説明

有機酸含有組成物およびその使用方法

本発明によれば、有機酸の添加が、硬化可能な組成物の性能特性の改良、たとえば改良されたフラックス適合性、改良された流動特性、改良されたボイド特性等を提供することが発見された。従って、改良された性能特性を有する硬化可能な組成物、その製造方法、およびそれを用いた方法が適用される。また、発明の組成物を使用して製造された新規な製品も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化可能な配合物に関し、特に封入剤(封止剤)、アンダーフィルおよび接着剤、およびその使用方法、およびそれを採用して製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーフィル配合物は、電子工業において、例えばフリップチップのようないろいろな部品を基板に接着するために広く使用されている。典型的にはアンダーフィル配合は、室温でハンドルされ塗布されるか、または適切な作業温度に加熱され、そこで配合物がチップの下にキャピラリー流動により流れる。従って、アンダーフィル材料が硬化前後で優れた性能を示すことに加えて、硬化前に良好な流動性を有することが望まれる。
【0003】
電子工業における、樹脂の他の普通の使用としては、液状封入剤(「グローブトップ」とも言われる)であり、そこでは、部品をあるストレスおよび環境への暴露を防ぐためにケース化(封入化)するために樹脂材料の分配物が用いられる。デバイス信頼性に対する工業界のいっそうの要求に答えるために、封入用途の材料としては増大する厳密な性能要求を満たさなければならない。そのような要求としては、優れた耐湿性、イオン成分純度、低誘電率および良好な熱性質である。これらの性能がない場合、とくに湿気およびイオン性不純物の存在において腐食(および最終的にはデバイス不良)が起こりやすい。
【0004】
アンダーフィルおよび封入材配合物は、一般に組成が非常に似ているが、エンドユースが主として異なっている。アンダーフィル配合物がチップ下のハンダバンプを保護するために採用されるのに対して、熱、湿気、パーティキュレートマター等にさらされるであろう露出部品(例えば、ワイヤーボンドおよびチップトップの部品)を、保護するために封入配合物が採用される。
【0005】
いずれにしても、アンダーフィル配合物および封入剤配合物のどちらもしばしば、フラックスまたはフラックスの残分の存在下で反応性が低下する。「フラックス」は、金属の融解を促進する剤を意味し、そのために一般に電子部品が作製されるプロセスでありふれて使用される。フラックス残分は、加水分解、加熱分解等のプロセスの結果としての、フラックスの誘導体、分解物等を意味する。フラックスまたはフラックスの残分は、それらが、アンダーフィル配合物と化学的に反応可能であり、例えば接着特性の低下させ、機械的、熱的および/または化学的耐性の劣化させる等の、その特性を変化させる可能性があるために、好ましくない。フラックスまたはフラックス残分はさらに不十分な流動特性を引き起こし、配合物のディスペンス等のハンドリングを困難にする。さらに、フラックスまたはフラックス残分は、硬化したときに、ボイドを形成する傾向をもたらし、それにより、形成される接合の弱さ、および/または封入により与えられる保護に隙間を生じるかもしれない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、例えば良好なフラックス適合性、改良された流動特性、改良されたボイド特性等の改良された性能特性を示す配合物が未だ求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従えば、例えばここで定義されるフェノール物質、および/またはここで定義されるカルボン酸等の有機酸の添加が、硬化可能な組成物に改良された性能特性、例えば改良されたフラックス適合性、改良された流動特性、改良されたボイド特性等を提供できることが発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、非フラックス接着剤組成物の1または2以上の性能特性を改良する方法が提供される。そこでは、その非フラックス接着剤の硬化開始温度が170℃未満である。そのような性能特性としては、改良されたフラックス適合性、改良された流動特性、改良されたボイド特性およびそれらの組み合わせが挙げられる。発明の方法は、少なくとも1つの有機酸を非フラックス接着剤組成物に、この非フラックス接着剤組成物の前記の1または2以上の性能特性を改良するのに効果のあるだけの量を添加することを含む。
【0009】
当業者に容易に認識されるように、発明の方法は、例えば、封入剤、アンダーフィル等の非フラックス接着剤組成物の性能特性を改良するために採用することができる。ここで、「非フラックス接着剤」とは、フラックス性能を有さない接着剤組成物を意味する。別の言い方では、そのような組成物は一般に潜在性硬化剤を有さない。発明の非フラックス接着剤組成物は、公知のフラックス接着剤組成物に対比され、公知のフラックス接着剤組成物は、関連付けられる半田の溶融の後まで接着剤の硬化が遅延するように潜在性硬化剤を含む。半田が溶融した後でのみ、フラックス接着剤の硬化が開始する。対照的に、非フラックス接着剤組成物は、典型的には、低下された硬化開始温度を有し、それは本発明で意図される処理法なしには、一般的にはフラックスおよび/またはフラックス残分の存在に適合性がない。
【0010】
特に、本発明による処理のために好ましい組成物は、キャピラリーフローアンダーフィルである。
【0011】
当業者に容易に認識されるように、種々の非フラックス接着剤組成物が本発明の実施の使用に適しており、例えばエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂等、およびそれらの2またはそれより多種の混合物が挙げられる。
