説明

有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子

本発明は、有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関し、前記有機光電素子用化合物は、化学式1で表されるものを提供する。
前記化学式1におけるAr1〜Ar4およびR1〜R4の定義は、本明細書で定義されたとおりである。前記有機光電素子用化合物を利用すれば、熱的安定性および電気化学的安定性、並びに寿命、効率に優れた有機光電素子を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命、効率、電気化学的安定性および熱的安定性に優れた有機光電素子を提供することができる有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電素子(organic photoelectric device)は、正孔または電子を利用した電極と有機材料との間での電荷交換を必要とする素子である。
【0003】
有機光電素子は動作原理に応じて次のように分けることができる。第一の有機光電素子は、外部の光源からの光子により有機材料層でエキシトン(exciton)が生成し、このエキシトンが電子と正孔に分離され、そしてこの電子と正孔が互いに異なる電極に電流源(電圧源)として移動することによって駆動される電子素子である。
【0004】
第二の有機光電素子は、少なくとも2つの電極に電圧または電流を加えて前記電極の界面に位置する有機材料半導体に正孔または電子を注入し、そして注入された電子および正孔により素子が駆動される電子素子である。
【0005】
有機光電素子の例としては、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)、有機トランジスタ、有機メモリ素子などがあり、これらは正孔注入材料もしくは正孔輸送材料、電子注入材料もしくは電子輸送材料、または発光材料を必要とする。
【0006】
特に、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板ディスプレイ(flat panel display)の需要が増加することに伴って注目されている。一般に有機発光とは、有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに変換させることをいう。
【0007】
このような有機発光ダイオードは、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光に変換させる素子であって、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に機能性有機材料層が挿入された構造を有する。前記有機材料層は、有機発光ダイオードの効率および安全性を高めるために、それぞれ異なる材料を含む多層、例えば、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などを含む。
【0008】
このような有機発光ダイオードにおいて、陽極と陰極との間に電圧をかけると、陽極からは正孔(hole)が、陰極からは電子(electron)が有機材料層に注入される。生成した励起子が基底状態(ground state)に移動しながら特定の波長を有する光を生成する。
【0009】
1987年にイーストマンコダック(Eastman Kodak)社は、発光層形成用材料として低分子の芳香族ジアミンとアルミニウム錯体とを含む有機発光ダイオードを最初に開発した(Applied Physics Letters,51,913,1987)。1987年にC.W.Tangらが最初に有機発光ダイオードとして実用的な素子を報告した(Applied Physics Letters,51 12,913〜915,1987)。
【0010】
前記文献によれば有機層はジアミン誘導体の薄膜(正孔輸送層(HTL))とトリス(8−ヒドロキシ−キノレート)アルミニウム(tris(8−hydroxy−quinolate)aluminum、Alq)の薄膜とが積層された構造を有する。
【0011】
最近は、蛍光発光材料のみならず、燐光発光材料も有機発光ダイオードの発光材料として使用され得ることが知られるようになった(D.F.O’Brienら、Applied Physics Letters,74 3,442−444,1999;M.A.Baldoら、Applied Physics letters,75 1,4−6,1999)。このような燐光材料は基底状態(ground state)から励起状態(excited state)に電子が遷移した後、項間交差(intersystem crossing)を通じて一重項励起子が三重項励起子に無輻射遷移した後、三重項励起子が基底状態に遷移して発光するメカニズムによって発光する。
【0012】
前記のように有機発光ダイオードにおいて有機材料層は、発光材料および電荷輸送材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などを含む。
【0013】
また、発光材料は、発光色に応じて青色、緑色、および赤色発光材料とさらに改善された天然色に近い色を発光させるための黄色および橙色発光材料とに分類される。
【0014】
一方、発光材料として一つの材料のみを使用する場合、分子間相互作用により最大発光波長が長波長側に移動したり、色純度が落ちたり、あるいは発光クエンチング効果により素子の効率が低下したりする。したがって、色純度を改善し、エネルギー移動を通じて発光効率および安定性を増加させるために、発光材料としてホスト/ドーパント系を使用しても良い。
【0015】
有機発光ダイオードが前述した優れた特徴を十分に発揮するためには、有機材料層を構成する材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料、ホストおよび/またはドーパントなどの発光材料が安定であり且つ良好な効率を有する必要がある。しかしながら、現在まで有機発光ダイオード用の有機材料層を形成する材料の開発がまだ十分ではなく、したがって新たな材料が要求されている。このような材料開発は前述した他の有機光電素子でも同様に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の例示的な実施形態は、発光、または電子注入および輸送の役割を果たすことができ、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たすことができる有機光電素子用化合物を提供する。
【0017】
また、本発明の他の実施形態は、寿命、効率、駆動電圧、電気化学的安定性および熱的安定性に優れた有機光電素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0019】
【化1】

