説明

有機蛍光剤含有マイクロカプセル

【課題】メークアップ効果と肌の活性化効果とを兼ね備えた化粧料材料を提供する。
【解決手段】UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルであり、マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むものであるマイクロカプセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料成分などとして利用される有機蛍光剤内包マイクロカプセル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから、透明感のある白い肌への憧れが根強くある。最近では、化粧後の肌において、素肌感又は透明感などの美しさが求められている。そのため、化粧料素材として、ヒドロキシアパタイト、若しくは雲母チタンを代表とするパ−ル顔料、又は無機複合体のような無機粉体が開発され、用いられている。
また、人の透明感のある肌は、入射光のうち、波長約450〜550nmの青から緑にかけての光の反射率が高い。このため、従来、ファンデ−ションをつける前に青又は緑の化粧下地を使用して化粧肌に透明感を出す工夫がされている。この時使用する青又は緑の色材は、約450〜550nmの光の反射率を高めるが、全体の反射率を低下させる問題がある。そこで青色干渉パ−ル顔料などが開発されたが、パ−ル顔料特有のザラツキがあり、反射の角度依存性が高くギラツキもあるため、化粧料として満足できるものではない。
【0003】
角度依存性は、塗膜中のパ−ル顔料の配向に関係している。粒径を小さくするとざらつきはなく、干渉光も弱まりギラツキが抑制されるが、短波長の光の反射率増強能は低下する。これを改善するものとして、中空構造を持つパ−ル顔料が開発されている。しかし、パ−ルのような無機粉体を肌に多量に塗布した場合、白残りして自然な透明の仕上りを出すことは難しく、太陽光下での白浮きやフラッシュ撮影での白化現象も生じ、ギラツキが生じやすい欠点がある。
また、皮膚を明るく見せるために、ヒドロキノン若しくはその誘導体、コウジ酸若しくはその誘導体、アゼライン酸、又はアルブチン若しくはその誘導体などの抗酸化剤が使用されているが、効果を得るためには大量に使用しなければならない。しかし、大量の抗酸化剤は細胞に負担を与え、中でも、コウジ酸又はその誘導体は高価である。
このように、従来の化粧料は、肌を白くし透明感を与える効果が実用上不十分であり、また、肌に負担を与える場合がある。
最近では、ファンデ−ションのようなメークアップ化粧料に、基礎化粧料のような肌を保護又は活性化する機能を与えることが行われている。しかし、メークアップ効果と肌を保護又は活性化する効果とを両立させることは困難である。
【0004】
ここで、特許文献1は、分散安定剤の水溶液中に、目的成分、エチレングリコールジメタクリレート、補助ポリマー及び開始剤を含む混合物を分散させ、懸濁重合を行うことにより目的成分を内包した微粒子を製造する方法を開示している。補助ポリマーとしては、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)に対して相溶性が低く、かつ補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たすポリマーが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3785440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メークアップ効果と肌の活性化効果とを兼ね備えた化粧料材料、及びその簡単な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、ビニル系多官能性モノマー、及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むシェルを有するマイクロカプセルに、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含ませたものは、驚くべきことに、青色発光により肌に透明感や明るさを付与し、紫外線シミを目立たなくし、肌のキメを細かく整えて見せ、毛穴を目立たなくするといったメークアップ効果を奏すると共に、肌を活性化することを見出した。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下のマイクロカプセル、及びその製造方法を提供する。
【0008】
項1. UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルであり、マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むものであるマイクロカプセル。
項1−1. マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むものであり、その重合体又は共重合体が、ポリジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレート、及びエチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体からなる群より選ばれるものを含む項1に記載のマイクロカプセル。
項1−2. マイクロカプセルのシェルがビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むものであり、その重合体又は共重合体が、モノビニル芳香族単官能モノマー又はアクリル系単官能モノマーの重合体又は共重合体を含む項1に記載のマイクロカプセル。
項1−3. モノビニル芳香族単官能モノマー又はアクリル系単官能モノマーの重合体又は共重合体が、モノビニル芳香族単官能モノマー又はアクリル系単官能モノマーの重合体であり、その重合体が、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリγ−アミノプロピルアクリレ−ト、ポリβ−アミノエチルメタクリレ−ト、ポリγ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト、又はポリβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トを含む項1−2に記載のマイクロカプセル。
項1−4. モノビニル芳香族単官能モノマー又はアクリル系単官能モノマーの重合体又は共重合体が、モノビニル芳香族単官能モノマー又はアクリル系単官能モノマーの共重合体であり、その共重合体が、ポリ(スチレン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−メチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−メタクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリ(スチレン−γ−アミノプロピルアクリレ−ト)、ポリ(スチレン−β−アミノエチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト)、及びポリ(メチルメタクリレ−ト−β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト)からなる群より選ばれるものを含む項1−2に記載のマイクロカプセル。
項1−5. マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体を含むものであり、その共重合体が、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/グリシジルメタクリレート重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/グリシジルメタクリレート重合体;
エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/イタコン酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/2-カルボキシエチルメタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体
からなる群より選ばれるものを含む項1に記載のマイクロカプセル。
項1−6.ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体がビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体であり、モノマー全体に対する多官能性モノマーの比率が1〜99重量%である項1、又は項1−5に記載のマイクロカプセル。
項1−7. 有機蛍光剤が、UV−A波を吸収して、波長400〜550nmの青色光を発するものである項1、及び項1−1〜項1−6のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項1−8. 有機蛍光剤の含有量が、ポリマー1重量部に対して、0.0001〜0.01重量部である項1、及び項1−1〜項1−7のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項1−9. 平均粒子径が0.1〜20μmである項1、及び項1−1〜項1−8のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項1−10. シェルの容積比率が20〜90%である項1、及び項1−1〜項1−9のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項2. 有機蛍光剤がビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体の側鎖として存在している項1、及び項1−1〜項1−10のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項2−1. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーが、有機蛍光剤の水酸基にメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基をエ−テル結合させたものの少なくとも1種を含む項2に記載のマイクロカプセル。
項2−2. 有機蛍光剤の水酸基にメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基をエ−テル結合させたものが、7−メタクリロイルオキシエトキ−4−メチルクマリン、7−メタクリロイルオキシエトキ−4−エチルクマリン、7−p−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、7−p−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリン、7−o−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、7−o−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリン、7−m−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、及び7−m−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項2−1に記載のマイクロカプセル。
項2−3. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーが、有機蛍光剤のアミノ基をメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基でアルキル化したものの少なくとも1種を含む項2に記載のマイクロカプセル。
項2−4. 有機蛍光剤のアミノ基をメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基でアルキル化したものが、7−メタクリロイルオキシエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−メタクリロイルオキシエチルアミノ−4−エチルクマリン、7−p−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、7−p−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリン、7−o−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、7−o−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリン、7−m−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、及び7−m−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項2−3に記載のマイクロカプセル。
項2−5. 有機蛍光剤のアミノ基をメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基でアルキル化したものが、7−p−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリンである項2−4に記載のマイクロカプセル。
項2−6 ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーが、有機蛍光剤のカルボキシメチル基にメタクリル酸2-ヒドロキシエチルをエステル結合させたものを含む項2に記載のマイクロカプセル。
項2−7. 有機蛍光剤のカルボキシメチル基にメタクリル酸2-ヒドロキシエチルをエステル結合させたものが、7−アミノ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル酢酸 メタクリロイルオキシエチルエステルである項2−6に記載のマイクロカプセル。
項2−8. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーが、さらに、エチレングリコールジメタクリレートを含む項2、及び項2−1〜項2−7のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項3. 有機蛍光剤をシェルに内包することにより含有している項1、及び項1−1〜項1−10のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項3−1. 有機蛍光剤が、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、ベンズオキサゾ−ル誘導体、ベンズイミダゾ−ル誘導体、及びベンズチアゾ−ル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である項3に記載のマイクロカプセル。
