説明

有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器

【課題】 観察者が正面から見た場合でも、広角から見た場合でも、色シフトや輝度の変化が生じることのない有機EL装置、及び有機EL装置の製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 基板20上に、第1電極23及び第2電極50に挟持された発光機能層110を有する画素XB,XG,XRと、複数の画素XB,XG,XRからなる単位画素群Pxを備える有機エレクトロルミネッセンス装置1Aであって、単位画素群Pxのうちの選択された画素には、発光機能層110の発光光Lを散乱させる散乱部21が設けられていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器に使用される表示装置や、デジタル複写機やプリンタなどの画像形成装置における露光用ヘッドとして、有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と称する。)等の発光装置が注目されている。この種の発光装置をカラー用に構成するにあたっては、従来、発光層を構成する材料を画素毎に変えることにより、各画素から各色の光が出射されるように構成されている。
【0003】
また、近年では、有機EL装置のガラス基板上に、犠牲酸化膜で凹凸を形成し、発光が閉じ込められるのを回避して、光取り出し効率を向上させる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トップエミッション構造において、下側基板の反射層が凹凸を有し、凹凸を平坦化する層の屈折率が発光層の屈折率よりも大きくすることで、発光光を散乱させて、発光層の劣化を防止し、素子寿命を延長させることが可能となる有機EL装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−76864号公報
【特許文献2】特開2004−22438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者によれば、有機EL装置のパネルに対して、正面から見た場合と、広角(正面よりも斜め方向)から見た場合とを比較すると、表示色が変化して見えたり、輝度が変化したりするという問題を見出した。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、観察者が正面から見た場合でも、広角から見た場合でも、色シフトや輝度の変化が生じることのない有機EL装置、及び有機EL装置の製造方法、及び電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者は、有機EL装置の発光層の発光は、そのまま観察者側に出射される場合と、電極で反射してから観察者側に出射される場合とがあることに着目した。そして、このような発光光は、相互に干渉し合うことで、有機EL装置のパネルを正面から見た場合と、広角(正面よりも斜め方向)から見た場合とで、光路長が異なってしまうことを見出した。これにより、従来の有機EL装置においては、観察者の見る角度によって、色シフトが生じて色が変化して見えたり、輝度が変化したりするという問題点があった。
【0007】
また、本発明者は、このような色シフトや輝度の変化が生じるのは、干渉条件のピークが得られる波長が短波長側に寄ってしまうことを見出した。この現象は、波長の短い青色で特に顕著であり、青の波長領域で波長が短くなった場合、視感度が低くなるため、輝度変化が視認し易くなってしまう。
更に、発光層の構造として、有機材料を用いた場合では、青色の波長では波長分散により、屈折率が高くなる傾向があるので、青の視角が3原色(赤、緑、青)の中で、ますます狭くなりがちである。従って、表示品質が著しく損なわれてしまう。
【0008】
また、直視型有機EL装置の場合において、青の視角だけが狭いという現象が生じると、三色フルカラーで表示している状態で、観察者が斜めから有機EL装置のパネルを見ると、青の色度が下がり、黄色味がかってしまい、表示品質が落ちてしまう。
また、他の色よりも視感度が高い緑は、波長が若干長いため、青ほど深刻ではないが、僅かな色の差を認識し易くなってしまい、青と同様の問題が生じることで、有機EL装置のパネルの斜め方向から見ると、緑色が変色して、エメラルドグリーンになってしまう。
【0009】
更に、緑の発光層材料として高分子系を採用した場合では、緑の色シフトの問題が顕著である。緑の材料は、ポリフェニレンビニレン系の材料が広く知られているが、発光スペクトルピークがやや黄色の領域にある。そのため、緑(550nm前後)の光束を正面に取り出すような構造とした場合、当該正面より斜め方向から有機EL装置を観察すると、層構造内の干渉によって干渉ピークが短波長にシフトし、発光強度の弱い波長に干渉ピークが来てしまい、550nm前後の光が取り出せないという問題がある。
結果として、緑色の視角が狭く、広角から観察したときの緑が著しく黄色味を帯びてしまう。特に、緑は、視感度が高いため、認識し易い色シフトとなってしまい、表示品質が落ちてしまう。
また、青と緑で、上記のような問題がある場合、三色フルカラーの有機EL装置においては、斜めから見た時の表示画像の色温度が大幅に落ちることになり、表示品質が損なわれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、上記の問題点を解決すべく、以下の手段を有する本発明を想到した。
即ち、本発明の有機EL装置は、基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機EL装置であって、前記単位画素群のうちの選択された画素には、前記発光機能層の発光光を散乱させる散乱部が設けられていること、を特徴としている。
このようにすれば、散乱部が形成された画素においては、様々な光路長を有する干渉光が基板に入射する際に散乱部によって散乱する。従って、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL装置を斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置においては、前記単位画素群において、前記複数の画素は、各々、赤色、緑色、及び青色の光を出射するものであって、前記散乱部は、緑色画素又は/及び青色画素に形成されていること、を特徴としている。
ここで、可視光の波長領域の中で、赤色の光は長波長領域にピークを有しており、緑色の光は中波長領域にピークを有しており、青色の光は短波長領域にピークを有していることが知られている。
従って、本発明によれば、緑色画素又は/及び青色画素において、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL装置を斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0012】
また、本発明の有機EL装置においては、前記散乱部は、前記基板と前記発光機能層の間において、前記基板の表面が可視光を散乱しうる凹凸部を有することによって形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、凹凸部によって様々な色の干渉光束が混在させ、当該光束がランダムに空気界面に放射されるので、有機EL装置を斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0013】
また、本発明の有機EL装置においては、前記散乱部に接して、平坦化層が形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、基板の表面は、レベリングされた状態となり、平坦化層が表面の凹凸をフラットにすることで、有機EL装置の表示欠陥を抑制できる。
【0014】
また、本発明の有機EL装置においては、前記平坦化層の屈折率は、前記基板の屈折率とは異なること、を特徴としている。
ここで、屈折率の差は、0.08以上であることが好ましい。このようにすれば、より好適に光を散乱させるので、輝度向上を実現できる。
【0015】
また、本発明の有機EL装置においては、前記散乱部は、前記凹凸部に形成された反射層であること、を特徴としている。
このようにすれば、反射層は凹凸部の形状に倣って、凹凸状の表面を有する層膜となる。従って、反射層の当たる光を反射させると共に散乱させることができる。
【0016】
また、本発明の有機EL装置においては、前記基板に対向配置された対向基板と、前記基板及び前記対向基板を接着する接着層とを有し、前記散乱部は、前記対向基板と前記発光機能層の間において、前記対向基板の表面に形成された凹凸部であること、を特徴としている。
このようにすれば、凹凸部によって様々な色の干渉光束が混在させ、当該光束がランダムに空気界面に放射されるので、有機EL装置を斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0017】
また、本発明の有機EL装置においては、前記接着層の屈折率は、前記対向基板の屈折率とは異なること、を特徴としている。
ここで、屈折率の差は、0.08以上であることが好ましい。このようにすれば、より好適に光を散乱させるので、輝度向上を実現できる。
【0018】
また、本発明の有機EL装置においては、前記基板に対向配置されたカラーフィルタ基板と、前記基板及び前記カラーフィルタ基板を接着する接着層とを有し、当該カラーフィルタ基板は、当該カラーフィルタ基板から前記発光機能層に向けて、基板本体と、前記単位画素群の前記複数の画素に各々対応する複数色の着色層とを有し、前記散乱部は、前記基板本体と前記着色層の間において、前記基板本体の表面に形成された凹凸部であること、を特徴としている。
このようにすれば、着色層によって発光機能層の発光光を着色することができると共に、基板本体の表面に形成された凹凸部で発光光を散乱させることができるので、上記と同様の効果が得られる。
【0019】
また、本発明の有機EL装置においては、前記基板に対向配置されたカラーフィルタ基板と、前記基板及び前記カラーフィルタ基板を接着する接着層とを有し、当該カラーフィルタ基板は、当該カラーフィルタ基板から前記発光機能層に向けて、基板本体と、前記単位画素群の前記複数の画素に各々対応する複数色の着色層と、オーバーコート層とを有し、前記散乱部は、前記オーバーコート層の表面、又は、前記着色層の表面に形成された凹凸部であること、を特徴としている。
【0020】
このようにすれば、着色層によって発光機能層の発光光を着色することができると共に、オーバーコート層の表面、又は、前記着色層の表面に形成された凹凸部で発光光を散乱させることができるので、上記と同様の効果が得られる。
【0021】
また、本発明の有機EL装置においては、前記接着層は、樹脂充填剤と、前記散乱部としての粒子とを有し、当該粒子の屈折率は、前記樹脂充填剤の屈折率とは異なること、を特徴としている。
ここで、屈折率の差は、0.08以上であることが好ましい。このようにすれば、より好適に光を散乱させるので、輝度向上を実現できる。
【0022】
また、本発明の有機EL装置の製造方法は、基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機EL装置の製造方法であって、前記単位画素群のうちの選択された画素に、前記発光機能層の発光光を散乱させる散乱部を形成する工程を含むこと、を特徴としている。
このようにすれば、散乱部が形成された画素においては、様々な光路長を有する干渉光が基板に入射する際に散乱部によって散乱する。従って、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL装置を斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0023】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記散乱部を形成する工程は、前記基板に対してフッ酸処理を施すことによって、又は、前記基板に対して、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及び樹脂層のいずれかをパターニング形成することによって、前記基板に凹凸部を形成すること、を特徴としている。
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記散乱部を形成する工程は、樹脂層を形成した後に、当該樹脂層にオゾンプラズマ処理を施して、当該樹脂層に凹凸部を形成すること、を特徴としている。
このようにすれば、微細な凹凸部を形成することができる。
【0024】
また、本発明の電子機器は、先に記載の有機EL装置を備えることを特徴としている。
このようにすれば、高輝度化が実現され、色シフトが抑制された表示部を備える電子機器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、この実施の形態は、本発明の一部の態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0026】
(有機ELパネル)
まず、本発明の有機EL装置に係る有機ELパネルの実施形態を説明する。
図1は、有機ELパネル1の配線構造を示す模式図である。
本実施形態の有機ELパネル1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する。)を用いたアクティブマトリクス方式のもので、複数の走査線101…と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…とからなる配線構成を有し、走査線101…と信号線102…との各交点付近に画素X…を形成したものである。
もちろん本発明の技術的思想に沿えば、TFTなどを用いるアクティブマトリクスは必須ではなく、単純マトリクス向けの基板を用いて本発明を実施し、単純マトリクス駆動しても全く同じ効果が低コストで得られる。
【0027】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
【0028】
