説明

有機発光化合物及びこれを備えた有機発光素子

【課題】有機発光化合物及びこれを具備した有機発光素子を提供する。
【解決手段】化学式1で表される有機発光化合物。


前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、−X−は、−O−、−S−、アルキレン基等であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のC−C26のアリール基等であり、RないしR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC−C30のアリール基等から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光化合物及びこれを備えた有機発光素子に係り、さらに詳細には、優れた電気的特性、熱安定性及び光化学安定性(photochemical stability)を有し、有機発光素子の使用時に、駆動電圧が低くかつ優れた色純度を示すことができる有機発光化合物と、前記有機発光化合物を含む有機膜を採用した有機発光素子とに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(light emitting device)は、自発光型素子であり、視野角が広く、かつコントラストに優れるだけではなく、応答時間が速いという長所を有している。前記発光素子には、発光層(emitting layer)に無機化合物を使用する無機発光素子と、有機化合物を使用する有機発光素子(Organic Light Emitting Device:OLED)とがあるが、有機発光素子は、無機発光素子に比べ、輝度、駆動電圧及び応答速度の特性に優れており、多色化が可能であるという点で多くの研究がなされている。
【0003】
有機発光素子は、一般的に、アノード、有機発光層及びカソードの順次積層構造を有するが、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及びカソードの順次積層構造、またはアノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及びカソードの順次積層構造など、多様な構造を有することができる。
【0004】
有機発光素子の製造に使用される物質は、有機膜の製造方法により、真空蒸着性物質と溶液塗布性物質とに分けられる。真空蒸着性物質は、500℃以下で1.3×10−4Pa(1×10−6torr)以上の蒸気圧を有さなければならず、主に分子量1,200以下の低分子物質が好ましい。溶液塗布性物質は、溶液状態で調製が可能となるように、溶媒に対する溶解性が高くなければならず、芳香族または複素環化合物を含まなければならない。
【0005】
真空蒸着方法を使用して有機発光素子が製造される場合、真空システムの使用で製造コストがかさみ、天然色の表示用画素を製造するためにシャドーマスクを使用する場合、高解像度の画素を製造し難い。これに対し、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スピンコーティングのような溶液塗布法の場合には、製造が容易であり、かつ製造コストが低く、シャドーマスクを使用する場合に比べて優れた解像度を得ることができる。
【0006】
しかし、溶液塗布法に使用できる物質の場合、青色発光分子の性能が熱的安定性、色純度などの点で、真空蒸着法に使用できる物質に比べて劣っていた。また、前記性能に優れる場合でも、青色発光分子から形成された有機膜が徐々に結晶化し、結晶のサイズが可視光線波長の範囲に該当して可視光線を散乱させ、白濁現象を示すことがあり、ピンホール(pin hole)などが形成されて素子の劣化を招きやすいという問題点があった。
【0007】
特許文献1には、発光層または正孔注入層に使用されうる化合物として、2つのナフチル基で置換されたアントラセンが開示されている。しかし、前記化合物は、溶剤溶解性が不十分であるだけではなく、これを採用した有機発光素子の特性は、満足すべきレベルに達していない。
【0008】
従って、熱的安定性などに優れ、かつ優れた有機膜の生成が可能である青色発光化合物を使用し、駆動電圧、輝度、効率の点で優れており、かつ色純度を向上させた有機発光素子の開発が依然として要求されている。
【特許文献1】特開平11−003782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来技術の問題点を解決するために、本発明の技術的課題は、溶解性及び熱安定性に優れた有機発光化合物を提供するとともに、低駆動電圧、高効率、高輝度及び高い色純度を有する有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を達成するための第1目的として、下記化学式1で表される有機発光化合物を提供する:
【0011】
【化1】

【0012】
前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、−X−は、−O−、−S−、下記化学式a、下記化学式b、下記化学式cまたは下記化学式dであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基であり、RないしR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC−C30のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC−C30のアリール基、置換または非置換のC−C30のアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリールオキシ基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20のシクロアルキル基、及び置換または非置換のC−C30のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される。
【0013】
【化2】

【0014】
前記式で、RないしRは、それぞれ独立して、水素原子または置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基である。
【0015】
また、本発明は第2目的として、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される少なくとも一層の有機膜と、を備える有機発光素子であって、前記有機膜が本発明により得られる有機発光化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による化学式1で表される化合物は、溶解性に優れるだけではなく、優れた発光特性及び熱安定性を有する。従って、本発明による化合物を利用すれば、低い駆動電圧及び優れた色純度を有する有機発光素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明による有機発光化合物は、下記化学式1で表される。
【0019】
【化3】