【0012】
ここで、「フラックス適合性」とは、フラックス、フラックス樹脂および/またはそれらの反応生成物の存在に対する、配合物の頑丈性をいうものであり、例えば、フラックスで汚染された表面に強力な接着結合を形成する能力をいう。
【0013】
ここで、「フラックス汚染された」とは、フラックスまたはフラックス樹脂を含有する配合および/または表面をいうものである。上述のように、「フラックス」は、金属の溶融を促進し、そのために一般に電子部品が作製されるプロセスでありふれて使用される。フラックス残分は、加水分解、加熱分解等のプロセスの結果としての、フラックスの誘導体、分解物等を意味する。フラックスまたはフラックスの残分は、それらは、アンダーフィル配合物と化学的に反応可能であり、例えば接着特性の低下させ、機械的、熱的および/または化学的耐性の劣化させる等の、その特性を変化させる可能性があるために、好ましくない。フラックスまたはフラックス残分はさらに不十分な流動特性を引き起こし、配合物のディスペンス等のハンドリングを困難にする。さらに、フラックスまたはフラックス残分は、硬化したときに、ボイドを形成する傾向をもたらし、それは、形成される接合の弱さ、および/または封入により与えられる保護に隙間を生じるかもしれない。
【0014】
ここで、接着剤配合物の「流動特性」とは、配合物の粘度、および、そのような配合物が流れてフラックス汚染された表面を濡らし、そこに接着接合を提供する容易さをいう。従って、粘度および/または接着剤配合物のフラックス汚染表面に対する表面張力の減少は、改良された流動特性につながる。
【0015】
ここで、本発明の接着剤組成物の「ボイド特性」とは、本発明の配合から作製された接着剤層または「グローブトップ」の均一性をいう。従って、優れたボイド特性を有する配合物は、最小のオフガスまたは接着剤層の他の阻害なしに、硬化して実質的に均一な、ボイドフリーの層を与える。当業者に容易に認識されるように、硬化したときのボイド発生を定めるために、種々の方法が採用される。例えば、硬化表面はボイド発生の証拠として目視で検査される。
【0016】
当業者に容易に認識されるように、本発明に従って、少なくとも1つの有機酸を「添加する」ことは、例えば、混合(blending)、混合(mixing)、タンブリング、押し出し等のような種々の方法により達成することができる。
【0017】
当業者は、本発明に従って、添加する少なくとも1つの有機酸の効果的量を容易に決定することができる。効果的量は、次の性能特性:フラックス適合性、流動特性および/またはボイド特性、の1つまたは2以上を改良するのに効果のある量である。当業者は、望まれる改良を達成するために、本発明の添加物の適当な量を容易に決定することができる。
【0018】
本発明の実施の使用に意図されるエポキシ−ベース配合物の例としては、C−C28アルキル モノ−およびジグリシジルエーテル類(例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等);C−C28アルキルおよびアルケニルグリシジルエステル類;C−C28アルキル−、モノ−およびポリ−フェノールグリシジルエーテル類(例えば、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトフタレート、ジグリシジルパラフタレート、水素化ジグリシジルオルトフタレート等)、エポキシ化ノボラック樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アニリンジグリシジルエーテル等から調製される樹脂を包含する。本発明の実施の使用に意図される現在好ましいエポキシベースの配合物としては、エポキシ成分が1,6−グリシドキシプロピルナフタレン、ビス−(4−グリシドキシフェノール)イソプロパン、ビス−(4−グリシドキシフェノール)メタン等である配合が挙げられる。本発明の実施に意図される特に好ましいエポキシは、1,6−グリシドキシプロピルナフタレンである。
【0019】
エポキシベースの配合物は、種々の促進剤を採用して硬化することができる。その目的のために現在好ましい促進剤は、無水物である。その目的のために意図される無水物の例としては、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHA)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)、ナジックメチル酸無水物、ベンゾフェノン−テトラカルボン酸2無水物(BTDA)、無水物−末端ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0020】
当業者に容易に認識されるように、エポキシベース配合物は、ホモ重合可能でもある。本発明の実施に意図されるホモ重合系としては、反応性モノマーのホモポリマーが、フリーラジカルまたは例えば、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(1−B−2−MZ)によるビスフェノールFエポキシ樹脂の重合のようなエポキシ樹脂のカチオン重合で得られる配合物が挙げられる。当業者に容易に認識されるように、そのような系は、例えば置換イミダゾール類、3級アミン類、カチオン触媒類等の種々の触媒系を採用して硬化することができる。
【0021】
本発明の実施に使用が意図されるマレイミド樹脂の例としては、構造:
【0022】
【化1】

(ここで、
mは1から6の間の整数であり、
各Rは独立して、水素または低級アルキルから選ばれ、そして
−X−は、マレイミド化合物を液状とするのに十分な長さと分岐を有している分岐鎖アルキル、アルキレンまたはアルキレンオキシド種である。)
を含有する化合物から合成される樹脂が挙げられる。
【0023】
当業者に容易に認識されるように、Xは種々のどのような部分構造であってもよく、例えば、
