説明

有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法

【課題】家庭ごみを主体とする有機系廃棄物のガス化の効率を向上させつつ、小形化および低コスト化を実現する。
【解決手段】有機系廃棄物501を収容した処理槽11内に水蒸気101を送り込んで有機系廃棄物501を乾燥させつつ有機材料502に分解する加水分解処理を実行する前処理装置1と、有機材料502を収容した熱分解槽21に対して常圧過熱水蒸気102を送り込んで熱分解槽21内を低酸素状態または無酸素状態に維持して有機材料502に対する熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガス201を発生させる熱分解装置2と、水酸素ガス103および熱分解ガス201をガス改質槽31内に送り込んで水酸素改質反応によって熱分解ガス201を水素リッチガス202に改質する水酸素ガス改質処理を実行するガス改質装置3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物をガス化する有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の有機系廃棄物ガス化システムとして、特許第4363960号公報に開示された有機系廃棄物のガス化装置が知られている。このガス化装置は、一つの容器内に有機系廃棄物を熱分解する熱分解領域と、有機系廃棄物の熱分解によって発生した熱分解ガスを改質する改質領域とを有するガス化炉を備えて、有機系廃棄物のガス化を実行する。このガス化装置を用いて有機系廃棄物をガス化する際には、有機系廃棄物としての木材等を粗粉砕処理によって1mm以上15cm以下に粉砕した後に、自然乾燥によって含水率が50重量%以下に調整する。次いで、ガス化炉の熱分解領域に有機系廃棄物を投入する。続いて、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを送り込むことによって熱分解領域を非酸化性雰囲気とした状態で、ガス化炉外に設けた加熱手段で加熱したアルミナボール等の固体状熱媒体を熱分解領域に投入することによって熱分解領域の温度が500℃〜600℃となるように加熱する。この際に、この加熱によって有機系廃棄物が熱分解し、熱分解ガスが発生する。この場合、熱分解領域の圧力を0.1MPa〜0.9MPaの範囲内に維持する。
【0003】
次いで、熱分解によって発生した熱分解ガスを改質領域に導入すると共に、温度が180℃で圧力が0.9MPaのスチームを改質領域に供給する。この際に熱分解ガスとスチームとが反応して熱分解ガスを水素に富むガス(水素リッチガス)に改質する。また、電気加熱器を用いて、改質領域の温度を900℃〜1000℃の範囲内に維持すると共に、熱分解領域の圧力を0.1MPa〜0.9MPaの範囲内に維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4363960号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した従来のガス化装置には、解決すべき以下の課題がある。すなわち、このガス化装置では、有機系廃棄物としての木材を熱分解してガス化する際に、熱分解の前処理として、木材等を粉砕した後に自然乾燥によって含水率が50重量%以下に調整する必要がある。一方、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物は、木材を主体とする有機系廃棄物と比較して多くの(例えば60重量%程度の)水分を含んでいることが、行政機関等が行っている分析結果から明らかとなっている。このため、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物を上記のガス化装置でガス化するときには、前処理としての自然乾燥だけで目標とする50重量%以下の含水率に調整するのが困難なことがあり、熱分解が効率的に行われなかったり、熱分解において多量の残渣が発生したりして、その後の処理に支障を来すおそれがある。また、上記のガス化装置では、熱分解によって発生した熱分解ガスを改質する際に、改質領域の温度を900℃〜1000℃の高温状態に維持して熱分解ガスとスチームとを反応させるため、十分な耐久性を有するガス化炉が必要であることに加えて、大きな能力を有する加熱装置を設ける必要がある。このため、ガス化装置が大掛かりとなり、イニシャルコストおよびランニングコストが高騰するという課題が存在する。