説明

有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法

【課題】寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【解決手段】
基板、該基板上に設けられた第1の電極、該第1の電極上に設けられ複数の画素を画成する隔壁、及び該隔壁に囲まれた前記第1の電極上に形成された有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記有機層は、電荷注入層、電荷輸送層及び発光層のうちのいずれか1つであり、前記有機層の表面において、飛行時間二次イオン質量分析によって測定される炭素のイオン強度に対するフッ素のイオン強度の比によって定義されるフッ素化合物量を25以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの有機エレクトロルミネッセンス装置が注目されている。有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、陰極と、該陽極及び該陰極間に配置される発光層とを含み、該陽極及び該陰極からそれぞれ注入される正孔及び電子が、該発光層において結合することによって発光する。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる発光層などの有機層の成膜方法としては、乾式成膜法、塗布法が挙げられる。中でも塗布法で成膜することで、成膜工程の簡便化、基板の大面積化が容易となる。具体的には、有機層に含まれる有機化合物を含む溶液を基板上に塗布して塗布膜を形成し、その後、形成した塗布膜を乾燥して有機層を形成することができる。
【0004】
赤色、緑色及び青色を発光する有機エレクトロルミネッセンス装置に含まれる発光層を塗布法で製造するためには、赤色発光材料を含む溶液、緑色発光材料を含む溶液、青色発光材料を含む溶液を基板上に塗り分ける必要がある。塗り分ける方法としては、隔壁で画素と画素との間を仕切り、隔壁の表面を撥液性にする方法が挙げられる。隔壁の表面を撥液性にする工程を含む有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法として、例えば、隔壁の表面に、酸素ガスプラズマ処理及びフロロカーボンガスプラズマ処理を連続して施す工程を含む方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−103381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記方法で製造した有機エレクトロルミネッセンス装置は、寿命が十分でなく、寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる方法が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することが可能な方法及び寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、有機層を形成する前に、隔壁等の画素を構成するための領域を有機溶媒で洗浄することにより、長寿命化が図れることを見出して完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、
基板、該基板上に設けられた第1の電極、該第1の電極上に設けられており複数の画素を画成する隔壁、及び該隔壁に囲まれた前記第1の電極上に形成された有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記基板上に第1の電極を形成する電極形成工程と、
前記第1の電極上に前記隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁にフッ素化合物をプラズマ化して照射するプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理工程後に、前記隔壁及び隔壁に囲まれた第1の電極を有機溶媒で洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後に、前記隔壁に囲まれた第1の電極上に有機化合物を含むインクを塗布して有機層を形成する有機層形成工程と、
を含む。
ここで、本発明において、有機層とは、正孔又は電子注入層、正孔又は電子輸送層、発光層等の有機物によって構成される全ての層を含む。
【0010】
本発明のある形態では、前記洗浄工程において、有機溶媒を超音波振動させる。
【0011】
本発明のある形態では、前記洗浄工程に用いる有機溶媒がハロゲン化物である。
【0012】
本発明のある形態では、ハロゲン化物がフッ素化合物である。
【0013】
本発明のある形態では、前記洗浄工程に用いる有機溶媒がアルコールである。
【0014】
本発明のある形態では、前記洗浄工程において、前記有機溶媒の温度が25〜200℃の範囲にある。
【0015】
本発明のある形態では、前記インクを印刷法で塗布する。
【0016】
本発明のある形態では、前記インクをインクジェット法又はノズルプリンティング法で塗布する。
【0017】
本発明のある形態では、前記有機化合物が高分子化合物である。
【0018】
本発明のある形態では、前記有機化合物が有機発光材料である。
【0019】
本発明のある形態では、前記有機化合物が正孔輸送有機物である。
【0020】
本発明のある形態では、基板、該基板上に設けられた第1の電極、該第1の電極上に設けられ複数の画素を画成する隔壁、及び該隔壁に囲まれた前記第1の電極上に形成された有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記有機層は、電荷注入層、電荷輸送層及び発光層のうちのいずれか1つであり、前記有機層の表面において、飛行時間二次イオン質量分析によって測定される炭素のイオン強度に対するフッ素のイオン強度の比によって定義されるフッ素化合物量は25以下である有機エレクトロルミネッセンス装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上のように構成された本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、プラズマ処理工程後に、隔壁及び該隔壁に囲まれた第1の電極を有機溶媒で洗浄する洗浄工程と、該洗浄工程後に、該隔壁に囲まれた第1の電極上に有機化合物を含むインクを塗布して有機層を形成する有機層形成工程とを含むので、画素上に付着してしまったフッ素化合物を低減でき、そのため、寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
【0022】
また、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置は、電荷注入層、電荷輸送層及び発光層のうちのいずれか1つである有機層の表面において、飛行時間二次イオン質量分析によって測定される炭素のイオン強度に対するフッ素のイオン強度の比によって定義されるフッ素化合物量を25以下にしたことにより、長い寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の製造方法で製造した有機エレクトロルミネッセンス装置に含まれる有機エレクトロルミネッセンス素子の一形態の構造を示す図である。
【図2】本発明の製造方法で製造した有機エレクトロルミネッセンス装置に含まれる有機エレクトロルミネッセンス素子の他の形態の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0025】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に係り、その製造方法により製造される有機エレクトロルミネッセンス装置は、それぞれ基板上に隔壁8で仕切られた領域に有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている複数の画素を備えている。図1の断面図には、その有機エレクトロルミネッセンス装置において、一画素を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子1の一例を示している。尚、図1には、基板2上に第1の電極3、発光層6及び第2の電極7を備えた簡単な構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を示しているが、有機エレクトロルミネッセンス素子は、さらに電荷注入層及び/又は電荷輸送層のような機能層を有していても良い。また、第1の電極3及び第2の電極7の一方は陽極であり、他方は陰極である。さらに、第1の電極3及び第2の電極7の一方は透明電極であり、その透明電極を介して光が出射される。また、各有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば、赤色、緑色、青色等の色を発光するように構成され、目的に応じて適宜配列される。
【0026】