−約12から約500までの炭素原子を有するヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル種、
−約8から約500までの炭素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビルまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル種、
−約12から約500までの炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは置換ヒドロカルビレン種、
−約8から約500までの炭素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビルまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル種、
−ポリシロキサン
等から選ばれる1価または多価基であることができる。
【0024】
本発明の実施に使用が意図される(メタ)アクリレート樹脂の例としては、構造:
CH=CR−C(O)−OR’
(Rは水素またはメチルであり、R’は水素またはアルキルである。)
を含有するモノマーから合成される樹脂が挙げられる。
【0025】
本発明の実施に使用が意図されるポリアミド樹脂の例としては、アミド(−C(O)−NR−)結合を有するポリマー材料が挙げられる。
【0026】
本発明の実施に使用が意図されるポリイミド樹脂の例としては、イミド(−C(O)−NR−C(O)−)結合を有するポリマー材料が挙げられる。
【0027】
本発明の実施に使用が意図されるシアネート樹脂の例としては、例えば、米国特許番号5,358,992、5,447,988、5,489,641、5,646,241、5,718,941および5,753,748(これらはそれぞれ参照により、ここにその全体が組み込まれる)に記載された化合物から合成される樹脂が挙げられる。
【0028】
本発明の実施に使用が意図される有機酸としては、フェノール類、カルボン酸類およびそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明の実施に使用が意図されるフェノール化合物類は、構造
X−(Phen)
(ここで、
XはH、アルキルまたは、2価もしくは多価の結合基であり、
Phenは、任意に置換されていてもよいフェノールであり、
mは、1−10、好ましくは1−3である。)
を有する化合物類である。
【0030】
Xが、2価または多価の結合基であるとき、Xは、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいオキシアルキレン、置換されていてもよいカルボキシアルキレン、置換されていてもよいアリーレン、置換されていてもよいオキシアリーレン、置換されていてもよいポリアルキルスルフィド、置換されていてもよいポリアルキルアミド等であることができる。
【0031】
ここで、「アルキレン」は、炭素原子数1から約20まで、好ましくは炭素原子数2−10の2価のヒドロカルビル基を意味し;「置換されたアルキレン」は、さらに、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、複素環式、置換された複素環式、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カーバメート、スルホニル、スルホンアミド、スルフリル等からなる群より選ばれる1またはそれより多くの置換基を有するアルキレン基を含む。
【0032】
ここで、「オキシアルキレン」は、−O−アルキレン−部分構造を意味し、そこで、アルキレンは上に定義したとおりであり、「置換オキシアルキレン」は、1つまたはそれより多くの上述の置換基をさらに有するオキサアルキレン基を意味する。
【0033】
ここで、「カルボキシアルキレン」は、−O−C(O)−アルキレンまたは−C(O)−O−アルキレン部分構造を意味し、そこでアルキレンは上に定義したとおりであり、そして、「置換カルボキシアルキレン」は、1つまたはそれより多くの上述の置換基をさらに有するカルボキシアルキレン基を意味する。
【0034】
ここで、「アリーレン」は、6から約14までの範囲で炭素原子を有する2価の芳香族基を意味し、「置換アリーレン」は、1つまたはそれより多くの上述の置換基をさらに有するアリーレン基を意味する。
【0035】
ここで、「オキシアリーレン」は、−O−アリーレン−部分構造を意味し、ここでアリーレンは上に定義したとおりであり、そして「置換オキシアリーレン」は、1つまたはそれより多くの上述の置換基をさらに有するオキサアリーレン基を意味する。
【0036】
ここで、「カルボキシアリーレン」は、−O−C(O)−アリーレンまたは−C(O)−O−アリーレン部分構造を意味し、ここでアリーレンは上に定義されたとおりであり、そして、「置換カルボキシアリーレン」は、1つまたはそれより多くの上述の置換基をさらに有するカルボキシアリーレン基を意味する。ここで意図されるカルボキシアリーレンの例としては、次の構造を有する化合物が挙げられる。
【0037】
【化2】

(X=OH、NH、その他。)
【0038】
ここで、「ポリアルキルスルフィド」は、次の構造:
−[(CR−S]
(ここで、aは1−6;bは少なくとも2(そして400−500以上であってもよく);そして、各Rは水素である。)
を有する結合基を意味し、「置換ポリアルキルスルフィド」は、1つまたはそれより多くのR基が、水素以外の上述の置換基であるポリアルキルスルフィドを意味する。
【0039】
ここで、「ポリアルキルアミド」は、構造:
−[(CR−NR’]
(ここで、aは1−6;bは少なくとも2(そして、400−500 以上であってもよく);そして各Rは水素であり、R’は水素である。)