【0020】
前記化学式1において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0021】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式2で表されてもよい。
【0022】
【化2】

【0023】
前記化学式2において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0024】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式3で表されてもよい。
【0025】
【化3】

【0026】
前記化学式3において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0027】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式4で表されてもよい。
【0028】
【化4】

【0029】
前記化学式4において、Ar2およびAr5は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3、Ar4およびAr6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、R1〜R6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0030】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式5で表されてもよい。
【0031】
【化5】

【0032】
前記化学式5において、Ar2およびAr5は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3、Ar4およびAr6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、R1〜R6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であってもよく、前記Ar2は、炭素数10〜20の縮合環ポリサイクリック基であってもよい。
【0033】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であってもよく、前記Ar2は、炭素数6〜30の置換または非置換のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のピリミジン基および置換または非置換のトリアジン基からなる群より選択されてもよい。
【0034】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であってもよく、前記Ar2は、炭素数10〜20の縮合環ポリサイクリック基であってもよい。
【0035】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であってもよく、前記Ar2は、炭素数6〜30の置換または非置換のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のピリミジン基および置換または非置換のトリアジン基からなる群より選択されてもよい。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層の有機薄膜層を含む有機光電素子において、前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、前述した有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。
前記有機薄膜層は、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
【0037】
前記有機光電素子用化合物は、電子輸送層(ETL)または電子注入層(EIL)内に含まれてもよい。
【0038】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に含まれてもよい。
【0039】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に燐光または蛍光ホスト材料として使用されてもよい。
【0040】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に蛍光青色ドーパント材料として使用されてもよい。
【0041】
前記有機光電素子は、有機発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択されてもよい。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前述した有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、優れた電気化学的および熱的安定性により寿命特性に優れ、低い駆動電圧でも高い発光効率を有する有機光電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を用いて製造され得る有機光電素子を示す断面図である。
【図2】本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を用いて製造され得る有機光電素子を示す断面図である。
【図3】本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を用いて製造され得る有機光電素子を示す断面図である。
【図4】本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を用いて製造され得る有機光電素子を示す断面図である。
【図5】本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を用いて製造され得る有機光電素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳しく説明する。但し、これらの実施形態は単なる例示であり、これらによって本発明が制限されず、後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、一つの環基内にN、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0046】
本明細書で「これらの組み合わせ」とは、別途の定義がない限り、二つ以上の置換基が連結基に結合されていたり、二つ以上の置換基が縮合して結合されているものを意味する。
【0047】
本明細書で「アルキル(alkyl)」とは、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素グループを意味する。アルキル部位は、いかなるアルケンやアルキン部位を含んでいないもの意味する「飽和アルキル(saturated alkyl)」グループであってもよい。アルキル部位は、少なくとも一つのアルケンまたはアルキン部位を含んでいるものを意味する「不飽和アルキル(unsaturated alkyl)」部位であってもよい。「アルケン(alkene)」部位は、少なくとも二つの炭素原子が少なくとも一つの炭素−炭素二重結合からなるグループを意味し、「アルキン(alkyne)」部位は、少なくとも二つの炭素原子が少なくとも一つの炭素−炭素三重結合からなるグループを意味する。飽和や不飽和に関係なくアルキル部位は分枝型、直鎖型または環状であってもよい。
【0048】
アルキルグループは、1〜20個の炭素原子を有してもよい。アルキルグループは、1〜10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキルグループは、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。
例えば、C1〜C4アルキルは、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子、つまり、アルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されるものを意味する。
典型的なアルキルグループには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどから個別的且つ独立的に選択された一つまたはそれ以上のグループで置換されてもよいグループであるものを意味する。
【0049】
用語「アリール(aryl)」は、共役π電子系を有している少なくとも一つの環を有しているカルボサイクリックアリール(例えば、フェニル)を含むアリールグループを意味する。この用語は、モノサイクリックまたは縮合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を分けて有する環)グループを含む。また、この用語は一つの炭素を接点で有しているスピロ(spiro)化合物を含む。
【0050】
用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、共役π電子系を有している少なくとも一つの環を有しているヘテロサイクリックアリール(例えば、ピリジン)を含むアリールグループを意味する。この用語は、モノサイクリックまたは縮合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を分けて有する環)グループを含む。また、この用語は、一つの炭素を接点で有しているスピロ(spiro)化合物を含む。
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルシリル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜10のトリフルオロアルキル基、炭素数12〜30のカルバゾール基、炭素数6〜30のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基またはシアノ基で置換されたものを意味する。
本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物は、二つのカルバゾール基が結合されたコア部分に置換基が選択的に結合された構造を有する。
【0051】
また、前記有機光電素子用化合物は、コア部分とコア部分に置換された置換基に多様な他の置換基を導入することによって多様なエネルギーバンドギャップを有する化合物を合成することができるため、電子注入層(EIL)および伝達層のみならず、発光層で要求される条件を満たす化合物になり得る。
【0052】
前記化合物の置換基により適切なエネルギー準位を有する化合物を有機光電素子に使用することによって、電子伝達能力が強化されて効率および駆動電圧の面で優れた効果を有し、電気化学的および熱的安定性に優れ、有機光電素子の駆動時に寿命特性を向上させることができる。
【0053】
このような本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される有機光電素子用化合物を提供される。
【0054】
【化6】

