説明

有機エレクトロルミネセンス素子のための材料

本発明は、有機電子素子中で電子輸送層で使用される配位化合物、リガンド、金属錯体を製造するためのそれらの使用、層、本発明の化合物を含む電子素子、本発明の化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、電子素子での電子輸送層中の材料として使用される一般式(1)〜(21)の配位化合物、一般式(1’)のリガンド、その製造方法および金属錯体の調製のためのそれらの使用、層ならびに本発明の化合物を含む電子素子に関する。
【0002】
キレート錯体と有機金属化合物は、最も広い意味において電子産業に帰され得る多くの様々な用途における機能性材料として使用される。既に達成された成功にもかかわらず、有機成分を基礎とする有機エレクトロルミネセンス素子(構造の一般的説明は、たとえば、US 4539507およびUS 5151629)およびその個々の成分、有機発光ダイオード(OLED)の場合には、さらなる改善が、未だ望まれている。
【0003】
ここで使用される電子輸送材料の場合に、それらの寿命および効率に関して改善の必要性も存在する。OLEDに使用される材料へのさらなる要請は、それらが、高純度を有することである。これら化合物の高いガラス転移温度と低い結晶化傾向が、極めて望まれる。さらに、溶液から加工される材料の場合での改善の必要性が存在する。
【0004】
現在、多くの種類の電子輸送材料が入手可能である。たとえば、WO 2003/060956は、電子輸送材料としての構造中にベンズイミダゾール基を有する9,10-ジアリールアントラセン誘導体を記載している。さらに、その発光スペクトルの影響が置換パターンを変更することにより研究されてきた8-ヒドロキシキノリン-金属錯体が、Chem. Eur. J. 2006, 12, 4523により知られている。
【0005】
電子輸送層と隣接する電子注入層がOLEDのカソード側に使用されるか、電子輸送材料と電子注入材料の混合物が層中に使用されるかの何れかであることが多い。ここで使用される電子注入材料は、特に、たとえば、Liq(リチウムキノリナート)等の金属錯体を含む。混合物中または連続層中で二個の材料を使用せずに、一個の材料から成る唯一の層を使用することが可能であれば、望ましいことであろう。これは、気相堆積が二個の源から実行する必要がないことから、製造を単純化し、より良好なプロセス制御を可能とするだろう。
【0006】
したがって、特に、上記言及した問題に関して改善された特性を有する新規な化合物に対するニーズが存在する。したがって、本発明の目的はこのような化合物の提供である。
【0007】
驚くべきことに、芳香族系を介して共有結合する電子欠損ヘテロアリール基を含むリガンドとして、ヒドロキシキノリン誘導体を含む錯体が、先行技術で既に紹介された化合物と比べて、長い駆動時間および/または温度ストレスに対する高い安定性を達成することが見出された。さらに、前記化合物は、溶液から良好に加工され、別の電子注入層を使用することなく、OLEDに使用されることができる
前記目的を達成するために、本発明は、一般式(1)または(2)の化合物を提供する。
【化1】

【0008】
式(1)または(2)中で使用される記号と添え字は、以下の意味を有する:
Gは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式(a)、(b)または(c)の基であり、
【化2】