更に、画素Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(スイッチング素子)112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT(スイッチング素子)123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(第1電極)23と、当該画素電極23と陰極(第2電極)50との間に挟み込まれた発光機能層110とが設けられている。
【0029】
次に、本実施形態の有機ELパネル1の具体的な態様を、図2及び図3を参照して説明する。ここで、図2は有機ELパネル1の構成を模式的に示す平面図である。図3は有機ELパネル1を構成する有機EL素子の単位画素群を模式的に示す断面図である。
【0030】
まず、図2を参照し、有機ELパネル1の構成を説明する。
図2は、基板20上に形成された各種配線,TFT,画素電極,各種回路によって、発光機能層110を発光させる有機ELパネル1を示す図である。
図2に示すように、有機ELパネル1は、電気絶縁性を備える基体20と、スイッチング用TFT112に接続された画素電極23が基板20上にマトリックス状に配置されてなる画素X(図1参照)と、画素Xの周囲に配置されるとともに各画素電極に接続される電源線103…と、少なくとも画素X上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部3(図2中一点鎖線枠内)とを備えて構成されている。
なお、本実施形態において画素部3は、中央部分の実表示領域4(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖線および二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
【0031】
実表示領域4においては、赤色発光(R)、緑色発光(G)、及び青色発光(B)で各々発光する、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBが紙面左右方向に規則的に配置されている。また、各色画素XR,XG,XBの各々は、紙面縦方向において同一色で配列しており、所謂ストライプ配置を構成している。また、各色画素XR,XG,XBの各々は、先述のTFT112,123の動作に伴って、RGBの各色で発光する発光機能層110を備えた構成となっている。そして、各色画素XR,XG,XBが一つのまとまりとなって、単位画素群Px(後述)が構成されており、当該単位画素群PxはRGBの発光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。従って、単位画素群Pxがマトリクス状に配置されることで構成された実表示領域4においては、フルカラーの画像を表示するようになっている。
また、実表示領域4の図2中両側には、走査線駆動回路80、80が配置されている。この走査線駆動回路80、80は、ダミー領域5の下層側に位置して設けられている。
【0032】
また、実表示領域4の図2中上方側には検査回路90が配置されており、この検査回路90はダミー領域5の下層側に配置されて設けられている。この検査回路90は、有機ELパネル1の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(不図示)を備え、製造途中や出荷時における有機ELパネル1の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
【0033】
走査線駆動回路80および検査回路90の駆動電圧は、所定の電源部から駆動電圧導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して印加されている。また、これら走査線駆動回路80及び検査回路90への駆動制御信号および駆動電圧は、有機ELパネル1の作動制御を司る所定のメインドライバなどから駆動制御信号導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して送信および印加されるようになっている。なお、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路80および検査回路90が信号を出力する際の制御に関連するメインドライバなどからの指令信号である。
【0034】
(有機EL素子の第1実施形態)
次に、図3を参照し、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第1実施形態について、有機EL素子の単位画素群の構造を説明する。
なお、図3においては、有機EL素子を構成する画素電極23,発光機能層110,及び陰極50について詳述し、画素電極23には駆動用TFT123が接続されているものとする。また、画素電極23は、赤色画素XR、緑色画素XG、青色画素XBの各々に形成されているものとし、図1に示したように駆動用TFT123によって画素毎に発光させるようになっている。
【0035】
図3に示すように、有機EL素子(有機EL装置)1Aの単位画素群Pxは、基板20上に、画素電極23及び陰極50に挟持された発光機能層110を備えている。また、基板20に対向配置された封止基板(不図示)が設けられ、各電極23,50及び発光機能層110は、基板20と、封止基板の間に配置されている。当該基板20と封止基板の間は、窒素ガス等の不活性ガスが充填された空間であり、不図示の乾燥剤やゲッター剤によって乾燥状態に維持されている。
また、発光機能層110は、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々について、異なる発光材料を有しており、RGBの各色を発光するようになっている。また、発光光Lは、基板20を透過して出射するようになっている。従って、本実施形態の有機EL素子1A(有機ELパネル1)は、ボトムエミッション型を構成している。
【0036】
基板20は、透明性基板であり、本実施形態ではガラス基板を用いている。また、ガラス基板材料は、550nmの波長を有する光に対して1.54の屈折率を有している。
また、基板20と発光機能層110の間において、当該基板20の表面20aには、青色画素XBに対応する位置に凹凸部(散乱部)21が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて凹凸部21が設けられている。ここで、「青色画素XBに対応する位置」とは、有機EL素子1Aの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に青色画素XBと、凹凸部21とが重なり合う位置にあることを意味している。また、換言すると、このような凹凸部21は、基板20と発光機能層110(後述)の間において、基板20の表面20aに形成された部位である。
【0037】
このような凹部21の形成方法(散乱部を形成する工程)は、ガラス基板20の表面20aにポジレジストを塗布及び焼成し、マスクを使用して青色画素XBに対応する部分のみに紫外線光を照射して露光処理を行って更に現像処理を行う。これにより、緑色画素XG及び赤色画素XRに対応する部分がレジストで被覆された状態となり、青色画素XBに対応する部分の表面20aが露出状態となる。そして、フッ酸系の薬液にガラス基板20を晒すフッ酸処理を施すことで、青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部21を形成する。その後、レジストの残部の剥離を行う。
【0038】
また、基板20において、凹凸部21を含む表面20aの全面には、平坦化層22が形成されている。換言すれば、平坦化層22は、基板20と、画素電極23との間に設けられている。これによって、基板20の表面20aは、レベリングされた状態となり、平坦化層22が基板20の表面20aの凹凸をフラットにすることで、有機EL素子1Aの表示欠陥を抑制する。
このような平坦化層22は、ポリマー樹脂を材料とする層膜であり、550nmの波長を有する光に対して1.80の屈折率を有しており、ガラス基板20の屈折率とは異なっている。また、その屈折率差は0.26である。
このような平坦化層の形成方法は、スピンコート法を利用して、ポリマー樹脂を塗布形成することによって行われる。また、塗布後には、熱処理或いは紫外線照射によってポリマー樹脂を硬化させる。
【0039】
画素電極23は、ITO(Indium-Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、或いは、酸化スズ、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合酸化物等の透明導電膜である。本実施形態では、ITO膜を採用している。当該ITO膜は、550nmの波長を有する光に対して1.82の屈折率を有している。
このような画素電極23の形成方法としては、スパッタ法によって基板20上の全面に透明導電膜を製膜した後に、レジストマスクを介在させたウエットエッチング処理を行うことで、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々に対応させて画素電極23がパターニング形成される。
【0040】
発光機能層110は、画素電極23上に形成された正孔輸送層(発光機能層)70と、当該正孔輸送層70上に形成された有機EL層(発光機能層)60と、当該有機EL層60上に形成された電子輸送層(発光機能層)55と、が積層されて構成されている。
【0041】
正孔輸送層70とは、有機EL層60に正孔を輸送/注入する機能を有する層膜である。このような正孔輸送層70の形成材料としては、高分子材料では特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。低分子材料では、銅フタロシアニン、m−MTDATA、TPD、α―NPDなど、通常の正孔注入材料を蒸着法にて用いることができる。
【0042】
有機EL層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。また、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々に有機EL層60R,60G,60Bを設けることで、フルカラー表示が可能な有機EL素子となる。
有機EL層60(60R,60G,60B)の形成材料として具体的には、高分子材料としては(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。低分子材料としては、Alq3、DPVBiなどのホスト材料、これにナイルレッド、DCM、ルブレン、ぺリレン、ローダミンなどをドープして、またはホスト単独で、蒸着法にて用いることができる。
また、赤色の有機EL層60Rの形成材料としては例えばMEHPPV(ポリ(3−メトキシ6−(3−エチルヘキシル)パラフェニレンビニレン)を、緑色の有機EL層60Gの形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンとF8BT(ジオクチルフルオレンとベンゾチアジアゾールの交互共重合体)の混合溶液を、青色の有機EL層60Bの形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを用いる場合がある。
【0043】
電子輸送層55とは、有機EL層60に電子を輸送/注入する機能を有する層膜である。このような電子輸送層55の形成材料としては、例えば、LiFやSrF等のアルカリ土類金属やアルカリ金属の化合物が採用される。
【0044】
陰極50は、画素電極23R,23G,23Bに対向する共通電極である。当該陰極50は、有機EL層60上に設けられた低仕事関数の金属からなる第1陰極と、該第1陰極上に設けられて該第1陰極を保護する第2陰極とからなるものである。第1陰極を形成する低仕事関数の金属としては、特に仕事関数が3.0eV以下の金属であるのが好ましく、具体的にはCa(仕事関数;2.6eV)、Sr(仕事関数;2.1eV)、Ba(仕事関数;2.5eV)が好適に用いられる。第2陰極は、第1陰極を覆って酸素や水分などからこれを保護するとともに、陰極50全体の導電性を高めるために設けられたものである。本実施形態の有機EL素子1Aは、基板20側から発光光を取り出すボトムエミッション型であるから陰極50は非透明であり、反射性金属としてアルミニウム等が採用される。
なお、陰極の表面に封止層が設けられていてもよい。当該封止層としては、陰極50に被覆形成された酸化窒化シリコン膜等のパシベーション膜が採用される。これにより、発光機能層110への水分や酸素の侵入を抑制することが可能となる。
【0045】
なお、上記の構成を有する単位画素群Pxにおいては、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの相互間にバンク(隔壁)が形成されてもよい。
この場合、高分子材料からなる発光機能層を液滴吐出法によって形成することができる。また、バンクは、無機材料からなるバンクと、有機材料からなる有機バンクによって構成されていることが好ましい。また、無機バンクの表面には親液性が付与され、有機バンクの表面には撥液性が付与されていることが好ましい。これによって、液滴吐出法によって発光機能層110を形成する際に、バンク間に液滴を留めることができる。
また、上記の発光機能層110は、低分子材料から構成されていてもよい。この場合、発光機能層はマスク蒸着法を用いて形成されるので、バンクを形成する必要ない。また、低分子系の発光機能層としては、正孔輸送層や電子注入バッファ層が含まれていることが好ましい。
【0046】
このように構成された有機EL素子1Aにおいては、画素電極23と陰極50の間に電流が流れると、有機EL層60(60B,60G,60R)は発光し、発光光Lは画素電極23を直接通じて基板20から出射したり、陰極50で反射してから画素電極23を通じて基板20から出射したりする。このとき、凹凸部21が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板20に入射する際に、凹凸部21によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL素子1Aを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0047】
【表1】

