説明

有機発光表示装置及びその製造方法

【課題】本発明は、発光効率を改善することができると共に、大面積の有機発光表示装置に適用することができる、有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による有機発光表示装置及びその製造方法は、基板、前記基板上に形成されて、表面に凹凸部を有する第1薄膜、前記第1薄膜上に形成されて、前記凹凸部を平坦化する第2薄膜、前記第2薄膜上に形成されている第1電極、前記第1電極上に形成されている発光部材、及び前記第1電極上に形成されている第2電極を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、一つの電極から注入された電子(electron)及び他の電極から注入された正孔(hole)が二つの電極の間に位置する発光層で結合して励起子(exciton)を生成し、励起子がエネルギーを放出することによって発光する。
【0003】
有機発光表示装置は、自発光型で、別途の光源が不要であるため、消費電力が低い。
【0004】
このような消費電力をさらに低くするためには、有機発光表示装置の発光効率を向上させることが重要である。発光効率は、発光材料の効率、電極から注入された電荷の数と発光層から発生した光子の数との比率(ratio)である内部量子効率(internal quantum efficiency)、及び発光層から発生した光子の数と外部に放出される光子の数との比率である外部量子効率(external quantum efficiency)により決定される。
【0005】
一方、表示装置の大型化に伴って、大面積の有機発光表示装置に適用する工程も必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1側面は、発光効率を改善することができる有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の第2側面は、発光効率を向上させると共に、大面積の有機発光表示装置に適用することができる有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1実施形態による有機発光表示装置は、基板、前記基板上に形成されて、表面に凹凸部を有する第1薄膜、前記第1薄膜上に形成されて、前記凹凸部を平坦化する第2薄膜、前記第2薄膜上に形成されている第1電極、前記第1電極上に形成されている発光部材、及び前記第1電極上に形成されている第2電極を含む。
【0009】
前記第1薄膜及び前記第2薄膜は、屈折率が互いに異なる物質で形成される。
【0010】
前記第1薄膜及び前記第2薄膜の屈折率は各々約1.1乃至3である。
【0011】
前記第1薄膜と前記第2薄膜の屈折率の差は少なくとも0.2である。
【0012】
前記第1薄膜の屈折率は約1.6乃至2.2であり、前記第2薄膜の屈折率は約1.3乃至1.6である。
【0013】
前記第1薄膜の屈折率は約1.3乃至1.6であり、前記第2薄膜の屈折率は約1.6乃至2.2である。
【0014】
前記第1薄膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリアクリル、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを含み、前記第2薄膜は、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、またはこれらの組み合わせを含む。
【0015】
前記凹凸部は、不規則に分布する。
【0016】
本発明の第2実施形態による有機発光表示装置の製造方法は、基板上に凹凸部を有する第1薄膜を形成する段階、前記第1薄膜上に前記凹凸部を平坦化する第2薄膜を形成する段階、前記第2薄膜上に第1電極を形成する段階、前記第1電極上に発光部材を形成する段階、及び前記発光部材上に第2電極を形成する段階を含む。
【0017】
前記凹凸部を有する第1薄膜を形成する段階は、第1薄膜を積層する段階、前記第1薄膜上に第1サイズの有機微粒子を含む分散液を塗布する段階、前記分散液を乾燥する段階、前記有機微粒子をエッチングして、前記第1サイズより小さい第2サイズの有機微粒子を形成する段階、及び前記第2サイズの有機微粒子をマスクとして前記第1薄膜をエッチングする段階を含むことができる。
【0018】
前記有機微粒子は球(sphere)形状からなる。
【0019】
前記有機微粒子はポリスチレン(polystyrene)を含むことができる。
【0020】
前記有機微粒子をエッチングする段階は、プラズマを使用することができる。
【0021】
前記第1薄膜をエッチングする段階は、反応性イオンエッチングで行うことができる。
【0022】
前記凹凸部を有する第1薄膜を形成する段階は、有機物質を含む第1薄膜を積層する段階、及び前記第1薄膜の表面をプラズマ処理する段階を含むことができる。
【0023】
前記製造方法は、前記第1薄膜を積層する段階後に、前記第1薄膜上に金属クラスタを適用する段階をさらに含むことができ、前記第1薄膜の表面をプラズマ処理する段階は、前記金属クラスタをマスクとして行うことができる。
【0024】