【0009】
Qは、出現毎に同一であるか異なり、NおよびCRより成る基から選ばれ、
Vは、O、S、N、CRおよびNRより成る基から選ばれ、ただし、Vが、O、SまたはNRであるならば、Rは、非結合電子対を表し;
式(a)、(b)中の二個の破線の結合は、結合の一方は、単共有結合であり、他方は二重共有結合であることを意味し;
は、出現毎に同一であるか異なり、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;ここで、一つのRは存在せず、キノリン単位がこの位置でYに結合し;
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OAr、B(OR、OSO、OH、飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基、C1−40アルコキシもしくはC1−40チオアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接のCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられていてもよい)、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基およびこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、置換基R、RまたはRの一つは、基G上には存在せず、基Gは、この位置でYに結合し;
Wは、出現毎に同一であるか異なり、O、SおよびNRから選ばれ、ここで、Rは、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;
、Yは、夫々、互いに独立して、何れかが存在せず、その結果、そこに結合する基は、単共有結合により互いに直接結合するか、または、飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基および1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Arは、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、;ここで、Rは、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、同じ窒素または燐原子に結合する二個の基Arは、単結合またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選ばれるブリッジにより結合されてよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1以上のH原子が、DまたはFで置き代えられていてもよい飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−20アルキル基および1以上のH原子が、Fで置き代えられていてもよく、および1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OAr、B(OR、OSO、OHおよび飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基、C1−40アルコキシ基もしくはC1−40チオアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接のCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられていてもよい)より成る基から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1以上のH原子が、DまたはFで置き代えられていてもよい飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−20アルキル基および1以上のH原子が、DまたはFで置き代えられていてもよい5〜20個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Mは、出現毎に同一であるか異なり、1、2、3または4価金属であり;
L’は、出現毎に同一であるか異なり、1座配位または2座配位リガンドであり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり、ただし、少なくとも一つの添え字mは、>0であり;
nは、1、2、3または4であり、
rは、1、2、3または4であり、
kは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3、4、5または6であり、および
lは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0010】
以下の一般的定義が、本発明内で使用される。
【0011】
本発明の目的のためには、飽和あるいは不飽和直鎖、分岐あるいは環状C1−20アルキル基もしくはC1−40アルキル基は、1〜20もしく1〜40個のC原子を夫々有するアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を意味するものと解される。個々の-CH-もしくは-CH-基は、N、NH、OまたはSで置換されていてよい。好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、nオクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルあるいはオクチニルである。特に、好ましいのは、1〜6個の炭素原子、さらにより好ましいのは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に、メチルおよびtert-ブチルである。
【0012】
1〜20個の炭素原子を夫々有する脂肪族炭化水素は、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基であって、一以上の炭素原子は、O、NまたはSで置き代えられてよい。さらに、一以上の水素原子は、フッ素で置き代えられてもよい。1〜20個の炭素原子を夫々有する脂肪族炭化水素の例は、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基に対する上記定義と同じものを含む。
【0013】
〜C40-アルコキシ基またはC〜C40-チオアルコキシ基は、OまたはS原子を介して結合する上記定義のとおりのC1−40アルキル基を意味するものと解される。好ましくは、アルコキシ基は、1〜20個の炭素原子、特に、好ましくは、1〜6個の炭素原子、さらに好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する。
【0014】
アルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基は、さらに、一以上の上記定義のとおりのRで置換されてよい。
【0015】
本発明の意味での5〜60個の環原子もしくは5〜30個のあるいは5〜20個の環原子を含む芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、6〜60個の環原子もしくは6〜30個のあるいは6〜20個の環原子を含む芳香族環構造または一以上の炭素原子がヘテロ原子により置換されてよい5〜60個の環原子もしくは5〜30個のあるいは5〜20個の環原子を含む複素環式芳香族環構造を意味するものと解される。好ましいヘテロ原子は、N、OおよびSである。これらの芳香族環構造は、一環状もしくは多環状であってよく、すなわち、それらは一個の環(たとえば、フェニル)または二個以上の環(たとえば、ビフェニル、フルオレニル)を有してよく、縮合形態(たとえば、ナフチル)であってよい。
【0016】
好ましい芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、5〜30個の芳香族環原子、特に、好ましくは、5〜24個の芳香族環原子、より好ましくは、5〜14個の芳香族環原子を含む。6〜60個もしくは6〜30個のあるいは6〜24個の炭素原子を含む好ましい芳香族環構造は、夫々、たとえば、フェニル、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ペリレン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、インデン、インデノフルオレン、ベンズインデノフルオレン、ジベンズインデノフルオレンまたはフルオランセンである。
【0017】
5〜60個もしくは5〜30個のあるいは5〜24個の炭素原子を含む好ましい複素環式芳香族環構造は、夫々、たとえば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール等の五員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン等の六員環、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンズイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン等の縮合基またはこれらの基の組み合わせである。特に、好ましくは、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピリジン、ピリミジンおよびトリアジンである。
【0018】
5〜60個の環原子を有する一環状あるいは多環状の芳香族もしくは複素環式芳香族基環構造は、Rに定義される一以上の置換基を有してよい。
【0019】
5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基は、O原子を介して、上記定義のとおりの5〜60個の環原子を有する一環状あるいは多環状の芳香族もしくは複素環式芳香族基を有する基を意味するものと解される。好ましいアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基は、5〜30個の芳香族環原子、特に、好ましくは、5〜20個、より好ましくは、5〜10個の環原子を有する。アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基は、同様に、Rに定義される一以上の置換基を有してよい。
【0020】
Mは、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素基および下位元素より成る群から選ばれる元素、金属または金属イオンである。Mは、特に、好ましくは、Li、Be、Ca、Mg、Ba、Zn、B、Al、Zr、Cu、ScおよびY、特に、Li、Ca、Mg、Zn、AlおよびZrより成る群から選ばれる元素、金属または金属イオンである。
【0021】
以下が、本発明にしたがって、好ましい式(I)の化合物に適用される:
Mが二個の配位位置を有する金属であるならば、そのとき、kは、0であり;
Mが三個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、1であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、2であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、4であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、5であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、6であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、3である。
【0022】
以下が本発明にしたがって、好ましい式(II)の化合物に適用される。
【0023】
Mが二個の配位位置を有する金属であり、rが1であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが三個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、4であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、5であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、6であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、rが2であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、4であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、rが3であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、rが4であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが4であるならば、そのとき、lは、0である。
【0024】
本発明にしたがって、特に、好ましいのは、Mが、二個、四個または六個の配位位置を有する金属である。特に、好ましい具体例は、Mが、Li、Al3+またはZr4+であり、特に、LiまたはAl3+である。
【0025】
本発明のさらなる具体例では、基Arが、以下の式から選ばれることが好ましい。
【化3】

【0026】
これらの基は、夫々、1以上の基Rにより置換されてよい。
【0027】
本発明のさらなる具体例では、基Gが、以下の式から選ばれることが好ましい。
【化4】

【0028】
これらの構造は、夫々、1以上の置換基R、RまたはRにより置換されてもよい。
【0029】
本発明のさらなる具体例では、基YおよびYが、出現毎に同一であるか異なり、存在しないか、以下の式から選ばれる。
【化5】

【0030】
これらの構造は、夫々、1以上の置換基Rにより置換されてもよい。
【0031】
本発明のさらなる具体例では、本発明による式(1)または(2)の化合物は、式(3)〜(12)の化合物から選ばれる。
【化6−1】

【化6−2】

【0032】
式中、使用される記号は以下の意味を有する:
およびYは、上記具体例と同じ意味を有し;
10は、出現毎に同一であるか異なり、Hであるか、以下の式(d)の基であり:
【化7】

【0033】
式中、L’、kおよびRは、上記具体例と同じ意味を有し、ただし、一つのRは、存在せず、式(d)の化合物が、この位置で、式(3)〜(12)の化合物に結合し;
11は、出現毎に同一であるか異なり、Hであるか、以下の式(e)または(f)の基であり:
【化8】

【0034】
式中、Vは、O、SおよびNRより成る基から選ばれ、Qは、NおよびCRより成る基から選ばれ、ここで、少なくとも一つのQ、好ましくは、少なくとも二つのQは、Nであり、ここで、Rは、上記具体例と同じ意味を有し;
ただし、各式中の少なくとも一つのR10と各式中の少なくとも一つのR11の両者は、Hではない。
【0035】
本発明のなおさらなる具体例では、上記式の化合物は、YおよびYが、夫々存在しないか、p-フェニレン単位であり、Vは、-N-Ph基であり、Rは、HまたはDであり、ただし、式(d)の化合物中金属に配位した酸素原子にオルト位であるRか、式(d)の化合物中金属に配位した酸素原子にパラ位であるRかの何れかは存在せず、式(d)の化合物がこの位置を介して結合する。
【0036】
さらに好ましくは、式(f)の基中の二個または三個の記号Qは、Nである。式(f)の基は、特に、好ましくは、1,3,5-トリアジンである。
【0037】
本発明の好ましい具体例では、R10が、以下の式から選ばれ、描かれた結合は、Yへの結合位置を示す。
【化9】

