説明

有機半導体層およびその改善

有機半導体層処方であって、3.3以下の1,000Hzでの誘電率εを有する有機結合剤および式A:


式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12のそれぞれは、同一または異なっていてもよく、独立して、水素;任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシ基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルキルアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシカルボニル基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基 (−C(=O)NH);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基またはチオイソシアネート基;任意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;CF基;ハロ基(Cl、Br、F);任意に置換されたシリル基であり、;および式中、RおよびRおよび/またはRおよびRは、C〜C40の飽和または不飽和の環を形成するように架橋されていてもよく、飽和または不飽和の環は、酸素原子、硫黄原子、式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または任意に置換された炭化水素基)で示される基が介在していてもよく、または任意に置換されていてもよい、;および式中、ポリアセン骨格の1または2以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選択されるヘテロ原子によって任意に置換されていてもよい;および式中、独立して、ポリアセンの隣接する環の位置に存在するいずれの2または3以上の置換基R〜R12は、ともに、ポリアセンに融合した、任意にO、Sまたは−N(Ra)(Raは、上記定義のとおりである)が割り込まれたさらにC〜C40の飽和または不飽和の環または芳香族環系を構成してもよい、;および式中、nは、0、1、2、3または4である、のポリアセン化合物を含む、前記処方。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体層処方、かかる処方を含む層、かかる処方および層およびかかる処方を含む電子デバイス(有機電界効果トランジスタ(OFETs)を含む) の製造方法に関する。
【0002】
近年、さらに用途が広く、低コストの電子デバイスの製造のために有機半導体材料の開発がなされてきた。そのような材料は、わずか挙げただけでも有機電界効果トランジスタ(OFETs)、有機発光ダイオード(OLEDs)、光検出器、 光電池(PV)、センサー、メモリ素子および論理回路を含む、デバイスまたは装置の広い範囲での用途が見出されている。有機半導体材料は、典型的には、薄い層の形態、たとえば、1ミクロン未満の厚みで電子デバイス中に存在する。
【0003】
ペンタセンは、有機半導体材料としては、有望である。ペンタセンは、良好な電荷移動度をもたらす分子配向を与えるために高度な液晶構造を必要とすると記載されている。したがって、従来技術では、1つには、ペンタセンが通常の溶媒中では、やや不溶性であるために、ペンタセンの薄膜を蒸着していた。しかしながら、蒸着は、高価で高度な装置が必要である。後者の問題を考慮すると、ある手法として、ペンタセン前駆体および化学的変換、たとえば熱によってペンタセンへと変換する前駆体化合物を含む溶液の塗布がされてきた。しかしながら、後者の方法もまた、複雑で、良好な電荷移動度に必要な秩序構造を得るための制御が難しい。
【0004】
溶解性ペンタセン化合物は、近年、従来技術に有機半導体化合物として記載されている(たとえば、 US 2003/0116755 A (Takahashi) およびUS 6,690,029 (Anthony)参照)。FETsにおけるペンタセンの使用は、WO 03/016599 (Asahi)に提案されており、溶解性ペンタセンの溶液が、基板上に積層され、溶媒は、ペンタセンの薄膜を形成するために蒸発する。しかし、溶解性ペンタセンは、US 6,690,029およびWO 03/016599に記載され、とくにFETsに用いたときに、受け入れ可能な電荷移動度のために薄膜中に高度な液晶構造をまだ、必要とし、このことは、ペンタセンがまだ、制御された方法で積層されなければならないことを意味する。したがって、従来技術では、いずれの方法でもペンタセンを希釈しないように注意し、さもなければ、ペンタセンの液晶構造は、崩壊するとされ、そのために電荷移動度は減少する。
【0005】
改善された電荷移動度は、新しい電子デバイスのひとつの目標である。他の目標は、有機半導体層の改善された安定性および整合性である。デバイス中の有機半導体層の安定性および整合性を改善する潜在的な方法は、有機結合剤中に有機半導体成分を含むことであろう。しかしながら、有機半導体成分を結合剤と組み合わせるといつでも、結合剤によって、効率的に“希釈され”、電荷移動度の減少が予測される。とくに結合剤と混合することによって有機半導体を希釈することは、半導体層の分子秩序を崩壊する。たとえば、OFETのチャンネルで有機半導体成分を希釈することは、ゲート絶縁膜(第1の少数の分子膜)のごく近傍の分子間に移動度を減少させる軌道の重なりの崩壊が予測されるために、とくに問題がある。電子または穴が、有機半導体の大部分へ望ましくない道を広げることを強いる。ある有機半導体材料は、結合剤への使用に他のものよりも敏感であると思われている。ペンタセンは、有効な電荷移動度のためには、高度に秩序化した構造を必要とするとされてきたために、以前は、結合剤にペンタセンを含めることは、望ましいとはされていなかった。WO 03/030278 (Philips)では、結合剤の使用が試みられたが、そこでは(前駆体)ペンタセンを混合したときに、結合剤の量(5%未満の結合剤の量であるが、)が増加するにつれ、FET移動度のゆっくりした減少が見られた。
FETsの有機半導体に使用するいくらかの低い極性の結合剤樹脂がWO 02/45184 (Avecia)に記載されている。しかし、電荷移動度の減少が結合剤に半導体を希釈した際にまだ予測される。
【0006】
本発明の目的は、上述の有機半導体層の欠点を減少または克服するのを目的とする。
本発明の第1の目的は、有機半導体層処方を提供することにあり、層処方は、、1,000Hzにおける誘電率εが3.3以下の有機結合剤および式Aのポリアセン化合物を含み、:
【化1】

【0007】
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12のそれぞれは、同一または異なっていてもよく、独立して、水素;任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシ基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルキルアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシカルボニル基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基 (−C(=O)NH);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基またはチオイソシアネート基;任意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;CF基;ハロ基(Cl、Br、F);任意に置換されたシリル基であり、;および
【0008】
式中、RおよびRおよび/またはRおよびRは、C〜C40の飽和または不飽和の環を形成するように架橋されていてもよく、飽和または不飽和の環は、酸素原子、硫黄原子、式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または任意に置換された炭化水素基)で示される基が介在していてもよく、または任意に置換されていてもよく、;および
式中、ポリアセン骨格の1または2以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選択されるヘテロ原子によって任意に置換されていてもよく;および
式中、独立して、ポリアセンの隣接する環の位置に存在するいずれの2または3以上の置換基R〜R12は、ともに、ポリアセンに融合した、任意にO、Sまたは−N(Ra)(Raは、上記定義のとおりである)が割り込まれたさらにC〜C40の飽和または不飽和の環または芳香族環系を構成してもよく、;および
式中、nは、0、1、2、3または4、好ましくは、nは、0、1または2であり、もっとも好ましくは、ポリアセン化合物がペンタセン化合物である(n=2)または“擬似ペンタセン”化合物である(n=0)nが、0または2である。
【0009】
さらに好ましくは、ペンタセン化合物は、化合物群1〜9またはその異性体のいずれか1つから選択される化合物である。ここで:
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
【化4】

【0012】
であり、
式中、化合物群1の場合は、RおよびR13、化合物群2の場合は、RおよびR14、化合物群3の場合は、R、R、RおよびR10、化合物群4の場合は、RおよびR、化合物群5の場合は、R、R、R11およびR12、化合物群6の場合は、RおよびR、化合物群7の場合は、R、R、R12およびR14、化合物群8の場合は、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R15、R16、R17、およびR18、化合物群9の場合は、R、R、R、R、R15、R16、R17は、それぞれ独立して、同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシ基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルキルアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシカルボニル基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基 (−C(=O)NH);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基またはチオイソシアネート基;任意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;CF基;ハロ基(Cl、Br、F);または任意に置換されたシリル基であり、;および
式中、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11、R15およびR16およびR16およびR17は、C〜C40の飽和または不飽和の環を形成するように互いに架橋されていてもよく、飽和または不飽和の環は、酸素原子、硫黄原子、式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基)で示される基が介在していてもよい、;および
式中、Aは、ケイ素またはゲルマニウムである。
【0013】
化合物群1〜9の“R”置換基(R、Rなど)は、従来の命名法でのペンタセンの位置での置換基を表す。:
【化5】

驚き、有益なことに、特定の溶解性ポリアセン化合物、とくに化合物群1〜9のペンタセン化合物(これ以降 "ポリアセン"ということがある)と有機結合剤樹脂(これ以降単に"結合剤"と呼ぶことがある)との組み合わせがポリアセンの電荷移動度の減少を少しまたは全く生じさせないか場合によっては上昇することが本発明によってここで見出された。たとえば、溶解性ポリアセンは、結合剤樹脂(たとえばポリ(α-メチルスチレン) 中に溶解でき、堆積し(たとえば、スピンコーティングによって)、高い電荷移動度(たとえば、0.5〜1.5cm−1−1)を有する有機半導体層を形成する。先行技術では、そのような高い移動度を達成するためにはポリアセン化合物には、強い分子秩序が必要であるとされていたことを考えれば、とくに予期せぬことである。FETsで結合剤で希釈することは、移動度の少なくとも大規模な減少が生ずることが予測される。驚くべきことに結合剤:ポリアセンの1:1の比率であっても移動度は、純粋なポリアセン化合物の単独使用と同程度であることがここで見出された。したがって、本発明によって得られる結果は、a)分子秩序の潜在的な崩壊にもかかわらず移動度を維持することおよびb)分子間距離の増加が予測されるにもかかわらず移動度を維持することの両方のために驚くべきものである。同時にそれによって形成される半導体層は、良好な膜形成特性を有し、特に安定である。
【0014】
本発明の好ましい態様では、化合物群1〜9、さらに好ましくは群1〜8から選択される化合物;結合剤;および任意に溶媒を含む有機電界効果トランジスタに用いる有機半導体層処方を提供する。
本発明のとくに好ましい態様では、式1の化合物;結合剤;および溶媒を含む有機電界効果トランジスタに用いる有機半導体層処方を提供する。
【化6】

ここで、結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、Topas(登録商標)8007、ポリ(4-メチルスチレン)、ポリスチレンおよびポリスチレン-コ-α-メチルスチレンから選択され、最も好ましくは、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;溶媒は、トルエン、エチルシクロヘキサン、アニソールおよびp-キシレン;最も好ましくは、トルエンである。
【0015】
本発明のさらにとくに好ましい態様では、式2の化合物;結合剤;および溶媒を含む有機電界効果トランジスタに用いる有機半導体層処方を提供する。
【化7】

ここで、結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニルおよびポリ(4-ビニルビフェニル)から選択され、最も好ましくは、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;溶媒は、1,2-ジクロロベンゼンである。
【0016】
本発明のさらにとくに好ましい態様では、式3の化合物;結合剤;および溶媒を含む有機電界効果トランジスタに用いる有機半導体層処方を提供する。
【化8】

ここで、nおよびmは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、さらに好ましくは、0、1または2であり;および結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;および溶媒は、トルエンである。
【0017】
ポリアセンと結合剤を組み合わせることによって一旦高い移動度の有機半導体層処方が得られると、生じた処方は、いくらかの他の利点をもたらす。たとえば、ポリアセンは溶解性であるため、液体状態で、たとえば、溶液から堆積できる。結合剤をさらに用いることで、処方は、高度に均一化した形で広い領域に被覆することができることがここで見出された。結合剤の使用をしないときは、ポリアセンは、単一な膜を生じないために広い領域へスピンコートすることができない。従来技術での、純粋なポリアセン層のスピンおよびドロップキャスティングは、いくらかの場合で比較的高い移動度をもたらすことはできるが、電子デバイスに特別な要件である基板全体にわたって一定の移動度を有する広い領域膜を提供することは難しい。さらに、結合剤を処方に用いると、処方の性質、たとえば粘度、固形分、表面張力を印刷工程に適応するように制御することができる。いずれの特定の理論によって結合を望まない一方で、処方への結合剤の使用は、そうでなければ空隙となる液晶粒子間の体積を埋め、大気および湿気に対してより敏感でなくなることもまた期待されている。たとえば、本発明の第1の形態で形成される層は、OFETデバイスにおいて大気中で非常に良好な安定性を示す
【0018】
本発明は、有機半導体層処方を含む有機半導体層もまた提供する。
本発明は、さらに、
(i)基板に上述のポリアセン化合物;および有機結合剤樹脂またはその前駆体;および任意に溶媒を含む混合物の液体層を積層し、および
(ii)液体層から有機半導体層である固体層を形成することを含む、有機半導体層の製造方法もまた提供する。方法は以下にさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明は、さらに有機半導体層を含む電子デバイスを提供する。電子デバイスは、限定することなく、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、光検出器、センサー、論理回路、メモリ素子、キャパシタまたは光電池(PV)セルを含んでもよい。たとえば、OFETにおけるドレインおよびソース間の能動半導体チャンネルは、本発明の層を含んでも良い。他の例として、OLEDデバイスでの電荷(孔または電子)の注入または運搬層は、本発明の層を含んでもよい。本発明の処方およびそれによって形成される層は、ここで記載の好ましい態様に特に関連するOFETsにおいて特定の有効性を有する。あるポリアセン化合物が、US 2003/0116755 AおよびUS 6,690,029に記載され、そこに記載のポリアセン合成方法は、ここで記載のポリアセン化合物の製造のために本発明に用いてもよい。ポリアセンの製造方法は、US 3,557,233 (American Cyanamid)にもまた記載されている。本発明のポリアセン化合物の合成に用いることができる当業者間で代替となる方法が、Organic Letters 2004, 6版, No.10, 1609-1612頁に記載されている。
【0020】
化合物群1〜9をここで詳細に記載する。
化合物群1
化合物群1は式1で示される。:
【化9】

