説明

有機基を表面から除去した多孔質ハイブリッドモノリス材料

クロマトグラフ分離用材料、これを調製する方法、およびクロマトグラフ材料を含む分離装置。特に、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスは、表面の有機基の濃度を低下させ、およびpH安定性を改良し、クロマトグラフの分離能を向上させ、および充填層の安定性を改良する。これらのモノリスは表面修飾することができ、これにより、結合相表面の濃度がより高くなり、および低pHでの安定性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体クロマトグラフィー(LC)用の充填材料は、一般に2種類に分類される。すなわち、ポリスチレン系ポリマーなどの、有機またはポリマー担体を有するもの、およびシリカゲルに代表される無機担体を有するものである。該ポリマー材料は、アルカリ性および酸性の移動相に対して化学的に安定である。それ故、ポリマー系のクロマトグラフ材料と共に使用される溶離液のpHの範囲は、シリカの担体に比べて広い。しかしながら、ポリマー系のクロマトグラフ材料を用いると、一般にカラム効率が低く、特に低分子量の分析物の場合には分離能が不十分となる。さらに、ポリマー系のクロマトグラフ材料は、溶離液の溶媒組成を切り替えるときに収縮および膨張を引き起こす。
【0002】
一方で、HPLCカラムなどの、シリカゲルを基材としたクロマトグラフ装置が最も多く使用されている。最も一般的な応用では、オクタデシル(C18)、オクチル(C)、フェニル、アミノ、シアノ(CN)基などの有機官能基で表面を誘導体化したシリカを用いる。HPLC用の固定相としてこれらの充填材料を使用すると、理論段数が高い/効率が高いカラムとなり、および収縮および膨張した形跡を示さない。シリカゲルは、この表面上にシラノール基が存在することを特徴とする。オクタデシルジメチルクロロシランとの反応など、通常の誘導体化方法での処理中に、表面のシラノール基の少なくとも50%は未反応のまま残存する。
【0003】
液体クロマトグラフィー(LC)用の充填材料は、一般に2種類に分類される。すなわち、ポリスチレン系ポリマーなどの、有機またはポリマー担体を有するもの、およびシリカゲルに代表される無機担体を有するものである。該ポリマー材料は、アルカリ性および酸性の移動相に対して化学的に安定である。それ故、ポリマー系のクロマトグラフ材料と共に使用される溶離液のpHの範囲は、シリカの担体に比べて広い。しかしながら、ポリマー系のクロマトグラフ材料を用いると、一般にカラム効率が低く、特に低分子量の分析物の場合には分離が不十分となる。さらに、ポリマー系のクロマトグラフ材料は、溶離液の溶媒組成を切り替えるときに収縮および膨張を引き起こす。
【0004】
一方で、HPLCカラムなどの、シリカゲルを基材としたクロマトグラフ装置が最も多く使用されている。最も一般的な応用では、オクタデシル(C18)、オクチル(C)、フェニル、アミノ、シアノ(CN)基などの有機官能基で表面を誘導体化したシリカを用いる。HPLC用の固定相としてこれらの充填材料を使用すると、理論段数が高い/効率が高いカラムとなり、および収縮および膨張した形跡を示さない。シリカゲルは、この表面上にシラノール基が存在することを特徴とする。オクタデシルジメチルクロロシランとの反応など、通常の誘導体化方法での処理中に、表面のシラノール基の少なくとも50%は未反応のまま残存する。
【0005】
シリカを基材としたカラムが有する欠点は、加水分解安定性に限界があるということである。第1に、シリカゲルの誘導体化が不完全であると、むき出しのシリカ表面が残存する。これはアルカリ性条件下(通常、pH>8.0)で容易に溶解し、その結果続いてクロマトグラフ層が崩壊する可能性がある。第2に、結合相が、酸性条件下(通常、pH<2.0)で表面から剥ぎ取られ、および移動相によってカラムから溶出する恐れがあり、その結果、分析物の保持力の損失および表面のシラノール基の濃度上昇を招く。これらの問題を解決するために、超高純度シリカを使用すること、炭化シリカを使用すること、シリカの表面をポリマー材料で被覆すること、および遊離シラノール基をトリメチルクロロシランなどの短鎖の試薬でエンドキャッピングすることを含む、多くの方法が試みられている。これらの取り組みは、実際のところ十分に満足できるものではないことが分かっている。
【0006】
ハイブリッド粒子は、シリカおよび有機物を基材とした材料の双方の利点を提供する可能性を秘めている。ハイブリッド粒子については、例えば米国特許第4017528号に記載されている。細孔の幾何学形状をクロマトグラフとして向上させた、多孔質の無機/有機ハイブリッド粒子については、WO00/03052、WO03/022392および米国特許第6686035号に記載されている。
【0007】
ハイブリッド粒子はある利点を提供するが、これらはまた、ある限界をも有し、この限界は、粒子表面上の有機基(例えばメチル基)に起因する可能性がある。特に、表面に有機基が存在すると、シリカ相と比較して、C18およびCシランなどのシランと結合した後の結合相の表面濃度が低下する可能性があり、これはおそらく表面上の有機基が、結合に対して反応しないためである。さらに、多官能のシラン(例えば、ジクロロジアルキルシラン、トリクロロアルキルシラン)から調製された結合相において、粒子表面の有機基は、隣接したアルキル結合相の配位子間の架橋結合の度合いを低下させる可能性がある。このことにより、アルキル配位子が粒子の表面に共有結合を有することがより少なくなるので、低pHでの安定性が減少する。最終的に、保持時間およびピーク圧縮の低減は、表面の有機基によって引き起こされる低pHでの安定性の減少に起因する可能性がある。
【0008】
表面から有機基を除去した、多孔質の無機/有機ハイブリッド粒子については、WO02/060562および米国特許第6528167号に記載されている。これらの粒子は、粒子表面の有機基に関連した限界を克服する。
【0009】
しかしながら、シリカ粒子およびハイブリッドシリカ粒子に関連したさらなる問題は、充填層の安定性である。球状粒子で充填されたクロマトグラフィーのカラムは、ランダムな最密格子であり、この中で、粒子間の間隙は、カラムの注入口からカラムの出口まで連続的な網目を形成していると考えられ得る。この網目が充填層の間隙容積を形成し、これが充填カラムを貫流する流体のための流路となる。充填層の安定性を最大にするためには、粒子はしっかりと充填される必要があり、それ故、カラム内の間隙容積は制限される。結果として、このようなしっかりと充填されたカラムは、カラム背圧が上昇するが、これは望ましいことではない。その上、これらのクロマトグラフィーのカラムに関する層の安定性の問題は、粒子再配置のために現在でもなお一般的に見られる。
【0010】
充填層の安定性の問題を克服する試みとして、モノリス材料が開発されている。これにはポリマー系のモノリスが含まれ、その例として、ポリメタクリレートモノリス(米国特許第5453185号、米国特許第5728457号);ポリスチレン−DVBモノリス(米国特許第4889632号、米国特許第4923610号、米国特許第4952349号);逆相イオン対クロマトグラフィーの適用を目的とした、電荷を伴ったポリメタクリレートモノリス(米国特許第6238565号);ROMPメタセシス(開環メタセシス重合反応)に基づいたモノリス(WO00073782)および重合可能な水溶性モノマー、例えばビニル、アリル、アクリルおよびメタクリルの化合物などから、多孔化剤(porogens)は使用しないが硫酸アンモニウムなどの高濃度の無機塩存在下で作られる、連続的なモノリスカラム(EP852334)などが挙げられる。
【0011】
ポリマー系のモノリスは、強アルカリ性および強酸性の移動相に対して化学的に安定であり、移動相のpHを自由に選択できる。しかしながら、ポリマー系のモノリスは、無機モノリスに比べて効率がより低いので、特に低分子量の分析物の場合、分離能が不十分となる。ポリマー系のモノリスが膨張性を有する結果として、移動相の組成が制限される。ポリマー系のモノリスについて、多くの異なった組成および方法が検討されているという事実にもかかわらず、これらの問題に対する解決策は未だまったく見出されていない。
【0012】
シリカなど無機物を基材とした、モノリスカラムの類似体には、米国特許第5624875号、WO98/29350、米国特許第6207098B1号および米国特許第6210570に開示されているものが含まれる。無機シリカのモノリスは、機械的に非常に強く、収縮および膨張の形跡を示さない。これらは、クロマトグラフ分離におけるポリマー系の対照と比べて極めて高い効率を発揮する。しかしながら、シリカモノリスには大きな不都合がある。すなわち、シリカがアルカリ性pH値で溶解することである。pHを変化させることは、クロマトグラフの選択性を操作する場合に最も効果的な手段の1つであるため、モノリス材料に関し、効率を犠牲にすることなく、クロマトグラフ分離の用途をアルカリ性のpH領域へと拡大する必要がある。
【0013】
細孔の幾何学形状をクロマトグラフとして向上させた、新世代の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスについては、WO03/014450に記載されている。これらのモノリスは、上記のモノリスに関連した多くの限界を克服している。
【0014】
それにもかかわらず、先行技術のハイブリッドモノリスには多くの同じ限界があり、これは、ハイブリッド粒子に関して上に記載したように、表面に有機基が存在することで引き起こされる。これらの限界のうち主要なものは、結合後に結合相の表面濃度が低下すること、低pHでの安定性の減少、保持時間およびピーク圧縮の低減である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、結合相の表面濃度を上昇させ、ならびに表面の有機基によって引き起こされる、保持時間およびピーク圧縮の低減を縮小または解消し、しかもカラム背圧の上昇を伴わないようなクロマトグラフのハイブリッドモノリス材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、結合相表面のより高い濃度、改良された安定性および分離特性を示す、改良された多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスクロマトグラフ材料に関する。クロマトグラフのハイブリッドモノリス材料は、分離を行うために、または化学反応に関与するために用いることができる。本発明によるモノリスは、例えばオクタデシルジメチルクロロシラン(ODS)またはCNなど所望の結合相を有し、およびケイ素−有機基の、制御された表面濃度を有する表面を特徴とする。より具体的には、表面のケイ素−有機基は、選択的にシラノール基に置換される。これにより、低pHでの安定性を妨げるような、表面の有機基を低減する。さらに、該材料のモノリシック構造は、望ましくないカラム背圧の上昇を伴わず、しっかりと充填された粒子層に関連した安定性を提供する。モノリシック構造の特徴と、表面上の有機基を低減することとを組み合わせることにより、本発明は、結合相の表面濃度を大いに上昇させ、pH安定性を改良し、およびクロマトグラフの分離能を向上させたハイブリッドモノリス材料を提供する。
【0017】
例を挙げれば、1つの態様においては、本発明は、内部領域と外表面とを有し、以下で表される、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを提供する。
[A][B] (式I)
ここで、xおよびyは整数であり、Aは以下で表される。
SiO/(RSiO(式II)、および/またはSiO/[R(RSiO(式III)
ここで、RおよびRは、独立に、置換もしくは非置換のC〜Cアルキル基であるかまたは置換もしくは非置換のアリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、C〜Cの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である。);mは2以上の整数であり;ならびにnは0.01〜100の数である。
Bは以下で表される。
SiO/(RSiO (式IV)
ここで、Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ(メトキシなど)、アリールオキシ、置換されたシロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸およびこれらの組合せであってよく、およびRは、RでもRでもRでもない。vは1または2であり(ただし、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1である。);ならびにnは0.01〜100の数である。該モノリスの該内部はAの組成を有し、該モノリスの該外表面はAおよびBで表される組成を有し、ならびに該外部の組成は、組成Bが約1〜約99%であり、残りがAを含む。
これらのモノリスにおいて、Rは以下で表すことができる。
−OSi(R−R (式V)
ここで、Rは、C〜Cの、直鎖、環状もしくは分枝の、アルキル基、アリール基もしくはアルコキシ基であるか、またはヒドロキシル基またはシロキサン基であってよく、およびRは、C〜C36の、直鎖、環状または分枝の、アルキル基(C18、シアノプロピルなど)、アリール基またはアルコキシ基であってよく、ここで、Rの基は、非置換であるか、または1つもしくは複数の部分で置換されている。かかる部分としては、ハロゲン、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エーテル、カルボニル、エポキシド、スルホニル、陽イオン交換体、陰イオン交換体、カルバメート、アミド、尿素、ペプチド、タンパク質、炭水化物、および核酸の官能基が挙げられる。
