用量で用いた以外は製剤例13と同様の操作を行い、フロアブル製剤を得る。
【0045】
【表2】


【0046】
製剤例25
クロチアニジンを20.0部、メトコナゾールを0.8部、メタラキシルを0.4部、トルクロホスメチルを4.0部、アゾキシストロビンを0.4部、エタボキサムを0.8部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、及び合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより水和剤100部を得る。
【0047】
製剤例26〜36
アゾキシストロビン0.4部に代えて、〔表3〕記載の化合物及び使用量で用いた以外は製剤例85と同様の操作を行い、水和剤を得る。
【0048】
【表3】

【0049】
適用例1
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ソルガム乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて500ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0050】
適用例2
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ソルガム乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて1000ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0051】
適用例3
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて40ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0052】
適用例4
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて100ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0053】
適用例5
製剤例25にて作製される水和剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、50g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例25にて作製される水和剤にかえて、製剤例26〜36にて作製される各水和剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0054】
適用例6
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ダイズ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0055】
適用例7
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ダイズ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて100ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0056】
適用例8
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ワタ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0057】
適用例9
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ナタネ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0058】
適用例10
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ナタネ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて100ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0059】
適用例11
製剤例1にて作製されるフロアブル製剤を、ジャガイモの種芋10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて25ml塗沫処理することにより、処理種芋を得る。
また、製剤例1にて作製されるフロアブル製剤にかえて、製剤例2〜24にて作製される各フロアブル製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種芋を得る。
【0060】
次に、本発明の効果を試験例にて示す。
【0061】
試験例1
製剤例13に記載のフロアブル製剤を回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いてトウモロコシ種子に塗沫処理し処理種子を得る。当該処理種子を一晩静置したのち、プラスチックポットに詰めた土壌上に播種し、フスマ培地で別途培養した苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)を混和した土壌で覆土する。潅水を行いながら温室にて栽培を行う(以下、薬剤処理区とする。)。播種10日後に不出芽種子数を調査し、下記「式1」により発病度を算出する。無処理のトウモロコシ種子を用いて、薬剤処理区と同様に播種、覆土及び栽培を行う(以下、薬剤無処理区と記す。)。播種10日後に不出芽種子数を調査し、下記「式1」により発病度を算出する。薬剤処理区及び薬剤無処理区の発病度に基づき、下記「式2」により薬剤処理区の防除価を算出することにより、薬剤処理区が良好な有害生物防除効果を示すことが確認できる。


【0062】
試験例2
製剤例26に記載の水和剤を、15ml遠沈管内でトウモロコシ種子1粒に対し5μl塗沫処理し、これを土壌が敷き詰められた1/10000aワグネルポットに播種し、温室内で12日間生育させた後に、ムギクビレアブラムシ5頭を放虫する(以下、試験区と記す。)。製剤例26に記載の水和剤を処理しないトウモロコシ種子を用いて、試験区と同様に播種、生育及び放虫する(以下、対照区と記す。)。
試験区及び対照区のそれぞれにつき、放虫7日後にムギクビレアブラムシの数を調査する。その結果、試験区の虫数が対照区の虫数と対比して少なくなることから、試験区が良好な有害生物防除効果を示すことが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、高い活性を有する有害生物防除用組成物、及び有害生物を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロチアニジン、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルを含有する有害生物防除用組成物。
【請求項2】
クロチアニジン1000重量部に対して、メトコナゾール、メタラキシル及びトルクロホスメチルが合計で、2〜10000000重量部の含有割合である請求項1記載の有害生物防除用組成物。
【請求項3】
さらに下記群(A)より選ばれる化合物を含有する請求項1又は2記載の有害生物防除用組成物。
群(A):
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群。
【請求項4】
クロチアニジン1000重量部に対して、下記群(A)より選ばれる化合物が2〜10000000重量部の含有割合である請求項3記載の有害生物防除組成物。
群(A):
アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、カルボキシン、オキシカルボキシン、フルジオキソニル、チウラム、キャプタン、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項記載の有害生物防除用組成物の有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する工程を有してなる有害生物の防除方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか一項記載の有害生物防除用組成物の有効量を植物種子に施用する工程を有してなる有害生物の防除方法。
【請求項7】
植物種子が、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、テンサイ、ナタネ又はイネの種子である請求項6記載の有害生物の防除方法。
【請求項8】
植物種子が、遺伝子組換え植物種子である請求項6記載の有害生物の防除方法。
【請求項9】
植物種子が、除草剤耐性遺伝子組換えダイズ又は除草剤耐性遺伝子組換えワタの種子である請求項6記載の有含生物の防除方法。

【公開番号】特開2010−159277(P2010−159277A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−47745(P2010−47745)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】