化合物群1のペンタセン誘導体において、RおよびR13は、それぞれ独立して、同一または異なり、それぞれ独立して、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。さらに好ましくは、基RおよびR13は、任意に置換された任意に不飽和のC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、任意に置換されたアルケニル、アルキニル、アリールなどの基(任意に置換されたアルキニルは、好ましい基、特に任意に置換されたエチニルである)を含む。好ましくは、RおよびR13置換基は、ペンタセン環構造でπ共役である。しかし、基RおよびR13は、互いに同一の置換基を含むのが最も好ましい。化合物群1のペンタセン誘導体において、6および13位以外のペンタセンの環の位置は、何ら置換されていない、水素で占められているのが好ましい。
【0021】
化合物群1の例を以下に示す。:
【化10】

式中、Rは、任意に置換されたC1〜40のカルビルまたはヒドロカルビル基、さらに好ましくは、任意に置換されたC1〜10のアルキル基;およびnは、0、1、2、3、4または5、最も好ましくは、1、2または3である。
【0022】
化合物群2
化合物群2は式2で示される。:
【化11】

化合物群2のペンタセン誘導体において、RおよびR14は、それぞれ独立して、同一または異なり、それぞれ独立して、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。さらに好ましくは、基RおよびR14は、任意に置換された不飽和のC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、任意に置換されたアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル基(任意に置換されたアルキニルは、好ましい基、特に任意に置換されたエチニルである)を含む。好ましくは、RおよびR14置換基は、ペンタセン環構造でπ共役である。しかし、基RおよびR14は、互いに同一の置換基を含むのが最も好ましい。化合物群2のペンタセン誘導体において、5および14位以外のペンタセン誘導体の1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、何ら置換されていない、水素で占められているのが好ましい。
【0023】
化合物群3
化合物群3は式3で示される。:
【化12】

化合物群3のペンタセン誘導体において、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、同一または異なり、それぞれ独立して、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。さらに好ましくは、基R、R、RおよびR10は、任意に置換されたC〜C10のカルビルまたはヒドロカルビル基(とくにアルキル)、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどを含む。2、3、9および10位以外のペンタセンの1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、置換されていない、水素で占められているのが好ましい。しかし、RおよびRは、好ましくは、互いに同一の置換基、およびRおよびR10は、好ましくは互いに同一の置換基である。最も好ましくは、R、R、RおよびR10は、互いに同一の置換基である。
【0024】
化合物群3の例を以下に示す。:
【化13】

【0025】
化合物群4
化合物群4は式4で示される。:
【化14】

化合物群4のペンタセン誘導体において、RおよびRは、それぞれ独立して、同一または異なるが、RおよびRは、好ましくは互いに同一である。好ましくは、RおよびRは、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基またはハロを含む。化合物群4のペンタセン誘導体において、2および3位以外のペンタセンの1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、何ら置換されていない、水素で占められているのが好ましい。
【0026】
化合物群4の例を以下に示す。:
【化15】

【0027】
化合物群5
化合物群5は式5で示される。:
【化16】

化合物群5のペンタセン誘導体において、R、R、R11およびR12は、それぞれ独立して、同一または異なる。しかし、RおよびRは、好ましくは互いに同一であり、R11およびR12は、好ましくは互いに同一である。R、R、R11およびR12は、好ましくはすべて互いに同一である。好ましくは、基R、R、R11およびR12は、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。さらに好ましくは、基R、R、R11およびR12は、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどを含む。化合物群5のペンタセン誘導体において、2、3、11および12位以外のペンタセン誘導体の1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、置換されていない、すなわち水素で占められているのが好ましい。
【0028】
化合物群5の例を以下に示す。:
【化17】

化合物群6
化合物群6は式6で示される。:
【化18】

化合物群6のペンタセン誘導体において、RおよびRは、それぞれ独立して、同一または異なる。しかし、RおよびRは、好ましくは互いに同一である。好ましくは、RおよびRは、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。化合物群6のペンタセン誘導体において、2および9位以外のペンタセンの1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、置換されていない、すなわち水素で占められているのが好ましい。
化合物群6の例を以下に示す。:
【化19】

【0029】
化合物群7
化合物群7は式7で示される。:
【化20】

化合物群7のペンタセン誘導体において、R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、同一または異なる。しかし、RおよびR14は、好ましくは互いに同一であり、RおよびR12は、好ましくは互いに同一である。さらに好ましくは、R、R14、RおよびR12は、すべて互いに同一である。好ましくは、R、R14、RおよびR12は、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。化合物群7のペンタセン誘導体において、5、14、7および12位以外のペンタセンの1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、置換されていない、すなわち水素で占められているのが好ましい。
化合物群7の例を以下に示す。:
【化21】

【0030】
化合物群8
化合物群8は式8で示される。:
【化22】

化合物群8のペンタセン誘導体において、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、同一または異なる。しかし、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R15、R16、およびR17は、それぞれ独立してH、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、任意に置換されたアルケニル、アルキアリール(alkyaryl)、アリールなどの基またはハロ基、たとえばF、Cl、Brを含む。さらに好ましくは、R、R、R、R、R、R、R10およびR17は、任意に置換されたC〜C10のアルキル基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどであり、最も好ましくは、メチル;ハロゲン、たとえば、F、Cl、Brであり、最も好ましくは、Fであり、RおよびRおよびRおよびR10は、それらが結合している炭素原子とともにC〜C40の飽和または不飽和の環を形成し、さらに好ましくは、任意に置換されたC〜C10の飽和または不飽和の環であり、また1または2以上の酸素原子、硫黄原子または式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基)で示される基が介在する。式8のペンタセン誘導体において、R15、R16およびR17は、それぞれ互いに同一または異なっていてもよく、好ましくは、R15、R16およびR17は、同一であり、たとえばハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、C〜C40のアルキル基(好ましくは、C〜Cのアルキル、最も好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル);たとえばハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、C〜C40のアリール基(好ましくはフェニル);たとえばハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、C〜C40のアリールアルキル基;たとえばハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、C〜C40のアルコキシ基;たとえばハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、C〜C40のアリールアルキルオキシ基を含み、R15およびR16またはR16およびR17は、それらが結合しているたとえば原子とともにC〜C40の飽和または不飽和の環を形成し、また1または2以上の酸素原子、硫黄原子または式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基および/またはそれらの異性体)で示される基が介在する。好ましくは、R15、R16およびR17は、それぞれ互いに独立して、任意に置換されたC1〜10のアルキル(さらに好ましくは、C1〜4およびさらに好ましくは、C1〜3アルキル、たとえば、イソプロピルである)および任意に置換されたC6〜10のアリール(好ましくは、フェニル)から選択される。
式8のペンタセン誘導体において、Xは、好ましくは、ケイ素またはゲルマニウムであり、最も好ましくは、ケイ素である。
【0031】
Xが、シリル基を形成するケイ素である1つの好ましい態様では、R15、R16およびR17は、互いに同一の基であり、たとえば、トリイソプロピルシリルのような同一の任意に置換されたアルキル基である。好ましくは、この態様では、基R15、R16およびR17は、同一の任意に置換されたC1〜10のアルキル基(さらに好ましくは、C1〜4、およびさらに好ましくは、C1〜3である)。この場合の好ましいアルキル基はイソプロピルである。
上述の式-Si(R15)(R16)(R17)のシリル基は、C〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基などの好ましい任意置換基である。
さらに、このさらなる好ましい態様の延長では、R、R、RおよびR10は、C1〜10のアルキル基であり、1または2以上のR、R、RおよびR10は好ましくは、メチルであり、1または2以上のR、R、R、R、R、RおよびR10は、Fである。化合物群8のさらに好ましい態様では、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、それぞれHである。R15、R16およびR17は、C1〜10のアルキルであり、さらに好ましくは、C1〜5のアルキル、たとえば、メチル、エチルまたはプロピルである。
群8のさらなる態様では、ポリアセンの隣接する環の位置に存在するいずれの2または3以上の置換基は、それらが結合する隣接する環の位置でともに、ポリアセン化合物に融合した、芳香族環系または複素環系を任意に構成してもよい。群8のこのタイプの例は、RおよびR、RおよびR、RおよびRおよびR10およびR11の隣接する置換基のそれぞれの組が、ぺンタセンに融合したベンゼン環を構成する、群8の例6において以下に示される。:
【0032】
化合物群8のペンタセン誘導体において、1、2、3、4、6、8、9、10、11および13位以外のペンタセン誘導体の1または2以上の環の位置は、置換されていてもよいが、置換されていない、すなわち水素で占められているのが好ましい。
15、R16およびR17およびnおよびmが上述の化合物群8化合物の例を以下に示す。:
【化23】

【0033】
化合物群9
化合物群9は式9で示される。:
【化24】

化合物群9のペンタセン誘導体において、R、R、R、R、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、同一または異なり、それぞれ独立して、Hまたは任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。RおよびRは、同一または異なっていてもよいが、好ましくは互いに同一の置換基である。RおよびRもまた、同一または異なっていてもよいが、好ましくは互いに同一の置換基である。好ましくは、R、R、RおよびRは、互いに同一の置換基である。最も好ましくは、RおよびRおよびRおよびRは、1または2以上の酸素原子、硫黄原子または式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基)で示される基が介在した、それらが結合している炭素原子とともにC〜C40の飽和または不飽和の環を形成すし、したがって、疑似のペンタセン化合物を形成する。化合物群9の好ましい疑似のペンタセン誘導体は、式9aおよび式9bおよびそれらの異性体であり、ポリアセン骨格の1または2以上の炭素原子が、N、P、As、O、S、SeおよびTe、好ましくは、NまたはSから選択されるヘテロ原子で置換されていもよい。
【0034】
【化25】