【0018】
1つの実施形態においては、Rの表面濃度は約1.0μmol/mを超えてよく、より好ましくは約2.0μmol/mを超えてよく、さらに一層好ましくは約3.0μmol/mを超えてよい。より好ましい実施形態においては、Rの表面濃度は約1.0〜約3.4μmol/mである。
【0019】
他の態様においては、本発明は、サンプル中の成分の分離を行うための方法を提供する。該方法は、該サンプルを本発明のクロマトグラフ材料と接触させることを含む。1つの実施形態においては、該サンプルは、本発明のクロマトグラフ材料を含む、クロマトグラフのカラムに通される。
【0020】
さらに他の態様においては、本発明は、本発明のクロマトグラフ材料を含む、分離装置を提供する。
【0021】
さらなる態様においては、本発明は、本発明のクロマトグラフ材料を調製するための方法を提供する。該方法は以下のステップを含む。すなわち、
a)酸触媒、および界面活性剤または複数の界面活性剤の組合せの存在下、1つまたは複数の有機アルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物の水溶液を調製して、ポリ有機アルコキシシロキサンを生産すること;
b)該溶液を温置することにより、相互に連結した連続的な細孔構造を有する3次元ゲルを生じさせること;
c)制御されたpHおよび温度で該ゲルを熟成させ、固体のモノリス材料を得ること;
d)該モノリス材料を、高温で、塩基性水溶液で洗浄すること;
e)該モノリス材料を水で洗浄し、次いで溶媒交換を行うこと;
f)該モノリス材料を室温で乾燥し、および減圧下、高温で乾燥すること;および
g)該モノリスの表面にある、C〜Cアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の、C〜Cの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基の、1つまたは複数を、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシまたは置換されたシロキサン基で置換することである。
【0022】
関連した態様においては、本発明は、以下のステップを含む方法により調製された、本発明のクロマトグラフ材料を提供する。
a)酸触媒、および界面活性剤または複数の界面活性剤の組合せの存在下、1つまたは複数の有機アルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物の水溶液を調製して、ポリ有機アルコキシシロキサンを生産すること;
b)該溶液を温置することにより、相互に連結した連続的な細孔構造を有する3次元ゲルを生じさせること;
c)制御されたpHおよび温度で該ゲルを熟成させ、固体のモノリス材料を得ること;
d)該モノリス材料を、高温で、塩基性水溶液で洗浄すること;
e)該モノリス材料を水で洗浄し、次いで溶媒交換を行うこと;
f)該モノリス材料を室温で乾燥し、および減圧下、高温で乾燥すること;および
g)該モノリスの表面にある、C〜Cアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の、C〜Cの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基の、1つまたは複数を、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシまたは置換されたシロキサン基で置換することである。
【0023】
さらに他の態様においては、本発明は、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを形成する方法を提供する。該方法は以下を含む。すなわち、
(a)表面にケイ素−アルキル基を有する、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを形成すること;
(b)該ハイブリッドモノリスの、表面のケイ素−アルキル基の1つまたは複数をヒドロキシル基で置換すること;
(c)表面のケイ素−アルキル基の1つまたは複数をハロ基で置換すること;
(d)置換されたシロキサン基の1つまたは複数を該ハイブリッドモノリスの表面に結合させること;および
(e)該ハイブリッドモノリスの表面を、トリアルキルハロシランでエンドキャッピングすることである。
【0024】
定義
本発明は、下記に説明する定義を参照することにより、より十分に理解されよう。
【0025】
「モノリス」という用語は、個々の部分において、相互に連結した連続的な細孔構造を有する、多孔質の3次元材料を含むことを意図する。モノリスは、例えば、前駆物質を所望の形の金型に流し込むことにより調製される。モノリスという用語は、層構造中に充填された個々の粒子の集合とは区別されるが、これにおける最終生成物は個々の粒子を含むものとする。
【0026】
「凝集している」および「凝集された」という用語は、加熱などの、適切な化学的方法または物理的方法によって、いくつかの個々の成分が互いに密着するようになり、結果として1つの新しい成分を生じることとなった材料を表すことを意図する。凝集されたという用語は、層構造などの、物理的に極めて接近した状態の個々の粒子の集合とは区別されるが、これにおける最終生成物は個々の粒子を含むものとする。
【0027】
「温置」という用語は、無機/有機ハイブリッドモノリス材料の調製中、前駆物質がゲル化し始める時間を表すことを意図する。
【0028】
「熟成」という用語は、無機/有機ハイブリッドモノリス材料の調製中、モノリス材料の固形ロッドが形成される時間を表すことを意図する。
【0029】
「マクロポア」という用語は、抵抗を減らして、クロマトグラフに有用な流速で、液体が材料を直接貫流するのを可能にするような、材料の細孔を含むことを意図する。例えば、本発明のマクロポアは、約0.05μmを超える細孔直径を有する細孔と、約0.05μm〜約100μmの範囲にある細孔直径を有する細孔と、約0.11μm〜約100μmの範囲にある細孔直径を有する細孔と、約0.5μm〜約30μmの範囲にある細孔直径を有する細孔とを含むことを意図するが、これらに限るものではない。
【0030】
「クロマトグラフに有用な流速」という用語は、クロマトグラフィーの分野における当業者が、クロマトグラフィーの方法において使用するであろう流速を含むことを意図する。
【0031】
「クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状」という用語は、本明細書において開示されている、多孔質の無機/有機ハイブリッド材料の細孔構造の幾何学形状を含むことを意図する。かかる幾何学形状は、該材料のクロマトグラフ分離能力を高めることが見出されており、例えば当技術分野における他のクロマトグラフ媒体とは区別されるものである。例えば、ある幾何学形状は、形成されるか、選択されるか、または構築されることができ、ならびに種々の特性および/またはファクターを使用して、該材料のクロマトグラフ分離能力が、例えば、当技術分野において知られているかまたは従来通り使用されている幾何学形状と比較して、「高められた」かどうかを決定することができる。これらのファクターの例としては、分離効率の高さ、より一層のカラム寿命の長さ、および物質移動特性の高さが含まれる。(これは、例えば、バンド広がりの減少およびピーク形状の良好さなどによって証明される。)これらの特性は、当分野において認知されている手法を用いて測定または観察することが可能である。例えば、本多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスの、クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状は、「インク瓶形」または「貝殻形」の、細孔の幾何学形状または形態が存在しないということにより、従来技術のモノリスとは区別される。かかるどちらの細孔の幾何学形状または形態も、例えば物質移動速度が減少することで、より低効率になるなどの理由から所望されていない。
【0032】
クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状が見出されるのは、ハイブリッド材料(粒子またはモノリスなど)において、ミクロポアの総数がほんのわずかしかなく、メゾポアの総数が十分にあることを含む場合である。ミクロポアの総数がわずかであることが、ハイブリッド材料において実現されるのは、約34Å未満の直径に属する全細孔が、材料の比表面積に対し約110m/g未満となる場合である。このようにミクロポア表面積が小さいハイブリッド材料は、高い分離効率および良好な物質移動特性を含む、クロマトグラフの性能向上をもたらす。(これは、例えば、バンド広がりの減少およびピーク形状の良好さなどによって証明される。)ミクロポア表面積は、34Å以下の直径を有する細孔の表面積と定義され、多点窒素吸着分析によって、等温線の吸着レッグ(adsorption leg)から、BJH法を用いて測定される。
【0033】
メゾポアの総数が十分にあることが、ハイブリッド材料において実現されるのは、以下の場合である。すなわち、約35Å〜約500Å、例えば、好ましくは約60Å〜約500Å、例えば、さらに好ましくは約100Å〜約300Åの直径に属する全細孔が、該材料の比表面積に対して十分に寄与する場合であり、例えば該材料の比表面積に対して、約50〜約800m/g、例えば、好ましくは約75〜約650m/g、例えば、さらに好ましくは約190〜約520m/gとなる場合である。
【0034】
「多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス」においての「ハイブリッド」という用語は、無機物を基材とした構造を含む。ここで、有機官能基は、内部のまたは「骨格の」無機構造およびハイブリッド材料の表面の双方に不可欠なものである。ハイブリッド材料の無機部分は、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたはセラミック材料であってよく、好ましい実施形態においては、ハイブリッド材料の無機部分はシリカである。好ましい実施形態において、該無機部分がシリカである場合、「ハイブリッドシリカ」とは、式SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiOを有する材料を指す。ここで、RおよびRは、独立に、C〜C18脂肪族部分、スチリル、ビニル、プロパノール、または芳香族部分であり(これらは、アルキル、アリール、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、ジオール、ニトロ、エステル、イオン交換の官能基または組み込まれた極性官能基で、さらに置換されていてよい。)、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、C〜C18の、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアリーレンの部分であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である。);mは2以上の整数であり、ならびにnは0.03〜1、より好ましくは0.1〜1、およびさらに好ましくは0.2〜0.5の数である。Rは、官能化基Rでさらに置換されていてもよい。
【0035】
「結合相」は、官能基をハイブリッドシリカの表面に付加することにより形成され得る。ハイブリッドシリカの表面はシラノール基を含み、これが反応性の高い有機シランと反応して、「結合相」を形成することができる。結合は、ハイブリッドモノリスの表面で、シラノール基と、ハロ置換またはアルコキシ置換されたシランとの反応を伴って行われ、Si−O−Si−C結合を形成する。
【0036】
一般に、熱処理されたシリカ上にあるSi−OH基は、最大50%しかトリメチルシリル単位と反応することができず、オクタデシルシリル基などのより大きな単位との反応はもっと少ない。結合被覆率を増加させることに役立つ因子は、シラン化を2回行うこと、大過剰のシラン化剤を使用すること、三官能性の試薬を使用すること、酸捕捉剤存在下でシラン化を行うこと、シラン化されるべき表面を次いでヒドロキシル化すること、炭化水素系よりもむしろ塩素系の溶媒を使用すること、および表面をエンドキャッピングすることを含む。
【0037】
シリカの表面上にある、近くの隣接したヒドロキシル基のあるものは、二官能性の反応が、シリカ表面とおよび二官能性または三官能性の試薬との間に起こることができるような距離にある。シリカの表面上にある隣接したヒドロキシル基が、二官能性の反応に適した空間を持たない場合には、したがって単官能性の反応のみが起こる。
【0038】