を有する結合基を意味し、そして、「置換ポリアルキルアミド」は、1つまたはそれより多くのR基および/またはR’が、水素以外の上述の置換基であるポリアルキルアミドを意味する。
【0040】
当業者に容易に認識されるように、本発明の実施で採用されるフェノール化合物の量は、広く変化させることができ、典型的には、封入剤配合物の全重量基準に、約0.1から約15重量%までの範囲であり;好ましくは、封入剤配合物の全重量基準にフェノール化合物の量は約0.2から約5重量%の範囲であり;封入剤配合物の全重量基準にフェノール化合物の量が約0.5から約2重量%の範囲が一般に好ましい。
【0041】
本発明の実施に使用が意図されるカルボン酸化合物は、次の構造:
X’−(COH)
(ここで、X’はH、アルキルまたは、2価もしくは多価の結合基であり、nは1−10、好ましくは1−3である。)
を有する化合物である。
【0042】
X’が2価または多価の結合基であるとき、X’は置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいオキシアルキレン、置換されていてもよいカルボキシアルキレン、置換されていてもよいアリーレン、置換されていてもよいオキシアリーレン、置換されていてもよいポリアルキルスルフィド、置換されていてもよいポリアルキルアミド等であることができる。
【0043】
当業者に容易に認識されるように、本発明の実施で採用されるカルボン酸化合物の量は、広く変化させることができ、典型的には、封入剤配合物の全重量基準に、約0.1から約15重量%までの範囲であり;好ましくは、封入剤配合物の全重量基準にカルボン酸化合物の量は約0.2から約5重量%の範囲であり;封入剤配合物の全重量基準にカルボン酸化合物の量が約0.5から約2重量%の範囲が一般に好ましい。
【0044】
本発明の異なる実施態様によれば、フラックス適合性、流動特性、ボイド特性およびその組み合わせからなる群より選ばれる1つまたはそれより多くの改良された性能特性を有する非フラックス接着剤組成物を調製する方法が提供される。そこで、非フラックス接着剤組成物の硬化開始温度は170℃未満であり、その方法は、前記非フラックス接着剤組成物に少なくとも1つの有機酸の効果的な量を添加することを含む。
【0045】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、
硬化可能な樹脂、
硬化剤、
任意成分として充填剤、および
少なくとも1つの有機酸
を含有する硬化可能な組成物が提供され、そこで、硬化可能な組成物は、実質的に潜在性硬化剤を含有せず、そしてそこで、この硬化可能な組成物の硬化開始温度は170℃未満である。
【0046】
本発明の1態様において、発明に従う硬化可能な組成物は、有機酸が添加されない組成物に比べて、フラックス汚染表面に対する改良された接着特性を有する。当業者に容易に認識されるように、上に意図された比較を容易にするために、配合物の接着特性を決定するのに利用できる多くの方法が存在する。
【0047】
異なる態様において、本発明に従う硬化可能な組成物は、改良されたフラックス適合性、流動特性、ボイド特性およびその組み合わせを有する。
【0048】
オプションとして、発明の組成物は、さらに1またはそれより多くの追加成分(酸化防止剤、ブリード制御剤、1またはそれより多くの充填材、不活性(即ち非反応性)希釈剤、反応性希釈剤、カップリング剤、接着促進剤、柔軟剤、染料、顔料等)を含有することができる。
【0049】
本発明の実施に使用が意図される酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類{例えば、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、TBHQ(第三級ブチルヒドロキノン)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチルp−クレゾール)等}、ヒンダードアミン{ジフェニルアミン、N,N’ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等)、ホスファイト等が挙げられる。使用されるときは、酸化防止剤の量は典型的には、ベース配合の重量に対して、約100から2000ppmまでの範囲である。
【0050】
本発明の実施に使用が意図されるブリード制御剤は、カチオン界面活性剤、3級アミン類、3級フォスフィン類、両性界面活性剤、多官能化合物等およびそれらの任意の2またはそれより多くの混合物が挙げられる。当業者は、本発明の実施に使用されるブリード制御剤の量を広く変化させることができることを認識し、ベース配合物の重量に対して典型的には約0.1から約10重量%で使用される。
【0051】
電気的に絶縁性の性質を有する樹脂材料の調製に伝統的に採用される充填剤は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、二酸化ケイ素、テフロン、ポリオレフィン等のような非伝導性材料である。当業者に容易に認識されるように、発明の組成物に充填剤を含有することの望ましさは、使用が意図されるエンドユースに依存するであろう。従って、例えば、液状の封入剤としての使用のための組成物を調製するときには、充填剤を実体的な量(典型的には、ベース配合物の重量に対して、約10から75重量%の範囲)で含有することが好ましい。
【0052】
本発明の実施にあたり不活性希釈剤の使用を除外するものではないが、発明の組成物は、例えば、溶媒の飛散によるボイドの発生、蒸発した溶媒の環境影響、部品表面に対するアウトガスの再付着等の不利益な影響の可能性を除外するために溶媒を実質的に含まないことが好ましい。使用されるとき、適当な不活性希釈剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル類、メチルエチルケトン;またはエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノアルキル若しくはジアルキルエーテル類が挙げられる。使用されるとき、不活性希釈剤は、ベース配合物の重量に対して典型的には約0.1から約10重量%までの範囲で存在する。