【0048】
表1は、青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Aと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表1の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
以下の説明において、「正面」とは有機EL素子の表示面に対して鉛直方向から観察することを意味し、「斜め」とは有機EL素子の表示面に対して鉛直方向よりも45°傾けた方向から観察することを意味する。
また、「相対輝度」とは、有機EL素子の表示面(実表示領域)に対して正面(0°)から観察した輝度(100%)に対して、45°斜めから観察した場合(45°)の輝度の割合を意味する。
表1から明らかなように、凹凸部21を有していない従来例では、相対輝度が25.23%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が63.64%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0049】
なお、本実施形態では、凹凸部21を形成するのに、フッ酸処理を用いてガラス基板20の表面20aに多数の凹凸を形成したが、SiO2(シリコン酸化物)やSiN(シリコン窒化物)、アクリル樹脂(樹脂層)等によって青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに付加的に凸状部(凹凸部)を形成してもよい。
具体的に、SiO2やSiNを付加的に表面20aに形成する場合には、例えば、マスクスパッタ法やマスク蒸着法を利用することにより、基板20における青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに、SiO2やSiNの凸状部をパターニング形成する方法が採用される。
また、アクリル樹脂を付加的に形成する場合には、例えば、光硬化性の樹脂層を表面20aの全面に形成した後に、露光マスクを介して露光光を照射し、現像処理を行うことにより、基板20における青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに、アクリル樹脂の凸状部をパターニング形成する方法が採用される。
【0050】
また、本実施形態では、平坦化層22を基板20の全面に形成したが、凹凸部21のみに平坦化層22を形成して、当該凹凸部21の平坦化を行ってもよい。この場合、平坦化層22を塗布する前に、基板20を表面保護テープ等で被覆したり等のマスキング処理を行うことで、凹凸部21を形成した青色画素XBのみに、平坦化層22を形成することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ハーフミラーや誘電体多層膜等を、画素電極23と平坦化層22の間に設ける等、有機EL素子1A内に備えた場合も適用可能である。このようにハーフミラーや誘電体多層膜を備える場合では、発光光の干渉がより起こりやすくなり、色シフトが生じやすくなる傾向があるが、上記のように凹凸部21を設けたことで、発光光を散乱させて、色シフト及び輝度の減少を抑制できる。
【0052】
【表2】