項3−2 有機蛍光剤が、ウンベリフェロン(7−ヒドロキシクマリン)、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、10−オキソ−8−トリフルオロメチル−1,2,5,6−テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ−ベンゾ〔de〕アントラセン、4,6−ジメチル−7−エチル−アミノクマリン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、10−オキソ−8−メチル−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ-ベンゾ〔de〕アントラセン、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−アミノ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−カルボキシメチルオキシ−4−メチルクマリン、7−ヒドロキシ−4−カルボキシメチルクマリン、及び10−オキソ−2,3,5,6-テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ−ベンゾ〔de〕アントラセン−9−カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のクマリン誘導体である項3−1に記載のマイクロカプセル。
項3−3. 有機蛍光剤が、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンである項3−2に記載のマイクロカプセル。
項3−4. 有機蛍光剤が、4,4’−ビス〔(4,6−ジアニリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ〕スチルベンである項3−1に記載のマイクロカプセル。
項3−5. 有機蛍光剤が、2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンズオキサゾ−ル)である項3−1に記載のマイクロカプセル。
項3−6. 有機蛍光剤が、7−N,Nジエチルアミノ−3−(1−メチル−2−ベンズイミダゾイル)クマリン、及び7−N,Nジエチルアミノ−3−(2−ベンズイミダゾイル)クマリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾ−ル誘導体である項3−1に記載のマイクロカプセル。
項3−7. 有機蛍光剤が、7-N,Nジエチルアミノ-3-(2-ベンズチアゾイル)クマリンである項3−1に記載のマイクロカプセル。
項3−8. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体がエチレングリコールジメタクリレートを含む項3、及び項3−1〜項3−7のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項4. 有機蛍光剤が、ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体と酸塩基結合することにより含有されている項1、及び項1−1〜項1−10のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項4−1. 有機蛍光剤が塩基性蛍光剤であり、ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体が、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリ(3−メタクロイルオキシプロピオン酸)、ポリ(2−メタクロイルオキシエチルリン酸)、ポリ(2−メタクロイルオキシエチルスルホン酸)、ポリ(イタコン酸)、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸共重合体共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/イタコン酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、又はエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/2-カルボキシエチルメタクリル酸共重合体を含む項4に記載のマイクロカプセル。
項4−2. 塩基性蛍光剤が、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7-Nエチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジメチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリン、及び4,6-ジメチル−7−エチルアミノクマリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項4−1に記載のマイクロカプセル。
項4−3. 塩基性蛍光剤が、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリンである項4−2に記載のマイクロカプセル。
項4−4. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体が、ポリメタクリル酸、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸共重合体、又はエチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体を含む項4−1〜項4−3のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項4−5. 有機蛍光剤が酸性蛍光剤であり、ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体が、ポリ(メタクリル酸β−アミノエチル)、ポリ(アクリル酸γ−アミノプロピル)、ポリ(メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル)、ポリ(アクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピル)、エチレングリコールジメタクリレート/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、又はエチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体を含む項4に記載のマイクロカプセル。
項4−6. 酸性蛍光剤が、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸である項4−5に記載のマイクロカプセル。
項5. さらに、有機紫外線吸収剤、及び有機色素からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含有する項1、項1−1〜項1−10、項2、項2−1〜項2−8、項3、項3−1〜項3−8、項4、及び項4−1〜項4−6のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項5−1. 桂皮酸誘導体、パラ−アミノ安息香酸及びパラ−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体、オクトクリレン、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、並びに4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機紫外線吸収剤を含有する項5に記載のマイクロカプセル。
項5−2. 有機紫外線吸収剤が、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、パラ−アミノ安息香酸、エチルパラ−アミノ安息香酸、エチル−ジヒドロキシプロピルパラ−アミノ安息香酸、エチルヘキシル−ジメチルパラ−アミノ安息香酸、グリセリルパラ−アミノ安息香酸、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、ベンゾフェノン、オキシベンゾン、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体、アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンAB、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、アントラニル酸メンチル、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン、オクトクリレン、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項5−1に記載のマイクロカプセル
項5−3. 有機紫外線吸収剤として、UV−A波吸収剤とUV−B波吸収剤とを併用するか、又はUV−AB波吸収剤を使用する項5−1に記載のマイクロカプセル。
項5−4. UV−A波吸収剤が、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
UV−B波吸収剤が、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、及びオクトクリレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
UV−AB波吸収剤が、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びメチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)からなる群より選ばれる少なくとも1種である項5−3に記載のマイクロカプセル。
項5−5. マイクロカプセルの全体に対する有機紫外線吸収剤の重量比率(内包率)が、10〜80重量%である項5、及び項5−1〜項5−4のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項5−6. インジゴ(青色201号)、青色204号、青色403号、及び青色404号からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機色素を含有する項5、及び項5−1〜項5−5のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項5−7. マイクロカプセルの全体に対する有機色素の重量比率(内包率)が、0.0001〜0.1重量%である項5、及び項5−1〜項5−6のいずれかに記載のマイクロカプセル。
項6. 項1、項1−1〜項1−10、項2、項2−1〜項2−8、項3、項3−1〜項3−8、項4、項4−1〜項4−6、項5、及び項5−1〜項5−7の何れかに記載のマイクロカプセルを含む化粧料。
項7. 分散安定剤の水溶液中に、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含む内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分;このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得る項1、項1−1〜項1−10、項2、項2−1〜項2−8、項3、項3−1〜項3−8、項4、項4−1〜項4−6、項5、項5−1〜項5−7、及び項6のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
項7−1. 補助ポリマーの使用量が、モノマー1重量部に対して、0.05〜0.4重量部である項7に記載の方法。
項7−2. 内包成分として、有機蛍光剤の他に、さらに、有機紫外線吸収剤、有機色素、安定化剤、抗酸化剤、及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる項7、又は項7−1に記載の方法。
項7−3. 内包成分の使用量が、モノマー1重量部に対して、0.1〜4重量部である項7、項7−1、又は項7−2に記載の方法。
項7−4. 開始剤として、油溶性、かつモノマーに可溶なものを用いる項7、及び項7−1〜項7−3のいずれかに記載の方法。
項7−5. 油溶性、かつモノマーに可溶な開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ラウロイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項7−4に記載の方法。
項7−6. 開始剤の使用量が、モノマーの1重量部に対して、0.005〜0.1重量部である項7、及び項7−1〜項7−5のいずれかに記載の方法。
項7−7. 分散安定剤が、高分子分散安定剤である項7、及び項7−1〜項7−6のいずれかに記載の方法。
項7−8.高分子分散安定剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である項7−7に記載の方法。
項7−9. 分散安定剤の水溶液中に、上記均一溶液を分散させて液滴を得、その液滴の平均粒子径が0.1〜20μmである項7、及び項7−1〜項7−8のいずれかに記載の方法。
項8. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーが、有機蛍光剤と酸塩基相互作用できるビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーを含む項7、及び項7−1〜項7−9のいずれかに記載の製造方法。
項9. 補助ポリマ−が、有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる補助ポリマ−を含む項7、及び項7−1〜項7−9のいずれかに記載の製造方法。
項9−1. 有機蛍光剤として塩基性有機蛍光剤を用い、補助ポリマーとして、ポリ(スチレン−メタクリル酸)共重体、ポリ(スチレン−3−メタクロイルオキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルリン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルスルホン酸)共重合体、及びポリ(スチレン−イタコン酸)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む補助ポリマーを用いるか、又は
有機蛍光剤として酸性の有機蛍光剤を用い、補助ポリマーとして、ポリ(スチレン−メタクリル酸β−アミノエチル)共重合体、ポリ(スチレン−アクリル酸γ−アミノプロピル)共重合体、及びポリ(スチレン−メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種をを含む補助ポリマー用いる項9に記載の方法。
項9−2. 有機蛍光剤として、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリンを用い、補助ポリマーとして、ポリ(スチレン−メタクリル酸)共重体を含む補助ポリマーを用いる項9−1に記載の方法。
項9−3. ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーとして、エチレングリコールジメタクリレートを含むモノマーを用いる項9、項9−1、又は項9−2に記載の方法。
項10. 分散安定剤の水溶液中に、内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む);このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得る項1、項1−1〜項1−10、項2、項2−1〜項2−8、項3、項3−1〜項3−8、項4、項4−1〜項4−6、項5、項5−1〜項5−7、及び項6のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
項10−1. 補助ポリマーの使用量が、モノマー1重量部に対して、0.05〜0.4重量部である項10に記載の方法。
項10−2. 内包成分として、有機紫外線吸収剤、有機色素、安定化剤、抗酸化剤、及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる項10、又は項10−1に記載の方法。