【0053】
本発明の実施の使用に意図される反応性希釈剤は、ここで記載されるフェノール−および/またはカルボン酸−含有配合物と組み合わせで、熱硬化性樹脂組成物を作るどのような反応性希釈剤も包含する。そのような反応性希釈剤としては、単官能のアクリレートおよびメタクリレート、および多官能アルコール、エチレン性不飽和化合物、スチレン系モノマー(即ち、塩化ビニルベンジルとモノ−、ジ−、またはトリ−官能性ヒドロキシ化合物から誘導されるエーテル類)等を挙げることができる。使用されるときは、反応性希釈剤は典型的には、ベース配合の重量に対して、約1から15重量%までの範囲で存在する。
【0054】
特定の態様において、発明に従う組成物は、任意成分としてオプションで、さらに少なくとも1つのカップリング剤を、組成物全重量に対して、約0.1から約10重量%の範囲で含有する。本発明の実施に使用が意図されるカップリング剤としては、シリケートエステル類、金属アクリレート塩類、チタネート類、または共重合可能な基を有する化合物類およびキレート配位子が挙げられる。
【0055】
本発明で使用が意図される接着促進剤は、接着を増大するペンダントの酸グループまたは潜在性の酸基を有するポリマーを包含する。例としては、Ricon R−130 20%マレイン化(Ricon Resins,Inc.,Grand Junction,CO)、表面と反応して接着性を向上させる無水基を備えたポリブタジエンがある。存在するときは、接着促進剤は、ベース配合物の重量に対して典型的には約0.1から約10重量%までの範囲で存在する。
【0056】
本発明の実施に使用が意図される柔軟剤(flexibilizer)は、配合物のTgを低下させる分岐ポリアルカンまたはポリシロキサンを包含する。そのような材料の例としては、上述のRicon R−130のようなポリブタジエンが挙げられる。存在するときは、柔軟剤は、ベース配合物の重量に対して典型的には約0.1から約20重量%までの範囲で存在する。
【0057】
本発明の実施に使用が意図される染料としては、ニグロシン、Orasol blue GN、フタロシアニン類等が挙げられる。使用されるときは、有機染料は、比較的少ない量(即ち、約0.2重量%未満の量)でコントラストを提供する。
【0058】
本発明の実施に使用が意図される顔料は、配合に色を与える目的のみで添加されるどのような粉体材料も含む。例えば、カーボンブラック、金属酸化物(例えば、Fe、酸化チタン)等である。使用されるとき、顔料は、ベース配合物の重量に対して典型的には約0.05から約5重量%までの範囲で存在する。
【0059】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、
硬化可能な樹脂、
硬化剤、
任意成分として、充填剤、酸化防止剤、ブリード制御剤、不活性希釈剤、反応性希釈剤、カップリング剤、接着促進剤、柔軟剤、染料、および顔料からなる群より選ばれる少なくとも1またはそれより多くの追加成分、および
少なくとも1つの有機酸
を含有する硬化可能な組成物が提供され、そこで、この硬化可能な組成物の硬化開始温度は170℃未満である。
【0060】
さらに本発明の異なる実施態様によれば、電子部品を封入する方法が提供され、そこで、その方法は、少なくとも1つの有機酸を含有する硬化可能な組成物をその部品に塗布する工程とその組成物を硬化する工程を有する。そのような方法では、封入された部品がフラックス汚染されているときに特に有利である。当業者に容易に認識されるように、たとえば、冶金的に1つの部品を他の部品に結合(例えば、半導体ダイを基板に冶金的に結合)する半田プロセスの結果として、隣接する部品からの汚染の結果として、2次工程からの汚染の結果として、樹脂組成物は色々な様式でフラックス汚染される。
【0061】
当業者に容易に認識されるように、発明の組成物を電子部品に塗布するのに、例えば、スクリーン印刷、押し出し、ディスペンス等のような色々な技術が採用される。
【0062】
発明の硬化可能な組成物を硬化する適当な条件としては、発明の硬化可能な組成物を、約0.5分から120分までの時間、約120℃から約300℃までの範囲の温度にさらすことを含む。これらの条件は、例えば、発明の硬化可能な組成物を硬化オーブンに配置することにより、発明の組成物をインライン加熱レールの上の通過させることにより、発明の組成物をベルト加熱炉にさらすこと等の種々の方法により容易に達成することができる。
【0063】
本発明の異なる実施態様によれば、上述の方法により作製された製品が提供される。
【0064】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、電子部品を封入する方法が提供され、その方法は、少なくとも1つの有機酸を含有する組成物を、その組成物を前記部品に塗布した後に、硬化することを含む。そのような方法は、封入された部品がフラックス汚染されたときに特に有用である。
【0065】
また、本発明によれば、上記方法により作製された製品が提供される。
【0066】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、電子部品をボードに接着的に取り付ける方法が提供され、その方法は、
この電子部品とボードの間に少なくとも1つの有機酸を含む組成物を塗布すること、および
その組成物を硬化すること
を含む。そのような方法は、封入される部品またはボードがフラックス汚染されているときに特に有利である。
【0067】