発光層から発生した光が通過する位置に凹凸部を形成することによって、光の経路を制限して、基板の垂直方向に光抽出効果を高めることができ、発光層から発生した光のうちの外部に放出される光の量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、発光効率を向上させて、素子の寿命を増加させると共に、有機発光表示装置の駆動電圧を下げることができる。また、スピンコーティングなどの溶液工程またはプラズマエッチングなどの乾式エッチング方法によって凹凸部を形成することができて、大面積の表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示した断面図である。
【図2B】本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示した断面図である。
【図2C】本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示した断面図である。
【図2D】本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示した断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態により製造された有機発光表示装置における凹凸部を原子顕微鏡で観察した写真である。
【図4】実施例1においてポリスチレン微粒子を除去した後の凹凸部を示した電子走査顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】実施例1において窒化ケイ素を蒸着した後に平坦化された表面を示した電子走査顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様な形態に具現され、ここで説明する具現例に限られない。
【0028】
図面では、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似する部分については、同一な図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にあるとする時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時、これは中間に他の部分がないことを意味する。
【0029】
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による有機発光表示装置を説明する。
【0030】
図1は本発明の第1実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
【0031】
図1を参照すると、透明なガラスまたはプラスチックなどで形成された絶縁基板110上に第1薄膜112が形成されている。第1薄膜112は、表面に不規則に分布している凹凸部112aを有する。凹凸部112aは、高さが約10nm乃至2μmの微小パターンを有する光結晶部材であって、内部において光が全反射されるのを減少させて、光の経路を制御して、基板に垂直方向に放出される光の量を増加させる。
【0032】
第1薄膜112は、屈折率が約1.1乃至3.0である無機物質または有機物質で形成され、無機物質は、例えば酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、またはこれらの組み合わせであり、有機物質は、例えばポリアクリル、ポリイミド、またはこれらの組み合わせである。第1薄膜112の屈折率が前記絶縁基板110の屈折率と類似する場合に、絶縁基板110と第1薄膜112との間の境界において発生する内部の全反射を減少させることができる。
【0033】
第1薄膜112上には第1薄膜112の凹凸部112aを平坦化する第2薄膜114が形成されている。
【0034】
第2薄膜114は、第1薄膜112の凹凸部112aを平坦化させることによって、後述する発光層が平坦に形成される。それによって、発光層が凹凸部112aの形状に沿って形成される場合に、凹凸部112aの傾斜面に発光層が薄く形成されて、電流が傾斜部位に集中するのを防止することができ、素子の劣化を防止して、信頼性を高めることができる。
【0035】
第2薄膜114は、屈折率が約1.1乃至3.0であり、第1薄膜112よりも屈折率が大きいかまたは小さい。また、第2薄膜114の屈折率が後述する第1電極191の屈折率と同程度である場合に、第2薄膜114と第1電極191との間の境界において発生する内部の全反射を減少させることができる。
【0036】
第2薄膜114は、第1薄膜112と屈折率が異なる無機物質または有機物質で形成され、無機物質は、例えば窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、またはこれらの組み合わせであり、有機物質は、例えばポリアクリル、ポリイミド、またはこれらの組み合わせである。
【0037】
第1薄膜112と第2薄膜114との屈折率の差は少なくとも0.2である。例えば、第1薄膜112の屈折率は約1.6乃至2.2であり、第2薄膜114の屈折率は約1.3乃至1.6であり、これとは逆に、前記第1薄膜112の屈折率が約1.3乃至1.6であり、前記第2薄膜114の屈折率が約1.6乃至2.2であってもよい。
【0038】
このように屈折率が互いに異なる第1薄膜112と第2薄膜114との間の境界面に凹凸を形成して、内部の全反射を減少させることで、前面に抽出される光の量を増加させることができる。従って、光抽出効果を高めることができる。
【0039】
第2薄膜114上には第1電極191が形成されている。第1電極191は、アノード(anode)またはカソード(cathode)であって、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電物質で形成される。
