説明

有機ケイ素化合物及び関連する製造方法

本発明は、式(I):


の活性化されたアゾ基を少なくとも1個含む官能化有機ケイ素化合物の合成に関する。この化合物は、例えば次式:
(ia):(C25O)3Si−(CH2)3−NH−CO−N=N−COOC25
のシラン種と次式:


及び


のシロキサン種との混合物であることができる。本発明はまた、前記化合物(I)の製造方法にも関し、この方法は、化合物(I)の少なくとも1種のヒドラジノ前駆体(II)(−HN−NH−)を用い、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を用いて前駆体(II)を酸化して化合物(I)のためのアゾ基にすることから成り、この方法は、前記塩基Bを無機塩基から選択し、Oxをハロゲン、シアヌル酸化合物及び塩素含有化合物並びにそれらの混合物から選択し、そして式(III)


(例えば(CH3)3(C25O)Si)のシラン類(単独の又は混合物として)の中から選択される追加反応成分を用いることから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、有機ケイ素化合物(例えばアゾアルコキシシラン)の合成の分野である。
【0002】
本発明は、より詳細には、少なくとも1つの活性化されたアゾ基を含む有機ケイ素化合物(以下、「活性アゾ基含有有機ケイ素化合物」と言う)に関する。前記活性化は、例えば窒素の近くのカルボニル基の存在の結果としてもたらすことができる。これらの化合物の有機ケイ素部分は、例えば≡SiOR又は≡SiOHのタイプの加水分解性又は縮合性基を含むことができる。
【背景技術】
【0003】
このような利用できる活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(例えば基−CO−N=N−CO−を有するもの)は、特に農薬及び薬学の分野において用いるための有機活性分子(例えば窒素含有ヘテロ環類)の合成において、例えばヘテロディールスアルダー反応におけるジエノフィルとして、非常に有用である。
【0004】
しかしながら、これらの化合物は特に調製するのが難しいので、いくつかのものしか得られていない。従って、入手できる有機ケイ素化合物の範囲を広げられることが望ましい。
【0005】
数少ない先行技術の中で、フランス国特許第2340323号明細書には、式(I*):
【化1】

{ここで、X及びX1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれイミノ基、酸素原子又は置換若しくは非置換メチレン基を表わし;
Yは置換若しくは非置換アルキル、アリール若しくはアラルキル基であるか、又はZ*と同一であるかであり;
*は式Si(OR)3又はOSi(OR)3の少なくとも1個のシラン基を置換基として有するアルキル、アリール又はアラルキル基であり、ここで、Rは(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である}
の有機ケイ素化合物が開示されている。
【0006】
式(II*)及び式(III*):
【化2】

