説明

有機体の空間環境における気候制御システム、及びその空間環境、制御システム及びプログラム

温室、納屋、事務所、住居などの建物、あるいは車、船舶、航空機などの車両における空間(35)の気候を制御する。空間に含まれる有機体(10)は、その空間の気候の制御システムの一部を形成し、この制御は少なくともこの有機体の温度の共同制御からなる。ここでは、提供された有機体のレベルに、不飽和の調整された空気が、制御による管理に依存して供給される。制御は、有機体の温度登録と、二つの高さレベル(A,B)における空間の気候(温度、湿度、速度)の登録からは離れる。第一レベルで確立された気候パラメータと有機体の温度との関係により、有機体温度の期待値が、第二レベルでの気候パラメータにおける変化に基づき決定される。所望の植物の測定温度と熱流の決定または確立との間の差異を決定または確立することによって、調整空気をより良くより直接的に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文部分に記載されるような人間、動物、及び植物などの有機体の筐体のための空間における気候を制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような建物用の制御システム、特に、温室における作物生育用気候制御システムとしての制御システムは一般的に知られている。多くの場合、これら既知の温室の制御システムは、非特許文献1の知見まで遡れるテーマを有している。このため、温室作物生育について知られている制御システムは、その中で植物によって有機体が形成される建物の気候制御に焦点を合わせている。そのような場合、対象となる有機体の生育や成長に最適な内部気候つまり温室気候を実現することを意図している。通常、これらの温室制御システムは、植物と、気候を制御する制御ループ内における要因−その大部分は、温度、湿度、含有量、即ち、温室内のごく少量の二酸化炭素、入射光量、空気の動き−を備える環境との相互作用から離れている。多くの場合、これらの成長要因は、相互に関連付けられた複数のバランスによって制御され、少なくとも互いに調和され、これは温室に流れ込む、及び温室から出てゆく流れを物理的に説明する。この場合、理論的及び/または実験的に開発されたモデルを備えていようがいまいが、制御される数値は有機体(ここでは植物)の生理による既知の要求に適合する。
【0003】
既知の制御は、特に、この種の制御によって有機体の成長が実現された温室の建物への適用において、有機体と環境要因の実験的に定義された関係から離れているという不利益を有する。この制御は、温度などの気候要因に関する平均値から離れている。しかしながら、実際には、この平均値は事実上、それがともかく実現可能であるほどには、維持することができない。温室の場合、これは、気候要因間における相互作用によって最後に生じるわけではない。例えば、照射量が増加すれば、植物温度が上昇し、それによって、温室温度も上昇する。さらに放射蒸発が増えれば、温室の空気の相対湿度も上がる。しかしながら、温室温度の上昇が空気の湿度の上昇を上回る場合には、むしろ空気の相対湿度が低下する。この相互作用は、気候要因の変化、特に放射の流入によってさらに強化される。後者は、好ましくない日に、100〜1100W/mというかなり広範囲の容量内で、200〜300ワット平方メートル(W/m)というかなり大きな量の変化を達成し得る。これとは別に、設備を始動し制御するとき、気候要因間に所望及び所望されない相互作用が存在する。このように例えば、余剰熱の場合、温室温度は、温室の窓を開放することによって下がることが多い。
【0004】
温室温度の制御の際には、通気を行ったり、行わなかったりすること、即ち、換気窓の開閉、あるいは管の温度−即ち暖房の温度−を上げ下げすることが行われるが、これによって、空気の相対湿度が乱れることがある。気候要因、作物、及び設備あるいは装置(通気、暖房、網戸、照明等)間の相互作用はこのように、頻繁に、既知の気候制御の妨げとなる。本発明の基本的な知見に従い、これらの要素は、他の制御すべき空間、特に、生物の筐体にも類似的に適用される。このような空間は、その中に物理的に分離した部分があるかないかにかかわらず、住居、事務所、納屋などの建物であってもよいし、陸上車、船舶、航空機などの輸送手段であってもよい。なお、本発明の知見によれば、このような要素はそれら自身も提示し、ここに示される本発明は、車、バス、飛行機などの人のための車両を含む輸送手段にも好適に適用されることが可能である。
【0005】
少なくとも温室の建物は、数十年間、内部気候を制御しながら使用されてきたが、実際のモデルでは非常に細かい制御が重要であり、それは少なくとも、建物の設備の一部である気候影響要因を継続して積極的に管理することによって特徴づけられる。これらは、換気窓の他、暖房要素、加湿及び乾燥装置、建物内の有機物を影で覆う遮蔽装置、及び二酸化炭素設備から構成される。換気装置はさらに、空気の内部分布及び/または空気の混合のためにも存在し得る。それにもかかわらず、温室園芸においては、できる限り気候を安定的に維持することを視野にいれ、温室内の生育要因ごとに多数の設定点を設けた既知の制御システムが上述の方法で操作されている。温室の小区分ごとに、250〜400個のいわゆる設定点が存在することもめずらしくない。このため既知の制御は制御自体を実現させるのが複雑になるだけでなく、精密に維持しなければならないため相対的に開発費用が高くつく。
【0006】
少なくとも温室園芸のために、既知の気候制御を改善する試みは、特許文献1によって知られている。この試みは、いわゆる微気候から離れ、通常、建物の気候制御の対象となる有機体の周辺に制御を集中させることによる、作物の生育の制御に焦点が当てられる。このようにして、この試みは栽培された植物周辺に直接、向けられ、今では温室内で植物のすぐ近くで、種々の支援手段に助けられて気候が制御されている。これらは、少なくとも加湿器と、これと分離した除湿器を有し、それぞれが同時に加熱または冷却を行い、それによっていわゆる微気候が実現できる。このシステムには、植物の場合、有機体のすぐ近くにも、理想的であると定義された気候、少なくとも有機体の所望の局地気候に関する最適な数値に対する、余剰熱及び/または水分の取り込み及び放出のための余剰熱バルブが備えられる。実際には、この刊行物は温室に適用できる気候空間の大きさを定義している。その気候空間には、それに適用される発明の手段が提供される。特許文献1には、いわゆる微気候に必要なあらゆる制御については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007053011号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「温室気候:物理的プロセスから動的モデルまで」G.P.A.Bot,Wageningen 1983