【0035】
式9aで示される化合物群9の疑似ペンタセン誘導体では、R19およびR20は、好ましくは、同一の置換基であり、任意に置換されたC1〜40のカルビルまたはヒドロカルビル基を含む。さらに好ましくは、R19およびR20は、それぞれ独立して、任意に置換された、任意に置換されていない、任意に不飽和のC1〜40のカルビルまたはヒドロカルビル基、たとえば、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基であり、またはR19およびR20は、それらが結合する炭素原子とともにまたは適切に隣接した原子上の置換基との組合せで独立してのいずれかにより、任意に置換されたC〜C40の飽和または不飽和の環を形成し、1または2以上の酸素原子、硫黄原子または式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基)で示される基が任意に介在する。最も好ましくは、(それらが結合する炭素原子とともにR19およびR20による)環は、1または2以上の酸素原子が介在する。しかし、最も好ましくは、R19およびR20は、同一の置換基であり、水素、または、飽和または不飽和のC1〜4のアルキル基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル最も好ましくは、R19およびR20は、それぞれ独立してメチル基または水素原子である。
【0036】
化合物群9aおよび9bの疑似ペンタセン誘導体において、R15、R16、R17は、同一または異なっていてもよく、最も好ましくは、R15、R16およびR17は、同一であって、上記式8の化合物に関連して記載したとおりである。
化合物群9の疑似ペンタセン誘導体において、1または2以上の化合物の環の位置は、置換されていてもよく、たとえば、さらに任意に置換された環を形成するが、好ましくは、他の環の位置は置換されていない、すなわち水素で占められている。
本発明のポリアセン(とくに化合物群1〜9)では、C〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基は、飽和または不飽和の非環式基、または飽和または不飽和の環式基であってもよい。不飽和非環式または環式基が好ましく、とくにアルケニルおよびアルキニル基(とくにエチニル)である。C〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基が、非環式であるとき、基は、直線または分枝であってもよい。C〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基は、たとえば、:C〜C40のアルキル基、C〜C40のアルケニル基、C〜C40のアルキニル基、C〜C40のアリル基、C〜C40のアルキルジエニル基、C〜C40のポリエニル基、C〜C18のアリール基、C〜C40のアルキルアリール基、C〜C40のアリールアルキル基、C〜C40のシクロアルキル基、C〜C40のシクロアルケニル基などを含む。上述の基においてC〜C20のアルキル基、C〜C20のアルケニル基、C〜C20のアルキニル基、C〜C20のアリル基、C〜C20のアルキルジエニル基、C〜C12のアリール基、C〜C20のポリエニル基のそれぞれが好ましく;C〜C10のアルキル基、C〜C10のアルケニル基、C〜C10のアルキニル基(とくにエチニル)、C〜C10のアリル基、C〜C10のアルキルジエニル基、C〜C12のアリール基、C〜C10のポリエニル基のそれぞれがさらに好ましく;C〜C10のアルキニル基がもっとも好ましい。
【0037】
限定するものでないが、アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ベンジル、2-フェノキシエチルなどである。アルキニル基の例は、エチニルおよびプロピニルである。アリール基の例は、限定されるものでないが、フェニル、2-トリル、3-トリル、4-トリル、ナフチル、ビフェニル、4-フェノキシフェニル、4-フルオロフェニル、3-カルボメトキシフェニル、4-カルボメトキシフェニルなどである。アルコキシ基の例は、限定されるものでないが、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、t-ブトキシなどである。アリールオキシ基の例は、限定されるものでないが、フェノキシ、ナフトキシ、フェニルフェノキシ、4-メチルフェノキシなどである。アミノ基の例は、限定されるものでないが、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
本発明のポリアセンでは、RなどのC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基での任意の置換基は、好ましくは、:シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ハロ、C1〜4アルキル、C6〜12アリール、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシおよび/またはそれらのすべての化学的に可能な組合せから選択される。これらの任意の置換基のうち、シリル、C6〜12アリールが好ましく、シリルが最も好ましい。
【0038】
本明細書では任意に置換されたシリル基は、式-Si(R15)(R16)(R17)で示してもよく、R15、R16およびR17のそれぞれは、同一または異なっていてもよく、独立して、水素、任意にたとえばハロゲン原子で置換されたC〜C40-アルキル基(好ましくは、C〜Cのアルキル基および最も好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル);任意にたとえばハロゲン原子で置換されたC〜C40-アリール基(好ましくはフェニル);任意にたとえばハロゲン原子で置換されたC〜C40-アラルアルキル基;任意にたとえばハロゲン原子で置換されたC〜C40-アルコキシ基;または任意にたとえばハロゲン原子で置換されたC〜C40-アリールアルキルオキシ基である。好ましくは、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、任意に置換されたC1〜10-アルキル(さらに好ましくは、C1〜4およびもっとさらに好ましくは、C1〜3-アルキル、たとえばイソプロピル)および任意に置換されたC6〜10-アリール(好ましくは、フェニル)から選択される。
【0039】
シリル基の好ましい態様の1つは、R15、R16およびR17は、好ましくは互いに同じ基であり、トリイソプロピルシリルのように、たとえば任意に置換された同一のアルキル基である。好ましくは、そのような好ましい態様では、基R15、R16およびR17は、同一の任意に置換されたC1〜10(さらに好ましくは、C14およびもっとさらに好ましくは、C1〜3)アルキル基である。この場合の好ましいアルキル基は、イソプロピルである。
上述の式-Si(R15)(R16)(R17)は、C〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基などの好ましい任意の置換基である。
上述の式-Si(R15)(R16)(R17)のシリル基の例は、限定されるものでないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、ジメチルエチルシリル、ジエチルメチルシリル、ジメチルプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジプロピルメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、ジプロピルエチルシリル、ジイソプロピルエチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、ジフェニルエチルシリル、ジエチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニルなどである。上述の列記でのそれぞれの例では、アルキル、アリールまたはアルコキシ基は任意に置換されていてもよい。
【0040】
本発明の最も好ましいペンタセン化合物は、化合物群1、2、8および9であり、さらに特に好ましくは、化合物群1および8である。群1および2の化合物の例は、限定されるものでないが、6,13-ビス(トリメチルシリルエチニル)ペンタセン, 6,13-ビス(トリエチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジメチルエチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジエチルメチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジメチルプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジメチルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジプロピルメチルシリルエチニル)-ペンタセン、6,13-ビス(ジイソプロピルメチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジプロピルエチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジイソプロピルエチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジエチルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリメトキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリエトキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジイソプロピルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルエチルシリルエチニル)-ペンタセン、6,13-ビス(ジエチルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルメチル-シリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジメチルメトキシシリルエチニル)ペンタセン、,13-ビス(ジメチルフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(メチルメトキシフェニルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(シクロペンタメチレンシラン)-ペンタセン、 6,13-ビス(シクロテトラメチレンシラン)ペンタセン、5,14-ビス(トリメチルシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(トリエチルシリルエチニル)ペンタセン、 5,14-ビス(トリプロピルシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルエチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジエチルメチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジプロピルメチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス-(ジイソプロピルメチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジロピルエチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジイソプロピルエチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジエチルイソプロピルシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(トリメトキシシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(トリエトキシシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(トリフェニルシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(ジフェニルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジイソプロピルフェニル-シリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジフェニルエチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジエチルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジフェニルメチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(トリフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルメトキシシリルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(メチルメトキシフェニルエチニル)ペンタセンである。
【0041】
群8および9の化合物の例は、限定されるものでないが、2,3,9,10-テトラメチル-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン、5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:7,6-b'] ジチオフェン、1,8-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、1,11-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンおよび2,3,9,10-テトラフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル) ペンタセンである。
【0042】
化合物群1および8において式1A、8Aまたは8Bの化合物、特に式1Aの化合物が好ましい。:
【化26】

式中、R’のそれぞれは、独立してそれぞれが任意に置換されていてもよいC2〜40のアルキル基、C2〜40のアルコキシ基、C2〜40のアルケニル基、C2〜40のアルキニル基、C6〜18のアリールまたはヘテロアリール基、C〜C40のアリールオキシ基、C〜C40のアルキルアリールオキシ基、C〜C40のアルコキシカルボニル基、C〜C40のアリールオキシカルボニル基またはシリル基、またはシアノ基(−CN)、カルバモイル基 (−C(=O)NH)、ハロホルミル基 (−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す)、ホルミル基(−C(=O)−H)、イソシアノ基、イソシアネート基、チオシアネート基またはチオイソシアネート基、任意に置換されたアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、ハロ、スルホ基、スルホニル基、メルカプト基、ニトロ基から選択され、;および式8Bにおいてmおよびnは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、より好ましくは、0、1または2である。好ましくは、式1A、8Aおよび8Bにおいて、それぞれR'は、独立して、ともに任意に置換されたC6〜18のアリールおよびシリルから選択される。
【0043】
好ましくは、式1A、8Aおよび8Bにおいて、少なくとも1つのR'および最も好ましくは両方のR'はシリルであり、ここでシリル基は、好ましくは上記定義したとおり、すなわち、式-Si(R15)(R16)(R17)のシリル基である。したがって、後者のこれらの最も好ましい化合物は、式1A'、8A'および8B'である。:
【化27】

【0044】
好ましい態様の1つにおいて、式1A'、8A'および8B'においてR15、R16およびR17は、好ましくは、互いに同一であり、たとえば6,13-ビス-(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンのようなアルキル基である。この特に好ましい態様では、R15、R16およびR17は、好ましくは、任意に置換されていてもよい同一のC1〜10(好ましくは、C1〜4およびさらに好ましくは、C1〜3)アルキル基である。任意に置換されたイソプロピルが、そのような態様の好ましいアルキル基である。
いくらかの場合では、デバイスの製造をさらに容易にするために一般的な有機溶媒中のポリアセンの溶解性を制御することが望ましい。このことは、FETの製造には有利であり、たとえば、溶液塗布、たとえば、ポリアセン層への誘電体は、ポリアセンを溶解する傾向を有する。また、いったんデバイスが形成されると、より溶解性しにくいポリアセンが、有機層で"ブリード"しにくくなる。上記式1Bのペンタセン誘導体の溶解性を制御する方法の1つの態様では、少なくとも1つのR15、R16およびR17は、任意に置換されたアリール(好ましくはフェニル)基である。したがって、R15、R16およびR17の少なくとも1つは、任意に置換されたC6〜18アリール(好ましくはフェニル)基、任意に置換されたC6〜18アリールオキシ(好ましくはフェノキシ)基、任意に置換されたC6〜20アリールアルキル(たとえば、ベンジル)基または任意に置換されたC6〜20アリールアルキルオキシ(たとえば、ベンジルオキシ)基である。そのような場合には、いずれのR15、R16およびR17の残りの基は、任意に置換されたC1〜10(さらに好ましくは、C1〜4)アルキル基が好ましい。そのような態様での例は、式1Cであり、式中、Arは、アリール含有基、たとえば、任意に置換されたC6〜18アリール基、任意に置換されたC6〜18アリールオキシ基、任意に置換されたC6〜20アリールアルキル基、任意に置換されたC6〜20アリールアルキルオキシ基を示す。:
【0045】
【化28】

【0046】
式1CのR15、R16およびR17は、好ましくは、互いに同一の基であり、たとえば、イソプロピル基である。
式1Cの化合物の例は、限定されるものでないが、6,13-ビス(トリフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、 6,13-ビス(ジイソプロピルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルエチルシリルエチニル)-ペンタセン、6,13-ビス(ジエチルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジフェニルメチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(トリフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(ジメチルフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、6,13-ビス(メチルメトキシフェニルエチニル)-ペンタセン、5,14-ビス(トリフェニルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジフェニルイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジイソプロピルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス-(ジフェニルエチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジエチルフェニルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジフェニルメチルシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(トリフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(ジメチルフェノキシシリルエチニル)ペンタセン、5,14-ビス(メチルメトキシフェニルエチニル)-ペンタセンを含む。
群1および8の好ましいさらなる例は、それぞれの基の一般的な記載で上記したものである。
【0047】
本発明の好ましい態様では、半導体ポリアセンは、10−5cm−1−1より大きい、好ましくは、10−4cm−1−1より大きい、さらに好ましくは、10−3cm−1−1より大きい、もっとさらに好ましくは、10−2cm−1−1より大きいおよび最も好ましくは、10−1cm−1−1より大きい電界効果移動度、μを有する。
ポリマーである結合剤は、絶縁結合剤または半導体結合剤、またはそれらの混合物のいずれかを含んでもよく、ここでは、有機結合剤、ポリマー結合剤または単に結合剤と呼ぶ。
本発明の好ましい結合剤は、低い誘電率の材料、すなわち1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率、εを有するものである。有機結合剤は、好ましくは、1,000Hzにおいて3.0より小さい、さらに好ましくは、2.9以下の誘電率を有する。好ましくは、有機結合剤は、1,000Hzで1.7よりも大きい誘電率を有する。結合剤の誘電率が、2.0〜2.9の範囲であることがとくに好ましい。ある特定の理論に束縛されることは望まないが、1,000Hzで3.3よりも大きい誘電率の結合剤を用いることは、電子デバイス、たとえばOFETのOSC層の移動度を減少させるかもしれないと考えられている。さらに、高い誘電率の結合剤は、また望ましくない増加した電流ヒステリシスをもたらし得る。
【0048】
有機結合剤の例は、ポリスチレンである。さらなる例は以下である。
好ましい態様の1つには、有機結合剤は、原子の少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、とくに全部が、水素、フッ素および炭素原子からなるものである。
結合剤は、通常、共役結合、とくに共役二重結合および/または芳香環を含むのが好ましい。
結合剤は、好ましくは、膜を、さらに好ましくは柔軟な膜を形成できるようであるべきである。スチレンおよびアルファ-メチルスチレンのポリマー、たとえば、スチレン、アルファ-メチルスチレンおよびブタジエンを含むコポリマーを好適に用いてもよい。
本発明で用いる低い誘電率の結合剤は、さもなければ分子部位エネルギーに乱雑なばらつきをもたらす不変な双極子をほとんど有さない。誘電率(誘電定数)は、ASTM D 150テスト方法によって決定することができる。
【0049】
本発明では、このタイプの材料は、低い不変な双極子を有するために、低い双極性および水素結合に貢献する溶解性パラメータを有する結合剤もまた好ましい。本発明に用いる結合剤の溶解性パラメータの好ましい範囲は、以下の表1に示される。
【表1】