結合されたシリカを生成するためのシランは、反応性が減少していく順に、RSiX、RSiXおよびRSiXを含む(ここで、Xは、ハロ(クロロなど)またはアルコキシである。)。結合されたシリカを生成するための具体的なシランは、反応性が減少していく順に、n−オクチルジメチル(ジメチルアミン)シラン(C17Si(CHN(CH)、n−オクチルジメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン(C17Si(CHOCOCF)、n−オクチルジメチルクロロシラン(C17Si(CHCl)、n−オクチルジメチルメトキシシラン(C17Si(CHOCH)、n−オクチルジメチルエトキシシラン(C17Si(CHOC)、およびビス−(n−オクチルジメチルシロキサン(C17Si(CHOSi(CH17)を含む。
【0039】
結合されたシリカを生成する際に使用することができる他のモノクロロシランには以下のものが含まれる。すなわち、Cl−Si(CH−(CH−X、(ここで、Xは、H、CN、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フェニル、シクロヘキシルまたはビニルであり、およびnは、0〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは8〜18)である。);Cl−Si(CH−(CH−H(n−オクチルジメチルシリル);Cl−Si(CH(CH−(CH−X、(ここで、Xは、H、CN、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フェニル、シクロヘキシルまたはビニルである。);およびCl−Si(CH(フェニル)−(CH−X、(ここで、Xは、H、CN、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フェニル、シクロヘキシルまたはビニルである。)が挙げられる。
【0040】
ジメチルモノクロロシラン(Cl−Si(CH−R)は、以下に示すような2段階の方法により合成できる。
【0041】
2n+1−Br+Mg → C2n+1−MgBr
2n+1MgBr+(CHSiCl → C2n+1Si(CHCl
【0042】
別の方法として、ジメチルモノクロロシラン(Cl−Si(CH−R)は、末端オレフィンの、触媒を用いた1段階のヒドロシリル化により合成できる。この反応は、反マルコフニコフ付加生成物の形成に有利に働く。使用される触媒は、ヘキサクロロ白金酸六水和物(HPtC−6HO)であってよい。
【0043】
【化1】

【0044】
ハイブリッドシリカの表面誘導体化は、標準的な方法に従って、例えば、有機溶媒中、還流条件下でオクタデシルジメチルクロロシランとの反応により行われる。トルエンなどの有機溶媒が、この反応に通常使用される。ピリジンまたはイミダゾールなどの有機塩基が、該反応に触媒作用を及ぼすために、該反応混合物に加えられる。生成物は、次いで水、トルエンおよびアセトンで洗浄し、減圧下100℃で16時間乾燥させる。
【0045】
「官能化基」という用語は、クロマトグラフの固定相に、特定のクロマトグラフの官能性を付与する有機基、例えばオクタデシル(C18)またはフェニルなどを含む。かかる官能化基は、例えば本明細書に開示されているような表面修飾剤中に存在し、これらの表面修飾剤は、例えば、誘導体化または被覆、およびその後の架橋によって基材に結合し、該基材に該表面修飾剤の化学的特性を付与する。ある実施形態において、かかる表面修飾剤は、式Z(R’)Si−R[ここで、Z=Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノなど)、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ、0〜3の整数であり(ただし、a+b=3);R’は、C〜Cの、直鎖、環状または分枝のアルキル基であり、ならびにRは官能化基である。]を有する。R’は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであってよく、好ましくは、R’はメチルである。
【0046】
多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、有機基およびシラノール基の双方を有し、これらの基は、表面修飾剤でさらに置換または誘導体化し得る。「表面修飾剤」は、(通常)、クロマトグラフの固定相に、特定のクロマトグラフの官能性を付与する有機基を含む。本明細書に開示されているような表面修飾剤は、例えば誘導体化または被覆、およびその後の架橋によって基材に結合し、該基材に該表面修飾剤の化学的特性を付与する。1つの実施形態において、ハイブリッド材料の有機基は、表面修飾剤と反応して有機共有結合を形成する。該修飾剤は、有機化学およびポリマー化学においてよく知られている多くの機構によって、該材料の有機基への有機共有結合を形成することができる。かかる機構には、求核反応、求電子反応、付加環化反応、遊離ラジカル反応、カルベン反応、ナイトレン反応、およびカルボカチオン反応が含まれるが、これらに限るものではない。有機共有結合は、有機化学においてはよく知られた元素間に共有結合を形成することを含むとものと定義される。かかる元素には、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄およびハロゲンが含まれるが、これらに限るものではない。なお、炭素−ケイ素結合および炭素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合と定義されるが、ケイ素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合と定義されない。一般的に、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、有機基表面修飾剤、シラノール基表面修飾剤、ポリマーコーティング表面修飾剤、および上記表面修飾剤の組合せ物によって修飾することができる。
【0047】
例えばシラノール基は、式Z(R’)Si−R[ここで、ZはCl、Br、I、C〜Cアルコキシ、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノなど)、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ、0〜3の整数であり(ただし、a+b=3);R’は、C〜Cの、直鎖、環状または分枝のアルキル基であり、ならびにRは官能化基である。]を有する化合物で表面修飾される。R’は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであり得、好ましくは、R’はメチルである。ある実施形態においては、該有機基は同様に官能化されてよい。
【0048】
官能化基Rは、アルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ジオール基、ニトロ基、陽イオンもしくは陰イオン交換基、または組み込まれた極性官能基を含み得る。適切な官能化基Rの例として、オクチル(C)、オクタデシル(C18)などのC〜C20アルキルおよびトリアコンチル(C30)を含む、C〜C30アルキル;C〜C−フェニルなどのアルカリール;シアノプロピルなどのシアノアルキル基;プロピルジオールなどのジオール基;アミノプロピルなどのアミノ基;および例えば、米国特許第5374755号(この本書は参照によって本明細書に組み込まれる。)に開示されているようなカルバメート官能基などの極性官能基を組み込んだ、アルキル基またはアリール基などが挙げられる。かかる基は、下記一般式
【0049】
【化2】

[式中、l、m、o、rおよびsは、0または1であり、nは0、1、2または3であり、pは0、1、2、3または4であり、ならびにqは0〜19の整数であり;Rは、水素、アルキル、シアノ、およびフェニルからなる群から選択され;ならびにZ、R’、aおよびbは上記定義の通りである。]のものを含む。好ましくは、該カルバメート官能基は下記に示す一般構造を有する。
【0050】
【化3】

式中、Rは、例えばシアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル、またはベンジルであってよい。Rは、オクチル、ドデシル、またはオクタデシルであるのが有利である。
【0051】
好ましい実施形態において、該表面修飾剤は、例えば、オクチルトリクロロシランまたはオクタデシルトリクロロシランなどの有機トリハロシランであり得る。さらなる好ましい実施形態において、該表面修飾剤は、例えば、オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランなどのハロポリ有機シランであり得る。ある実施形態においては、該表面修飾剤はオクタデシルトリメトキシシランである。
【0052】
他の実施形態において、ハイブリッド材料の有機基およびシラノール基は、双方とも表面修飾または誘導体化される。他の実施形態において、ハイブリッド材料がポリマーで被覆されることによって表面修飾される。
【0053】
トリメチルシランなどの小さなシリル化剤を使用して、充填剤表面上に残存しているシラノール基を結合させる場合に、クロマトグラフの固定相は、「エンドキャップされる」と言われる。エンドキャッピングは、逆相充填剤について最もよく使用され、塩基性化合物またはイオン化合物の、所望されていない吸着を減少させることができる。例えば、エンドキャッピングは、結合されたハイブリッドシリカが、トリメチルクロロシランなどの短鎖シランとさらに反応する場合に起こり、残存しているシラノール基をエンドキャップする。エンドキャッピングの目的は、できるだけ多くの残存シラノールを除去することである。エンドキャッピング用にトリメチルシリル供与体として使用することができる試薬には、反応性の減少していく順に、トリメチルシリルイミダゾール(TMSIM)、ビス−N,O−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(BSTFA)、ビス−N,O−トリメチルシリルアセトアミド(BSA)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、トリメチルクロロシラン(TMS)およびヘキサメチルジシラン(HMDS)が含まれる。好ましいエンドキャッピング試薬には、トリメチルクロロシラン(TMS)、含ピリジントリメチルクロロシラン(TMS)およびトリメチルシリルイミダゾール(TMSIM)が含まれる。
【0054】
「多孔化剤(porogens)」については、Smallらによる米国特許第6027643号に記載されている。多孔化剤は追加の材料であり、重合終了後に除去すると、ハイブリッドモノリスの孔隙率が増加する。該孔隙率は、ポリマー相を通る液体が容易に流れるようにするようなものであると同時に、ポリマー相および液相間で適切な接触領域を提供するようなものである必要がある。多孔化剤は、ポリマーが形成される際に該ポリマーによって拒絶される溶媒であることができ、および続いて別の溶媒または水によって置換される。適切な液体多孔化剤は、アルコールを含み、例えばAnalytical Chemistry、Vol.68、No.2、pp.315〜321、Jan.15、1996に記載されている方法で使用される。逆ミセル系が、Mengerらにより、J Am Chem Soc(1990)112:1263〜1264に多孔化剤として記載されている重合可能なモノマーに、水および適当な界面活性剤を加えることにより得られる。多孔化剤の他の例は、Liらによる米国特許第5168104号およびMikesらによる米国特許第4104209号に見出すことができる。
【0055】
本明細書において使用される「界面活性剤」という用語は、単一の界面活性剤または2つ以上の界面活性剤の組合せを含むことを意図する。
【0056】
「孔隙率」は、粒子間隙と粒子本体との容積比である。
【0057】
「細孔容積」は、多孔質充填剤における細孔の全容積であり、および通常mL/gで表す。これは、窒素吸着のBET法か、または高圧下で細孔にHgを注入する水銀圧入法によって測定することができる。Quinnらによる米国特許第5919368号に記載されているように、「細孔容積」は、層にアセトンを注入することにより、浸透している全プローブとして、および続いて分子量6×10のポリスチレン溶液を注入することにより、完全に排除されたプローブとして測定することができる。各標準物質が層を通り抜ける通過時間、すなわち溶出時間は、254nmでの紫外吸光検出によって測定することができる。浸入百分率は、各プローブの溶出容積から排除されたプローブの溶出容積を差し引き、細孔容積で割って算出することができる。別の方法として、細孔容積は、Peregoらによる米国特許第5888466号に記載されているように、Carlo Erba製Sorptomatic 1900装置を使用し、77°KでのN吸着/脱着サイクルによって測定することができる。
【0058】
Chiengらによる米国特許第5861110号に記載されているように、「細孔直径」は、4V/S BETから、細孔容積から、または細孔表面積から算出することができる。細孔直径は重要である。その理由は、細孔直径によって溶質分子の自由拡散が可能になり、したがって溶質分子が固定相と相互作用することができるからである。60Åおよび100Åの細孔直径が最もよく知られている。生体分子の分離に使用される充填剤については、細孔直径が300Åを超えるものが使用されている。
【0059】
Chiengらによる米国特許第5861110号に、同様に記載されているように、「粒子表面積」は、1点BETまたは多点BETによって測定することができる。例えば、多点窒素吸着測定は、Micromeritics ASAP 2400装置で行うことができる。比表面積は、次いで多点BET法を使用して算出し、および平均細孔直径は、最も多い直径であり、対数微分細孔容積分布(dV/dlog(D)対D曲線)から求める。細孔容積は、約3000Å未満の直径を有する細孔の、1点全細孔容積として算出する。