以下、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子1を例として、実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明する。有機エレクトロルミネッセンス素子1の構成要素の詳細については、後述する。
【0027】
第1の工程(電極形成)
本実施形態の方法の第1の工程は、基材上に第1の電極3を形成する工程である。
【0028】
第1の電極3としては、陽極を通して発光層からの光を取り出す構成の有機EL素子の場合、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極又は半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好ましい。
【0029】
具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、及び銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズから成る薄膜がより好ましい。
【0030】
第1の電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。成膜性、プロセス簡便性の観点から、スパッタリング法で成膜することが好ましい。
【0031】
第2の工程(隔壁形成)
本実施形態の製造方法の第2の工程は、第1の電極3上に隔壁8を形成する工程である。
【0032】
隔壁8は、単層構造でも多層構造でもよく、各画素間に配置されていてもよい。また、隔壁8はパターニングされていてもよい。
【0033】
隔壁8の材質としては、発光層等の有機層の形成に用いる溶媒に不溶な材料又は難溶な材料が好ましい。該材料としては、例えば、無機材料、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。無機材料としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの材料の中でも、耐熱性、機械的性質及び化学的性質の観点からは、ポリイミド及びアクリル樹脂が好ましい。隔壁の撥液性を高めるという観点からは、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物が好ましい。
【0034】
隔壁8の形成方法は、蒸着法、塗布法等が挙げられる。隔壁の製造の容易さの観点からは、塗布法が好ましい。隔壁8を塗布法で形成する方法としては、隔壁の材料を溶媒に溶解して溶液を調製し、該溶液を第1の電極3上に塗布し、塗布した溶液を乾燥して成膜する方法が好ましい。隔壁の材料を含む溶液を第1の電極上の所定の領域に塗布し、乾燥して隔壁8を形成してもよい。また、第1の電極の全体に塗布し、乾燥して膜を形成後、露光及び現像によるパターニングを行って隔壁8を形成してもよい。
【0035】
隔壁8を塗布法により形成する雰囲気は、大気雰囲気でも、不活性気体からなる雰囲気でもよい。乾燥は、室温で行っても加熱して行ってもよく、常圧下で行っても減圧下で行ってもよい。
【0036】
第3の工程(フッ素化合物のプラズマ処理)
本発明の方法の第3の工程は、隔壁8にフッ素化合物のプラズマを照射する工程である。
【0037】
隔壁8にフッ素化合物のプラズマを照射することにより、該隔壁に撥液性を付与する。フッ素化合物としては、CF(テトラフルオロメタン)、CH(ジフルオロメタン)、CHF(トリフルオロメタン)が好ましい。隔壁の撥液性を高める観点からは、さらに酸素のプラズマを照射することが好ましい。
【0038】
前記第3の工程は、大気雰囲気下で実施しても不活性気体からなる雰囲気で実施してもよく、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよい。
【0039】
フッ素化合物のプラズマの照射において、プラズマ電力は、隔壁表面に十分な撥液性を付与しうる電力であればよい。隔壁の材料などにより異なるが、プラズマ電力は、1〜100Wが好ましく、5〜80Wがより好ましく、10〜50Wがさらに好ましい。プラズマ処理時間は、隔壁表面に十分な撥液性を付与しうる時間であればよい。隔壁の材料などにより異なるが、プラズマ処理時間は、1〜300秒が好ましく、5〜180秒がより好ましく、10〜120秒がさらに好ましい。
【0040】
第4の工程(洗浄工程)
本発明の方法の第4の工程は、隔壁8及び該隔壁で囲まれた第1の電極3を有機溶媒で洗浄する工程である。
従来、有機層を形成する前のプラズマ処理後に、洗浄することは撥液性を低下させることになるとして実施されていなかった。
【0041】
しかしながら、本発明者等は、有機エレクトロルミネッセンス装置の長寿命化を目指して鋭意検討した結果、寿命を低下させている原因が第2の工程後(隔壁形成工程)、隔壁8に付着したフッ素化合物の一部が剥離し、第1の電極3上に堆積することにあることを突き止めた。すなわち、第1の電極3上に堆積したフッ素化合物の量が多い状態で有機層を形成すると、有機エレクトロルミネッセンス装置の寿命特性が低下する。また、隔壁8に付着した、脱離しやすい不完全な反応により形成されたフッ素化合物についても同様である。
【0042】
堆積するフッ素化合物の種類は、使用する隔壁の材質、およびプラズマ処理するガスに依存しており、フッ素化合物は、隔壁材質がフッ化した(CF3-(CF2)n-X)などの状態で有機層の表面に付着していると推定される。
隔壁で囲まれた画素内の電極上部および/または有機層に付着したフッ素化合物の量の分析は、飛行時間型二次イオン分析計TOF−SIMSV(ION−TOF社製)を用い、一次イオンを照射することにより実施することができる。長寿命化の観点から、飛行時間型二次イオン分析によって測定される炭素のイオン強度に対するフッ素のイオン強度の比によって定義されるフッ素化合物の量(フッ素化合物の量=(フッ素のイオン強度)/(炭素のイオン強度))を50以下に低減させることが好ましく、25以下に低減することがより好ましく、15以下に低減させることがさらに好ましい。
洗浄を行うことで、隔壁で囲まれた領域内のフッ化物を低減でき、その後のプロセスにおいても混入が少なくなる。
一方、有機層を形成する前に以下のような洗浄工程を実施しても、第1の電極3上に堆積したフッ素化合物や隔壁8に付着した不完全な反応により形成されたフッ化化合物は除去されるが、隔壁8に撥液性を付与するフッ化化合物を含む表面層は除去されず、撥液性は低下させることがないことがわかった。
【0043】
洗浄で使用する有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができ、これらの溶媒を混合したものを用いてもよい。
【0044】
洗浄の方法としては、煮沸洗浄、超音波洗浄、蒸気洗浄、浸漬洗浄、噴射洗浄、電解洗浄などが挙げられる。操作の簡便さの観点からは、超音波洗浄が好ましい。
【0045】
洗浄の温度は、隔壁表面に十分な撥液性を維持しうる時間であればよい。隔壁の材料などにより異なるが、25〜300℃が好ましく、25〜250℃がより好ましく、25〜200℃がさらに好ましい。
【0046】
洗浄の時間は、隔壁表面を十分な撥液性を維持しうる時間であればよい。隔壁の材料などにより異なるが、1秒〜30分が好ましく、10秒〜15分がより好ましく、30秒〜10分がさらに好ましい。
【0047】
洗浄が超音波洗浄である場合、洗浄の雰囲気は、大気雰囲気でも、不活性気体からなる雰囲気でもよい。また、洗浄は室温で行っても加熱して行ってもよく、常圧で行っても減圧下で行ってもよい。
【0048】
第5の工程(有機層形成工程)
本発明の方法の第5の工程は、隔壁8で囲まれた第1の電極3上に塗布法で有機層を形成する工程である。
【0049】
有機エレクトロルミネッセンス素子1の例では、有機層は発光層6である。発光層6は、第1の電極3上に、発光性有機化合物を含む溶液(インク)を成膜することにより形成される。塗布の容易さの観点からは、発光性有機化合物は高分子化合物が好ましい。
【0050】
発光性有機化合物を溶媒に溶解して溶液を調製し、得られた溶液を第1の電極3上に塗布し、塗布した溶液を乾燥することにより薄膜を形成する。塗布した溶液の乾燥は室温で行っても加熱して行ってもよく、常圧で行っても減圧下で行ってもよい。
【0051】
発光層を形成する雰囲気は、大気雰囲気であっても不活性気体からなる雰囲気であってもよい。また、大気中に不活性気体を流して不活性気体の濃度を高めた雰囲気でもよい。
不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらガスの混合ガスなどを挙げることができる。中でも、素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
【0052】
塗布法に用いる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、フェニルシクロヘキサンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができ、これらの溶媒を混合したものを用いてもよい。溶媒の中でも、フッ素化合物との親和性の観点からは、ハロゲン化物が好ましく、フッ素化合物がより好ましい。基板表面のインクに対する濡れ性の観点からは、アルコールが好ましい。
