説明

有機官能性シランによるカルボキシル化ニトリル重合体の架橋;硬化性可塑剤組成物

【課題】 少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含むゴム組成物において架橋剤の添加を必要としない組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含有するコンパウンドに、少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を添加して、該コンパウンドの硬化を誘引し、次いで硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を含む重合体コンパウンド、並びに少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含むコンパウンドに、少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物を添加して、該コンパウンドの硬化を誘引し、次いで硬化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム;XNBR、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種の不飽和ニトリル、少なくとも1種のカルボキシル化モノマー及び任意に更にコモノマーを含む共重合体)の選択的水素化により作られるカルボキシル化水素化アクリロニトリルゴム(HXNBR)は、極めて良好な耐熱性、優れた耐オゾン性及び耐薬品性、及び優れた耐油性を有する特異ゴムである。ゴムの高水準の機械的特性(特に高度の耐摩耗性)と連携して、XNBR及びHXNBRは特に自動車(ベルト、シール、ホース、ベアリングパッド)、オイル(ステーター、坑口シール、弁板)、電気(ケーブル被覆)、機械工学(ホイール、ローラー)及び造船(パイプシール、カップリング)産業に広範な用途が見い出されているのは驚くことではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CA 2,462,006は、1つ以上のエポキシド基を有するエポキシ添加剤及び少なくとも1種の架橋剤を用い、シラン官能価を持たないコンパウンドを開示している。本発明は、少なくとも1つのエポキシ基及び少なくとも1つのシラン官能価を有し、架橋剤の添加を必要としない。USP 6,380,290は、アクリレート又はメタクリレート金属塩、過酸化物硬化性エラストマー、低コンパウンドムーニー粘度及び高デルタトルクを示す1つ以上のエポキシド基を有する可塑剤を含有するゴム組成物を開示しているが、本発明の有機官能性シランコンパウンドでは、エポキシ添加剤と一緒にアクリレート又はメタクリレート金属塩を使用するUSP 6,380,290とは異なり、他の硬化剤を必要としない。
【特許文献1】CA 2,462,006
【特許文献2】USP 6,380,290
【特許文献3】WO−01/77185−A1
【特許文献4】EP−A1−0319320
【特許文献5】US−5208294
【特許文献6】US−4983676
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下
【非特許文献2】Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.17,p666以下
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
一局面では本発明は、少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を含む重合体コンパウンドに関する。XNBRは一部又は全部が水素化されている(“HXNBR”)ことが好ましい。好ましくは本発明は、少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び過酸化物、硫黄、硫黄化合物等のような架橋剤を更に含まない少なくとも1種の充填剤を含む重合体コンパウンドに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
発明の説明
本明細書中で使用する用語“カルボキシル化ニトリルゴム”又はXNBRは、広い意味を意図し、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル及び任意に更に1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位を有するエラストマーを含むことを意味する。
【0006】
共役ジエンは、公知のいかなる共役ジエン、好ましくはC〜C共役ジエンであってもよい。好ましい共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチルブタジエン及びそれらの混合物である。更に好ましいC〜C共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物である。最も好ましいC〜C共役ジエンはブタジエンである。
【0007】
α,β−不飽和ニトリルは、公知のいかなるα,β−不飽和ニトリル、好ましくはC〜Cα,β−不飽和ニトリルであってもよい。好ましいC〜Cα,β−不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル及びそれらの混合物である。最も好ましいC〜Cα,β−不飽和ニトリルはアクリロニトリルである。
【0008】
少なくとも1つのカルボキシる基を有するモノマーは、ニトリル及びジエンと共重合し得る少なくとも1つのカルボキシル基を有する公知のいかなるモノマーでもよい。
少なくとも1つのカルボキシル基を有する好ましいモノマーは、不飽和カルボン酸である。好適な不飽和カルボン酸の非限定的例は、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物である。