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、園芸作物、動物、人間などの有機体の筐体のための空間において実現される気候の制御のモデルにおける必要な改革とともに、それに適用される支援手段の概念を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は、請求項1の特徴部に定義されるような制御に関し、少なくともそれを促進させる、気候制御の方法やシステムを含む。これらは、いわゆる制御ループの一部として有機体の複数の状態パラメータから構成され、一実施の形態において、気候を実現させるために、不飽和の調整された空気が、高い位置からその有機体の上部の下に供給される。このような制御によって、第一に、気候が有機体の周辺に実現され、その気候は、少なくとも明確に、快適であると感じられ、例えば、植物の場合、有機体の登録された気温に依存して成長が刺激されるためエネルギー使用量をかなり削減できる。これによって本発明は特に、空気周辺の有機体を取り巻く空気の状態を定期的に変化させることによって、また特に、いわば既知の熱力学原理を用いながら、垂直に誘導され、さらに有機体に沿った自発的な空気の流れになるように制御することにより他者の間での減速あるいは加速に関連することによって、有機体を含む空間を十分に感知する。
【0011】
この後者の場合、本発明におけるさらなる知見が用いられる。これによると、空気は有機体に沿って少なくとも準自発的に移動し、好適には少なくとも大部分は一度の加速によって移動する。このような制御は、一つの空間で、植物、動物、人間のどれかに同様に快適さをもたらす。このような自発的に管理された空気に対しては、供給要素の開口部から抜け出すために必要な量のエネルギーの他にはエネルギーが加えられることはなく、その結果、空気はその場所で上昇する空気を置換するためにのみ移動することになる。本発明によると、この空気の温度及び/または湿度は、有機体のすぐ近くで管理されるか、少なくとも供給され、建物の少なくとも一部あるいは一区画の母集団のうち一つまたは複数の有機体の複数の状態パラメータの決定された数値に対して制御される。
【0012】
本発明はさらに、湿った空気は乾燥した空気より軽いため上昇するという物理的に既知の現象における知見を利用する。よって、不飽和空気を有機体の近隣に、例えば、生体が座ったとき、あるいは立ったときの胸の高さに供給すると、上昇する空気が有機体から湿気を加えられ、その結果、その空気は速度を増す。有機体に沿って上昇する空気が存在しない場合には、湿気を除去できない、あるいは非常に制限的にしか除去できないために、有機体は不快に感じるか、不快感を増す。よって、湿気を除去するためには、有機体に沿った空気流が存在するほうがよい。このような湿気の除去は人間の場合、多くが口、鼻、頭皮を介して行われ、また植物では、葉があるすべての位置で行われる。上昇した空気は好適には、本発明において、有機体の上側に、大部分が制御された空間の上側に接触して、あるいはその空間の上側に設けられる排出口を通して、活発に排気される。
【0013】
本発明はさらに、少なくとも人間や動物などの温血有機体が、絶対的な感覚で温度を感知しないことを考えて、周知の知見を利用する。これは、少なくとも大部分が包囲された空間に関する使用可能な空気の入れ替えなどの、現在、提案されている制御が、空気の循環、即ち、上昇が有機体によってまたは有機体自身によって導入され、その結果、有機体によって自然な湿気の除去が行われる、というものである。ここで必要条件は、導入される空気は不飽和であり、空気の導入は、少なくとも湿気除去の公称レベルで有機体によって達成されることである。
【0014】
特定の実施の形態において、制御は、一方では少なくとも空気の二つの高さレベルで温度測定を行い、他方では有機体の温度測定を行うことによって、目的とする自然な空気流を得ることを目的とする。このような測定に助けられて、有機体の状態とその環境との間の第一のレベルである関係が生じ、この関係と第二のレベルでの実際の測定に助けられて、生じうる差異が、有機体の実際の温度と期待温度−例えば、目標とする、あるいは所望の温度−との間で決定される。また、管理される空気の相対湿度及び/または温度は、決定あるいは設定に依存して影響される。
【0015】
有機体が植物からなる特定の場合には、本発明は、その有機体周辺の湿気のある飽和した空気の境界層に、この境界層の厚さに影響を与えたり管理したりする、即ち制御することによって、影響を与えることを目的とする。これはまた、蒸発を促進するために、不飽和空気による空気流を生成することによってこの層が減少することも含む。このため本発明によると、結局、有機体の状態パラメータ、特にその温度が、調整された湿度をもつ空気を管理することによって影響を受けることになる。
ここで、本発明における基本となる周知の知見を利用する。この知見によれば、小孔をできるだけ塞いで冷却を防ぎながら湿気などを蒸発させて有機体を冷却させる必要性あるいは機構などの状態に依存して、より多数の、またはより少数の毛穴あるいはいわゆる小孔あるいは皮膚口が、開く。好適には、低位置の葉の下に花がついている場合、調整空気は有機体の低部付近で管理される。このように、このことは、開いた小孔の付近での最終的な蒸発が、境界層の厚さ及び有機体の湿気の除去に対する内的抵抗に依存することをすでに考慮した基本となる知見に一致している。
本発明の特定の態様は、有機体の直接的環境は、建物内などの気候制御に関するモデルに含まれ、少なくとも直接、測定されるか影響を受けるという事実から離れている。本発明のモデル及び制御は、実際には有機体付近の気候は有機体自身の気候と非常に類似しており、少なくとも高い関連性を持ち、少なくとも状態要因としての温度に関して、有機体付近の気候は有機体の前記状態要因における関連する数値を示し、またその逆も言えることを考慮している。本発明における概念の次の段階では、有機体の状態の影響が、その直接的な環境によって生じ得ることが認識される。
【0016】
本発明の概念のさらなる発展形では、有機体の直接的な環境は、好適には植物の葉の周辺の飽和空気の境界層の厚さの影響を利用しながら、物理の原理に基づいた交換プロセスによって影響されることが認識される。本発明によれば、この境界層の操作及び影響は、自然で自発的な流動、即ち、空気の移動によって生じるはずである。またここでは、周知のとおり、有機体の冷却は、不飽和空気で水蒸気を運ぶことによって、蒸発を通して生じ得る。本発明のさらなる適用される物理的な知見によると、周囲空気は少なめの特定の定量、即ち、加湿を伴う濃度に達し、この周囲空気を上昇させる。湿った空気は好適には、少なくとも大量に捕らえられる、つまり奪われるが、他の実施の形態では、限定的に開かれた窓−例えば、空気の限定的な循環と相まってかどうかにかかわらず、温室の窓−を通して排出されもする。
【0017】
本発明の利点は、植物や、動物または園芸植物などの他の種類の有機体の自己冷却機能が適用されるという知見から離れていることにあり、少なくとも植物では、建物、例えば、温室内の気候の制御から離れることが重要となる。ここでなされる使用は、それ自体物理的には知られていながら、気候制御での実用は知られていない、少なくとも、湿った空気は軽いため、上昇するか、または他の自発的な勢力、少なくとも有機体に沿って人工的に上方に押しやられたわけではない空気流の勢力を形成するという知見は適用されていない。
【0018】