【0053】
塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法及びノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリンティング法など印刷法が挙げられる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという観点からは、印刷法が好ましく、インクジェットプリント法、ノズルプリンティング法がさらに好ましい。
【0054】
有機層は、有機エレクトロルミネッセンス装置の寿命特性の観点からは、酸素濃度が体積基準で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積基準で1000ppm以下の雰囲気下で形成されることが好ましく、酸素濃度が体積基準で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積基準で10ppm以下の雰囲気下で形成されることがより好ましい。
【0055】
第6の工程(第2の電極形成工程)
最後に、発光層6上に第2の電極7を形成する。
【0056】
有機エレクトロルミネッセンス素子1を複数個含む有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板2上に第1の電極3を形成した後、複数の画素領域が形成されるように第2の工程を実施し、続いて第3〜第5の工程を実施して製造することができる。
【0057】
以上、図1に示した基本構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明したが、本発明の方法は、発光層に加えさらに機能層を含む有機エレクトロルミネッセンス装置に適用することもできる。
ここで、機能層とは、発光には通常関与せず、電荷の注入、あるいは輸送等の素子特性を向上させる機能を有する層を意味し、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子注入層、電子輸送層及び電子ブロック層などが含まれる。
【0058】
図2の断面図には、本発明の方法で製造した有機エレクトロルミネッセンス装置の機能層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子10の構成を示している。この有機エレクトロルミネッセンス素子10は、基板2の上に第1の電極3を有し、該第1の電極3上の隔壁8で囲まれた領域に第1の機能層4を有し、該第1の機能層4上に第2の機能層5を有し、該第2の機能層5上に発光層6を有し、該発光層6上に第2の電極7を有している。
【0059】
有機エレクトロルミネッセンス素子10において、第1の機能層4及び第2の機能層5は、それぞれ独立に、有機化合物を含む有機層であってもよいし、無機化合物からなる無機層であってもよいが、本発明者等は、このような機能層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子10では、最初に形成される有機層の下層に堆積したフッ素化合物の量が多いと有機エレクトロルミネッセンス装置の寿命が短くなることを見出した。
【0060】
有機エレクトロルミネッセンス素子10の製造において、第2の工程後、隔壁8に付着したフッ素化合物の一部が剥離する。第1の機能層4の形成に着手する前は、第1の電極3上にフッ素化合物が堆積する。有機エレクトロルミネッセンス素子10の作製が進むにつれ、第1の機能層4上又は第2の機能層5上にフッ素化合物が堆積する。
【0061】
したがって、本発明を機能層を含む有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に適用するとき、例えば、第1の機能層4が有機層である場合、第1の電極3上に第1の機能層4を塗布法で形成する工程が本発明の第4の工程(すなわち、有機層形成工程)に該当する。また、第1の機能層4が無機層であり、第2の機能層5が有機層である場合、第1の電極3上に第2の機能層5を塗布法で形成する工程が本発明の第4の工程に該当する。第1の機能層4及び第2の機能層5が無機層である場合、第1の電極3上に発光層6を塗布法で形成する工程が本発明の第4の工程に該当する。
すなわち、本発明において有機エレクトロルミネッセンス素子が複数の有機層を含む場合には、最初に形成される有機層が第4の工程で形成され、第3の工程(洗浄工程)は、少なくとも最初の有機層が形成される第4の工程の前に実施するようにすればよい。
【0062】
有機エレクトロルミネッセンス素子10の好ましい一形態では、第1の電極3が陽極であり、第2の電極7が陰極であり、第1の機能層4が正孔注入層であり、第2の機能層5が正孔輸送層である。
有機化合物からなる正孔注入層は、例えば、以下のようにして形成される。
【0063】
正孔注入層は、例えば、陽極である第1の電極3を基板上に形成した後、該陽極上に隔壁を形成する第1の工程、該隔壁にフッ素化合物のプラズマを照射する第2の工程、隔壁及び隔壁で囲まれた陽極を有機溶媒で洗浄する第3の工程を行った後、隔壁8で囲まれた陽極上に塗布法で正孔注入機能を奏する有機化合物を含む薄膜を形成し、該薄膜を焼成することによって形成する。
【0064】
正孔注入層を構成する有機化合物は低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、塗布性の観点からは、高分子化合物であることが好ましい。塗布法で前記薄膜を形成する際の溶媒、塗布法については、前述の発光層6の形成に用いる溶媒、塗布法と同様の溶媒、塗布法が挙げられる。
【0065】
前記薄膜は、大気又は不活性気体からなる雰囲気中において形成することができる。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらガスの混合ガスなどを挙げることができる。中でも、素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
【0066】
前記薄膜は、大気圧、減圧、及び高圧のいずれの下でも形成することができる。製造の容易さの観点からは、大気圧下で前記薄膜を形成することが好ましい。
【0067】
有機エレクトロルミネッセンス装置の長寿命化の観点からは、不活性気体の濃度が99.5%以上の雰囲気下で前記薄膜を形成することが好ましい。
【0068】
有機エレクトロルミネッセンス装置作製の容易さの観点からは、酸素濃度が体積基準で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積基準で1000ppm以下の雰囲気下で前記薄膜を形成することが好ましく、酸素濃度が体積基準で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積基準で10ppm以下の雰囲気下で前記薄膜を形成することがより好ましい。
【0069】
前記焼成は、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度を、体積基準でそれぞれ1000ppm以下に保った状態で前記薄膜を加熱することにより行うことが好ましい。この加熱によって、該薄膜中に含まれる溶媒が除去される。
【0070】
有機エレクトロルミネッセンス装置の発光特性及び寿命特性の観点からは、50℃〜250℃の範囲内の温度で加熱を行うことが好ましく、50℃〜200℃の範囲内の温度で加熱を行うことがより好ましい。加熱時間は、前記薄膜に含まれる有機化合物によって適宜選択され、通常5分〜2時間程度である。
【0071】
前記薄膜の加熱は、有機エレクトロルミネッセンス装置の長寿命化の観点からは、不活性気体を含有する雰囲気中及び/又は還元性の気体を含有する雰囲気中において行うことが好ましい。不活性気体としては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらのガスの混合ガスなどが挙げられる。中でも、素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。還元性の気体としては、一酸化炭素ガス、水素ガスなどが挙げられる。
【0072】
前記薄膜の加熱は、大気圧、減圧、及び高圧のいずれの下でも形成することができる。製造の容易さの観点からは、大気圧下または減圧下(10Pa以下)の雰囲気中において前記薄膜を形成することが好ましい。
【0073】
前記薄膜の加熱は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度が体積基準でそれぞれ600ppm以下に保った状態で行われることが好ましく、酸素濃度及び水分濃度が体積基準でそれぞれ300ppm以下に保った状態で行われることがより好ましく、酸素濃度及び水分濃度が体積基準でそれぞれ100ppmに保った状態で行われることがさらに好ましく、酸素濃度及び水分濃度が体積基準でそれぞれ10ppm以下に保った状態で行われることが特に好ましい。
【0074】