【0009】
好ましくは、この共重合体は、1種以上の共役ジエンから誘導された繰り返し単位を40〜85重量%の範囲、1種以上の不飽和ニトリルから誘導された繰り返し単位を15〜60重量%の範囲及び少なくとも1つのカルボン酸基を有する1種以上のモノマーから誘導された繰り返し単位を0.1〜15重量%の範囲含有する。更に好ましくは共重合体は、1つ以上の共役ジエンから誘導された繰り返し単位を55〜75重量%の範囲、1種以上の不飽和ニトリルから誘導された繰り返し単位を25〜40重量%の範囲及び少なくとも1つのカルボン酸基を有する1種以上のモノマーから誘導された繰り返し単位を1〜7重量%の範囲含有する。
【0010】
任意にこの共重合体は、アルキルアクリレート、スチレンのような1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位を更に含有してよい。1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位は、ニトリルゴムのニトリル部分又はジエン部分と置換し、また前述の数値が100重量%になるように調節する必要があることは、当業者には明らかであろう。
【0011】
本発明の水素化は、好ましくは水素化される出発ニトリル重合体/NBR中に存在する残存二重結合(RDB)に対し50%を超え、好ましくはRDBに対し90%を超え、更に好ましくはRDBに対し95%を超え、最も好ましくは99%を超えて水素化されることを意味すると理解することが好ましい。
【0012】
本発明は水素化カルボキシル化NBRの特定製造法に制約されるものではない。しかし、本発明で好ましいHXNBRは、WO−01/77185−A1に開示された方法で容易に得られる。この方法に当てはまる範囲でWO−01/77185−A1をここに援用する。
【0013】
本発明重合体コンパウンドの好ましい成分を形成するXNBRもHXNBRも当該技術分野で公知の標準技術で特徴付けできる。例えばこの重合体の分子量分布は、Waters 2690分離モジュール及びWaters 410示差屈折計運転用Waters Millenniumソフトウエアバージョン3.05.01を用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される。サンプルをBHT0.025%で安定化したテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。測定に用いたカラムは、Polymer Labs.の3つの連続混合B−ゲルカラムである。使用した参照基準は、American Polymer Standards Corp.のポリスチレン基準である。
【0014】
本発明の重合体コンパウンドは、更に少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、及び少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物を含有する。本発明では、有機官能性シランは、一般式X−R’−[Si−(OR”)を有する。式中、xはエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基であり、aは1以上であり、R’はアルキレン基であり、OR”はアルコキシ又はアシロキシ基であり、b=1,2又は3、cは1以上である。この添加剤は、硬化性(反応性)可塑剤として作用し、前記カルボキシル化ニトリル重合体を硬化して(MDRで見られる)、モジュラスを増大させ、またムーニー粘度を低下せせることにより加工性を改良する。更にこの添加剤は、硫黄又は過酸化物のような他の慣用の硬化剤を必要としないで使用される唯一の硬化剤である。
【0015】
本発明重合体コンパウンドの他の局面は、コンパウンドには最小限の可塑剤でよいので、封止性能が向上することである。
【0016】
本発明の重合体コンパウンドは、更に少なくとも1種の充填剤を含有する。充填剤は活性充填剤又は不活性充填剤或いはそれらの混合物であってよい。充填剤は特に以下のものであってよい。
・例えばシリケート溶液の沈殿、又はハロゲン化珪素の火炎加水分解により製造した高分散シリカで、比表面積は、5〜1000m/gの範囲で、主な粒度は、10〜400nmの範囲である。このシリカは、任意に、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr及びTiのような他の金属の酸化物との混合酸化物として存在してもよい。
・珪酸アルミニウム、及び珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等のアルカリ土類金属シリケートのような合成シリケートで、BET比表面積は、20〜400m/gの範囲で、主な粒度は、10〜400nmの範囲である。
・カオリン及びその他の天然産シリカのような天然シリケート。
・ガラスファイバー及びガラスファイバー製品(マット、押出品)又は微小ガラス球。
・カーボンブラック。ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック法、ファーネスブラック法又はガスブラック法で製造され、好ましくは、BET(DIN 66131)比表面積は、20〜200m/gの範囲で、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF又はGPFカーボンブラックである。
・ゴムゲル、特にポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレンをベースとするゴムゲル。
或いは以上の混合物でもよい。
【0017】