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物のガス化の効率を向上させつつ、小形化および低コスト化を実現し得る有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の有機系廃棄物ガス化システムは、有機系廃棄物に対して前処理を実行する前処理装置と、前記前処理後の有機系廃棄物に対して熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガスを発生させる熱分解装置と、前記熱分解ガスに対してガス改質処理を実行するガス改質装置とを備え、前記有機系廃棄物をガス化する有機系廃棄物ガス化システムであって、前記前処理装置は、処理槽と水蒸気生成機とを備え、前記有機系廃棄物を収容した前記処理槽内に前記水蒸気生成機によって生成された水蒸気を送り込んで当該有機系廃棄物を乾燥させつつ有機材料に分解する加水分解処理を前記前処理として実行し、前記熱分解装置は、熱分解槽と過熱水蒸気生成機とを備え、前記前処理後の有機系廃棄物としての前記有機材料を収容した前記熱分解槽に対して前記過熱水蒸気生成機によって生成された過熱水蒸気を送り込んで当該熱分解槽内を低酸素状態または無酸素状態に維持して前記熱分解ガス化処理を実行し、前記ガス改質装置は、水酸素改質反応用の触媒が内部に収容されたガス改質槽と水酸素ガス生成機とを備え、前記水酸素ガス生成機によって生成された水酸素ガスおよび前記熱分解ガスを前記ガス改質槽内に送り込んで水酸素改質反応によって当該熱分解ガスを水素リッチガスに改質する水酸素ガス改質処理を前記ガス改質処理として実行する。
【0008】
また、請求項2記載の有機系廃棄物ガス化システムは、請求項1記載の有機系廃棄物ガス化システムにおいて、前記水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒を用いる。
【0009】
また、請求項3記載の有機系廃棄物ガス化システムは、請求項1または2記載の有機系廃棄物ガス化システムにおいて、前記水素リッチガスを使用して発電するガス発電機を備え、前記過熱水蒸気生成機は前記ガス発電機による発電に伴って発生する排温水を用いて前記過熱水蒸気を生成する。
【0010】
さらに、請求項4記載の有機系廃棄物ガス化システムは、請求項1から3のいずれかに記載の有機系廃棄物ガス化システムにおいて、前記水蒸気発生機は、前記熱分解ガス化処理の際に発生する前記有機材料の残渣を前記水蒸気を生成する際の燃料として用いる。
【0011】
また、請求項5記載の有機系廃棄物ガス化方法は、有機系廃棄物に対して前処理を実行し、前記前処理後の有機系廃棄物に対して熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガスを発生させ、前記熱分解ガスに対してガス改質処理を実行して、前記有機系廃棄物をガス化する有機系廃棄物ガス化方法であって、前記有機系廃棄物を収容した処理槽内に水蒸気を送り込んで当該有機系廃棄物を乾燥させつつ有機材料に分解する加水分解処理を前記前処理として実行し、前記前処理後の有機系廃棄物としての前記有機材料を収容した熱分解槽に対して過熱水蒸気を送り込んで当該熱分解槽内を低酸素状態または無酸素状態に維持して前記熱分解ガス化処理を実行し、水酸素改質反応用の触媒が内部に収容されたガス改質槽内に水酸素ガスおよび前記熱分解ガスを送り込んで水酸素改質反応によって当該熱分解ガスを水素リッチガスに改質する水酸素ガス改質処理を前記ガス改質処理として実行する。
【0012】
また、請求項6記載の有機系廃棄物ガス化方法は、請求項5記載の有機系廃棄物ガス化方法において、前記水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒を用いる。
【0013】
また、請求項7記載の有機系廃棄物ガス化方法は、請求項5または6記載の有機系廃棄物ガス化方法において、前記水素リッチガスを使用した発電に伴って発生する排温水を用いて生成した前記過熱水蒸気を前記熱分解ガス化処理に用いる。
【0014】
また、請求項8記載の有機系廃棄物ガス化方法は、請求項5から7のいずれかに記載の有機系廃棄物ガス化方法において、前記熱分解ガス化処理の際に発生する前記有機材料の残渣を前記水蒸気を生成する際の燃料として用いる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の有機系廃棄物ガス化システム、および請求項5記載の有機系廃棄物ガス化方法によれば、有機系廃棄物を収容した処理槽内に水蒸気を送り込んで有機系廃棄物を乾燥させつつ有機材料に分解する加水分解処理を熱分解ガス化処理の前処理として実行することにより、含水率が高い(例えば、含水率が60重量%程度の)家庭ごみを主体とする有機系廃棄物を含水率が十分に少ない(例えば、含水率が20重量%程度の)有機材料に分解することができるため、自然乾燥だけを前処理として行う構成および方法と比較して、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物を効率的にガス化することができる。
【0016】
また、この有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法によれば、有機材料を収容した熱分解槽に対して過熱水蒸気を送り込んで熱分解槽内を低酸素状態または無酸素状態に維持して熱分解ガス化処理を実行することにより、高い耐熱性や高い耐圧性を有する熱分解槽を用いることなく、比較的簡易な構成の熱分解槽を用いて有機材料を熱分解することができると共に、熱分解槽内を加熱する加熱装置を不要とすることができるため、熱分解装置の小形化および低コスト化を図ることができる。また、低酸素状態(または無酸素状態)の熱分解槽内において熱分解ガス化処理を実行することができるため、ダイオキシン等の環境影響物質の発生を確実に抑制することができる。