【0038】
さらに、本発明のすべての具体例でのmは、好ましくは、1または2である。
【0039】
さらに、本発明のすべての具体例でのnは、好ましくは、1、2または3である。
【0040】
本発明の目的は、一般式(13)〜(21)の構造単位を含む化合物、オリゴマーまたはポリマーによっても達成される。
【化10】

【0041】
式中、記号Ar、L’、YおよびGおよび添え字mは、上記具体例と同じ意味を有し、他の記号と添え字は、以下の意味を示す:
Mは、1、2、3または4価金属であり;
Lは、以下の式(9)の二座配位リガンドであり、
【化11】

【0042】
式中、Yからの結合ダッシュ記号は、式(13)〜(21)の構造単位中のArへの結合を表し、WとNからの矢印は、Mへの配位結合を表し、記号Y、WおよびRは、上記具体例と同じ意味を有し、ここで、一つのRは、存在せず、キノリン単位がこの位置で結合し;
aは、0、1または2であり;
bは、0または1であり、
ただし、式(13)〜(21)の構造単位中のLからの結合ダッシュ記号は、さらなる構造単位のMへの結合を表し、式(13)〜(21)の構造単位中のMからの結合ダッシュ記号は、なおさらなる構造単位のLへの結合を表わす。
【0043】
「ポリマー」は、好ましくは、10〜10000、特に、好ましくは、20〜5000、特に、50〜2000の構造単位(反復単位)を有する、すなわち、対応する多くの数のモノマ−から構築されたポリマー化合物を意味するものと解される。「オリゴマー」は、本発明にしたがうと、好ましくは、2〜9個の反復単位を有する化合物を意味するものと解される。ここで、ポリマーの分岐ファクターは、0(分岐点のない直鎖ポリマー)と1(完全に分岐した「デンドリマー」)の間である。すなわち、用語「ポリマー」および「オリゴマー」は、「デンドリマー」をも包含する。
【0044】
本願での用語「デンドリマー」は、分岐したモノマーが規則的構造に結合して、樹状構造となる多機能中心(コア)から構築される高度に分岐した化合物を意味するものと解されることを意図している。ここで、コアとモノマー両者は任意の所望の分岐構造をとることができる。ここで、「デンドリマー」は、たとえば、M. Fischer and F. Voegtle (Angew. Chem., Int. Ed. 1999, 38, 885)に記載されたとおりに理解されることを、一般的に意図されている。
【0045】
一般式(13)〜(21)の構造単位中のMは、好ましくは、Ca、Mg、Ba、Zn、B、Al、Zr、Cu、ScおよびY、特に、好ましくは、Ca、Mg、Zn、AlおよびZrより成る群から選ばれる元素、金属または金属イオンである。Al3+が、特に、好ましい。
【0046】
以下が、好ましくは、式(13)〜(15)の化合物、オリゴマーまたはポリマーに適用される:
Mが四個の配位位置を有する金属であるならば、そのとき、aは、0であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、2であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、3であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、4であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位であるならば、そのとき、aは、1であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位であるならば、そのとき、aは、2である。
【0047】
以下が、好ましくは、式(16)〜(18)の化合物に適用される:
Mが六個の配位位置を有する金属であるならば、そのとき、aは、0であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位であるならば、そのとき、aは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位であるならばそのとき、aは、1である。
【0048】
本発明のさらなる具体例では、一般式(13)〜(21)の構造単位中のMは、四個、六個または八個の配位位置を有することが好ましい。
【0049】
一般式(13)〜(21)の構造単位中の添え字mは、好ましくは、1または2である。
【0050】
本発明のなおさらなる具体例では、上記具体例にしたがう化合物、オリゴマーまたはポリマー中のさらなる構造単位となおさらなる構造単位は、各場合に、互いに独立して、金属および/または一座もしくは二座配位リガンドを含む構造単位である。さらなるおよびなおさらなる構造単位は、互いに同一であるか異なってよい。さらなる構造単位となおさらなる構造単位は、特に、好ましくは、各場合に、互いに独立して、一般式(13)〜(21)の構造単位である。さらなるおよびなおさらなる構造単位は、特に、好ましくは、本発明による構造単位と同じ構造単位である。この場合、オリゴマーまたはポリマーは、ホモポリマーである。
【0051】
上記具体例にしたがう化合物、オリゴマーまたはポリマー中の一般式(13)〜(21)の構造単位は、化合物、オリゴマーまたはポリマーの末端構造単位であるならば、以下の式(h)の単位がLに結合するか、以下の式(i)の単位がMに結合するかの何れかである:
【化12】

【0052】
式中、M、L、L’、Ar、YおよびGおよび添え字mは、上記具体例と同じ意味を有し、添え字dは、0、1、2、3または4である。
【0053】
さらなる具体例では、一般式(1)〜(12)の化合物または一般式(13)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマー中のArは、一以上の基Rで置換されてよい5〜22個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、上記定義のとおりの環構造を意味するものと解され、好ましくは、5〜22個の芳香族環原子を有する。さらに特に、好ましいArは、フェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンズアントラセン、ピレン、1,3,5-トリアジン、ピラジン、キノキサリンおよびフェナントロリンより成る基から選ばれる。Arに対して上記言及した基が、特に、好ましい。
【0054】
なおさらなる具体例では、一般式(1)〜(12)の化合物または一般式(13)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマー中のYおよびYは、各場合に、互いに独立して、存在しないか、5〜10個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるかの何れかであることが好ましい。YおよびYは、特に、好ましくは、夫々、互いに独立して、単共有結合、フェニル、ナフタレン、アントラセンおよびチオフェンより成る基から選ばれる。YおよびYに対して上記言及した基が、特に、好ましい。
【0055】
本発明の具体例中で、基Wは、好ましくは、酸素原子である。
【0056】
基L‘は、好ましくは、一座配位リガンドである。一座配位リガンドL‘の例は、以下の構造式(1)〜(26)を含む。
【化13−1】