好ましい無機充填剤の例としては、シリカ、シリケート、ベントナイトのような粘土、石膏、アルミナ、二酸化チタン、タルク、及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの無機粒子は、表面に水酸基を有し、親水性兼疎油性にする。これは、充填剤粒子とゴムとの良好な相互作用を達成する困難性を悪化させる。多くの目的には、好ましい無機物は、シリカ、特に珪酸ナトリウムの二酸化炭素沈殿で作ったシリカである。本発明で使用するのに好適な乾燥非晶質シリカ粒子の平均凝集物粒度は、1〜100μの範囲、好ましくは10〜50μの範囲、最も好ましくは10〜25μの範囲である。凝集物粒子の10容量%未満は、5μ未満か、或いは50μを超える粒度が好ましい。好適な非晶質乾燥シリカは、更に通常、DIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定したBET表面積が50〜450m/gの範囲であり、DIN 53601に従って測定したDBP吸収量が、150〜400g/100gシリカの範囲であり、またDIN ISO 787/11に従って測定した乾燥減量が、0〜10重量%の範囲である。好適なシリカ充填剤は、PPG Industries Inc.から商品名HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233及びHiSil(登録商標)243で得られる。またLANXESS AGから得られるVulkasil(登録商標)S及びVulkasil(登録商標)Nも好適である。
【0018】
充填剤としてカーボンブラックを使用すると有利なことが多い。本発明の重合体複合材料には、通常、カーボンブラックが20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部、更に好ましくは40〜100重量部の範囲の量存在する。更に本発明の重合体複合材料には、カーボンブラックと無機充填剤とを組合わせ使用するのが有利であるかも知れない。このような組合わせで、無機充填剤とカーボンブラックとの比は、通常、0.05〜20、好ましくは0.1〜10の範囲である。
【0019】
本発明のゴム組成物は、更にゴム用の助剤製品を含有できる。このような助剤製品は、ゴム業界で周知であり、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、泡立て剤、経時変化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、禁止剤、金属酸化物、及びトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等のような活性剤である。これらのゴム助剤は、特に意図する用途に応じた従来量で使用される。従来量は、例えばゴムに対し0.1〜50重量%である。組成物は、更に助剤製品として、有機脂肪酸を0.1〜20phrの範囲含有することが好ましい。好ましい有機脂肪酸は、分子中に1、2又はそれ以上の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸で、更に好ましくは分子中に少なくとも1つの共役炭素−炭素二重結合を有する共役ジエン酸を10重量%以上含む不飽和脂肪酸である。これら脂肪酸は、好ましくは炭素数8〜22、更に好ましくは12〜18の範囲のものである。このような脂肪酸としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びそれらのカルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム及びアンモニウムの塩である。組成物は、助剤製品としてアクリレートを5〜50phr含有することが好ましい。好適なアクリレートは、EP−A1−0319320の特に第3頁16〜35行;US−5208294の特に第2欄25〜40行;及びUS−4983676の特に第2欄45〜62行から公知である。特にアクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛、或いはトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、ブタンジオールジメタクリレート(BDMA)及びエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)のような液体アクリレートに言及する。異種のアクリレート及び/又はそれらの金属塩を組合わせ使用すると有利かも知れない。金属アクリレートを、立体障害フェノール(例えばメチル置換アミノアルキルフェノール、特に2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール)のようなスコーチ防止剤と併用すると特に有利であることが多い。
【0020】
最終重合体ブレンドの成分は、好適には25〜200℃の範囲であってよい高温で一緒に混合する。混合時間は、普通、1時間を越えず、2〜30分の範囲で通常、十分である。混合は、好適な混合手段、例えばBanburyミキサーのような密閉式ミキサー、或いはHaake又はBrabenderミニチュア密閉式ミキサーで行うのが好適である。2−ロールミルミキサーもエラストマー中に添加剤を良好に分散できる。押出機も良好に混合でき、混合時間も短くて済む。混合を2段階以上で行うことが可能であり、また異なる装置、例えば1つの段階を密閉式ミキサーで行い、また1つの段階を押出機で行うことも可能である。配合及び加硫については、Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下(配合)及びVol.17,p666以下(加硫)も参照。
【0021】
こうして本発明は、少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を含有する組成物を提供する。更に本発明の重合体コンパウンドは、この重合体コンパウンドを含む造形品の製造に使用してよい。好ましい造形品は、タイミングベルト、シール、ホース、ベアリングパッド、ステーター、坑口シール、弁板、ケーブル被覆、ホイールローラー、パイプシール、射出成形法で作った定位置ガスケット又は履物部品である。更に本発明の重合体複合材料は、電線及びケーブルの製造に極めて好適である。