【0060】
「脂肪族基」という用語は、通常1〜22個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖を特徴とする有機化合物を含む。脂肪族基には、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が含まれる。複雑な構造において、該鎖は、分岐または架橋され得る。アルキル基は、1つまたは複数の炭素原子を有する飽和炭化水素を含み、これには、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基が含まれる。かかる炭化水素部分は、1つまたは複数の炭素について、例えばハロゲン基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシ基、アルキルチオ基、またはニトロ基で置換されてよい。炭素の数を特に明記しない限り、本明細書において使用される「低級脂肪族」とは、上記定義のように、(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニルなどの)、ただし、1〜6個の炭素原子を有する、脂肪族基を意味する。低級アルキル基などの、かかる低級脂肪族基の代表的なものは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチルなどである。
【0061】
本明細書において使用される場合、「ニトロ」という用語は−NOを意味し;「ハロゲン」という用語は−F、−Cl、−Br、または−Iを表し;「チオール」という用語はSHを意味し;「ヒドロキシル」という用語は−OHを意味する。
【0062】
「脂環式基」という用語は、3個以上の炭素原子の閉環構造物を含む。脂環式基には、飽和環状炭化水素であるシクロパラフィン、2つ以上の二重結合を有する不飽和の、シクロオレフィンおよびナフタレン、ならびに三重結合を有するシクロアセチレンが含まれる。脂環式基は芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例としては、シクロプロパン、シクロヘキサンおよびシクロペンタンが含まれる。シクロオレフィンの例としては、シクロペンタジエンおよびシクロオクタテトラエンが含まれる。脂環式基には、さらに、縮合環構造物および置換脂環式基、例えばアルキル置換された脂環式基が含まれる。該脂環式基の場合には、かかる置換基はさらに、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどを含むことができる。
【0063】
「複素環基」という用語は、環中の1つまたは複数の原子が炭素以外の元素、例えば窒素、硫黄または酸素であるような閉環構造物を含む。複素環基は、飽和または不飽和であってもよく、ならびにピロールおよびフランなどの複素環基は芳香族性を有することができる。複素環基は、キノリンおよびイソキノリンなどの縮合環構造物を含む。複素環基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが含まれる。複素環基はさらに、1つまたは複数の構成元素が、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換されることも可能である。適当なヘテロ芳香族基およびヘテロ脂環式基は、一般に、1〜3個の、別々の環または縮合環を有し、環1つにつき3〜約8員を有し、および1つまたは複数の、N、OもしくはSの原子を有する。この例としては、クマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリジニルなどが挙げられる。
【0064】
「芳香族基」という用語は、1つまたは複数の環を含む不飽和の環状炭化水素を含む。芳香族基は、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよい、5および6員の単環基を含み、例としては、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが挙げられる。芳香環は、1つまたは複数の環位置が、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換されていてもよい。
【0065】
「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基を含み、これには、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換されたアルキル基が含まれる。好ましい実施形態においては、直鎖または分岐鎖のアルキルが、この主鎖中に20個以下の炭素原子を有し(例えば、直鎖の場合はC〜C20、分岐鎖の場合はC〜C20)、およびさらに好ましくは12個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルはこの環構造中に4〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは環構造中に4〜7個の炭素原子を有する。「低級アルキル」という用語は、鎖中に1〜6個の炭素を有するアルキル基、および環構造中に3〜6個の炭素を有するシクロアルキル基を指す。
【0066】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって使用される「アルキル」(「低級アルキル」を含む)という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の双方を含み、後者は、置換基を有するアルキル部分を指し、炭化水素主鎖のうちの、1つまたは複数の炭素上にある水素が置換基に取って代わっている。かかる置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、もしくは芳香族またはヘテロ芳香族の、部分を含むことができる。炭化水素鎖上の置換部分が、これ自体、適切な場合に置換され得ることは、当業者によって理解されよう。シクロアルキル基がさらに、例えば上記の置換基で置換されていてもよい。「アラルキル」部分は、例えば、1〜3個の、別々の環または縮合環、および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールで置換されたアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))を含む。
【0067】
本明細書において使用される「アルキルアミノ」という用語は、本明細書において定義されるように、アミノ基が結合しているアルキル基を意味する。適当なアルキルアミノ基は、1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する基を含む。「アルキルチオ」という用語は、上記定義のように、スルフヒドリル基が結合しているアルキル基を指す。適当なアルキルチオ基は、1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する基を含む。本明細書において使用される「アルキルカルボキシル」という用語は、上記定義のように、カルボキシル基が結合しているアルキル基を意味する。本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、上記定義のように、酸素原子が結合しているアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基には、1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、アルキルと類似の不飽和脂肪族基を指すが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。適当なアルケニル基およびアルキニル基は、2〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0068】
「アリール」という用語は、0〜4個のヘテロ原子を含んでよい、5および6員の単環芳香族基を含み、この例としては、非置換または置換の、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどがある。アリール基はさらに、例えばナフチル、キノリル、インドリルなどの縮合多環式芳香族基を含む。該芳香環は、1つまたは複数の環位置が、例えばアルキル基に関して上に記載したような置換基で置換されてよい。適当なアリール基は、非置換または置換のフェニル基を含む。本明細書において使用される「アリールオキシ」という用語は、上記定義のように、酸素原子が結合しているアリール基を意味する。本明細書において使用される「アラルコキシ」という用語は、上記定義のように、酸素原子が結合しているアラルキル基を意味する。適切なアラルコキシ基は、1〜3個の、別々の環または縮合環、および6〜約18個の環炭素原子、例えばO−ベンジルを有する。
【0069】
本明細書において使用される場合、「アミノ」という用語は、式−NRの非置換または置換の部分を指す。ここで、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、アルキル、アリール、もしくはヘテロシクリルを指すか、またはRおよびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜8個の原子を環中に有する環状部分を形成する。したがって「アミノ」という用語は、特に明記しない限り、環状アミノ部分、例えば、ピペリジニル基またはピロリジニル基などを含む。「アミノ置換アミノ基」とは、RおよびRの少なくとも一方が、さらにアミノ基で置換されているアミノ基を指す。
【0070】
本発明の組成および方法
本発明は、クロマトグラフ分離などの分離を行うための、または化学反応に関与するための、ハイブリッドモノリス材料を提供する。本発明によるモノリスは、内部領域と外表面を有し、下記に説明する式Iで表される。
[A][B] (式I)
ここで、xおよびyは整数であり、Aは下記式IIおよび/または式IIIで表される。
SiO/(RSiO(式II)および/またはSiO/[R(RSiO(式III)
ここで、RおよびRは、独立に、置換もしくは非置換のC〜Cアルキル基であるか、または置換もしくは非置換のアリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、C〜Cの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である。);mは2以上の整数であり;ならびにnは0.01〜100の数である。Bは下記式IVで表される。
SiO/(RSiO (式IV)
ここで、Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ(メトキシなど)、アリールオキシ、置換されたシロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸およびこれらの組合せからなる群から選択され、およびRは、RでもRでもRでもなく;vは1または2であり(ただし、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1である。);ならびにnは0.01〜100の数である。該粒子の該内部はAの組成を有し、該モノリスの該外表面はAおよびBで表される組成を有し、ならびに該外部の組成は、組成Bが約1〜約99%であり、残りがAを含む。上記式において、Rは以下で表され得る。
−OSi(R−R (式V)
ここで、Rは、C〜Cの、直鎖、環状もしくは分枝の、アルキル基、アリール基もしくはアルコキシ基であるか、またはヒドロキシル基またはシロキサン基からなる群から選択され、およびRは、C〜C36の、直鎖、環状または分枝の、アルキル基(C18、シアノプロピルなど)、アリール基またはアルコキシ基からなる群から選択され、ここで、Rの該基は、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エーテル、カルボニル、エポキシド、スルホニル、陽イオン交換体、陰イオン交換体、カルバメート、アミド、尿素、ペプチド、タンパク質、炭水化物、および核酸の官能基からなる群から選択される1つもしくは複数の部分で置換されている。
【0071】
一般的に、本発明のハイブリッドモノリスは、相当するハイブリッド粒子と比較して、より大きい、細孔容積および表面積を有する。例えば、ある実施形態において、本発明のハイブリッドモノリスは、約0.5〜約2.5cm/gの比細孔容積を有する。他の実施形態において、本発明のハイブリッドモノリスは、約1〜約2cm/gの比細孔容積を有する。同様に、ある実施形態において、本発明のハイブリッドモノリスは、約50〜約800m/gの比表面積を有する。他の実施形態において、本発明のハイブリッドモノリスは、約190〜約520m/gの比表面積を有する。
【0072】
1つの実施形態において、Rの表面濃度は約1.0μmol/mを超えてもよく、より好ましくは約2.0μmol/mを超えてよく、さらに一層好ましくは約3.0μmol/mを超えてよい。より好ましい実施形態では、Rの表面濃度は約1.0〜約3.4μmol/mである。
【0073】
