説明

有機合成における新規なニトロソ化ポリマー

本発明は、式(A)[式中、X、Y、R1、R2およびR3は請求項1に定義されたとおりである]の新規なニトロソ化ポリマーに関する。本発明はまた、前記ポリマーを調製する方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬として亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸アルキルを用いる標準的ニトロソ化反応に使用することができるポリマーに関する。得られる例としては、第2級アミンのニトロソ化、第1級アミンのジアゾ化、およびα−アミノ酸のアセトキシル化が挙げられる。
【0002】
本発明によるポリマーは、共有結合を介してポリマー骨格上にグラフトされた少なくとも1個のチオ亜硝酸官能基(−S−N=O)を有する。これらの反応性の官能基は、ニトロソ化反応を確実なものにする。
【0003】
本発明のポリマーをニトロソ化、ジアゾ化および/またはアセトキシル化反応に用いることから得られる利点は、前記ポリマーの固体特性と関連する。
【0004】
このポリマーは、反応後、反応媒体から単純なろ過により除去され、したがって反応生成物の単離が容易になる。
【0005】
本発明によれば、この反応性ポリマーは、反応後に同種の反応に再利用するために容易に再生される。再生後これらは安定性および反応性に関し、新たに調製したポリマーの特性に匹敵する特性を有している。
【背景技術】
【0006】
アゾ染料の調製に使用することができる、−CH2−N+(CH33・NO2-官能基またはイソニトリル官能基を含むポリマーは、当技術分野で既に公知である(Green Chemistry、2000、43〜45頁参照)。
【0007】
国際公開第99/67296号および国際公開第98/05689号には、ヒトの体内に入った後に抗血小板凝集剤として機能する一酸化窒素の放出が可能な−S−NOまたは−NOx官能基を含む生分解性ポリマーが記述されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的には、本発明のポリマーは、少なくとも1個の式A
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Xは、O、SまたはNTを表し、ここでTはHまたは飽和脂肪族炭化水素系の基を表し、YはOまたはSを表し、R1は、H;は置換されてもよい、および/または1個以上のOまたはS原子が割り込んでもよい飽和脂肪族炭化水素系の基;基−(O)p−Ar(pは整数0または1を表し、Arは置換されてもよい飽和および/または芳香族炭素環式基、または置換されてもよい飽和および/または芳香族複素環基を表す);基Hyd−CO−O−またはHyd−CO−NH−(Hydは置換されてもよい飽和脂肪族炭化水素系の基を表す);置換されてもよい芳香族基;あるいは置換されてもよい芳香族複素環基を表し、R2およびR3は、それぞれ互いに独立して、水素原子;置換されてもよい飽和脂肪族炭化水素系の基;飽和および/または芳香族炭素環式基を表す]の官能基を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
「飽和脂肪族炭化水素系の基」という表現は、より詳細には、直鎖または分枝C1〜C14、好ましくはC1〜C8、例えばC1〜C6、さらに好ましくはC1〜C4アルキル基を意味する。
【0012】
アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチルおよび7,7−ジメチルオクチルである。
【0013】
「1個以上のOまたはS原子が割り込んでもよい」という表現は、炭化水素系の基を構成する脂肪族炭化水素系の鎖において、1個以上の炭素原子が1個以上のOまたはS原子によって置き換えられていてもよく、得られた基は互いに結合した2個のヘテロ原子を含んでいないことを意味する。この表現は、アルキル部分が好ましくは上記で定義したとおりのアルコキシおよびチオアルコキシ基を含むことを意図する。
【0014】
炭素環式および複素環基としては、単環式および多環式基があり、これらの基は、好ましくは単環式、二環式または三環式基を意味する。多環式の場合、これらの基は2個ずつ縮合した、すなわち少なくとも2個の炭素原子を共有する単環からなる(例えば、オルト縮合またはペリ縮合)。好ましくは、各単環は3〜8員、さらに好ましくは5〜7員である。
【0015】
シクロアルキル基は、飽和炭素環式基の例であり、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルまたはノルボルニル基などの3〜18個、さらに好ましくは3〜10個の炭素原子を含む。
【0016】
芳香族炭素環式基は、例えばC6〜C18アリール基であり、特にフェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルである。
【0017】
複素環基は、一般にO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を、場合によって酸化された形態で含む(SおよびNの場合)。
【0018】
複素環を構成するそれぞれの単環は、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0019】
以下のものが特に優れている。
【0020】
5〜7員単環式複素環、例えばピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、フラザン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、チアジン、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾール;およびさらにその飽和誘導体から選択されるヘテロアリール。5〜7員飽和複素環の例は、特にテトラヒドロフラン、ジオキソラン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ジチアン、チオモルホリン、ピペラジン、トリチアン、オキセピンおよびアゼピンである。
【0021】
各単環が5〜7員である二環式複素環、例えばインドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラザン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチオフラザン、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、ピラゾロトリアジン(ピラゾロ−1,3,4−トリアジンなど)、ピラゾロピリミジンおよびプテリジン;およびさらにその飽和誘導体から選択されるヘテロアリール。
【0022】
完全に芳香族(例えばアクリジン、フェナジンまたはカルバゾール)、またはそうではない(それらの飽和誘導体、フェノチアジンまたはフェノキサジンなど)、各単環が5〜7員である三環式複素環。
【0023】
「飽和および/または芳香族環式(複素環式または炭素環式)基」という表現は、前記基が飽和部分および/または芳香族部分を含むことを意味する。
【0024】
例えば、以下の炭素環式基の場合、
【0025】
【化2】