【0055】
前記化学式において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0056】
また、Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0057】
Ar1〜Ar4のπ共役長(π−conjugation length)を調節して三重項エネルギーバンドギャップを大きくすることによって、燐光ホストとして有機光電素子の発光層に非常に有用に適用され得る。
【0058】
R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0059】
このような置換基が結合された構造は、熱的安定性または酸化に対する抵抗性に優れ、有機光電素子の寿命特性を向上させることができる。
【0060】
この時、二つのカルバゾール基は、下記の化学式2または3のようにそれぞれのカルバゾールの3位または4位に結合されてもよい。
【0061】
【化7】

【0062】
前記化学式2のように、各カルバゾールの3位に結合された構造の場合、合成が容易であり、カルバゾールの3位の水素を置換することによって酸化安定性が高まるという長所がある。
【0063】
また、化学式3のように、各カルバゾールの4位に結合された構造の場合は、二つのカルバゾールが同一平面に位置せず、結晶化現象を大きく抑制することができ、溶解度も大きく増加する。また、π共役長が非常に短くなって三重項バンドギャップが高いという長所がある。
【0064】
前記Ar1〜Ar4およびR1〜R4は、前記で定義されたとおりである。
【0065】
前記コア部分の構造においてAr1はさらに他のカルバゾールであってもよい。その例は下記の化学式4または5のとおりである。
【0066】
【化8】

【0067】
前記化学式において、Ar2およびAr5は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよく、Ar3、Ar4およびAr6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0068】
Ar2〜Ar6のπ共役長(π−conjugation length)を調節して三重項エネルギーバンドギャップを大きくすることによって、燐光ホストで有機光電素子の発光層に非常に有用に適用され得、カルバゾールの増加により正孔注入および伝達特性が増加する効果をもたらし得る。
【0069】
R1〜R6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【0070】
このような置換基が結合された構造は、熱的安定性または酸化に対する抵抗性に優れ、有機光電素子の寿命特性を向上させることができる。
【0071】
前記化学式において、Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、Ar2は炭素数10〜20の縮合環ポリサイクリック基であってもよい。
【0072】
前記化学式が置換基で縮合環ポリサイクリック基を有する場合、熱安定性が増加し、電子伝達および注入特性が増加するという長所がある。
【0073】
また、前記化学式において、Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、Ar2は、炭素数6〜30の置換または非置換のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のピリミジン基および置換または非置換のトリアジン基からなる群より選択されてもよい。
【0074】
前記のような置換基のうち、正孔伝達特性を有するアリールアミン基、アミノアリール基またはカルバゾール基の場合は、本化合物の正孔注入および伝達特性を向上させる効果をもたらし得、電子伝達特性を有するピリミジン基、トリアジン基の場合は、化合物の電子注入および伝達特性を向上させる効果をもたらすという長所がある。
【0075】
置換基の個数により前記化合物の電子輸送能力を調節することができる。また、置換基の調節で化合物の構造をバルクで製造することができ、これによって結晶化度を低下させることができる。化合物の結晶化度が低くなると素子の寿命が延長され得る。
【0076】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式6〜化学式83で表されるものを使用することができる。しかし、本発明は下記化合物に限定されない。
【0077】
【化9】