本発明の異なる実施態様によれば、電子部品をボードに接着的に取り付ける方法が提供され、その方法は、少なくとも1つの有機酸を含有する組成物を、この組成物を前記電子部品と前記ボードの間に塗布した後に硬化する工程を含む。そのような方法は、接着的に接続される部品またはボードがフラックス汚染されているときに特に有利である。
【0068】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、少なくとも1つの有機酸を含有する硬化可能な組成物の硬化物で封入された電子部品を含有する製品が提供される。そのような製品は、封入される部品またはボードがフラックス汚染されているときに特に望ましい。
【0069】
本発明のさらに異なる実施態様によれば、ボードに接着的に取り付けられた電子部品を有する製品が提供される。そこで電子部品は、少なくとも1つの有機酸を含有する硬化可能な組成物の硬化物でボードに接着的に取り付けられている。そのような製品は、接着的に取り付けられる部品またはボードがフラックス汚染されているときに特に望ましい。
【0070】
当業者は、多くの異なる電子パッケージの作製に採用される配合物が、ここで意図されるように有機酸(例えば、フェノール化合物および/またはカルボン酸化合物)の採用の修正により利益を得ることを認識するであろう。発明の組成物を採用して作製が意図される電子パッケージの例としては、ボールグリッドアレイ、スーパーボールグリッドアレイ、ICメモリーカード、チップキャリヤー、ハイブリッド回路、チップオンボード、マルチチップモジュール、ピングリッドアレイ、チップスケールパッケージ(CSP)、フリップチップ、ディスクリート回路等が挙げられる。発明の組成物を採用して作製が意図される追加のアセンブリとしては、基板へパッケージのボンディング、ボードアセンブリへのドーター基板のボンディング、ハウジングへの基板のボンディング、アセンブリへのヒートシンクのボンディング等が挙げられ、特にそのような組成物がフラックス汚染にさらされる場合を挙げることができる。
【実施例】
【0071】
本発明は、ここで非限定の実施例を参照して詳細に説明される。
【0072】
<実施例1>
酸修正アンダーフィル配合物
0.75%のグルタル酸を、1,6−グリシジルオキシプロピル−ナフタレンエポキシ樹脂と共に120℃で暖めて、溶融混合物を調製した。これは、安定な溶液を形成しており、それをその後、遊星ミキサーに転送し、充填材、硬化剤および他の成分が加えられ、実質的に均一になるまで混合された。得られた配合の内容を表1にまとめた。得られた混合物は、シリンジに詰められ、使用まで−40℃で凍結保存された。
【0073】
【表1】

【0074】
得られたアンダーフィル配合物を、非修正のコントロールのアンダーフィルシステムと並べて、カルボン酸添加の効果を評価するために、アンダーフィルされたフリップチップテストアセンブリでテストした。フリップチップのダイ表面からのアンダーフィルの剥離は、PCT暴露(2気圧下121℃/100%相対湿度)の後では、修正されたシステムについて、フラックス汚染アセンブリに対して、総合的に優れていた(図1の種々のパネルを比較せよ。)。
【0075】
この実施例で記載されたように調製された発明の配合のダイシェア接着性は、数種のフラックス汚染ガラススライド基板に塗布されて、コントロール配合のダイシェア接着性と比較された。結果を図2に示す。テストした基板のほとんどで、発明の配合は、コントロールのものより実質的に優れていることがわかる。
【0076】
<実施例2>
フェノール修正アンダーフィル配合物
1.5%のフェノール樹脂(Schenectady ChemicalsからのHRJ1166)を、1,6−グリシジルオキシプロピル−ナフタレンエポキシ樹脂と共に120℃で暖めて、溶融混合物を調製した。これは、安定な溶液を形成しており、それをその後、遊星ミキサーに転送し、充填材、硬化剤および他の成分が加えられ、実質的に均一になるまで混合された。得られた配合の内容を表2にまとめた。得られた混合物は、シリンジに詰められ、使用まで−40℃で凍結保存された。
【0077】
【表2】

【0078】
得られたアンダーフィル配合物を、HAST暴露(130℃/85%相対湿度)にさらした。数種のテストダイのそのような条件への100時間の暴露結果を、HAST暴露にさらさないオリジナルのダイと比較して、図3に示した。フリップチップのダイ表面からのアンダーフィルのスポット剥離は、HAST暴露の後、比較的最小であり、アンダーフィル配合物の本発明の修正の利益を証明している。
【0079】
<実施例3>
フェノールおよび酸−変性アンダーフィル配合物
1%のフェノール樹脂(Schenectady ChemicalsからのHRJ1166)と0.75%のグルタル酸を、1,6−グリシジルオキシプロピル−ナフタレンエポキシ樹脂と共に120℃で暖めて、溶融混合物を調製した。これは、安定な溶液を形成しており、それをその後、遊星ミキサーに転送し、充填材、硬化剤および他の成分が加えられ、実質的に均一になるまで混合された。得られた配合の内容を表3にまとめた。得られた混合物は、シリンジに詰められ、使用まで−40℃で凍結保存された。
【0080】
【表3】

【0081】
得られたアンダーフィル配合物を、非修正のコントロールのアンダーフィルシステムと並べて、フェノール/カルボン酸添加の硬化を評価するために、アンダーフィルされたフリップチップテストアセンブリでテストした。フリップチップのダイ表面からのアンダーフィルの剥離は、HAST暴露(130℃/85%相対湿度)の後では、修正されたシステムについて、フラックス汚染アセンブリに対して、総合的に優れていた(図4を見よ)。
【0082】
上述の発明の組成のいくつかの物性値を決定し、フェノールおよびグルタル酸添加のないコントロール配合の物性値との比較を含めて、表4にまとめた。
【0083】
【表4】

【0084】
表4に示したデータを検査するとわかるように、上述の発明の配合の性能特性は、コントロール配合の特性と比較して極めて好ましいものである。特に、実質的に増大したHAST信頼性とフラックス汚染アセンブリに対するダイシェア接着強度を見よ。