{ここで、R1*及びR2*は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表わし、
mは0、1、2又は3であり、
nは1、2又は3である}
の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0007】
式(III*)に従う式エチル−O−CO−N=N−CO−NH−(CH2)3−Si(Oエチル)3の化合物が、例3に開示されている。
【0008】
このタイプの活性アゾ基含有有機ケイ素化合物の合成において鍵となる工程は、ヒドラゾ(NH−NH)タイプの官能基の対応するアゾ(N=N)官能基への酸化にある。
【0009】
フランス国特許第2340323号明細書に従えば、この変換(転化)は、ハロゲン化誘導体から成る酸化剤及びピリジンタイプの塩基を含む酸化系を用いて実施される。このタイプの塩基は、ピリジン残留物を含有する生成物をもたらすという欠点を有する。このピリジン残留物が存在すると、特に産業衛生及び生態毒性の点並びに用途性能の点で、最終生成物の品質にとって不利である。
【0010】
さらに、フランス国特許第2340323号明細書に従う有機ケイ素化合物は、ケイ素1モル当たりに3つの加水分解性官能基Si−OR2*を含有し、湿り気のある状況での貯蔵中にかなりの量のアルコールを放出することがあるという欠点を有する。このアルコールの生成はなお一層厄介である。というのも、生成するアルコールは大抵の場合、特に毒性及び可燃性の理由で、有害な揮発性有機化合物(VOC)だからである。
【特許文献1】フランス国特許第2340323号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この範疇において、本発明の主要な目的の1つは、(好ましくは活性化されたアゾ基を含有する)新規の有機ケイ素化合物であって、特に望ましくない不純物の存在に関して、既知の類似体と比較してより良好な性能を示すものを提供することにある。
【0012】
本発明の別の本質的な目的は、従来より製造が容易な新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0013】
本発明の別の本質的な目的は、より経済的な新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0014】
本発明の別の本質的な目的は、より安定な、特に加熱時により安定な、新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0015】
本発明の別の本質的な目的は、良好な用途性能を示す新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0016】
本発明の別の本質的な目的は、湿り気のある雰囲気中で及び/又は使用の間にVOCを放出しない又はVOCの放出量が少ない新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0017】
本発明の別の本質的な目的は、湿り気のある雰囲気中で貯蔵することができる新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0018】
本発明の別の本質的な目的は、製造の際に、特に湿り気のある雰囲気中での貯蔵の間にVOCを発生しがちな種を抑制することができる新規の有機ケイ素化合物を提供することにある。
【0019】
本発明の別の本質的な目的は、有機ケイ素化合物の改良型製造方法であって、前駆体のヒドラゾ基のアゾ基への酸化を伴うタイプのものであり、生産性/収率の点でより良好な性能を示し、経済的であり、実施するのが容易であり且つ望ましくない不純物がない又はほとんどない有機ケイ素化合物をもたらす前記方法を提供することにある。
【0020】
本発明の別の本質的な目的は、良好な用途性能を有する有機ケイ素化合物の改良型製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明の別の本質的な目的は、湿り気のある雰囲気中での貯蔵の間及び/又は使用の間にVOCを放出しない又はVOCの放出量が少ない有機ケイ素化合物の改良型製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明の別の本質的な目的は、特に湿り気のある雰囲気中での貯蔵の間に、VOCを発生しがちな種の生成を抑制することができる有機ケイ素化合物の改良型製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらの目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、第1の目的に従えば、下記の一般式(I):
【化3】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
(C3)有機ケイ素化合物が式(I)においてa=3であり、q=1であり、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る場合には、上で定義した通りの式(I*)、(II*)又は(III*)の有機ケイ素化合物を除外するものとし;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化4】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい種を含む官能化された有機ケイ素化合物に関する。
【0024】
上記式(I)において、基(Z−CO−N=N−CO−A)は二価基−Z−を介してSiO(3-a-a')/2単位のSi原子に結合するものと理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
定義:
上記において脂肪族炭化水素基とは、本発明の意味においては、直鎖状又は分岐鎖状の基(好ましくは1〜25個の炭素原子を有するもの)であり、随意に置換されていてよい。
【0026】
有利には、前記脂肪族炭化水素基は1〜18個の炭素原子、より一層好ましくは1〜8個の炭素原子、さらにより一層好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
【0027】
飽和脂肪族炭化水素基の例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル及び7,7−ジメチルオクチル、並びにヘキサデシル基を挙げることができる。
【0028】
前記不飽和脂肪族炭化水素基は、エチレンタイプ(二重結合)及び/又はアセチレンタイプ(三重結合)の1つ以上の不飽和、好ましくは1、2又は3個の不飽和を含有する。
【0029】
それらの例は、上で定義したアルキル基から2つ以上の水素原子を取り除くことによって誘導されるアルケニル又はアルキニル基である。好ましくは、不飽和脂肪族炭化水素基は、単一の不飽和を含む。
【0030】
本発明の範囲内で、炭素環式基とは、随意に置換された単環式又は多環式基(好ましくはC3〜C50のもの)を意味する。有利には、C3〜C18基、好ましくは単環、二環又は三環式のものである。炭素環式基が(多環式炭素環の場合におけるように)1つより多くの環状核を含む場合、環状核は2つずつ縮合したものである。2つの縮合核はオルト縮合であってもペリ縮合であってもよい。
【0031】
炭素環式基は、別途記載がない限り、飽和部分及び/又は芳香族部分及び/又は不飽和部分を含むことができる。
【0032】
飽和炭素環式基の例には、シクロアルキル基がある。好ましくは、シクロアルキル基はC3〜C18、より一層好ましくはC5〜C10のものである。特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル又はノルボルニル基を挙げることができる。
【0033】
不飽和炭素環又は炭素環式タイプの任意の不飽和部分は、1つ以上のエチレン性不飽和、好ましくは1、2又は3個のエチレン性不飽和を有する。これは、6〜50個の炭素原子、より一層好ましくは6〜20個、例えば6〜18個の炭素原子を有するのが有利である。不飽和炭素環の例には、C6〜C10シクロアルケニル基がある。
【0034】
芳香族炭素環式基の例には、(C6〜C18)アリール基、より一層好ましくは(C6〜C12)アリール基、特にフェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルがある。
【0035】
上で定義した通りの脂肪族炭化水素部分及び上で定義した通りの炭素環式部分の両方を有する基は、例えばベンジルのようなアラルキル基、又はトリルのようなアルカリール基である。
【0036】
脂肪族炭化水素基又は部分及び炭素環式基又は部分の置換基は、例えばアルコキシ基(そのアルキル部分は上で定義した通りであるのが好ましい)である。
【0037】
記号G2に関して上で論じた加水分解性一価基とは、例えば次のような基を意味する:
・ハロゲン原子、特に塩素原子;
・基−O−G7及び−O−CO−G7(ここで、G7は飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は飽和、不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基、又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし、G7は随意にハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで置換されていてもよい);
・基−O−N=CG89(ここで、G8及びG9は独立的にG7について上で与えた意味のいずれかを持ち、G8及びG9はハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで随意に置換されていてもよい);
・基−O−NG89(ここで、G8及びG9は上で定義した通りである)。
【0038】
有利には、前記加水分解性一価基は、次の基:
・直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルコキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく且つ/若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C2〜C9アシルオキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C5〜C10シクロアルキルオキシ;又は
・C6〜C18アリールオキシ:
である。例として、加水分解性基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、メトキシエトキシ、β−クロロプロポキシ若しくはβ−クロロエトキシ又はアセトキシである。
【0039】
式(I)において2個の置換基G2がそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって形成することができる一価の炭素環式基としては、例えば次の環系を挙げることができる:
【化5】