【0053】
表2は、本実施形態における平坦化層22と基板20との屈折率差を変化させた場合について、青色画素XBの発光を斜めから観察した場合(45°)の相対輝度を示している。
また、表2において、「Δn」とは、ガラス基板20と平坦化層22との屈折率の差を意味している。また、表2において、Δnが「0」となっているのは、従来の有機EL素子を示しており、凹凸部21が形成されていない場合を意味する。
【0054】
また、図4は、表2に基づいて得られたグラフであり、横軸に「Δn」、縦軸に相対輝度をプロットしたものである。
表2及び図4から明らかなように、平坦化層22と基板20との屈折率の差が0.08以上である場合において、45°視角から観察した相対輝度が約60%以上となることが分かる。このように、凹凸部21を形成すると共に、平坦化層22と基板20との屈折率の差を0.08以上にすることで、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。また、Δnが正の値でも、負の値でも同様の効果が得られることが確認された。
【0055】
(有機EL素子の第2実施形態)
次に、有機EL素子の第2実施形態を説明する。
本実施形態と第1実施形態とは、凹凸部21が緑色画素XGに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第1実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態において、基板20の表面20aには、緑色画素XGに対応する位置に凹凸部21が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて凹凸部21が設けられている。ここで、「緑色画素XGに対応する位置」とは、有機EL素子1Aの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に緑色画素XGと、凹凸部21とが重なり合う位置にあることを意味している。このような凹凸部21の形成方法は、第1実施形態と同様であり、緑色画素XGに当たる部分の表面20aのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部21を形成している。
【0057】
また、緑色画素XGの有機EL層60Gは、ポリフェニレンビニレン系の高分子材料で形成されている。このような材料は、発光スペクトルピークがやや黄色の領域にある。そのため、緑(550nm前後)の光束を正面に取り出すような構造とした場合、当該正面より斜め方向から有機ELパネルを観察すると、層構造内の干渉によって干渉ピークが短波長にシフトし、発光強度の弱い波長に干渉ピークが来てしまい、550nm前後の光が取り出しにくいという特性を有している。
【0058】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは画素電極23を直接通じて基板20から出射したり、陰極50で反射してから画素電極23を通じて基板20から出射したりする。このとき、凹凸部21が形成された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板20に入射する際に、凹凸部21によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL素子1Aを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
これにより、高分子材料で有機EL層60Gが構成されていたとしても、斜め方向から観察した場合に550nm前後の光を取り出すことができる。
【0059】
【表3】

【0060】
表3は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Aと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表3の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
一般的に、色差が0.02以上の値である場合には、色の変化が観察者によって認識可能である色変化であり、色シフトが顕著に観察されてしまうことを意味している。一方、色差が0.02よりも低い値である程、色の変化が小さいことを意味している。
【0061】
表3に示すように、従来例における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.403 0.582)、斜めから観察した場合(45°)で(0.454 0.552)となり、色差は0.033となった。
これに対し、本実施形態における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.405 0.575)、斜めから観察した場合(45°)で(0.422 0.566)となり、色差は0.010となった。
従って、表3から明らかなように、凹凸部21を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0062】
(有機EL素子の第3実施形態)
次に、有機EL素子の第3実施形態を説明する。
本実施形態と第1実施形態とは、凹凸部21が緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第1実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態において、基板20の表面20aには、緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に凹凸部21が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XG及び青色画素XBにおいて凹凸部21が設けられている。ここで、「緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置」とは、有機EL素子1Aの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に緑色画素XG及び青色画素XBと、凹凸部21とが重なり合う位置にあることを意味している。このような凹凸部21の形成方法は、第1実施形態と同様であり、緑色画素XG及び青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部21を形成している。
【0064】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは画素電極23を直接通じて基板20から出射したり、陰極50で反射してから画素電極23を通じて基板20から出射したりする。このとき、凹凸部21が形成された緑色画素XG及び青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板20に入射する際に、凹凸部21によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに空気界面に放射されるので、有機EL素子1Aを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0065】
【表4】

【0066】
表4は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Aと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表4に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.42 0.41)となり、色差は0.032となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.34 0.35)となり、色差は0.007となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表4から明らかなように、凹凸部21を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0067】
(有機EL素子の第4実施形態)
次に、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第4実施形態を説明する。
図5は、本実施形態の有機EL素子1Bの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態は、陰極50を通じて発光機能層110の発光を取り出すトップエミッション構造である点が、先の実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の有機EL素子(有機EL装置)1Bにおいては、基板20の表面20aにおける青色画素XBに対応する位置に凹凸部21が形成されていると共に、凹凸部21を含む基板20の表面20aの全面に反射層24が形成されている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて凹凸部21が設けられている。これによって、反射層24は、青色画素XBにおいて凹凸部21の形状に倣って凹凸状の表面を有し、本発明の散乱部として機能する。このような反射層24の材料としては、銀(Ag)やアルミニウム等の光反射性の金属が採用される。
【0069】
従って、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々において発光した光は、陰極50を通じて基板20の反対側に出射するだけでなく、反射層24によって反射した後に陰極50を通じて基板20の反対側に、発光光Lとして出射する。そして、緑色画素XG及び赤色画素XRにおいてはその発光光は平坦な反射層24によって陰極50に向けて反射するのに対し、青色画素XBにおいてはその発光光は凹凸状の反射層24によって散乱及び反射する。
【0070】
このような有機EL素子1Bは、トップエミッション型であり、陰極50から発光光を取り出す構造であるため、陰極50の材料としては、透明導電膜のITOが採用される。
また、画素電極23は、赤色画素XRに形成された画素電極23R、緑色画素XGに形成された画素電極23G、及び青色画素XBに形成された画素電極23Bによって構成されている。そして、各画素電極23R,23G,23Bは、その膜厚が各々異なっており、その膜厚の大小関係は、画素電極23R>画素電極23G>画素電極23Bとなっている。このように、画素電極23R,23G,23Bは、膜厚が異なると共に透明性を有するので、光共振器として機能させることができる。即ち、光共振器の光学長を画素電極23R,23G,23B毎に異ならせる(調整する)ことが可能となる。例えば、長波長(例えば赤色光)の発光を行う画素の画素電極23Rの膜厚を長くして、その光学長を合わせることができ、短波長(例えば青色光)の発光を行う画素の画素電極23Bの膜厚を短くして、その光学長を合わせることができる。
その他、画素電極23R、23G、23Bの膜厚を異ならせずに、発光層XR、XG、XBの材料を異ならせることによって、画素を形成することも可能である。
【0071】
また、反射層24の全面には、平坦化層22が形成されている。これによって、基板20の表面20aは、レベリングされた状態となり、平坦化層22が反射層24の表面の凹凸をフラットにすることで、有機EL素子1Bの表示欠陥を抑制する。
【0072】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから画素電極23と陰極50を通じて出射したりする。このとき、凹凸状の反射層24が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、反射層24によって散乱及び反射する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Bを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0073】
【表5】

【0074】
表5は、青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Bと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表5の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表5から明らかなように、凹凸状の反射層24を有していない従来例では、相対輝度が28.54%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が65.75%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0075】
(有機EL素子の第5実施形態)
次に、有機EL素子の第5実施形態を説明する。
本実施形態と第4実施形態とは、緑色画素XGに凹凸状の反射層24が形成されている点が相違している。また、他の構成は、第4実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施形態において、基板20の表面20aには、緑色画素XGに対応する位置に凹凸部21が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて凹凸部21が設けられている。このような凹凸部21の形成方法は、第1実施形態と同様であり、緑色画素XGに当たる部分の表面20aのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部21を形成している。
また、凹凸部21に倣って反射層24が形成されているので、当該反射層24は緑色画素XGの発光光を散乱及び反射させる。
【0077】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから画素電極23と陰極50を通じて出射したりする。このとき、凹凸状の反射層24が形成された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、反射層24によって散乱及び反射する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Bを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
これにより、高分子材料で有機EL層60Gが構成されていたとしても、斜め方向から観察した場合に550nm前後の光を取り出すことができる。
【0078】
【表6】