本発明を以下の実施例により更に説明するが限定を意図するものではない、例中、部及び%は、特に規定しない限り重量である。
【実施例1】
【0022】
実施例
例1〜3
重合体複合材料をBrabenderミニチュア密閉式ミキサー中で単一混合工程(8分/30℃/80rpm)で混合した。複合材料はミル混合でも製造できる。この評価で使用した配合物は、第1表に示す処方に基づく。例3は比較例である。
【0023】
【表1】

【0024】
Armeen(商標)18Dは、AkzoNobelから得られるオクタデシルアミンで、コンパウンドの金属への粘着性を低下させるのに使用される。
THERBAN(商標)XT(商標)8889は、LANXESS AGのHXNBRである。
Naugard(商標)445(p−ジクミルジフェニルアミン)は、Uniroyalの安定剤である。
Plasthall TOTM(商標)(トリメリット酸トリオクチル)は、C.P.Hallの可塑剤である。
Diak(商標)7(トリアリルイソシアヌレート)は、DuPontの助剤(coagent)である。
Struktol(商標)ZP1014(不活性担体上に過酸化亜鉛50%)。
Vulcup 40KE(α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン)、過酸化物40%。
硬化性可塑剤として使用した有機官能性シラン化合物は、DOW CORNING Z−6040(商標)(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)液状添加剤でDow Corning Corporationから得られる。
【0025】
重合体複合材料の特性
第2表に例1〜3の重合体複合材料の特性の概要を示す。MDR硬化特性(ASTM D5289、180℃、1°アーク,1.7Hz、60分)、ムーニー(ASTM D1646)及び応力−歪(ASTM D412)。
【0026】
【表2】

【0027】
デルタMH−MLは架橋密度を示す。従来の架橋剤の不存在下で、例1及び例2は、19.5〜35.5のデルタトルクを示した。このデルタトルクは、DOW CORNING Z−6040(商標)含有量の関数として、また100℃でのモジュラスの関数としても増大する。DOW CORNING Z−6040(商標)10phrは、Vulcup 40KE(過酸化物)7phrに近い硬化密度を与える。またムーニー粘度は、グリシドキシ官能性シラン化合物含有量の関数として低下する。デルタトルクの増大及びムーニー粘度の低下は、HXNBRの硬化剤として、また可塑剤としても挙動している証拠である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を含む重合体コンパウンド。
【請求項2】
前記カルボキシル化ニトリル重合体が、水素化カルボキシル化ニトリルゴムである請求項1に記載のコンパウンド。
【請求項3】
前記コンパウンドが、更に架橋剤又は硬化剤を含まない請求項1に記載のコンパウンド。
【請求項4】
前記有機官能性シラン化合物が、グリシドキシ官能性シラン化合物である請求項1のいずれか1項に記載のコンパウンド。
【請求項5】
前記グリシドキシ官能性シラン化合物が、1〜20phrの量、更に好ましくは5〜10phrの量で存在する請求項4に記載のコンパウンド。
【請求項6】
少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含むコンパウンドに、少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物を添加して、該コンパウンドの硬化を誘引し、次いで硬化させる方法。
【請求項7】
少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体;少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物;及び少なくとも1種の充填剤を含む重合体コンパウンドを含有する造形品。
【請求項8】
少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含むコンパウンドに、少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物を添加して、該コンパウンドへの無機充填剤又はガラス充填剤の導入/分散を改良し、次いで硬化させる方法。
【請求項9】
少なくとも1種の任意に水素化されたカルボキシル化ニトリル重合体を含むコンパウンドに、少なくとも1種のエポキシ、アミン、イソシアネート、又はカルボキシル基の誘導体を形成し得る他の官能基、少なくとも1種のシラン基を有する少なくとも1種の有機官能性シラン化合物を添加して、該コンパウンドの他の基体(ガラス、金属等)への接着性を改良し、次いで硬化させる方法。
【請求項10】
シール、ホース、ベアリングパッド、ステーター、坑口シール、弁板、ケーブル被覆、ホイールローラー、パイプシール、ベルト、射出成形法で作った定位置ガスケット又は履物部品、電線及びケーブルの製造の形態である請求項7に記載の造形品。
【請求項11】
前記重合体製品がタイミングベルト又はコンベヤベルトである請求項7に記載の重合体コンパウンド。

【公開番号】特開2006−104465(P2006−104465A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279127(P2005−279127)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(505137432)ランクセス・インク. (9)
【Fターム(参考)】