【0040】
式(I)の記号A中に存在する窒素原子の置換基G3及びG4が一緒になって形成することができる単環、並びに式(III)の記号J中に存在する窒素原子の置換基R2及びR3が一緒になって形成する単環としては、次の環を挙げることができる(これらの環においては窒素原子が自由原子価を有する):ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリジン、Δ2−ピロリン、イミダゾリジン、Δ2−イミダゾリン、ピラゾリジン、Δ3−ピラゾリン、ピペリジン。好ましい例は、ピロール、イミダゾール及びピラゾールである。
【0041】
これらの新規の官能化有機ケイ素化合物(I)は、いくつかの点で興味深い:即ち、これらの化合物は、経済的であり、製造が容易であり、安定(特に加熱時に安定)であり、良好な用途性能を提供し、湿り気のある雰囲気中での貯蔵の間及び使用の間に加水分解及び/又は縮合反応(VOC放出)をほとんど又は全く引き起こさない(抑制可能な加水分解/縮合感受性)。
【0042】
式(I)の好ましい形F1において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aは基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす。
【0043】
式(I)のより一層好ましい形F2において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aは−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0044】
式(I)のさらにより一層好ましい形F3において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、 ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0045】
特に好ましい実施態様に従えば、一般式(I)の官能化された有機ケイ素化合物は、次の種を含む群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0046】
有利には、種(2i)は次の下位種に細分される:
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー。
【0047】
特に好ましい実施態様の興味深い変形に従えば、一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、次の(下位)種の群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物。
【0048】
この変形の中で、特に好ましい一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物(3i)によって構成されるものである。
【0049】
実施に当たっては、本発明に従う有機ケイ素化合物は、式(I)において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、G1、G2について下に与える定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され、
・Zは二価基Z'−NR4−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・R4は水素原子である:
化合物(i)及び/又は(2i.1)及び/又は(2i.2)を含む少なくとも1種の混合物(3i)を含むことができる。
【0050】
本発明はまた、式(I)においてa=3、q=1、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る有機ケイ素化合物が上で定義した式(I*)、(II*)又は(III*)の有機ケイ素化合物を包含することができる少なくとも1種の混合物(3i)を含む官能化有機ケイ素化合物にも関する。
【0051】
好ましくは、混合物(3i)は次の組成を有する:
・シラン(i)30〜95モル%、好ましくは60〜90モル%;
・シロキサン(2i.1及び/又は2i.2)5〜70モル%、好ましくは5〜40モル%。
【0052】
アゾ基含有官能性有機ケイ素化合物(i)、(2i.1)及び(2i.2)の例としては、次式を有する物質を挙げることができる:
・a=3、a'=0、m=n=o=p=0且つq=1である種(i):
【化6】