【0026】
および、さらに以下の複素環基の場合を挙げることができる。
【0027】
【化3】

【0028】
式中、PはO、SまたはSO2を表し、MはNまたはCを表す。好ましくは、B1では、PはOまたはSを表す。B2では、PはSO2またはOを表し、MはCまたはNを表す。B3では、MはNを表し、PはSを表す。B4では、PはOを表す。B5では、PはOを表す。B6では、PはOを表す。B7では、PはOを表す。B8では、PはSを表す。B9では、PはNを表す。
【0029】
MまたはPがNを表す場合は、この原子は好ましくは、水素原子、アルキルまたはアルキルカルボニルで置換されている。
【0030】
芳香族または飽和であってもよい脂肪族炭化水素系の基、炭素環式基および複素環基は、置換されていてもよい。本発明によれば、置換基は任意の性質でもよいが、これらがニトロソ化、ジアゾ化またはアセトキシル化反応を妨げないことが前提となる。
【0031】
考えられる置換基の例としては、ハロゲン原子;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルキル;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルコキシ;(C6〜C10)アリールスルホニルで置換されてもよい(C6〜C10)アルキルチオ、ただしアリールが1個以上の基Gで置換されてもよい;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリールオキシ;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリールチオ;(C1〜C10)アルキルスルホニル;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリールスルホニル;O、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含み、1個以上の基Gにより、および/または(C1〜C10)アルコキシカルボニルで置換されてもよい5〜7員のヘテロアリール;(C1〜C10)アルコキシカルボニル;(C1〜C10)アルキルカルボニルアミノ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C2〜C4)アルキレンジオキシ;オキソで置換されてもよい(C3〜C5)アルキレン;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリール(C1〜C10)アルキル;ハロゲン化されていてもよい(C6〜C10)アリール;(C1〜C10)アルキルカルボニル、好ましくは(C1〜C6)アルキルカルボニル;シクロアルキル自体が(C6〜C10)アリールスルホニルアミノ(アリールがハロゲン化されていてもよい)で置換された(C3〜C8)シクロアルキル(C1〜C8)アルキルがあり、ここでGは、ハロゲン;ヒドロキシル;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C14)アルコキシ、好ましくはハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルコキシ;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C14)アルキル、好ましくはハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルキル;ニトロ;シアノ;ジ(C1〜C14)アルキルアミノ、好ましくはジ(C1〜C10)アルキルアミノ;ハロゲン化されていてもよく、および/または(C1〜C14)アルキルで置換されてもよい(C6〜C10)アリールから選択される。
【0032】
本発明によれば、「ハロゲン原子」という用語は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素原子を意味する。
【0033】
「アルキレン」という用語は、飽和炭化水素系の鎖の2個の別の炭素原子上の2個の水素原子を除去することによって誘導された、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子、さらに好ましくは1〜2個の炭素原子を含む直鎖または分枝の2価の飽和炭化水素系の基を意味する。−CH2−および−CH2−CH2−基が特に好ましいアルキレン基を構成する。
【0034】
本発明のポリマーは、上記で定義した少なくとも1個の官能基Aがそれに共有結合で結合しポリマー骨格からなる。
【0035】