供給路あるいはダクトには、供給路あるいはダクトによって運ばれた空気の出口抵抗を克服するために必要な圧力以外の圧力は存在しない。特定の空気量では湿った空気の方が相対的に軽いという知見及び事実から離れて、有機体の蒸発において、管理された空気、即ち、母集団−例えば、作物の植物−の有機体の境界層での交換に基づく空気流は不飽和であるという前提条件のもとで、有機体に沿って上昇する自然な流れが起こる。既知の制御などにおける力で管理された空気とは異なり、このような自然な上昇流は、葉の周辺の飽和層の厚さに影響を与える。このような自然な流れの維持により、基本となる仮説によれば、水蒸気の最適な交換が行われる。ここまで一般的に用いられた用語、「気候制御」は、本発明に基づき、必須の、また本発明においても基本となる知見と一致させることが可能であり、従って「有機体に適用する気候制御」を意味する。本発明及び本発明に適用された基本となる知見によれば、有機体は歴史的に見れば最初は、内部気候の制御及び管理のための制御ループに含まれていた。
【0019】
本発明による概念をさらに発展させると、温度か湿度のどちらかのために、空気は上昇する。詳細に言えば、湿度がより高い空気は、速度が増す空気流に沿って移動する。そのため本発明は、有機体、例えば、作物において管理される空気の温度と湿気の制御から構成される。このように、有機体との交換が、及びこれによって有機体自身が影響され、有機体の相対的に速い生理学的反応が達成可能となる。このとき、有機体自身にとって良好な状態、つまり、植物の場合は作物の成長に好ましい状態が維持できる。これは、本発明のさらなる基本となる知見によれば、環境は、水分含量あるいは温度あるいはその両方における軽い変化が、一定間隔をおいて、つまり定期的に、環境に起こることを含む。この知見の基本となる仮定によれば、これは、人間は実質的には気づかないが、有機体における生理学的プロセスで良好に起こる活動である。ここで、有機体のストレス反応も生じうる。このストレス反応は植物では、例えば、開花や果実の熟成という形になる。さらに、本発明によって制御された気候の空間で有機体を充分に生育させること及び、それによって主に可能になる大量の省エネルギー化に加えて、本発明は、作物の場合は熟成などの、所定の生理学的反応を調整するために適用可能である、という副次的な効果を有する。
この後者は、本発明による調整を行う温室空間を、高い効率性で利用できるという利点を有する。本発明を実際的に詳細に説明すると、制御は、供給された空気と有機体の境界層の空気との間の温度及び/または湿度勾配を利用して、空気流を調整することを目的とする。このために、測定装置が母集団での検出を目的とした建物の空間内に設けられ、高さのレベルが異なる少なくとも二つの場所に既知のセンサーが含まれ、少なくとも温度要因に対する有機体の状態を定義する。対応するレベルで、少なくとも温度と空気の湿気のセンサーが、有機体の付近の空気流に含まれる。これらの数値と一般的な気体の法則の助けで、空気の自発的な上昇流が計算され、供給された空気の湿度及び/または温度は、有機体の測定温度に適用される。このような適用は、非常に迅速に実際的な結果を導き、例えば、植物では、数分で有機体の反応を導く。このような有機体の状態の測定及びこれに対する反応で、後者は、本発明によると、気候制御のモデルの一部となる。周知である温度と湿度用の測定装置を利用しながらの空気速度センサーの使用、即ち、現在示したような間接的あるいは派生的な実施例よりむしろ、空気速度の直接的な検出も本発明に含まれることが分かる。
【0020】
本発明は新しい概念と詳細を備え、建物内の気候制御に関する革新的に変化したモデルのみでなく、もたらされる生産量や、植物の生育の制御、または低い温度で快適な暖房の熱感を実現することによる、空間の暖房におけるかなりの量のエネルギー節約における革新的な変化も、少なくとも実際的に実現させる。新モデルによるテストから、植物にこれを適用することにより、今までに知られていた制御に関連して、従来の生産量が10パーセント増加し、密閉型温室では30パーセント増加することが証明された。さらに、新モデルは花の開花や作物の果実の熟成を早める、または遅らせるために利用することができる。このため、新しい制御によって、ただ増加した生産量だけでなく、実際には、所定の、即ち、所望の事例及び/または生産量のレベルも実現できる。このため新システムにおいては、生産量の増加そのものもさることながら、徹底的な生産効率の改善と使用エネルギーの削減が非常に重要となる。一般的な効率性の上昇は、現在、可能な制御によって園芸分野で可能である。
【0021】
本発明はその一例としてのシステムの図面によってさらに詳細に説明される。ここで有機体は気候制御の制御ループに含まれている。添付の図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一般的な気候制御に適用されるモデルの概略説明図
【図2】図1に対応する本発明のモデルの概略説明図
【図3A】従来の温室で行われている測定量と測定の種類の概略説明図
【図3B】図3Aの測定に関する本発明のモデルに対応した配置図
【図4】本発明による方法と制御システムの計算された制御パネルの例を表す説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、対応する構成要素は同一の参照符号で表される。ここに詳述された例において、有機体は植物として表され、調整すべき気候を有する空間は、いわゆる園芸用の密閉型温室として表されるか、またはそうではない。筐体あるいは公共施設、納屋、飛行機や車などの輸送車両における空間のそれぞれにおいて、人間と動物に関して、類似の制御とプロセスが発生することは言うまでもない。このため本発明は、使用された実施例とは無関係に、有機体の筐体を目的とする空間における気候制御からは明確に離れている。
【0024】
図1は、一例として、植物、人間、動物などの有機体の収容設備及び筐体としての建物内で気候制御を行う一般的に使用されているモデルを概略的に示している。
本実施例において、このような建物は伝統的な温室35として表される。家屋、家畜小屋、納屋など、この図にさらに示していない制御部を備える他の建物においても同様である。この制御部は、温室の場合、建物内の自動気候制御を行う。このような制御は大部分が、目的となる気候−多くの場合、建物内の目的温度−に焦点を合わせており、検出から離れている、即ち、建物に関する内部及び外部気候データの自動的な登録や、建物内の構成要素の制御から離れている。この実施例において、建物用暖房装置の暖房管4、建物の換気用の通気あるいは換気装置の通気開口部5、考えられる二酸化炭素管理装置の二酸化炭素管理管6、建物用の遮蔽装置の網戸7、照明装置の照明8、考えられる加湿装置の加湿点9などの温室構成要素がある。温室の構成要素はその大部分が、人間あるいは動物用の建物において類似した形状をもつ。
【0025】
自動制御により、内部及び外部の気候データが、例えば、外部天候ステーション3や、気候センサーセット1を備えた内部センサーや、建物内に存在する有機体の温度の登録用有機体温度センサー2−この例では作物温度センサー−を介して使用される。内部気候用の数値を登録するためのセンサーセット1は大部分が、気温Ti、相対湿度Mi、及び空気中の二酸化炭素含有量Qの測定用センサーをもつ。これとは別に、作物温度の数値を登録するための登録装置として、作物温度センサー2もしばしば利用可能である。既知の制御装置における制御部によって処理される外部気候データの数値は、太陽光Wや温度To用の数値とは別に、大部分が相対湿度M、風速及び風向きに関する数値も含む。
【0026】