【0085】
本発明は、特定の好ましい実施形態に基づいて詳細に説明されたが、修正および変更は、記載されクレームされた精神と範囲に入るものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】図1は、商業的入手可能なアンダーフィル配合と実施例1に従って調製された発明の配合物を、両方ともプレッシャクッカーテスト(2気圧下121℃/100%相対湿度)にさらす前後で、スキャンニング音響顕微鏡(Cモード動作;CSAMとも呼ばれる)にて分析した結果を、まとめて表す。図1Aは、商業的入手可能なアンダーフィル配合物のPCTにさらす前のCSAM分析を表す。
【図1B】図1Bは、発明のアンダーフィル配合物のPCTにさらす前のCSAM分析を表す。
【図1C】図1Cは、商業的入手可能なアンダーフィル配合物を24時間PCTにさらした後のCSAM分析を表す。
【図1D】図1Dは、発明のアンダーフィル配合物を24時間PCTにさらした後のCSAM分析を表す。
【図2】図2は、4つの異なるフラックスで汚染したダイ基板について、商業的に入手可能なアンダーフィルのダイシェア接着結果と、そのアンダーフィル配合が本発明に従って改良されたとき(アンダーフィル配合に0.75wt%のグルタル酸の添加)の同じ基板に対する接着性とを対比して、比較を表す。
【図3】図3は、商業的に入手可能な製品(比較)と発明の配合(実施例2参照)のHAST試験(テストサンプルを130℃、85%相対湿度に長期間さらす)の結果を表す。
【図4】図4は、商業的に入手可能な製品(比較)と発明の別の配合(実施例3参照)のHAST試験の結果を表す。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
非フラックス接着剤組成物の性能特性の1つ以上を改良する方法であって、この性能特性は、フラックス適合性、流動特性、ボイド特性およびその組み合わせからなる群より選ばれ、前記非フラックス接着剤組成物の硬化開始温度が170℃未満であり、前記非フラックス接着剤組成物の前記の1つ以上の性能特性を改良するのに効果のあるだけの量の少なくとも1つの有機酸を、前記非フラックス接着剤組成物に添加することを含む方法。
【請求項2】
前記非フラックス接着剤組成物がキャピラリーフロー・アンダーフィルである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記非フラックス接着剤組成物が、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂およびそれらの任意の2またはそれより多種の混合物からなる群より選ばれる硬化可能な樹脂を含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記有機酸が、フェノール類およびカルボン酸類からなる群より選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記フェノール類が、構造:
X−(Phen)
(ここで、
XはH、アルキル、または2価もしくは多価の結合基であり、
Phenは、置換されていてもよいフェノールであり、
mは、1〜10である。)
を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記2価または多価の結合基が、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいオキシアルキレン、置換されていてもよいカルボキシアルキレン、置換されていてもよいアリーレン、置換されていてもよいオキシアリーレン、置換されていてもよいポリアルキルスルフィド、および置換されていてもよいポリアルキルアミドからなる群より選ばれる請求項5記載の方法。
【請求項7】
mが1〜3である請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記フェノール類が、組成物の全重量の約0.1から約15重量%の範囲で存在する請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記カルボン酸類が、構造:
X’−(COH)
(式中、
X’は、H、アルキル、または2価もしくは多価の結合基であり、
nは1〜10である。)
を有する請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記2価または多価の結合基が、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいオキシアルキレン、置換されていてもよいカルボキシアルキレン、置換されていてもよいアリーレン、置換されていてもよいオキシアリーレン、置換されていてもよいポリアルキルスルフィド、および置換されていてもよいポリアルキルアミドからなる群より選ばれる請求項9記載の方法。
【請求項11】
nが1〜3である請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記カルボン酸類が、組成物の全重量の約0.1から約15重量%の範囲で存在する請求項9記載の方法。
【請求項13】
フラックス適合性、流動特性、ボイド特性およびその組み合わせからなる群より選ばれる1つまたはそれより多くの改良された性能特性を有する非フラックス接着剤組成物の製造方法であって、前記非フラックス接着剤組成物の硬化開始温度は170℃未満であり、前記非フラックス接着剤組成物に少なくとも1つの有機酸の有効量を添加することを含む方法。
【請求項14】
前記有機酸が、フェノール類およびカルボン酸類からなる群より選ばれる請求項13記載の方法。
【請求項15】
硬化可能な樹脂、
硬化剤、
任意成分としての充填剤、および
少なくとも1つの有機酸
を含有する硬化可能な組成物であって、