ポリマーの例としては、ポリシリケート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリテレフタレート、ポリスルホン、ポリスチレンまたはポリエチレングリコールタイプの骨格を有するポリマーがあり、これらの最後の2つのポリマーが好ましい。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、ポリマー骨格は、ポリシリケート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリテレフタレート、ポリスルホン、ポリスチレンおよびポリエチレングリコールから選択される複数のポリマー鎖を含むコポリマーからなる。このようなコポリマーの例は、ポリスチレン/ポリエチレングリコールコポリマーである。
【0037】
しかし本発明によれば、ポリマー骨格の性質は、それが固体の形態である限り重要ではない。
【0038】
本発明のより好ましい実施形態によれば、ポリマーは粒子、ビーズまたは固体球体の形態である。
【0039】
したがって、当業者なら任意の固体ポリマー骨格、好ましくは粒子、ビーズまたは固体の球体の形態に調製し得るものを選択する。
【0040】
粒状のポリマー骨格の例としては、機能化されたシリカを挙げることができる。
【0041】
ビーズ形態のポリマー骨格の例としては、1〜2%のジビニルベンゼンで共重合されたポリスチレンを挙げることができる。
【0042】
しかし、ポリマー骨格は、機能化されたフィルム、ランタンまたはクラウン、あるいは当業者に知られている任意の他の形態であってもよい。
【0043】
「ポリマーチャージ」という用語は、ポリマーの1g当たりのチオ亜硝酸官能基のモル数を意味する。
【0044】
チャージはミリモル/gで表され、好ましくは0.4〜6ミリモル/gの間、さらに好ましくは0.5〜3.5ミリモル/gの間、例えば1〜3ミリモル/gの間である。
【0045】
ポリマーの好ましいサブグループは、XがNを表すポリマーからなる群である。
【0046】
同様に、好ましいポリマーは、R2およびR3が、独立して、H、(C1〜C8)アルキル、(C6〜C10)アリールを表し、R1が、H、(C1〜C8)アルキル;(C6〜C10)アリール;(C6〜C10)アリールオキシ;O、SおよびNから選択される1個以上のヘテロ原子を含み、1個以上の5〜8員単環からなるヘテロアリール;ヘテロアリールが上記で定義したとおりであるヘテロアリールオキシ;(C1〜C8)アルキルカルボニルオキシ;(C1〜C8)アルキルカルボニルアミノ;(C6〜C10)アリールカルボニルオキシ;(C6〜C10)アリールカルボニルアミノ;ヘテロアリールカルボニルオキシ;またはヘテロアリールが上記で定義したとおりであるヘテロアリールカルボニルアミノを表すものである。
【0047】
ポリマーのこのサブグループで好ましいものは、R2およびR3が独立して(C1〜C4)アルキルを表し、R1が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノを表すものである。
【0048】
官能基Aは、好ましくは
−CH2−NH−CO−CH(NH−W)−C(CH32−S−N=O A1
[式中、Wはアセチルなどのアルカノイル(すなわち、アルキルカルボニル)を表す]である。
【0049】
本発明のポリマーは、Xが上記で定義した−CH2−XH官能基を含む、対応するポリマーから容易に調製される。
【0050】
−CH2−XH官能基を含む好適なポリマーは特に、J.Am.Chem.Soc.1963年、85巻、2149頁に記載のものなどの機能化されたメリフィールド(Merrifield)ポリマーである。
【0051】
「対応するポリマー」という用語は、同じポリマー骨格を有し、各官能基Aの代わりに−CH2−XH官能基を含むポリマーを意味する。
【0052】
より具体的には、本発明の方法は、
a)少なくとも1個のCH2−XH官能基を有する前駆体ポリマーPを式I
【0053】
【化4】

【0054】
[式中、HO−C(=Y)−官能基は場合により活性化された形態であり、Y、R1、R2およびR3は上記で定義したとおりである]の試薬の必要量と、ポリマーPの各−CH2−XH官能基が式Iの試薬の1分子と反応するように反応させるステップと、次いで
b)少なくとも1個の官能基B
【0055】
【化5】

【0056】
を有する得られたポリマーをニトロソ化剤で処理して、それぞれの官能基Bを官能基C
【0057】
【化6】

【0058】
に変換するステップとを含む。
【0059】
前駆体Pは、調製するポリマーに存在する官能基Aの数と同じ数の−CH2−XH官能基(すなわち、同じチャージ)を含む。
【0060】
式Iの化合物の官能基HO−C(=Y)−が活性化された形態の場合は、対応する活性化された誘導体は式IBを有する。
【0061】
【化7】