既知の温室は大部分が、温室暖房管4の低部付近に置かれた多数の気候影響要素、それを介するある程度の熱水の流れ、及び例えば、作物生育を促進させる二酸化炭素供給用の一つまたは複数の二酸化炭素供給ダクト6から構成される。暖房管4及び二酸化炭素供給ダクト6は、多くの場合、基板排水路12、あるいは、異なる種類の作物用の発根基盤11用の保持排水路12の付近か、少なくともその排水路12の高い部分の下に備えられている。作物は図中では、トマト等の園芸用作物を含む例示的な植物10で表されており、植物の列の横断面図によって表される。またここでは、植物の右側半分の成長のみが示されている。基板排水路12は水の重さ及び/または作物による水の使用量の増加を決定するための重量測定装置に設けられる。
【0027】
その上側に接近して、既知の温室は、図中では一個のスプレーノズルで表される既知の微細スプレー装置9とここでは一個のランプで表される作物用の既知の照明装置8と、作物を部分的には完全に遮光する既知の網戸あるいは遮光装置7を備える。切り欠き図において、温室は、温室に関するさらなる指示によって制御された、自動制御デッキ部あるいは窓5をもつ換気開口部からなる。この図では、多くの場合コンピュータシステムである制御部は表されていない。
【0028】
自動制御窓5は、伝統的な温室において温室気候を制御する際、重要な役割を果たしている。通常、これは、換気開口部が少なくとも過熱空気の排気と低温の外気の導入用に用いられる、という意味である。標準の、即ち、頻繁に使用される換気窓5によって、最適な二酸化炭素の含有量を達成するには困難を伴う。その結果、供給管6による二酸化炭素の供給は、通常、既知の温室内では、実際には、大部分がその最大容量のまま制御されてはいない。熱と二酸化炭素を同等に分布させるために、図示されない換気装置が存在してもよい。
【0029】
目的となる最適な温度Ti、相対湿度Mi、及び二酸化炭素含有量Qiのバランスのよい分布を実現するために、既知の温室は、非常に多くのセンサーセット1を備え、このセンサーセット1は少なくとも温度センサーと相対湿度センサーから構成される。多数のセンサーセット1はまた、温室内の二酸化炭素含有量Qiを測定するためのセンサーを備える。作物の温度を測定するための作物指向センサー2は、大部分が非接触式であり、例えば、赤外線センサーとして具現化される。既知の温室は、小区分、即ち、暖房管が独立して制御される温室の(必ずしも物理的に分離している必要はない)部分ごとに、典型的に、250〜400個のいわゆる設定点をもつ。ここで、内部気候は前記センサーによって登録される。
【0030】
既知の温室の構造でよく用いられる方法と、それに基づく制御システムは、温室内の、即ち、温室全体の、あるいは作物の直接的な環境における温度Tid、湿度Mid、及び二酸化炭素含有量Qidに関して決定された数値、成長気候の理想値の制御に焦点が当てられている。既知のシステムは、窓5、暖房管4、及び遮蔽装置7などの前記影響手段を対象とすることにより光の照射あるいは外部気温を変化させて、偏差を訂正する。空気供給チャネル6は、二酸化炭素を管理するために、既知の気候制御に、少なくとも園芸作物用の既知の生育システムに適用される。
【0031】
図2は、本発明による制御システムのために備えることが可能な温室を示している。図2では、温室温度Ti、相対湿度Mi、食物温度Tpの、高さA、B、あるいはCのうち少なくとも二つにおけるものが登録されている。
この新しいモデルは、植物10から余分の湿気を取り除くことにより、断熱法で作物によって温室気候を冷却することからは離れている。このモデルは、物理の原理に基づき、植物10あるいは作物のすぐ近くでの植物10に沿った上昇空気流21の自然な発生からは離れている。ここでは、気象学において、湿った空気は乾いた空気より軽いということを物理的に説明している既知の原理が用いられている。よって、空気は上昇し、実際には、図中、矢印21によって示された植物10に沿った空気の通路を自然で自発的な空気が循環する。作物、少なくとも植物はこのため、蒸発によってそれ自身を冷却することが可能となる。湿気を加えることによる空気の上昇という事象は、今まで少なくとも明白に、既知の温室発生気候学的プロセスにおける無視できる道理として定着しているため、これを気候のモデルに含み、それに基づいて制御することは全く新しいものである。
【0032】
湿気を吸収することにより空気が上昇するという物理的な事象に基づく本発明は、本発明の基本となるさらなる知見と相まって説明される。これによると、最初に、建物の気候の制御は少なくとも、気候制御に有機体を組み入れること、即ち、有機体によって提供される断熱冷却法の可能性に基づいている。断熱冷却法という物理的な事象はそれ自体が物理的な事象として知られているが、温室気候の制御にそれを適用することは全くの新規事項であると充分にみなされる。
本発明は、有機体の周りに、例えば作物の葉の周りに、いわゆる境界層、いわば影響を与えうる空気の層が存在するというそれ自体既知の事実が、断熱冷却法のプロセス、少なくとも湿気の蒸発の最適化を視野に入れて制御されるという、さらなる基本となる知見を有する。温室の通気開口部を介して発生する空気の渦から発生する気流や、この渦の連なりなどの強力な空気流の発生を、この層が妨げ、それによって最適な蒸発が起こることが認識される。最終的に、このような妨害は、確実に、比較的長い時間、持続することになるため、これは、有機体あるいはその母集団が、例えば、その最適な生育状態に至らないことを意味する。さらなる周知の本発明の基本となる知見によると、有機体とそれに沿った空気の上昇の間での湿気の交換は、葉の周辺の飽和空気層の一定の厚さが最適となり、蒸発速度が水蒸気上昇空気を取り入れた結果として、作物や周囲の境界層の間で水蒸気含有勾配に依存して存在する。
【0033】
温室などの建物における新たな気候制御に関する先述の基本原理は、フェンロ温室などの既知のオープンな温室にも適用できる。これはより現代的でエネルギー的にはいわゆる密閉型の温室である。密閉型温室の場合、排気ダクト23が再調整される温室の切り欠きに含まれ、それを通して湿気及び/または暖気が放出される。既知のオープンタイプの温室の場合、また、空気を制御して排気するためのダクト23がない場合、例えば、本発明が明確に適用するわけではなく、本発明による知見を備える既存の温室において、温室内のいわゆる余剰温度で通気開口部はできるだけ長く維持され、最終的に、作物が最適な蒸発に至り、それによって、温室内の断熱冷却により、エネルギーの損失を防ぐために二酸化炭素の濃度が維持される。温室内に余剰温度が発生し、温度センサー2によって、作物自体ではこれ以上冷却できないと判定された場合のみ、窓5が開放される。このような状況下でこのような行動に反応して起こる生育プロセスの妨害は、しかしながら、このような断熱線冷却の適用によって実現する生産量の増加を超えることはない。しかしながら、本発明によると、既知のオープンな温室には依然として、排気を制御するためのシステム23が備わるか、あるいは、それによって作物の境界層の状態を強制的に維持できるシステムが備わる。
【0034】
上述の新たな制御システムのさらなる最適化は、建物が温室の場合も、即ち、作物のすぐ近くに新鮮な空気を供給、つまり管理できる、制御空気供給システムを提供することを含む。特に、この空気は、温室内の加湿及び除湿設備によって制御された湿度を有する。このような方法で調整される新鮮な空気の実現化に関する設備は、それ自体周知である、調整要素及び構造によって図4に示される。