本発明の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、ケイ素−メチル基の表面濃度が約2.5μmol/m未満であってよい。
【0074】
本発明の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、アルキル基結合相の表面濃度が約1.0μmol/mを超えてよい。
【0075】
ケイ素−メチル基の表面濃度は、約2.5μmol/m未満、好ましくは約0.1〜約2.5μmol/m、より好ましくは約0.25〜約2.5μmol/mであってよい。アルキル基結合相の表面濃度は、通常約1.0μmol/mを超え、より好ましくは約3.0μmol/mを超え、さらに一層好ましくは約1.0〜約3.4μmol/mである。
【0076】
ハイブリッド材料は、C18、C、シアノプロピルまたは3−シアノプロピルなどの結合相を有し得る。
【0077】
1つの実施形態においては、該ハイブリッド材料は、約35〜約500Å、より好ましくは約100〜約300Åの平均細孔直径を有する。上記ハイブリッド材料は、低pH(例えば4未満、3未満、2未満)での安定性が増している。高速液体クロマトグラフィーを行う方法において、pH3未満、4未満または5未満のサンプルを、上記ハイブリッド材料の1つを含むカラムに貫流させ得る。
【0078】
ある実施形態においては、本発明の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状を有する。かかるモノリスについては、WO03/014450に記載されている。
【0079】
多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、下記のように、および実施例において説明する具体例にあるように作製することができる。特に、本発明のハイブリッドモノリス材料は、無機/有機ハイブリッド粒子を凝集することによって、間接的に調製してもよいし、または無機および有機前駆物質から直接的に調製してもよい。
【0080】
該間接的な方法に従って、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子は、1つの実施形態において、多段階の方法によって調製することができる。第1段階において、1つまたは複数の有機アルコキシシラン、例えばメチルトリエトキシシランなどと、テトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)とを酸触媒存在下、2つ以上の成分の混合物を同時加水分解させることによって予備重合し、ポリ有機アルコキシシロキサン(POS)、例えばポリアルキルアルコキシシロキサンを形成させる。第2段階において、界面活性剤または複数の界面活性剤の組合せの存在下、POSを水性媒体中に懸濁し、塩基触媒を使用してゲル化させ、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子にする。第3段階において、ハイブリッドシリカ粒子の細孔構造を水熱処理によって修飾し、下記のように、特定の目的自体に対して使用できる、または望ましくはさらに処理することができるハイブリッドシリカ中間体生成物を得る。
【0081】
ハイブリッドシリカの多孔質粒子は、上記方法によって調製されるように、さらに修飾することなく使用することができる。これらのハイブリッド粒子は、未結合のシリカなどの第2の材料と混合され、カラムなどの容器に充填される。充填終了後、該混合物を凝集(例えば焼結)させ、およびその後、洗浄工程によって第2の材料を除去する。生じたモノリス材料は、例えば溶媒で洗浄するなど、さらに処理し、ハイブリッドモノリス材料が得られる。
【0082】
別の方法として、モノリス材料は、無機および有機前駆物質から直接的に調製することができる。直接調製する方法の例は、ゾル−ゲル法である。無機モノリス材料に対する現行のゾル−ゲル法には、400℃を超える温度に達する焼成工程が必要である。この方法は、有機部分が破壊される可能性があるため、ハイブリッドモノリス材料には適していない。さらに、400℃を超えると、シラノール基が不可逆的に縮合してしまい、より酸性のシラノールが残る可能性がある。結果として、一部の分析物、特に塩基性の分析物では、保持力が増大し、テーリングおよび不可逆的な吸着が過剰に生じてしまう。無機/有機ハイブリッドモノリス材料を低温で調製する、本発明のゾル−ゲル法によれば、モノリス材料中の有機部分が保護され、不可逆的なシラノールの縮合が避けられる。
【0083】
無機および有機前駆物質から1段階で、無機/有機ハイブリッドモノリス材料を直接的に調製する一般的な方法は、以下の方法を特徴とすることができる。
【0084】
第1に、酢酸などの水性酸、界面活性剤、テトラアルコキシシランなどの無機前駆物質、および有機アルコキシシラン、有機トリアルコキシシランなどの有機前駆物質とを含む溶液を調製する。酸の濃度範囲は、約0.1mM〜500mM、より好ましくは約10mM〜150mM、およびさらに好ましくは約50mM〜120mMである。界面活性剤の濃度範囲は、約3重量%〜15重量%、より好ましくは約7重量%〜12重量%、さらに好ましくは約8重量%〜10重量%である。さらに、この方法において用いられる、例えばメチルトリメトキシシランおよびテトラメトキシシランなどの全シラン濃度の範囲は、約5g/ml未満、より好ましくは2g/ml未満、さらに好ましくは1g/mlに維持される。
【0085】
次いで、ゾル溶液を制御された温度で温置し、相互に連結した連続的な細孔構造を有する3次元ゲルを生じさせる。温置の温度範囲は、溶液の約氷点付近〜90℃、より好ましくは約20℃〜70℃、さらに好ましくは約35℃〜60℃である。該ゲルの熟成を、制御されたpH(好ましくはpH約2〜3)、および制御された温度(好ましくは約20〜70℃、より好ましくは約35℃〜60℃)で、約5時間〜約10日間、より好ましくは約10時間〜約7日間、さらに好ましくは約2日間〜約5日間行い、固体のモノリス材料を得る。
【0086】
該ハイブリッド材料をさらにゲル化し、および界面活性剤を除去するために、モノリス材料を塩基性水溶液、例えば、水酸化アンモニウムで、約0℃〜80℃、より好ましくは約20℃〜70℃、およびさらに好ましくは約40℃〜60℃の温度で洗浄する。また、ある実施形態において、塩基の濃度は約10−5N〜1Nであり、より好ましくは約10−4N〜0.5N、およびさらに好ましくは約10−3N〜0.1Nである。該モノリス材料は、約1〜6日間、より好ましくは約1.5〜4.5日間、およびさらに好ましくは約2〜3日間洗浄する。
【0087】
1つの実施形態において、調製したままのハイブリッド材料の細孔構造は、水熱処理によって変性され、BET窒素(N)吸着分析によって確認されるように、細孔直径のみならず細孔の開口部も増大する。該水熱処理は、調製したままのハイブリッド材料および有機塩基の水溶液を含むスラリーを調製し、このスラリーをオートクレーブ中、高温(例えば約143〜168℃)で約6〜28時間加熱することによって行う。該スラリーのpHは、濃酢酸を使用して約8.0〜9.0の範囲に調節される。該スラリーの濃度は、塩基溶液4〜10mlにつき、ハイブリッド材料1gの範囲にある。このようにして処理したハイブリッド材料を濾過し、濾液のpHが7に達するまで水およびアセトンで洗浄し、次いで、100℃で減圧下、16時間乾燥する。得られたハイブリッド材料は、約100〜300Åの範囲の平均細孔直径を示す。
【0088】
シリカモノリス材料の表面に、タンパク質またはペプチドを結合させるために、モノリスを、アルデヒドを含むシラン試薬と処理することができる。MacBeathらによる(2000)Science 289:1760〜1763。アルデヒドはタンパク質上で第一アミンと容易に反応し、シッフ塩基結合を形成する。該アルデヒドはさらにリジンと反応することもある。別の方法として、タンパク質、ペプチドおよび他の目的分子は、シリカモノリスの表面に、N−{m−{3−(トリフルオロメチル)ジアジリン−3−イル}フェニル}−4−マレイミドブチルアミドを使用することによって結合させることができる。かかる試薬は、システインチオールの熱化学改変によるマレイミド官能基、および光依存性によるアリールジアジリン官能基を有し、カルベンを介在してシリカモノリスに結合する。Collioudらによる(1993)Bioconjugate 4:528〜536。カルベンを生成するアリールジアジリンを、350−nm光源を用いて活性化させることにより、生物活性が損なわれない条件下で、タンパク質、酵素、免疫試薬、炭水化物および核酸の共有結合の形成が可能であることが示されている。タンパク質またはペプチドは、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン(APTS)、すなわち3−NH(CHSi(OCHCHを用いて、シリカモノリスの表面シラノール基を誘導体化することにより、シリカモノリスの表面に結合させることも可能である。Hanらによる(1999)J.Am.Chem.Soc.121:9897〜9898。
【0089】
炭水化物をシリカモノリス材料の表面に結合させる例では、カリックス{4}レゾルカレンのオクタガラクトース誘導体が、ラクトノラクトンとオクタアミンとの反応によって得られる。Fujimotoら、(1997)J.Am.Chem.Soc.119:6676〜6677。シリカ−モノリス材料は、オクタガラクトース誘導体の水溶液中に浸すと、得られたオクタガラクトース誘導体は、シリカモノリス材料の表面に容易に吸着される。オクタガラクトース誘導体とシリカモノリス材料との相互作用は、水素結合を伴う。Ho Changらによる米国特許第4029583号には、シランカップリング剤の使用について記載されている。この試薬は、シリカモノリス材料に結合可能なケイ素官能基、および炭水化物部分に結合可能な有機官能基を有する、有機シランである。
【0090】
オリゴヌクレオチドをシリカモノリス材料の表面に結合させるために、シリカモノリス材料を、APTSにより処理することで、アミノシラン修飾されたモノリス材料を生成することができる。該アミノシラン修飾されたモノリス材料は、次いで、p−ニトロフェニルクロロホルメート(NPC)(フルカ)、グルタルアルデヒド(GA)(シグマ)、無水マレイン酸(MA)(アルドリッチ)と処理され、次いで、5’−NH−標識DNAまたは5’−SH−標識DNAと処理される。Yangらによる(1998)Chemistry Letters、pp.257〜258。別の方法として、オリゴヌクレオチドを、シリカモノリス材料の表面に加えることが可能である。これは、3−グリシオドキシプロピルトリメトキシシラン(3−glyciodoxypropyltrimethoxysilane)をシリカモノリス材料と反応させることにより、シラノール基が生成し、次いで、得られたエポキシドが酸性条件下で、ジオールまたは水と結合することによる。Maskosらによる(1992)Nucleic Acids Research 20(7):1679〜1684。オリゴヌクレオチドはまた、ホスホラミデートの、アミノ官能基を含むシリカモノリス材料への結合を通して、シリカモノリス材料の表面に結合することができる。例えば、アミノ官能基を含むシリカモノリス材料は、5’−リン酸イミダゾリド誘導体と反応させた。Ghoshらによる(1987)Nucleic Acids Research 15(13):5353〜5373。5’−リン酸化オリゴヌクレオチドは、N−メチルイミダゾール緩衝液中、水溶性の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)の存在下でアミノ基と反応させた。光照射化学合成を使用して、オリゴヌクレオチドをシリカモノリス材料の表面に結合させることができる。該方法を開始するために、光化学的に除去可能な保護基で修飾されたリンカーが、固体基質に結合させられる。光が写真平板マスクを通して該表面の特定の範囲に導入され、この領域が化学結合用に活性化される。Lipshutzらによる(1993)BioTechniques 19(3):442〜447。
【0091】
ここまでの調製されたハイブリッドシリカの表面は、まだシラノール基を含んでいる。このシラノール基は、反応性の高い有機シランと反応することによって誘導体化し得る。ハイブリッドシリカの表面誘導体化は、標準的な方法に従って、例えば、有機溶媒中、還流条件下でオクタデシルジメチルクロロシランとの反応により行われる。トルエンなどの有機溶媒が、この反応に通常使用される。ピリジンまたはイミダゾールなどの有機塩基が、該反応に触媒作用を及ぼすために、該反応混合物に加えられる。このようにして得られた生成物は、次いで水、トルエンおよびアセトンで洗浄し、減圧下100℃で16時間乾燥させる。得られたハイブリッドシリカは、トリメチルクロロシランなどの短鎖シランとさらに反応させ、上記の類似の手順を用いることにより、残存しているシラノール基をエンドキャップすることができる。
【0092】
ハイブリッドシリカモノリス材料の表面はまた、表面修飾剤、例えばZ(R’)Si−R[ここで、ZはCl、Br、I、C〜Cアルコキシ、ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ)、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ、0〜3の整数であり(ただし、a+b=3);R’は、C〜Cの、直鎖、環状または分枝のアルキル基であり、ならびにRは官能化基である。]で表面修飾すること、およびポリマーコーティングにより表面修飾することもできる。R’は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであってよく、好ましくは、R’はメチルである。