上に列記した3次元溶解性パラメータは、:分散(δ)、極性(δ)および水素結合(δ)成分(C.M. Hansen, Ind. Eng. and Chem., Prod. Res. and Devl., 9, No3, p282., 1970)を含む。これらのパラメータは、経験的に決定することができ、またはHandbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters ed. A.F.M. Barton, CRC Press, 1991に記載されている知られたモル基の寄与によって計算することができる。多くの知られたポリマーの溶解性パラメータもまたこの明細書に列記する。
【0050】
結合剤の誘電率は、周波数にほとんど依存しないのが望ましい。これらは、非極性材料の典型である。ポリマーおよび/またはコポリマーは、それらの置換基の誘電率によって結合剤として選択することができる。本発明に用いるのに適する低い極性の結合剤の列記は、(これらの例に限定されないが、)以下の表2に示される。:
【表2】

【0051】
結合剤として適する他のポリマーは、:ポリ(1,3-ブタジエン)またはポリフェニレンを含む。上記ポリマーの繰り返し単位を含むコポリマーもまた結合剤に適する。ポリアセンとの適合性を改善し、最終的な層構成の形態および/またはガラス転移温度を変える可能性を提供する。上の表でのいくらかの材料は、層の製造に通常用いる溶媒に不溶性であることが望ましい。これらの場合には、アナログをコポリマーとして用いることができる。コポリマーのいくらかの例を、(これらに限定はされないが、)表3に示す。ランダムまたはブロックコポリマーの両方を用いることができる。全体にわたって組成物が、極性の低いことを維持するのであれば、より極性なモノマー成分のいくらかを添加することもまたできる。
【表3】

【0052】
他のコポリマーは、:分枝または非分枝ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン、ポリスチレン−ブロック(ポリエチレン−ラン−ブチレン)−ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−(エチレン−プロピレン)−ジブロック−コポリマー(たとえば、KRATONR(登録商標)-G1701E, Shell)、ポリ(プロピレン−コ−エチレン)およびポリ(スチレン−コ−メチルメタクリレート)を含んでもよい。
本発明の有機半導体層処方に用いる好ましい絶縁結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニル、ポリ(4-ビニルビフェニル)、ポリ(4-メチルスチレン)およびTopas(登録商標) 8007である。しかし最も好ましい絶縁結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニルおよび ポリ(4-ビニルビフェニル)である。
上述のように有機結合剤は、それ自体半導体であることができ、ここでは、半導体結合剤と呼ぶ。半導体結合剤は、もっと好ましくは、ここで定義する低い誘電率の結合剤である。本発明に用いる半導体結合剤は、少なくとも1500〜2000、さらに好ましくは、少なくとも3000、もっとさらに好ましくは、少なくとも4000、および最も好ましくは少なくとも5000の数平均分子量 (Mn)を有する。半導体結合剤は、好ましくは、少なくとも10−5cm−1−1、さらに好ましくは、少なくとも10−4cm−1−1の電荷キャリア移動度、μ、を有する。
【0053】
半導体結合剤の好ましい部類は、式10の繰り返し単位を有する。:
【化29】

式中、Ar、ArおよびArは、同一または異なっていてもよいが、それぞれ独立して、異なる繰り返し単位では、任意に置換された芳香族基(単環式または多環式)を示し、半導体結合剤では、nは、少なくとも6、好ましくは、少なくとも10、さらに好ましくは、少なくとも15、もっとも好ましくは、少なくとも20の整数である。Ar、ArおよびArにおいて、単環式芳香族基は、ただ1つの芳香環、たとえば、フェニルまたはフェニレンを有する。多環式芳香族基は、2つまたは3以上の芳香環を有し、融合していてもよく(たとえば、ナフチルまたはナフタレン)、それぞれが共有結合(たとえばビフェニル)していてもよく、および/または融合およびそれぞれが共有結合した芳香環の両方の組み合わせであってもよい。好ましくは、Ar、ArおよびArのそれぞれは、実質的に基全体にわたって実質的に共有した芳香族基である。
【0054】
半導体結合剤の好ましい部類は、実質的に共有繰り返し単位を含むものである。半導体ポリマーは、一般式11のホモポリマーまたはコポリマー(ブロックコポリマーを含む)であってもよい。:
(C)(d)...X(z) 式11
式中、A、B、Zは、それぞれモノマー単位を示し、(c)、(d)...(z)は、それぞれのモノマーのポリマーのモル比率、すなわち、(c)、(d)...(z)は、0〜1の値であり、(c)+(d)+...+(z)=1である。モノマー単位A、B、...Zは、以下の式10および式12〜17の単位を含む。:
【0055】
【化30】

式中、R1およびR2は、それぞれ:H;任意に置換されたアルキル;アルコキシ;チオアルキル;アシル;任意に置換されたアリール;フッ素原子;シアノ基;ニトロ基;式−N(Ra)(R)(式中、RaおよびRは、それぞれ独立してH、任意に置換されたアルキル、アリール、任意に置換されたアリール、アルコキシまたはポリアルコキシ基であってもよい)の任意に置換された2級、または3級アルキルアミンまたはアリールアミン;または他の置換基であってもよく、*は、水素(任意にフッ素で置換されたアルキルおよびアリール基)を含む末端またはエンドキャッピング基のいずれである。
【0056】
【化31】

式中、Xは、Se、Te、O、Sまたは−N(R)、さらに好ましくは、Xは、O、Sまたは−N(R)(式中、Rは、H、任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたアリールを示す)であってもよく;および、R1およびR2は、式12で記載したとおりである。
【0057】
【化32】

式中、R1、R2およびXは、それぞれ式12および13で記載したとおりである。;
【0058】
【化33】

式中、R1、R2およびXは、それぞれ式12および13で記載したとおりであり、;Zは、-C(T1)=C(T2)-、-C≡C-、-N(R')-、-N=N-、(R')=N-、-N=C(R')-(式中、T1およびT2は、独立して、−H、Cl、F、-C≡Nまたは低級アルキル基およびR'は、−H、アルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールを示す。)を示す。;
【0059】
【化34】

式中、R1およびR2は、式12で記載したとおりである。;
【化35】

式中、R1〜R4は、式12のR1およびR2で記載したのと同一の基の列記から独立に選択されていてもよい。
【0060】
式10〜17のようなここで記載のポリマー式の場合、ポリマーは、いずれの末端基、すなわち水素を含むエンドキャッピングまたは脱離基のいずれで終わっていてもよい。
ブロック−コポリマーの場合、モノマーA、B...Zは、式12〜17の単位の共役オリゴマーまたはたとえば2〜50の数を含むポリマーであってもよい。半導体結合剤は、好ましくは、:アリールアミン、フルオレン、チオフェン, スピロビフルオレンおよび/または任意に置換されたアリール(たとえば、フェニレン)、さらに好ましくは、アリールアミン、もっとさらに好ましくは、トリアリールアミン基を含む。上述の基は、さらにたとえばビニレンのような共役基で結合されていてもよい。さらに、半導体結合剤は、1または2以上の上述のアリールアミン、フルオレン、チオフェンおよび/または任意に置換されたアリール基を含むポリマー(ホモポリマーまたはブロック−コポリマーを含むコポリマーのいずれ)を含むのが好ましい。好ましい半導体結合剤は、アリールアミン(好ましくは、トリアリールアミン)および/またはフルオレン単位を含むホモポリマーまたはコポリマー(ブロック−コポリマーを含む)を含む。他の好ましい半導体結合剤は、フルオレンおよび/またはチオフェン単位を含むホモポリマーまたはコポリマー(ブロック−コポリマーを含む)を含む
【0061】
半導体結合剤は、また;カルバゾール、スチルベン繰り返し単位を含んでもよい。たとえば、ポリビニルカルバゾールまたはポリスチルベンポリマー、コポリマーを用いることができる。半導体結合剤は、任意にポリアセン部位(たとえば上記式Aで記載した繰り返し単位)を溶解性ポリアセン分子との適合性を改善するために含んでもよい。
本発明の有機半導体層処方に用いるもっとも好ましい半導体結合剤は、ポリ(9-ビニルカルバゾール)およびPTAA1である。
p−チャンネルFETの半導体層に用いるためには、半導体結合剤は、ポリアセン半導体よりも高いイオン化ポテンシャルを有するのが望ましく、さもなければ結合剤は、孔トラップを形成し得る。n-チャンネル材料では、半導体結合剤は、電子捕獲を避けるためにn-型半導体よりも低い電子親和性を有すべきである。
【0062】
本発明の処方は、:
(i)ポリアセン化合物および有機結合剤の両方をまず混合し、好ましくは、混合は、溶媒または溶媒混合物とともに2つの成分を混合することを含む。溶媒は、単独溶媒であってもよくまたはポリアセン化合物および有機結合剤を別々の溶媒に溶解し、化合物を混合するために2つの生ずる溶液を混合する、;および
(ii)ポリアセン化合物および有機結合剤を含む溶媒を基板に塗布する、;および
(iii)任意に溶媒を発明の層を形成するために蒸発させる、ことを含む工程によって製造してもよい。
【0063】
結合剤は、任意に溶媒の存在下で、結合剤の前駆体、たとえば液体モノマー、オリゴマーまたは架橋可能なポリマーにポリアセンを混合または溶解し、混合物または溶液を、液体層を形成するためにたとえば、浸漬、噴霧、塗布または印刷することで、基板に積層し、液体モノマー、オリゴマーまたは架橋ポリマーをたとえば、固体層を形成するために光照射、加熱または電子ビームにさらし硬化することでそのまま形成してもよい。
予め形成した結合剤を用いるときは、好適溶媒中にポリアセンとともに溶解し、液体層を形成するために溶液をたとえば、浸漬、噴霧、塗布または印刷によって積層し、固体層を得るために溶媒を除去してもよい。溶媒は、結合剤およびポリアセンの両方に溶解でき、蒸発中に液体混合物から粘着性の欠点を有さない層を形成するものを選択するのが望ましい。結合剤またはポリアセンの好適溶媒は、混合物を用いる濃度でASTM方法D3132に記載されている材料の等高線図を作ることで決定することができる。材料は、ASTM方法に記載の広い範囲で添加する。
本発明によって、処方は、1または2以上のポリアセン化合物および/または1または2以上の結合剤を含んでもよく、処方の製造方法は、そのような処方によって用いられることもまた望ましい。
【0064】
考慮され得る有機溶媒の例は、:CHCl、CHCl、モノクロロベンゼンo-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、1,4-ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、エチルアセテート、n-ブチルアセテート, ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリンおよび/またはそれらの混合物である。適する混合および硬化後、溶媒は、次のカテゴリー:完全な溶液、その境界の溶液または不溶性の1つとして評価される。等高線は、溶解性および不溶性を分ける溶解性パラメータ−水素結合の限界を概説するために描かれる。溶解性領域内におさまる「完全な」溶媒は、"Crowley, J.D., Teague, G.S. Jr and Lowe, J.W. Jr., Journal of Paint Technology, 38, No 496, 296 (1966)"に公開されているような文献値によって選択することができる。溶媒混合物もまた用いることができ、"Solvents, W.H.Ellis, Federation of Societies for Coatings Technology, p9-10, 1986"の記載によって明確にされ得る。混合物には、少なくとも1つの本物の溶媒を有するのが望ましいが、そのような手順によって、結合剤およびポリアセンの両方に溶解する「非」溶媒の混合をもたらすことができる。
絶縁および半導体の両方およびその混合物の結合剤に用いるための本発明の有機半導体処方に用いる好適溶媒は、:キシレン、トルエン、テトラリンおよび o-ジクロロベンゼンである。
【0065】
本発明の処方または層のポリアセンに対する結合剤の割合は、典型的には、重量で、20:1〜1:20、好ましくは、10:1〜1:10、さらに好ましくは5:1〜1:5、もっと好ましくは、3:1〜1:3、さらに好ましくは、2:1〜1:2、とくに好ましくは1:1である。驚きまた有利なことに、結合剤へのポリアセンの希釈は、従来技術から予測されるよりも電荷移動度へほとんどまたは全く不利益な効果を有さないことが見出された。
本発明により、有機半導体層処方の固形分量もまたOFETのような電子デバイスの改善された移動度値を達成する要因であることもまた見出された。処方の固形分は一般に以下で示される:
【数1】

