説明

有機繊維コードの熱処理装置及び熱処理方法

【課題】 ディップ処理みの有機繊維コードの加熱炉内の温度を確実に目標温度に到達させる。
【解決手段】 温度制御装置14,15,16は、簾織り有機繊維コード反36が供給される前に、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3内の簾織り有機繊維コード反36の加熱目標温度をHT工程制御装置12から読込み、加熱装置9,10,11内の直火式バーナーの火力を加熱目標温度に対応する火力に設定し、加熱する。簾織り有機繊維コード反36が供給されると、温度センサ6,7,8が検出した各ゾーンの出口付近の簾織り有機繊維コード反36の表面温度との差異に応じて、その差異が0になるように加熱装置9,10,11内の直火式バーナーの火力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤコード等に用いられる有機繊維コードの熱処理装置に関し、詳細には、有機繊維コードの改質及びゴムとの接着性の付与を行うためのディップ液に浸漬した有機繊維コードを熱風により加熱するときの加熱温度を制御することにより、加熱設備の経時変化や設備仕様の相違にかかわらず、同一品質の有機繊維コードが得られるようにした有機繊維コードの熱処理装置及び熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤコード等に使用される有機繊維コードに対し、その改質及びゴムとの接着性の付与を行うための処理システムとしては、図6に示すものがある(特許文献1参照)。この図に示す簾織り有機繊維コード反の処理装置30において、簾織り有機繊維コード反36の長尺物を巻き取った大巻原反35から矢印方向へ送り出された簾織り有機繊維コード36は、各種プルロール39a,39b,39c,39d,39eの案内の下でディップ処理装置34が備えるディップ液槽34aのディップ液34b中に浸されディップ処理を施された後にドライ(乾燥処理)ゾーン31、ヒートストレッチ(緊張熱処理)ゾーン32及びヒートリラックス(緊張緩和熱処理)ゾーン33の中を順次通過し、その後に冷却されて簾織り有機繊維ディップコード反の完成品37となり、それが巻き取られて大巻仕上り反38となる。
【0003】
ここで、ディップ処理装置34が備えるディップ液は有機繊維コードとゴムとの接着を確保し得るに最適な配合になる既知のレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合体/ゴム・ラテックス混合液(RF/L)等である。ディップ処理装置34の直前位置から大巻仕上り反38の直前位置までの間はプルロール39a,39b,39c,39d,39eにより各処理前後で簾織り有機繊維コード36反及び簾織り有機繊維ディップコード反の完成品37直前の簾織り有機繊維ディップコード反に所定の張力を付加する。
【0004】
ドライゾーン31では簾織り有機繊維コード反36に付着したディップ液を乾燥させるために、ディップ液及び有機繊維コードの種類に合わせて適宜設定した所定の温度(例、130〜180℃程度)で処理する。ヒートストレッチゾーン32では簾織り有機繊維コード反36に付着したディップ液を加熱により有機繊維コードに接着し、ヒートリラックスゾーン33では所定の熱延伸条件で繊維物性を標準化(Normalize)するが、何れも有機繊維コードの種類に合わせて適宜設定した所定の温度(例、230〜250℃程度)で処理する。
【0005】
このように構成された処理システムの各ゾーン31,32,33における熱処理設備は、直火式乾燥炉設備が用いられている。その基本的構成は、ガス燃焼装置、送風ファン、送風ダクト、循環ダクト、有機繊維コードを所定時間滞留後に炉外へ送り出すことができるロールが設置された加熱炉、及び排気ダクトである。ガス燃焼装置では、LPG、LNG或いは灯油を燃焼させ、それにより加熱された空気を送風ファン付きのダクトにより加熱炉に送り込み、ダクトの開口部(ヒートストレッチゾーン32においては32a)から吹き出した熱風を炉内の簾織り有機繊維コード反36の表面に当てることで加熱する。そして、冷却された空気を循環ダクトによりガス燃焼装置に戻し、再加熱する。
【0006】
また、各熱処理設備の温度設定は、予めガス燃焼装置の火力(燃料の供給量及び空燃比)と加熱炉内の温度との対応関係を表す情報を作成しておき、図示されていないプロセス制御装置が、その情報に基づいて、ガス燃焼装置の火力を有機繊維コードの目標加熱温度に対応する一定値に固定している。