【0020】
前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基またはジフェニルアントラセニレン基であることが好ましい。−X−は、−O−、−S−、下記化学式a、下記化学式b、下記化学式cまたは下記化学式dである。
【0021】
【化4】

【0022】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基であり、水素原子、ハロゲン原子、あるいは置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、若しくはジフェニルアントラセニル基であることが好ましい。RないしR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC−C30のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC−C30のアリール基、置換または非置換のC−C30のアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリールオキシ基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20のシクロアルキル基、及び置換または非置換のC−C30のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される。また、前記RないしR22は、以下に限定されることはないが、それぞれ独立して水素原子であることが好ましく、更に、以下に挙げるものも好ましい。
【0023】
前記置換または非置換のC−C30のアルキル基は、置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、若しくはヘキシル基であることが好ましく、また前記置換として一以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは非置換のアミノ基(−NH、−NH(R)、−N(R’)(R”)、R’とR”は互いに独立して炭素数1ないし10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C−C20のアルキル基、C−C20のハロゲン化されたアルキル基、C−C20のアルケニル基、C−C20のアルキニル基、C−C20のヘテロアルキル基、C−C20のアリール基、C−C20のアリールアルキル基、C−C20のヘテロアリール基、またはC−C20のヘテロアリールアルキル基に置換されてもよい。
【0024】
前記置換または非置換のC−C30のアリール基は、一以上の芳香族環を含む芳香族炭素環系(カーボサイクル芳香族システム)である基、すなわちフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基またはこれらと同じ芳香族グループであることが好ましく、フェニル基、ナフチル基またはテトラヒドロナフチル基であることがより好ましい。前記アリール基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。なお、前記芳香族環はペンダント方法で共に付着されたり、あるいは融合(fusion)されうる。
【0025】
前記置換または非置換のC−C30のヘテロアリール基は、N、O、PまたはSの中から選ばれた1、2または3個のヘテロ原子を環原子として含み、かつ残りの環原子が環原子数5ないし30のCである芳香族環系であることが好ましい。前記ヘテロアリール基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。なお、前記芳香族環はペンダント方法で共に付着されたり、あるいは融合(fusion)されうる。
【0026】
前記置換または非置換のC−C30のアルコキシ基は、ラジカル−O−アルキル基であり、このうちアルキル基の部分は上述の通りである。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基またはヘキシルオキシ基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブチルオキシ基であることがより好ましい。前記アルコキシ基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0027】
前記置換または非置換のC−C30のアリールアルキル基は、上述したC−C30のアリール基における水素原子のうち一部が低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル)のラジカルに置換されてなるものを意味し、ベンジル基またはフェニルエチル基であることが好ましい。前記アリールアルキル基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0028】
前記置換または非置換のC−C30のヘテロアリールアルキル基は、上述したC−C30のヘテロアリール基における水素原子の一部が低級アルキル基に置換されてなるものを意味する。前記置換または非置換のC−C30のヘテロアリールアルキル基は、上記したC−C30のヘテロアリール基のうち好ましい基における水素原子の一部が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基)に置換されてなるものであることが好ましい。前記ヘテロアリールアルキル基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0029】
前記置換または非置換のC−C30のアリールオキシ基は、ラジカル−O−アリール基であり、このうちアリール基の部分は上述の通りである。前記アリールオキシ基は、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基であることが好ましい。前記アリールオキシ基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0030】
前記置換または非置換のC−C30のヘテロアリールオキシ基は、ラジカル−O−ヘテロアリールであり、このうちヘテロアリール基の部分は上述の通りである。前記ヘテロアリールオキシ基は、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基が好ましい。ヘテロアリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0031】
前記置換または非置換のC−C20のシクロアルキル基は、C−C20の1価単環系を意味する。前記シクロアルキル基のうち少なくとも一以上の水素原子は前記C−C20のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0032】
前記置換または非置換のC−C30のヘテロシクロアルキル基は、N、O、PまたはSの中から選ばれた1、2または3個のヘテロ原子を環原子として含み、かつ残りの環原子が環原子数5ないし30のCである1価単環系であることが好ましい。前記シクロアルキル基のうち一以上の水素原子は前記C−C30のアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。なお、本発明の化合物において使われるアミノ基は−NH、−NH(R)または−N(R’)(R”)を意味し、R’とR”は互いに独立してC−C10のアルキル基である。
【0033】
以上が、RないしR22の好ましい範囲である。また、前記化学式aないし前記化学式dにおいて、RないしRは、それぞれ独立して、水素原子または置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基であり、水素原子あるいは置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、若しくはヘキシル基であることが好ましい。
【0034】
好ましくは、前記有機発光化合物は下記化学式2の構造を有する。
【0035】
【化5】