図2と一致して、このような調整された空気を供給するための供給管19が作物のすぐ近くに含まれ、特に、出口開口部20は、横断面として示される作物の列の真下にある。好ましくは、少なくとも作物排水路12に対応する直径をもつ比較的大きな管が温室に含まれる。原則的には、例えば、既存の温室で適用可能なように、このような供給管19はまた、二つ以上のより小さい供給管に置き換えることもできる。あらゆる場合において、一つの場所におけるこれらの供給管19は、垂直に突出する植物10を含むが突出した作物排水路12を含まない領域に突き出る。あらゆる場合において、本発明の供給路は、供給管内の開口部におけるある程度の出口抵抗を克服しながら新鮮な空気が少なくとも事実上は自由に、即ち、温室の空間内で自発的に開放されるように設置される。意図された空気の流れ21におけるこの空気のその後の取り込みは、目標とする状況下、即ち、葉の近く、つまり葉の層付近の空気の上昇の結果生じた引く力によって発生する空気の回転流が存在しない状況下で行われる。
【0035】
好適な実施形態によれば、作物排水路12ごとに、本発明による調整空気用の供給管19が一個、特に、その真下に設けられる。このような好適な実施形態では、本発明による空気用の供給管は、例えば、作物10の作物排水路12の幅より大きい直径をもつような寸法に設計され、チャネルまたは管の出口開口部は、それを開くことによって形成される。特に、出口開口部は基板排水路12の側面から少なくとも15センチ出るように設けることが好ましい。このようにして、供給された空気と少なくとも基板排水路12との接触、少なくとも熱交換がゼロでなければ最小となり、目的とする初期温度で作物に空気を供給できる。
【0036】
調整空気、つまり、制御温度で空気を管理することによって、本発明による影響装置は、例えば、比較的暖かい空気はより多く湿気を摂取することができ、空気柱21中で上昇速度を速めることが可能だという意味で、目的とする空気柱21を対象としている。本発明のさらなる詳細によれば、供給される空気の湿度も調整され、空気柱21の制御あるいは影響における自由度の幅が広がり、作物10の蒸発プロセスにおける自由度の幅も広がる。結局、本発明によると、特に、密閉型の温室の場合、調整空気用の供給管19が二酸化炭素、あるいは他の気体または水蒸気の供給用に用いられる。窓5の出口開口部をなくす、または少なめに開けることにより、温室の二酸化炭素含有量の変化はより少なくなり、二酸化炭素の供給に対して比較的、低い要求最大容積が設定されることが認識される。この効果は、そこに向けられてはいるが強制的に供給されているわけではない空気のための供給管19を介して二酸化炭素が導入されると、それが空気柱21を介して葉のデッキの近くに直接、供給されるため、妨げられない境界層を介した交換の結果として、二酸化炭素が効果的にかつ直接的に、植物に利用可能となるという事実によって強化される。
【0037】
本発明のさらなる基本的調査によれば、現在、開発されている温室気候に影響を与える方法により、作物は、供給された調製空気の温度設定及び/または相対湿気設定の変更による温度変化に、数分の時間枠内で反応する。よって、このような断熱法による温室の冷却、あるいは作物を使用する冷却とは別に、作物の葉のデッキごとの温度反応の計測を通して、また、冷却のための押力としての相対湿度と温度間で蒸発変化を制御して、作物生育を制御するために戦略を発展させることが可能であると認識される。この点に関して、例えば、適切な戦略においては、つまり、異なる段階における作物温度の計測や、供給される空気の状態を適応させることによって起こる作物温度に対する反応においては、作物の不同等な成長−例えば、低部、あるいは中間または上部の区画での乾燥−を防ぐことができる。特定の実施の形態によれば、従って、本発明の方法は主に、作物の成長と、結果として生じる因子を形成する温室内の気候に焦点が当てられている。この後者の概念によれば、今まで作物生育に対して用いられてきた概念、理想的とみなされる温室気候によって気体が排気されてきた。この新モデルでは、例えば広範囲に渡る光の照射の結果として、断熱冷却プロセスがその限界に達した場合のみ、通気あるいは換気窓5が開口される。
【0038】
図4は、本発明の制御システム27を概略的に示している。本制御システム27は、有機体10のための筐体、としての建物35、自動制御部33、供給要素19を通して建物35に新鮮な空気を供給する調整装置34から構成される。本発明によると、本制御システム27は、少なくとも建物35内の有機体用の空間の低部に含まれる。
【0039】
調整装置は、調整部によって調整可能であり、空気供給管19によって新鮮な調整された空気を押し出す換気装置30と熱調整装置とから構成される。前記換気装置30は、建物の空気供給システムに含まれ、前記熱調整装置は特に、暖房要素29と供給された空気を冷却する冷却要素28を備える。温度処理要素28と29に加えて、前記熱調整装置は、加湿装置31及び図示されていない除湿装置32を含む湿度調整装置も備える。本発明のモデルによれば、換気装置は、以下のように制御される、即ち、供給チャネル内の空気が、いくつかの出口抵抗を克服しながら、その空気がチャネルから出るぐらいの圧力で押され、少なくとも実質的に自発的に、少なくとも実質的にこのような作物に供給されるように、制御される。
【0040】
本実施例における自動制御部33は、外部温度To、建物内の照射Ri、及び建物からの放射Roを考慮している。作物制御期間あるいは作物制御段階の決定または確立のために、以下に説明されるように、期間P1からPu、所望の作物または有機体温度Tdと所望の湿度Mdを設けることができる。この実施例において、制御される空間に空気の乱流が入るのを防ぐために、制御部において、所望の空気流Vdと所望の回転制御Sdを設けることができる。
【0041】
本実施例では、その空間に置かれた有機体10が快適に感じるように気候が制御される空間35の3つのレベルAからCに関して、有機体10と内部気候の状態パラメータの検出が、制御システム内で示され、少なくとも制御に適用される。これは、各レベルにおいて、検出器2a、2b、及び2cでそれぞれ計測された有機体Tpの温度と、検出器1aから1cでそれぞれ計測された内部気候の湿度Mと温度Tである。有機体が植物である場合、空間内の二酸化炭素含有量Qも示される。好適には、植物の中間部分のレベルに関連して示される。気候制御を必要以上と言っても良いほどチェックするために、作物用の重量測定器13があってもよい。他には、太陽光の測定照射量と、決定時間を越えて供給された液体量の助けによって、本発明によると、作物の期待される成長が計算され、正確な測定値によって確認される。
【0042】
さらに、気候制御システム27は、少なくとも好適に、制御された気体組成と、有機体用の空間の制御可能な温度と湿度をもつ、調整された不飽和の空気を供給するための、調整装置34を備える。前記気候制御システム27はまた、供給すべき空気を冷却するための冷却部28を備え、その結果、この空気は凝縮により飽和され、湿気を放出する。このように「乾燥した」空気はそこにある暖房要素29を介して、「乾燥した」及び加熱された空気を、加湿装置31によって所望の、つまり制御された湿度Mまで加湿することによって生じる冷却を考慮して、制御部に示された温度Tになる。このように調整された空気は、供給手段19を介して所定の流れFにより、換気装置30によって建物に、少なくとも気候が制御されるべき空間に供給される。好適には、加湿装置31は換気装置30の後に、空気を供給する方向に沿って供給手段19に組み込まれる。一方、除湿部28と29は、換気装置30の前に組み込まれる。最終的に、調整された空気の調整装置は、湿度M、温度T、及び流れFの数値を登録するための、供給手段内に設けられた登録手段を備えることになる。