【0078】
【化10】

【0079】
【化11】

【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
【化14】

【0083】
【化15】

【0084】
【化16】

【0085】
【化17】

【0086】
前記の化合物を含む有機光電素子用化合物は、ガラス遷移温度が110℃以上であり、熱分解温度が400℃以上であって、熱的安定性に優れている。これによって、高効率の有機光電素子が実現可能である。
【0087】
また、前記のような化合物は、適切なホモエネルギー準位を有しており、正孔の注入が円滑であり、正孔と電子を全て良好に伝達することができる。
【0088】
前記の化合物を含む有機光電素子用化合物は、発光、または電子注入および/または輸送の役割を果たすことができ、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割も果たすことができる。つまり、前記有機光電素子用化合物は、燐光または蛍光のホスト材料、青色の発光ドーパント材料、または電子輸送材料として使用され得る。
【0089】
本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物は、有機薄膜層に使用されて有機光電素子の寿命特性、効率特性、電気化学的安定性および熱的安定性を向上させ、駆動電圧を低めることができる。
【0090】
これによって、本発明の一実施形態は、前記有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。この時、前記有機光電素子とは、有機光電素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラム、有機メモリ素子などを意味する。特に、有機太陽電池の場合には、本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物が電極や電極バッファー層に含まれて量子効率を増加させ、有機トランジスタの場合には、ゲート、ソース−ドレイン電極などで電極物質として使用され得る。
【0091】
以下、有機光電素子について具体的に説明する。
【0092】
本発明の他の一実施形態は、陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む有機光電素子において、前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。
【0093】
前記有機光電素子用化合物を含むことができる有機薄膜層としては、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択される層を含むことができるところ、この中で少なくとも一層は本発明による有機光電素子用化合物を含む。特に、電子輸送層(ETL)または電子注入層(EIL)に本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物を含むことができる。また、前記有機光電素子用化合物が発光層内に含まれる場合、前記有機光電素子用化合物は燐光または蛍光ホストとして含まれ得、特に、蛍光青色ドーパント材料として含まれ得る。
【0094】
図1〜図5は、本発明の多様な実施形態による有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【0095】
図1〜図5を参照すれば、本発明の多様な実施形態による有機光電素子100、200、300、400および500は、陽極120、陰極110およびこの陽極と陰極の間に配置された少なくとも一層の有機薄膜層105を含む構造を有する。
【0096】
前記陽極120は、陽極物質を含み、この陽極物質としては、通常有機薄膜層へ正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が大きい物質が好ましい。前記陽極物質の具体的な例としては、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金が挙げられ、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物が挙げられ、ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせが挙げられ、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような伝導性高分子などが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、前記陽極としてITO(indium tin oxide)を含む透明電極を使用することができる。
【0097】
前記陰極110は、陰極物質を含み、この陰極物質としては、通常有機薄膜層へ電子注入が容易になるように仕事関数が小さい物質であることが好ましい。陰極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金が挙げられ、LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質などが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、前記陰極としてアルミニウムなどのような金属電極を使用してもよい。
【0098】
まず、図1を参照すれば、図1は、有機薄膜層105として発光層130のみが存在する有機光電素子100を示した図面であり、前記有機薄膜層105は発光層130のみで存在してもよい。
【0099】
図2を参照すれば、図2は、有機薄膜層105として電子輸送層(ETL)を含む発光層230と正孔輸送層(HTL)140が存在する2層型有機光電素子200を示した図面であり、図2に示されているように、有機薄膜層105は、発光層230および正孔輸送層(HTL)140を含む2層型であってもよい。この場合、発光層130は電子輸送層(ETL)の機能を果たし、正孔輸送層(HTL)140はITOのような透明電極との接合性および正孔輸送性を向上させる機能を果たす。
【0100】
図3を参照すれば、図3は、有機薄膜層105として電子輸送層(ETL)150、発光層130および正孔輸送層(HTL)140が存在する3層型有機光電素子300を示した図面であり、前記有機薄膜層15で発光層130は独立した形態でなっており、電子輸送性や正孔輸送性に優れた膜(電子輸送層(ETL)150および正孔輸送層(HTL)140)を別途の層で積んだ形態を示している。
【0101】
図4を参照すれば、図4は、有機薄膜層105として電子注入層(EIL)160、発光層130、正孔輸送層(HTL)140および正孔注入層(HIL)170が存在する4層型有機光電素子400を示した図面であり、前記正孔注入層(HIL)170は陽極として使用されるITOとの接合性を向上させることができる。
【0102】
図5を参照すれば、図5は、有機薄膜層105として電子注入層(EIL)160、電子輸送層(ETL)150、発光層130、正孔輸送層(HTL)140および正孔注入層(HIL)170のようなそれぞれ異なる機能を果たす5層が存在する5層型有機光電素子500を示した図面であり、前記有機光電素子500は電子注入層(EIL)160を別途に形成して低電圧化に効果的である。
【0103】
前記図1〜図5において前記有機薄膜層105をなす電子輸送層(ETL)150、電子注入層(EIL)160、発光層130、230、正孔輸送層(HTL)140、正孔注入層(HIL)170およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つは、前記有機光電素子用化合物を含む。この時、前記有機光電素子用化合物は、前記電子輸送層(ETL)150または電子注入層(EIL)160を含む電子輸送層(ETL)150に使用されてもよく、その中でも電子輸送層(ETL)に含まれる場合、正孔阻止層(図示せず)を別途に形成する必要がないため、単純化された構造の有機光電素子を提供することができて好ましい。
【0104】
また、前記有機光電素子用化合物が発光層130、230内に含まれる場合、前記有機光電素子用化合物は燐光または蛍光ホストとして含まれてもよく、または蛍光青色ドーパントとして含まれてもよい。
【0105】
上述した有機光電素子は、基板に陽極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法、またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)のような湿式成膜法などで有機薄膜層を形成した後、その上に陰極を形成して製造することができる。
【0106】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【実施例】
【0107】
以下の実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。但し、これらの実施例によって本発明が制限されてはならないことが理解されるであろう。
【0108】
(有機光電素子用化合物の製造)
実施例1:化学式12で表される化合物の合成
本発明の有機光電素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式12で表される化合物は、下記の反応式1の方法で合成された。
【0109】
【化18】