【0036】
前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基またはジフェニルアントラセニレン基であることが好ましい。−X−は、−O−、−S−、下記化学式a、下記化学式b、下記化学式cまたは下記化学式dであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基であり、水素原子、ハロゲン原子、あるいは置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、若しくはジフェニルアントラセニル基であることが好ましい。
【0037】
【化6】

【0038】
前記式で、RないしRは、それぞれ独立して、水素原子または置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基であり、水素原子あるいは置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、若しくはヘキシル基であることが好ましい。
【0039】
より好ましくは、前記有機発光化合物は下記化学式3または4の構造を有する。
【0040】
【化7】

【0041】
【化8】

【0042】
前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基またはジフェニルアントラセニレン基であることが好ましい。
【0043】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基であり、水素原子、ハロゲン原子、あるいは置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、若しくはジフェニルアントラセニル基であることが好ましい。
【0044】
好ましくは、前記化学式1ないし化学式4で表される本発明の有機発光化合物において、Arは、下記化学式e、下記化学式f、下記化学式g、下記化学式h、下記化学式i、下記化学式jまたは下記化学式kである。
【0045】
【化9】

【0046】
前記式で、R23ないしR28は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C12のアルコキシ基である。
【0047】
本発明において、非置換のアルキル基の具体例としては、以下に限定されることはないが、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどを挙げることができる。また、前記アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、置換または非置換のアミノ基(−NH、−NH(R)、−N(R’)(R”))、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C−C20のアルキル基、C−C20のハロゲン化されたアルキル基、C−C20のアルケニル基、C−C20のアルキニル基、C−C20のヘテロアルキル基、C−C20のアリール基、C−C20のアリールアルキル基、C−C20のヘテロアリール基、またはC−C20のヘテロアリールアルキル基に置換されうる。なお、前記R’及び前記R“は、それぞれ独立してC−C10のアルキル基である。
【0048】
また、本発明において、アリール基とは、一つ以上の芳香族環を含む炭素環芳香族系を意味し、前記芳香族環は、ペンダント法(pendent method)で付着されるか、または融合(fusion)されうる。非置換のアリール基の具体例としては、以下に限定されることはないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどの芳香族基を挙げることができ、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0049】
本発明の化学式における置換基を定義する際に用いられる「置換された(substituted)」という文言は、前記置換基が更に任意の基により置換されていることを意味する。前記置換基を更に置換する基の例としては、以下に制限されることはないが、C−C12のアルキル基、C−C12のアルコキシ基、フッ素または塩素などのハロゲン原子、C−C30の低級アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは非置換のアミノ基(−NH、−NH(R)、−N(R’)(R“))、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C−C20のハロゲン化されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、C−C30のアリール基、ヘテロアリール基、C−C30のアリールアルキル基、またはC−C30のヘテロアリールアルキル基を挙げることができる。なお、前記R’及び前記R”は、それぞれ独立してC−C12のアルキル基である。
【0050】
さらに詳細に、本発明の一実施形態によれば、本発明の有機発光化合物は、下記化学式5ないし化学式21で表される構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
前記化学式1で表される本発明による化合物は、通常の合成方法を利用して合成され、前記化合物のさらに詳細な合成経路は、下記合成例の反応式を参照する。
【0058】
また、本発明による有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される少なくとも一層の有機膜と、を備え、前記有機膜が前記化学式1ないし化学式4で表される化合物を一つ以上含むことを特徴とする。
【0059】
前記有機膜は、発光層、正孔注入層または正孔輸送層であることが好ましい。
【0060】
図2A及び図2Bは、本発明の有機発光化合物の一実施形態に係る、波長をパラメーターとした時の吸光度変化を表したグラフである。図2Aは、前記化学式19で表される化合物についての経時的なフォトルミネッセンス(PhotoLuminescence:PL)スペクトルであり、図2Bは、図2AのPLスペクトルを標準化したグラフ(ノーマライズPLスペクトル)である。
【0061】