【0079】
表6は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Bと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表6の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
【0080】
表6に示すように、従来例における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.229 0.682)、斜めから観察した場合(45°)で(0.205 0.565)となり、色差は0.030となった。
これに対し、本実施形態における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.220 0.652)、斜めから観察した場合(45°)で(0.210 0.620)となり、色差は0.008となった。即ち、本実施形態では、色差が0.02よりも小さくなるので、観察者から見て色シフトが認識されないものとなる。
従って、表6から明らかなように、凹凸状の反射層24を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0081】
(有機EL素子の第6実施形態)
次に、有機EL素子の第6実施形態を説明する。
本実施形態と第4実施形態とは、緑色画素XG及び青色画素XBに凹凸状の反射層24が形成されている点が相違している。また、他の構成は、第4実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
本実施形態において、基板20の表面20aには、緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に凹凸部21が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XG及び青色画素XBにおいて凹凸部21が設けられている。このような凹凸部21の形成方法は、第1実施形態と同様であり、緑色画素XG及び青色画素XBに当たる部分の表面20aのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部21を形成している。
また、凹凸部21に倣って反射層24が形成されているので、当該反射層24は緑色画素XG及び青色画素XBの発光光を散乱及び反射させる。
【0083】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから画素電極23と陰極50を通じて出射したりする。このとき、凹凸状の反射層24が形成された緑色画素XG及び青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、反射層24によって散乱及び反射する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Bを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0084】
【表7】

【0085】
表7は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Bと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表7に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.38 0.36)となり、色差は0.032となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.337 0.345)となり、色差は0.009となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表7から明らかなように、凹凸状の反射層24を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0086】
(有機EL素子の第7実施形態)
次に、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第7実施形態を説明する。
図6は、本実施形態の有機EL素子1Cの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態は、対向基板を備えたトップエミッション構造である点が、先の実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
本実施形態の有機EL素子(有機EL装置)1Cは、基板20に対向配置された対向基板30と、基板20及び対向基板30を接着する接着層35とを備えている。そして、基板20と対向基板30との間に、先述の画素電極23及び陰極50によって挟持された発光機能層110が形成されている。
ここで、対向基板30は、トップエミッション型の有機ELパネルを構成する基板であるため、ガラス基板等の透明基板が採用される。本実施形態では、基板20と同一の屈折率(550nmの波長を有する光に対して1.54の屈折率)を有するガラス基板を対向基板30として採用している。
また、対向基板30と発光機能層110の間において、当該対向基板30の表面30aには、青色画素XBに対応する位置に凹凸部(散乱部)31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて凹凸部31が設けられている。ここで、「青色画素XBに対応する位置」とは、有機EL素子1Cの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に青色画素XBと、凹凸部31とが重なり合う位置にあることを意味している。また、換言すると、このような凹凸部31は、基板20と発光機能層110(後述)の間において、対向基板30の表面30aに形成された部位である。
また、このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0088】
接着層35は、例えばアクリルやエポキシ等の樹脂充填剤からなる層膜である。また、当該接着層35は、基板20の陰極50の表面を被覆するように塗布されたり、或いは、対向基板30の表面30aを被覆するように塗布されたりした後に、基板20と対向基板30とを貼り合わせることで、当該両基板20,30の間に充填される。
【0089】
また、本実施形態の有機EL素子1Cにおいては、基板20上に反射膜24が形成され、当該反射膜24上に画素電極23(23B,23G,23R)が形成されている。ここで、画素電極23は、必ずしも透明導電膜によって形成される必要はなく、金属反射膜であってもよい。このようにすれば、反射膜24は不要になり、製造工程数を削減できる。
【0090】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及び対向基板30を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及び対向基板30を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、対向基板30に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Cを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0091】
【表8】

【0092】
表8は、青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Cと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表8の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表8から明らかなように、凹凸部31を有していない従来例では、相対輝度が28.54%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が60.28%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0093】
(有機EL素子の第8実施形態)
次に、有機EL素子の第8実施形態を説明する。
本実施形態と第7実施形態とは、凹凸部31が緑色画素XGに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第7実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
本実施形態において、対向基板30の表面30aには、緑色画素XGに対応する位置に凹凸部31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて凹凸部31が設けられている。このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0095】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及び対向基板30を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及び対向基板30を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、対向基板30に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Cを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
これにより、高分子材料で有機EL層60Gが構成されていたとしても、斜め方向から観察した場合に550nm前後の光を取り出すことができる。
【0096】
【表9】

【0097】
表9は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Cと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表9の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
【0098】
表9に示すように、従来例における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.229 0.682)、斜めから観察した場合(45°)で(0.205 0.565)となり、色差は0.030となった。
これに対し、本実施形態における緑色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.220 0.652)、斜めから観察した場合(45°)で(0.213 0.618)となり、色差は0.008となった。即ち、本実施形態では、色差が0.02よりも小さくなるので、観察者から見て色シフトが認識されないものとなる。
従って、表9から明らかなように、凹凸状の反射層24を有していない従来例と比較して、本実施形態では、若干、正面のx値が増加し、僅かに青色味がかかったが、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0099】
(有機EL素子の第9実施形態)
次に、有機EL素子の第9実施形態を説明する。
本実施形態と第7実施形態とは、緑色画素XG及び青色画素XBに凹凸状の反射層24が形成されている点が相違している。また、他の構成は、第7実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
本実施形態において、対向基板30の表面30aには、緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に凹凸部31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XG及び青色画素XBにおいて凹凸部31が設けられている。このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0101】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及び対向基板30を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及び対向基板30を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された緑色画素XG及び青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、対向基板30に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Cを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0102】
【表10】

【0103】
表10は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Cと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表10に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.38 0.36)となり、色差は0.032となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.348 0.344)となり、色差は0.012となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表10から明らかなように、凹凸状の反射層24を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0104】
(有機EL素子の第10実施形態)
次に、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第10実施形態を説明する。
図7は、本実施形態の有機EL素子1Dの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態は、カラーフィルタ基板を備えたトップエミッション構造である点が、先の実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施形態の有機EL素子(有機EL装置)1Dは、基板20に対向配置されたカラーフィルタ基板40と、基板20及びカラーフィルタ基板40を接着する接着層35とを備えている。そして、基板20とカラーフィルタ基板40との間に、先述の画素電極23及び陰極50によって挟持された発光機能層110が形成されている。
ここで、カラーフィルタ基板40は、基板本体41と、着色層42(42B,42G,42R)とを備えている。
【0106】
基板本体41は、トップエミッション型の有機ELパネルを構成する基板であるため、ガラス基板等の透明基板が採用される。本実施形態では、基板20と同一の屈折率(550nmの波長を有する光に対して1.54の屈折率)を有するガラス基板を基板本体41として採用している。
【0107】
着色層42は、基板本体41と接着層35との間に位置していると共に、着色層42B,42G,42Rの各々は、単位画素群Pxの複数の画素XB,XG,XRに各々対応して設けられている。即ち、青色発光の有機EL層60Bには着色層42Bが対応し、緑色発光の有機EL層60Gには着色層42Gが対応し、赤色発光の有機EL層60Rには着色層42Rが対応している。
これによって、有機EL層60B,60G,60Rの各色の発光光は、同色の着色層を通過するので、各画素XB,XG,XRの各々から出射される各色光は、色濃度が高い色を有することとなる。また、このような着色層42を備えたことで、有機EL層60B,60G,60Rの発光の色補正を行うことが可能となる。
【0108】
なお、有機EL層60B,60G,60Rに代えて、各画素XB,XG,XRの各々が白色発光可能な有機EL層を備えていてもよい。この場合、白色光が着色層42Bを透過することで画素XBから青色光を得ることができ、白色光が着色層42Gを透過することで画素XGから緑色光を得ることができ、白色光が着色層42Rを透過することで画素XRから赤色光を得ることができる。
【0109】
また、基板本体41と着色層42(42B,42G,42R)の間において、当該基板本体41の表面30aには、青色画素XBに対応する位置に凹凸部(散乱部)31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて凹凸部31が設けられている。ここで、「青色画素XBに対応する位置」とは、有機EL素子1Dの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に青色画素XBと、凹凸部31とが重なり合う位置にあることを意味している。また、換言すると、このような凹凸部31は、基板本体41と着色層42の間において、基板本体41の表面41aに形成された部位である。
また、このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態の有機EL素子1Dにおいては、基板20上に反射膜24が形成され、当該反射膜24上に画素電極23が形成されている。ここで、画素電極23は、必ずしも透明導電膜によって形成される必要はなく、金属反射膜であってもよい。このようにすれば、反射膜24は不要になり、製造工程数を削減できる。
また、有機EL素子1Dにおいては、画素電極23を画素XB,XG,XRの各々に対して異なる膜厚で形成して、光共振器の光学長を調整してもよい(図5、図6参照)。
【0111】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板本体41に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
これに対し、凹凸部31が形成されていない従来では、光路長が長くなると着色層42の透過範囲から外れてしまい輝度が暗くなってしまう。また、着色層42には吸収スペクトルがあり、色シフトが緩和されるといっても、ピーク波長が長波長側にシフトすれば、視認でき得る色シフトの原因となる。
これに対して、本実施形態においては、凹凸部31を有する青色画素XBにおいて様々な光路長を有する干渉光は、基板本体41に入射する際に、凹凸部31によって散乱される。従って、様々な光路長を有する干渉光束、つまり、様々な色の干渉光束がランダムに放射されるので、有機EL素子1Dを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0112】
【表11】