【特許文献1】特開平11-323691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の熱処理設備では、加熱炉内の温度を有機繊維コードの目標加熱温度に設定しても、加熱炉内の経時変化(スケール付着による風速の低下、熱交換効率の低下)、又は設備仕様の差異等により、有機繊維コードの実際の到達温度にばらつきが生じ、有機繊維コードの品質、特に接着性に大きな差異が生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、熱処理設備内の有機繊維コードの実際の温度を確実に目標加熱温度に到達させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、燃焼装置と、該燃焼装置で生成された熱気が供給されると共に、内部を通過するディップ処理済みの有機繊維コードを前記熱気により加熱する加熱炉とを有する有機繊維コードの熱処理装置において、前記有機繊維コードの加熱温度を設定する温度設定手段と、予め取得しておいた前記燃焼装置の火力と前記加熱炉内の前記有機繊維コードの到達温度との対応関係を表す情報に基づいて、前記燃焼装置の火力を前記有機繊維コードの加熱温度に対応する火力に設定する手段と、前記加熱炉内の前記有機繊維コードの温度を検出する温度検出手段と、前記温度設定手段で設定された温度と、前記温度検出手段で検出された温度との差異に応じて前記設定された火力を調整する手段とを備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の有機繊維コードの熱処理装置において、前記温度検出手段は、前記有機繊維コードの前記加熱炉の出口付近の温度を検出することを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1記載の有機繊維コードの熱処理装置において、前記温度検出手段で検出された温度の最大値が前記目標温度未満のとき、前記加熱炉又は燃焼装置の点検指示を行う手段を備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置である。
請求項4に係る発明は、燃焼装置で生成した熱気を加熱炉に供給すると共に、ディップ処理済みの有機繊維コードを前記加熱炉を通過させながら前記熱気により加熱する熱処理方法において、予め取得しておいた前記燃焼装置の火力に対する前記加熱炉内の前記有機繊維コードの到達温度との関係情報に基づいて、前記燃焼装置の火力を前記有機繊維コードの加熱温度に対応する火力に設定する工程と、前記火力に設定された加熱炉内の前記有機繊維コードの温度を検出する工程と、前記加熱温度と前記検出された温度との差異に応じて、前記燃焼装置の火力を調整する工程とを備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理方法である。
【0010】
(作用)
請求項1、4に係る発明によれば、予め取得しておいた燃焼装置の火力と加熱炉内の有機繊維コードの到達温度との対応関係を表す情報に基づいて、燃焼装置の火力を有機繊維コードの加熱温度に対応する火力に設定し、加熱炉の内部を通過するディップ処理みの有機繊維コードを燃焼装置で生成した熱気により加熱し、加熱された有機繊維コードの温度を測定し、温度の測定値と有機繊維コードの目標加熱温度との差異に応じて、燃焼装置の火力を調整する。
請求項2に係る発明によれば、加熱炉の出口付近で有機繊維コードの温度を測定し、温度の測定値と有機繊維コードの目標到達温度との差異に応じて、燃焼装置の火力を調整する。
請求項3に係る発明によれば、有機繊維コードが目標加熱温度まで加熱されないとき、加熱炉又は燃焼装置の点検指示を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ディップ処理みの有機繊維コードを熱風により加熱する熱処理設備内にて、有機繊維コードの実際の温度を確実に目標加熱温度に到達させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る簾織り有機繊維コード反の処理システム(以下、本処理システムと言う)の構成を示す図である。この図において、図6と同一の構成要素には図6で使用した符号を付した。
【0013】
本処理システムは、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2及びヒートリラックスゾーン3からなる熱処理装置と、これらを制御するHT(Heat Tension)制御装置12と、HT制御装置12を管理する生産管理システム13とを備えている。また、従来のシステムと同様、簾織り有機繊維コード反36の長尺物を巻き取った大巻原反35から矢印方向へ送り出された簾織り有機繊維コード36は、各種プルロール39a,39b,39c,39d,39eの案内の下でディップ処理装置34が備えるディップ液槽34aのディップ液34b中に浸されてディップ処理を施された後、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2及びヒートリラックスゾーン3の中を順次通過し、その後に冷却されて簾織り有機繊維ディップコード反の完成品37となり、それが巻き取られて大巻仕上り反38となるように構成されている。