【0062】
式中、LGは脱離基を表し、Y、R1、R2およびR3は上記で定義したとおりである。
【0063】
基LGの例としては、特にハロゲン原子(より詳細には塩素原子)、アジド基、イミダゾライド、p−ニトロフェノキシ、1−ベンゾトリアゾール、N−スクシンイミド、アシルオキシ(ピバロイルオキシなど)、(C1−C4アルコキシ)カルボニルオキシ、ジアルキル−またはジシクロアルキル−O−ウレイドがある。
【0064】
好ましくは、LGは式
【0065】
【化8】

【0066】
のN−スクシンイミド基である。
【0067】
式Iの化合物が、改変されてない形態、すなわち官能基HO−C(=Y)−を活性化しないで使用する場合は、ポリマーと式Iの化合物の反応は、高温(40〜200℃の間)で、あるいはカップリング剤、例えばカルボジイミドの存在下で、場合によって活性化剤、例えばヒドロキシベンゾトリアゾールまたはヒドロキシスクシンイミドの存在下でより低温(10〜150℃の間)で実施する。
【0068】
代表的なカップリング剤は、ジシクロアルキル−およびジアルキルカルボジイミド、水性媒体に可溶性のカルボジイミド、特にジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドおよび(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドである。
【0069】
官能基HO−C(=Y)−が活性化された場合は、反応は10〜120℃の間、例えば15〜30℃の間の温度で実施する。
【0070】
反応は好ましくは、ハロゲン化された脂肪族または芳香族炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルムまたはクロロベンゼン)、アセトンなどのケトン、アセトニトリルなどのニトリル、アセトアミド、ホルムアミドまたはジメチルホルムアミドなどのアミド、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンまたはジメトキシエタンなどのエーテルなどの極性溶媒中で実施する。
【0071】
溶媒は好ましくはジメチルホルムアミドである。
【0072】
−CH2−XH官能基を含むポリマーが好ましくは固体の形態である限りは、このポリマーの不活性溶媒懸濁液に化合物Iの不活性溶媒溶液を加える。好ましくは、懸濁液用の溶媒と化合物Iの溶液用の溶媒は同じである。
【0073】
好ましい反応条件は、不活性溶媒中で反応する物質の等モル量の使用が考えられる。
【0074】
しかし、一緒に反応する官能基(複数)の化学量論量で十分であるが、式Iの化合物の過剰な存在下でこの方法を実施することが好ましい。したがって、式Iの化合物対官能基−CH2−XHのモル比は、好ましくは1〜10の間、例えば1〜6の間、さらに好ましくは1〜5の間の範囲である。
【0075】
この方法をカップリング剤の存在下で実施する場合は、この試薬は一般に、使用する式Iの化合物の量に対して化学量論量で使用する。
【0076】
ステップb)では、ステップa)から得られたポリマーを、任意のニトロソ化剤を用いて処理することによりニトロソ化を実施する。適したニトロソ化剤の例としては、アルカリ金属亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウムなど)、亜硝酸エチルまたは亜硝酸tert−ブチルなどの亜硝酸アルキル(好ましくはC1〜C6亜硝酸アルキル)、またはNO+BF4-がある。
【0077】
この方法は亜硝酸ナトリウムの存在下で実施することが有利である。
【0078】
当業者ならば容易に操作条件を決定することができる。
【0079】
ニトロソ化剤がアルカリ金属亜硝酸塩の場合は、この方法は通常エーテル、水およびカルボン酸の混合物などの極性溶媒中で実施する。
【0080】
カルボン酸としては酢酸が好ましい。
【0081】
エーテルとしては、ジオキサンおよびテトラヒドロフランなどの環式エーテルが好ましい。変形としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはジメトキシエタンなどのエーテルもまた使用し得る。
【0082】
この混合物では、エーテル対水の体積比は、20〜5の間、好ましくは12〜8の間の範囲である。
【0083】
この混合物では、酢酸対水の体積比は、1.5〜5の間、さらに好ましくは1.5〜3の間の範囲である。
【0084】
ステップb)の反応は、好ましくは15〜35℃の間で実施する。
【0085】
本発明の反応性のポリマーは、例えば第2級アミンのN−ニトロソ化、第1級アミンのジアゾ化、およびα−アミノ酸のアセトキシル化のための試薬として使用することができる。
【0086】
他の観点によれば、本発明は、第2級アミンを本発明によるポリマーと反応させて、対応するニトロソ誘導体を得ることを含む第2級アミンをニトロソ化する方法に関する。
【0087】
好ましくはニトロソ化は、存在する第2級アミン官能基の量に対して式Aの反応性官能基の過剰の存在下で実施する。
【0088】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ポリマーの式Aの官能基対第2級アミン官能基のモル比は、2〜10の間、好ましくは2〜5の間の範囲である。
【0089】
ニトロソ化反応は、15〜35℃の間、さらに好ましくは20〜25℃の間の温度で実施することが有利である。
【0090】
ニトロソ化反応は好ましくは、脂肪族または芳香族ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルムまたはクロロベンゼンなど)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはジメトキシエタンなどのエーテル、アセトニトリルなどのニトリル、アセトアミドまたはジメチルホルムアミドなどのアミド、これらの溶媒の重水素化の形態の1つ、すなわち1個以上の水素原子が重水素原子で置き換えられた形態などの極性溶媒中で実施する。特に有利には、溶媒はCDCl3またはクロロホルムである。
【0091】
この方法の利点は、薄層クロマトグラフィーまたはLC−MS(液体クロマトグラフィーと一緒になった質量分析法)により反応進行の監視が容易なことである。
【0092】
他の利点は、単純な反応媒体のろ過および蒸発および/または溶媒の除去により、ニトロソ化反応生成物がそれによって単離されるのが容易なことである。
【0093】
本発明のニトロソ化方法は、より詳細には次から選択される第2級アミンに適用される。
【0094】
アルキル、アルコキシ、シアノおよびヒドロキシルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいジフェニルアミン、