【0017】
また、この有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法によれば、水酸素改質反応用の触媒が内部に収容されたガス改質槽内に水酸素ガスおよび熱分解ガスを送り込んで水酸素改質反応によって熱分解ガスを水素リッチガスに改質する水酸素ガス改質処理を実行することにより、高い耐熱性を有するガス改質槽を用いることなく、比較的簡易な構成のガス改質槽を用いて熱分解ガスの改質を行うことができると共に、ガス改質槽内を加熱する加熱装置を不要とすることができるため、ガス改質装置の小形化および低コスト化を図ることができる。したがって、この有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法によれば、熱分解装置の小形化および低コスト化と相俟って、有機系廃棄物ガス化システムの全体としての十分な小形化および十分な低コスト化を実現することができる。
【0018】
また、請求項2記載の有機系廃棄物ガス化システム、および請求項6記載の有機系廃棄物ガス化方法によれば、水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒を用いることにより、比較的低い温度で行われる水酸素改質反応を促進することができるため、水酸素ガス改質処理の効率を十分に高めることができる。
【0019】
また、請求項3記載の有機系廃棄物ガス化システム、および請求項7記載の有機系廃棄物ガス化方法によれば、水素リッチガスを使用した発電に伴って発生する排温水を用いて生成した過熱水蒸気を熱分解ガス化処理に用いることにより、有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法の各処理で用いる電力を水素リッチガスを使用した発電で賄い、さらにその発電に伴って発生する排温水の熱エネルギーもガス化の際のエネルギー源として利用することができるため、エネルギーの有効利用を推進することができる。
【0020】
さらに、請求項4記載の有機系廃棄物ガス化システム、および請求項8記載の有機系廃棄物ガス化方法によれば、熱分解ガス化処理の際に発生する有機材料の残渣を水蒸気を生成する際の燃料として用いることにより、残渣を廃棄物として排出することなく、ガス化システム内および有機系廃棄物ガス化方法の各処理において消費することができるため、資源の有効利用をさらに推進することができる。また、残渣を廃棄物として埋め立てなどの方法によって処分する必要がないため、環境保護に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】有機系廃棄物ガス化システム100の構成を示す構成図である。
【図2】有機系廃棄物ガス化システム100によって実行される各処理の流れを説明する工程図である。
【図3】ガス改質槽31の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
最初に、図1,2に示す有機系廃棄物ガス化システム100(以下「ガス化システム100」ともいう)の構成について説明する。ガス化システム100は、有機系廃棄物(特に家庭ごみを主体とした有機系廃棄物)501からガスを生成する(つまり、有機系廃棄物をガス化する)システムであって、同図に示すように、前処理装置1、熱分解装置2、ガス改質装置3、ガス精製装置4、ガス貯留槽5およびガス発電機6を備えて構成されている。また、ガス化システム100は、搬入された有機系廃棄物501を受け入れる搬入ピット7、搬入ピット7と前処理装置1との間に配設されたコンベヤ8、各装置や設備に電力を供給する図外の電力供給装置、並びに各装置や設備の間に配設された配管9a〜9fおよび搬送機構10などの付帯設備を備えている。
【0024】
前処理装置1は、熱分解装置2によって実行される後述する熱分解ガス化処理の前処理として、有機系廃棄物501を分解して効率的な熱分解ガス化処理が可能な状態の有機材料502とする加水分解処理(水熱処理)を実行する(図2参照)。具体的には、前処理装置1は、図1,2に示すように、処理槽11および水蒸気生成機(ボイラー)12を備えて構成されている。
【0025】
処理槽11は、図1に示すように、一例として略円筒状に形成されて、有機系廃棄物501を収容可能に構成されている。また、処理槽11の上部には、搬入ピット7に搬入されてコンベヤ8によって搬送される有機系廃棄物501を処理槽11内に収容させるための開口部11aが設けられている。また、処理槽11の一方の側部には、水蒸気生成機12によって生成される水蒸気101を処理槽11内に送り込むための開口部11bが設けられている。さらに、処理槽11の他方の側部には、有機材料502を(前処理後の有機系廃棄物501)を送り出すための開口部11cが設けられている。
【0026】