・a=2、a'=0、m=1、n=o=p=0且つq=1の種(2i.1):
【化7】

・a=1、a'=0、m=2、n=o=p=0且つq=1の種(2i.2):
【化8】

【0053】
本発明の有利な特徴に従えば、懸案の有機ケイ素化合物(I)はアルコール(特にVOC)を痕跡量しか含有せず、アルコールを含有しないことさえある。
【0054】
本発明の第2の主題は、下記の式(I):
【化9】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化10】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物{特に本発明の第1の主題を構成するもの(しかしそれに限定されない)}の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化11】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり、
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にする
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、
・塩基Bを無機塩基から、好ましくは式(B):M2CO3(ここで、Mは金属、好ましくはアルカリ金属である)の無機塩基から選択し、
・Oxをヒドラジン基を酸化してアゾ基にすることができる酸化剤から、好ましくはハロゲン、シアヌル酸誘導体及び塩素含有化合物並びにそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物を含む群から選択し、
・次式(III):
【化12】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
の(単独で又は互いに混合物して用いられる)シランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを特に構想することを特徴とする、前記製造方法にある。
【0055】
本発明者らは、塩基Bの選択、酸化剤Oxの選択、及び1種以上のアルコキシシランの使用を組み合わせることによって、塩基Bとしてピリジンを用いることを不必要にすることができた。これにより、ピリジン残留物を除去するための後処理を実施することが必要ではなくなるので、式(I)のアゾ基含有有機ケイ素化合物の製造が大いに簡単になる。
【0056】
この結果は、方法の性能(収率/生産性)にも生成物の品質にも影響を及ぼすことがなく達成され、方法をより一層経済性のよいものにする。
【0057】
さらに、この方法は、ある種の式(I)のアゾ基含有有機ケイ素化合物(その化合物が式(I)においてa=3、q=1、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る場合には上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の有機ケイ素化合物を除く)を含む新規物質への到達手段を提供する。
【0058】
得られる式(I)のアゾ基含有有機ケイ素化合物は、特に次の種を含む群から選択されるものである:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0059】
官能化シロキサンオリゴマー(2i)及び少なくとも1つの種(i)と少なくとも1つの種(2i)との混合物(3i)は、その化合物が式(I)においてa=3、q=1、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る場合に、上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の化合物を除外しなくてもそのままで新規のものである。
【0060】
一般的に、本発明に従う方法によって得られる式(I)のアゾ基含有有機ケイ素化合物の定義については、有機ケイ素化合物(I)自体の説明において上に与えた定義を参照されたい。
【0061】
好ましくは、この方法は無水媒体中で、好ましくは有機溶液中で実施される。
【0062】
選択される溶媒は、例えば次の類の溶媒に属するものである:ジクロロメタン及びクロロホルムのような塩素含有溶媒、トルエン、キシレン又はモノクロロベンゼンのような芳香族溶媒、テトラヒドロフランのようなエーテル類、試薬(III)及びそれらの混合物。
【0063】
本発明に従えば、塩基Bを炭酸塩タイプの塩基、特に炭酸ナトリウムから選択するのが特に望ましいことがわかった。このタイプの塩基Bの1つの利点は、ピリジンを用いる必要がなくなることである。
【0064】
好ましい具体例に従えば、この方法においては、室温及び/又は大気圧が採用される。
【0065】
注目すべき特徴に従えば、本発明の方法は本質的に次の工程を含む:
・前駆体(II)、塩基(B)、追加の試薬(III)、有機溶媒及び酸化剤(Ox)を混合する(後者は数分〜数時間かけて反応混合物に徐々に添加するのが好ましい);
・(好ましくは撹拌しながら)反応させる;
・反応混合物を濾過して、過剰分の塩基(B)を塩MOxを生成させることによって取り除く;
・随意に濃縮する。
【0066】
本発明に従う方法の特に有利な実施態様に従えば、Oxは前駆体(II)に対して化学量論的量で用いる。例えば、Oxは1Mの化学量論的割合で用いることができる。
【0067】
本発明に従う方法の別の特に有利な実施態様に従えば、Bは反応によって放出される酸の量に対して化学量論的量で用いる。
【0068】
追加の試薬(III)の使用量は臨界的ではないが、しかし本発明に従えばこの量は前駆体(II)に対して少なくとも0.1M、好ましくは少なくとも1Mであって100Mまで又はそれ以上、さらにより一層好ましくは1〜10Mの範囲にするのが好ましい。
【0069】
有利には本発明に従う方法によって得られるアゾ基含有有機ケイ素化合物は、アルコールを痕跡量しか含有せず、又はアルコールを全く含有しない。「アルコール」とは本明細書の意味においては特にVOCを意味する。
【0070】
アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するための本発明に従う方法は、少なくとも次の工程を含む合成方法に包含され得る。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化13】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化14】