【0110】
第1段階:化合物Aの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き250mL丸底フラスコで化合物3−ブロモ−6−フェニルカルバゾール5g(15.5mmol)、3−フェニル−6−カルバゾールホウ酸ピナコレート6.3g(17.1mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液を混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを入れて生じる固形物をフィルターした後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて攪拌する。溶液をフィルターした後、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶して化合物A4.5g(収率60%)を得た。
【0111】
第2段階:化学式12の合成
100mLの丸底フラスコで化合物Aで表される中間体生成物2g(4.13mmol)、3−ブロモ−N−フェニルカルバゾール3.8g(10.3mmol)、および塩化銅0.2g(2.1mmol)、炭酸カリウム3.4g(24.8mmol)、1,10−フェナントロリン0.37g(2.1mmol)とジメチルスルホキシド80mLを入れた後、窒素気流下で180℃で24時間加熱する。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて分離して3g(収率:77%)の化合物12を得た。
【0112】
前記得られた化学式12の化合物を元素分析で分析した結果は次のとおりである。
calcd.C7246:C,89.41;H,4.79;N,5.79;found:C,89.52;H,4.99;N,5.62。
【0113】
実施例2:化学式26で表される化合物の合成
本発明の有機光電素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式26で表される化合物は、下記の反応式2の方法で合成された。
【0114】
【化19】