水蒸気生成機12は、100℃〜200℃の水蒸気101を生成する。水蒸気生成機12によって生成された水蒸気101は、処理槽11と水蒸気生成機12との間に配設された配管9a(図1参照)を通って開口部11bから処理槽11内に送り込まれて、加水分解処理に用いられる。また、この水蒸気生成機12は、重油を主燃料として用いると共に、熱分解装置2によって実行される熱分解ガス化処理の際に発生する有機系廃棄物501の残渣503を補助燃料として用いることが可能に構成されている。
【0027】
熱分解装置2は、有機材料502(前処理後の有機系廃棄物501)に対して熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガス201を発生させる(図2参照)。具体的には、熱分解装置2は、図1,2に示すように、熱分解槽21および常圧過熱水蒸気生成機22を備えて構成されている。
【0028】
熱分解槽21は、図1に示すように、一例として略円筒状に形成されて、有機材料502を収容可能に構成されている。また、熱分解槽21の一方の側部には、処理槽11の開口部11cから搬送機構10によって搬送される有機材料502を処理槽11内に収容させるための開口部21aが設けられている。また、熱分解槽21の上部には、熱分解ガス化処理によって発生した熱分解ガス201を送り出すための開口部21bが設けられている。さらに、熱分解槽21の他方の側部には、常圧過熱水蒸気生成機22によって生成される常圧過熱水蒸気102を熱分解槽21内に送り込むための開口部21cが設けられている。
【0029】
常圧過熱水蒸気生成機22は、過熱水蒸気生成機の一例であって、水蒸気生成機12によって生成された水蒸気101を加熱することにより、400℃〜600℃の常圧過熱水蒸気102(過熱水蒸気の一例)を生成する。常圧過熱水蒸気生成機22によって生成された常圧過熱水蒸気102は、熱分解槽21と常圧過熱水蒸気生成機22との間に配設された配管9b(図1参照)を通って開口部21cから熱分解槽21内に送り込まれて熱分解ガス化処理に用いられる。また、この常圧過熱水蒸気生成機22は、水蒸気101を加熱して常圧過熱水蒸気102を生成する際の熱源として、後述するガス発電機6から排出される排温水203を用いる。
【0030】
ガス改質装置3は、ガス改質装置3が実行する熱分解ガス化処理によって発生した熱分解ガス201に対してガス改質処理としての水酸素ガス改質処理を実行し、熱分解ガス201を、水素を高い比率で含む(例えば、水素分子の組成比が40モル%以上の)水素リッチガス202に改質する(図2参照)。具体的には、ガス改質装置3は、図1,2に示すように、ガス改質槽31および水酸素ガス生成機32を備えて構成されている。
【0031】
ガス改質槽31は、図1,3に示すように、一例として略円筒状に形成されて、熱分解ガス201を収容可能に構成されている。また、図3に示すように、ガス改質槽31の上部には、熱分解槽21の開口部21bから配管9cを通って送り出される熱分解ガス201をガス改質槽31内に送り込むための開口部31aが設けられている。また、同図に示すように、熱分解槽21の側部には、水酸素ガス生成機32によって生成される水酸素ガス103をガス改質槽31内の反応領域31dに送り込むための開口部31b,31b,31bが設けられている。さらに、ガス改質槽31の下部には、水酸素ガス改質処理によって改質された水素リッチガス202を送り出すための開口部31cが設けられている。
【0032】
また、図3に示すように、ガス改質槽31内の反応領域31dには、水酸素改質反応用の触媒41が収容されている。このガス改質槽31では、酸化カルシウム系の触媒が水酸素改質反応用の触媒41として用いられている。この場合、触媒41は、同図に示すように、一例として、多数の孔が形成された板体や、網状の部材にコーティングした状態でガス改質槽31内の反応領域31dに収容されている。また、ガス改質槽31の内部における上部側には、開口部31a側から送り込まれた熱分解ガス201を浄化(除塵)しつつ整流するためのフィルタ42aが配設されている。また、ガス改質槽31の内部における下部側には、改質された水素リッチガス202を浄化(除塵)しつつ整流するためのフィルタ42bが配設されている。この場合、フィルタ42a,42bは、一例として、多数の孔を有してハニカム状をなすセラミックス多孔体であるセラミックスハニカムで構成されている。
【0033】
水酸素ガス生成機32は、水酸素ガス103(別名として、ブラウンガス、原子水素ガス、HHOガス、ZETガス、CPガス、E&Eガス、アクアガス等)を生成する。水酸素ガス生成機32によって生成された水酸素ガス103は、ガス改質槽31と水酸素ガス生成機32との間に配設された配管9d(図1,3参照)を通って開口部31bからガス改質槽31内の反応領域31dに送り込まれて水酸素ガス改質処理に用いられる。なお、この水酸素ガス103は、原子状態(非分子状態)の水素と原子状の酸素とを2:1の比率で混合した気体であって、水の電気分解によって生成される。
【0034】