【化13−2】

【0057】
ここで、構造(1)〜(23)は、酸素を介して配位し、構造(24)〜(26)は、珪素を介して配位する。
【0058】
L‘は、好ましくは、二座配位リガンドである。L‘は、特に、好ましくは、8-ヒドロキシキノリンである。
【0059】
本発明にしたがって、上記言及した好ましい具体例は、互いに、所望のとおりに組み合わせることができる
本発明の適切な化合物の例は、以下に示される式(1)〜(160)の化合物である。
【化14−1】

【化14−2】

【化14−3】

【化14−4】

【化14−5】

【化14−6】

【化14−7】

【化14−8】

【化14−9】

【化14−10】

【化14−11】

【化14−12】

【化14−13】

【化14−14】

【化14−15】

【化14−16】

【化14−17】

【化14−18】

【0060】
本発明は、以下の式(1’)のリガンドにも関する。
【化15】

【0061】
使用される記号と添え字は、上記具体例で示されるのと同じ定義を有する。ここで、上記言及された意味が、同様に好ましい。
【0062】
本発明のさらなる具体例では、式(1’)のリガンドは、配位化合物の調製のために使用される。このために、遊離リガンドは、たとえば、対応する金属塩と反応し、錯体を生じる。
【0063】
したがって、本発明は、式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーの製造方法にも関する。本発明の式(1)〜(21)の化合物は、当業者に一般的に知られる合成工程により調製することができる。最初の工程は、対応するリガンドの合成を含み、さらなる工程で結合し、所望のリガンド系を生じる。これは、引き続き、適切な金属塩の溶液、たとえば、nBuLi/CHCNまたはAlCl/EtOHの溶液として通常使用される対応する金属と反応する。
【0064】
式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーの一般的な合成手順は、スキーム(1)および(2)で示される。ここで、中心金属Mは、上記言及したその他の金属の一つにより同様の反応に置き代えることができる。
【0065】
スキーム(1)
【化16】

【0066】
スキーム(2)
【化17】

【0067】
本発明は、追加的にリガンドの調製方法にも関し、以下の式(A)の化合物が、金属触媒スズキ、スチル、ヘック、ネギシ、ソノガシラまたはクマダクロスカップリング反応により以下の式(B)の化合物にカップルし、以下の式(C)の化合物を得る:
【化18】

【0068】
式中、AおよびBは、互いに独立して、Br、Cl、I、O-トリフレート、OSO12、B(OR12、Sn(R12、ZnR12から選ばれ、R12は、出現毎に互いに独立して、H、1〜20個のC原子を夫々有する脂肪族炭化水素および1〜20個のC原子を夫々有する芳香族炭化水素より成る群から選ばれ、ここで、二個以上の基R12は、互いに環構造を形成してよい。
【0069】
Pは、水酸基の保護基であり、その他の記号と添え字は上記具体例と同じ意味を有する。
【0070】
水酸基の保護基Pの例は、メチル、t-ブトキシカルボニル、ベンジル、トリ-t-ブチルシリルエーテル、t-ブチルジメチルシリルエーテル、t-ブチルジフェニルシリルエーテルおよびトリメチルシリルエーテルである。
【0071】
本発明の式(C)の化合物の調製のための一般的な合成手順は、スキーム(3)で示される。
【0072】
スキーム(3)
【化19】

【0073】
二個の基R12が環構造を形成し得る場合には、これら二個の結合した基R12は、好ましくは、2〜8個の炭素原子を有する二価の脂肪族基である。それらの例は、以下の式-CH(CHCH-の化合物であり、ここでn=0、1、2、3、4、5または6であり、n=0、1、2または3が好ましい。二個以上の基R12が互いに環構造を形成する場合には、これら基R12は、互いに、6〜20個の炭素原子を有する分岐3、4、5または多価の脂肪族基である。
【0074】
本発明は、以下の式(B)の化合物の調製方法にも関し、以下の式(D)の化合物が、金属触媒スズキ、スチル、ヘック、ネギシ、ソノガシラまたはクマダ等のクロスカップリング反応により以下の式(E)の化合物と反応し、以下の式(C)の化合物を得る:
【化20】

【0075】
ここで、
Dは、Br、Cl、I、O-トリフレート、OSO12、B(OR12、Sn(R12、ZnR12、LiおよびMgBrより成る基から選ばれ、
Eは、Br、Cl、I、O-トリフレート、OSO12、B(OR12、Sn(R12、ZnR12より成る基から選ばれるか、Eは、それが結合するC原子と一緒になって、単位C=Oを形成し、
その他の記号と添え字は上記具体例と同じ意味を有する。
【0076】
式Cの化合物の調製のための一般的な合成手順は、スキーム(4)で示される。
【0077】
スキーム(4)
【化21】

【0078】
本発明は、金属錯体の調製のための式(C)の化合物の使用にも関する。このために、式(C)の化合物上の水酸基の保護基が除かれ、得られた式(1’)の化合物が、たとえば、対応する金属塩と反応し、錯体を得る。
【0079】
式(1)の化合物の合成は、スキーム5により示される。
【0080】
スキーム5
【化22】