項10−3. 内包成分の使用量が、モノマー1重量部に対して、0.1〜4重量部である項10、項10−1、又は項10−2に記載の方法。
項10−4. 開始剤として、油溶性、かつモノマーに可溶なものを用いる項10、及び項10−1〜項10−3のいずれかに記載の方法。
項10−5. 油溶性、かつモノマーに可溶な開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ラウロイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項10−4に記載の方法。
項10−6. 開始剤の使用量が、モノマーの1重量部に対して、0.005〜0.1重量部である項10、及び項10−1〜項10−5のいずれかに記載の方法。
項10−7. 分散安定剤が、高分子分散安定剤である項10、及び項10−1〜項10−6のいずれかに記載の方法。
項10−8.高分子分散安定剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である項10−7に記載の方法。
項10−9. 分散安定剤の水溶液中に、上記均一溶液を分散させて液滴を得、その液滴の平均粒子径が0.1〜20μmである項10、及び項10−1〜項10−8のいずれかに記載の方法。
項11. 分散安定剤の水溶液中に、少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む)、並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得る項1、項1−1〜項1−10、項2、項2−1〜項2−8、項3、項3−1〜項3−8、項4、項4−1〜項4−6、項5、項5−1〜項5−7、及び項6のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
項11−1. 補助ポリマーの使用量が、モノマー1重量部に対して、0.05〜0.4重量部である項11に記載の方法。
項11−2. 開始剤として、油溶性、かつモノマーに可溶なものを用いる項11、又は項11−1に記載の方法。
項11−3. 油溶性、かつモノマーに可溶な開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ラウロイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項11−2に記載の方法。
項11−4. 開始剤の使用量が、モノマーの1重量部に対して、0.005〜0.1重量部である項11、及び項11−1〜項11−3のいずれかに記載の方法。
項11−5. 分散安定剤が、高分子分散安定剤である項11、及び項11−1〜項11−4のいずれかに記載の方法。
項11−6. 高分子分散安定剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である項11−5に記載の方法。
項11−7. 分散安定剤の水溶液中に、上記均一溶液を分散させて液滴を得、その液滴の平均粒子径が0.1〜20μmである項11、及び項11−1〜項11−6のいずれかに記載の方法。
項12. 7−ビニルベンジルアミノ−4−アルキルクマリン(但し、アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基である)。
項13. 分散安定剤の水溶液中に、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含む内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分;このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
項14. 分散安定剤の水溶液中に、内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む);このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
項15. 分散安定剤の水溶液中に、少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む)、並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマイクロカプセルは、有害なUV−A波を吸収して青色に発光し、肌に透明感を与え、肌色を明るく見せるメークアップ効果を奏する。紫外線の中でも比較的波長が長いUV-Aは、肌の真皮まで到達して、シミやしわの発生に大きく関わる。例えば、UV-Aは、コラーゲンを変性させることにより、シワを深め、たるみを作り、長い時間をかけて徐々に肌を老化させていく。このような有害なUV−A波を吸収して、メークアップ効果に変換することは化粧料として極めて有用な性質である。また、本発明のマイクロカプセルは、シミを目立たなくし、肌のキメを細かく整え、毛穴を目立たなくするといったメークアップ効果も奏する。
さらに、本発明のマイクロカプセルは、皮膚細胞を賦活化する。従って、皮膚機能の回復、又は向上効果、具体的には、シワ、乾燥、及び/又は肌荒れの改善効果を期待できる。
本発明のマイクロカプセルは、有機蛍光剤がマイクロカプセル化されており、メークアップ効果、及び肌の賦活化効果を奏する点が、化粧料成分として極めて有用である。
有機蛍光剤はマイクロカプセルに含まれているため、化粧料に添加する場合に、有機蛍光剤による皮膚への刺激が回避される。また、有機蛍光剤が長期にわたり化粧料中に漏出し難いため、長期にわたり、化粧料の良好な使用感が保たれる。
また、本発明のマイクロカプセルは、有機蛍光剤がマイクロカプセルから漏出し難いため、有機蛍光剤を多量にマイクロカプセルに含ませることができ、その結果、本発明のマイクロカプセルを含む化粧料の使用感を損なうことなく、上記本発明の効果(メークアップ効果、及び肌の賦活化効果)を一層向上させることができる。
また、本発明のマイクロカプセルは、有機蛍光剤が皮膚から吸収されることがなく、さらに、皮膚に塗布後は、水などで洗うことにより簡単に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のマイクロカプセルが細胞生存率を向上させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)マイクロカプセル
本発明のマイクロカプセルは、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルであり、マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むマイクロカプセルである。
【0012】
シェル材料
(1)ビニル系多官能性モノマー
ビニル系多官能性モノマーは、重合性2重結合(例えば、C=C結合)を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーである。このようなモノマーとして、それには限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びテトラエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。特に、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
ビニル系多官能性モノマーは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
(2)ビニル系単官能性モノマー
ビニル系単官能性モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマー、アクリル系モノマー(メタクリル系モノマ−を含む)、ビニルエステル系モノマー、及びビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。ビニル系単官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
モノビニル芳香族モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、及び低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
【化1】

[式中、R1は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、又はハロゲン原子を示し、R2は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、−SO3H基、水酸基、ω-ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アルコキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(1)において、R1としては、水素原子、メチル基、又は塩素原子が好ましく、R2としては、水素原子、塩素原子、メチル基、−SO3Na基、−SO3H基、又はω-ヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0015】
上記一般式(1)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、それには限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン(o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p-メチルスチレン)、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、p-ヒドロキシメチルスチレン、及びo-ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる
【0016】
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びメチル基、又はエチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。
【0017】
また、アクリル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(2)で表されるアクリル系モノマー(メタクリル系モノマーを含む)が挙げられる。
【化2】

[式中、R3は、水素原子、又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基若しくはジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基を示す。]
一般式(2)において、R3としては、水素原子、又はメチル基が好ましく、R4としては、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基が好ましい。
【0018】
アクリル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−アミノプロピル、メタクリル酸β−アミノエチル、アクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジブチル等が挙げられる。
【0019】
ビニルエステル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【化3】

[式中、R5は水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニルアルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及びフェニル酢酸ビニル等が挙げられる。
【0020】
ビニルエーテル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系モノマーが挙げられる。
【化4】

[R6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示す。]
ビニルエーテル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルiso−プロピルエーテルビニル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、及びビニルベンジルエ−テル等が挙げられる。
ビニル系単官能性モノマーとしては、モノビニル芳香族モノマー、及びアクリル系モノマーが好ましく、中でも、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、及びグリシジルメタクリレートがより好ましい。
【0021】
(3)好ましい重合体
(a)多官能性モノマーの好ましい重合体
ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体は、強度が高く、潰れ難いために、内包した成分が漏出し難い点で好ましい。
多官能性モノマーの好ましい重合体としては、それには限定されないが、例えば、ポリジビニルベンゼン、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、多官能性モノマーの好ましい共重合体としては、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。
(b)単官能性モノマーの好ましい重合体
ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体は、柔らかい使用感が得られる点で好ましい。
単官能性モノマーの好ましい重合体としては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマーの重合体、アクリル系モノマーの重合体が挙げられ、中でも、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリγ−アミノプロピルアクリレ−ト、ポリβ−アミノエチルメタクリレ−ト、ポリγ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト、及びポリβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トが好ましい。
また、単官能性モノマーの好ましい共重合体としては、それには限定されないが、例えば、ポリ(スチレン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−メチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−メタクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリ(スチレン−γ−アミノプロピルアクリレ−ト)、ポリ(スチレン−β−アミノエチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト)、及びポリ(メチルメタクリレ−ト−β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト)等が挙げられる。
【0022】
(c)多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体
ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体は、両者の利点を兼ね備える点で好ましい。
ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体において、ビニル系多官能性モノマー、及びビニル系単官能性モノマーは、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(i)2成分系