【0113】
表11は、青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Dと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表11の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表11から明らかなように、凹凸部31を有していない従来例では、相対輝度が25.68%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が66.14%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0114】
(有機EL素子の第11実施形態)
次に、有機EL素子の第11実施形態を説明する。
本実施形態と第10実施形態とは、凹凸部31が緑色画素XGに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第10実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
本実施形態において、基板本体41の表面41aには、緑色画素XGに対応する位置に凹凸部31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて凹凸部31が設けられている。このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0116】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板本体41に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Cを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
また、本実施形態では、緑色の発光量が高分子系よりも少ない低分子系材料を用いる場合において、緑色の視角を広げることが可能となるので、高輝度広視角を得やすくなる。
また、高分子材料で有機EL層60Gが構成されていたとしても、斜め方向から観察した場合に550nm前後の光を取り出すことができる。
【0117】
【表12】

【0118】
表12は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Dと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表12の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表12から明らかなように、凹凸部31を有していない従来例では、相対輝度が44.61%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が50.28%となった。従って、本実施形態では、緑色画素XGの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0119】
(有機EL素子の第12実施形態)
次に、有機EL素子の第12実施形態を説明する。
本実施形態と第10実施形態とは、凹凸部31が緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第10実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0120】
本実施形態において、基板本体41の表面41aには、緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に凹凸部31が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XG及び青色画素XBにおいて凹凸部31が設けられている。このような凹部31の形成方法は、先述の凹部21の形成方法と同様であり、対向基板30の表面30aに対してフッ酸処理を行うことにより、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹部31を形成することが可能となる。
【0121】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部31が形成された緑色画素XG及び青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、基板本体41に入射する際に、凹凸部31によって散乱する。
従って、上述したように、様々な光路長を有する干渉光束が、つまり、様々な色の干渉光束が混在して、ランダムに放射されるので、有機EL素子1Dを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0122】
【表13】

【0123】
表13は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Dと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表13に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.38 0.36)となり、色差は0.032となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.344 0.344)となり、色差は0.010となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表13から明らかなように、凹凸部31を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0124】
(有機EL素子の第13実施形態)
次に、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第13実施形態を説明する。
図8(A)は、本実施形態の有機EL素子1Eの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態は、トップエミッション構造においてカラーフィルタ基板にオーバーコート層が形成されている点が、先の実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0125】
本実施形態の有機EL素子(有機EL装置)1Eは、基板20に対向配置されたカラーフィルタ基板40と、基板20及びカラーフィルタ基板40を接着する接着層35とを備えている。そして、基板20とカラーフィルタ基板40との間に、先述の画素電極23及び陰極50によって挟持された発光機能層110が形成されている。
ここで、カラーフィルタ基板40は、基板本体41から発光機能層110に向けて、着色層42(42B,42G,42R)と、オーバーコート層43とを備えている。
また、有機EL装置1Eにおいては、画素電極23を画素XB,XG,XRの各々に対して異なる膜厚で形成することで光共振器の光学長を調整してもよい(図5、図6参照)。
【0126】
オーバーコート層43は、着色層42とは異なる屈折率の樹脂材料によって形成された層膜である。また、オーバーコート層43と着色層42との界面において、青色画素XBに対応する着色層42Bの表面に凹凸部(散乱部)45が形成されている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて凹凸部45が設けられている。また、緑色画素XG及び赤色画素XRには、このような凹凸部45は形成されておらず、平坦面となっている。
【0127】
このような着色層42及びオーバーコート層43の形成方法について説明する。
まず、青色画素XBにおいて、基板本体31の表面に青のアクリル材料からなる着色層42Bを形成し、その後に当該着色層42Bに対して10秒間のオゾンプラズマ処理を行う。これによって、着色層42Bの表面が0.01〜0.5μmの深さのランダムな凹凸を有することとなり、凹凸部45が形成される。その後、緑色画素XGに着色層42G、赤色画素XRに着色層42Rを形成した。その後、オーバーコート層43を例えばスピンコート法によって形成する。以上の工程により、基板本体41上に着色層42及びオーバーコート層43が形成される。
また、オーバーコート層43が形成された後には、カラーフィルタ基板40と基板20とを接着層35を介して貼り合わせることで、有機EL素子1Eが形成される。
【0128】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部45が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、オーバーコート層43と、着色層42Bとの界面に入射する際に、凹凸部45によって散乱する。従って、様々なピーク波長を有する干渉光束出射方向が変化するため、有機EL素子1Eを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0129】
(有機EL素子の第13実施形態の変形例)
次に、有機EL素子の第13実施形態の変形例を説明する。
図8(B)は、本変形例の有機EL素子1Fの単位画素群を模式的に示す断面図である。本変形例は、凹凸部45がオーバーコート層43に形成されている点が、先の第13実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0130】
本変形例の有機EL素子(有機EL装置)1Fにおいては、オーバーコート層43が着色層42とは異なる屈折率の樹脂材料によって形成された層膜となっている。また、オーバーコート層43と接着層35との界面において、青色画素XBに対応するオーバーコート層43の表面に凹凸部45が形成されている。また、緑色画素XG及び赤色画素XRには、このような凹凸部45は形成されておらず、平坦面となっている。
【0131】
このようなオーバーコート層43の形成方法について説明する。
まず、青色画素XBに着色層42B、緑色画素XGに着色層42G、赤色画素XRに着色層42Rを形成する。その後、着色層42B,42G,42Rの表面に対し、例えばスピンコート法によってオーバーコート層43を形成する。その後、青色画素XBに対応するオーバーコート層43のみに対して、10秒間のオゾンプラズマ処理を行う。これによって、青色画素XBにおけるオーバーコート層43の表面が0.01〜0.5μmの深さのランダムな凹凸を有することとなり、凹凸部45が形成される。以上の工程により、基板本体41上に着色層42及びオーバーコート層43が形成される。
また、オーバーコート層43が形成された後には、カラーフィルタ基板40と基板20とを接着層35を介して貼り合わせることで、有機EL素子1Eが形成される。
【0132】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部45が形成された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、接着層35とオーバーコート層43との界面に入射する際に、凹凸部45によって散乱する。従って、様々なピーク波長を有する干渉光束出射方向が変化するため、斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0133】
【表14】