【0043】
温室の本実施例において、気候の制御や温度の管理または制御のための既知のシステムでは、新モデルが主に、植物に沿った循環の形で空気流、温室空間の換気、及び植物の位置に管理される空気の組成などの要因を制御することが要求される。要因となる、温室の温度、温室の空気の湿度、二酸化炭素含有量、及び温室内の気体組成は、新モデルでは、作物の挙動の派生物とみなされる。本発明によれば、これらの要因は、空気流に影響を与えることができるものである。本発明によるモデルは、制御に焦点を合わせ、その制御の技術的手段が、一般的な気候制御とは異なり、フィードバックシステムをもつことを特徴とする。本発明の背景には、有機体、特に植物が、それに沿った空気流に生理学的に非常に強く反応するという知識がある。生育、蒸発、及び植物の熟成もふくめた成長までもが、植物に沿った空気流の制御で管理できる。
【0044】
本発明による制御の目的は、植物に沿った制御された垂直の空気流を実現させることによる、蒸発の影響と二酸化炭素の取り込みを改善することである。さらに詳細には、トマト用の気候制御の例として数値に基づく実施例が下記に挙げられる。
【0045】
「自然な」蒸発プロファイルに従って、作物から水分が蒸発する。これは、作物の上部、つまり頭部に向かう蒸発の階層である。本発明によると、空気中の湿気の制御された流れは均等に放出され、二酸化炭素が供給される。その結果、伝統的な作物生育法、少なくとも気候制御法に関して、生産量は大きく増加し、例えば、10〜25パーセント増となる。
【0046】
作物の湿気と温度の差異に対する制御(垂直方向)と、飽和湿気含有量の適応可能なパーセンテージで不飽和空気を供給することにより、園芸家あるいは農家は、本発明によるシステムで、また、フィードバックとしての植物で、作物を発育について、また発生について管理する。生育目的に応じて、作物の生育と成長にとって理想的な温室気候がその後、実現される。
【0047】
トマトの実施例として、本発明のモデルに照らして以下の数値が与えられる。ここで植物の状態は、植物の高さに関して略均等に分布した3箇所の場所で測定される。
発生:水分損失(植物と温室間)は、低部の区画で空気1キログラムに対して2.1グラム超、中間の区画で空気1キログラムに対して2.5〜2.7グラム、上部の区画で空気1キログラムに対して3.0〜5.0グラム
発育:水分損失(植物と温室間)は、低部の区画で空気1キログラムに対して2.0グラム未満、中間の区画で空気1キログラムに対して2.0〜2.3グラム、上部の区画で空気1キログラムに対して2.5〜3.0グラム
病気の回避:水分損失(植物と温室間)は、低部の区画で空気1キログラムに対して1.1グラム超、中間の区画で空気1キログラムに対して2.3グラム超、上部の区画で空気1キログラムに対して2.3グラム超
【0048】
設置技術の観点から、上述のプロセスをできるだけ正確に行うために、P+PI制御あるいは二重PID制御を用いることができる。
【0049】
取り込まれる空気の質を制御する際、三つの気候要因、即ち、湿度、温度、及び二酸化炭素が役割を果たす。湿気の制御については、供給された空気は不飽和になるというのが植物生理学の原理である。その理由は、不飽和空気が植物に沿って流れるとき、より多くの水蒸気を集めるためである。蒸発した水分を集めることにより特定の重さだけ軽くなった結果、確実により軽くなり、その後、上昇する。空気の微妙な流れが、植物に沿って起こる。飽和空気に関する本発明のモデルの実験から、低部の区画の作物の水分は蒸発しないため、蒸発プロファイルはその後、否定的に作用することが証明された。供給された空気の温度がさらに低すぎる場合も、中間の区画と最上部の区画で相対的な乾燥が起こり、それによって、花が大きく開きすぎ、果実も成長しすぎてやがて成長がとまる。
【0050】
よって本発明は、飽和湿気含有量の適応可能なパーセンテージでの空気の供給から離れることによって不飽和空気を取り込むことを提案する。ここで、この含有量は凝縮が起こる含有量である。不飽和空気に接触することにより、植物における蒸発量が増える。植物の湿気が空気に加わることによって、その空気はより軽くなり、特定重量だけ減少し、湿った空気が上昇する。よって、植物に沿って、上昇空気柱がそのままの形で形成される。これによって植物は、低部の区画も中間の区画、上部の区画のように最適であるかは別として、少なくとも十分かつ制御可能な量だけ水分を蒸発させて、湿気を放出する。
【0051】
本発明による先の設定において、結果的に、植物に沿った湿気勾配は理想パターンとなる。新しい制御によって、実際に、理想パターンが実現する。先の実施例では、水分損失(植物と温室間)は、低部の区画で空気1キログラムに対して2.3グラム、中間の区画で空気1キログラムに対して2.5〜2.7グラム、上部の区画で空気1キログラムに対して3.0〜5.0グラムとなる。新モデルでは、これは、温室の気温と相対湿度に関係して取り込まれる空気によって生じる。数値の実施例では、これは大部分が、以下のようになる。
温室に入ったときの温度:20℃(設定温度)
飽和湿度:15g/kg(モリエ線図から)
所望の相対湿度(Rh):80%(モデル、新しい入り口)
計算された湿度:12g/kg(空気調整の前の値)
【0052】
取り込まれた調整空気の温度を制御するときは、植物の温度に関連して一定の温度が適用される。本発明によるモデルには、夜明け、朝、正午、午後、夕方及び夜の温室の空気に関する温度が適応可能である。本発明の特定の詳細によれば、温度制御は照射依存制御に適している。この場合、好適には、温度は照射に依存して上昇する。例として、以下の値が挙げられる。
昼の温度設定:21℃
開始照射軌道:200W/m
終了照射軌道:500W/m
長さ修正:2℃
【0053】
この実施例を説明すると、温室の照射が200W/mのとき、その温度上昇は0℃となり、温室の温度は21℃を維持する。照射が増加すると、温室の温度はそれに比例して、例えば、最高23℃まで上昇する。本発明のモデルにおいて照射が増加すると、照射の平均継続時間が所定の時間、例えば、10分を超過した場合、湿気を伴う。
【0054】
二酸化炭素制御について、昼間、植物は光合成のために二酸化炭素を消費し、夜中は異化作用によって二酸化炭素を放出するが、植物の二酸化炭素量は維持される。二酸化炭素の供給は昼間だけが望ましく、夜中は二酸化炭素含有量が異化作用によって増し、還元プロセスにより植物に残る。作物の生産量は、作物にとって適用可能な気候における二酸化炭素含有量に直接、関係している。最適条件は二酸化炭素の含有量が700から1100ppmの間になることであり、これは光の照射量に比例する。本発明のモデルにおける二酸化炭素の制御は、好適には、温度及び湿気制御に依存して照射と関連している。ここで、二酸化炭素は、昼間のみ、あるいは夜明けから日没まで供給される。この点における数値による実施例によると、日中の二酸化炭素の供給量は以下の数値で維持される。
基本レベル:200W/mで500ppm
最終レベル:500W/mで1200ppm
【0055】
温度制御に関しては、本発明の知見に従い、二酸化炭素の制御に依存する照射は、例えば、照射の平均継続時間が20分を超過した場合、湿気を伴う。