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体としては、2成分系では、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/スチレン共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/グリシジルメタクリレート重合体;
ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、及びジビニルベンゼン/グリシジルメタクリレート重合体が挙げられる。
中でも、良好な使用感及び低コストである点で、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト共重合体が好ましい。
また、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト共重合体は、多官能性モノマーのみを用いた場合と同様の強度、耐久性などの性能を保ちながら、コストを大きく低減できる点でも好ましい。
また、塩基性の有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる好ましい共重合体として、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体、及びジビニルベンゼン/アクリル酸共重合体が挙げられる。
また、酸性の有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる好ましい共重合体として、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体が挙げられる。
【0023】
(ii)3成分系
また、3成分系では、それには限定されないが、例えば、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/イタコン酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/2-カルボキシエチルメタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体などが好ましい。
中でも、良好な使用感及び低コストである点で、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト/γ−アミノプロピルアクリレ−ト共重合体が好ましく、
エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体がより好ましく、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体がさらにより好ましい。
また、塩基性の有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる点で、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/イタコン酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、及びエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/2-カルボキシエチルメタクリル酸共重合体が好ましい。
同様に、酸性の有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる点で、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト/β−アミノエチルメタクリレ−ト共重合体が好ましい。
【0024】
(d)共重合比率
重合体が多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体である場合の、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合比率について言えば、モノマー全体に対する多官能性モノマーの比率は、1〜99重量%程度が好ましく、30〜99重量%程度がより好ましく、60〜99重量%程度がさらにより好ましく、75〜99重量%程度がさらにより好ましく、85〜99重量%程度がさらにより好ましい。共重合比率は、マイクロカプセルを製造する際の多官能性モノマーと単官能性モノマーとの使用比率を調整することにより調整することができる。
【0025】
(e)その他のポリマー
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ビニル系モノマーとその他のモノマーを共重合させたポリマー、及び/又はビニル系以外のポリマーがシェルに含まれていてもよい。また、後述するように、マイクロカプセル製造時に補助ポリマーを使用する場合は、補助ポリマーがシェル内表面に付着している場合もある。
【0026】
有機蛍光剤
本発明で使用する有機蛍光剤は、UV−A波(約320〜400nm)を吸収して青色発光する有機蛍光剤である。
青色光は約400〜550nmの波長を有する光であり、中でも、約400〜510nmの波長を有する青色光を発する有機蛍光剤が好ましい。この範囲の波長を有する光を発する有機蛍光剤であれば、良好なメークアップ効果及び肌賦活化効果が得られる。
このような有機蛍光剤としては、それには限定されないが、例えば、ウンベリフェロン(7−ヒドロキシクマリン)、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、10−オキソ−8−トリフルオロメチル−1,2,5,6−テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ−ベンゾ〔de〕アントラセン、4,6−ジメチル−7−エチル−アミノクマリン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、10−オキソ−8−メチル−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ-ベンゾ〔de〕アントラセン、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−アミノ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸、7−カルボキシメチルオキシ−4−メチルクマリン、7−ヒドロキシ−4−カルボキシメチルクマリン、及び10−オキソ−2,3,5,6-テトラヒドロ−1H,4H,10H−11−オキサ−3a−アザ−ベンゾ〔de〕アントラセン−9−カルボン酸のようなクマリン誘導体;
4,4’−ビス〔(4,6−ジアニリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ〕スチルベンのようなスチルベン誘導体;
2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンズオキサゾ−ル)のようなベンズオキサゾ−ル誘導体;
7−N,Nジエチルアミノ−3−(1−メチル−2−ベンズイミダゾイル)クマリン、及び7−N,Nジエチルアミノ−3−(2−ベンズイミダゾイル)クマリンのようなベンズイミダゾ−ル誘導体;並びに
7-N,Nジエチルアミノ-3-(2-ベンズチアゾイル)クマリンのようなベンズチアゾ−ル誘導体などが挙げられる。
中でも、クマリン誘導体が好ましく、中でもウンベリフェロン、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリンが好ましく、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、及び7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンがより好ましく、INCI登録されているため化粧品原料として用い易い点で、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリンがさらにより好ましい。
有機蛍光剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
有機蛍光剤の含有量は、ポリマー1重量部に対して、約0.0001重量部以上が好ましく、約0.0002重量部以上がより好ましい。また、約0.01重量部以下が好ましく、約0.004重量部以下がより好ましく、約0.002重量部以下がさらにより好ましい。有機蛍光剤の含有量は、ポリマー1重量部に対して、例えば、約0.0001〜0.01重量部が好ましく、約0.0001〜0.004重量部がより好ましく、約0.0002〜0.002重量部がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果が十分に奏される。また、上記範囲の有機蛍光剤を内包するマイクロカプセルは、後述する懸濁重合反応により製造することができる。
【0027】
有機蛍光剤の含有形態
(a)内包
有機蛍光剤を、マイクロカプセルのシェルに内包させることができる。
(b)共有結合
また、モノマーとして、上記の多官能性モノマー及び/又は単官能性モノマーに加えて、又は上記の多官能性モノマー及び/又は単官能性モノマーに代えて有機蛍光剤を側鎖に有するビニル系(アクリル系)モノマーを使用することにより、有機蛍光剤がシェル構成ポリマーと共有結合したマイクロカプセルとすることもできる。これにより、マイクロカプセルの製造工程や化粧料に配合した後の保存中に有機蛍光剤がマイクロカプセルから漏れるのが回避され、本発明の効果が長期にわたり維持される。
有機蛍光剤を側鎖とするモノマーとしては、それには限定されないが、例えば、有機蛍光剤の水酸基にメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基をエ−テル結合させたもの(例えば、7−メタクリロイルオキシエトキ−4−メチルクマリン、7−メタクリロイルオキシエトキ−4−エチルクマリン、7−p−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、7−p−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリン、7−o−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、7−o−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリン、7−m−ビニルベンジルオキシ−4−メチルクマリン、及び7−m−ビニルベンジルオキシ−4−エチルクマリン)、有機蛍光剤のアミノ基をメタクリロイルオキシエチル基、p−ビニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、又はm−ビニルベンジル基でアルキル化したもの(例えば、7−メタクリロイルオキシエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−メタクリロイルオキシエチルアミノ−4−エチルクマリン、7−p−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、7−p−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリン、7−o−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、7−o−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリン、7−m−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリン、及び7−m−ビニルベンジルアミノ−4−エチルクマリン)、有機蛍光剤のカルボキシメチル基にメタクリル酸2-ヒドロキシエチルをエステル結合させたもの(例えば、7−アミノ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル酢酸 メタクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
中でも、合成し易く、重合性が良好で、本発明の効果を得やすい蛍光波長を示す点で、有機蛍光剤のアミノ基をメタクリロイルオキシエチル基又はp−ビニルベンジル基でアルキル化したものが好ましく、7-(p-ビニルベンジル)アミノ-4-メチルクマリンがより好ましい。
有機蛍光剤を側鎖に有するビニル系(アクリル系)モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせ使用できる。
【0028】
(c)酸塩基結合
また、マイクロカプセルのシェル製造のためのモノマーとして、有機蛍光剤と酸塩基相互作用できるビニル系モノマーを用いることにより、有機蛍光剤がシェル内壁または近傍に付着又は接着するようにして内包されたマイクロカプセルとすることができる。これにより、マイクロカプセルの製造工程や化粧料に配合した後の保存中に有機蛍光剤がマイクロカプセルからの漏れるのが抑制され、本発明の効果が長期にわたり維持される。
有機蛍光剤と酸塩基相互作用が可能なビニル系モノマーとしては、例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7-Nエチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジメチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリン、又は4,6-ジメチル−7−エチルアミノクマリンのような塩基性蛍光剤に対しては、それには限定されないが、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、3−メタクロイルオキシプロピオン酸、2−メタクロイルオキシエチルリン酸、2−メタクロイルオキシエチルスルホン酸、及びイタコン酸などの酸性モノマーを使用できる。
また、エチレングリコールジメタクリレートとメタクリル酸との組み合わせ、エチレングリコールジメタクリレートとアクリル酸との組み合わせ、ジビニルベンゼンとメタクリル酸との組み合わせ、及びジビニルベンゼンとアクリル酸との組み合わせも使用できる。
また、エチレングリコールジメタクリレートとジビニルベンゼンとメタクリル酸との組み合わせ、エチレングリコ−ルジメタクリレ−トとメチルメタクリレ−トとイタコン酸との組み合わせ、エチレングリコ−ルジメタクリレ−トとメチルメタクリレ−トとメタクリル酸との組み合わせ、及びエチレングリコ−ルジメタクリレ−トとメチルメタクリレ−トと2-カルボキシエチルメタクリル酸との組み合わせも使用できる。
また、例えば、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸のような酸性の蛍光剤に対しては、それには限定されないが、例えば、メタクリル酸β−アミノエチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル、及びアクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピルなどの塩基性モノマーを使用できる。
また、エチレングリコールジメタクリレートとγ−アミノプロピルアクリレ−トとの組み合わせ、エチレングリコールジメタクリレートとβ−アミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、エチレングリコールジメタクリレートとγ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−トとの組み合わせ、エチレングリコールジメタクリレートとβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、ジビニルベンゼンとγ−アミノプロピルアクリレ−トとの組み合わせ、ジビニルベンゼンとβ−アミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、ジビニルベンゼンとγ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−トとの組み合わせ、及びジビニルベンゼンとβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせも使用できる。