【0040】
第1電極191上には有機発光部材370が形成されている。有機発光部材370は、発光層(emitting layer)(図示せず)及び発光層の発光効率を改善するための付帯層(auxiliary layer)(図示せず)を含む多層構造であってもよい。
【0041】
発光層は、赤色、緑色、青色の三原色など基本色(primary color)のうちのいずれか一つの光を固有に発光する有機物質、または有機物質と無機物質との混合物で形成され、アルミニウムトリス(8-ヒドロキシキノリン)[aluminium tris(8-hydroxyquinoline)](Alq3)、アントラセン(anthracene)、ディストリル(distryl)化合物である。有機発光表示装置は、発光層から発光する基本色の色光の空間的な合計で所望の映像を表示する。
【0042】
付帯層には電子及び正孔の均衡を取らせるための電子輸送層(electron transport layer)(図示せず)及び正孔輸送層(hole transportlayer)(図示せず)、電子及び正孔の注入を強化するための電子注入層(electron injection layer)(図示せず)及び正孔注入層(hole injection layer)(図示せず)などがあって、この中から選択された一つまたは二つ以上の層を含むことができる。
【0043】
有機発光部材370上には第2電極270が形成されている。第1電極191が透明導電物質で形成された場合、第2電極270はアルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、またはこれらの組み合わせなどの不透明導電物質で形成される。
【0044】
この時、第1電極191がアノード、第2電極270がカソードになり、逆に、第1電極191がカソード、第2電極270がアノードになってもよい。
【0045】
前述のように、本発明の第1実施形態による有機発光表示装置は、光の経路を制限して、基板の垂直方向における光抽出効果を高めることによって、発光層から発生した光のうちの外部に放出される光の量を増加させることができる。それにより、発光効率を向上させて、素子の寿命を増加させると共に、有機発光表示装置の駆動電圧を下げることができる。
【0046】
それでは、図1に示した有機発光表示装置を製造する方法について、図2A乃至図2Dを図1と共に参照して説明する。
【0047】
図2A乃至図2Dは本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法を順に示した断面図である。
【0048】
本発明の第1実施形態による有機発光表示装置の製造方法は、基板110上に凹凸部112aを有する第1薄膜112を形成する段階、前記第1薄膜112上に前記凹凸部112aを平坦化する第2薄膜114を形成する段階、前記第2薄膜114上に第1電極191を形成する段階、前記第1電極191上に発光部材370を形成する段階、及び前記発光部材370上に第2電極270を形成する段階を含む。
【0049】
まず、図2Aを参照すると、基板110上に下部膜111を積層する。下部膜111は、例えば基板110をそのまま使用したり、酸化ケイ素、窒化ケイ素などを化学気相蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)して形成することができる。
【0050】
続いて、下部膜111上に複数の有機微粒子(organic particle)50を含む分散液(図示せず)を塗布する。分散液は、例えば有機微粒子50を水などの分散媒に混合した懸濁液(suspension)である。塗布は、例えばスピンコーティングで行うことができる。
【0051】
有機微粒子50は、有機物質で形成された球(sphere)状の粒子であり、例えばポリスチレン(polystyrene)で形成される。有機微粒子50のサイズは、約0.03μm乃至3.2μmである。
【0052】
続いて、前記分散液を乾燥して溶媒を除去して、有機微粒子50だけを残す。
【0053】
次に、図2Bを参照すると、有機微粒子50を例えば酸素プラズマを使用してエッチングして、有機微粒子50よりサイズが小さいエッチングされた有機微粒子50aを形成する。エッチングされた有機微粒子50aのサイズは、約0.01μm乃至2.0μmである。
【0054】
次に、図2Cを参照すると、エッチングされた有機微粒子50aをマスクとして下部膜111をエッチングする。この時、エッチングは、反応性イオンエッチング(reactive ion etching、RIE)で行うことができ、例えばCHF、CFプラズマを使用することができる。このようなエッチングによって図2Cのように複数の凹凸部112aを有する第1薄膜112が形成される。
【0055】
続いて、前記エッチングされた有機微粒子50aを除去した後、第1薄膜112上に第2薄膜114を積層する。第2薄膜114は、例えば窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどを化学気相蒸着して形成することができる。
【0056】
次に、図1を参照すると、第2薄膜114上に第1電極191、有機発光部材370、及び第2電極270を順に積層する。
【0057】
前記のように、本発明の実施形態によると、塗布及びエッチング方法で比較的容易に凹凸部112aを形成することができる。そのために、大面積の有機発光表示装置にも容易に適用することができ、レーザーを使用する場合の大面積に適用することができない限界を克服することができる。