正孔輸送層5が有機化合物を含む場合、正孔注入層4上に該有機化合物を含む薄膜を形成し、加熱することで正孔輸送層5を形成することができる。正孔輸送層5の形成方法としては、正孔注入層4の形成方法と同じ方法が挙げられる。
【0075】
発光層6は発光性有機化合物を含む有機層であり、第2の機能層5上に形成する以外は上述の有機エレクトロルミネッセンス素子1中の発光層6の形成方法と同じ方法で形成することができる。
【0076】
有機エレクトロルミネッセンス素子10を複数個含む有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板2上に第1の電極3を形成した後、複数の画素領域が形成されるように第1の工程を実施して、各領域にそれぞれ有機エレクトロルミネッセンス素子10を形成することにより製造することができる。
【0077】
以下、本発明に係る変形例の有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構成及び各構成要素について説明する。
【0078】
本発明に係る方法により製造される有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の間に配置される発光層を少なくとも有するものであるが、第1の電極(例えば、陽極)と第2の電極(例えば、陰極)との間には、例えば素子特性を向上させるために、前述の発光層、第1及び第2の機能層に加えて、さらに別の機能層が設けられていてもよい。該機能層には、発光層に隣接して設けられる機能層が含まれる。
【0079】
陰極と発光層との間に設けられる機能層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。また陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する機能層を電子注入層といい、この電子注入層を除く機能層を電子輸送層という場合がある。
【0080】
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
【0081】
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば正孔ブロック層を備えず、ホール電流のみを流す素子と、該素子に正孔ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、正孔ブロック層を備える素子の電流値の減少で、正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
【0082】
陽極と発光層との間に設けられる機能層としては、上述した正孔注入層、正孔輸送層の他に電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という場合がある。
【0083】
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。これに対して、電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
【0084】
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、例えば電子電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば電子ブロック層を備えず、電子電流のみを流す素子と、該素子に電子ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、電子ブロック層を備える素子の電流値の減少で、電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
【0085】
本発明に係る製造方法により作製される有機エレクトロルミネッセンス素子がとりうる素子構成の例を以下に示す。
a)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
k)陽極/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
【0086】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、2層以上の発光層を有していてもよい。
a)〜m)に示す各構成において、陽極と陰極との間に設けられる層をそれぞれ「繰り返し単位A」とすると、2層の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子としては、以下のn)に示す素子構成を挙げることができる。
n)陽極/(繰り返し単位A)/電荷発生層/(繰り返し単位A)/陰極
【0087】
また「(繰り返し単位A)/電荷発生層」を「繰り返し単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子としては、具体的には、以下のo)に示す素子構成を挙げることができる。
o)陽極/(繰り返し単位B)x/(繰り返し単位A)/陰極
【0088】
ここで、記号「x」は2以上の整数を表し、「(繰り返し単位B)x」は、(繰り返し単位B)を「x」段積層した構成を表す。電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子とが発生する層である。電荷発生層としては、例えば、酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
【0089】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、さらに封止のための封止膜又は封止板などの封止部材で覆われていてもよい。有機エレクトロルミネッセンス素子を基板に設ける場合は、通常基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
【0090】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、内部で発生した光を外に取出すために、通常、発光層を基準にして光が取出される側に配置される全ての層を透明なものとしている。透明の程度としては、光の取出される側の有機エレクトロルミネッセンス素子の表面と、発光層との間の可視光透過率が40%以上であることが好ましい。紫外領域又は赤外領域の発光が求められる有機エレクトロルミネッセンス素子の場合には、当該領域において40%以上の光透過率を示すものが好ましい。
【0091】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0092】
積層する層の順序、層数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
【0093】
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層の材料及び形成方法について、より具体的に説明する。
【0094】
<基板>
基板は、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する工程において化学的に変化しない基板が好適に用いられ、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、シリコン基板、又はこれらの基板を積層した基板が用いられる。剛性の観点からは、ガラス基板が好ましい。
前記基板の材料には、市販の材料を使用してもよく、公知の方法により材料を製造してもよい。
【0095】
<陽極>
陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、該陽極としては、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極又は半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物の薄膜、金属硫化物の薄膜、金属の薄膜などが用いられ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅の薄膜が挙げられ、これらの中でも、ITO、IZO、酸化スズの薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0096】
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
【0097】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
【0098】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0099】
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0100】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物などを挙げることができる。
【0101】