また、エチレングリコールジメタクリレートとメチルメタクリレ−トとβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、エチレングリコ−ルジメタクリレ−トとメチルメタクリレ−トとβ−アミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、エチレングリコールジメタクリレートとブチルメタクリレ−トとβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせ、及びエチレングリコールジメタクリレートとブチルメタクリレ−トとβ−アミノエチルメタクリレ−トとの組み合わせも使用できる。
中でも、7-Nメチルアミノ-4-メチルクマリン、7-Nエチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジメチルアミノ-4-メチルクマリン、7-N,Nジエチルアミノ-4-メチルクマリン、又は4,6-ジメチル−7−エチルアミノクマリンのような塩基性蛍光剤とカルボキシル基を有する酸性モノマーとの組み合わせは、これら塩基性蛍光剤の合成が容易である点で好ましい。中でも、INCI登録されているため化粧品原料として用い易い7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンとメタクリル酸との組み合わせがより好ましい。
【0029】
また、有機蛍光剤を酸塩基相互作用によりマイクロカプセルに含有させる別法として、有機蛍光剤と後述する補助ポリマーとを酸塩基相互作用させる方法が挙げられる。
具体的には、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、又は4、6−ジメチル−7−エチルアミノクマリンのような塩基性有機蛍光剤を用い、これに対して、ポリ(スチレン−メタクリル酸)共重体、ポリ(スチレン−3−メタクロイルオキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルリン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルスルホン酸)共重合体、及びポリ(スチレン−イタコン酸)共重合体などのように、疎水性モノマ−に少量の酸性モノマーを共重合して製した共重合体を補助ポリマーとして使用できる。
また、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸のような酸性の有機蛍光剤に対しては、ポリ(スチレン−メタクリル酸β−アミノエチル)共重合体、ポリ(スチレン−アクリル酸γ−アミノプロピル)共重合体、及びポリ(スチレン−メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル)共重合体などのように、疎水性モノマ−に少量の塩基性モノマ−を共重合して製した共重合体を補助ポリマーとして使用できる。
中でも、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、又は4、6−ジメチル−7−エチルアミノクマリンのような塩基性有機蛍光剤と、スチレンと少量のカルボキシル基を有するアクリル系モノマ−の共重合体との組み合わせが好ましい。この共重合体は合成が容易であり良好な相分離を促進する。中でも、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンとポリ(スチレン−メタクリル酸)との組み合わせがより好ましい。7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンは、INCI登録されているため化粧品原料として用い易い。
有機蛍光剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
有機紫外線吸収剤
また、本発明のマイクロカプセルは、本発明の効果を損なわない範囲で、有機紫外線吸収剤を含んでいてよく、これにより、紫外線吸収効果が一層付与され、化粧料成分としての価値が高くなる。また、有機紫外線吸収剤は溶媒としても機能するため、有機紫外線吸収剤の使用によりマイクロカプセルの製造が容易になる。有機紫外線吸収剤は、マイクロカプセルシェルに内包されることができる。
有機紫外線吸収剤としては、公知の有機紫外線吸収剤を使用できる。このような公知の有機紫外線吸収剤として、それには限定されないが、例えば、
(a)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、及びメトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;
(b)パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、及びグリセリルPABA等のPABA誘導体;
(c)エチルヘキシルサリチラート、及びジプロピレングリコールサリチラート等のサリチル酸誘導体;
(d)ベンゾフェノン、及びオキシベンゾン等のベンゾフェノン誘導体;
(e)3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、及びポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;
(f)アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンAB、及び2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;
(g)フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン、及びメチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;
(i)アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;
(k)ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;
(l)1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体;並びに
(m)オクトクリレン、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
などが挙げられる。
有機紫外線吸収剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
中でも、広い波長範囲の紫外線を吸収して化粧品原料としての有用性を高めるために、UV−A波吸収剤とUV−B波吸収剤とを併用するか、又はUV−AB波吸収剤を使用するのが好ましい。但し、UV−A波吸収剤、及びUV−AB波吸収剤は、有機蛍光剤の励起を損なわない範囲で使用すればよい。即ち、有機蛍光剤の励起波長と重複しない波長域の紫外線を吸収するUV−A波吸収剤及び/又はUV−AB波吸収剤を用いるか、又は波長域は重複していても有機蛍光剤による本発明の効果を損なわない量のUV−A波吸収剤及び/又はUV−AB波吸収剤を用いればよい。
UV−A波吸収剤としては、それには限定されないが、例えば、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。
UV−B波吸収剤としては、それには限定されないが、例えば、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、及びオクトクリレンなどが挙げられる。
UV−AB波吸収剤としては、それには限定されないが、例えば、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びメチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)などが挙げられる。
【0032】
具体的には、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組合せ、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンとオクトクリレンとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組み合わせ、及び2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジンとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルと2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとの組み合わせがより好ましい。
【0033】
マイクロカプセルの全体に対する有機紫外線吸収剤の重量比率(内包率)は、約10重量%以上が好ましく、約20重量%以上がより好ましく、約30重量%以上がさらにより好ましい。また、80重量%以下が好ましく、約75重量%以下がより好ましく、約70重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、化粧料成分として用いる場合に十分な紫外線吸収効果が得られる。また、上記範囲の紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルは、後述する懸濁重合反応により製造することができる。
【0034】
有機色素
また、本発明のマイクロカプセルは、有機色素を含んでいてよく、これにより、透明感の付与効果が増強される。有機色素は、化粧料成分として使用できるものであればよく、それには限定されないが、例えば、インジゴ(青色201号)、青色204号、青色403号、及び青色404号などの青色色素が挙げられる。
有機色素は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
マイクロカプセルの全体に対する有機色素の重量比率(内包率)は、0.0001〜0.1重量%程度が好ましく、0.0001〜0.05重量%程度がより好ましく、0.0001〜0.01重量%程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、良好なメークアップ効果が得られる。また、上記範囲の有機色素を内包するマイクロカプセルは、後述する懸濁重合反応により製造することができる。
【0035】
その他の内包成分
マイクロカプセルは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてよい。その他の成分としては、それには限定されないが、例えば、2,6−ナフタリンジカルボン酸ジ2−エチルヘキシルのような安定化剤;ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェロール、及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルのような抗酸化剤などが挙げられる。
【0036】
平均粒子径
本発明のマイクロカプセルにおいて、シェルは、外形が球形又は略球形であり、内部に空隙を有する。
マイクロカプセルの平均粒子径は、通常約0.1μm以上であり、中でも約0.4以上が好ましい。また、通常約20μm以下であり、中でも約10μm以下が好ましく、約5μm以下がより好ましく、約3μm以下がさらにより好ましい。マイクロカプセルの平均粒子径は、例えば、通常0.1〜20μm程度であり、中でも0.4〜10μm程度が好ましく、0.4〜5μm程度がより好ましく、0.4〜3μm程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、皮膚から吸収される恐れが無く、かつ化粧料成分として使用する場合にザラツキ感がない。本発明において平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定した値である。
【0037】
シェルの容積比率
マイクロカプセル全体に対するシェルの容積比率は、約20%以上が好ましく、約25%以上がより好ましく、約30%以上がさらにより好ましい。また、約90%以下が好ましく、約80%以下がより好ましく、約70%以下がさらにより好ましい。マイクロカプセル全体に対するシェルの容積比率は、例えば、20〜90%程度が好ましく、25〜80%程度がより好ましく、30〜70%程度がさらにより好ましい。シェルの容積比率が上記範囲であれば、実用上十分なシェルの機械的強度が得られ、かつ十分に成分を内包できる。本発明において、シェルの容積比率は、マイクロカプセル全体の容積に対するシェル部分の容積の比率である。
シェルの容積比率は、平均粒子径と透過型電子顕微鏡を用いて測定した5検体の平均シェル厚とから算出した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定した値である。
【0038】
用途
本発明の有機蛍光剤含有マイクロカプセルは、化粧料、及び医薬又は医薬部外品の外用剤の成分として使用できる。化粧料の種類は特に限定されず、メークアップ化粧料の他、基礎化粧料、及び頭髪用化粧料などが挙げられる。
【0039】
(II)マイクロカプセルの製造方法
上記説明した本発明のマイクロカプセルは、種々の方法により製造することができるが、例えば以下の方法により製造することができる。
即ち、分散安定剤の水溶液中に、内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分;このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得る方法である。
【0040】
分散安定剤
分散安定剤としては、内包成分、モノマー成分、補助ポリマーおよび開始剤からなる均一溶液を、水中に分散して形成した液滴が、合一しないようにする作用を有するものを広い範囲から使用できる。
それには限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体等の高分子分散安定剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、並びに両性界面活性剤等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤が好ましい。
分散安定剤の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般には、内包成分、モノマー成分、補助ポリマーおよび開始剤からなる均一溶液の1重量部に対して、約0.005重量部以上、特に約0.01重量部以上とするのが好ましく、約1重量部以下、特に約0.2重量部以下とするのが好ましい。分散安定剤の使用量は、内包成分、モノマー成分、補助ポリマーおよび開始剤からなる均一溶液の1重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部程度、特に0.01〜0.2重量部程度とするのが好ましい。
また、分散安定剤の水溶液において、分散安定剤の濃度は上記液滴が合一しないような濃度となるように適宜選択すればよい。一般には、分散安定剤水溶液の濃度は、約0.05重量%以上、特に約0.1重量%以上の範囲に調整するのが好ましく、約5重量%以下、特に約3重量%以下の範囲に調整するのが好ましい。分散安定剤水溶液の濃度は、例えば、0.05〜5重量%程度、特に0.1〜3重量%程度の範囲に調整するのが好ましい。