【0014】
ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3には、それぞれの内部を通過する簾織り有機繊維コード反の出口付近の表面の温度を非接触で検出する温度センサ(例えば赤外線センサ)6,7,8が設けられている。また、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3には、それぞれの内部に熱風を供給するための加熱装置9,10,11が設けられている。さらに、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3には、それぞれ加熱装置9,10,11内の発熱装置(直火式バーナー)の発熱量を、HT工程制御装置12から設定されたドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3内の簾織り有機繊維コード反の目標加熱温度と、温度センサ6,7,8で検出された簾織り有機繊維コード反の実際の到達温度との差異に応じて制御するための温度制御装置(TCL)14,15,16が設けられている。
【0015】
ここで、温度センサ6,7,8で検出された温度データは、温度制御装置14,15,16を介してHT制御装置12へ入力するように構成されている。また、温度制御装置14,15,16は、加熱装置9,10,11内の発熱装置(直火式バーナー)の発熱量とドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3内の有機繊維コード反の到達温度との関係を表すテーブル、及びその発熱量と燃料の供給量、空燃比との関係を表すテーブル、並びにその発熱量の増減量、増減速度、許容範囲等を示すテーブルを備えている。これらのテーブルは、事前に測定等を行った結果に基づいて作成することができる。
【0016】
HT工程制御装置12は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコントローラからなり、本処理システムで処理する簾織り有機繊維ディップコード反別の目標加熱温度を示すテーブル等が格納されたデータベースを備えている。また、図示されていないが、本処理システムは、各プルロール39a〜39eを所定のタイミングで所定の張力を付与しつつ移動させるモータ及びその駆動手段を備えており、HT制御装置12は、そのモータ駆動手段の制御に必要なテーブルを備えている。
【0017】
生産管理システム13は、HT制御装置12と通信を行うことで、この処理システムにより処理された簾織り有機繊維コード反の処理年月日、処理数、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2及びヒートリラックスゾーン3の各々の加熱炉内の簾織り有機繊維コード反別の目標加熱温度、温度センサ6,7,8で検出された温度の時間的推移等のデータを格納するためのデータベース(図示せず)を備えている。
【0018】
次に加熱装置9,10,11について説明するが、各加熱装置の構成は同じであるため、ここではヒートストレッチゾーン2の加熱装置10について説明する。加熱装置10は、直火式バーナー10Aと、直火式バーナー10Aにて生成された熱気をヒートストレッチゾーン2の加熱炉20内に供給するための導管である送風ダクト10Bと、加熱炉20内を通過した熱気(熱風)を直火式バーナー10Aに戻すための導管である循環ダクト10Cとを備えている。循環ダクト10Cには、熱気を循環させるための送風ファン10Dが介挿されている。また、循環ダクト10Cはダンパ10Eを通して送風ファン10Dの上流側に外気の導入が可能に構成されると共に、ダンパ10Fを通して送風ファン10Dの下流側の熱気を外部に排気する。さらに、送風ファン10Dの下流側と直火式バーナー10Aとの間には空気流量調節バルブ10Gが配置されている。また、直火式バーナー10Aには燃料流量調節バルブ10Hを通して燃料が供給される。空気流量調節バルブ10G、燃料流量調節バルブ10Hの開き度合は、温度制御装置15から出力される空気量制御信号、燃料流量制御信号により制御される。
【0019】
次に、以上の構成を有する簾織り有機繊維コード反の処理システムにおける熱処理装置の動作を説明する。この処理システムにおいて、ディップ処理装置34にてディップ処理を受けた簾織り有機繊維コード反36は、従来システムと同様に、ドライゾーン1にて、簾織り有機繊維コード反36に付着したディップ液を乾燥させるために、加熱装置9により所定の温度(例、130℃)で加熱され、次いでヒートストレッチゾーン2にて、簾織り有機繊維コード反36に付着したディップ液を有機繊維コードに接着するために、加熱装置10により所定の温度(例、250℃)で加熱され、次にヒートリラックスゾーン3にて、所定の熱延伸条件で繊維物性を標準化するために、加熱装置11により所定の温度(例、250℃)で加熱される。