ガス精製装置4は、一例として、ガス洗浄機およびフィルタを備えて構成されている。また、ガス精製装置4は、図1に示すように、配管9eを介してガス改質装置3のガス改質槽31と接続され、ガス改質槽31の開口部31cから送り出されて配管9eを通って送り込まれる水素リッチガス202から硫化水素やアンモニア等の腐食性ガスを除去して、水素リッチガス202を精製するガス精製処理を実行する(図2参照)。ガス貯留槽5は、図1に示すように、配管9fを介してガス精製装置4と接続されて、ガス精製装置4によって精製された水素リッチガス202を貯留する。
【0035】
ガス発電機6は、一例として、ガスエンジン、ガスタービンおよび燃料電池の1つ以上を備えて構成され、ガス貯留槽5から供給される水素リッチガス202を使用して発電を行う。この場合、ガス発電機6によって発電された電力は、ガス化システム100の各装置および設備に供給されて各装置および設備によって消費される。また、発電に伴って生じる排温水203は、常圧過熱水蒸気生成機22に送られて、常圧過熱水蒸気生成機22による常圧過熱水蒸気102の生成に用いられる(図2参照)。
【0036】
次に、ガス化システム100を用いた有機系廃棄物ガス化方法について、ガス化システム100の各構成要素によって実行される処理の内容を中心に図面を参照して説明する。
【0037】
図1,2に示すように、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物501は、トラック等の輸送手段によってガス化システム100が設置されている施設に輸送されて、搬入ピット7に投入され、搬入ピット7内に一時的に貯留される。この場合、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物501は、未処理の状態(処理槽11内に収容された状態)において60重量%程度の水分を含んでいる。
【0038】
搬入ピット7に貯留された有機系廃棄物501は、図1,2に示すように、コンベヤ8によって前処理装置1の処理槽11の上部に設けられている開口部11aに搬送され、開口部11aから処理槽11内に収容される。ガス化システム100の運転中において、コンベヤ8は、処理槽11に対する単位時間当たりの搬送量が予め決められた一定の重量となるように、有機系廃棄物501を連続的または断続的に搬送する。これにより、処理槽11には、単位時間当たりに一定重量の有機系廃棄物501が収容される。
【0039】
一方、運転中のガス化システム100では、前処理装置1の水蒸気生成機12が、100℃〜200℃の水蒸気101を生成する。また、熱分解装置2の常圧過熱水蒸気生成機22が、水蒸気生成機12によって生成された水蒸気101を加熱することにより、400℃〜600℃の常圧過熱水蒸気102を生成する。また、ガス改質装置3の水酸素ガス生成機32が、水酸素ガス103を生成する。
【0040】
水蒸気生成機12によって生成された水蒸気101は、配管9aを通って開口部11bから処理槽11内に送り込まれ、処理槽11内の温度を上昇させる。この場合、処理槽11内の温度が150℃以上200℃以下の範囲内(好ましくは190℃程度)に維持されるように水蒸気101の温度および送り込み量を調整する。
【0041】
水蒸気101が送り込まれた処理槽11内では、水蒸気101と有機系廃棄物501との水熱反応によって有機系廃棄物501を乾燥させつつ分解する加水分解処理(水熱処理)が開始される。この加水分解処理が継続されることにより、有機系廃棄物501の分解に伴って含水率が徐々に低下する。この場合、有機系廃棄物501を処理槽11内に30分程度滞留させて、加水分解処理を30分程度継続させることで、60重量%程度の含水率を有していた有機系廃棄物501が、含水率が20重量%程度まで低下した有機材料502に分解される。
【0042】
このように、このガス化システム100では、熱分解ガス化処理の前処理として加水分解処理を実行することで、含水率が60重量%程度の有機系廃棄物501を含水率が20重量%程度の有機材料502に分解することが可能となっている。このため、自然乾燥だけを前処理として行う構成および方法と比較して、その後の熱分解ガス化処理を効率的に行うことが可能となっている。
【0043】
上記のようにして前処理装置1による加水分解処理で分解された有機材料502は、搬送機構10によって熱分解装置2の熱分解槽21に搬送され、開口部21aから熱分解槽21内に収容される。また、常圧過熱水蒸気生成機22によって生成された常圧過熱水蒸気102が、配管9bを通って開口部21cから熱分解槽21内に送り込まれ、熱分解槽21内の温度を上昇させる。この場合、熱分解槽21内の圧力が1気圧以上3気圧以下の範囲内で、かつ熱分解槽21内の温度が400℃以上600℃以下の範囲内に維持されるように常圧過熱水蒸気102の温度および送り込み量を調整する。
【0044】
また、常圧過熱水蒸気102の送り込みに伴って空気が排出されて、熱分解槽21内が低酸素状態(または無酸素状態)に維持される。この雰囲気下において、熱分解槽21内では、有機材料502が熱分解されて熱分解ガス201が発生する熱分解ガス化処理が行われる。このガス化システム100では、熱分解槽21内の圧力を1気圧以上3気圧以下の比較的低い範囲内に維持し、かつ熱分解槽21内の温度を400℃以上600℃以下の比較的低い温度範囲内に維持した状態で熱分解ガス化処理が行われるため、高い耐熱性や高い耐圧性を有する熱分解槽を用いることなく、比較的簡易な構成の熱分解槽21を用いて有機材料502を熱分解することが可能となっている。また、このガス化システム100では、低酸素状態(または無酸素状態)の熱分解槽21内において熱分解ガス化処理が行われるため、ダイオキシン等の環境影響物質の発生が抑制される。