【0041】
補助ポリマー
補助ポリマーとしては、次の(1)および(2)の要件を満たすポリマーを広く用いることができる。すなわち、
(1)ポリマー成分に対して低い相溶性を有する。
(2)補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす。
具体的には、補助ポリマーとしては、モノマー成分に溶解することができ、ポリマー成分より極性が低いものを用いることができる。
また、以上の要件を満たす補助ポリマ−と有機蛍光剤を酸塩基相互作用させて、有機蛍光剤がシェル内壁または近傍に付着又は接着するようにして内包されたマイクロカプセルとすることもできる。これにより、マイクロカプセルの製造工程や化粧料に配合した後の保存中に有機蛍光剤がマイクロカプセルからの漏れるのが抑制され、本発明の効果が長期にわたり維持される。
有機蛍光剤と補助ポリマーとの組み合わせとしては、それには限定されないが、例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリンのような塩基性有機蛍光剤を用い、これに対して、ポリ(スチレン−メタクリル酸)共重体、ポリ(スチレン−3−メタクロイルオキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルリン酸)共重合体、ポリ(スチレン−2−メタクロイルオキシエチルスルホン酸)共重合体、及びポリ(スチレン−イタコン酸)共重合体などのように、疎水性モノマ−に少量の酸性モノマーを共重合して製した共重合体を補助ポリマーとして使用できる。
また、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマロン−3−イル酢酸のような酸性の有機蛍光剤に対しては、ポリ(スチレン−メタクリル酸β−アミノエチル)共重合体、ポリ(スチレン−アクリル酸γ−アミノプロピル)共重合体、及びポリ(スチレン−メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル)共重合体などのように、疎水性モノマ−に少量の塩基性モノマ−を共重合して製した共重合体を補助ポリマーとして使用できる。
中でも、7−Nメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−Nエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン、又は4、6−ジメチル−7−エチルアミノクマリンのような塩基性有機蛍光剤と、スチレンと少量のカルボキシル基を有するアクリル系モノマ−の共重合体との組み合わせが好ましい。この共重合体は合成が容易であり良好な相分離を促進する。中でも、7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンとポリ(スチレン−メタクリル酸)との組み合わせがより好ましい。7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンは、INCI登録されているため化粧品原料として用い易い。
【0042】
<相溶性の測定方法>
本明細書において、補助ポリマーとポリマー成分との相溶性は、次の方法で測定したものである。すなわち、モノマー成分と補助ポリマーと必要であればトルエンとを重量比率で含む溶液に、開始剤(モノマー成分全量に対して2重量%)を添加し、30℃、窒素ガス雰囲気中で、モノマー成分の重合反応を起こさせる。この反応を光路長1cmの石英ガラスセル内で行い、波長550nmの光を照射した場合の光透過率を経時的に測定する。補助ポリマーの濃度を増加させていくと、当初約100%であった透過率が、ポリマー成分が相分離することによって重合時間経過時に急激に0%近くまで低下する。この場合に、補助ポリマーとポリマー成分との相溶性が低いと0%近くまで低下するが、補助ポリマーとポリマー成分との相溶性が高いと透過率はほとんど低下しない。また、補助ポリマーとポリマー成分との相溶性が低いほど、重合開始から透過率の低下が起こるまでの時間が短くなる。
ポリマー成分に対して低い相溶性を有する補助ポリマーは、モノマー成分の重合率が0.01〜4%で透過率の低下が起こる補助ポリマーである。
【0043】
<界面張力の測定方法>
また、本明細書において、界面張力は、ASTM-971-50において規定されるデュヌイの白金リング法で測定した値である。
なお、補助ポリマーは、モノマー成分に溶解するものであることが望ましいが、通常この条件は満たされる。
上記(1)および(2)の要件を満たす補助ポリマーは、モノマー成分とそれが重合することにより得られるポリマー成分との相分離を促進する。さらに、内包成分、モノマー成分、補助ポリマーおよび開始剤の均一溶液中で、モノマー成分が重合してポリマー成分となり、ポリマー成分が水との界面に吸着される際に、ポリマー成分の方が補助ポリマーよりも水との界面に吸着され易くなり、その結果、ポリマー成分により形成されるシェル内部に成分が内包されたマイクロカプセルが得られる。
このような補助ポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸ブチルなどを用いることができる。
補助ポリマーの使用量は、モノマー成分1重量部に対して、約0.05重量部以上が好ましく、約0.1重量部以上がより好ましい。また、約0.4重量部以下が好ましく、約0.2重量部以下がより好ましい。補助ポリマーの使用量は、モノマー成分1重量部に対して、例えば、0.05〜0.4重量部程度が好ましく、0.1〜0.2重量部程度がより好ましい。
補助ポリマーの分子量は、通常数十万程度のものを用いることができる。補助ポリマーは、溶液重合、又は塊状重合などの公知の方法で製造することができる。例えば、モノマーとしてスチレン18g、溶媒としてトルエン12g、開始剤としてAIBN 54mgを用いて、60℃で、24時間反応させる溶液重合により、分子量数十万程度のポリスチレンを得ることができる。
【0044】
マイクロカプセルに内包させる成分
有機蛍光剤がシェルに内包されたマイクロカプセルを得る場合、及び有機蛍光剤が酸塩基相互作用によりシェル構成ポリマーと結合しつつシェル又はシェル近傍で内包されたマイクロカプセルを得る場合は、内包成分は有機蛍光剤を含む。また、有機蛍光剤がシェル構成ポリマーに共有結合しているマイクロカプセルを得るときでも、有機蛍光剤以外の成分(有機紫外線吸収剤、有機色素、安定化剤、抗酸化剤、及び/又は溶媒など)を内包させる場合は、これらが内包成分である。
一方、有機蛍光剤がシェル構成ポリマーに共有結合しているマイクロカプセルを得るときであって、有機蛍光剤以外の成分(有機紫外線吸収剤、油溶性色素、安定化剤、抗酸化剤、及び/又は溶媒など)を内包させない場合、即ち、有機蛍光剤だけを含有するマイクロカプセルを製造する場合は、一般的な懸濁重合により本発明のマイクロカプセルを製造できる。一般的な懸濁重合法については、後述する。
マイクロカプセルに内包させる成分の使用量は、モノマー成分の1重量部に対して、約0.1重量部以上が好ましく、約0.25重量部以上がより好ましく、約0.3重量部以上がさらにより好ましく、約0.35重量部以上がさらにより好ましい。また、約4重量部以下が好ましく、約3重量部以下がより好ましく、約2.5重量部以下がさらにより好ましく、約2.3重量部以下がさらにより好ましい。マイクロカプセルに内包させる成分の使用量は、モノマー成分の1重量部に対して、例えば、0.1〜4重量部程度が好ましく、0.25〜3重量部程度がより好ましく、0.3〜2.5重量部程度がさらにより好ましく、0.35〜2.3重量部程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、懸濁重合により円滑に相分離が進行して、マイクロカプセルを得ることができる。
本発明方法では、内包成分の合計使用量を上記範囲にすればよい。さらに、ヘキサデカン、ドデカン、オクタン、キシレン、トルエン、ベンゼン、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジメチルのような水難溶性溶媒も内包成分として使用してもよい。水難溶性溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。この場合は、溶媒も含めて内包成分の使用量を上記範囲にすればよい。水難溶性の溶媒を使用する場合は、シェル形成時の反応温度を調整することにより、又はシェル形成後の系の温度を調整することにより、シェルに内包される溶媒を留去することも可能である。このような手段により、マイクロカプセルの比重を調整することができる。
【0045】
内包成分の全てが、次の(3)及び(4)の要件を満たし、かつモノマー成分に溶解することができる場合は、補助ポリマーを用いてもよいが、用いなくても成分を内包したマイクロカプセルを形成することができる。
(3) ポリマー成分に対して低い相溶性を有する。
(4) 内包成分と水との間の界面張力(γz)(mN/m)と、ポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γz≧γyの条件を満たす。
このような内包成分を使用する場合のマイクロカプセルの製造方法は、分散安定剤の水溶液中に、少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分;内包成分であって、このモノマー成分が重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、内包成分と水との間の界面張力(γ)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γ≧γyの条件を満たす内包成分;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行う方法である。
【0046】
<相溶性の測定方法>
本明細書において、内包成分とポリマー成分との相溶性は、次の方法で測定したものである。すなわち、モノマー成分と内包成分と必要であればトルエンとを重量比率で含む溶液に、開始剤(モノマー成分全量に対して2重量%)を添加し、30℃、窒素ガス雰囲気中で、モノマー成分の重合反応を起こさせる。この反応を光路長1cmの石英ガラスセル内で行い、波長550nmの光を照射した場合の光透過率を経時的に測定する。内包成分の濃度を増加させていくと、当初約100%であった透過率が、ポリマー成分が相分離することによって重合時間経過時に急激に0%近くまで低下する。この場合に、内包成分とポリマー成分との相溶性が低いと0%近くまで低下するが、内包成分とポリマー成分との相溶性が高いと透過率はほとんど低下しない。また、内包成分とポリマー成分との相溶性が低いほど、重合開始から透過率の低下が起こるまでの時間が短くなる。
ポリマー成分に対して低い相溶性を有する内包成分は、モノマー成分の重合率が1〜10%で透過率の低下が起こる内包成分である。
上記(3)及び(4)の要件を満たす内包成分だけを用いる場合には、補助ポリマーを使用しなくても、内包成分がモノマー成分とそれが重合することにより得られるポリマー成分との相分離を促進する。
また、補助ポリマーを使用しなくても、内包成分、モノマー成分および開始剤の均一溶液中で、モノマー成分が重合してポリマー成分となり、ポリマー成分が水との界面に吸着される際に、内包成分よりもポリマー成分の方が水との界面に吸着され易くなり、その結果、ポリマー成分からなるシェル内部に内包成分が内包されたマイクロカプセルが得られる。
【0047】
モノマー成分
モノマーの使用量は、目的とするマイクロカプセルの粒子径、及び/又はシェルの厚さ等に応じて適宜選択できるが、一般には、内包成分1重量部に対して、約0.25重量部以上が好ましく、約0.3重量部以上がより好ましく、約0.4重量部以上がさらにより好ましい。また、内包成分1重量部に対して、約10重量部以下が好ましく、約4重量部以下がより好ましく、約2.4重量部以下がさらにより好ましい。モノマーの使用量は、例えば、内包成分1重量部に対して、0.25〜10重量部程度が好ましく、0.3〜4重量部程度がより好ましく、0.4〜2.4重量部程度がさらにより好ましい。
また、多官能性モノマーと単官能性モノマーとを共重合させる場合の多官能性モノマーと単官能性モノマーとの使用比率について言えば、前述した通り、モノマー全体に対する多官能性モノマーの使用比率を、好ましくは1〜99重量%程度、より好ましくは30〜99重量%程度、さらにより好ましくは60〜99重量%程度、さらにより好ましくは75〜99重量%程度、さらにより好ましくは85〜99重量%程度とすればよい。
【0048】
開始剤
本発明方法で使用する開始剤は、上記液滴中で、モノマー成分の重合を開始させるものであり、油溶性の重合開始剤が広く使用できる。それには限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ラウロイルのような過酸化物等の、モノマーに可溶な開始剤が挙げられる。また、紫外線等の光により重合開始する光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤としては、油溶性であれば、特に制限されるものではなく、従来から使用されているものが挙げられる。
開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
開始剤の使用量は、モノマー成分の1重量部に対して、約0.005重量部以上、特に約0.01重量部以上とするのが好ましい。また、約0.1重量部以下、特に約0.06重量部以下とするのが好ましい。開始剤の使用量は、モノマー成分の1重量部に対して、例えば、0.005〜0.1重量部程度、特に0.01〜0.06重量部程度とするのが好ましい。
【0049】
分散工程
本発明方法では、上記分散安定剤の水溶液中に、内包成分、モノマー成分、開始剤、および必要に応じて補助ポリマーを前記使用割合で含有する混合物を分散させ、懸濁重合を行う。
内包成分、必要に応じて添加される補助ポリマーおよび開始剤は、モノマー成分に溶解して、均一溶液となっているのが好ましい。混合時の温度は特に限定されず、例えば、0〜30℃程度で混合すればよい。
こうして得られた内包成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマーの均一溶液を、次いで、上記分散安定剤の水溶液中で分散させる。
【0050】
この均一溶液は、分散安定剤の水溶液100重量部当たり、約1重量部以上、特に約10重量部以上となるような量で使用するのが好ましく、約200重量部以下、特に約100重量部程度となるような量で使用するのが好ましい。この均一溶液は、分散安定剤の水溶液100重量部当たり、例えば、1〜200重量部程度、特に10〜100重量部程度となるような量で使用するのが好ましい。
分散方法としては、ホモジナイザーなどの機械的せん断力による分散方法、又は乳化法等の公知の方法を採用できる。分散の際の温度条件は、使用する内包成分および開始剤の分解に影響する温度以下であれば限定されるものではないが、0〜30℃程度であるのが好ましい。
上記分散方法では、内包成分、モノマー成分、開始剤および場合により補助ポリマーの均一混合物が分散されて形成される液滴の大きさは単分散ではなく、一般に種々の異なる粒子径の液滴が混在したものとなる。従って、最終的に得られるマイクロカプセルも異なる粒子径を有する。
一方、分散方法を選択することにより、液滴の大きさを均一にして、単分散の液滴を得ることもできる。そのような単分散液滴を得る方法としては、それには限定されないが、例えば、多孔質ガラス(SPG)を利用した膜乳化法による単分散液滴を作製する方法、及びシード膨潤法(特開平8-20604号公報に記載の方法)などを挙げることができる。
【0051】