【0020】
ここで、温度制御装置14,15,16は、簾織り有機繊維コード反36が供給される前に、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2、ヒートリラックスゾーン3内の簾織り有機繊維コード反36の加熱目標温度をHT工程制御装置12から読み込み、加熱装置9,10,11内の直火式バーナーの火力を加熱目標温度に対応する火力に設定し、加熱しておく。そして、簾織り有機繊維コード反36が供給されると、温度センサ6,7,8が検出した各ゾーンの出口付近の簾織り有機繊維コード反36の表面温度との差異に応じて、その差異が0になるように加熱装置9,10,11内の直火式バーナーの火力を調整する。
【0021】
例えばヒートストレッチゾーン2の場合、図3のフローチャートに示すように、温度制御装置15は、まずHT工程制御装置12から、加熱炉20内の簾織り有機繊維コード反36の加熱目標温度値T0を読込み(ステップS1)、次いで前述したテーブルを参照して、加熱目標温度値T0に応じて、燃料流量調節バルブ10H及び空気流量調節バルブ10Gの開き度合を設定することにより、直火式バーナー10Aの火力を加熱目標温度値T0に対応する火力に設定する(ステップS2)。これにより、直火式バーナー10Aで生成された熱気は送風ファン10Dにより熱風となり、送風ダクト10Bを通して加熱炉20内に送り込まれて開口部2aから吹き出し、炉内の簾織り有機繊維コード反36の表面を加熱する。そして、循環ダクト10C内を通って、送風ファン10D経由で直火式バーナー10Aの上流側に戻る。このとき、ダンパ10Eから外気が導入されると共に、それに対応してダンパ10Fから排気が行われる。
【0022】
次いで、温度センサ7の測定データである加熱炉20内の出口付近の簾織り有機繊維コード反36の表面温度T1を読込み(ステップS3)、加熱目標温度T0と簾織り有機繊維コード反36の実際の到達温度とを比較する(ステップS4)。比較の結果、温度が一致している(T0−T1=0)場合は、簾織り有機繊維コード反36の加熱状態が適切であるため、直火式バーナー10Aの火力を維持する(ステップS5)。これに対し、簾織り有機繊維コード反36の実際の温度の方が高い(T0−T1<0)場合は、過度に加熱されているため、直火式バーナー10Aの火力を低下させて(ステップS6)、加熱炉20内の温度を低下させ、簾織り有機繊維コード反36の実際の温度の方が低い(T0−T1>0)場合は、加熱が不足しているため、直火式バーナー10Aの火力を上昇させて(ステップS7)、加熱炉20内の温度を上昇させる。
【0023】
また、本実施形態に係る簾織り有機繊維コード反の処理システムは、温度センサ6,7,8で測定された簾織り有機繊維コード反36の到達温度を監視することにより、各熱処理ゾーンの加熱炉及び加熱装置の経時変化(スケール付着状態等)を把握し、必要に応じて点検指示を行える。以下、図4及び図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0024】
生産管理システム13では、一定時間毎に図4に示す処理を実行することで、温度センサ6,7,8の測定データを温度制御装置14,15,16及びHT工程制御装置12を介して読み込み(ステップS11)、図示されていないデータベースに保存する(ステップS12)。この処理を繰り返すことで、ドライゾーン1、ヒートストレッチゾーン2及びヒートリラックスゾーン3の各々の加熱炉内の設定温度に対する温度センサ6,7,8で検出された簾織り有機繊維コード反36の到達温度の時間的推移のデータを取得することができる。
【0025】
次いで、生産管理システム13は、図5に示す処理を定期的に実行することで、各熱処理ゾーンの加熱炉及び加熱装置の経時変化を把握する。即ち、データベースから、簾織り有機繊維コード反36の目標加熱温度T0に対する温度センサで検出されたデータの最大値T1maxを読み出し(ステップS21)、T0との大小関係を判定する(ステップS22)。判定の結果、T1maxがT0以上、即ち実際の到達温度の最大値が目標加熱温度以上であれば、各熱処理ゾーン1,2,3の加熱炉及び加熱装置9,10,11は所要の加熱能力を備えているものとして、点検不要の表示を行う(ステップS23)。しかし、T1maxがT0未満、即ち実際の到達温度の最大値が目標加熱温度未満の場合は、各熱処理ゾーン1,2,3の加熱炉内又はダクト内のスケール付着等の原因により加熱能力が低下しているものとして、点検が必要であることの表示を行う(ステップS24)。