【0095】
【化9】

【0096】
[式中、nは、整数0、1、2または3であり、フェニル核は、アルキル、アルコキシ、シアノまたはヒドロキシルにより場合により独立して置換されている]のアミン、アルキル、アルコキシ、シアノおよびヒドロキシルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいフェニルアルキルアミン、ヒドロキシル、アルキル、シアノおよびアルコキシから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンゾピロリジンおよびベンゾピペリジン、ヒドロキシル、アルキル、シアノおよびアルコキシから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンジルピロリジン、およびヒドロキシル、アルキル、シアノおよびアルコキシから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンジルピペリジン。
【0097】
他の態様によれば、本発明は、第1級アミンを本発明によるポリマーと反応させて対応するジアゾニウム誘導体を得ることを含む、第1級アミンをジアゾ化する方法に関する。この場合も、この方法は好ましくは、第1級アミン官能基量に対して式Aの反応性官能基の過剰の存在下で実施する。
【0098】
第1級アミン官能基に対する式Aの官能基のモル比が、2〜10の間、好ましくは2〜5の間の範囲であることが有利である。
【0099】
反応温度が、−10〜35℃の間、さらに好ましくは20〜25℃の間の範囲であることが有利である。
【0100】
この反応に適した溶媒は、ニトロソ化反応に対して上述したものである。この方法は好ましくはジクロロメタンまたはCD2Cl2中で実施する。
【0101】
反応媒体に酢酸などのC1〜C4カルボン酸を、存在する第1級アミン量に対して少なくとも化学量論量で加えることが特に望ましい。
【0102】
この反応の利点は、上記のものと同様に、反応の進行の容易な監視および反応生成物の容易な単離である。
【0103】
第1級アミンの例としては、式(C6〜C10)アリール−NH2[式中、(C6〜C10)アリールが、芳香核が1個以上のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルまたはシアノで置換された、例えばフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルである]の芳香族第1級アミンが挙げられる。
【0104】
他の態様によれば、本発明は式IIIのアミン
【0105】
【化10】

【0106】
[式中、R4は分子IIIの残部(−CH(NH2)−COOH)に炭素原子を介して結合し任意の有機基を表す]をアセトキシル化する方法であって、式IIIのアミンを式R2−COOHの酸(塩の形態でもよい)[式中、R2は炭素原子を介してカルボキシル官能基に結合し任意の有機基を表す]と反応させることであり、この反応を上記で定義したポリマーの存在下で実施して対応する式
【0107】
【化11】