このような粒子径が均一に揃った単分散の液滴を調製した場合は、最終的に得られるマイクロカプセルも粒子径が均一に揃った単分散となる。
いずれの場合も、上記液滴の平均粒子径は、マイクロカプセルの所望する平均粒子径に応じて適宜決定すればよいが、一般には、約0.1μm以上が好ましく、約0.4μm以上がより好ましい。また、約20μm以下が好ましく、約10μm以下がより好ましく、約5μm以下がさらにより好ましい。上記液滴の平均粒子径は、例えば、0.1〜20μm程度、0.4〜10μm程度、特に0.4〜5μm程度とするのが好ましい。内包成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマーからなる均一溶液の粘度、分散安定剤の使用量、分散安定剤水溶液の粘度、分散方法、及び/又は分散条件などを前記範囲で適宜設定することにより、前記範囲の液滴平均粒子径が得られる。
【0052】
懸濁重合
こうして得られた内包成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマーの均一混合物が分散された分散安定剤の水溶液を、懸濁重合に供するには、この水溶液を撹拌しながら加熱すればよい。
加熱温度としては、内包成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマーの均一混合物の液滴中で、モノマー成分が開始剤により重合開始されるに足りる温度であれば特に限定されないが、一般には、約30℃以上、特に約40℃以上が好ましく、約90℃以下、特に約70℃以下が好ましい。加熱温度は、例えば、30〜90℃程度、特に40〜70℃程度が好ましい。
懸濁重合は、所望のマイクロカプセルが得られるまで行う。懸濁重合に要する時間は、使用する内包成分、モノマー成分および開始剤の種類等により変動するが、一般には3〜48時間程度である。
【0053】
また、懸濁重合に際しては、窒素ガス、及びアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。不活性ガスは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
こうして懸濁重合を行うことにより、内包成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマーの均一溶液の液滴中で、モノマー成分が重合する。
得られたモノマー成分の重合体は、内包成分または/および補助ポリマーの存在により、相分離が促進され、その結果、単層構造のシェル、即ち、ポリマー成分からなるシェルが形成される。一方、中空部分には、内包成分および場合により補助ポリマーが内包された状態となる。なお、有機蛍光剤をシェル構成ポリマーと共有結合させる場合は、有機蛍光剤以外の内包成分及び補助ポリマーが内包された状態となる。
室温で固体の内包成分は、反応初期の液滴中ではモノマー成分に溶解しているが、モノマー成分の重合が進行するにつれて析出する傾向がある。
このようにして得られたマイクロカプセルは、分散液(サスペンジョン)のままで使用してもよく、また、濾過し必要に応じて水洗した後、スプレードライ、自然蒸発、減圧処理、及び/又はシリカゲルなどの乾燥剤の使用によって、粉体の形態にして使用してもよい。
これにより、本発明のマイクロカプセルが得られる。
【0054】
内包成分がない場合のマイクロカプセルの製造方法
有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを使用するときであって、マイクロカプセルに含有させる成分が他にない場合は、一般的な懸濁重合により本発明のマイクロカプセルを得ることができる。
具体的には、分散安定剤の水溶液中に、少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む)、及び開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得ることができる。
懸濁重合反応は良く知られており、その条件は、当業者であれば適宜設定できる。また、前述した本発明方法において補助ポリマーを使用しない他は同様にする方法でも製造できる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)マイクロカプセルの製造
実施例1(有機蛍光剤がシェルに共有結合したマイクロカプセル)
ポリビニルアルコール1.95gを水190.35gに溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル51g、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート51g、蛍光部位を側鎖に持つモノマ−の7−(p−ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリン20mg、補助ポリマーとしてポリスチレン5.1g、有機色素のインジゴ2mg、そして、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁方法は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分間、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、5000rpmで30分遠心分離して蛍光を持つマイクロカプセルを集めた。集めた蛍光を持つマイクロカプセルは、500mLの水で3回洗浄し、精製水を加えて分散させ蛍光を持つマイクロカプセルスラリーとして使用した(約300mL)。マイクロカプセル含有濃度は32重量%であった。
また水洗した蛍光を持つマイクロカプセルを大量の精製水に分散させ、スプレードライ(SPRAY DRYER SD-1000、EYELA製)することにより、乾燥した、有機蛍光剤がシェルに結合し、有機紫外線吸収剤及び有機色素を内包したマイクロカプセル93gを得た。
【0056】
参考例(有機蛍光剤モノマ−(7−p−(ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリン)の合成)
乾燥管を付けたジムロ−トを持つ50mL丸底フラスコに、7−アミノ−4−メチルクマリン1576.6mg(9.0mmol)、p−ビニルベンジルクロリド1376.1mg(9.0mmol)、炭酸ナトリウム953.9mg(9.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド20mL、およびスターラーバーを入れ、85℃で80時間で加熱攪拌した。反応終了後、水50mLを加え、遠心分離して生じた沈殿を分取した。沈殿は、クロロホルム200mL-水100mL混液で分液し、クロロホルム層は硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、濾液を濃縮した。得られた残渣は、クロロホルム-メタノール(50:1)を溶出剤として、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−を用いて精製した(シリカゲルTLC、Rf=0.9、展開溶媒.クロロホルム-メタノール(20:1))。収量は、2040mg(82.3%)であった。
【0057】
得られた物質の特性値を以下に示す。IRおよびNMRの測定には、JASCO FT/IR-4200、日本電子JNM-ECP500をそれぞれ用いた。
融点:170℃
IR(KBr:cm-1):3359(NH)、3068、2989、2919(CH2,CH3)、1704(CO)、1625(C=C)、1569(C=C)
1H-NMR(CDCl3:ppm):2.35(3H,s,Me)、4.38(2H,d,J=5.5Hz,CH2)、4.65(1H,m,NH)、5.25(1H,d,J=11.0Hz,CH=),5.74(1H,d,J=17.7Hz,CH=)、6.00(1H,s,=CHCO)、6.47(1H,d,J=1.7Hz,CH),6.53(1H,d of d,J=8.6Hz J=1.6Hz,CH)、6.72(1H,d of d ,J=17.7Hz J=11.0Hz,=CH-Ar),7.32(2H,d,J=7.9,Ar), 7.35(1H,d,J=8.6Hz,CH), 7.40(2H,d,J=7.9,Ar)
元素分析:C19H17NO2=291.35
理論値 C:78.33 H:5.88 N:4.81
測定値 C:78.17 H:5.80 N:4.79
これらのデータより、得られた化合物は、7−(p−ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリンであることが分かった。
【0058】
なお、7−(o−ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリン、及び7−(m−ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリンも、上記の7−(p−ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリンの製造方法において、p−ビニルベンジルクロリドの代わりに、それぞれ、o−ビニルベンジルクロリド、及びm−ビニルベンジルクロリドを用いることにより製造できる。何れの7−ビニルベンジルアミノ−4−メチルクマリンも、アミノ基に対するクロリドの反応で生じる、塩酸又は形成するアンモニウム塩から、炭酸ナトリウムにより塩化水素を除去することで、反応を生成系に有利にして合成できるからである。
また、上記の7−(ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリンの製造方法において、7−アミノ−4−メチルクマリンに代えて、その他の7−アミノ−4−アルキルクマリン(アルキル基は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)を用いることにより、7−(ビニルベンジル)アミノ−4−メチルクマリン以外の7−(ビニルベンジル)アミノ−4−アルキルクマリン(アルキル基は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)を製造することができる。これは、何れの7−アミノ−4−アルキルクマリンを用いる場合も、3−アミノフェノ−ル−1とβ−ケトエステル(例えば、エステル交換反応とα、β不飽和ケトンの形成とアミノ基のp−位での縮合によって環化が起こるため、アセチル酢酸エチル、プロパノイル酢酸エチルなど)とのクマリン縮合により合成できるからである。
【0059】
実施例2(有機蛍光剤を内包するマイクロカプセル)
ポリビニルアルコール1.95gを水190.35gに溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル51g、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート51g、有機蛍光剤の7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン20mg、補助ポリマーとしてポリスチレン5.1g、有機色素のインジゴ2mg、そして、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁方法は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分間、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、5000rpmで30分遠心分離して蛍光を持つマイクロカプセルを集めた。集めた蛍光を持つマイクロカプセルは、500mLの水で3回洗浄し、精製水を加えて分散させ蛍光を持つマイクロカプセルスラリーとして使用した(約300mL)。マイクロカプセル含有濃度は32重量%であった。
また水洗した蛍光を持つマイクロカプセルを大量の精製水に分散させ、スプレードライ(SPRAY DRYER SD-1000、EYELA製)することにより、乾燥した、有機蛍光剤、有機紫外線吸収剤、及び有機色素を内包したマイクロカプセル92gを得た。
【0060】
実施例3(有機蛍光剤が酸塩基結合によりシェル内に存在するマイクロカプセル)
ポリビニルアルコール1.95gを水190.35gに溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル51g、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート51g、有機蛍光剤と酸塩基対を作らせるモノマ−であるメタクリル酸20mg、有機蛍光剤の7−N,N−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン20mg、補助ポリマーとしてポリスチレン5.1g、有機色素のインジゴ2mg、そして、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁方法は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分間、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、5000rpmで30分遠心分離して蛍光を持つマイクロカプセルを集めた。集めた蛍光を持つマイクロカプセルは、500mLの水で3回洗浄し、精製水を加えて分散させ蛍光を持つマイクロカプセルスラリーとして使用した(約300mL)。マイクロカプセル含有濃度は32重量%であった。
また、水洗した蛍光を持つマイクロカプセルを大量の精製水に分散させ、スプレードライ(SPRAY DRYER SD-1000、EYELA製)することにより、乾燥した、有機蛍光剤、有機紫外線吸収剤、及び有機色素を内包するマイクロカプセル93gを得た。このマイクロカプセルは、有機蛍光剤の多くがシェル内に存在している。
【0061】
実施例4(有機蛍光剤を酸塩基結合により内包するマイクロカプセル)
ポリビニルアルコール1.95gを水190.35gに溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル51g、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート41gおよびジビニルベンゼン10g、有機蛍光剤と酸塩基対を作らせるモノマ−のメタクリル酸20mg、有機蛍光剤の7−N,N−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン20mg、補助ポリマーとしてポリスチレン5.1g、有機色素のインジゴ2mg、そして、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁方法は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分間、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、5000rpmで30分遠心分離して蛍光を持つマイクロカプセルを集めた。集めた蛍光を持つマイクロカプセルは、500mLの水で3回洗浄し、精製水を加えて分散させ蛍光を持つマイクロカプセルスラリーとして使用した(約300mL)。マイクロカプセル含有濃度は32重量%であった。
また水洗した有機紫外線蛍光を持つマイクロカプセルを大量の精製水に分散させ、スプレードライ(SPRAY DRYER SD-1000、EYELA製)することにより、乾燥した、有機蛍光剤、有機紫外線吸収剤、及び有機色素を内包するマイクロカプセル93gを得た。このマイクロカプセルにおいて、有機蛍光剤はシェル内に付着しているか、シェル近傍に存在して内包されている。
【0062】
実施例5(補助ポリマ−としてポリ(スチレン−メタクリル酸)を用いた有機蛍光剤を内包するマイクロカプセル)