【0134】
表14は、上記の第13実施形態における青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Eと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表14の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表14から明らかなように、凹凸部45を有していない従来例では、相対輝度が22.23%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が60.02%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
また、上記の第13実施形態の変形例においても、同様の結果が得られた。
【0135】
【表15】

【0136】
表15は、第13実施形態及びその変形例について、着色層42とオーバーコート層43との屈折率差や、オーバーコート層43と接着層35との屈折率差を変化させた場合について、青色画素XBの発光を斜めから観察した場合(45°)の相対輝度を示している。
また、表15において、「Δn」とは、着色層42とオーバーコート層43との屈折率差、又は、オーバーコート層43と接着層35との屈折率差、を意味している。また、表15において、Δnが「0」となっているのは、凹凸部45が形成されていない場合を意味する。
【0137】
表15から明らかなように、上記の屈折率の差が0.08である場合において、45°視角から観察した相対輝度が約57%以上となり、また、屈折率の差が0.08よりも大きい場合には相対輝度が更に大きくなることが分かる。このように、凹凸部45を形成すると共に、着色層42とオーバーコート層43との屈折率差、又は、オーバーコート層43と接着層35との屈折率差を、0.08以上にすることで、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。また、Δnが正の値でも、負の値でも同様の効果が得られることが確認された。
【0138】
(有機EL素子の第14実施形態)
次に、有機EL素子の第14実施形態を説明する。
本実施形態と第13実施形態とは、凹凸部45が緑色画素XGに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第13実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0139】
本実施形態において、緑色画素XGの着色層42Gには凹凸部45が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて凹凸部45が設けられている。このような凹凸部45の形成方法は、第13実施形態と同様であり、緑色画素XGに当たる部分の着色層42Gのみに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部45を形成している。
【0140】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部45が形成された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、オーバーコート層43と、着色層42Bとの界面に入射する際に、凹凸部45によって散乱する。従って、様々なピーク波長を有する干渉光束出射方向が変化するため、有機EL素子1Eを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0141】
【表16】

【0142】
表16は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Eと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表16の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表16から明らかなように、凹凸部45を有していない従来例では、相対輝度が40.22%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が48.66%となった。従って、本実施形態では、緑色画素XGの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0143】
(有機EL素子の第15実施形態)
次に、有機EL素子の第15実施形態を説明する。
本実施形態と第13実施形態とは、凹凸部45が緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第13実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0144】
本実施形態において、青色画素XBの着色層42Bと緑色画素XGの着色層42Gとに対して凹凸部45が設けられている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XB及び緑色画素XGにおいて凹凸部45が設けられている。このような凹凸部45の形成方法は、第13実施形態と同様であり、着色層42B,42Gに、高さ0.01〜0.5μmのランダムな多数の凹凸を有する凹凸部45を形成している。
【0145】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、凹凸部45が形成された青色画素XB及び緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光は、オーバーコート層43と、着色層42B,42Gとの界面に入射する際に、凹凸部45によって散乱する。従って、様々なピーク波長を有する干渉光束出射方向が変化するため、有機EL素子1Eを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0146】
【表17】

【0147】
表17は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Eと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表17に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.371 0.362)となり、色差は0.027となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.332 0.341)となり、色差は0.007となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表17から明らかなように、凹凸部45を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0148】
(第16実施形態)
次に、有機ELパネル1を構成する有機EL素子の第16実施形態を説明する。
図9は、本実施形態の有機EL素子1Gの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態は、接着層35に樹脂粒子(粒子)が含有されている点が、先の実施形態と相違している。以下の説明では、先の実施形態と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0149】
本実施形態の有機EL素子(有機EL装置)1Gは、基板20に対向配置されたカラーフィルタ基板40と、基板20及びカラーフィルタ基板40を接着する接着層35とを備えている。
接着層35は、例えばアクリルやエポキシ等の樹脂充填剤35aを主材料とし、青色画素XGに対応する位置に複数の樹脂粒子(散乱部)36を含んで構成されている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された青色画素XBにおいて樹脂粒子36が設けられている。ここで、「青色画素XBに対応する位置」とは、有機EL素子1Gの実表示領域4に対して鉛直方向から見た場合に青色画素XBと、複数の樹脂粒子36とが重なり合う位置にあることを意味している。
ここで、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率は異なっている。また、樹脂粒子36は、粒子状であればよく、微視的に見て樹脂球体であっても、樹脂片であってもよい。また、樹脂材料に限らず、屈折率が樹脂充填剤35aと異なる有機材料や無機材料であってもよい。
また、有機EL装置1Gにおいては、画素電極23を画素XB,XG,XRの各々に対して異なる膜厚で形成して、光共振器の光学長を調整してもよい(図5、図6参照)。
【0150】
また、樹脂粒子36を樹脂充填剤35aに含ませる工程としては、樹脂充填剤35aをカラーフィルタ基板40上又は基板20上に塗布した後に、青色画素XBに当たる部分のみに樹脂粒子36を分散させる方法が挙げられる。或いは、樹脂粒子36を樹脂充填剤35aに分散させた塗布材料をディスペンサ等によって青色画素XBに当たる部分のみに吐出し、緑色画素XGや赤色画素XRには樹脂充填剤35aのみを吐出する方法が挙げられる。
また、樹脂粒子36及び樹脂充填剤35aを含む接着層35がカラーフィルタ基板40上又は基板20上に塗布された後には、当該基板20,40を貼り合わせることで、有機EL素子1Gが形成される。
【0151】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、複数の樹脂粒子36が分散された青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光が接着層35を透過する際に、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差によって散乱する。従って、様々なピーク波長をもつ干渉光束の進行方向が、その屈折率差によって変化するために、有機EL素子1Gを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0152】
【表18】

【0153】
表18は、青色画素XBの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Gと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表18の結果は、青色画素XBのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表18から明らかなように、樹脂粒子36を有していない従来例では、相対輝度が23.15%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が65.66%となった。従って、本実施形態では、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0154】
【表19】

【0155】
表19は、第16実施形態の有機EL素子1Gについて、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差を変化させた場合について、青色画素XBの発光を斜めから観察した場合(45°)の相対輝度を示している。
また、表19において、「Δn」とは、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差を意味している。また、表19において、Δnが「0」となっているのは、樹脂粒子36が接着層35に含まれていない場合を意味する。
【0156】
表19から明らかなように、上記の屈折率の差が0.08である場合において、45°視角から観察した相対輝度が約60%以上となり、また、屈折率の差が0.08よりも大きい場合には相対輝度が更に大きくなることが分かる。このように、接着層35に樹脂粒子36が含んでいると共に、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差を0.08以上にすることで、青色画素XBの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。また、Δnが正の値でも、負の値でも同様の効果が得られることが確認された。
【0157】
(有機EL素子の第17実施形態)
次に、有機EL素子の第17実施形態を説明する。
本実施形態と第16実施形態とは、複数の樹脂粒子36が緑色画素XGに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第16実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0158】
本実施形態においては、緑色画素XGに対応させて、接着層35に樹脂粒子36が含有されている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XGにおいて樹脂粒子36が設けられている。このように接着層35に樹脂粒子36を分散させる方法は、第16実施形態と同様である。
【0159】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、複数の樹脂粒子36が分散された緑色画素XGにおいては、様々な光路長を有する干渉光が接着層35を透過する際に、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差によって散乱する。従って、様々なピーク波長をもつ干渉光束の進行方向が、その屈折率差によって変化するために、有機EL素子1Gを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
また、本実施形態では、緑色の発光量が高分子系よりも少ない低分子系材料を用いる場合において、緑色の視角を広げることが可能となるので、高輝度広視角を得やすくなる。
また、高分子材料で有機EL層60Gが構成されていたとしても、斜め方向から観察した場合に550nm前後の光を取り出すことができる。
【0160】
【表20】