【0108】
[式中、R2およびR4が上記で定義したとおりである]の化合物を得る、方法に関する。
【0109】
本発明の好ましい一実施形態によれば、R2COOHはアルカリ金属塩の形態で使用され、例えば、式R2COO-、Na+に対応する。
【0110】
4は、例えば置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、または置換されてもよいシクロアルキルであり、置換基は、例えば次から選択される。
【0111】
ハロゲン原子;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルキル;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルコキシ;(C6〜C10)アリールスルホニルで置換されてもよい(C1〜C10)アルキルチオ、ここでアリールは1個以上の基Gで置換されてもよい;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリールオキシ;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリールチオ;(C1〜C10)アルキルスルホニル;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C1〜C10)アリールスルホニル;O、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含み、1個以上の基、および/または(C1〜C10)アルコキシカルボニルで置換されてもよい5〜7員ヘテロアリール;(C1〜C10)アルコキシカルボニル;(C1〜C10)アルキルカルボニルアミノ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C2〜C4)アルキレンジオキシ;オキソで置換されてもよい(C3〜C5)アルキレン;アリールが1個以上の基Gで置換されてもよい(C6〜C10)アリール(C1〜C10)アルキル;ハロゲン化されていてもよい(C6〜C10)アリール;(C1〜C10)アルキルカルボニル、好ましくは(C1〜C6)アルキルカルボニル;シクロアルキル自体が(C6〜C10)アリールスルホニルアミノ(アリールはハロゲン化されていてもよい)で置換された(C3〜C8)シクロアルキル(C1〜C8)アルキルがあり、ここでGは、ハロゲン;ヒドロキシル;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C14)アルコキシ、好ましくはハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルコキシ;ハロゲン化されていてもよい(C1〜C14)アルキル、好ましくはハロゲン化されていてもよい(C1〜C10)アルキル;ニトロ;シアノ;ジ(C1〜C14)アルキルアミノ、好ましくはジ(C1〜C10)アルキルアミノ;ハロゲン化さていてもよく、および/または(C1〜C14)アルキルで置換されてもよい(C6〜C10)アリールから選択される。
【0112】
好ましくは、R4は置換されてもよいベンジルまたはフェニルであり、R2は、R4について上記で定義したとおりであり、R2およびR4は独立している。
【0113】
好ましくは、R2はCH3などのアルキルである。
【0114】
反応は、好ましくは15〜35℃、さらに好ましくは20〜25℃の温度で実施する。
【0115】
式IIIおよびR2COOHの試薬の量は、通常化学量論である。
【0116】
反応媒体中の官能基A対式IIIの化合物のモル比は、好ましくはニトロソ化およびジアゾ化反応について上記で定義したとおりである。
【0117】
この方法は通常、酢酸などのC1〜C4カルボン酸の存在下で実施する。
【0118】
上述のアセトキシル化反応は、R4がアルコキシ、ヒドロキシル、シアノおよびアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいフェニルまたはベンジルを表す式IIIの化合物のアセトキシル化に特に適している。
【実施例】
【0119】
本発明の実施例を以下に示す。
【0120】
実施例1
官能基:−CH2−NH−CO−CH(NHAc)−C(CH32−S−N=Oを有するポリスチレンの調製
ステップa
N−アセチルペニシラミンスクシンイミデート(1.26g、4.4ミリモル)のDMF溶液を、アミノメチル−ポリスチレン樹脂(2g、2.92ミリモル)のDMF(10ml)懸濁液に加える。この混合物を室温で24時間攪拌し、次いで樹脂をろ過して分け、ジメチルホルムアミド(3×20ml)、ジクロロメタン(3×20ml)およびMeOH(3×20ml)で洗浄する。真空下で乾燥の後、−CH2−NH−CO−CH(NHAc)−C(CH32−SH官能基を含む中間体樹脂(2.36g)を無色の樹脂の形態で得る。参考文献:E.Kauerら(1970)Anal. Biochem.34巻、595頁に従ってKaiser比色試験にかけた樹脂の試料に対して負の応答が得られる。IR:1650(CO)、2750(弱いSHバンド)。