【0093】
官能化基Rは、アルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ジオール基、ニトロ基、陽イオンもしくは陰イオン交換基、または組み込まれた極性官能基を含んでいてよい。適当な官能化基Rの例としては、オクチル(C)およびオクタデシル(C18)などのC〜C20アルキル;C〜C−フェニルなどのアルカリール;シアノプロピルなどのシアノアルキル基;プロピルジオールなどのジオール基;アミノプロピルなどのアミノ基;ならびに例えば、米国特許第5374755号に開示され、および本明細書の上記に詳述したようなカルバメート官能基などの、組み込まれた極性官能基などが挙げられる。好ましい実施形態においては、該表面修飾剤は、例えば、オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランなどのハロ有機シランであってよい。Rは、オクチルまたはオクタデシルであるのが有利である。
【0094】
ポリマーコーティングは、文献において知られており、通常、ポリマー層が支持体への化学結合を起こすことなく、表面上に物理吸着したモノマーの、重合もしくは重縮合によって(タイプI)、ポリマー層が支持体への化学結合を起こして、表面上に物理吸着したモノマーの、重合もしくは重縮合によって(タイプII)、物理吸着したプレポリマーの支持体への固定化によって(タイプIII)、および予備合成されたポリマーの支持体表面への化学吸着によって(タイプIV)実現することができる。例えば、HansonらによるJ.Chromat.A656(1993)369〜380を参照のこと。
【0095】
当技術分野の現況では、ハイブリッド有機/無機物を基材としたRP HPLCカラム充填剤は、クロロシランをハイブリッドモノリス材料に結合させることによって調製される。該ハイブリッドモノリス材料は、モノリスの構造に完全に組み込まれたメチル−ケイ素基を有する。すなわち、該メチル基は、ハイブリッドケイ酸塩主鎖の内部構造と、モノリスの外表面上の双方において見出される。内部および外部のメチル基により、純シリカを基材とした材料と比較した場合、高pHの移動相におけるハイブリッド材料の安定性が改良されることが示されている。しかしながら、該表面のメチル基はまた、シリカ相と比較して、C18およびCシランなどのシランと結合した後の結合相の表面濃度をより低下させることにつながるが、これはおそらく、表面上のメチル基が、結合に対して反応しないためである。例えば、低pH(約pH5など)の移動相を使用する場合、三官能性のC18結合相を有するXTerra(商標)MS C18などのハイブリッド製品は、従来の、シリカを基材とした三官能性のC18結合相と比較して、安定性がより低い。ハイブリッドモノリスの表面メチル基は、隣接したC18配位子間の架橋結合の度合いを低下させる可能性があり、本来メチル基は、該結合を妨げる。この影響により、該C18配位子が表面に共有結合を有することがより少なくなるので、低pHでの安定性が減少することが予想されるであろう。
【0096】
本発明は、表面のケイ素−メチル基をシラノール基に、選択的に変換する手順を提供する。反応条件によって、該モノリスの内部構造には支障を来たさないか、または内部のメチル基がただわずかに影響を受ける程度である。その結果これにより、最初のハイブリッドモノリスとは異なったモノリスに至ることになる。このモノリスの表面は、今や純シリカの表面とかなり似ている。該モノリスの新規な組成は、標準的な分析の解析手法(CHN、BET、NMR)により裏付けられている。
【0097】
これらの改変されたモノリスはまた、クロロシランとの結合後のC18の表面濃度が高くなることが見出されている。おそらくこれは、新しく形成された表面シラノール基が、シロキサン配位子に変換されたためであろう。
【0098】
表面Si−CH基のSi−OH基およびSi−F基への変換
該ハイブリッドモノリスの表面におけるSi−CH基は、以下の反応によってSi−OH基およびSi−F基に変換することができる。
【0099】
【化4】

【0100】
上記反応は、メタノール/THF/水中で実施されるので、完全に湿った状態にすることおよび全細孔に接近することが可能のはずである。開裂の機構は、改変されたバイヤー−ヴィリガー酸化であると思われる。この反応は、最小限の遷移状態要件を有しなければならない。メチル基が失われることは、例えば、反応生成物のCHN燃焼分析などによって測定できる。ここで、反応物対未処理物の炭素含量(%C)の減少が、表面メチル基が失われた量、したがって、表面上に存在するメチル基の量とみなされる。IRおよびNMR分析もまた、この変化を測定するため、および表面の、他のいずれの変化も探すために用いることができる。
【0101】
他のフッ素化試薬が、KFの代わりに使用可能である。例として、フッ化水素カリウム(KHF)、フッ化テトラブチルアンモニウム({CHCHCHCHNF)、三フッ化ホウ素−酢酸錯体(BF−2{CHCOH})またはテトラフルオロホウ酸ジエチルエーテル化合物(HBF−O(CHCH)が、KFの代わりに使用可能である。
【0102】
炭酸水素ナトリウムなどの他の炭酸塩試薬が、例えば、炭酸水素カリウムの代わりに使用可能である。
【0103】
他の試薬を、過酸化水素(H)の代わりに使用することができる。例として、3−クロロペルオキシ安息香酸(ClCCOH)および過酢酸(CHCOH)が、過酸化水素(H)の代わりに使用可能である。
【0104】
別の方法として、ケイ素−炭素結合は、ケイ素化合物を、以下に示すように、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)と反応させることによって開裂し得る。この合成の説明は、Tamaoらによる(1982)Tetrahedron 39(6):983〜990中に見出すことができる。
【0105】
【化5】

【0106】
同様に、ケイ素−炭素結合は、ケイ素化合物を、以下に示すように、過酸化水素と反応させることによって開裂し得る。この合成の説明は、Tamaoらによる(1983)Organometallics 2:1694〜1696中に見出すことができる。
【0107】
【化6】

【0108】
本発明の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、分離科学において種々の幅広い最終用途を有する。この例としては、クロマトグラフのカラム用材料(かかるカラムは、アルカリ性移動相に対する安定性が向上し得、および塩基性分析物に対するピークテーリングが減少し得る。)、薄層クロマトグラフ(TLC)プレート、濾過膜、マイクロタイタープレート、スカベンジャー樹脂、固相有機合成用担体などが挙げられる。これらは、クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状を有する、多孔質の無機/有機ハイブリッド材料、および本発明の多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料を含む固定相を有する。該固定相は、個々の装置の要求に従って、充填、コーティング、または含浸、被覆、包囲、または当技術分野において認識されているその他の手法などによって導入することができる。特に有利な実施形態においては、クロマトグラフ装置とは、HPLCにおいて広く使用されているようなクロマトグラフのカラムである。
【0109】
(実施例)
本発明は、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリス材料の調製について記載する以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例に限るものではない。
【0110】
材料
すべての試薬は、特に断りのない限り、入荷したままの状態で使用された。当業者であれば、以下の供給品および供給業者の同等物が存在することを認識する。このように、下記掲載の供給業者は、これらに限ると解釈されるべきではない。
【0111】
Gelest Inc.、ペンシルバニア州モリスビル:(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(MAPTMOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、ビス(トリメトキシシリル)−エタン(BTME)およびオクタデシルジメチルクロロシラン(ODS);BASF Corp.、ニュージャージー州マウントオリーヴ:プルロニック(登録商標)P105、プルロニック(登録商標)P123;Aldrich Chemical、ウィスコンシン州ミルウォーキー:イミダゾール、トリトンX−100トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、フッ化カリウム(KF)、炭酸水素カリウム(KHCO)、30%過酸化水素(30%H)、テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタデシルジメチルクロロシラン;J.T.Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ:尿素、塩化メチレン、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ピリジン、塩酸、アンモニア水および氷酢酸。溶媒はすべてHPLCグレードであった。水は、Millipore Milli−Q(Millipore Corp.、マサチューセッツ州ベッドフォード)から直接使用した。高圧滅菌器(オートクレーブ)は、Parr Instruments、Inc.、イリノイ州モリーン製であった。
【0112】
特性付け
当業者であれば、以下の機器および供給業者の同等物が存在することを認識しよう。このように、下記掲載の機器は、これらに限ると解釈されるべきではない。
【0113】
平均マクロポア直径(MPD)およびマクロポア細孔容積(MPV)は、水銀ポロシメーター(MicromeriticsオートポアII 9220またはオートポアIV、Micromeritics、ジョージア州ノークロス)を用いて測定した。これらの材料の%C値は、燃焼分析(CE−400 元素分析装置(Elemental Analyzer);Exeter Analytical Inc.、マサチューセッツ州ノースチェルムスフォード)を用いて測定した。フッ素含有量(F)は、Galbraith Laboratories、Inc.、テネシー州ノックスビルによる燃焼/ISE法によって測定した。これらの材料の、比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)および平均細孔直径(APD)は、多点N吸着法(Micromeritics ASAP 2400;Micromeritics Instruments Inc.、ジョージア州ノークロス)を用いて測定した。比表面積は、BET法を用いて算出し、比細孔容積は、P/Po>0.98に対して測定した1点値であり、および平均細孔直径は、BJH法を用いて等温線の脱着レグ(desorption leg)から算出した。
【実施例1】
【0114】
プルロニックP−105 21.0gを、70mM酢酸溶液150mLに溶かした。得られた溶液を、プルロニックP−105が完全に溶解するまで、室温で攪拌し、次いで、氷水浴で冷却した。その間に、メチルトリメトキシ−シラン(20mL)およびテトラメトキシシラン(40mL)を別の密封フラスコに入れ、室温で混合した。混合したシラン溶液を、冷却した酢酸溶液にゆっくり加えたところ、シラン溶液は数分後に酢酸溶液に溶解した。得られた溶液を、一連の密封ポリプロピレン製バイアル(9.6mm×10cm)中に移し、これらのバイアルを45℃で2日間静置した。生成した白色の固形ロッドを、続いて0.1N水酸化アンモニウム水溶液に60℃で3日間浸した。次いで、モノリスロッドを水で2日間洗浄した。ここで、水の交換は昼間2時間毎に8時間行い、次いで一晩静置した。次いで、湿ったロッド(20Ea)を0.1M TRIS(酢酸でpH7.9に調製済)150mlに浸し、次いで、オートクレーブに入れ、加圧下155℃で21時間加熱した。冷却後すぐに、モノリスロッドを水で2日間浸した。ここで、水の交換は昼間2時間毎に8時間行い、次いで一晩静置した。次いで、水で湿ったロッドを60℃でアセトンに一晩浸し、および最後に減圧下80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥したロッド(20Ea)を1N HCl溶液2000mLに浸し、98℃で17時間加熱した。次いで、冷却後すぐにモノリスロッドを、廃液がpH7.0になるまで水で洗浄した。水で湿ったロッドを、アセトンで洗浄し、および最後に減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。実施例1bのロッドは、10カ月間水中で室温保存し、その後、TRIS溶液で処理し、続いて酸洗浄した。代表的なロッドに対する特性データを表1にまとめる。
【0115】
【表1】

【実施例2】
【0116】