【0115】
第1段階:化合物Bの合成
100mLの丸底フラスコで化合物Aで表される中間体生成物2g(4.13mmol)、3−ブロモ−N−フェニルカルバゾール2.3g(6.2mmol)、および塩化銅0.2g(2.1mmol)、炭酸カリウム1.7g(12.4mmol)、1,10−フェナントロリン0.37g(2.1mmol)とジメチルスルホキシド80mLを入れた後、窒素気流下で180℃で24時間加熱する。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて分離して2g(収率:67%)の化合物Bを得た。
【0116】
第2段階:化学式26の合成
100mLの丸底フラスコで化合物Bで表される中間体生成物2g(2.76mmol)、1−ブロモ−3,5−ジフェニルピリジン1.3g(4.1mmol)、および塩化銅0.14g(1.4mmol)、炭酸カリウム1.14g(8.3mmol)、1,10−フェナントロリン0.25g(1.4mmol)とジメチルスルホキシド80mLを入れた後、窒素気流下で180℃で24時間加熱する。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて分離して2.1g(収率:80%)の化合物26を得た。
【0117】
前記得られた化学式26の化合物を元素分析で分析した結果は次のとおりである。
calcd.C7146:C,89.28;H,4.85;N,5.87;found:C,89.74;H,4.91;N,5.77。
【0118】
実施例3:化学式10で表される化合物の合成
本発明の有機光電素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式10で表される化合物は、下記の反応式3の方法で合成された。
【0119】
【化20】

【0120】
100mLの丸底フラスコで化合物Bで表される中間体生成物2g(2.76mmol)、N−(4−ブロモフェニル)ジフェニルアミン1.3g(4.1mmol)、および塩化銅0.14g(1.4mmol)、炭酸カリウム1.14g(8.3mmol)、1,10−フェナントロリン0.25g(1.4mmol)とジメチルスルホキシド80mLを入れた後、窒素気流下で180℃で24時間加熱する。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて分離して2g(収率:75%)の化合物8を得た。
【0121】
前記得られた化学式10の化合物を元素分析で分析した結果は次のとおりである。
calcd.C7248:C,89.23;H,4.99;N,5.78;found:C,89.65;H,5.21;N,5.55。
【0122】
(有機光電素子の製造)
実施例4
前記実施例1で合成された化合物をホストとして使用し、Ir(PPy)をドーパントとして使用して有機光電素子を製造した。陽極としてはITOを1000Åの厚さで使用し、陰極としてはアルミニウム(Al)を1000Åの厚さにとした。
【0123】
具体的に、有機光電素子の製造方法を説明すれば、陽極は15Ω/cmの面抵抗値を有するITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさに切断してアセトンとイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄して使用した。
【0124】
前記基板上部に真空度650×10−7Pa、蒸着速度0.1〜0.3nm/sの条件でN,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(NPB)(70nm)および4,4',4”−トリ(N−カルバゾールイル)トリフェニルアミン(TCTA)(10nm)を蒸着して800Åの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0125】
次に、同一の真空蒸着条件で前記実施例1で合成された化合物を用いて膜厚300Åの発光層を形成し、この時、燐光ドーパントであるIr(PPy)を同時に蒸着した。この時、燐光ドーパントの蒸着速度を調節して発光層の全体量を100重量%にした時、燐光ドーパントの配合量が7重量%になるように蒸着した。
【0126】
前記発光層上部に同一な真空蒸着条件を用いてビス(8−ヒドロキシ−2−メチルキノリナト)−アルミニウムビフェノキシド(BAlq)を蒸着して膜厚50Åの正孔阻止層を形成した。
【0127】
次に、同一な真空蒸着条件でAlqを蒸着して膜厚200Åの電子輸送層(ETL)を形成した。
【0128】
前記電子輸送層(ETL)上部に陰極としてLiFとAlを順次に蒸着して有機光電素子を製造した。
【0129】
前記有機光電素子の構造は、ITO/NPB(70nm)/TCTA(10nm)/EML(実施例1の化合物(93重量%)+Ir(PPy)(7重量%)、30nm)/Balq(5nm)/Alq(20nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)の構造で製造した。
【0130】
実施例5
前記実施例2で合成された化合物を発光層のホストとして使用したことを除いては前記実施例4と同様な方法で有機光電素子を製造した。
【0131】
実施例6
前記実施例3で合成された化合物を発光層のホストとして使用したことを除いては前記実施例4と同様な方法で有機光電素子を製造した。
【0132】
比較例1
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、4,4−N,N−ジカルバゾールビフェニル(CBP)を発光層のホストとして使用したことを除いては前記実施例4と同様な方法で有機光電素子を製造した。
【0133】
(有機光電素子の性能測定)
実験例
前記実施例4〜6および比較例1で製造されたそれぞれの有機光電素子に対して、電圧による電流密度変化、輝度変化および発光効率を測定した。具体的な測定方法は次のとおりであり、その結果は下記表1に示した。
【0134】
(1)電圧変化による電流密度の変化測定
製造された有機光電素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0135】
(2)電圧変化による輝度の変化測定
製造された有機光電素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0136】
(3)発光効率の測定
前記1および2から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一の明るさ(1000cd/m)の電流効率(cd/A)および電力効率(lm/W)を計算した。その結果を下記表2および3に示した。
【0137】
(4)色座標
輝度計(Minolta Cs−100A)を用いて測定し、その結果を下記表1に示した。
【0138】
【表1】