スピンコーティング法で製造した薄膜の場合においては、経時的なPL強度の変化が小さく、スペクトルの形状が図2Bに示されているものと同様であるため、経時的な薄膜の色安定性に優れる。また、フォトルミネッセンス量子効率(PhotoLuminescence Quantum efficiency:PLQ)は33%であり、従来の有機発光化合物と同等以上の発光特性を有するということが分かる。詳細については、後述の合成例の項でより詳細に説明する。
【0062】
本発明による有機発光素子は、溶液塗布法で製造する場合、有機膜の安定性が劣る従来の有機発光素子の場合とは異なり、優れた溶解性と熱安定性とを有しつつも、安定した有機膜の形成が可能である有機発光化合物を含み、駆動電圧が低く、かつ色純度の向上した発光特性を提供できる。
【0063】
本発明による有機発光素子の構造は非常に多様である。前記第1電極と前記第2電極との間に正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択される一層以上の層を更に備えることができる。その際、前記有機発光素子は、上記の各層を一層ずつ備えてもよいし、二層以上備えてもよい。
【0064】
さらに具体的に言うと、本発明による有機発光素子の一実施形態は、図1Aに示すような第1電極上に正孔注入層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体、図1Bに示すような第1電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体、または図1Cに示すような第1電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体を有することが可能である。前記有機発光素子について、図1A、図1B及び図1Cを参照しつつ説明する。図1Aの有機発光素子は、第1電極上に順次積層された正孔注入層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極からなる構造を有し、図1Bの有機発光素子は、第1電極上に順次積層された正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極からなる構造を有する。また、図1Cの有機発光素子は、第1電極上に順次積層された正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極からなる構造を有する。このとき、前記発光層、前記正孔注入層及び前記正孔輸送層のうち、一層以上に本発明の有機発光化合物を含むことができる。なお、図1Aないし図1Cは、第1電極を下側に配置しているが、電極を含む各層が上記の順に積層されるならば、第1電極が常に下側とは限らず、どのような方向に配置されてもよい。以降についても同様である。
【0065】
本発明による有機発光素子の発光層は、赤色、緑色、青色または白色を含むリン光または蛍光のドーパントを含むことができる。このうち、前記リン光ドーパントは、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)及びツリウム(Tm)からなる群から選択される一種以上の元素を含む有機金属化合物でありうる。
【0066】
以下、本発明による有機発光素子の製造方法を、図1Cに図示された有機発光素子を参照して説明する。
【0067】
まず、基板上部に、仕事関数の大きな第1電極用物質を蒸着法またはスパッタリング法などにより蒸着し、第1電極を形成する。前記第1電極は、アノードでありうる。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用するが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性に優れるガラス基板または透明プラスチック基板が好ましい。第1電極用の物質としては、透明であって伝導性に優れる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
【0068】
次に、前記第1電極の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの多様な方法を利用し、正孔注入層(hole injection layer:HIL)を形成できる。
【0069】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度1.33×10−6ないし1.33×10−1Pa(1×10−8ないし1×10−3torr)、蒸着速度0.1ないし10nm/sec(0.01ないし100Å/sec)、膜厚は、通常1nm(10Å)ないし5μmの範囲で適切に選択することが好ましい。
【0070】
上記のうち、例えばスピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2,000ないし5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80ないし200℃の温度範囲で適切に選択することが好ましい。
【0071】
前記正孔注入層の物質は、前述のような化学式1を有する化合物でありうる。または、例えば、米国特許第4,356,429号明細書に開示された銅フタロシアニンのようなフタロシアニン化合物、またはAdvanced Material,6,p.677(1994)に記載されているスターバスト型アミン誘導体類であるTCTA、m−MTDATA、m−MTDAPB、下記溶解性のある伝導性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA:Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、または下記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート(PEDOT/PSS(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/Poly(4−styrenesulfonate)、ポリアニリン/カンフルスルホン酸(Pani/CSA(Polyaniline/Camphorsulfonicacid)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート(PANI/PSS(Polyaniline/Poly(4−styrenesulfonate)のような公知の正孔注入物質を使用できる。
【0072】
【化16】