【0058】
以下、本発明の第2実施形態による有機発光表示装置の製造方法について説明する。
【0059】
前述した実施形態と同様に、基板110上に下部膜111を積層する。この時、下部膜111は、有機物質で形成される。有機物質で形成された下部膜111は、例えばスピンコーティングした後、オーブンまたはホットプレートで加熱して硬化させることができる。
【0060】
続いて、有機物質で形成された下部膜111の表面をプラズマ処理して、表面を粗くする。この時、プラズマは、例えばアルゴン(Ar)プラズマを使用することができる。
【0061】
このように、有機物質で形成された下部膜の表面をプラズマ処理することによって、比較的容易に凹凸部を形成することができ、このような凹凸部によって発光効率を向上させることができる。
【0062】
以下、本発明の第3実施形態による有機発光表示装置の製造方法について説明する。
【0063】
本実施形態は、前述した実施形態と同様に、下部膜111を積層し、プラズマ処理して、凹凸部112aを形成する。しかし、前述した実施形態とは異なって、本実施形態は、下部膜111上に金属クラスタ(metal cluster)を適用し、前記金属クラスタをマスクとして下部膜111をプラズマ処理することによって、表面に凹凸部112aを有する第1薄膜112を形成することができる。
【0064】
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明目的のものであり、本発明の範囲を限定するのではない。
【0065】
(実施例1)
平均直径が0.6μmである球(sphere)状のポリスチレン微粒子10gを水100mlに分散させて懸濁液を製造した。
【0066】
ガラス基板上に酸化ケイ素(SiO)0.5μmを化学気相蒸着方法で蒸着した。続いて、前記懸濁液を前記酸化ケイ素膜上に800rpmでスピンコーティングした。続いて、25℃の温度で懸濁液を乾燥して溶媒を除去した。次に、前記基板をプラズマチャンバーに置いて酸素気体(O)及びアルゴン気体(Ar)を供給して、ポリスチレン微粒子をプラズマエッチングした。この時、酸素気体(O)及びアルゴン気体(Ar)は、各々2sccm及び5sccmの流量で供給し、RF(radio frequency)200Wであった。プラズマエッチングによってポリスチレン微粒子のサイズは約0.3μmに小さくなった。続いて、前記エッチングされたポリスチレン微粒子をマスクとして酸化シリコン膜を乾式エッチングした。乾式エッチングは、ICP(inductive coupled plasma)エッチング装置でCHFを使用して行った。この時、CHFは20sccmの流量で供給し、チャンバー圧力は50mT、ICP出力は500Wであり、2分ずつ3回行った。続いて、常圧プラズマチャンバーで酸素気体(O)及びアルゴン気体(Ar)を供給して、残っているポリスチレン微粒子を除去した。
【0067】
図4はポリスチレン微粒子を除去した後の凹凸部を示した電子走査顕微鏡(SEM)写真である。
【0068】
図4を参照すると、ポリスチレン微粒子を除去した後のSiOの凹凸部を確認することができる。
【0069】
次に、エッチングされた酸化シリコン膜上に窒化ケイ素を化学気相蒸着方法で5000Åに蒸着して平坦化した。
【0070】
図5は窒化ケイ素を蒸着した後に平坦化された表面を示した電子走査顕微鏡(SEM)写真である。
【0071】
図5を参照すると、平坦化された表面を確認することができる。
【0072】
続いて、窒化ケイ素膜上にITOをスパッタリングで形成した後、パターニングして、正孔注入層及び正孔伝達層としてNPB(N、N-di(naphthalene-1-yl)-N、N-diphenyl-benzidine)を蒸着し、その上に発光層としてAlq3(tris-8-hydroxyquinoline aluminum)にクマリン6(coumarin 6)を1重量%ドーピングして共蒸着し、その上に電子伝達層としてAlq3を蒸着し、その上に電子注入をスムーズにするためにLiF電子注入層及びAl負極を順に蒸着して、有機発光素子を製造した。
【0073】
(実施例2)
ガラス基板上にポリアクリル2.0μmをスピンコーティングで形成した後、乾燥した。続いて、基板をプラズマチャンバーに置いてアルゴン気体(Ar)及び窒素気体(N)を供給して、プラズマエッチングを行った。この時、プラズマエッチングは、アルゴン気体(Ar)40sccm、窒素気体(N)3sccmの流量で供給し、チャンバー圧力は200mT、ICP出力は400W、エッチング時間は5分であった。
【0074】
このようなエッチングによる有機膜表面の粗度を原子顕微鏡(atomic force microscopy、AFM)を使用して確認した。
【0075】
図3は本発明の第2実施形態により製造された有機発光表示装置における凹凸部を原子顕微鏡で観察した写真である。
【0076】
図3を参照すると、凹凸部112aの高さは約200乃至500Åであり、基板全面に不規則に分布していることを確認することができた。
【0077】
続いて、実施例1と同様に窒化ケイ素膜、ITO、発光層、及び銀を順に積層して、有機発光素子を製造した。
【0078】
(実施例3)
ガラス基板上に酸化ケイ素(SiO)0.5μmを化学気相蒸着方法で積層した。続いて、酸化ケイ素膜上に電子ビーム蒸着器を使用して5nmの厚さのNi層を蒸着した。その後、基板を急速熱処理(rapid thermal annealing、RTA)装置に置いて850℃で1分間処理して、ナノサイズのNiクラスタを形成した。続いて、Niクラスタをマスクとして反応性イオンエッチング(reactive ion etching、RIE)で酸化ケイ素膜をエッチングした。続いて、硝酸溶液を使用してNiクラスタを除去した。