とを反応させる工程
(これら式中、記号G0、G1、G2、m、n、o、p、q、a、a'及びAは上で定義した通りであり、
1及びL2は互いに反応して真ん中の結合−Z−CO−を生成して式(II):
【化15】

の前駆体を与えることができるような構造及び官能基を有する基を表わす);
(ii)式(II)の前駆体をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す工程。
【0071】
工程(ii)の酸化は、本発明に従う製造方法に相当する。
【0072】
例えば構造中の記号Zが二価基−(CH2)3−NH−を表わすアゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するためには、用いられる合成式は次の通りであることができる。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化16】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化17】

とを反応させて式(II):
【化18】

のヒドラゾ化合物を得る;
(ii)式(II)の化合物をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す。
【0073】
まとめると、前駆体(II)を得る工程(i)及び(II)を(I)に酸化する工程(ii)は、次の一般的方法に従う。
【0074】
工程(i):
・式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・数百回転/分で撹拌し、T=40〜100℃に加熱する。
・式(IV)の前駆体シランを数十分で添加する。
・室温に戻す前にT=40〜100℃において撹拌しながら数時間反応させる。
・室温において数時間放置する。
・式(II)の(例えば)固体状の前駆体を回収し、濾過し、洗浄し、乾燥させる。
【0075】
工程(ii):
・前駆体(II)、Ox(例えばOx2)及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・Ox(例えばOx1)を30℃以下、好ましくは25℃以下の温度において数十分で反応器に添加する。
・室温において数時間撹拌する。
・濃縮する。
・活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)を回収する。
・洗浄し、濾過する。
・濃縮する。
【0076】
本発明に従う新機能有機ケイ素化合物及び用いる実際の方法についての詳細については、以下の実施例を参照することができる。以下の実施例は、上に示した方法の範囲を例示する。
【実施例】
【0077】
【化19】

Et=エチル一価基
【0078】
例1:
【0079】
250ミリリットルの反応器に、10g(28.4ミリモル、1当量)の化合物、7.53g(71ミリモル、2.5当量)の乾燥Na2CO3、10.06g(85.2ミリモル、3当量)のトリメチルエトキシシラン及び50ミリリットルのジクロロメタンを添加する。15ミリリットルのジクロロメタン中に4.55gの臭素(28.4ミリモル、1当量)を含有させた溶液を1時間かけて滴下する。
【0080】
臭素の添加の終了後に、反応混合物をさらに30分間撹拌する。次いで反応混合物を濾過し、真空下で濃縮する。明るいオレンジ色のさらさらした液体8.28gが得られた。
【0081】
1H−NMRによる分析は、化合物が完全に消費され、アゾ基が選択的に形成され、SiOEt基の損失が制限されたことを示した。最終生成物のモル組成を表1に示す。
【0082】
例2:
【0083】
250ミリリットルの反応器に、10g(28.4ミリモル、1当量)の化合物、7.53g(71ミリモル、2.5当量)の乾燥Na2CO3及び50ミリリットルのトリメチルエトキシシランとジクロロメタンとの50/50(容量/容量)混合物を添加する。15ミリリットルのジクロロメタン中に4.55gの臭素(28.4ミリモル、1当量)を含有させた溶液を1時間かけて滴下する。臭素の添加の終了後に、反応混合物をさらに30分間撹拌する。
【0084】
次いで反応混合物を濾過し、真空下で濃縮する。明るいオレンジ色のさらさらした液体9.77gが得られた。
【0085】
1H−NMRによる分析は、化合物が完全に消費され、アゾ基が選択的に形成され、SiOEt基の損失が制限されたことを示した。最終生成物のモル組成を表1に示す。
【0086】
例3:
【0087】
250ミリリットルの反応器に、10g(28.4ミリモル、1当量)の化合物、3.31g(31.2ミリモル、1.1当量)の乾燥Na2CO3及び50ミリリットルトリメチルエトキシシランとジクロロメタンとの50/50(容量/容量)混合物を添加する。15ミリリットルのジクロロメタン中に4.55gの臭素(28.4ミリモル、1当量)を含有させた溶液を1時間かけて滴下する。臭素の添加の終了後に、反応混合物をさらに30分間撹拌する。
【0088】
次いで反応混合物を濾過し、真空下で濃縮する。明るいオレンジ色のさらさらした液体9.78gが得られた。
【0089】
1H−NMRによる分析は、化合物が完全に消費され、アゾ基が選択的に形成され、SiOEt基の損失が制限されたことを示した。最終生成物のモル組成を表1に示す。
【0090】
例1〜3において得られた最終生成物は、次のものの混合物だった。
・次式のシラン種:
(ia):(C25O)3Si−(CH2)3−NH−CO−N=N−COOC25
・次式のシロキサン種:
【化20】