【0045】
この熱分解ガス化処理により、有機材料502のうちの70重量%程度がガス化され、30重量%程度が残渣503として残留する。この場合、残渣503は主として有機物で構成されているため、エネルギー源として利用することができる。このガス化システム100では、この残渣503をエネルギー源として利用するため、熱分解槽21から定期的に取り出して水蒸気生成機12に搬送し、水蒸気生成機12は、残渣503を補助燃料として用いて水蒸気101を生成する。このように、このガス化システム100では、残渣503を廃棄物として排出することなく、ガス化システム100内において消費することで、資源の有効利用が図られている。また、残渣503を廃棄物として埋め立てなどの方法によって処分する必要がないため、環境保護に資することが可能となっている。
【0046】
一方、熱分解ガス化処理によって発生した熱分解ガス201は、開口部21bから送り出され、配管9cを通ってガス改質装置3のガス改質槽31に設けられている開口部31aからガス改質槽31内に送り込まれる(図3参照)。この場合、ガス改質槽31内に送り込まれた熱分解ガス201は、開口部31a付近において、400℃の温度となっている。
【0047】
また、ガス改質槽31内に送り込まれた熱分解ガス201は、ガス改質槽31の内部における上部側に配設されているフィルタ42aを通過する間に、浄化(除塵)されつつ整流される。また、熱分解ガス201は、フィルタ42aを通過する間に冷却される。
【0048】
また、図3に示すように、水酸素ガス生成機32によって生成された水酸素ガス103が、配管9dを通って開口部31bからガス改質槽31内の反応領域31dに送り込まれる。この状態において、フィルタ42aを通過した熱分解ガス201が反応領域31d内に送り込まれたときには、水酸素ガス103と熱分解ガス201とが反応(水酸素改質反応)して、これによって熱分解ガス201が水素を高い比率で含む水素リッチガス202に改質される水酸素ガス改質処理が開始される。この場合、反応領域31dに収容されている触媒41に水酸素ガス103および熱分解ガス201が接触して、触媒41の作用によって水酸素改質反応が促進される。
【0049】
水酸素ガス改質処理によって改質された水素リッチガス202は、ガス改質槽31の内部における下部側に配設されているフィルタ42bを通過する間に、浄化(除塵)されつつ整流される。また、熱分解ガス201は、フィルタ42bを通過する間に、100℃程度の温度まで冷却される。この場合、水酸素ガス改質処理は、200℃以上300℃以下の温度範囲内で行うのが好ましい。このため、反応領域31d内の温度がこの範囲内に維持されるように、ガス改質槽31に送り込む熱分解ガス201の流量を調整する。なお、水酸素ガス改質処理を実行する際のガス改質槽31内の圧力は、特に限定されないが、1気圧以上2気圧以下の範囲内であるのが好ましい。
【0050】
このガス化システム100では、ガス改質槽31内の温度を200℃以上300℃以下の比較的低い温度範囲内に維持した状態で水酸素ガス改質処理が行われるため、高い耐熱性を有するガス改質槽を用いることなく、比較的簡易な構成のガス改質槽31を用いて熱分解ガス201の改質を行うことが可能となっている。また、ガス改質槽31内を加熱する必要がないため、加熱装置も不要となっている。
【0051】
ガス改質槽31のフィルタ42bを通過した水素リッチガス202は、ガス改質槽31の開口部31cから送り出され、配管9e(図3参照)を通ってガス精製装置4に送り込まれる。ガス精製装置4に送り込まれた水素リッチガス202は、ガス精製装置4のガス洗浄機およびフィルタによって硫化水素やアンモニア等の腐食性ガスが除去され精製される。
【0052】
ガス精製装置4によって精製された水素リッチガス202は、配管9f(図1参照)を通ってガス貯留槽5に送り込まれて貯留される。ガス貯留槽5に貯留されている水素リッチガス202は、ガス化システム100の外部に供給されて、例えば、家庭用の燃料電池の燃料などに利用される。また、ガス貯留槽5に貯留されている水素リッチガス202の一部は、ガス発電機6に送られる。ガス発電機6は、ガス貯留槽5から送られる水素リッチガス202を用いて発電を行い、発電された電力は、ガス化システム100の各装置に供給される。また、ガス発電機6による発電に伴って排温水203が生じる。このガス化システム100では、この排温水203が常圧過熱水蒸気生成機22に送られて、水蒸気生成機12は、その排温水203を常圧過熱水蒸気102を生成する際の熱源として用いる。
【0053】
以上により、有機系廃棄物501の搬入から有機系廃棄物501のガス化に至る1サイクル分の各処理および各工程が終了する。以後、各装置が各処理および各工程をそれぞれ連続して実行することにより、有機系廃棄物501のガス化が連続して行われる。
【0054】