ポリビニルアルコール1.95gを水190.35gに溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル51g、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート51g、有機蛍光剤の7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリン20mg、補助ポリマーとしてポリ(スチレン−メタクリル酸)5.1g、有機色素のインジゴ2mg、そして、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁方法は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分間、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、5000rpmで30分遠心分離して蛍光を持つマイクロカプセルを集めた。集めた蛍光を持つマイクロカプセルは、500mLの水で3回洗浄し、精製水を加えて分散させ蛍光を持つマイクロカプセルスラリーとして使用した(約300mL)。マイクロカプセル含有濃度は32重量%であった。
また水洗した蛍光を持つマイクロカプセルを大量の精製水に分散させ、スプレードライ(SPRAY DRYER SD-1000、EYELA製)することにより、乾燥した、有機蛍光剤、有機紫外線吸収剤、及び有機色素を内包したマイクロカプセル92gを得た。
【0063】
実施例5で得られたマイクロカプセルでは、塩基性の有機蛍光剤7−N,Nジエチルアミノ−4−メチルクマリンが、酸性の補助ポリマーのポリ(スチレン−メタクリル酸)と、酸塩基相互作用により結合していると考えられる。また、酸性の有機蛍光剤と、塩基性の補助ポリマーとが、酸塩基相互作用により結合しているマイクロカプセルも、実施例5と同様にして製造できる。
【0064】
参考例(補助ポリマ−:ポリ(スチレン−メタクリル酸)の合成)
重合管に、スチレンモノマ− 6.25g(60mmol)、メタクリル酸 86.09mg(1mmole)、AIBN 50mgおよび乾燥DMF 10mLを仕込み、窒素置換を三回行なった後、脱気して、70℃で12時間震盪することによってラジカル重合した。反応後、反応物をエ−テルに注いだところ、ポリマ−は白沈となって析出した。ポリマ−はエ−テルで洗浄後、乾燥して使用した。
収量は、5.8g(91.6%)であった。
IR(Film)において、1600、1500、1450 cm-1にフェニル基に由来する吸収、そして1700 cm-1にカルボキシル基に由来する吸収が認められ、1640 cm-1のビニル基に由来する吸収が消失したことから、共重合したことを確認した。
【0065】
化粧料の調製例1〜5
実施例1で作製した蛍光を持つマイクロカプセル23.5g、濃グリセリン10g、1,3−ブチレングリコール10g、無水エタノール2g、流動パラフィン26g、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン6g、ヒアルロン酸ナトリウム0.02g、キサンタンガム0.2g、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体0.2g、トリエタノールアミン0.1g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、精製水117.38gを用い、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)で、2000〜4000rpmで乳化し、化粧料1を調製した。
実施例2〜5で作製した各有機紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを使用して、同様にして化粧料2〜5を調製した。
【0066】
マイクロカプセルの物性試験
試験1:平均粒子径
レーザー回折散乱法により、レーザーの後方散乱を指標に粒子径を測定した。具体的には、濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000、大塚電子社製)を用い、上記実施例1〜5で作製した各スラリーを専用セル(6mL)に入れ、高濃度用プローブを用いて測定し、キュムラント解析によってマイクロカプセルの粒子径を算出した。
【0067】
試験2:平均シェル厚
上記実施例1〜5で作製した乾燥マイクロカプセルを2%四酸化オスミウム水溶液で固定後、エタノールで脱水し、エポキシ樹脂に包埋後、ウルトラミクロトーム(t=80〜90nm)で超切片を作製し、四酸化ルテニウムで蒸気染色(室温:4時間)した後、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM2000EX、日本電子社製)で作製した電顕写真を解析することによって求めた。解析方法は、カプセル5検体を任意に選択し、各検体について電顕写真の直径及びシェル厚を測定し、直径に対するシェル厚の比率(シェル厚/直径)の平均値を試験1で得た平均粒子径に乗じて各シェル厚を得、5検体の平均シェル厚(d)を算出した。
【0068】
試験3:平均内容積比率
試験1で求めた平均粒子径(r)と試験2で求めた平均シェル厚(d)とから、以下の式に従い、平均内容積比率を算出した。
平均内容積比率=( (r−2d)/r)×100
【0069】
試験4:平均シェル容積比率
「100−平均内容積比率」を平均シェル容積比率とした。
【0070】
試験5:有機紫外線吸収剤の重量比率(内包率)
実施例1〜5で得た各有機紫外線吸収剤内包マイクロカプセルのスラリー500μL(マイクロカプセル含有率:32重量%)を9.5mLの水に加え、10mL酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出液の200μLを2500倍濃度に希釈し、310nmにおける吸光度を測定した。310nmの吸収は有機紫外線吸収剤のパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルに特有の吸収である。
別途、用いた有機紫外線吸収剤(パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル)を精密(それぞれ、50mg、100mgおよび200mg)に測り、それぞれを酢酸エチルに溶かして10mLとし、その200μLを2500倍濃度に希釈し、310nmの吸光度を測定し、検量線を作成した。
作成した検量線(310nm)の吸収より、内包した有機紫外線吸収剤の量を算出した。吸光度計は、Shimadzu社製UV-1700を用いた。
マイクロカプセルのスラリー(500μL)の粒子重量は、スラリーのマイクロカプセル含有濃度(32重量%)より、500mg×0.32=160mgとした。
【0071】
物性試験の結果を以下の表1及び表2に示す。
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
性能試験
試験6:UV-B防御能の評価
トランスポアテープ(3M社製)に、調製例1〜5で調製した各化粧料を2μL/cm2となるよう塗布し、SPFアナライザー(SPF 290S plus;Optometrics USA, Inc.)を使用して、Sunscreen Protection Factorを求めた。Sunscreen Protection Factorは紫外線B波の吸収レベルを示す指標であり、結果を以下の表3に示す。
【0074】
【表3】

これらの値は実用上十分に紫外線を吸収できる値である。
【0075】
試験7:微粒子の色差の評価
BioSkinPlate(FR40:(株)ビュ−ラックス)に、化粧料の調製例1〜5で調製した各化粧料を2μL/cm2となるよう塗布し、色差計(ミノルタCR-221)を使用して、化粧料を塗布していないBioSkinPlateを対照に、ΔE、ΔL、Δa、Δbを求めた。
L値(ΔL)は白・黒間の双方向に関する値であり、美白効果の指標として使用されている値である。また、a値(Δa)は赤・緑間の双方向に関する値であり、b値(Δb)は黄・青間の双方向に関する値である。
また、ΔEは、ΔL、Δa、及びΔbから、下記式に従って算出した値であり、メークアップでの明るさを示す指標である。
ΔE=√X(但し、X=ΔL2+Δa2+Δb2)
【0076】
結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0077】
ΔLは0が黒、100が白を示し、Δaは−が緑がかっていること、+が赤みがかっていることを示し、Δbは−が青みがかっていること、+が黄みがかっていることを示す。従って、表4から明らかなように、本発明実施例1〜4のマイクロカプセルをそれぞれ含む化粧料1〜4の塗布によって、肌の色は、明るく(ΔL>0)、赤よりもやや緑がかり(Δa<0)、そして強い青みを示す傾向(Δb<0)が見られた。これらの化粧料の使用により、透明感のあるメークアップ効果が得られると考えられる。
【0078】
試験8:微粒子のメークアップ効果の評価
58歳の男性1人の左右の頬に、化粧料1又は化粧料2を、2μL/cm2となるよう塗布し、VISIA(CANFIELD社製)を使用して、紫外線シミの数(指標値)、肌のキメの指標値、毛穴の認識個数(指標値)を、化粧料の未使用時と比較した。
結果を以下の表5、及び表6に示す。
【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

表5、又は表6から明らかなように、本発明実施例1〜5のマイクロカプセルを配合した化粧料の使用により、紫外線シミ、キメ、毛穴が大きく改善された。本発明のマイクロカプセルを配合した化粧料は、肌を美しく見せるメークアップ効果を有することが分かる。
【0081】
試験9:マイクロカプセルの細胞賦活効果の評価
不死化されたヒト表皮角化細胞をCorning社製CellBIND 96wellプレートに20000cells/wellの細胞濃度で播種した。培地には10%FCSを添加したDMEM(GIBCO)を用いた。播種24時間後、本発明のマイクロカプセルの製造原料を用いて作製したキャスト膜を通して、ヒト表皮角化細胞にフナコシ社製紫外線照射装置Mini-TRANSILLUMINATOR NTM-10を用いて紫外線(UVA:0.612J, UVB:648mJ)を照射した。紫外線照射48時間後に同仁化学社製Cell Counting Kit-8を用いて細胞生存率を算出した。また、紫外線を照射しない細胞の生存率も同様にして算出した。
結果を図1に示す。図1の細胞生存率は、紫外線を照射しない細胞(Normal)の生存率を100として、それに対する相対値である。
図1から明らかなように、シェルを構成するポリマーと補助ポリマーからなるキャスト膜を通して紫外線を細胞に照射した場合、細胞は殆どが死滅した(No.1)。これに対して、シェルを構成するポリマーと補助ポリマーに加えて、有機紫外線吸収剤及び有機色素を含むキャスト膜は、紫外線による細胞のダメージを軽減した(No.2)。シェルを構成するポリマーと補助ポリマーに加えて、有機紫外線吸収剤、有機色素、及び有機蛍光剤を含むキャスト膜は、紫外線から細胞を保護しただけでなく、細胞生存率を向上させ、細胞賦活効果を示した(No.3、No.4)。また、有機蛍光剤が多い方が細胞賦活効果は強かった(No.3とNo.4との比較)。
【0082】
<キャスト膜の作製方法>
キャスト膜は以下のように作製した。
下記表7の成分を均一に混合し、その混合物の2.5gを5cm×7.5cmのサイズのポリスチレン板に均一に載せ、70℃で4時間重合することによりキャスト膜を作製した。
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の有機蛍光剤含有マイクロカプセルは、有機蛍光剤がマイクロカプセル化されており、青色光によるメークアップ効果(透明感を与える、紫外線シミを見え難くする、肌のキメを細かく整える、毛穴を目立たなくする)が得られる。また、皮膚細胞を活性化するので、皮膚機能の回復、又は向上効果(シワ、乾燥、肌荒れの改善)効果を期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルであり、マイクロカプセルのシェルがビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むものであるマイクロカプセル。
【請求項2】
有機蛍光剤がビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体の側鎖として存在している請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
有機蛍光剤をシェルに内包することにより含有している請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
有機蛍光剤が、ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体と酸塩基結合することにより含有されている請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
さらに、有機紫外線吸収剤、及び有機色素からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含有する請求項1〜4の何れかに記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のマイクロカプセルを含む化粧料。
【請求項7】
分散安定剤の水溶液中に、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含む内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分;このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーとして、有機蛍光剤と酸塩基相互作用できるモノマーを用いる請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
補助ポリマーとして、有機蛍光剤と酸塩基相互作用できる補助ポリマーを用いる請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
分散安定剤の水溶液中に、内包成分;少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む);このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
分散安定剤の水溶液中に、少なくとも1種のビニル系多官能性モノマー及び/又は少なくとも1種のビニル系単官能性モノマーからなるモノマー成分(但し、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を側鎖に有するモノマーを少なくとも1種含む)、並びに開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、UV−A波を吸収して青色発光する有機蛍光剤を含有するマイクロカプセルを得るマイクロカプセルの製造方法。
【請求項12】
7−ビニルベンジルアミノ−4−アルキルクマリン(但し、アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基である。)。

【図1】
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【公開番号】特開2012−167088(P2012−167088A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15957(P2012−15957)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】