【0026】
このように、本処理システムによれば、簾織り有機繊維コード反36自身の温度を加熱炉内で測定し、目標加熱温度との差異に応じて、直火式バーナーの火力を自動的に調整することにより、簾織り有機繊維コード反の実際の温度を目標加熱温度に到達させることができる。また、加熱炉の経時変化や処理システムの設備仕様の相違に関係なく、常に同一品質の簾織り有機繊維ディップコード反が得られる。さらに、簾織り有機繊維コード反の到達温度を監視することにより、加熱炉内の熱効率の変化を把握できるため、従来は経験で設定していた各熱処理ゾーン毎の炉内清掃タイミング等を自動的に取得でき、防災管理が可能となる。また、ロット全体の温度測定データと、ヒートストレッチゾーン2における張力(テンション)の設定値とを用いて、簾織り有機繊維コード反のインライン検査が可能になる。
【0027】
なお、以上の実施形態では、温度センサ6,7,8の測定データを温度制御装置9,10,11を介してHT工程制御装置12へ伝送するものとしたが、直接HT工程制御装置12へ伝送するように構成してもよい。また、図4及び図5に示す処理をHT工程制御装置12にて実行するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る簾織り有機繊維コード反の処理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る温度制御装置の動作を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る温度測定データの保存処理を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る熱処理装置の監視処理のフローチャートである。
【図6】従来の簾織り有機繊維コード反の処理システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1,2,4・・・熱処理ゾーン、6,7,8・・・温度センサ、9,10,11・・・加熱装置、12・・・HT工程制御装置、13・・・生産管理システム、14,15,16・・・温度制御装置、36・・・簾織り有機繊維コード反。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置と、該燃焼装置で生成された熱気が供給されると共に、内部を通過するディップ処理済みの有機繊維コードを前記熱気により加熱する加熱炉とを有する有機繊維コードの熱処理装置において、
前記有機繊維コードの加熱温度を設定する温度設定手段と、予め取得しておいた前記燃焼装置の火力と前記加熱炉内の前記有機繊維コードの到達温度との対応関係を表す情報に基づいて、前記燃焼装置の火力を前記有機繊維コードの加熱温度に対応する火力に設定する手段と、前記加熱炉内の前記有機繊維コードの温度を検出する温度検出手段と、前記温度設定手段で設定された温度と、前記温度検出手段で検出された温度との差異に応じて前記設定された火力を調整する手段とを備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の有機繊維コードの熱処理装置において、
前記温度検出手段は、前記有機繊維コードの前記加熱炉の出口付近の温度を検出することを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の有機繊維コードの熱処理装置において、
前記温度検出手段で検出された温度の最大値が前記目標温度未満のとき、前記加熱炉又は燃焼装置の点検指示を行う手段を備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理装置。
【請求項4】
燃焼装置で生成した熱気を加熱炉に供給すると共に、ディップ処理済みの有機繊維コードを前記加熱炉を通過させながら前記熱気により加熱する熱処理方法において、
予め取得しておいた前記燃焼装置の火力と前記加熱炉内の前記有機繊維コードの到達温度との対応関係を表す情報に基づいて、前記燃焼装置の火力を前記有機繊維コードの加熱温度に対応する火力に設定する工程と、前記火力に設定された加熱炉内の前記有機繊維コードの温度を検出する工程と、前記加熱温度と前記検出された温度との差異に応じて、前記燃焼装置の火力を調整する工程とを備えたことを特徴とする有機繊維コードの熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−348419(P2006−348419A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175845(P2005−175845)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】