【0081】
式(X)の化合物の合成が、スキーム6の例により示される。2-ブロモアントラキノンが、ヒドロキシキノリンマグネシウムブロミド誘導体との反応と引き続くSnClを使用する還元により、対応するブロモビス(ヒドロキシキノリン)誘導体に変換される。この生成物は、引き続き、対応するボロンエステルに変換される。得られた化合物は、2,4-ジフェニル-1,3,5-トリアジンとスズキカップリングにより反応する。水酸基の脱保護後、化合物は、n-BuLiと反応し、本発明の化合物を得る。
【0082】
スキーム6
【化23】

【0083】
フェニル誘導体とアントラセニル誘導体に代えて、種々の芳香族骨格を有し、窒素含有ヘテロ環(たとえば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ベンズイミダゾール)に結合する、すべての他の化合物を、同様に調製することができる。
【0084】
本発明は、本発明の化合物の、電子素子での、特に、電子輸送材料としての使用に関する。本発明にしたがって、電子素子は、たとえば、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)もしくはポリマーエレクトロルミネッセンス素子(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O-laser)であるが、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)であることができる。
【0085】
本発明は、本発明の化合物の、好ましくは、対応する層中での電荷輸送材料および/または電荷注入材料としての使用にも関する。これらは、特に、電子輸送層または電子注入層である。電荷障壁材料としての使用も可能である。
【0086】
本発明は、同様に、上記定義のとおりの一以上の式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含む、たとえば、有機エレクトロルミネッセンス素子もしくはポリマーエレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光ダイオード、OLED、PLED)等の電子素子に関する。
【0087】
式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーは、好ましくは、電子素子中で一層内に存在する。
【0088】
したがって、本発明は、少なくとも一つの上記定義のとおりの式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含む層に関する。
【0089】
有機エレクトロルミネセンス素子はカソード、アノードおよび少なくともひとつの発光層を含む。これらの層に加えて、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子障壁機能を有する中間層が、同様に、二個の発光層の間に導入されてもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。これらの層は、上記定義のとおりの(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含んでもよい。
【0090】
本発明の好ましい具体例では、(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーは、電子輸送層での化合物として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの電子輸送層を含んでもよく、あるいは、複数の電子輸送層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの電子輸送層は、好ましくは、少なくとも一つの上記定義のとおりの式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含む。素子は、さらに、さらなる電荷輸送層および発光層を含んでもよい。
【0091】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0092】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相インクジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そして構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0093】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷あるいはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要とされる。本発明の化合物は有機溶媒中で高い溶解性を有することから、溶液からの加工のために、特に、適切である。
【0094】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、上記の定義のとおりの式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を、当業者により問題なく適用することができる。
【0095】
本発明は、さらに少なくとも一つの(1)〜(21)の化合物と少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒とを含む調合物または溶液に関する。
【0096】
上記の定義のとおりの本発明の化合物は、特に、反応性基により置換されたか、官能化された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの生成のためのモノマーとして使用することができる。
【0097】
本発明の化合物とそれにより製造される有機エレクトロルミネセンス素子は、先行技術と比べると以下の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0098】
・本発明の化合物は、高い溶解度を有し、そのために、溶液から非常に良好に加工することができる。
【0099】
・電子輸送材料としての式(1)〜(21)の化合物、オリゴマーまたはポリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に優秀な寿命を有する。
【0100】
・電子輸送材料としての本発明の化合物の使用について、別の電子注入層を使用する必要も、さらなる電子注入材料で電子輸送層をドープする必要もない。これは、OLEDの製造において有利である。
【0101】
・本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子で使用されると、高い効率と急峻な電流/電圧曲線と同時に低い使用電圧をもたらす。
【0102】
上記優位性は、その他の電子素子特性の劣化を伴わない。
【0103】
本発明は、以下の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定するものではない。当業者は、発明性を要することなく、さらなる本発明の化合物を合成し、それらを有機エレクトロルミネッセンス素子に使用することができるだろう。
【0104】

以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で、無水溶媒中で行われる。
【0105】
8-ヒドロキシキノリンは、Synthesis, 2006, 8 1325 or Chem. Eur. J., 2005, 11, 6818にしたがって、5-位でハロゲン化することができ、引き続き、水酸基は、シリルエーテルにより保護することができる。
【0106】
4-ブロモベンズアルデヒドは、オキソン(登録商標)の存在下、N-フェニル-o-フェニレンジアミンと反応して、対応するブロモベンズイミダゾール誘導体に変換することができ、これは、引き続き、対応するボロンエステルに変換される。
【化24】

【0107】
得られた化合物は、スズキカップリングにより、ヨードヒドロキシキノリン誘導体と反応される。水酸基の脱保護後、化合物は、n-BuLiと反応し、本発明の化合物を得る。
【0108】
例1:リチウム5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]-8-ヒドロキシキノレートの合成
【化25】

【0109】
a)8-ヒドロキシ-5-ヨードキノリン
【化26】

【0110】
MeOH(750ml)中の8-ヒドロキシキノリン(25.0g、172.3ミリモル)とNaI(26.0g、172.5ミリモル)とNaOH(6.9g、172.5ミリモル)が、Nを室温で60分間通じることにより脱気される。−30℃まで冷却後、5%のNaOCl水溶液(250ml)が、滴下される。混合物は、−30℃で30分間激しく撹拌され、次いで、10%HCl水溶液を使用して中和される。沈殿した生成物は、ろ過される。MeOH/ヘプタン(1:1,v/v)から二度の再結晶化後、薄黄色の固形物(14g、27%)を得る。
【0111】
b)8-(tert-ブチルメチルシロキシ)-5-ヨードキノリン
【化27】

【0112】
8-ヒドロキシ-5-ヨードキノリン(7.0g、25.8ミリモル)、イミダゾール(1.85g、27.2ミリモル)とtert-ブチルメチルシリルクロライド(4.28g、28.4ミリモル)が、N下無水CHCl(40ml)中に溶解される。混合物は、一晩激しく撹拌され、次いで、CHCl(60ml)で、希釈され、5%HCl水溶液(2x30ml)と水(40ml)で洗浄される。有機相は、ついで、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒は、減圧下除去され、茶色の液体が残る。この粗生成物は、シリカ上のフラッシュクロマトグラフ(ヘプタン:酢酸エチル5:1)により精製される。最終生成物は、薄黄色の固形物(8g、80%)として単離される。
【0113】
c)2-(4-ブロモフェニル)-1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール
【化28】