【0073】
前記正孔注入層の厚さは、約10ないし1,000nm(約100ないし10,000Å)、好ましくは、10ないし100nm(100ないし1,000Å)でありうる。前記正孔注入層の厚さが10nm(100Å)未満である場合、正孔注入特性が低下し、前記正孔注入層の厚さが1,000nm(10,000Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0074】
次に、前記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用し、正孔輸送層(hole transport layer:HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0075】
前記正孔輸送層の物質は、前述のような化学式1を有する化合物でありうる。または、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールのようなカルバゾール誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)のような芳香族縮合環を有する一般的なアミン誘導体のような公知の正孔輸送物質を使用できる。
【0076】
前記正孔輸送層の厚さは、約5ないし100nm(約50ないし1,000Å)、好ましくは、10ないし60nm(100ないし600Å)でありうる。前記正孔輸送層の厚さが5nm(50Å)未満である場合、正孔輸送特性が低下し、前記正孔輸送層の厚さが100nm(1,000Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0077】
次に、前記正孔輸送層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して発光層(light emitting layer:EML)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0078】
前記発光層は、前述のように、本発明による化学式1の化合物を含むことができる。このとき、化学式1で表される化合物に適した公知のホスト材料と共に使われることもあり、公知のドーパント材料と共に使われることもある。前記化学式1の化合物を単独で使用することも可能である。ホスト材料として、例えば、トリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq)または4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、またはポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)などを使用できる。ドーパント材料の例は、蛍光ドーパントとしては、IDE102及びIDE105(出光興産(株)製)、並びにC545T(林原社製)などを使用できる。また、リン光ドーパントとしては、赤色リン光ドーパントであるPtOEP及びRD61(UDC社製)、緑色リン光ドーパントであるIr(PPy)(PPy=2−フェニルピリジン)、並びに青色リン光ドーパントであるF2Irpic及びRD61(UDC社製)などを使用できる。下記化学式22は、ドーパントとして使用可能なDPAVBiの構造を表す。
【0079】
【化17】

【0080】
ドーピング濃度は、特に制限されないが、一般的に、ホストの100重量部を基準として前記ドーパントの含有量は、0.01〜15重量部である。
【0081】
前記発光層の厚さは、約10ないし100nm(約100ないし1,000Å)、好ましくは、20ないし60nm(200ないし600Å)でありうる。前記発光層の厚さが10nm(100Å)未満である場合、発光特性が低下し、前記発光層の厚さが100nm(1,000Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0082】
発光層であるリン光ドーパントと共に使用する場合には、三重項励起子または正孔が電子輸送層に拡散する現象を防止するために、前記正孔輸送層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、またはLB法のような方法を利用して正孔阻止層(hole blocking layer:HBL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法により正孔阻止層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。前記正孔阻止層を形成する物質は、前述のような化学式1を有する化合物でありうる。または、例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、BCPのような公知の正孔阻止材料を使用できる。
【0083】
前記正孔阻止層の厚さは、約5ないし100nm(約50ないし1,000Å)、好ましくは、10ないし30nm(100ないし300Å)でありうる。前記正孔阻止層の厚さが5nm(50Å)未満である場合、正孔阻止特性が低下し、前記正孔阻止層の厚さが100nm(1,000Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0084】
次に電子輸送層(electron transport layer:ETL)を真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法により電子輸送層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。前記電子輸送層材料は、電子注入電極(カソード)から注入された電子を安定的に輸送する機能を行うものであり、キノリン誘導体、特に、Alq、TAZまたはBalqなどの公知の材料を使用することもできる。
【0085】
前記電子輸送層の厚さは、約10ないし100nm(約100ないし1,000Å)、好ましくは、20ないし50nm(200ないし500Å)でありうる。前記電子輸送層の厚さが10nm(100Å)未満である場合、電子輸送特性が低下し、前記電子輸送層の厚さが100nm(1,000Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0086】
また、電子輸送層の上部にカソードから電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(electron injection layer:EIL)が積層されることもあり、電子注入層の材料は特に制限されないが、例えばLiF、NaCl、CsF、LiOまたはBaOなどの電子注入層の形成材料として公知の物質を利用できる。前記電子注入層の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0087】
前記電子注入層の厚さは、約0.1ないし10nm(約1ないし100Å)、好ましくは、0.5ないし5nm(5ないし50Å)でありうる。前記電子注入層の厚さが0.1nm(1Å)未満である場合、電子注入特性が低下し、前記電子注入層の厚さが10nm(100Å)を超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0088】
最後に、電子注入層の上部に、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して第2電極を形成できる。前記第2電極は、カソードとして使われうる。前記第2電極形成用の金属としては、仕事関数の小さな金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの混合物を使用できる。具体例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITOやIZOを使用した透過型カソードを使用することもできる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明の合成例及び実施例を具体的に例示するが、本発明が下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。
【0090】
合成例1
下記反応式1の反応経路によって化学式19で表される化合物19を合成した。
【0091】
【化18】