このように、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、有機系廃棄物501を収容した処理槽11内に水蒸気101を送り込んで行う加水分解処理を熱分解ガス化処理の前処理として実行することにより、含水率が60重量%程度の有機系廃棄物501を含水率が20重量%程度の有機材料502に分解することができるため、自然乾燥だけを前処理として行う構成および方法と比較して、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物501を効率的にガス化することができる。
【0055】
また、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、有機材料502を収容した熱分解槽21に対して常圧過熱水蒸気102を送り込んで熱分解槽21内の圧力を1気圧以上3気圧以下の範囲内に維持すると共に熱分解槽21内の温度を400℃以上600℃以下の範囲内に維持しかつ熱分解槽21内を低酸素状態または無酸素状態に維持して熱分解ガス化処理を実行することにより、高い耐熱性や高い耐圧性を有する熱分解槽を用いることなく、比較的簡易な構成の熱分解槽21を用いて有機材料502を熱分解することができると共に、熱分解槽21内を加熱する加熱装置を不要とすることができるため、熱分解装置2の小形化および低コスト化を図ることができる。また、低酸素状態(または無酸素状態)の熱分解槽21内において熱分解ガス化処理を実行することができるため、ダイオキシン等の環境影響物質の発生を確実に抑制することができる。
【0056】
また、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、水酸素改質反応用の触媒41が内部に収容されたガス改質槽31内に水酸素ガス103および熱分解ガス201を送り込んでガス改質槽31内の温度を200℃以上300℃以下の範囲内に維持して水酸素改質反応によって熱分解ガス201を水素リッチガス202に改質する水酸素ガス改質処理を実行することにより、高い耐熱性を有するガス改質槽を用いることなく、比較的簡易な構成のガス改質槽31を用いて熱分解ガス201の改質を行うことができると共に、ガス改質槽31内を加熱する加熱装置を不要とすることができるため、ガス改質装置3の小形化および低コスト化を図ることができる。したがって、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、上記したように熱分解装置2の小形化および低コスト化と相俟って、ガス化システム100の全体としての十分な小形化および十分な低コスト化を実現することができる。
【0057】
また、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒41を用いることにより、比較的低い温度で行われる水酸素改質反応を促進することができるため、水酸素ガス改質処理の効率を十分に高めることができる。
【0058】
また、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、水素リッチガス202を使用した発電に伴って発生する排温水203を用いて生成した常圧過熱水蒸気102を熱分解ガス化処理に用いることにより、ガス化システム100で用いる電力を水素リッチガス202を使用した発電で賄い、さらにその発電に伴って発生する排温水203の熱エネルギーもガス化の際のエネルギー源として利用することができるため、エネルギーの有効利用を推進することができる。
【0059】
また、このガス化システム100および有機系廃棄物ガス化方法によれば、熱分解ガス化処理の際に発生する残渣503を水蒸気101の生成の際の燃料として用いることにより、残渣503を廃棄物として排出することなく、ガス化システム100内において消費することができるため、資源の有効利用をさらに推進することができる。また、残渣503を廃棄物として埋め立てなどの方法によって処分する必要がないため、環境保護に資することができる。
【0060】
なお、有機系廃棄物ガス化システムの構成、および有機系廃棄物ガス化方法は上記した構成および方法に限定されず、適宜変更することができる。例えば、家庭ごみを主体とする有機系廃棄物501をガス化する例について説明したが、有機系である限り、家庭ごみ以外の事業所系のごみなどの廃棄物をガス化することができる。また、酸化カルシウム系の触媒41を用いる構成および方法について上記したが、ニッケル系等の他の触媒を用いることもできる。
【0061】
また、有機系廃棄物501を前処理装置1に連続して投入し、有機系廃棄物501のガス化を連続して行う構成および方法について説明したが、ガス化を非連続で行う(ガス化をバッチ処理によって行う)構成および方法を採用することもできる。また、水素リッチガス202を用いた発電を行うガス発電機6を備えた構成、つまりガス化システム100によって生成した水素リッチガス202の一部をガス化システム100内において消費する構成および方法について説明したが、生成したガス化システム100の全てをガス化システム100の外部に供給する構成および方法を採用することもできる。