【0114】
N-フェニル-o-フェニレンジアミン(50g、0.27モル)が、N下無水DMF(400ml)中に溶解され、4-ブロモベンズアルデヒド(45.5g、0.25モル)が滴下される。反応混合物は40℃に暖められ、オキソン(一過硫酸水素カリウム 98.1g、0.16モル)が、小分けして添加される。混合物が室温で120分間撹拌された後、1lの水が添加される。沈殿した生成物は、ろ過され、水で洗浄され、真空乾燥される。アセトニトリルからの再結晶化後、クリーム色の固形物(31g、35%)を得る。
【0115】
d)1-フェニル-2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-ベンズイミダゾール
【化29】

【0116】
2-(4-ブロモフェニル)-1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール(20.0g、57ミリモル)、ビス(ピナコラート)ジボロン(16.0g、63ミリモル)、酢酸カリウム(18.6g、0.19モル)、PdCl(dppf)xCHCl(0.75g、1ミリモル)とジオキサン(360ml)が、30分間脱気される。反応混合物は、還流下6時間加熱される。室温まで冷却後、混合物は氷水(80ml)上に注がれ、トルエンで抽出される。結合した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒は、減圧下除去され、茶色の液体が残る。最終生成物は、薄茶色の固形物(22.8g、97%)として単離される。
【0117】
e)8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]キノリン
【化30】

【0118】
1-フェニル-2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-ベンズイミダゾール(8.9g、22.4ミリモル)、8-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-ヨードキノリン(7.2g、18.69ミリモル)、トルエン(110ml)とジオキサン(110ml)が、Nを30分間通じることにより脱気される。Pd(OAc)(9mg、0.04ミリモル)とトリス-o-トリルホスフィン(75.6mg、0.25ミリモル)が、次いで、添加され、混合物は、80℃で8時間加熱される。室温まで冷却後、混合物は水(100ml)で希釈され、酢酸エチル(3×50ml)で抽出される。結合した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒は、減圧下除去される。粗生成物は、シリカ上のフラッシュクロマトグラフと結晶化により、精製される(7.9g、80%)。
【0119】
f)5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]キノリン-8-オル
【化31】

【0120】
THF中の1MのTBAF(22.4ml、22.4ミリモル)溶液が、THF(20ml)中の8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]キノリン(7.9g、14.90ミリモル)に滴下される。4時間撹拌後、混合物は、5%NHCl水溶液(100ml)で洗浄され、酢酸エチル(3×50ml)で抽出される。結合した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒は、減圧除去される。粗生成物は、シリカ上のフラッシュクロマトグラフとMeOHからの結晶化により、精製される(5.9g、90%)。
【0121】
g)リチウム5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]8-ヒドロキシキノラート
【化32】

【0122】
5-[4-(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)フェニル]キノリン-8-オル(2.1g、4.8ミリモル)が、アセトニトリル(100ml)中に溶解され、2.5Mのn-ブチルリチウム(1.9ml、4.8ミリモル)が添加される。溶液は、室温で1時間撹拌される。黄色の沈殿物がろ過され、アセトニトリルで洗浄され、真空乾燥される(1.9g、94%)。
【0123】
例2:リチウム5,5’-[2-(9,10-アントラセン-2-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル]ビス-8-キノリナートの合成
【化33】

【0124】
a)5,5’-(2-ブロモアントラセン-9,10-ジイル)-8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ビスキノリン
【化34】

【0125】
マグネシウム(2.3g、97ミリモル)が、まず、50mlの無水THF中に導入される。400mlの無水THF中の5-ブロモ-8-ヒドロキシキノリン(20g、89ミリモル)溶液が、滴下され、混合物は、70℃で2時間、撹拌され、次いで、室温にもたらされる。得られたグリニャール試薬が、200mlの無水THF中の2-ブロモ-9,10-アントラキノン(25.5g、89ミリモル)に、氷冷されながら、滴下される。氷冷で4時間後、200mlの飽和NHCl溶液が、ゆっくりと滴下され、混合物は、酢酸エチルで抽出され、有機相は、NaSOで乾燥され、回転蒸発機中で蒸発される。反応混合物(52g)は、DMF(400ml)中に懸濁され、塩化錫(67.5g、356ミリモル)が添加され、混合物は、140℃で加熱される。300mlのEtOHが添加され、2MのHClが滴下される。固形物はろ過され、EtOHで洗浄され、真空乾燥される(38.2g、51%)。
【0126】
b)ビス-(8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシキノリン-5-イル)-9,10-アントラセニル)-2-ボロン酸
【化35】

【0127】
a)からの39.3g(51ミリモル)の臭化物が、600mlの無水THFに溶解され、−78℃に冷却された。26.2ml(ヘキサン中65.7ミリモル/2.5M)のn-ブチルリチウムが、この温度で約5分間にわたり添加され、混合物は、引き続き、−78℃でさらに2.5時間撹拌される。7.3ml(65.7ミリモル)のトリメチルボレートが、この温度で可能な限り迅速に添加され、反応は、ゆっくりとRTにもたらされる(約18時間))。反応溶液は水で洗浄され、沈殿した固形物と有機相は、トルエンで共沸乾燥される。粗生成物は、約40℃で、トルエン/塩化メチレンで撹拌洗浄され、吸引ろ過され、白色固形物として、30.1g(80%)の生成物を得る。
【0128】
c)5,5’-(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)アントラセン-9,10-ジイル)-8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ビスキノリン
【化36】