プルロニックP−123 21.0gを、100mM酢酸溶液150mLに溶かした。得られた溶液を、プルロニックP−123が完全に溶解するまで、室温で攪拌し、次いで、氷水浴で冷却した。その間に、ビス(トリメトキシシリル)エタン(20mL)およびテトラメトキシシラン(50mL)を別の密封フラスコに入れ、室温で混合した。混合したシラン溶液のうち60mL分を、冷却した酢酸溶液にゆっくり加えたところ、シラン溶液は30分かけて酢酸溶液に溶解した。得られた溶液を、一連の密封ポリプロピレン製バイアル(9.6mm×10cm)中に移し、これらのバイアルを室温で30時間静置した。生成した白色の固形ロッドを、続いて0.1N水酸化アンモニウム水溶液に60℃で3日間浸した。生成した白色の固形ロッドを、続いて別の0.1N水酸化アンモニウム水溶液に90℃で16時間浸した。次いで、モノリスロッドを水に浸し、100℃で1時間加熱した。ここで、この工程はさらに2回繰り返した。次いで、湿ったロッド(10Ea)を0.3M TRIS(酢酸でpH9.5に調製済)250mlに浸し、次いで、オートクレーブに入れ、加圧下155℃で17時間加熱した。冷却後すぐに、モノリスロッドを水に3回浸した。ここで、水の交換は2時間毎に行った。次いで、水で湿ったロッドを1N HCl溶液2000mLに浸し、100℃で16時間加熱した。次いで、冷却後すぐにモノリスロッドを、廃液がpH7.0になるまで水で洗浄した。水で湿ったロッドを、アセトンで洗浄し、および最後に減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。実施例2bのロッドは、10カ月間水中で室温保存し、その後、TRIS溶液で処理し、続いて酸洗浄した。代表的なロッドに対する特性データを表2にまとめる。
【0117】
【表2】

【実施例3】
【0118】
トリトンX−100 25.0gを、15mM酢酸溶液100mLに溶かした。得られた溶液を、トリトンX−100が完全に溶解するまで、室温で攪拌し、次いで、氷水浴で冷却した。その間に、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(10mL)およびテトラメトキシシラン(40mL)を別の密封フラスコに入れ、室温で混合した。混合したシラン溶液のうち40mL分を、冷却した酢酸溶液にゆっくり加えたところ、シラン溶液は60分かけて酢酸溶液に溶解した。得られた溶液を、一連の密封ポリプロピレン製バイアル(9.6mm×10cm)中に移した。これらのバイアルを室温で1時間静置し、次いで、45℃で90時間加熱した。生成した白色の固形ロッドを、続いて0.1N水酸化アンモニウム水溶液に60℃で1日間浸した。次いで、モノリスロッドを室温で3時間水に浸した。ここで、この工程はさらに2回繰り返し、最終回では一晩そのまま保管した。次いで、湿ったロッド(10Ea)を0.3M TRIS(酢酸でpH9.5に調製済)150mlに浸し、次いで、オートクレーブに入れ、加圧下155℃で18時間加熱した。冷却後すぐに、モノリスロッドを水で1日間浸した。ここで、水の交換は昼間2時間毎に8時間行い、次いで一晩静置した。次いで、水で湿ったロッドを60℃でアセトンに一晩浸し、および最後に減圧下80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥したロッド(10Ea)を1N HCl溶液2000mLに浸し、98℃で17時間加熱した。次いで、冷却後すぐにモノリスロッドを、廃液がpH7.0になるまで水で洗浄した。水で湿ったロッドを、アセトンで洗浄し、および最後に減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。代表的なロッドに対する特性データを表3にまとめる。
【0119】
【表3】

【実施例4】
【0120】
モノリスロッドを、実施例1から通常全部で3〜5本選択し、メタノール(MeOH)とテトラヒドロフラン(THF)との混合液中に浸した。併用したロッドの種類および重量の一覧を表4に示す。モノリスの破損を避けるために、ロッド同士がお互いから、およびマグネチックスターラーバー(攪拌子)からも離れているよう注意した。次に、フッ化カリウム(KF)、炭酸水素カリウム(KHCO)および30%水性Hを加えた。ここで、所定量の一覧を表4に示す。これらの混合物を、所定時間(表2に一覧を示す)60℃に加熱した。冷却後すぐに、これらのロッドを、大量の水で洗浄し、次いで、1M HCl溶液800mL中で16時間98〜100℃に加熱した。冷却後すぐに、ロッドを、廃液のpHが中性になるまで大量の水で洗浄した。水で湿ったロッドを、アセトンで洗浄し、および最後に減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。代表的なロッドに対する特性データを表5にまとめる。
【実施例5】
【0121】
モノリスロッドを、実施例2から通常全部で3〜5本選択し、実施例4に記載した通り処理した。併用したロッドの種類および重量、ならびに試薬の量の一覧を表4に示す。代表的なロッドに対する特性データを表5にまとめる。
【実施例6】
【0122】
モノリスロッドを、実施例3から全部で3〜5本選択し、実施例4に記載した通り処理した。併用したロッドの種類および重量、ならびに試薬の量の一覧を表4に示す。代表的なロッドに対する特性データを表5にまとめる。
【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【実施例7】
【0125】
モノリスロッドを、実施例1および4から通常全部で3〜5本選択し、トルエン1500mL中で60分間還流することにより、完全に乾燥させた。40℃未満に冷却後すぐに、イミダゾール5.6gおよびクロロジメチルオクタデシルシラン23.6gを加え、次いで、トルエンを3時間加熱還流した。モノリスの破損を避けるために、ロッド同士がお互いから、およびマグネチックスターラーバー(攪拌子)からも離れているよう注意した。室温に冷却後すぐに、この溶液をロッドから分離し、ロッドをそれぞれ100mLの、トルエン(3回)、アセトン(2回)、アセトン:水(体積比1:1)(3回)およびアセトン(2回)で洗浄した。次いで、アセトンで湿ったロッドを、アセトン:1M HCl(体積比8:2)溶液1500mL中に吊るし、次いで、60℃で16〜24時間加熱した。室温に冷却後すぐに、この溶液をロッドから分離し、ロッドをそれぞれ100mLの、アセトン:水(体積比1:1)(2回)、アセトン(2回)、70℃を超える温度に加熱したトルエン(2回)およびアセトン(2回)で洗浄した。アセトンで湿ったロッドを、減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。
【0126】
ロッド7a〜cについては、反応物質または副生成物を含む窒素が、ロッドにおける燃焼分析によって発見され、追加の洗浄工程を行った。すなわち、個々のロッドを、還流トルエン中に1時間吊るし、次いで、トルエンの温度が90℃を超えているように保ちながら、デカンテーションによってトルエンをロッドから分離した。この工程は、トルエンに関して2回繰り返した。この工程は4回目を繰り返したが、ただしアセトンを使用し、デカンテーションの最低温度は40℃であった。次いで、アセトンで湿ったロッドを、減圧下(30”Hg未満)70℃で一晩乾燥した。反応物質または副生成物を含む窒素が、ロッドにおける燃焼分析によって、それでもまだ発見された場合には、追加の洗浄工程を繰り返した。
【0127】
追加の洗浄工程の代替方法では、上記のトルエンに関するステップの後で、アセトン:水(体積比1:1)の混合物を約60℃に加熱して用いることができた。代表的なロッドに対する特性データを表6にまとめる。
【実施例8】
【0128】
モノリスロッドを、実施例2および5から通常全部で3〜5本選択し、実施例7に記載した通り処理した。ロッド8a〜cについては、実施例7a〜cにおいて概説したように、追加の洗浄工程が必要であった。代表的なロッドに対する特性データを表6にまとめる。
【0129】
【表6】

【0130】
均等物
当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した特定の手順に対して非常に多くの同等物を認識するか、または確認することができよう。かかる同等物は、本発明の範囲内にあると考えられ、冒頭の特許請求の範囲によって保護される。本出願の全体にわたって引用した、すべての文献、公表された特許、および公開特許出願の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0131】
参照による組み込み
ここにおいて引用した、すべての特許、公開特許出願、および他の文献の全内容が、参照によってこれらの全体を本明細書に明示的に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを含み、前記モノリスは内部領域と外表面とを有し、前記モノリスは下記式、
[A][B] (式I)
{xおよびyは整数であり、およびAは、
SiO/(RSiO(式II)および/またはSiO/[R(RSiO(式III)
[RおよびRは、独立に、置換もしくは非置換のCからCアルキル基であるかまたは置換もしくは非置換のアリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、CからCの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である。);mは2以上の整数であり;ならびにnは0.01から100までの数である。]であり;
Bは、
SiO/(RSiO (式IV)
[Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換されたシロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸またはこれらの組合せであり、Rは、RでもRでもRでもなく;vは1または2であり(ただし、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1である。);ならびにnは0.01から100までの数である。]である。}で表され、
前記モノリスの前記内部がAの組成を有し、前記モノリスの前記外表面がAおよびBで表される組成を有し、前記外部の組成は、組成Bが約1から約99%であり、残りがAを含む
クロマトグラフ分離用材料。
【請求項2】
前記外表面は、組成Bが約50から約90%であり、残りが組成Aを含む組成を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記外表面は、組成Bが約70から約90%であり、残りが組成Aを含む組成を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項4】
がヒドロキシルである、請求項1に記載の材料。
【請求項5】
がフッ素である、請求項1に記載の材料。
【請求項6】
がメトキシである、請求項1に記載の材料。
【請求項7】
が、
−OSi(R−R (式V)
[Rは、CからCの、直鎖、環状もしくは分枝の、アルキル基、アリール基もしくはアルコキシ基であるか、ヒドロキシル基またはシロキサン基であり、およびRは、CからC36の、直鎖、環状または分枝の、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、ここで、Rは、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エーテル、カルボニル、エポキシド、スルホニル、陽イオン交換体、陰イオン交換体、カルバメート、アミド、尿素、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸の官能基およびこれらの組合せからなる群から選択される1つもしくは複数の部分で置換されている。]
である、請求項1に記載の材料。
【請求項8】
がC18基である、請求項7に記載の材料。
【請求項9】
がシアノプロピル基である、請求項7に記載の材料。
【請求項10】
約50から約800m/gの比表面積を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項11】
約190から約520m/gの比表面積を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項12】
約0.5から約2.5cm/gの比細孔容積を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項13】
約1から約2cm/gの比細孔容積を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項14】
約35から500Åの平均細孔直径を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項15】
約100から300Åの平均細孔直径を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項16】
ポリマーコーティングによって表面修飾されている、請求項1に記載の材料。
【請求項17】
サンプルを請求項1に記載の材料と接触させることを含む、クロマトグラフ分離を行う方法。
【請求項18】
前記サンプルが、請求項1に記載の材料を含む、クロマトグラフのカラムに通される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
の表面濃度が約1.0μmol/mを超える、請求項7に記載の材料。
【請求項20】
の表面濃度が約2.0μmol/mを超える、請求項7に記載の材料。
【請求項21】