式中、a=ポリアセンの質量、b=結合剤の質量およびc=溶媒の質量である。
処方の固形分は、好ましくは、0.1〜10重量%、さらに好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0066】
驚き、また有利なことに、ポリアセンの結合剤への希釈は、従来技術から予測されるよりも電荷移動度へほとんどまたは全く影響を有さないことが見出された。
近代のマイクロ電子工学では、小さい構造をもたらすことは、コスト削減(より多いデバイス/単位面積)およびエネルギー消費削減のために望ましい。本発明の層のパターンニングは、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィーによって行うことができる。
電子効果トランジスタのような有機電子デバイスの液体塗布は、真空蒸着技術よりも望ましい。本発明のポリアセンおよび結合剤混合物は、多くの液体塗布技術の使用を可能にする。有機半導体層は、たとえば、それに限定はされないが、浸漬塗布、スピンコーティング、インクジェット印刷、レタープレス(letter-press)印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード塗布;ローラー捺染、リバースローラー捺染;オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷 、スプレー塗布、はけ塗りまたはパッド印刷によって最終デバイス構造に組み入れることができる。本発明は、とくに最終デバイス構造へ有機半導体層をスピン塗布するのに用いるのに適する。
【0067】
本発明の選択されたポリアセンおよび結合剤組成物は、インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによって既製のデバイス基板に用いてもよい。好ましくは、限定されないが、Aprion, Hitachi-Koki, InkJet Technology, On Target Technology, Picojet, Spectra, Trident, Xaarによって供給されるような工業的圧電印刷ヘッドを有機半導体層の基板への塗布に用いてもよい。さらにBrother, Epson, Konica, Seiko Instruments Toshiba TECによって製造されるような半工業的ヘッドまたはMicrodropおよび Microfabによって製造されるような単一ノズルマイクロディスペンサーを用いてもよい。
【0068】
インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによって塗布するために、ポリアセンおよび結合剤組成物は、初めに適する溶媒中に溶解しなければならない。溶媒は、上述の要件を満たさなければならず、選択された印刷ヘッド上で何ら不利益な効果を有してはならない。さらに溶媒は、印刷ヘッドの内側で溶媒が乾燥することによって生ずる操作性の問題を防ぐために、>100℃、好ましくは、>140℃、さらに好ましくは、>150℃の沸点を有さなければならない。適する溶媒は、置換および非置換キシレン誘導体、ジ-C1−2-アルキルホルムアミド、置換および非置換のアニソール、および他のフェノール−エーテル誘導体、置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジン、などの置換された複素環、置換および非置換のN,N-ジ-C1−2-アルキルアニリン、および他のフッ素化または塩素化芳香族を含む。
【0069】
インクジェット印刷によって結合剤/ポリアセン処方を積層するための好適溶媒は、1または2以上の置換基のうちの全炭素原子数が少なくとも3である1または2以上の置換基によって置換されたベンゼン環を有するベンゼン誘導体を含む。たとえば、ベンゼン誘導体は、プロピル基または3つのメチル基で置換されていてもよく、いずれの場合も全部で、少なくとも3つの炭素原子である。そのような溶媒は、インクジェット液体が噴霧の間、ジェットの目詰まりおよび成分の分離を減少または防止する溶媒を結合剤およびポリアセンとともに含むように形成されることを可能とする。溶媒は、以下の例の列記から選択されるものを含んでもよい。: ドデシルベンゼン; 1-メチル-4-tert-ブチルベンゼン;テルピネオール;リモネン; イソジュレン; テルピノレン; シメン; ジエチルベンゼン。溶媒は、溶媒混合物、すなわち、1または2以上の溶媒の組み合わせであってもよく、それぞれの溶媒が好ましくは、>100℃、さらに好ましくは、>140℃の沸点を有する。そのような溶媒は、また積層する層の膜形成を促進し、層中の欠点を減少させる。
【0070】
インクジェット液体(すなわち溶媒、結合剤およびポリアセンの混合物)は、好ましくは、20℃で、1〜100mPa.s、さらに好ましくは、1〜50mPa.s、最も好ましくは、1〜30mPa.sの粘度を有する。
本発明で結合剤の使用は、また塗布溶液の粘度を特定の印刷ヘッドの要件に適合するように調整することを可能にする。
本発明の半導体層は、所望により厚くすることもできるが、典型的には、最大1ミクロン(=1μm)の厚みである。層の厳密な厚みは、たとえば、層を用いる電子デバイスの要件に依存する。OFETまたはOLEDに用いるには、層厚は、典型的には500nm以下であってよい。
本発明の半導体層は、式1〜9の2または3以上の異なるポリアセン化合物を用いてもよい。さらにまたは代わりに、半導体層に、2または3以上の本発明の有機結合剤を用いてもよい。
【0071】
上述のように、本発明はさらに(i)基板にポリアセン化合物、有機結合剤樹脂またはその前駆体および任意に溶媒を含む混合物の液体層を積層し、および(ii)液体層から有機半導体層である固体層を形成することを含む、有機半導体層の製造方法を提供する。
その方法では、固体層は、溶媒の蒸発および/または(存在するのであれば)結合剤樹脂前駆体を結合剤樹脂を形成するようにそのまま反応させることによって形成してもよい。基板は、いずれの基本的なデバイス層、ケイ素ウェハなどの電極または別々の基板またはポリマー基板を含んでもよい。
本発明の1つの特定の態様では、結合剤は、整列することができ、たとえば、液晶相を形成することができる。そのような場合に結合剤は、ポリアセンの整列を助けてもよく、たとえば、ポリアセン骨格は、優先的に電荷運搬の方向に整列する。結合剤の整列に適する方法は、WO 03/007397 (Plastic Logic)に記載の重合有機半導体の整列に用いる方法を含む。
【0072】
本発明は、また半導体処方または層の電子デバイスでの使用を提供する。処方は、種々のデバイスおよび装置の高い移動度の半導体材料として用いてもよい。処方は、たとえば、半導体層または膜の形態で用いてもよい。したがって、他の面では、本発明は、電子デバイスへ使用する半導体層を提供し、層は、本発明の処方を含む。層または膜は、約30ミクロン未満であってもよい。種々の電子デバイスの用途では、厚みは、約1ミクロン未満の厚みであってよい。層は、たとえば、電子デバイスの一部に、上述の溶液塗布または印刷技術のいずれかによって積層することができる。
【0073】
処方は、たとえば半導体チャンネルとして電界効果トランジスタ(FET)に、たとえば、孔または電子注入または運搬層または電子発光層として有機発光ダイオード(OLED)に、光検出器、化学検出器、光電池 (PVs)、キャパシタセンサー、論理回路、ディスプレイ、メモリデバイスなどに、たとえば層または膜として用いることもできる。処方は、また、電子写真(EP)装置にも用いることができる。処方は、好ましくは、コストの利点および製造の汎用性を与えるために上述のデバイスまたは装置に層または膜を形成するために塗布される溶液である。本発明の処方の改善された電荷運搬移動度は、そのようなデバイスまたは装置がより速くおよび/またはより効果的に作動することを可能とする。本発明の処方および層は、とくに有機電界効果トランジスタOFETに半導体チャンネルとして用いるのに適する。したがって、発明はまたソース電極、ドレイン電極およびソースおよびドレイン電極をつなぐ有機半導体チャンネルを含む有機電界効果トランジスタ(OFET)もまた提供し、有機半導体チャンネルは、本発明の有機半導体層を含む。OFETの他の特徴は、当業者によく知られている。
【0074】
ここで本明細書で用いられる用語の定義および説明をする。
ここでの式中において、基または数値の列記を示すべく記述された標識(たとえば、R、Rなど)または指標(たとえば、‘n’)の列記があって、「いずれにおいても独立して」と記載されている場合は、これは、それぞれの標識および/または指標が、互いに独立して、それぞれの繰り返し単位内で独立して、それぞれの式の範囲で独立して、および/または適切に置換されたそれぞれの基で独立して、列記された基のいずれかを示すことができることを意味する。したがって、これらの場合のそれぞれでは、多くの異なる基が単一の標識(たとえばR)によって示される。
ここで用いられる「置換基」「置換された」「任意の置換基」および/または「任意に置換された」なる用語は、(他の置換基の列記がない限り)以下の基(またはこれらの基によって置換された)の少なくとも一つを示す。:シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ハロ、C1〜4アルキル、C6〜12アリール、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシおよび/またはこれらの組み合わせ。これらの任意の基は、同一の基および/または上述の基の複数(好ましくは、2)(たとえば、アミノおよびスルホニルが、互いに直接結合しているときは、スルファモイル基を示す)の化学的に可能な組み合わせのすべてを含んでもよい。好ましい任意の置換基は、;C1〜4アルキル;(少なくとも一つのハロによってこれらの任意に置換されたいずれの)メトキシおよび/またはエトキシ;(少なくとも一つのメチルおよび/またはエチルによって任意に置換された)アミノ;および/またはハロを含む。
【0075】
ここで用いられる「カルビル基」なる用語は、非炭素原子を全く含まないか(たとえば−C≡C−)または任意に少なくとも一つのほかの非炭素原子と組み合わせているか(たとえば、アルコキシ、カルボニルなど)のいずれかの少なくとも一つの炭素原子を含む一価または多価有機基部位のいずれかを示す。
「炭化水素基」「ヒドロカルビル」またはそのような用語は、ここでは、同じ意味で用いられる。炭化水素基は、任意に置換されていてもよい。炭化水素基は
、また少なくとも一つの以下の部分:オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、イミノ、ニトリロおよび/またはそれらの組み合わせを含むヘテロ原子を含んでもよい。
ここで用いられる「アルキル」「アリール」などの用語は、すでに置き換えられていてもよく、必要に応じて、結合価の異なる度数、たとえば多価種(たとえばアルキレン、アリーレンなど)もこの用語によって示される。ここで用いられる「ハロ」なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを示す。
【0076】
文脈で他に明確な記載がない限り、3または4以上の炭素原子の鎖を含むここでの基は、鎖は、完全にまたは部分的に直線、分枝および/または環を形成(スピロおよび/または融合環を含む)してもよい基を示す。
文脈で他に明確な記載がない限り、ここで用いられるここでの用語の複数形は、単数形およびその逆を含むものとして解釈すべきである。
本明細書の詳細な説明および請求の範囲を通して、「含む」および「含有する」およびその語の変形、たとえば、「含んでいる」および「含む」は、「限定はされることなく含む」ことを意味し、他の成分を除外することを意図するもの(除外するもの)でない。
本発明の上述の態様の変形も本発明の範囲内に収まる限り行うことができることは、高く評価される。本明細書で記載されたそれぞれの特徴は、他に記載がない限り、同一、同等または同様な目的となる代わりの特徴によって置換されていてもよい。したがって、他に記載のない限り、記載されたそれぞれの特徴は、同等または同様な特徴の包括的な一連のみの一つの例である。
【0077】
本明細書に記載のすべての特徴は、そのような特徴および/または工程の少なくともいくらかが互いに両立しない組み合わせを除き、いずれの組み合わせで組み合わせてもよい。とくに、本発明の好適な特徴は、本発明のすべての局面で適用でき、いずれの組み合わせで用いてもよい。同様に、非必須の組み合わせで記載された特徴は、(組み合わせることなく)別々に用いてもよい。
上記の特徴、とくに好適な態様の多くは、それ自身で発明性があり、本発明の態様の単なる一部ではないことは高く評価される。現クレームのいずれの発明に加えてまたは代わりにこれらの特徴には独立保護を求めることができる。
【0078】
本発明をここで、以下の例を参照にして、さらに詳細に説明するが、単なる記述であって、本発明の範囲を限定するものでない。

有機半導体材料の合成
1. 6, 13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物1の合成
【化36】