ステップb
10/1/0.5のジオキサン/H2O/AcOH混合溶媒(80ml)に懸濁した、ステップa)で得られた中間体樹脂(2.2g、2.57ミリモル)を、亜硝酸ナトリウム(1g、14.5ミリモル)で処理し、混合物を室温で24時間攪拌する。次いで樹脂をろ過して分け、80/20のテトラヒドロフラン(THF)/H2O混合物(3×50ml)、THF(3×50ml)およびジクロロメタン(3×50ml)で洗浄する。次いで樹脂を真空下で乾燥して、目的とする緑色樹脂(2.2g)を得る。IR:1650(CO)。
【0121】
実施例2
官能基:−CH2−NH−CO−CH(NHAc)−C(CH32−S−N=Oを有するポリエチレングリコールの調製
ステップa
実施例1のステップa)に記載のプロトコルに従って、−CH2−NH−CO−CH(NHAc)−C(CH32−SH官能基を含む中間体樹脂を調製する。Kaiser比色試験にかけた樹脂の試料に対して負の応答が得られる。
ステップb
実施例1の樹脂に対して記載のプロトコルに従って、ステップa)で得られた中間体樹脂から目的とする樹脂を調製する。
【0122】
実施例3
官能基:−CH2−NH−CO−CH2−C(CH32−S−N=Oを有するポリスチレンの調製
ステップa
3−メルカプト−3−メチル酪酸(145mg、1.08ミリモル)のDMF(10ml)溶液を、アミノメチル−ポリスチレン樹脂(0.5g、0.72ミリモル)の10mlのジメチルホルムアミド(DMF)懸濁液に加える。次いで1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(136mg、1.08ミリモル)を滴下する。20時間攪拌した後、樹脂をろ過して分け、DMF(3×10ml)、ジクロロメタン(3×10ml)およびMeOH(3×10ml)で洗浄する。真空下で乾燥後、−CH2−NH−CO−CH2−C(CH32−SH官能基を含む中間体樹脂を無色の樹脂の形態で得る(0.54g)。
ステップb
実施例1、ステップb)の樹脂に対して記載のプロトコルに従って、ステップa)で得られた中間体樹脂から目的とする樹脂を調製する。
【0123】
実施例4
4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]ベンゾニトリルのニトロソ化
4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]ベンゾニトリル(5mg、0.016ミリモル)の1.5mlのジクロロメタン(DCM)溶液に実施例1の樹脂(50mg、0.048ミリモル)を加える。懸濁液を82時間攪拌する。次いで樹脂をろ過して分け、DCM(2×1.5ml)ですすぎ、次いでろ液を真空下で蒸発して、4−[N−ニトロシル−(4−メトキシフェニル)アミノ]ベンゾニトリル(4.9mg、86%)を得る。1H NMR(CDCl3):3.86(3H,s);6.94(2H,m);7.05(2H,m);7.54(2H,m);7.69(2H,m)。
【0124】
実施例5
酢酸ナトリウムによるフェニルアラニンのアセトキシル化
フェニルアラニン(21mg、0.131ミリモル)の酢酸(1ml)溶液に実施例1の樹脂(350mg、0.31ミリモル)を加える。次いで酢酸ナトリウムの1モル酢酸(3ml)溶液を加える。混合物を室温で11時間攪拌する。次いで樹脂をろ過して分け、酢酸(1ml)ですすぎ、次いでろ液を真空下で蒸発させる。残渣をエーテル(2ml)に溶解し、次いで水(2×2ml)で洗浄する。真空下で蒸発の後、3−フェニル−2−メチルカルボニルオキシプロパン酸を白色粉末の形態で得る(19.8mg、72%)。1H NMR(CDCl3);2.01(3H,s)、3.01〜3.15(2H,m)、5.17(1H,dd,J=4および9Hz)、7.15〜7.6(5H,m)。MS ES−(m−1)=207。
【0125】
実施例6
β−ナフチルアミンのジアゾ化
酢酸(2.16μl、0.037ミリモル)の存在下でβ−ナフチルアミン(5.3mg、0.037ミリモル)のDCM(3ml)液溶に実施例1の樹脂(100mg、0.110ミリモル)を加える。混合物を室温で1時間攪拌する。次いで樹脂をろ過して分け、DCM(2×1ml)ですすぎ、次いでろ液を真空下で加熱することなく蒸発させて、2−ナフタレンジアゾニウムを得る(4mg、53%)。1H NMR(CDCl3):6.85(1H,d,J=9Hz)、7.3(1H,dt,J=1.5および7Hz)、7.44〜7.93(3H,m)、8.13(1H,dd,J=2および8.5Hz)、8.25(1H,s)、8.88(1H,d,J=8.5Hz)。
【0126】
実施例7から13
実施例4に記載の手順を実施することにより、上記の第2級アミンから以下の実施例7から13の化合物が得られた。
【0127】
【表1】