【0092】
化合物19の合成
中間体(a)の合成
2−ブロモ−6−メトキシナフタレン7.5g(32mmol)、フェノキサジン4.6g(25mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド3.7g(38mmol)、(Pd(dba)) (トリス(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム(0))0.3g(0.33mmol)、及びトリ(tert−ブチル)ホスフィン0.11g(0.55mmol)をトルエン125mlに溶解させた後、80℃で12時間反応させた。
【0093】
前記反応が完了した後、反応混合物を室温まで冷却させ、蒸溜水200mlを添加して急冷(quenching)させた後、体積比1:1のキシレン及び水で抽出した。回収した有機層をMgSOで乾燥させた後に濃縮し、体積比1:2のトルエン及びヘキサンを溶離液として使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施した。ここで得た溶出液を濃縮、乾燥させ、6.8g(収率:80%)の中間体(a)を収得した。中間体(a)の構造は、H−NMRを介して確認した。
【0094】
中間体(b)の合成
中間体(a)3.39g(10mmol)をCHCl 150mlに溶解させた後、0℃に維持しつつ、NBS(N−ブロモスクシンイミド)の存在下、中間体(a)に1.1当量の臭素をゆっくり添加した。出発物質が完全に溶解したことを薄層クロマトグラフィー(thin layer chromatography:TLC)で確認した時点で、前記混合物への臭素添加を中止し、反応混合物を10分間撹拌した後、反応を停止させた。
【0095】
前記反応混合物に少量のアセトンを添加して臭素を急冷させた後、水とCHClとを2:1の体積比で使用して抽出を行った。回収した有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、その後メタノールで再沈殿させて、4.2g(収率:85%)の中間体(b)を得た。中間体(b)の構造は、H−NMRを介して確認した。
【0096】
中間体(c)の合成
50mlの丸底フラスコ中で、前記中間体(b)1.095g(1.0eq、2.72mmol)をTHF10mlに溶かした後、−78℃まで冷却した。この溶液に、2.2ml(2.0eq、5.44mmol)のn−BuLi 2.5M(ヘキサン)を徐々に滴加した後、−78℃に維持しつつ30分撹拌し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン1.1ml(2.0eq、5.44mmol)を添加した後で撹拌しつつ、反応温度を徐々に、1時間30分かけて常温まで上げた。常温で30分間更に撹拌した後、水10mlと酢酸エチル10mlとで抽出した。水溶液層をCHCl 10mlで抽出した後、有機層を加えてMgSOで乾燥濃縮し、混合比3:22の酢酸エチル及びヘキサンの混合溶液を展開液とするシリカカラムクロマトグラフィーにより、中間体(c)0.76g(60%)を分離した。中間体(c)の構造は、H−NMRを介して確認した。
【0097】
化合物19(目的物)の合成
前記中間体(c)100mg(0.215mmol)をTHF1mlに溶解させた後、1,4−ジブロモベンゼン24.6mg(0.086mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)10mg(0.009mmol)を2mlのトルエン中に溶解させた。この混合溶液に20%テトラエチルアンモニウム水溶液2mlを添加した後、100℃で24時間撹拌した。常温まで冷却した後、吸着シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、化合物19を69.0mg(収率:95%)得た。化合物19の構造は、H−NMRを介して確認した。