【0079】
機械的攪拌器、窒素注入口および出口、コンデンサおよびスバシール(suba-seal)を有する火力乾燥フラスコにイソプロピルマグネシウムクロライド (THF中2M(6、13-ペンタセンキノンに対して、10モル等量))を添加した。この溶液をトリイソプロピルシリルアセチレンの添加の間、すべての発熱を吸収する冷却トラップとなる冷水浴を用いて冷却した。トリイソプロピルシリルアセチレン (6, 13-ペンタセンキノンに対して10.1モル当量) を、反応フラスコに30分にわたって滴下添加し、THF(TIPSアセチレン10mmolごとに10ml)を添加した。冷水浴を除去し、溶液を60℃で20分加熱した。そして、フラスコを室温まで冷却した。6, 13-ペンタセンキノン (1モル当量) をグリニャール試薬に添加し、反応が、HPLCによって完全に終わったと思われるまで、生ずる曇った懸濁液を60℃で(3時間まで)加熱した。フラスコを室温まで冷却した。塩化錫(II)で飽和した10%HCl水溶液を溶液が添加時に発熱しなくなるまで慎重に茶色/赤色反応溶液に添加した。(塩化錫(II)溶液を添加するとき、反応溶液が茶色/赤色から濃い青色に変化することに注意する。)生ずる溶液を室温まで冷却する前に60℃で30分加熱した。この粗混合物を、水/DCM混合物から硫酸マグネシウム(MgSO)で有機相を乾燥することで単離し、ろ過および真空下で濃縮し、青/黒固体を得た。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中5%DCM)による精製、続けてアセトンからの再結晶によって標記化合物が紺色プレートとして得られた。
【0080】
2.6, 13-ビス(トリイソプロピルシリル)エチニルペンタセン化合物1の代わりの合成法
化合物1
【化37】

【0081】
火力乾燥フラスコに(トリイソプロピルシリル)アセチレン (6モル当量(2.18ml, 9.72mmol))およびテトラヒドロフラン(THF)(15ml)を添加し、溶液を−78℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム(5.5モル当量(3.56ml, 8.91mmol))を続けて20分にわたって滴下添加した。生ずる溶液をさらに45分−78℃で冷却した。6, 13-ペンタセンキノン (1モル当量 (0.50g, 1.62mmol))を添加し、反応混合物を一晩攪拌しながら室温まで温めた。SnCl(5ml)で飽和した10%HCl水溶液を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(5ml)水溶液を添加し、生ずる粗溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮した。クロマトグラフィーによる精製( フラッシュシリカ、ヘキサン:DCM、95:5)による精製、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(0.73g、70%)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表4】

【0082】
3.2,3,9,10-テトラメチル-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物4の合成
3a.4,5-ジメチルフタルアルデヒド−化合物2の合成
【化38】

【0083】
−78℃に冷却したジクロロメタン(DCM)中の2M塩化オキサリル(26.5ml、53.0mmol、2.2モル当量)の溶液にDCM (10ml)中のジメチルスルホキシド(DMSO)(7.5ml、105.8mmol、4.4モル当量)溶液を滴下添加した。溶液を−78℃で5分間攪拌し、DCM-DMSO(2ml-4ml)の混合物に溶解した4,5-ジメチルベンゼン-1,2-ジメタノール(4.0g、24.1mmol、1.0モル当量)を滴下添加した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、トリエチルアミン(20ml)をゆっくり滴下添加した。反応混合物を−78℃で10分間攪拌し、ゆっくり室温まで温めた。氷水 (100ml) を反応混合物に添加し、DCM(100mlを3回)で水層を抽出した。有機成分を混合し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過および真空下で濃縮することで、茶色の油が得られた。シリカゲル (溶離液:ヘキサン-酢酸エチル8:2)上のカラムクロマトグラフィーによる精製によって白色針状としての標記化合物 (3.2 g、82%)が得られた。1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ(ppm) 2.42 (s, 6H) 7.73 (s, 2H) 10.50 (s, 2H)
【0084】
3b.2,3,9,10-テトラメチル-6,13-ペンタセンキノン−化合物3の合成
【化39】

【0085】
エタノール(150ml)中の4,5-ジメチルフタルアルデヒド(化合物2)(1.59g、9.8mmol、2モル当量)および1,4-シクロヘキサンジオン(0.54g、4.8mmol、1モル当量)溶液に5%NaOH水溶液(3ml)を室温で添加した。反応混合物を30分間室温で攪拌し、60℃まで温めた。60℃で1時間後、反応混合物を室温まで冷却した。生ずる沈殿物をろ過し、水(25ml)、エタノール(50ml)およびジエチルエーテル(50ml)で洗浄し、黄色粉末としての標記化合物(1.63g, 93%)を得た。IR (選択されたバンド) 1672 (キノン), 1579, 1452, 1396, 1221, 738 cm-1
【0086】
3c.2,3,9,10-テトラメチル-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物4の合成
【化40】

【0087】
−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(THF)(100ml)中のトリイソプロピルシリルアセチレン(3.7ml、16.4mmol、6モル当量)の溶液に、ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム溶液(6ml、5mmol、5.5モル当量)を滴下添加した。溶液を−78℃で45分間攪拌し、2,3,9,10-テトラメチル-6,13-ペンタセンキノン(化合物3)(1g、2.7mmol、1モル当量)を添加した。反応混合物を温め、室温で一晩攪拌した。SnClで飽和した10%HCl水溶液(10ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で45分間攪拌した。冷却時、2MNaCO水溶液(10ml)を添加し、生ずる溶液をセリットで5分間攪拌した。溶液をセリットでろ過し、真空下濃縮し、紺色の固体が得られた。シリカゲル(溶離液、ヘキサン:DCM 6:4)上のカラムクロマトグラフィーによる精製、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(0.8g、42%)が得られた。HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表5】

【0088】
4.5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン−および5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:7,6-b']ジチオフェン−化合物8の合成
4a.アントラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン-5,11-ジオン−化合物5およびアントラ[2,3-b:7,6-b']ジチオフェン-5,11-ジオン−化合物6の合成
【化41】

【0089】
エタノール(100ml)中のチオフェン-2,3-ジカルバルデヒド(1.00g、7.1mmol、2モル当量)および1,4-シクロヘキサンジオン(0.40g、3.6mmol、1モル当量)溶液に、5%NaOH(3ml)水溶液を室温で添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、60℃まで温めた。60℃で1時間後、反応混合物を室温まで冷却した。生ずる沈殿物をろ過し、水(20ml)、エタノール(40ml)およびジエチルエーテル(40ml)で洗浄し、黄色粉末としての標記化合物(1.02g、89%)が得られた。IR (選択されたバンド) 1667 (キノン), 1573, 1318, 1283 cm-1
【0090】
4b.5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン−化合物7および5,11-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラ[2,3-b:7,6-b']ジチオフェン−化合物8の合成
【化42】

【0091】
−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(THF)(50ml)中のトリイソプロピルシリルアセチレン(2.1m1、9.4mmol、6モル当量)溶液にヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム溶液(3.4ml、8.5mmol、5.5モル当量)を滴下添加した。溶液を−78℃で45分間攪拌し、アントラジチオフェン-5,11-ジオン(化合物5および6) (0.5g、1.6mmol、1モル当量) を添加した。反応混合物を温め、室温で一晩攪拌した。SnClで飽和した10%HCl水溶液(5ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で45分間攪拌した。冷却時、2MNaCO水溶液(5ml)を添加し、生ずる溶液をセリットで5分間攪拌した。溶液をセリットでろ過し、真空下濃縮し、濃い赤色の固体が得られた。シリカゲル(溶離液、ヘキサン:DCM 8:2)上のカラムクロマトグラフィーによる精製、続けてアセトン洗浄によって濃い赤色の粉末の標記化合物(0.45g, 44%)が得られた。HPLC(シンおよびアンチ異性体はともに流出)により99%より大きい純度であった。
【表6】

【0092】
5.6, 13-ビス(トリメチルシリル)エチニル ペンタセン−化合物9の合成
【化43】

【0093】
火力乾燥フラスコに(トリメチルシリル)アセチレン (6モル当量(13.7ml, 97.3mmol))およびテトラヒドロフラン(THF)(110ml)を添加し、溶液を−78℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム(5.5モル当量(36.0ml、89.2mmol))を続けて20分にわたって滴下添加した。生ずる溶液をさらに45分−78℃で攪拌した。6, 13-ペンタセンキノン (1モル当量 (5.0g, 16.2mmol))を添加し、反応混合物を一晩攪拌しながら室温まで温めた。SnClで飽和した10%HCl水溶液(50ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(50ml)水溶液を添加し、生ずる粗溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮した。クロマトグラフィーによる精製(フラッシュシリカ、ヘキサン:DCM、80:20)による精製、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(3.8g、50%)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。1H NMR (CDCl3) δ 9.21 (4H, s, H-Ar), 8.05 (4H, m, H-Ar), 7.42 (4H, m, H-Ar)および0.53ppm (18H, s, H-脂肪族)
【0094】
6.6, 13-ビス(トリエチルシリル)エチニルペンタセン−化合物10の合成
【化44】

【0095】
火力乾燥フラスコにイソプロピルマグネシウムクロライド(THF中の2M溶液;10モル当量(13.7ml, 27.4mmol))およびテトラヒドロフラン(THF)(60ml)を添加した。トリエチルシリルアセチレン (10モル当量、5.6ml、31.3mmol)を滴下添加した。混合物を20分間還流加熱した。生ずる溶液を室温まで冷却し、6,13-ペンタセンキノン (1モル当量 (1.0g, 3.24mmol))を添加した。反応混合物を1時間還流加熱し、室温まで冷却した。SnClで飽和した10%HCl水溶液(50ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、飽和炭酸水素カリウム溶液(KHCO3) (25ml)を添加し、生ずる粗溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液 20% CH2Cl2:ヘキサン)による精製、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(1.1g, 61%)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表7】

【0096】
7.6, 13-ビス(4'-ペンチルフェニル)エチニルペンタセン−化合物11の合成
【化45】

【0097】
火力乾燥フラスコにイソプロピルマグネシウムクロライド(THF中の2M溶液;10モル当量(32.4ml, 64.8mmol))およびテトラヒドロフラン(THF)(60ml)を添加した。1-エチニル-4-ペンチルベンゼン (10モル当量, 12.4mL, 63.7mmol) を滴下添加した。混合物を20分間還流加熱した。生ずる溶液を室温まで冷却し、ペンタセンキノン (1モル当量 (2.0g, 6.5mmol))を添加した。反応混合物を30分間還流加熱した。混合物を室温まで冷却した。SnClで飽和した10%HCl水溶液(20ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、NaCO溶液(50ml)をゆっくり添加した。材料を1L分液漏斗に移し、水(100ml)およびCH2Cl2(50ml)を添加した。有機相および水相を分離し、水相をCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。混合有機相は、その後水(100ml)で洗浄し、ワットマンNo.1フィルター紙でろ過し、濃縮によって青色固体が得られた。この材料をアセトン(50ml)で攪拌し、ろ過によって、青色粉末(3.0g, 75%)が得られた。この材料1gをフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(フラッシュシリカ、溶離液 40% CH2Cl2:ヘキサン)による精製によって青色固体の生成物(0.8g, 80% 回収)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表8】

【0098】
8.ナフト[2,1,8 - クラ(qra)]ナフタセン - 7,12 - (トリイソプロピルシリル)エチニル−化合物12の合成
【化46】

【0099】
火力乾燥フラスコに(トリイソプロピルシリル)アセチレン(6モル当量 (2.03ml, 9.03mmol)) およびテトラヒドロフラン(THF) (50ml)を添加し、溶液を−78℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム(5.5モル当量(5.16ml, 8.25mmol))を20分にわたって滴下添加した。生ずる溶液をさらに45分−78℃で冷却した。ナフト[2,1,8-クラ]ナフタセン-7,12-ジオン (1モル当量 (0.50g, 1.50mmol))を添加し、反応混合物を一晩攪拌しながら室温まで温めた。SnClで飽和した10%HCl水溶液(10ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(5ml)水溶液を添加し、生ずる粗溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮した。クロマトグラフィーによる精製(フラッシュシリカ、ヘキサン:DCM、95:5)による精製、続けてアセトン洗浄によって赤色粉末の標記化合物(0.23g, 23%)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表9】

【0100】
9.5, 14-(トリイソプロピルシリル)アセチレンペンタセン−化合物14の合成
9a.5, 14-ペンタセンキノン−化合物13の合成
【化47】

【0101】
火力乾燥フラスコに2, 3-ナフタレンジカルボキシアルデヒド (1モル当量 (0.29g, 1.57mmol))および1, 4-ジヒドロキシナフタレン (1モル当量 (0.25g, 1.57mmol)) を添加し、これらの試薬を窒素で15分洗い流し、無水ピリジン(5ml)を添加した。生ずる溶液を120℃で24時間攪拌した。冷却時、固体生成物をろ過し、メタノール(10ml)、10%硫酸銅溶液(10ml)、水(10ml)およびアセトン(10ml)で続けて洗浄し、真空オーブンで乾燥した。生成物は、オレンジ/茶色の固体(0.14g, 29%)であり、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表10】