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。また、低分子の正孔輸送材料を用いる場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0102】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンを挙げることができる。
【0103】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0104】
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、又は該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させるために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、103〜108である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば高分子系材料を挙げることができる。
【0105】
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、下記に例示するような、色素系ドーパント材料や金属錯体系ドーパント材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0106】
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、及びそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも、高分子材料であるポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
【0107】
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも、高分子材料であるポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
【0108】
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0109】
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、色素系のドーパント材料、金属錯体系のドーパント材料が挙げられる。
色素系のドーパント材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンを挙げることができる。
金属錯体系のドーパント材料としては、例えば、中心金属に、Al、Zn、Beなど、又はTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができる。その具体例としては、イリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体を挙げることができる。
なお、発光層の厚さは、通常、約2nm〜200nmである。
【0110】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体などを挙げることができる。
【0111】
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0112】
電子輸送層の形成方法としては、電子輸送材料を含む薄膜を成膜し、その後加熱又は乾燥する方法があげられる。
【0113】
電子輸送材料を含む薄膜の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では、溶液又は溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液又は溶融状態から成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができ、前述した正孔注入層の形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
【0114】
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0115】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、これらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、該積層体としては、フッ化リチウムとカルシウムとの積層体(LiF/Ca)などを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
【0116】
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0117】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機エレクトロルミネッセンス素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及びIII−B族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金を挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物及び導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。導電性金属酸化物として具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、及びIZOが挙げられる。導電性有機物として具体的には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体を挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体であってもよい。
【0118】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0119】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
【0120】
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子を挙げることができる。
【0121】
以上説明した有機エレクトロルミネッセンス素子は、曲面状や平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、及び表示装置に好適に用いることができる。
【0122】
有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置としては、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、及び液晶表示装置などを挙げることができる。なお有機エレクトロルミネッセンス素子は、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置において、各画素を構成する発光素子として用いられ、セグメント表示装置において、各セグメントを構成する発光素子として用いられ、ドットマトリックス表示装置、及び液晶表示装置において、バックライトとして用いられる。
【実施例】
【0123】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】
最初に実施例において各試料を評価した測定方法について説明する。
【0125】
<フッ素化合物量の分析>
隔壁で囲まれた画素内に形成された正孔注入層上のフッ素化合物量の分析は、飛行時間型二次イオン分析計TOF−SIMSV(ION−TOF社製)を用い、正孔注入層に一次イオンを照射することで行った。一次イオンにはBi++を用い、25kV、0.23pA、200μm角走査の条件で照射した。帯電補正のためにフラッドガンを使用し、負極性の二次イオンを32回積算した。その後、正孔注入層からの二次イオンのデータを抽出し、F(m/e=19.00)のイオン強度とC(m/e=12.00)のイオン強度から以下の式を用いて、正孔注入層上のフッ素化合物量を算出した。
(正孔注入層上のフッ素化合物量)=(Fのイオン強度)/(Cのイオン強度)
【0126】
<接触角の測定>
接触角の測定は、自動接触角測定装置OCA30(データフィジックス製)を用いて行った。測定する表面に溶媒を2μl滴下して、接触角を測定した。
【0127】
1.有機層上のフッ素化合物量の分析
実施例1〜6及び比較例1,2では、以下のようにして作製された基板S1を用いて有機層上のフッ素化合物量の分析を行った。
【0128】
(基板S1の製造)
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜が形成されたガラス基板に、UV照射装置(MODEL208、テクノビジョン社製)を用いてUVを照射し、基板表面の洗浄を行った。基板表面の洗浄において、光源には低圧水銀灯(波長:184.9nm〜253.7nm)を使用し、光源と基板との距離を10cmに保ち、5分間照射した。