【0129】
b)からの34.4g(46.8ミリモル)のボロン酸、11.3g(42.15ミリモルl)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと9.9gの炭酸ナトリウムが、300mlのジオキサン、300mlのトルエンと100mlの水中に懸濁される。2.7g(2.3ミリモル)のPd(PPhが、この懸濁液に添加される。反応混合物は、還流下7時間加熱される。冷却後、沈殿した固形物は吸引ろ過され、水とエタノールで洗浄され、乾燥される。残留物は、熱トルエンで抽出され、トルエンから再結晶化される。収率:27.2gで理論値の70%。
【0130】
d)5,5’-(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)アントラセン-9,10-ジイル)ビスキノリン-8-オル
【化37】

【0131】
THF中の1MのTBAF(22.4ml、22.4ミリモル)溶液が、THF(20ml)中の5,5’-(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)アントラセン-9,10-ジイル)-8-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ビスキノリン(13.76g、14.90ミリモル)に滴下される。4時間撹拌後、混合物は、5%NHCl水溶液(100ml)で洗浄され、酢酸エチルで抽出される。結合した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒は、減圧下除去される。粗生成物は、シリカ上のフラッシュクロマトグラフとMeOHからの結晶化により、精製される(9.25g、90%)。
【0132】
e)リチウム5,5’-(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)-(9,10-アントラセンジイル)]ビス-8-キノリノレート
【化38】

【0133】
5,5’-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)アントラセン-9,10-ジイル)ビスキノリン-8-オル(6.95g、10ミリモル)が、アセトニトリル(300ml)中に溶解され、2.5Mのn-ブチルリチウム(9.9ml、25ミリモル)が、添加される。溶液は、1時間室温で撹拌される。黄色固形物がろ過され、アセトニトリルで洗浄され、真空乾燥される(5.8g、80%)。
【0134】
例3:OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDが、WO 2004/058911に記載されるとおりの一般的プロセスにより製造されるが、これは、ここに記載される状況(層の厚さの変化、使用される材料)に対して適合される。
【0135】
種々のOLEDの結果が、以下の例4〜23に示される(表1および2参照。)。150nmの厚さを有する構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された硝子板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT(水からスピンコート、H.C.Stack,Goslar独から購入。ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))で被覆される。これらの被覆された硝子板は、OLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、次の層構造を有する:ITO基板/正孔輸送層(HTL140nm)/中間層(IL5nm)/電子障壁層(EBL20nm)/発光層(EML(H1またはH2+x体積%のD1またはD2)znm)/電子輸送層(ETLynm)/随意に電子注入層(EIL1nm)および最後にカソード。カソードは、厚さ100nmのAl層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1に示される。OLEDの製造のために使用された材料は、表3に示される。
【0136】
すべての材料は、真空室での熱気相堆積により適用される。ここで発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(=ホスト材料)と、マトリックス材料あるいは複数のマトリックス材料とある体積割合で共蒸発により前混合されるエミッタードーパント(=エミッター)とから成る。ここで、H1:D1(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、D1が5体積%の割合で層中に存在することを意味する。電子輸送層は同様に二個の材料の混合物からも成り得る。
【0137】
OLEDは、標準方法により特性決定される;この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)および寿命が測定される。寿命は、輝度がある初期輝度Iからある割合まで低下した時間として定義される。指標LD50は、前記寿命は、初期輝度Iが0.5I(50%に)、たとえば、6000cd/m〜3000cd/mに低下した時間であることを意味する。電流効率(cd/A)とパワー効率(Im/W)は、IUL特性線から計算される。
【0138】
本発明の化合物は、特に、蛍光および燐光OLEDのための電子輸送材料として使用することができる。ここで、本発明の化合物ETM2、ETM3およびETM4が使用される。使用された先行技術にしたがう比較は、化合物ETM1である。OLEDの結果は、表2に要約される。例1〜9は、先行技術にしたがう材料を含むOLEDを示し、比較例として役立つ。例10〜23の本発明によるOLEDは、本発明による式(1)の化合物の使用に関する優位性を示す。本発明による化合物の使用は、先行技術と比べて、駆動電圧、効率および寿命において改善が達成されることを可能とする。
【0139】
参照例と比べて、電気特性データは、すべての場合で同等か、より良好である。他の点で同一な層構造に対して、本発明の素子は、改善された性能データを示す。
【0140】
表1:OLEDの構造
【表1】

【0141】
表2:OLEDに対する結果
【表2】

【0142】
表3:使用された材料の構造式
【表3−1】

【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)または(2)の化合物。
【化1】

(式中:使用される記号と添え字は、以下の意味を有する:
Gは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式(a)、(b)または(c)の基であり、
【化2】