【0102】
9b.5, 14-(トリイソプロピルシリル)アセチレンペンタセン−化合物14の合成
【化48】

【0103】
火力乾燥フラスコに(トリイソプロピルシリル)アセチレン(6モル当量 (1.31ml, 5.84mmol)) およびテトラヒドロフラン(THF) (10ml)を添加し、溶液を−78℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム(5.5モル当量(3.34ml, 5.35mmol))を20分にわたって滴下添加した。生ずる溶液をさらに45分−78℃で冷却した。5,14-ペンタセンキノン (化合物(13)) (1モル当量 (0.30g, 0.97mmol)) を添加し、反応混合物を一晩攪拌しながら室温まで温めた。SnClで飽和した10%HCl水溶液(5ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で30分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(5ml)水溶液を添加し、生ずる粗溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮した。クロマトグラフィーによる精製(フラッシュシリカ、ヘキサン:DCM、90:10)による精製、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(0.22g, 35%)が得られ、HPLCにより99%より大きい純度であった。
【表11】

【0104】
10.1,8-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物19および1,11-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物20の合成
10a.3-フルオロベンゼン-1,2-ジメタノール−化合物15の合成
【化49】

【0105】
−78℃に冷却したLiAlH4 (テトラヒドロフラン中の1M) (54ml, 54.0mmol, 2.0モル当量)の溶液に、THF(25ml)中の3-フルオロフタル酸(5.0g, 27.2mmol, 1モル当量)溶液を滴下添加した。反応混合物を室温まで温め、70℃で2時間攪拌した。0℃に冷却した生ずる溶液に2M水酸化ナトリウム溶液(25ml)を添加し、冷水(25ml)およびTHF (50ml)を添加した。反応混合物をさらにTHF(3x50ml)で抽出した。有機成分を混合し、塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過および真空下で濃縮し、淡黄色の固体が得られた。アセトン/ヘキサンからの再結晶による精製によって白色針状の標記化合物が得られた(3.3 g, 79%)。
【表12】

【0106】
10b.3-フルオロフタルアルデヒド−化合物16の合成
【化50】

−78℃に冷却したジクロロメタン(DCM) 中の2M塩化オキサリル溶液(11m1, 22mmol, 2.2モル当量)にDCM (10ml)中のジメチルスルホキシド(DMSO)(3.10ml, 44mmol, 4.4モル当量)溶液を滴下添加した。溶液を−78℃で5分間攪拌し、DCM-DMSO(1-2ml)の混合物中に溶解した3-フルオロベンゼン-1,2-ジメタノール(化合物17) (1.55g, 10mmol, 1.0モル当量)を滴下添加した。その後、溶液を−78℃で1時間攪拌し、トリエチルアミン(25ml)を−78℃でゆっくり添加した。反応混合物を−78℃で10分攪拌し、ゆっくり室温まで温めた。氷水(50ml)を反応混合物に添加し、水層をDCM(50mlを3回)で抽出した。有機成分を混合し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過および真空下で濃縮し、茶色の油が得られた。蒸留による精製によって淡黄色固体の標記化合物が得られた(1.10 g, 73%)。
【表13】

【0107】
10c.1,8-ジフルオロ-6,13-ペンタセンキノン−化合物17および1,11-ジフルオロ-6,13-ペンタセンキノン−化合物18の合成
【化51】

エタノール(45ml)中の3-フルオロフタルアルデヒド(化合物18) (0.42g, 2.8mmol, 2モル当量)および1,4-シクロヘキサンジオン(0.15g, 1.4mmol, 1モル当量)溶液に5%NaOH水溶液(0.6ml)を室温で添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、60℃まで温めた。60℃で1時間後、反応混合物を室温まで冷却した。生ずる沈殿物をろ過し、水(15ml)、エタノール(30ml)およびジエチルエーテル(30ml)で洗浄することで、回収物として用いられる黄色粉末の標記化合物が得られた(0.40g, 87%)。
【表14】

【0108】
10d.1,8-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物19および1,11-ジフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物20の合成
【化52】

−78℃まで冷却したTHF(30ml)中のトリイソプロピルシリルアセチレン(1.2m, 5.3mmol, 6モル当量) にヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム溶液(1.9ml, 4.8mmol, 5.5モル当量)を滴下添加した。溶液を45分−78℃で攪拌し、ジフルオロ-6,13-ペンタセンキノン(化合物17および18) (0.3g, 0.9mmol, 1モル当量)を添加した。反応混合物を温め、一晩室温で攪拌した。SnClで飽和した10%HCl水溶液(3ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で45分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(3ml)水溶液を添加した。生ずる溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮し、暗赤色の固体が得られた。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液,ヘキサン:DCM 9:1)、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(0.38g, 65%)が得られ、HPLC(シンおよびアンチ異性体がともに流出)により99%より大きい純度であった。
【表15】

【0109】
11.2,3,9,10-テトラフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物24の合成
11a.4,5-ジフルオロベンゼン-1,2-ジメタノール−化合物21の合成
【化53】

−78℃に冷却したLiAlH4 (テトラヒドロフラン中の1M) (11ml, 11.0mmol, 2.0モル当量)の溶液に、THF(5ml)中の無水4,5-ジフルオロフタル酸 (1.0g, 5.4mmol, 1モル当量)溶液を滴下添加した。反応混合物を室温まで温め、70℃で2時間攪拌した。0℃に冷却した生ずる溶液に2M水酸化ナトリウム溶液(5ml)を添加し、冷水(5ml)およびTHF (10ml)を添加した。反応混合物をさらにTHF(50mlを3回)で抽出した。有機成分を混合し、塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過および真空下で濃縮し、淡黄色の固体が得られた。アセトン/ヘキサンからの再結晶による精製によって淡黄色針状の標記化合物が得られた(0.8 g, 85%)。
【表16】

【0110】
11b.4,5-ジフルオロフタルアルデヒド−化合物22の合成
【化54】

−78℃に冷却したジクロロメタン(DCM) 中の2M塩化オキサリル溶液(4.5ml, 8.8mmol, 2.2モル当量)にDCM (5ml)中のジメチルスルホキシド(DMSO)(1.25ml, 17.7mmol, 4.4モル当量)溶液を滴下添加した。溶液を−78℃で5分間攪拌し、DCM-DMSO(1-2ml)の混合物中に溶解した4,5-ジフルオロベンゼン-1,2-ジメタノール(化合物21) (0.70g, 4.0mmol, 1.0モル当量)を滴下添加した。溶液を−78℃で1時間攪拌し、トリエチルアミン(15ml)を−78℃でゆっくり添加した。反応混合物を−78℃で10分攪拌し、ゆっくり室温まで温めた。氷水(25ml)を反応混合物に添加し、水層をDCM(30mlを3回)で抽出した。有機成分を混合し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過および真空下で濃縮し、黄色の油が得られた。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液,ヘキサン:DCM 2:8)によって淡黄色固体の標記化合物が得られた(0.58 g, 85%)。
【表17】

【0111】
11c.2,3,9,10-テトラフルオロ-6,13-ペンタセンキノン−化合物23の合成
【化55】

エタノール(40ml)中の4,5-ジフルオロフタルアルデヒド(化合物22) (0.48g, 2.8mmol, 2モル当量)および1,4-シクロヘキサンジオン(0.16g, 1.4mmol, 1モル当量)溶液に5%NaOH水溶液(0.6ml)を室温で添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、60℃まで温めた。60℃で1時間後、反応混合物を室温まで冷却した。生ずる沈殿物をろ過し、水(15ml)、エタノール(30ml)およびジエチルエーテル(30ml)で洗浄することで、回収物として用いられる黄色粉末の標記化合物が得られた(0.35g, 64%)。
【0112】
11d.2,3,9,10-テトラフルオロ-6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン−化合物24の合成
【化56】

−78℃まで冷却したTHF(20ml)中のトリイソプロピルシリルアセチレン(0.7ml, 3.2mmol, 6モル当量) にヘキサン中の2.5Mn-ブチルリチウム溶液(1.2ml, 2.9mmol, 5.5モル当量)を滴下添加した。溶液を45分−78℃で攪拌し、2,3,9,10-テトラフルオロ-6,13-ペンタセンキノン (化合物23)(0.2g, 0.5mmol, 1モル当量)を添加した。反応混合物を一晩室温まで温めた。SnClで飽和した10%HCl水溶液(2ml)を室温で添加し、反応混合物を50℃で45分間攪拌した。冷却時、2MNaCO(2ml)水溶液を添加した。生ずる溶液をセリットでろ過し、真空下で濃縮し、紺色の固体が得られた。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液,ヘキサン:DCM 9:1)、続けてアセトン洗浄によって紺色粉末の標記化合物(0.13g, 35%)が得られた。
【表18】

【0113】
例12〜15−(重合)結合剤の非存在および存在下で製造したOFETsの移動度測定
電界効果移動度の決定
Holland et al, J. Appl. Phys. Vol.75, p.7954 (1994)に記載の方法を用いて、以下の有機半導体材料の電界効果移動度を測定した。
以下の例では、テスト電界効果トランジスタを標準の技術、たとえばシャドウマスクによりPt/Pdソースおよびドレイン電極をパターン化したPEN基板を用いて製造した。半導体処方を、不活性重合結合剤樹脂(ポリ(アルファ-メチルスチレン)(p-αMS))と混合した化合物1(例12)および化合物4(例14)を用いて製造した。半導体処方1部を、その後、99部溶媒(例12および13は、トルエン、例14および15は、1,2-ジクロロベンゼン)に溶解し、500rpmで18秒間基板にスピンコートした。完全な乾燥を確実にするために、サンプルを100℃で20分間オーブンに置いた。比較のために、結合剤の非存在下の純粋な有機半導体化合物(OSC)の膜をスピンコーティングによって基板に塗布した(化合物1に対し比較例13および化合物4に対し比較例15)。これらのサンプルをまた100℃で20分間オーブンで乾燥した。絶縁体材料(旭硝子より入手できるCytop 107M) 3部をペルフルオロ溶媒(FC75, Acros カタログ番号12380) 2部に混合し、典型的には、約1μmの厚みの半導体にスピンコートした。絶縁体から溶媒を蒸発させるためにサンプルをもう1回100℃で20分間オーブンに置いた。金ゲート接触をシャドウマスクを通しての蒸発によってデバイスチャンネルにわたって決定した。絶縁体層のキャパシタンスを決定するために非パターン化Pt/Pd基層、FETデバイスと同様な方法で製造した絶縁体層および知られている形状の最上電極からなる多くの装置を製造した。キャパシタンスは、絶縁体の両側の金属に接続した携帯型マルチメータを用いて測定した。トランジスタの他の決定的なパラメータは、互いに向かい合うドレインおよびソース電極の長さ(W=30 mm)およびそれらの互いの距離 (L=130 mm)である。
【0114】
トランジスタに加えられる電圧は、ソース電極の電位に対するものである。負の電位がゲートに加えられるp−型ゲート材料の場合、正の電荷キャリア(孔)が半導体のゲート誘電体の反対側に蓄積する。(n−チャンネルFETに対しては、正の電圧が加えられる。)ここでは、蓄積モードと呼ばれる。ゲート誘電体の単位面積あたりのキャパシタンスCは、それによってもたらされる電荷の量を決定する。負の電位VDSをドレインに加えるとき、蓄積したキャリアは、ソース−ドレイン電流IDSを生じさせ、主に蓄積したキャリアの密度および重要なことにソース−ドレインチャンネルの移動度に依存するドレインおよびソース電極の形状、サイズおよび距離などの幾何学的要因は、電流に影響を与える。ゲートおよびドレイン電圧の典型的な範囲は、デバイスの調査の間読み取った。ソースおよびドレイン電流を等式1で記載する。
【数2】

式中、Vは、オフセット電圧であり、IΩは、ゲート電圧から独立した抵抗電流であり、材料の有限誘電率によるものである。他のパラメータは、上記した。
【0115】
電気的測定のためにトランジスタサンプルをサンプルホルダーに取り付けた。マイクロプローブ接続をゲート、ドレインおよびソース電極にKarl Suss PH100ミニチュアプローブ−ヘッドを用いて行った。これらをHewlett-Packard 4155Bパラメータ分析器に接続した。ドレイン電圧を−5Vにセットし、ゲート電圧を+20〜−60Vまで読み取り、+20Vまで1Vのステップでもどる。|V|>|VDS|となる蓄積時、ソース−ドレイン電流は、Vとともに直線的に変化する。したがって、電界効果移動度は、等式2によるIDS対V の勾配(S)から計算することができる。
【数3】