【0098】
H−NMR(300MHz、CDCl):δ7.67(d、2H)、δ7.60(dd、2H)、δ7.44(d、2H)、δ7.37(s、2H)、δ7.32(s、2H)、δ6.95(m、4H)、δ6.89(m、2H)、δ6.85(m、2H)、δ6.76(m、4H)、δ6.73(m、2H)、δ6.67(m、2H)、δ6.58(m、2H)、δ6.48(m、2H)、δ6.42(m、2H)、δ3.73(m、6H)。
【0099】
合成例2
以下に示される方法により、化学式5で表される化合物5を合成した。
【0100】
2−ブロモ−6−メトキシナフタレンの代わりにブロモベンゼン、及び1,4−ジブロモナフタレンの代わりに1,4−ジブロモベンゼンを使用したことを除いては、前記化合物19の合成例と同じ方法により、化学式5で表される化合物5を合成した。その結果、75mg(収率89%)の化合物5を得た。
【0101】
H−NMR(300MHz、CDCl):δ7.54(d、4H)、δ7.01(dd、4H)、δ6.95(d、2H)、δ6.89(s、2H)、δ6.73(s、2H)、δ6.67(m、2H)、δ6.62(m、2H)、δ6.58(m、2H)、δ6.48(m、2H)、δ6.46(m、4H)、δ6.42(m、2H)。
【0102】
合成例3
以下に示される方法により、化学式17で表される化合物17を合成した。
【0103】
フェノキサジンの代わりにジイミノベンジル、2−ブロモ−6−メトキシナフタレンの代わりに2−ブロモナフタレン、及び1,4−ジブロモナフタレンの代わりに9,10−ジブロモアントラセンを使用したことを除いては、前記化合物19の合成例と同じ方法により、化学式17で表される化合物17を合成した。その結果、120mg(収率75%)の化合物17を得た。
【0104】
H−NMR(300MHz、CDCl3):δ7.91(d、4H)、δ7.55(d、2H)、δ7.51(d、2H)、δ7.44(s、2H)、δ7.39(m、4H)、δ7.23(m、2H)、δ7.09(m、4H)、δ7.05(m、5H)、δ6.83(m、2H)、δ6.79(m、2H)、δ6.76(m、4H)、δ6.57(m、2H)、δ6.47(m、2H)、δ6.41(m、2H)、δ2.88(d、4H)。
【0105】
評価例1:化合物の発光特性評価
化合物のUV吸収スペクトル及びPL(photoluminescence)スペクトルを評価することにより、各化合物の発光特性を評価した。まず、化合物5をトルエンで0.2mMの濃度に希釈し、(株)島津製作所のUV−350スペクトロメータ(Shimadzu UV−350 Spectrometer)を利用し、UV吸収スペクトルを測定した。化合物7、9、11、17、18、19、20及び21についても同様に測定した。一方、化合物5をトルエンで10mMの濃度に希釈し、キセノン(Xenon)ランプが装着されているISC PC1スペクトロフロオロメータ(Spectrofluorometer)を利用し、PLスペクトルを測定した。その結果を下記表1に表した。
【0106】
図2A及び図2Bは、本発明の有機発光化合物の一実施形態に係る、波長をパラメーターとした時の吸光度変化を表したグラフである。図2Aは、前記化学式19で表される化合物についての経時的なフォトルミネッセンス(PhotoLuminescence:PL)スペクトルであり、図2Bは、図2AのPLスペクトルを標準化したグラフ(ノーマライズPLスペクトル)である。
【0107】
スピンコーティング法で製造した薄膜の場合、経時的なPL強度の変化が小さく、スペクトルの形状は図2Bに表したものと同様であることから、経時的な薄膜の色安定性に優れるということが分かる。また、PLQは33%であり、従来の有機発光化合物と同等以上の発光効率特性を有するということが分かる。
【0108】
【表1】