【0161】
表20は、緑色画素XGの発光光を正面または斜めから観察した場合の相対輝度について、本実施形態の有機EL素子1Gと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表20の結果は、緑色画素XGのみを発光させ、他の画素は非発光として測定したものである。
表20から明らかなように、樹脂粒子36を有していない従来例では、相対輝度が40.28%であるのに対し、本実施形態では相対輝度が49.65%となった。従って、本実施形態では、緑色画素XGの輝度の減少が抑制されることが確認された。また、輝度減少が抑制されることで、色シフトが抑制されることが確認された。
【0162】
本実施形態では、屈折率の異なる樹脂片や樹脂球が分散された接着層35を用いることで、上記の効果を得ているが、散乱機能を有する樹脂であれば、他の材料であってもよい。
【0163】
(有機EL素子の第18実施形態)
次に、有機EL素子の第18実施形態を説明する。
本実施形態と第16実施形態とは、複数の樹脂粒子36が緑色画素XG及び青色画素XBに対応する位置に設けられている点が相違している。また、他の構成は、第16実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0164】
本実施形態においては、緑色画素XG及び青色画素XBに対応させて、接着層35に樹脂粒子36が含有されている。即ち、単位画素群Pxのうちの選択された緑色画素XG及び青色画素XBにおいて樹脂粒子36が設けられている。このように接着層35に樹脂粒子36を分散させる方法は、第16実施形態と同様である。
【0165】
本実施形態においては、有機EL層60(60B,60G,60R)が発光すると、発光光Lは陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて直接出射したり、反射層24で反射してから陰極50及びカラーフィルタ基板40を通じて出射したりする。このとき、複数の樹脂粒子36が分散された緑色画素XG及び青色画素XBにおいては、様々な光路長を有する干渉光が接着層35を透過する際に、樹脂充填剤35aと樹脂粒子36との屈折率差によって散乱する。従って、様々なピーク波長をもつ干渉光束の進行方向が、その屈折率差によって変化するために、有機EL素子1Gを斜め(広角)から見たときの色シフトや輝度の減少を抑制できる。
【0166】
【表21】

【0167】
表21は、単位画素群Pxを全発光させた白色光を正面または斜めから観察した場合の色座標(x、y)と色差(Δu´v´)について、本実施形態の有機EL素子1Gと従来の有機EL素子とを比較した結果を示している。
表21に示すように、従来例における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.38 0.35)となり、色差は0.032となった。このような従来例では、斜めから観察すると、緑色光の色シフトが生じたり、青色光の輝度が減少したりすることで、全体的に赤味かかった黄色系の白色光となってしまう。
これに対し、本実施形態における白色光の色座標(x、y)は、正面から観察した場合(0°)で(0.33 0.33)、斜めから観察した場合(45°)で(0.348 0.344)となり、色差は0.012となった。このような本実施形態では、正面や斜めから観察しても殆ど白色光の変色が生じないことが確認された。
表21から明らかなように、凹凸部31を有していない従来例と比較して、本実施形態では、広角から観察したときの色シフトが大きく低減された。
【0168】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器について説明する。
電子機器は、上述した有機ELパネル1を表示部として有したものであり、具体的には図10に示すものが挙げられる。
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、携帯電話1000は、上述した有機ELパネル1を用いた表示部1001を備える。
図10(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(b)において、時計1100は、上述した有機ELパネル1を用いた表示部1101を備える。
図10(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(c)において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1201、上述した有機ELパネル1を用いた表示部1202、情報処理装置本体(筐体)1203を備える。
図10(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、上述した有機ELパネル(有機EL装置)1を有した表示部1001,1101,1202を備えているので、表示部を構成する有機EL装置の高輝度化を実現すると共に、色シフトが抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の有機EL装置に係る有機ELパネルの配線構造を示す模式図。
【図2】本発明の有機EL装置に係る有機ELパネルの構成を模式的に示す平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の相対輝度を説明するための図。
【図5】本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図6】本発明の第7実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図7】本発明の第10実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の第13実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図9】本発明の第16実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図。
【図10】本発明の有機EL装置を備える電子機器を示す図。
【符号の説明】
【0170】
1 有機ELパネル(有機エレクトロルミネッセンス装置)、 1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G 有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス装置)、 20 基板、 21,31,45 凹凸部(散乱部)、 22 平坦化層、 23,23B,23G,23R 画素電極(第1電極)、 24 反射層、 30対向基板、 35 接着層、 35a 樹脂充填剤、 36 樹脂粒子(粒子、散乱部)、 40 カラーフィルタ基板、 41 基板本体、 42,42B,42R,42R 着色層、 43 オーバーコート層、 50 陰極(第2電極)、 55 電子輸送層(発光機能層)、 60,60B,60G,60R,有機EL層(発光機能層)、 70 正孔輸送層(発光機能層)、 110 発光機能層、 1000,1100,1200 電子機器、 Px 単位画素群、 L 発光光、 XG 緑色画素(画素)、 XB 青色画素(画素)、 XR 赤色画素(画素)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記単位画素群のうちの選択された画素には、前記発光機能層の発光光を散乱させる散乱部が設けられていること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記単位画素群において、
前記複数の画素は、各々、赤色、緑色、及び青色の光を出射するものであって、
前記散乱部は、緑色画素又は/及び青色画素に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記散乱部は、
前記基板と前記発光機能層の間において、前記基板の表面が可視光を散乱しうる凹凸部を有することによって形成されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記散乱部に接して、平坦化層が形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記平坦化層の屈折率は、前記基板の屈折率とは異なること、
を特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記散乱部は、
前記凹凸部に形成された反射層であること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記基板に対向配置された対向基板と、前記基板及び前記対向基板を接着する接着層とを有し、
前記散乱部は、
前記対向基板と前記発光機能層の間において、前記対向基板の表面に形成された凹凸部であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記接着層の屈折率は、前記対向基板の屈折率とは異なること、
を特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
前記基板に対向配置されたカラーフィルタ基板と、前記基板及び前記カラーフィルタ基板を接着する接着層とを有し、
当該カラーフィルタ基板は、当該カラーフィルタ基板から前記発光機能層に向けて、基板本体と、前記単位画素群の前記複数の画素に各々対応する複数色の着色層とを有し、
前記散乱部は、前記基板本体と前記着色層の間において、前記基板本体の表面に形成された凹凸部であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
前記基板に対向配置されたカラーフィルタ基板と、前記基板及び前記カラーフィルタ基板を接着する接着層とを有し、
当該カラーフィルタ基板は、当該カラーフィルタ基板から前記発光機能層に向けて、基板本体と、前記単位画素群の前記複数の画素に各々対応する複数色の着色層と、オーバーコート層とを有し、
前記散乱部は、前記オーバーコート層の表面、又は、前記着色層の表面に形成された凹凸部であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
前記接着層は、樹脂充填剤と、前記散乱部としての粒子とを有し、
当該粒子の屈折率は、前記樹脂充填剤の屈折率とは異なること、
を特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項12】
基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記単位画素群のうちの選択された画素に、前記発光機能層の発光光を散乱させる散乱部を形成する工程を含むこと、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項13】
前記散乱部を形成する工程は、
前記基板に対してフッ酸処理を施すことによって、
又は、
前記基板に対して、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及び樹脂層のいずれかをパターニング形成することによって、
前記基板に凹凸部を形成すること、
を特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項14】
前記散乱部を形成する工程は、
樹脂層を形成した後に、当該樹脂層にオゾンプラズマ処理を施して、当該樹脂層に凹凸部を形成すること、
を特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−73219(P2007−73219A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256080(P2005−256080)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】