【0129】
次に、ITO膜上にレジスト材料(OFPR-800C、東京応化工業製)をスピンコート法により塗布して成膜した。スピンコート法は、1000rpmで7秒回転させる条件で行った。成膜したレジスト材料を、110℃に加熱したホットプレート上で110秒間加熱して焼成し、レジスト膜を得た。
【0130】
次に、作製したレジスト膜をパターニングするために、露光装置(大日本科研製)を用いてレジスト膜を露光した。露光時には、レジスト膜の一部を遮蔽するマスクを用い、マスクと基板の間が200μmになるように調整した。露光には、超高圧水銀灯(DNK-2KW、大日本科研製)を用い、積算光量が200mJになるまで光をレジスト膜に照射した。
【0131】
次に、水酸化カリウム(和光純薬製)と純水とを、水酸化カリウムが0.8重量%になるように混合し、得られた液を基板に吹きつけ、光を照射した部分のレジスト膜を基板から剥離させた。その後、残存したレジスト膜を120℃に加熱いたホットプレート上で5分間加熱して焼成し、レジスト膜のパターニングを行った。
【0132】
次に、エッチング装置(ミクロ技研製)を用いてITOのパターニングを行った。塩化鉄と塩酸水溶液とを、塩酸水溶液に対する塩化鉄の重量比が2となるように混合した液体である塩鉄液(林純薬工業製)を液温が50℃になるまで加熱し、加熱した塩鉄液を基板に5分間かけ流し、その後、純水で基板を30秒間濯ぎ、ITOをパターニングした。
【0133】
次に、パターニングしたレジスト膜を基板から剥離させるために、1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬製)に1分間基板を浸漬させ、次いで、アセトンに1分間基板を浸漬させ、レジスト膜を基板から剥離させた。
【0134】
次に、純水で基板を濯ぎ、その後、基板を回転させながら乾燥させることで、ITOをパターニングした基板を作製した。
【0135】
次に、大気圧プラズマ装置(AP−T03、積水化学製)を用いて基板表面の洗浄を行った。洗浄は、窒素(N)ガスを100mL/min及びアルゴン(Ar)ガスを100mL/min流し、印加電圧が130V、大気圧プラズマ装置のヘッドの速度が50mm/minの条件で行った。
【0136】
次に、ITO膜上にポリイミドコーティング剤(フォトニース(SL1904)、東レ製)をスピンコート法により塗布して成膜し、厚みが1μmの薄膜を形成した。該薄膜をホットプレート上で120℃で5分間加熱して焼成し、ポリイミド膜を得た。
【0137】
次に、作製したポリイミド膜をパターニングするために、露光装置(大日本科研製)を用いてポリイミド膜を露光した。露光時には、ポリイミド膜の一部を遮蔽するマスクを用い、マスクと基板の間が50μmになるように調整した。露光には、超高圧水銀灯(DNK-2KW、大日本科研製)を用い、積算光量が200mJになるまで光をポリイミド膜に照射した。
【0138】
次に、現像液(NPD−18、長瀬ケムテックス製)を用いてポリイミド膜を120秒間現像し、ポリイミド膜を超純水で洗浄した後、ポリイミド膜を成膜した基板を回転させながら乾燥を行った。
【0139】
次に、クリーンオーブン(DT62、ヤマト科学製)でポリイミド膜が成膜された基板を230℃で30分間焼成した後、室温(25℃)まで冷却した。なおポリイミド膜の形成において、膜の形成工程、焼成工程及び冷却工程は、すべて大気雰囲気下において行った。ポリイミド膜をパターニングすることで、ITO膜上にポリイミドの隔壁を形成した。
【0140】
次に、ポリイミド膜に撥液性を付与するために、リアクティブイオンエッティング装置・ドライエッティング装置(RIE−200L、SAMCO製)を用いて、Oプラズマ処理、及びCFプラズマ処理を連続して行い、基板S1を製造した。CFプラズマ処理を行うことにより、ポリイミド膜の表面にフッ素化合物を付着させることができ、ポリイミド膜に撥液性を付与することができる。
【0141】
プラズマ処理は、酸素ガスの流速が40Sccmであり、出力が30Wであり、圧力が5Paであり、処理時間が60秒である条件で行った。
【0142】
CFプラズマ処理は、テトラフルオロメタンの流速が10Sccmであり、出力が30Wであり、圧力が40Paであり、処理時間が30秒である条件で行った。
実施例1〜6及び比較例1,2では、以上のようにして作製した基板S1を用いて以下のようにして正孔注入層を形成し、その上のフッ素化合物量の測定した。
【0143】
実施例1.
洗浄液(HFE7100:3M製)を褐色ビンに充填し、基板S1を洗浄液(HFE7100)に浸漬した。浸漬した状態のまま、超音波洗浄機(BRANSON2210、ヤマト科学社製)に褐色ビンを設置し、3分間、超音波洗浄を行った。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1上に、溶液L1をインクジェット法により塗布した。
ここで、溶液L1は、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000、スタルク製)に、超純水、グリセリン、エチレングリコール及び2−ブトキシエタノールを63:24:12:1(重量比)で混合した溶液を加え、固形分の濃度が2.8重量%になるように準備した。
【0144】
塗布した後、1Paの減圧下で乾燥させ、厚みが65nmの薄膜を形成し、正孔注入層を形成した。このようにして実施例1の分析用基板を作製した。この実施例1の分析用基板において、正孔注入層上のフッ素化合物量を、飛行時間型二次イオン分析計により求めたところ、6.4であった。
【0145】
実施例2.
実施例2では、実施例1と同様にして厚みが65nmの薄膜を形成した後にさらに、基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成して正孔注入層を形成した。このように基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成した以外は実施例1と同様にして実施例2の分析用基板を作製した。尚、薄膜の加熱工程は大気雰囲気中で行った。
この実施例1の分析用基板において、正孔注入層上のフッ素化合物量は、8.6であった。
【0146】
実施例3.
実施例3では、2-プロパノール(和光純薬製)が充填された褐色ビンを130℃に加熱し、基板S1を加熱した2−プロパノールに3分間浸漬した。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1上に溶液L1をインクジェット法により塗布した。そして、1Paの減圧下で乾燥させることにより、厚みが65nmの薄膜を形成し、正孔注入層を形成した。このようにして作製した分析用基板における正孔注入層上のフッ素化合物量を求めたところ、2.6であった。
【0147】
実施例4.
実施例3と同様にして、厚みが65nmの薄膜を形成した後にさらに、基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成して正孔注入層を形成した。このように基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成した以外は実施例3と同様にして実施例4の分析用基板を作製した。尚、薄膜の加熱工程は大気雰囲気中で行った。
この実施例4の分析用基板において、正孔注入層上のフッ素化合物量は、10.3であった。
【0148】
実施例5.
洗浄液HFE7100を褐色ビンに充填し、基板S1を洗浄液HFE7100に浸漬した。浸漬した状態のまま、超音波洗浄機に褐色ビンを設置し、3分間、超音波洗浄を行った。褐色ビンから基板S1を取り出し、その後、130℃に加熱した2-プロパノールが充填された褐色ビンに基板S1を入れ、基板S1を加熱した2−プロパノール3分間に浸漬した。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1上に溶液L1をインクジェット法により塗布した。1Paの減圧下で乾燥させ、厚みが65nmの薄膜を形成し、正孔注入層を形成した。このようにして作製した分析用基板の正孔注入層上のフッ素化合物量を、飛行時間型二次イオン分析計により、求めたところ、2.4であった。
【0149】
実施例6.
実施例5と同様にして、厚みが65nmの薄膜を形成した後にさらに、基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成した。基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成した以外は実施例5と同様にした作製した分析用基板における正孔注入層上のフッ素化合物量を求めたところ、3.9であった。尚、薄膜の加熱工程は大気雰囲気中で行った。
【0150】
比較例1.
基板S1の洗浄を行わず、基板S1上に溶液L1をインクジェット法により塗布した。
1Paの減圧下で乾燥させ、厚みが65nmの薄膜を形成することにより、正孔注入層が形成された比較例1の分析用基板を作製した。飛行時間型二次イオン分析計により、比較例1の分析用基板における正孔注入層上のフッ素化合物量を求めたところ、27.9であった。
【0151】
比較例2.