【0109】
これにより、本発明の有機発光化合物は、有機発光素子に適した熱安定性を備えているということが分かる。
【0110】
実施例1
化学式19で表される化合物19を発光層のドーパントとして使用し、化学式23で表される化合物23(AND)を発光層のホストとして使用し、次のような構造を有する有機発光素子を製作した。すなわち、ITO上にPEDOT(50nm(500Å))、AND及び化合物19(48nm(480Å))、Alq(20nm(200Å))、LiF(1nm(10Å))並びにAl(200nm(2,000Å))を順次に積層させた構造を有する。
【0111】
【化19】

【0112】
アノードは、15Ω/cm(100nm(1,000Å))ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切り、アセトンイソプロピルアルコールと純水との中でそれぞれ15分間超音波洗浄を行った後、30分間UVオゾン洗浄して使用した。前記基板上部にBayer社のPEDOT−PSS(AI4083)をコーティングし、110℃5分間大気中で熱処理し、200℃5分間窒素雰囲気で熱処理して50nm(500Å)の正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上部に、0.1gのホスト化合物5(AND)と、0.05gのドーパント化合物19とを混合した混合物(前記化合物(AND)100重量部当たり前記化学式19の化合物は、5重量部である)をスピンコーティングした後、100℃で30分間熱処理し、48nm(480Å)厚の発光層を形成した。その後、前記発光層の上部に、Alq化合物を20nm(200Å)厚に真空蒸着して電子輸送層を形成した。前記電子輸送層の上部に、1nm(10Å)厚のLiF(電子注入層)と200nm(2,000Å)厚のAl(カソード)とを順次に真空蒸着し、図1Aに示されたような有機発光素子を製造した。これをサンプル1とする。
【0113】
実施例2
ANDホストを使用せずに、化合物19だけを発光層として使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法でITO上にPEDOT(50nm(500Å))、化合物19(48nm(480Å))、Alq(20nm(200Å))、LiF(1nm(10Å)及び/Al(200nm(2,000Å))を順次積層させた構造を有する有機発光素子を製造した。これをサンプル2とする。
【0114】
実施例3
ドーパントとして化合物19の代わりに化合物17を利用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法で、ITO上にPEDOT(50nm(500Å))、AND及び化合物17(48nm(480Å))、Alq(20nm(200Å))、LiF(1nm(10Å))並びにAl(200nm(2,000Å))を順次積層させた構造を有する有機発光素子を製造した。これをサンプル3とする。
【0115】
比較例1
ホストとしてAND、ドーパントとして前記化学式22で表される化合物22(DPAVBi)を利用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法で、ITO上にPEDOT(50nm(500Å))、AND及び化合物22(48nm(480Å))、Alq(20nm(200Å))、LiF(1nm(10Å))並びにAl(200nm(2,000Å))を順次積層させた構造を有する有機発光素子を製造した。これをサンプル4とする。
【0116】
評価例2:サンプル1ないし4の特性評価
サンプル1、2、3及び比較サンプル4に対し、PR650(Spectroscan)Source Measurement Unitを利用して駆動電圧、色純度、効率をそれぞれ評価し、その結果を下記表2に表した。
【0117】
【表2】

【0118】
表2から、本発明によるサンプル1ないし3は、優れた発光特性を有するということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の有機発光化合物及びこれを具備した有機発光素子は、例えば、発光素子関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1A】本発明による有機発光素子の一実施形態の構造についての概略断面図である。
【図1B】本発明による有機発光素子の一実施形態の構造についての概略断面図である。
【図1C】本発明による有機発光素子の一実施形態の構造についての概略断面図である。
【図2A】本発明の有機発光化合物の一実施形態に対する経時的な吸光度変化を表した図面である。
【図2B】本発明の有機発光化合物の一実施形態に対する経時的な吸光度変化を表した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機発光化合物:
【化1】

前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、
−X−は、−O−、−S−、下記化学式a、下記化学式b、下記化学式cまたは下記化学式dであり、
【化2】

前記式で、RないしRは、それぞれ独立して、水素原子または置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基である、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基であり、
ないしR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のC−C30のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC−C30のアリール基、置換または非置換のC−C30のアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリールオキシ基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30のヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20のシクロアルキル基、及び置換または非置換のC−C30のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される。
【請求項2】
下記化学式2で表される、請求項1に記載の有機発光化合物:
【化3】

前記式で、Arは、置換または非置換のC−C26のアリーレン基であり、
−X−は、−O−、−S−、下記化学式a、下記化学式b、下記化学式cまたは下記化学式dであり、
【化4】

前記式で、 RないしRは、それぞれ独立して、水素原子または置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基である、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C26のアリール基である。
【請求項3】
下記化学式3で表され、−X−が−O−である、請求項2に記載の有機発光化合物。
【化5】

【請求項4】
下記化学式4で表され、−X−が−CH−CH−である、請求項2に記載の有機発光化合物。
【化6】

【請求項5】
Arは、下記化学式e、下記化学式f、下記化学式g、下記化学式h、下記化学式i、下記化学式jまたは下記化学式k:
【化7】

前記式で、R23ないしR28は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のC−C12のアルキル基または置換若しくは非置換のC−C12のアルコキシ基である、
である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項6】
下記化学式5ないし化学式21で表される、請求項1に記載の有機発光化合物:
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項7】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置される少なくとも一層の有機膜と、
を備える有機発光素子であって、前記有機膜が請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光化合物を含む、有機発光素子。
【請求項8】
前記有機膜が発光層、正孔注入層または正孔輸送層である、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機膜に加えて、前記第1電極と前記第2電極との間に正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択される一種以上の層を更に備える、請求項7または8に記載の有機発光素子。
【請求項10】
第1電極上に正孔注入層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体、第1電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体、または第1電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極が順次積層されてなる積層体を有する、請求項9に記載の有機発光素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2007−211010(P2007−211010A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15455(P2007−15455)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】