【0056】
制御のさらなる詳細な側面によると、少なくとも本発明による制御システムには、操作時間測定に関連するモニター上に警告信号が備わる。農業経営者が一瞥すると、制御の質を視認できる。これに関連した例は以下のとおりである。
緑色の光=良い(所定の基準を満たす)
赤色の光=悪い(所定の基準に満たない)
【0057】
これにおける温度の基準として、さらに詳細な実施例では、測定された植物の温度が中間値にある場合、測定された中間値の温室の温度を、約0.3℃未満、低下させる。湿度の基準については、植物と温室空気の間の測定湿気損失が2.5〜3.5g/kgとなるように維持する。
【0058】
本発明は、上述の説明に関連し図面の詳細にも関係し、当業者が直接的かつ明確に推定できる範囲が、請求の範囲において示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物、輸送手段を含む空間、または、植物、動物、人間を含む生物を保管、あるいは、一時的にも収容する施設として提供された筐体用の空間の一部の気候を管理制御する方法であって、その気候は少なくとも温度要因から構成され、
有機体が空間の気候制御システムの一部を形成し、空間の気候制御が、二つの異なる高さレベルでの有機体の温度の登録と、有機体を取り巻く空気の垂直方向の速度の変化量の登録とから構成される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
空気の速度の変化が間接的に決定され、少なくとも、二つの異なる高さレベルにおける空気の温度と湿度の測定からなる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機体の温度の検出と、空気の温度及び湿度の検出とが、対応する高さレベルで行われる
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
制御の影響を受けて調整され、水分含有量について不飽和である空気の管理から構成される
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
空気が有機体の近傍で利用可能となる
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
空気が、有機体にとって少なくとも実質的に自発的に利用可能となる
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
制御が、少なくとも有機体に沿った空気流に影響する作動手段、好ましくは減速する空気の加速を介した、有機体の温度の制御を含む
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
制御が、空間の空気の熱制御の影響によって、有機体に沿った空気流に影響を与え、空間の任意の高さレベルにおいて、少ない熱含有量の大量の空気が提供される
請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
大量の熱含有量をもつ空気が、検出された空気の熱含有量と、ある場所で所望される空気の熱含有量との差異に応じて、少なくとも有機体に関連して提供される
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一レベルと第二レベルにおける有機体を取り巻く空気の熱含有量の差異に基づき、第一レベルでの有機体を取り巻く空気の熱含有量に影響を与えることによって、より高いレベルで、あるいは前記第二のレベルより高い第三のレベルで空気の垂直移動が誘導される、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
制御が、空気の垂直流を周期的に加速または減速さるか、あるいは、異なるレベルでの空気の熱含有量による影響を空気の垂直流に向ける
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
空間に供給される空気の調整が、空気の温度と湿度から離れて、その空気の気体組成、二酸化炭素及び/または酸素の供給の結果による気体組成からも構成される
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
制御が、有機体における温度検出の制御ループに含まれる要素からなる
請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
空気が、有機体の気候域内、あるいは、空間に収容される有機体の気候域内にあるレベルから導入される
請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
空気が、有機体の低部の高さのレベルから、あるいは有機体の幹部から、あるいは有機体の内部気候影響部から導入される
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
制御が、有機体の温度の登録からなる
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
有機体の温度検出が、少なくともその二つの高さレベルのそれぞれに対して登録される
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有機体の温度検出、あるいは有機体の熱含有量の決定または確立が、毎回、有機体の高さレベルで行われる
請求項1ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
検出が、有機体の環境内で行われる
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
有機体と、気候の検出が瞬時に行われる
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
検出が、有機体の近傍で行われ、有機体と環境の間での熱交換が、感知できる熱だけでなく潜熱の熱交換が起きたとみなされる場所の近傍で行われる
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
制御が、空間での空気の垂直移動の実現からなるか、少なくともそれを目的とする
請求項1ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
制御が、空間内の有機体に沿った空気の垂直移動の実現からなる
請求項1ないし22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
調整された空気の導入、少なくとも有機体に沿った空気の垂直移動の促進が、水分の交換が起こる領域内で起こる方法。
【請求項25】
空気の垂直移動が、少なくとも一回の制御で管理される変化によって、湿度、温度、及び空間内に存在する空気の気体組成のうちの少なくとも二つの変化によって影響を受ける
請求項1ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
空間内に存在する空気が、調整された空気の導入によって影響を受ける
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