比較例1と同様にして、厚みが65nmの薄膜を形成した後に、基板をホットプレート上で200℃で10分間焼成した以外は比較例1と同様に分析用基板を作製し、正孔注入層上のフッ素化合物量を求めた。薄膜の加熱工程は大気雰囲気中で行った。正孔注入層上のフッ素化合物量は、159であった。
【0152】
実施例1〜6及び比較例1及び2から明らかなとおり、隔壁にフッ素化合物のプラズマを照射した後に、隔壁及び隔壁で囲まれた第1の電極を有機溶媒で洗浄することにより、素子作製時に有機層上に付着するフッ素化合物量を低減することができる。
【0153】
2.接触角の測定(隔壁表面の撥液性の評価)
実施例7〜8,比較例3では、以下のようにして作製された基板S2を用いて、ポリイミド膜表面の接触角の測定を行った。
【0154】
(基板S2の製造)
スパッタ法により厚みが60nmのITO膜が形成されたガラス基板に、大気圧プラズマ装置(AP−T03、積水化学製)を用いてプラズマを照射し、基板表面の洗浄を行った。洗浄は、窒素(N)ガスを100mL/min及びアルゴン(Ar)ガスを100mL/min流し、印加電圧が130V、大気圧プラズマ装置のヘッドの速度が50mm/minの条件で行った。
【0155】
次に、ITO膜上にポリイミドコーティング剤(フォトニース(SL1904)、東レ製)をスピンコート法により塗布して成膜し、厚みが1μmの薄膜を形成した。該薄膜をホットプレート上で120℃で5分間加熱して焼成し、ポリイミド膜を得た。
【0156】
次に、現像液(NPD−18、長瀬ケムテックス製)を用いてポリイミド膜を120秒間現像し、ポリイミド膜を超純水で洗浄した後、ポリイミド膜を成膜した基板を回転させながら乾燥を行った。
【0157】
次に、クリーンオーブン(DT62、ヤマト科学製)でポリイミド膜が成膜された基板を230℃で30分間加熱して焼成した後、室温(25℃)まで冷却した。なおポリイミド膜の形成において、膜の形成工程、焼成工程及び冷却工程は、すべて大気雰囲気下において行った。
【0158】
次に、ポリイミド膜に撥液性を付与するために、リアクティブイオンエッティング装置・ドライエッティング装置(RIE−200L、SAMCO製)を用いて、Oプラズマ処理、及びCFプラズマ処理を連続して行い、基板S2を製造した。CFプラズマ処理を行うことにより、ポリイミド膜の表面にフッ素化合物を付着させることができ、ポリイミド膜に撥液性を付与することができる。
【0159】
プラズマ処理は、酸素ガスの流速が40Sccmであり、出力が30Wであり、圧力が5Paであり、処理時間が60秒である条件で行った。
【0160】
CFプラズマ処理は、テトラフルオロメタンの流速が10Sccmであり、出力が30Wであり、圧力が40Paであり、処理時間が30秒である条件で行った。
【0161】
実施例7.
実施例7では、洗浄液HFE7100(3M製)を褐色ビンに充填し、基板S2を洗浄液HFE7100に浸漬した。浸漬した状態のまま、超音波洗浄機(BRANSON2210、ヤマト科学社製)に褐色ビンを設置し、3分間、超音波洗浄を行った。洗浄後の基板S2のポリイミド膜の水に対する接触角は105.5°であった。
【0162】
実施例8.
実施例8では、2-プロパノール(和光純薬製)が充填された褐色ビンを130℃に加熱し、基板S2を加熱した2−プロパノールに3分間浸漬した。洗浄後の基板S2のポリイミド膜の水に対する接触角は112.8°であった。
【0163】
比較例3.
比較例3では、基板S2の洗浄を行わず、基板S2のポリイミド膜の接触角を測定した。基板S2のポリイミド膜の水に対する接触角は107.8°であった。
【0164】
実施例7〜8,比較例3から明らかなとおり、ポリイミド膜にフッ素化合物のプラズマを照射した後に、ポリイミド膜を有機溶媒で洗浄しても、ポリイミド膜表面の撥液性は保たれていることがわかる。
【0165】
比較例4.
さらに比較例4として、CFプラズマ処理を行わない以外は基板S1と同様の操作を行い、基板S3を製造した。そして、基板S3上に溶液L1をインクジェット法により塗布したところ、溶液L1が隔壁を乗り越え、所望の領域に正孔注入層を形成することができなかった。
【0166】
3.有機エレクトロルミネッセンス素子の作製評価
実施例9〜11、比較例5では、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して評価した。
尚、実施例9〜11、比較例5で用いた基板S1は、ITOの厚さが150nmであること以外は、実施例1〜6に用いた基板S1と同様に作製した。
【0167】
比較例5.