【0128】
実施例14および15
実施例5に記載の手順を実施することにより、対応する出発アミンから実施例14および15の化合物が得られた。
【0129】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の式A
【化1】

[式中、Xは、O、SまたはNTを表し、ここでTはHまたは飽和脂肪族炭化水素系の基を表し、YはOまたはSを表し、R1は、H;置換されてもよく、および/または1個以上のOまたはS原子が割り込んでもよい飽和脂肪族炭化水素系の基;基−(O)p−Ar(pは整数0または1を表し、Arは置換されてもよい飽和および/または芳香族炭素環式基、または置換されてもよい飽和および/または芳香族複素環基を表す);基Hyd−CO−O−またはHyd−CO−NH−(Hydは置換されてもよい飽和脂肪族炭化水素系の基を表す);置換されてもよい芳香族基;あるいは置換されてもよい芳香族複素環基を表し、R2およびR3は、それぞれ互いに独立して、水素原子;置換されてもよい飽和脂肪族炭化水素系の基;飽和および/または芳香族炭素環式基を表す]の官能基を有するポリマー。
【請求項2】
スチレンまたはポリエチレングリコールタイプの、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
XがNを表すことを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載のポリマー。
【請求項4】
2およびR3が、独立して、H、(C1〜C8)アルキル、(C6〜C10)アリールを表し、R1が、H;(C1〜C8)アルキル;(C6〜C10)アリール;(C6〜C10)アリールオキシ;O、SおよびNから選択される1個以上のヘテロ原子を含み、5〜8員単環の1個以上のからなるヘテロアリール;ヘテロアリールが上記で定義したとおりであるヘテロアリールオキシ;(C1〜C8)アルキルカルボニルオキシ;(C1〜C8)アルキルカルボニルアミノ;(C6〜C10)アリールカルボニルオキシ;(C6〜C10)アリールカルボニルアミノ;ヘテロアリールカルボニルオキシ;またはヘテロアリールが上記で定義したとおりであるヘテロアリールカルボニルアミノを表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
2およびR3が独立して(C1〜C4)アルキルを表し、R1が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノを表すことを特徴とする、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
官能基Aが、
−CH2−O−CO−CH(NH−W)−C(CH32−S−N=O A1
[式中、Wはアセチルなどのアルカノイル(すなわち、アルキルカルボニル)を表す]であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
ポリスチレンまたはポリエチレングリコールタイプであることを特徴とする、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
a)少なくとも1個のCH2−XH官能基を有する前駆体ポリマーPを式I
【化2】

[式中、HO−C(=Y)−官能基は活性化された形態でもよく、Y、R1、R2およびR3は請求項1で定義されたとおりである]の試薬の必要量と、ポリマーPの各−CH2−XH官能基が式Iの試薬の1分子と反応するように反応させるステップと、次いで
b)少なくとも1個の官能基B
【化3】

を有する得られたポリマーを、ニトロソ化剤で処理してそれぞれの官能基Bを官能基C
【化4】

に変換するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリマーを製造する方法。
【請求項9】
ニトロソ化剤が、アルカリ金属亜硝酸塩、亜硝酸アルキル、またはNO+BF4-から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2級アミンを請求項1に記載のポリマーと反応させて、対応するニトロソ誘導体を得ることを特徴とする第2級アミンをニトロソ化する方法。
【請求項11】
ポリマーの式Aの官能基対第2級アミン官能基のモル比が、2〜10、好ましくは2〜5の範囲であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
15〜35℃の温度で実施することを特徴とする、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第2級アミンが、アルキル、アルコキシ、シアノまたはヒドロキシルタイプの置換基の1個以上で置換されてもよいジフェニルアミン;式
【化5】

[式中、nは、整数0、1、2または3であり、フェニル核は、アルキル、シアノ、アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1個以上の置換基で独立して置換されてもよい]のアミン;アルキル、シアノ、アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいフェニルアルキルアミン;ヒドロキシル、アルキル、シアノおよびアルコキシから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンゾピロリジンまたはベンゾピペリジン;ヒドロキシル、シアノ、アルキルおよびアルコキシから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンジルピロリジン;あるいはアルキル、シアノ、アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよいベンジルピペリジンから選択されることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1級アミンを請求項1に記載のポリマーと反応させて、対応するジアゾニウム誘導体を得ることを特徴とする、第1級アミンをジアゾ化する方法。
【請求項15】
アミンが、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシおよびアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい芳香族アミンであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式IIIのアミン
【化6】

[式中、R4は分子IIIの残部(−CH(NH2)−COOH)に炭素原子を介して結合する任意の有機基を表す]をアセトキシル化する方法であって、式IIIのアミンを塩の形態でもよい式R2−COOHの酸[式中、R2は炭素原子を介してカルボキシル官能基に結合し任意の有機基を表す]と請求項1に記載のポリマーの存在下で反応させて、対応する式
【化7】

[式中、R2およびR4は上記で定義したとおりである]の化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項17】
4が、アルコキシ、ヒドロキシル、シアノおよびアルキルの1個以上で置換されてもよいフェニルまたはベンジルを表すことを特徴とする、請求項16に記載の方法。


【公表番号】特表2006−501335(P2006−501335A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540593(P2004−540593)
【出願日】平成15年9月6日(2003.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009904
【国際公開番号】WO2004/031248
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】