検出が、少なくともその結果が、多数の後続の動作のうち少なくとも一つに関して用いられ、その動作が、有機体の高さレベルで期待温度を計算することと、その期待温度を、そのレベルでの有機体の実際の登録温度とを比較することと、その空間に導入され、調整された新鮮な空気の、温度及び/または相対湿度の適応とからなる
請求項1ないし26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
任意のレベル、第二の高さレベルと称するレベルでの制御が、そのレベルで有機体の検出可能な温度の所望の値を決定し、また、この所望の値を、このレベルでの有機体の検出温度と比較し、この所望の値は、他のレベル、例えば第一の高さレベルで、有機体の登録温度の関係によって決定され、また、空間の温度及び湿度は、対応する高さレベルで登録され、それによって、第一のレベルでの対応する検出値に関連して、第二の高さレベルで検出された値における変化を考慮する
請求項1ないし27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
検出された値と所望の値との間の決定された差異が、気候制御の入力を形成する
請求項1ないし28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
制御が、空間内の有機体の登録温度と所望の温度との差異の検出に基づく管理からなる
請求項1ないし29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
期待値が、空間の気候の値と、有機体の温度の値との関係に基づき、有機体の所望の温度と実際の温度との差異が検出されるレベルとは異なる第一の高さレベルで登録される
請求項1ないし30に記載の方法。
【請求項32】
第一のレベルが、第二のレベルより高さが低い位置に設定される
請求項1ないし31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
所望の温度の値の決定あるいは確立に関して、気体の法則を含む自然法則が用いられる
請求項1ないし32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
気候制御の管理が、空気の垂直流の誘発、あるいはその影響からなる
請求項1ないし33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
制御が、空間内の有機体の所望の温度と登録された温度との差異に基づいた新鮮な供給空気の状態の適応からなる
請求項1ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
新鮮な供給空気が、空間の低部から、少なくともその近傍から供給される
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
制御が、新鮮な供給空気の水分含有量の規制からなる
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
気候制御設備が設けられた建物あるいは飛行機あるいは車両を含む空間、少なくとも空間条件、気候制御設備が設けられた植物、人間、動物を含む有機体の筐体のための空間、
少なくとも空間条件として、その空間が、空気の供給及び排出に関する供給設備や排気設備からなり、その供給設備が空間において排気設備より実質的に低いレベルに含まれる
ことを特徴とする空間。
【請求項39】
空気の供給設備が、その空間内の有機体の高さ範囲内の高さに含まれる
請求項38に記載の空間。
【請求項40】
空気の供給設備が、空間の下半分に含まれる
請求項38または39に記載の空間。
【請求項41】
空気の供給設備が、空間の高さに含まれるか、あるいはデータが空間の低部に含まれる
請求項38ないし40のいずれかに記載の空間。
【請求項42】
排気設備が、制御によって管理されることが可能な吸気手段からなる
請求項38ないし41のいずれかに記載の空間。
【請求項43】
排気設備が、空間から空気調整設備の一部に排気された空気を転送するために設けられる
請求項38ないし42のいずれかに記載の空間。
【請求項44】
有機体の収容空間において、気候制御設備に、空間の気候とその中に存在し得る有機体の両方の温度や相対湿度を含む複数の物理パラメータのうち一つまたは複数を、二つの異なる高さレベルで検出するための検出手段が備えられる
請求項38ないし43のいずれかに記載の空間。
【請求項45】
気候制御設備が設けられた建物あるいは飛行機あるいは車両を含む空間、少なくとも空間条件、気候制御設備が設けられた植物、人間、動物を含む有機体の筐体のための空間、少なくとも空間条件であって、有機体の収容空間において、気候制御設備に、空間の気候とその中に存在し得る有機体の両方の温度や相対湿度を含む複数の物理パラメータのうち一つまたは複数を、二つの異なる高さレベルで少なくとも検出するための検出手段が備えられる
ことを特徴とする空間。
【請求項46】
検出手段が、少なくとも二つの異なる高さレベルで管理されるか、あるいは管理されることが可能である
請求項38ないし45のいずれかに記載の空間。
【請求項47】
有機体を収容する空間内の気候制御設備が、空気流、特に空間内で上方に向けられた空気流を検出するための検出手段を備える
請求項38ないし46のいずれかに記載の空間。
【請求項48】
検出手段が、有機体の高さ範囲内で管理される
請求項38ないし47のいずれかに記載の空間。
【請求項49】
空気供給設備が、調整設備から構成され、その調整設備に、空気調整手段が後からそこに組み込まれて設けられ、その空気調整手段が、供給される空気の除湿及び加湿を行う
請求項38ないし48のいずれかに記載の空間。
【請求項50】
調整設備が、供給される空気を冷却するための冷却部と、供給される空気を再度加熱するために、空気の供給方向に後から組み込まれた暖房設備と、加熱された空気の加湿を行う後から組み込まれた空気加湿設備とから構成される
請求項38ないし49のいずれかに記載の空間。
【請求項51】
請求項38ないし50のいずれかに記載される建物のための気候設備。
【請求項52】
請求項38ないし51のいずれかに記載される空間のための空気調整設備。
【請求項53】
請求項52に記載の、あるいは請求項1ないし37のいずれかに記載の調整設備を制御するための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516684(P2012−516684A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547838(P2011−547838)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/NL2010/000016
【国際公開番号】WO2010/087699
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511188783)プリヴァ ビー.ヴイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】PRIVA B.V.
【住所又は居所原語表記】Zijlweg 3,De Lier,P.A. Postbus 18,NL−2678 ZG De Lier,Netherlands
【Fターム(参考)】