Qは、出現毎に同一であるか異なり、NおよびCRより成る基から選ばれ、
Vは、O、S、N、CRおよびNRより成る基から選ばれ、ただし、Vが、O、SまたはNRであるならば、Rは、非結合電子対を表し;
式(a)、(b)中の二個の破線の結合は、結合の一方が、単共有結合であり、他方が、二重共有結合であることを意味し;
は、出現毎に同一であるか異なり、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;ここで、一つのRは存在せず、キノリン単位がこの位置でYに結合し;
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OAr、B(OR、OSO、OHおよび飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基、C1−40アルコキシもしくはC1−40チオアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接のCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられていてもよい)、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基およびこれらの構造の組み合わせより成る基から選ばれ;ここで、置換基R、RまたはRの一つは、基G上には存在せず、基Gは、この位置でYに結合し;
Wは、出現毎に同一であるか異なり、O、SおよびNRから選ばれ、ここで、Rは、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;
、Yは、夫々、互いに独立して、何れかが存在せず、その結果、そこに結合する基は、単共有結合により互いに直接結合するか、または、飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基および1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Arは、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、;ここで、Rは、R、RまたはRに対して定義される基から選ばれ;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、同じ窒素または燐原子に結合する二個の基Arは、単結合またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選ばれるブリッジにより結合されてよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1以上のH原子がDまたはFで置き代えられていてもよい飽和あるいは不飽和直鎖、分岐もしくは環状C1−20アルキル基および1以上のH原子が、Fで置き代えられていてもよく、および1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OAr、B(OR、OSO、OHおよび飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−40アルキル基、C1−40アルコキシ基もしくはC1−40チオアルコキシ基(夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接のCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられていてもよい)より成る基から選ばれ;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1以上のH原子がDまたはFで置き代えられていてもよい飽和あるいは不飽和直鎖、分岐、環状C1−20アルキル基および1以上のH原子が、DまたはFで置き代えられていてもよい5〜20個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Mは、出現毎に同一であるか異なり、1、2、3または4価金属であり;
L’は、出現毎に同一であるか異なり、1座配位または2座配位リガンドであり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり、ただし、少なくとも一つの添え字mは、>0であり;
nは、1、2、3または4であり;
rは、1、2、3または4であり;
kは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3、4、5または6であり;および
lは、0、1、2、3、4、5または6である。)
【請求項2】
Mは、Li、Be、Ca、Mg、Ba、Zn、B、Al、Zr、Cu、ScおよびYより成る群から選ばれる元素、金属または金属イオンであり、特に、Li、AlまたはZrであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
以下が式(I)の化合物に適用されることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物:
Mが二個の配位位置を有する金属であるならば、そのとき、kは、0であり;
Mが三個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、1であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、2であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、4であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、5であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、6であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであるならば、そのとき、kは、3であり;
および以下が式(II)の化合物に適用されることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物:
Mが二個の配位位置を有する金属であり、rが1であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが三個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、4であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、5であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、6であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、rが2であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが五個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、4であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、rが3であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが七個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が一座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、rが4であるならば、そのとき、lは、0であり;
Mが四個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが1であるならば、そのとき、lは、3であり;
Mが六個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが2であるならば、そのとき、lは、2であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが3であるならば、そのとき、lは、1であり;
Mが八個の配位位置を有する金属であり、L’が二座配位リガンドであり、rが4であるならば、そのとき、lは、0である。
【請求項4】
基Arが、以下の式から選ばれ、夫々、1以上の基Rにより置換されてもよいことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物。
【化3】

【請求項5】
基Gが、以下の式から選ばれ、夫々、1以上の置換基R、RまたはRにより置換されてもよいことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の化合物。
【化4】

【請求項6】
基YおよびYが、出現毎に同一であるか異なり、存在しないか、または、以下の式から選ばれ、夫々、1以上の置換基Rにより置換されてもよいことを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の化合物。
【化5】

【請求項7】
式(3)〜(12)の化合物から選ばれる、請求項1〜6何れか1項記載の化合物。
【化6−1】

【化6−2】

(式中、使用される記号は以下の意味を有する:
、Yは、請求項1で定義されるのと同じ意味を有し;
10は、出現毎に同一であるか異なり、Hであるか、または、以下の式(d)の基であり:
【化7】

式中、L‘、kおよびRは、請求項1で定義されるのと同じ意味を有し、ただし、一つのRは、存在せず、また、式(d)の化合物が、この位置で、式(3)〜(12)の化合物に結合し;
11は、出現毎に同一であるか異なり、Hであるか、または、以下の式(e)または(f)の基であり:
【化8】

式中、Vは、O、SおよびNRより成る基から選ばれ、Qは、NおよびCRより成る基から選ばれ、ここで、少なくとも一つのQ、好ましくは、少なくとも二つのQは、Nであり、ここで、Rは、請求項1で定義されるのと同じ意味を有し;
ただし、各式中の少なくとも一つのR10と各式中の少なくとも一つのR11の両者は、Hではない。)
【請求項8】
10が、以下の式から選ばれ、描かれた結合は、Yへの結合位置を示すことを特徴とする、請求項7記載の化合物。
【化9】

【請求項9】
一般式(13)〜(21)の構造単位を含む、請求項1〜8何れか1項記載のオリゴマーまたはポリマー。
【化10】

(式中、記号Ar、L‘、YおよびGおよび添え字mは、上記請求項で定義されるのと同じ意味を有し、他の記号と添え字は、以下の意味を有する:
Mは、1、2、3または4価金属であり;
Lは、以下の式(g)の二座配位リガンドであり、
【化11】

式中、Yからの結合ダッシュ記号は、式(13)〜(21)の構造単位中のArへの結合を表し、WとNからの矢印は、Mへの配位結合を表し、記号Y、WおよびRは、上記請求項で定義されるのと同じ意味を有し、ここで、一つのRは、存在せず、キノリン単位がこの位置で結合し;
aは、0、1または2であり;
bは、0または1であり、
ただし、式(13)〜(21)の構造単位中のLからの結合ダッシュ記号は、さらなる構造単位のMへの結合を表し、式(13)〜(21)の構造単位中のMからの結合ダッシュ記号は、なおさらなる構造単位のLへの結合を表わす。)
【請求項10】
L‘は、二座配位リガンド、特に、置換されてもよい8-ヒドロキシキノリンであることを特徴とする、請求項1〜9何れか1項記載の化合物。
【請求項11】
以下の式(1’)の化合物。
【化12】

(式中、使用される記号と添え字は、上記請求項で定義されるのと同じ意味を有する。)
【請求項12】
請求項11記載の化合物と金属Mの化合物との反応による、請求項1〜10何れか1項記載の化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜11何れか1項記載の化合物の、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれる、有機電子素子での使用。
【請求項14】
請求項1〜11何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれる、有機電子素子。
【請求項15】
請求項1〜11何れか1項記載の少なくとも一つの化合物が、電子輸送層中で使用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
請求項1〜11何れか1項記載の少なくとも一つの化合物と少なくとも一つの溶媒を含む調合物。

【公表番号】特表2013−518069(P2013−518069A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550329(P2012−550329)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007955
【国際公開番号】WO2011/091840
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】