【0079】
続いて、実施例1と同様に窒化ケイ素膜、ITO、発光層、及び銀を順次に積層して、有機発光素子を製造した。
【0080】
以上で、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0081】
110 絶縁基板
111 下部膜
112,114 薄膜
112a 凹凸部
191,270 電極
370 有機発光部材
50a 有機微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に形成されて、表面に凹凸部を有する第1薄膜、
前記第1薄膜上に形成されて、前記凹凸部を平坦化する第2薄膜、
前記第2薄膜上に形成されている第1電極、
前記第1電極上に形成されている発光部材、及び
前記第1電極上に形成されている第2電極を含むことを特徴とする、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第1薄膜及び前記第2薄膜は屈折率が互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1薄膜及び前記第2薄膜の屈折率は各々1.1乃至3であることを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1薄膜及び前記第2薄膜の屈折率の差は少なくとも0.2であることを特徴とする、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1薄膜の屈折率は1.6乃至2.2であり、
前記第2薄膜の屈折率は1.3乃至1.6であることを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第1薄膜の屈折率は1.3乃至1.6であり、
前記第2薄膜の屈折率は1.6乃至2.2であることを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第1薄膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリアクリル、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを含み、
前記第2薄膜は、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記凹凸部は、不規則に分布していることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
基板上に凹凸部を有する第1薄膜を形成する段階、
前記第1薄膜上に前記凹凸部を平坦化する第2薄膜を形成する段階、
前記第2薄膜上に第1電極を形成する段階、
前記第1電極上に発光部材を形成する段階、及び
前記発光部材上に第2電極を形成する段階を含むことを特徴とする、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記凹凸部を有する前記第1薄膜を形成する段階は、
前記第1薄膜を積層する段階、
前記第1薄膜上に第1サイズの有機微粒子を含む分散液を塗布する段階、
前記分散液を乾燥させる段階、
前記有機微粒子をエッチングして、前記第1サイズより小さい第2サイズの有機微粒子を形成する段階、及び
前記第2サイズの有機微粒子をマスクとして前記第1薄膜をエッチングする段階を含むことを特徴とする、請求項9に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記有機微粒子は球形状からなることを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機微粒子はポリスチレンを含むことを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記有機微粒子をエッチングする段階は、プラズマを使用することを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1薄膜をエッチングする段階は、反応性イオンエッチングで行うことを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記凹凸部を有する前記第1薄膜を形成する段階は、
有機物質を含む前記第1薄膜を積層する段階、及び
前記第1薄膜の表面をプラズマ処理する段階を含むことを特徴とする、請求項9に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1薄膜を積層する段階後に、前記第1薄膜上に金属クラスタを適用する段階をさらに含み、
前記第1薄膜の表面をプラズマ処理する段階は、前記金属クラスタをマスクとして行うことを特徴とする、請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−108632(P2011−108632A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186210(P2010−186210)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【出願人】(510227838)慶北大学校 産学協力団 (1)
【Fターム(参考)】