【0062】
また、上記の構成および方法では、熱分解ガス化処理の際に発生する残渣503を補助燃料として用いて水蒸気101を生成しているが、残渣503を主燃料として用いて水蒸気101を生成する構成および方法や、残渣503だけで水蒸気101を生成する構成および方法を採用することもできる。また、残渣503を燃料として用いない構成も採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 前処理装置
2 熱分解装置
3 ガス改質装置
6 ガス発電装置
11 処理槽
12 水蒸気生成機
21 熱分解槽
22 常圧過熱水蒸気生成機
31 ガス改質槽
32 水酸素ガス生成機
41 触媒
100 有機系廃棄物ガス化システム
101 水蒸気
102 常圧過熱水蒸気
103 水酸素ガス
201 熱分解ガス
202 水素リッチガス
203 排温水
501 有機系廃棄物
502 有機材料
503 残渣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系廃棄物に対して前処理を実行する前処理装置と、前記前処理後の有機系廃棄物に対して熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガスを発生させる熱分解装置と、前記熱分解ガスに対してガス改質処理を実行するガス改質装置とを備え、前記有機系廃棄物をガス化する有機系廃棄物ガス化システムであって、
前記前処理装置は、処理槽と水蒸気生成機とを備え、前記有機系廃棄物を収容した前記処理槽内に前記水蒸気生成機によって生成された水蒸気を送り込んで当該有機系廃棄物を乾燥させつつ有機材料に分解する加水分解処理を前記前処理として実行し、
前記熱分解装置は、熱分解槽と過熱水蒸気生成機とを備え、前記前処理後の有機系廃棄物としての前記有機材料を収容した前記熱分解槽に対して前記過熱水蒸気生成機によって生成された過熱水蒸気を送り込んで当該熱分解槽内を低酸素状態または無酸素状態に維持して前記熱分解ガス化処理を実行し、
前記ガス改質装置は、水酸素改質反応用の触媒が内部に収容されたガス改質槽と水酸素ガス生成機とを備え、前記水酸素ガス生成機によって生成された水酸素ガスおよび前記熱分解ガスを前記ガス改質槽内に送り込んで水酸素改質反応によって当該熱分解ガスを水素リッチガスに改質する水酸素ガス改質処理を前記ガス改質処理として実行する有機系廃棄物ガス化システム。
【請求項2】
前記水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒を用いる請求項1記載の有機系廃棄物ガス化システム。
【請求項3】
前記水素リッチガスを使用して発電するガス発電機を備え、
前記過熱水蒸気生成機は前記ガス発電機による発電に伴って発生する排温水を用いて前記過熱水蒸気を生成する請求項1または2記載の有機系廃棄物ガス化システム。
【請求項4】
前記水蒸気発生機は、前記熱分解ガス化処理の際に発生する前記有機材料の残渣を前記水蒸気を生成する際の燃料として用いる請求項1から3のいずれかに記載の有機系廃棄物ガス化システム。
【請求項5】
有機系廃棄物に対して前処理を実行し、前記前処理後の有機系廃棄物に対して熱分解ガス化処理を実行して熱分解ガスを発生させ、前記熱分解ガスに対してガス改質処理を実行して、前記有機系廃棄物をガス化する有機系廃棄物ガス化方法であって、
前記有機系廃棄物を収容した処理槽内に水蒸気を送り込んで当該有機系廃棄物を乾燥させつつ有機材料に分解する加水分解処理を前記前処理として実行し、
前記前処理後の有機系廃棄物としての前記有機材料を収容した熱分解槽に対して過熱水蒸気を送り込んで当該熱分解槽内を低酸素状態または無酸素状態に維持して前記熱分解ガス化処理を実行し、
水酸素改質反応用の触媒が内部に収容されたガス改質槽内に水酸素ガスおよび前記熱分解ガスを送り込んで水酸素改質反応によって当該熱分解ガスを水素リッチガスに改質する水酸素ガス改質処理を前記ガス改質処理として実行する有機系廃棄物ガス化方法。
【請求項6】
前記水酸素改質反応用の触媒として酸化カルシウム系の触媒を用いる請求項5記載の有機系廃棄物ガス化方法。
【請求項7】
前記水素リッチガスを使用した発電に伴って発生する排温水を用いて生成した前記過熱水蒸気を前記熱分解ガス化処理に用いる請求項5または6記載の有機系廃棄物ガス化方法。
【請求項8】
前記熱分解ガス化処理の際に発生する前記有機材料の残渣を前記水蒸気を生成する際の燃料として用いる請求項5から7のいずれかに記載の有機系廃棄物ガス化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−17376(P2012−17376A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154443(P2010−154443)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(507333443)株式会社アイ・ネットコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】