【0139】
前記表1を参照すれば、実施例4〜6の場合、基準物質であるCBPに比べて駆動電圧および効率でさらに優れていることが分かる。これは実施に1〜3で製造された化合物が良好な有機光電素子用材料として使用され得る可能性を示す。
【0140】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、当業者によって特許請求の範囲の精神および技術的範囲に含まれる多様な変形および等価の形態で製造されうる。したがって、上記の実施例は例示的なものであり、本発明をいかようにも限定するものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0141】
<図中の主要な要素を示す符号の説明>
100:有機光電素子
110:陰極
120:陽極
130:発光層
140:正孔輸送層(HTL)
150:電子輸送層(ETL)
160:電子注入層(EIL)
170:正孔注入層(HIL)
230:発光層+電子輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される有機光電素子用化合物:
【化1】

前記化学式1において、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【請求項2】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式3で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物:
【化2】

前記化学式3において、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【請求項3】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式5で表される、請求項2に記載の有機光電素子用化合物:
【化3】

前記化学式5において、
Ar2およびAr5は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
Ar3、Ar4およびAr6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
R1〜R6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【請求項4】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、
前記Ar2は、炭素数10〜20の縮合環ポリサイクリック基である、請求項3に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項5】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、
前記Ar2は、炭素数6〜30の置換または非置換のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のピリミジン基および置換または非置換のトリアジン基からなる群より選択される、請求項3に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項6】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式2で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物:
【化4】

前記化学式2において、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
Ar3およびAr4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
R1〜R4は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【請求項7】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式4で表される、請求項6に記載の有機光電素子用化合物:
【化5】

前記化学式4において、
Ar2およびAr5は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
Ar3、Ar4およびAr6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択され、
R1〜R6は、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される。
【請求項8】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、
前記Ar2は、炭素数10〜20の縮合環ポリサイクリック基である、請求項7に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項9】
前記Ar5は、炭素数6〜12のアリール基であり、
前記Ar2は、炭素数6〜30の置換または非置換のアリールアミン基、炭素数6〜30の置換または非置換のアミノアリール基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のピリミジン基および置換または非置換のトリアジン基からなる群より選択される、請求項7に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項10】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式6〜化学式37からなる群より選択された化学式で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【請求項11】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式38〜化学式72からなる群より選択された化学式で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化10】

【化11】

【化12】

【請求項12】
前記有機光電素子用化合物は、下記の化学式73〜化学式83からなる群より選択された化学式で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化13】

【化14】

【請求項13】
陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む有機光電素子において、
前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の有機光電素子用化合物を含む、有機光電素子。
【請求項14】
前記有機薄膜層は、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項15】
前記有機光電素子用化合物は、電子輸送層(ETL)または電子注入層(EIL)内に含まれる、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項16】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に含まれる、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項17】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に燐光または蛍光ホスト材料として使用される、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項18】
前記有機光電素子用化合物は、発光層内に蛍光青色ドーパント材料として使用される、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項19】
前記有機光電素子は、有機発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択される、請求項13に記載の有機光電素子。
【請求項20】
請求項13に記載の有機光電素子を含む、表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−510141(P2013−510141A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537800(P2012−537800)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007550
【国際公開番号】WO2011/055934
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】