【0116】
以下で引用されているすべての電界効果移動度は、(他に記載のない限り)このレジーム(regime)を用いて計算した。電界効果移動度がゲート電圧によって変化するとき、値は、蓄積モードの|V|>|VDS|となるレジームでは最も高いレベルの値をとる。表4に記載の値は、(同じ基板上に製造した)いくつかのデバイスの平均であり、テストしたデバイスの数に対するサンプルサイズもまた表4に記載する。例12の電流−電圧および移動度−電圧特性の例を図1に示す。前向きおよび後ろ向きスキャンは、低いデバイスの電流ヒステリシスを描く。結果は、テストした有機半導体材料に結合剤を用いるときにOFETデバイスの良好な電荷移動度を示す。結合剤を使用しないときは、同じ基板に塗布したデバイスで測定した移動度はかなり変化する。この結果は、同じ基板に塗布したOFETsの移動度値の広い標準偏差(平均値のa%)に反映されている。
【0117】
表4−結合剤材料あるなしで製造した半導体処方のOFETsの移動度値性能
【表19】

【0118】
表4の結果は、OFETデバイスの処方に(重合)結合剤を用いたときの移動度値の実質的な改善およびOFETの均一性を有することを示している。均一性の改善は、結合剤を有する例(例12および14)の平均値の比率としての移動度の結果の小さい標準偏差(Std.dev.)によって示される。広い標準偏差(平均値の比率)を示す結合剤を用いない例13および15とは対照的である。
【0119】
例16〜26−重合結合剤を変えて用い製造したOFETsの移動度値
OFETsを異なる重合結合剤を用いたことを除いて、例12〜15に記載の方法を用いて製造した。
表5−重合結合剤を変えて用い製造したOFETsの移動度値
【0120】
【表20】

【0121】
Topas(登録商標)8007 - ex. Ticona (直線オレフィンおよびシクロオレフィン(ノルボルネン)コポリマー)、(例16および17);
PS (1M) - ポリスチレン Mw=1,000,000 Aldrichカタログ番号 48,080-0, (例18);
p-4-MS - ポリ-4-メチルスチレン Aldrichカタログ番号18,227-3, (例19)
PS-co-αMS - ポリスチレン-コ-アルファ-メチル スチレン Aldrich カタログ番号45,721-3, (例 20);
ポリ(桂皮酸ビニル) Aldrich No:18,264-8, (例 21)
PMMA - ポリメチルメタクリレート Mn = 797, (例 22)
PVP - ポリ-4-ビニルフェノール Aldrich カタログ番号43,622-4, (比較例 23);
PVA - ポリビニルアルコール Aldrich カタログ番号36,316-2, (比較例 24);
ポリ(4-ビニルビフェニル) Aldrich カタログ番号18,254-0, (例 25);
a Polymer Handbook (3版) Wiley and Sons (1989).
b 製造者データ
c キャパシタンスおよび2つの金属電極間の結合剤膜の厚みを測定することによって得られ、関係ε=Cd/EA(式中、Cは、キャパシタンス、dは、膜厚、Eは、空き容量(free space)の誘電率、およびAは、キャパシタの面積を示す)を用いて誘電体定数εを計算する。
d Ficker et al., J. Appl. Phys. 2003 94 (4), 2638.
e Stutzman et al. Science 2003, 299, 1881.
表5の結果は、3.3より大きい誘電率値を有する結合剤は、OFETデバイスの移動度値を大きく下げることを示す。したがって好ましい重合結合剤は、3.3未満の誘電率値を有する重合結合剤である。
【0122】
例27〜28
使用する重合結合剤を絶縁結合剤でなく半導体材料であることを除き、上記例12〜15に記載の方法を用いてOFETsを製造した。結果を表6に示す。
表6−半導体結合剤を用いて製造したOFETsの移動度値

【表21】

【0123】
表6において、ポリ(9-ビニルカルバゾール) はAldrichカタログ番号:18,260-5 (例 27)から入手できる。
* -Schaffert R. M. IBM Journal of Res. And Devel. Vol 15 No1, p79 (1971)参照
c - 表5と同じ意味を有する
PTAA1 - 式18のトリアリールアミン
【化57】

式中、n = 10.7 およびMn = 3100 (Adv. Funct. Mater. 2003, 13, No. 3. p199-204)
表6の結果は、半導体結合剤もまた良好な移動度値を示す本発明のデバイスを得るために用いてもよいことを示す。
【0124】
例29〜31
上記例12〜15に記載の方法を用いてOFETsを再び製造した。しかし、例29〜31では、結合剤に対するOSC材料の比率を変化させた。例12もまた比較に含める。
表7−OSC材料に対する結合剤の量を変化させて製造したOFETsの移動度値
【表22】

上の結果は、OSC材料と結合剤が50:50の比率のときですら良好な移動度値がOFETデバイスで得られることを示す。
【0125】
例32〜35−固形分を変化させて製造したOFETsの移動度値
処方の固形分を変化させたことを除いて、上記例12〜15に記載の方法を用いてOFETsを再び製造した。
表8−OFET製造に用いる塗布液の固形分の変化
【表23】

【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】例12の電流−電圧および移動度−電圧特性の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体層処方であって、1,000Hzで3.3以下の誘電率εを有する有機結合剤および式A:
【化1】

式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12のそれぞれは、同一または異なっていてもよく、独立して、水素;任意に置換されたC〜C40のカルビルまたはヒドロカルビル基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシ基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルキルアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシカルボニル基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基 (−C(=O)NH);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基またはチオイソシアネート基;任意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;CF基;ハロ基(Cl、Br、F);または任意に置換されたシリル基であり、;および
式中、RおよびRおよび/またはRおよびRは、C〜C40の飽和または不飽和の環を形成するように架橋されていてもよく、飽和または不飽和の環は、酸素原子、硫黄原子、式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または任意に置換された炭化水素基)で示される基が介在していてもよい、;および
式中、ポリアセン骨格の1または2以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選択されるヘテロ原子によって任意に置換されていてもよい;および
式中、独立して、ポリアセンの隣接する環の位置に存在するいずれの2または3以上の置換基R〜R12は、ともに、ポリアセンに融合した、任意にO、Sまたは−N(Ra)(Raは、上記定義のとおりである)が割り込まれたさらなるC〜C40の飽和または不飽和の環または芳香族環系を構成してもよい、;および
式中、nは、0、1、2、3または4である、
のポリアセン化合物を含む、前記処方。
【請求項2】
ポリアセン化合物が、化合物群1または8またはそれらの異性体から選択され、ここで化合物群1は、式1:
【化2】

で表され、化合物群8は、式8:
【化3】

で表され、
式中、群1中のRおよびR13は、群8中のR、R、R、R、R、R、R10、R11、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、同一または異なり、それぞれ独立して、水素;任意に置換されたC〜C40のそれぞれの組は、独立してカルビルまたはヒドロカルビル基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシ基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルキルアリールオキシ基;任意に置換されたC〜C40のアルコキシカルボニル基;任意に置換されたC〜C40のアリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);カルバモイル基 (−C(=O)NH);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xは、ハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基またはチオイソシアネート基;任意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;CF基;ハロ基(Cl、Br、F);または任意に置換されたシリル基であり、;および
式中、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11、R15およびR16およびR16およびR17のそれぞれの組は、独立して、C〜C40の飽和または不飽和の環を形成するように互いに架橋されていてもよく、飽和または不飽和の環は、酸素原子、硫黄原子、式−N(Ra)−(式中、Raは、水素原子または炭化水素基)で示される基が介在していてもよい、;および
式中、Aは、ケイ素またはゲルマニウムである、請求項1に記載の有機半導体層処方。
【請求項3】
nが、0または2である、請求項1または2に記載の有機半導体層処方。
【請求項4】
nが、2である、請求項3に記載の有機半導体層処方。
【請求項5】
任意に置換されたC〜C40のヒドロカルビル基が、飽和または不飽和のまたは非環式基または飽和または不飽和の環式基である、請求項1〜4のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項6】
ポリアセン化合物が、式1
【化4】

の6, 13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンである、請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項7】
ポリアセン化合物が、式2:
【化5】

の2,3,9,10-テトラメチル6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセンである、請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項8】
式3:
【化6】

式中、nおよびmは、ぞれぞれ独立して、0、1、2、3または4、さらに好ましくは、0、1または2である、
のポリアセン化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項9】
有機結合剤樹脂が、3.0未満、好ましくは2.9以下の1,000Hzでの誘電率を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項10】
有機結合剤樹脂が、1.7より大きい、とくに2.0〜2.9の1,000Hzでの誘電率を有する、請求項10に記載の有機半導体層処方。
【請求項11】
有機結合剤樹脂が、絶縁結合剤である、請求項1〜10のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項12】
絶縁結合剤が、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニル、ポリ(4-ビニルビフェニル)、ポリ(4-メチルスチレン)およびTopas(登録商標)8007、さらに好ましくは、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニルおよびポリ(4-ビニルビフェニル)から選択される、請求項11に記載の有機半導体層処方。
【請求項13】
有機結合剤樹脂が、半導体結合剤である、請求項1〜10のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項14】
半導体結合剤が、少なくとも1500〜2000、さらに好ましくは、少なくとも3000、またさらに好ましくは、少なくとも4000および最も好ましくは、少なくとも5000の数平均分子量(Mn)を含む、請求項13に記載の有機半導体層処方。
【請求項15】
半導体結合剤が、ポリ(9-ビニルカルバゾール)またはPTAA1から選択される、請求項13または14に記載の有機半導体層処方。
【請求項16】
処方がさらに溶媒を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項17】
溶媒が、キシレン、トルエン、テトラリンおよびo-ジクロロベンゼンから選択される、請求項1〜16のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項18】
ポリアセン化合物の結合剤に対する比率が、重量比で、20:1〜1:20、好ましくは、10:1〜1:10、さらに好ましくは、5:1〜1:5、またさらに好ましくは、3:1〜1:3、さらに好ましくは、2:1〜1:2、とくに1:1である、請求項1〜17のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項19】
0.1〜10重量%、さらに好ましくは、0.5〜5重量%の固形分を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の有機半導体層処方。
【請求項20】
(i)基板にポリアセン化合物、有機結合剤樹脂またはその前駆体および任意に溶媒を含む混合物の液体層を積層し、および(ii)液体層から有機半導体層である固体層を形成することを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の有機半導体層処方の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれかに記載の有機半導体層処方を含む、電子デバイス。
【請求項22】
電界効果トランジスタ(FET)、有機発光ダイオード(OLED)、光検出器、化学検出器、光電池(PVs)、 キャパシタセンサー、論理回路、ディスプレイまたはメモリデバイスを含む、請求項21に記載の電子デバイス。
【請求項23】
有機半導体層処方を含むOFETデバイスであって、有機半導体層処方が、
式1の化合物;
【化7】

結合剤;および溶媒を含み、ここで、結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、Topas(登録商標)8007、ポリ(4-メチルスチレン)、ポリスチレンおよびポリスチレン-コ-α-メチルスチレンから選択され、最も好ましくは、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;
溶媒は、トルエン、エチルシクロヘキサン、アニソールおよびp-キシレン;最も好ましくは、トルエンである、
前記OFETデバイス。
【請求項24】
有機半導体層処方を含むOFETデバイスであって、有機半導体層処方が、:
式2の化合物;
【化8】

結合剤;および溶媒を含み、ここで、結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ桂皮酸ビニルおよびポリ(4-ビニルビフェニル)から選択され、最も好ましくは、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;
溶媒は、1,2-ジクロロベンゼンである、
前記OFETデバイス。
【請求項25】
有機半導体層処方を含むOFETデバイスであって、有機半導体層処方が、
式3の化合物;
【化9】

結合剤;および溶媒を含み、ここで、nおよびmは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、さらに好ましくは、0、1または2であり;および
結合剤は、ポリ(α-メチルスチレン)であり、;および
溶媒は、トルエンである、
前記OFETデバイス。
【請求項26】
式3;
【化10】

式中、nおよびmは、それぞれ独立して1または3であり、さらに好ましくは1である、
の化合物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−519227(P2007−519227A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540612(P2006−540612)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004973
【国際公開番号】WO2005/055248
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】