及び
【化21】

それらのモル割合を表1に示す。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
(C3)有機ケイ素化合物が式(I)においてa=3であり、q=1であり、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る場合には、上で定義した通りの式(I*)、(II*)又は(III*)の有機ケイ素化合物を除外するものとし;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素原子;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化2】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい種を含む官能化された有機ケイ素化合物。
【請求項2】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aが基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす:
ものから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aが−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ものから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aが基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ものから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
種(2i)が次の下位種:
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー:
に細分されることを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
次の下位種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、G1、G2について下に与える定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Aが基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−NR4−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・R4は水素原子である:
化合物(i)及び/又は(2i.1)及び/又は(2i.2)を含む少なくとも1種の混合物(3i)を含むことを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
式(I)においてa=3、q=1、m=n=o=p=0である化合物から専ら成る有機ケイ素化合物が上で定義した式(I*)、(II*)又は(III*)の有機ケイ素化合物を含む少なくとも1種の混合物(3i)を含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
前記混合物(3i)が次の組成:
・シラン(i)30〜95モル%、好ましくは60〜90モル%;
・シロキサン(2i.1及び/又は2i.2)5〜70モル%、好ましくは5〜40モル%:
を有することを特徴とする、請求項5〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
次式(I):
【化3】

{ここで、
・m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
・qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
・aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
・a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
・aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素原子;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化4】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化5】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり、
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にする
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、
・塩基Bを無機塩基から、好ましくは式(B):M2CO3(ここで、Mは金属、好ましくはアルカリ金属である)の無機塩基から選択し、
・Oxをヒドラジン基を酸化してアゾ基にすることができる酸化剤から、好ましくはハロゲン、シアヌル酸誘導体及び塩素含有化合物並びにそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物を含む群から選択し、
・次式(III):
【化6】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
の(単独で又は互いに混合して用いられる)シランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを含むことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項12】
無水媒体中で、好ましくは有機溶液中で実施することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
室温且つ/又は大気圧において実施することを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前駆体(II)、塩基(B)、追加の試薬(III)、有機溶媒及び酸化剤(Ox)を互いに混合し(後者は数分〜数時間かけて反応混合物に徐々に添加するのが好ましい);
これを(好ましくは撹拌しながら)反応させ;
反応混合物を濾過して、過剰分の塩基(B)を塩MOxを生成させることによって取り除き;
随意に濃縮する:
ことを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
Oxを前駆体(II)に対して化学量論的量で用いることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Bを反応によって放出される酸の量に対して化学量論的量で用いることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前駆体(II)に対する追加の試薬(III)の使用量が少なくとも0.1M、好ましくは少なくとも1Mであって100Mまで又はそれ以上、さらにより一層好ましくは1〜10Mの範囲であることを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
得られる有機ケイ素化合物が痕跡量のアルコールを含有するだけであり又はアルコールを含有しないことを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
式(II)の前駆体のヒドラゾ基−HN−NH−をアゾ基−N=N−に酸化する前に、少なくとも前駆体(II)の合成の次の工程:
式(IV)の前駆体シラン:
【化7】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化8】

とを反応させる
(これら式中、記号G0、G1、G2、m、n、o、p、q、a、a'及びAは上で定義した通りであり、
1及びL2は互いに反応して真ん中の結合−Z−CO−を生成して式(II):
【化9】

の前駆体を与えることができるような構造及び官能基を有する基を表わす);
を含むことを特徴とする、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
次の一般的方法:
工程(i):
・式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用い、
・数百回転/分で撹拌し、T=40〜100℃に加熱し、
・式(IV)の前駆体シランを数十分で添加し、
・室温に戻す前にT=40〜100℃において撹拌しながら数時間反応させ、
・室温において数時間放置し、
・式(II)の固体状前駆体を回収し、濾過し、洗浄し、乾燥させる;
工程(ii):
・前駆体(II)、Ox及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用い、
・Oxを30℃以下、好ましくは25℃以下の温度において数十分で反応器に添加し、
・室温において数時間撹拌し、
・濃縮し、
・化合物(I)を回収し、
・洗浄し、濾過し、
・濃縮する:
に従うことを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2008−542246(P2008−542246A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512863(P2008−512863)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001109
【国際公開番号】WO2006/125889
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】