の表面濃度が約3.0μmol/mを超える、請求項7に記載の材料。
【請求項22】
の表面濃度が約1.0から3.4μmol/mである、請求項7に記載の材料。
【請求項23】
約50から約800m/gの比表面積を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項24】
約190から約520m/gの比表面積を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項25】
約0.5から約2.5cm/gの比細孔容積を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項26】
約1から約2cm/gの比細孔容積を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項27】
約35から500Åの平均細孔直径を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項28】
約100から300Åの平均細孔直径を有する、請求項20に記載の材料。
【請求項29】
ポリマーコーティングによって表面修飾されている、請求項20に記載の材料。
【請求項30】
サンプルを請求項20に記載の材料と接触させることを含む、分離を行う方法。
【請求項31】
前記サンプルが、請求項20に記載の材料を含むクロマトグラフのカラムに通される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
請求項1に記載の材料を含む分離装置。
【請求項33】
前記装置が、クロマトグラフのカラム、薄層クロマトグラフプレート、濾過膜、サンプルクリーンアップ装置、固相有機合成用担体およびマイクロタイタープレートからなる群から選択される、請求項30に記載の分離装置。
【請求項34】
前記モノリスが、クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状を有する、請求項1に記載の材料。
【請求項35】
前記モノリスが、クロマトグラフを向上させる細孔の幾何学形状を有する、請求項30に記載の分離装置。
【請求項36】
多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを含み、前記モノリスが内部領域と外表面とを有し、ここで前記モノリスは下記式、
[A][B] (式I)
{xおよびyは整数であり、およびAは、
SiO/(RSiO(式II)および/またはSiO/[R(RSiO(式III)
[RおよびRは、独立に、置換もしくは非置換のCからCアルキル基であるか、または置換もしくは非置換のアリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、CからCの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である);mは2以上の整数であり;ならびにnは0.01から100までの数である。]であり;
Bは、
SiO/(RSiO (式IV)
[Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換されたシロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸またはこれらの組合せであり、Rは、RでもRでもRでもなく;vは1または2であり(ただし、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1である。);ならびにnは0.01から100までの数である。]である。}で表され、
前記モノリスの前記内部がAの組成を有し、前記モノリスの前記外表面がAおよびBで表される組成を有し、前記外部の組成は、組成Bが約1から約99%であり、残りがAを含むクロマトグラフ分離用材料を調製するための、
以下a)からg)、
a)酸触媒、および界面活性剤または複数の界面活性剤の組合せの存在下、1つまたは複数の有機アルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物の水溶液を調製して、ポリ有機アルコキシシロキサンを生産すること;
b)前記溶液を温置することにより、相互に連結した連続的な細孔構造を有する3次元ゲルを生じさせること;
c)制御されたpHおよび温度で前記ゲルを熟成させ、固体のモノリス材料を得ること;
d)前記モノリス材料を、高温で、塩基性水溶液で洗浄すること;
e)前記モノリス材料を水で洗浄し、次いで溶媒交換を行うこと;
f)前記モノリス材料を室温で乾燥し、および減圧下、高温で乾燥すること;および
g)前記モノリスの表面にある、CからCアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の、CからCの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基の、1つまたは複数を、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシまたは置換されたシロキサン基で置換すること
を含む方法。
【請求項37】
ステップd)の後に、前記モノリス材料の細孔構造が、水熱処理によって修飾されることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記置換することが、前記ハイブリッドモノリスを、水性H、KFおよびKHCOと、有機溶液中で反応させることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記有機トリアルコキシシランおよび前記テトラアルコキシシランのモル比が、約100:1から0.01:1である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記界面活性剤が、アルキルフェノキシポリエトキシエタノールおよび/またはプルロニックブロックコポリマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
ステップa)における前記溶液が、さらに多孔化剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記置換することが、前記ハイブリッドモノリスの表面を、表面修飾剤で修飾することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記表面修飾剤が、Z(R’)Si−R
[ZはCl、Br、I、CからCアルコキシ、ジアルキルアミノであり;aおよびbはそれぞれ、0から3までの整数であり(ただし、a+b=3である。);R’は、CからCの、直鎖、環状または分枝のアルキル基であり;ならびにRは官能化基である。]
である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
R’が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
官能化基Rが、アルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ジオール基、ニトロ基、陽イオンまたは陰イオン交換基および組み込まれた極性官能基からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記表面修飾剤がハロ有機シランである、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
ハロ有機シランが、オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記ハイブリッドモノリスの表面をエンドキャッピングすることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記ハイブリッドモノリスの表面が、トリアルキルハロシランでエンドキャッピングされている、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
トリアルキルハロシランがトリメチルクロロシランである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを含み、前記モノリスは内部領域と外表面とを有し、前記モノリスは下記式、
[A][B] (式I)
{xおよびyは整数であり、およびAは、
SiO/(RSiO(式II)および/またはSiO/[R(RSiO(式III)
[RおよびRは、独立に、置換もしくは非置換のCからCアルキル基であるかまたは置換もしくは非置換のアリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋する、置換もしくは非置換の、CからCの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基であり、pおよびqは、0、1または2であり(ただし、p+q=1または2、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1である。);rは0または1であり(ただし、r=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1である。);mは2以上の整数であり;ならびにnは0.01から100までの数である。]であり;
Bは、
SiO/(RSiO (式IV)
[Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換されたシロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸またはこれらの組合せであり、Rは、RでもRでもRでもなく;vは1または2であり(ただし、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1である。);ならびにnは0.01から100までの数である。]である。}で表され、
前記モノリスの前記内部がAの組成を有し、前記モノリスの前記外表面がAおよびBで表される組成を有し、前記外部の組成は、組成Bが約1から約99%であり、残りがAを含み、
以下a)からg)、
a)酸触媒、および界面活性剤または複数の界面活性剤の組合せの存在下、1つまたは複数の有機アルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物の水溶液を調製して、ポリ有機アルコキシシロキサンを生産すること;
b)前記溶液を温置することにより、相互に連結した連続的な細孔構造を有する3次元ゲルを生じさせること;
c)制御されたpHおよび温度で前記ゲルを熟成させ、固体のモノリス材料を得ること;
d)前記モノリス材料を、高温で、塩基性水溶液で洗浄すること;
e)前記モノリス材料を水で洗浄し、次いで溶媒交換を行うこと;
f)前記モノリス材料を室温で乾燥し、および減圧下、高温で乾燥すること;および
g)前記モノリスの表面にある、CからCアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の、CからCの、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基の、1つまたは複数を、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシまたは置換されたシロキサン基で置換すること
を含む方法によって調製されるクロマトグラフ分離用材料。
【請求項53】
以下(a)から(e)、
(a)表面にケイ素−アルキル基を有する、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを形成すること;
(b)前記ハイブリッドモノリスの、表面のケイ素−アルキル基の1つまたは複数をヒドロキシル基で置換すること;
(c)表面のケイ素−アルキル基の1つまたは複数をハロ基で置換すること;
(d)置換されたシロキサン基の1つまたは複数を前記ハイブリッドモノリスの表面に結合させること;および
(e)前記ハイブリッドモノリスの表面を、トリアルキルハロシランでエンドキャッピングすること
を含む、多孔質の無機/有機ハイブリッドモノリスを形成する方法。
【請求項54】
アルキルがメチルであり、およびハロがクロロである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
置換されたシロキサン基の1つまたは複数を、前記ハイブリッドモノリスの表面に結合させることにより結合相を生成する、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記結合相が、オクタデシルジメチルシロキサン基(ODS)またはCNを含む、請求項53に記載の方法。

【公表番号】特表2007−523331(P2007−523331A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553361(P2006−553361)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/004955
【国際公開番号】WO2005/079427
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(504438255)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (80)
【Fターム(参考)】