以下の構成の比較例の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/正孔注入層:CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000(65nm)/正孔輸送性材料(20nm)/青発光高分子材料(65nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
【0168】
(正孔注入層の形成)
ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の懸濁液(CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000、スタルク製)に、超純水、グリセリン、エチレングリコール及び2−ブトキシエタノールを63:24:12:1(重量比)で混合した溶液を加え、固形分の濃度が2.8重量%である溶液L1を作製した。
次に、基板S1のポリイミドの隔壁で囲まれたITO膜上に、溶液1をインクジェット法で塗布し、1Paの減圧下で乾燥させ、厚みが65nmの薄膜を形成した。該薄膜をホットプレート上で200℃で10分間焼成し、正孔注入層を得た。正孔注入層の形成において、加熱工程は大気雰囲気中で行った。
【0169】
(正孔輸送層の形成)
次に、キシレンに正孔輸送材料を溶解させ、溶液2を作製した。溶液2における正孔輸送材料の濃度は0.5重量%とした。大気雰囲気中において、正孔注入層上に溶液2をスピンコート法により塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成した。次いで、酸素濃度及び水分濃度が体積基準で10ppm以下に制御された窒素雰囲気中において、180℃で1時間加熱して薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0170】
(高分子発光層の形成)
次に、キシレンに青発光高分子材料を溶解させ、溶液3を作製した。溶液3における青色発光高分子材料の濃度は1.0重量%とした。大気雰囲気中において、正孔輸送層上に溶液3をスピンコート法により塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。次いで、酸素濃度及び水分濃度が体積基準で10ppm以下に制御された水素雰囲気中において、130℃で10分間薄膜を加熱し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び加熱工程における圧力は1気圧とした。
【0171】
(陰極の形成)
次に、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した蒸着チャンバー内に発光層を形成した素子を設置後、発光層上に陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約100nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機エレクトロルミネッセンス素子1を作製した。
【0172】
(有機エレクトロルミネッセンス素子の特性評価)
有機エレクトロルミネッセンス素子に電圧を印加したところ、青色発光(CIE1931:(0.15,0.20))し、最大電流効率は1.71cd/Aであった。また、初期輝度500cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%になるまでの時間は27時間であった。
【0173】
実施例9
以下の構成の実施例9の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/正孔注入層:CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000(65nm)/正孔輸送材料(20nm)/青発光高分子材料(65nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
【0174】
(基板の前処理)
フッ素系溶媒である洗浄液HFE7100(3M製)を褐色ビンに充填し、基板S1を洗浄液HFE7100に浸漬した。浸漬した状態のまま、超音波洗浄機(BRANSON2210、ヤマト科学社製)に褐色ビンを設置し、3分間、超音波洗浄を行った。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1に付着した溶媒に窒素を吹き付け、溶媒を除去した。これらの洗浄工程は大気雰囲気中で行った。
【0175】
次いで、比較例5と同様の方法で正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び陰極を形成し、封止を行って実施例9の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0176】
(有機エレクトロルミネッセンス素子の特性評価)
実施例9の有機エレクトロルミネッセンス素子に電圧を印加したところ、青色発光(CIE1931:(0.15,0.19))し、最大電流効率は1.89cd/Aであった。また、初期輝度500cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%になるまでの時間は38時間であった。
【0177】
実施例10
以下の構成の実施例10の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/正孔注入層:CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000(65nm)/正孔輸送材料(20nm)/青発光高分子材料(65nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
【0178】
(基板の前処理)
アルコール系溶媒である2−プロパノール(和光純薬製)が充填された褐色ビンを130℃に加熱し、基板S1を加熱した2−プロパノールに3分間浸漬した。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1に付着した溶媒に窒素を吹き付け、溶媒を除去した。これらの洗浄工程は大気雰囲気中で行った。
【0179】
次いで、比較例5と同様の方法で正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び陰極を形成し、封止を行って実施例10の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0180】
(有機エレクトロルミネッセンス素子の特性評価)
実施例10の有機エレクトロルミネッセンス素子に電圧を印加したところ、青色発光(CIE1931:(0.15,0.19))し、最大電流効率は1.91cd/Aであった。また、初期輝度500cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%になるまでの時間は、40時間であった。
【0181】
実施例11
以下の構成の実施例11の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/正孔注入層:CLEVIOS(登録商標) P VP CH8000(65nm)/正孔輸送材料(20nm)/青発光高分子材料(65nm)/Ba(5nm)/Al(100nm)」
【0182】
(基板の前処理)
洗浄液HFE7100(3M製)を褐色ビンに充填し、基板S1を洗浄液HFE7100に浸漬した。浸漬した状態のまま、超音波洗浄機に褐色ビンを設置し、3分間、超音波洗浄を行った後、褐色ビンから基板S1を取り出した。その後、2−プロパノール(和光純薬製)が充填された褐色ビンを130℃に加熱し、基板S1を加熱した2−プロパノールに3分間浸漬した。褐色ビンから基板S1を取り出し、基板S1に付着した溶媒に窒素を吹き付け、溶媒を除去した。これらの洗浄工程は大気雰囲気中で行った。
【0183】
次いで、比較例5と同様の方法で正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び陰極を形成し、封止を行って実施例11の有機エレクトロルミネッセンス素子4を作製した。
【0184】
(有機エレクトロルミネッセンス素子の特性評価)
実施例11の有機エレクトロルミネッセンス素子に電圧を印加したところ、青色発光(CIE1931:(0.15,0.19))し、最大電流効率は1.90cd/Aであった。また、初期輝度500cd/mで定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%になるまでの時間は42時間であった。
【0185】
以上実施例9〜11と比較例5とから、基板の洗浄を実施した実施例では、初期輝度の60%になるまでの時間が比較例5より長く、本発明により長寿命化が図れることが確認された。
【符号の説明】
【0186】
1、10 有機エレクトロルミネッセンス素子
2 基板
3 第1の電極
4 第1の機能層
5 第2の機能層
6 有機発光層
7 第2の電極
8 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、該基板上に設けられた第1の電極、該第1の電極上に設けられており複数の画素を画成する隔壁、及び該隔壁に囲まれた前記第1の電極上に形成された有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記基板上に第1の電極を形成する電極形成工程と、
前記第1の電極上に前記隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁にフッ素化合物をプラズマ化して照射するプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理工程後に、前記隔壁及び隔壁に囲まれた第1の電極を有機溶媒で洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後に、前記隔壁に囲まれた第1の電極上に有機化合物を含むインクを塗布して有機層を形成する有機層形成工程と、
を含む有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄工程において、有機溶媒を超音波振動させる請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
前記洗浄工程に用いる有機溶媒がハロゲン化物である請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
ハロゲン化物がフッ素化合物である請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄工程に用いる有機溶媒がアルコールである請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
前記洗浄工程において、前記有機溶媒の温度が25〜200℃の範囲にある1〜5のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項7】
前記インクを印刷法で塗布する請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
前記インクをインクジェット法又はノズルプリンティング法で塗布する請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機化合物が高分子化合物である請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機化合物が有機発光材料である請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項11】
前記有機化合物が正孔輸送有機物である請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項12】
基板、該基板上に設けられた第1の電極、該第1の電極上に設けられ複数の画素を画成する隔壁、及び該隔壁に囲まれた前記第1の電極上に形成された有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記有機層は、電荷注入層、電荷輸送層及び発光層のうちのいずれか1つであり、前記有機層の表面において、飛行時間二次イオン質量分析によって測定される炭素のイオン強度に対するフッ素のイオン強度の比によって定義されるフッ素化合物量は25以下である有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項13】
前記有機化合物が高分子化合物である請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項14】
前記有機化合物が有機発光材料である請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項15】
前記有機化合物が正孔輸送有機物である請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−186157(P2012−186157A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28083(P2012−28083)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】