この硬化可能な組成物は、実質的に潜在性硬化剤を含有せず、
この硬化可能な組成物の硬化開始温度が170℃未満である
ことを特徴とする硬化可能な組成物。
【請求項16】
前記組成物が、前記有機酸を有さない場合に比べて、改良された接着特性を有する請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記硬化可能な組成物がキャピラリーフロー・アンダーフィルである請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記硬化可能な樹脂が、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂およびそれらの任意の2またはそれより多種の混合物からなる群より選ばれる請求項15記載の組成物。
【請求項19】
前記有機酸が、フェノール類およびカルボン酸類からなる群より選ばれる請求項15記載の組成物。
【請求項20】
前記有機酸が、組成物の全重量の約0.1から約15重量%の範囲で存在する請求項15記載の組成物。
【請求項21】
前記有機酸が、組成物の全重量の約0.2から約5重量%の範囲で存在する請求項15記載の組成物。
【請求項22】
前記有機酸が、組成物の全重量の約0.5から約5重量%の範囲で存在する請求項15記載の組成物。
【請求項23】
前記エポキシ樹脂が、C−C28アルキル モノ−およびジグリシジルエーテル類、C−C28アルキル−およびアルケニル−グリシジルエステル類、C−C28アルキル−モノ−およびポリ−フェノールグリシジルエーテル類、エポキシ化ノボラック樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびアニリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる請求項17記載の組成物。
【請求項24】
前記エポキシ樹脂が、1,6−グリシドキシプロピルナフタレン、ビス−(4−グリシドキシフェノール)イソプロパンおよびビス−(4−グリシドキシフェノール)メタンからなる群より選ばれる請求項17記載の組成物。
【請求項25】
前記エポキシ樹脂が、1,6−グリシドキシプロピルナフタレンである請求項17記載の組成物。
【請求項26】
前記硬化剤が、無水物を含む請求項15記載の組成物。
【請求項27】
前記無水物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル酸無水物、ベンゾフェノン−テトラカルボン酸2無水物および無水物−末端ポリブタジエンからなる群より選ばれる請求項26記載の組成物。
【請求項28】
前記硬化剤が、置換イミダゾール類、3級アミン類およびカチオン触媒からなる群より選ばれる請求項15記載の組成物。
【請求項29】
前記充填剤が存在し、かつ伝導性である請求項15記載の組成物。
【請求項30】
前記充填剤が電気的伝導性である請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記充填剤が熱的伝導性である請求項29記載の組成物。
【請求項32】
前記充填剤が存在し、かつ非伝導性である請求項15記載の組成物。
【請求項33】
前記充填剤が、過フッ素化炭化水素である請求項32記載の組成物。
【請求項34】
前記充填剤が、組成物の全重量の約10から約75重量%の範囲で存在する請求項15記載の組成物。
【請求項35】
酸化防止剤、ブリード制御剤、不活性希釈剤、反応性希釈剤、カップリング剤、接着促進剤、柔軟剤、染料、および顔料からなる群より選ばれる少なくとも1つの追加成分をさらに含有する請求項15記載の組成物。
【請求項36】
カップリング剤をさらに含有する請求項15記載の組成物。
【請求項37】
前記カップリング剤が、シロキサン、シリケートエステル、金属アクリレートおよびチタネートからなる群より選ばれる請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記カップリング剤が、組成物の全重量の約0.2から約5重量%の範囲で含有する請求項36記載の組成物。
【請求項39】
硬化可能な樹脂、
硬化剤、
任意成分としての、充填剤、酸化防止剤、ブリード制御剤、不活性希釈剤、反応性希釈剤、カップリング剤、接着促進剤、柔軟剤、染料、および顔料からなる群より選ばれる少なくとも1またはそれより多くの追加成分、および
少なくとも1つの有機酸
から実質的になり、
硬化開始温度が170℃未満である
ことを特徴とする硬化可能な組成物。
【請求項40】
電子部品を封入する方法であって、
請求項15記載の組成物を前記電子部品に塗布する工程と、
前記組成物を硬化させる工程と
を含む方法。
【請求項41】
前記部品がフラックス汚染されている請求項40記載の方法。
【請求項42】
請求項40記載の方法により製造された製品。
【請求項43】
電子部品を封入する方法であって、
請求項15記載の組成物を前記電子部品に塗布した後に、前記組成物を硬化させることを含む方法。
【請求項44】
前記部品がフラックス汚染されている請求項43記載の方法。
【請求項45】
請求項43記載の方法により製造された製品。
【請求項46】
電子部品を回路ボードに接着的に取り付ける方法であって、
請求項15記載の組成物を、前記部品と前記ボードの間に塗布する工程と、
前記組成物を硬化する工程と
を含む方法。
【請求項47】
前記部品および/または前記ボードがフラックス汚染されている請求項46記載の方法。
【請求項48】
電子部品を回路ボードに接着的に取り付ける方法であって、
請求項15記載の組成物を前記部品と前記ボードの間に塗布した後に、前記組成物を硬化させることを含む方法。
【請求項49】
前記部品および/または前記ボードがフラックス汚染されている請求項48記載の方法。
【請求項50】
請求項15記載の組成物の硬化物で封入された電子部品を有する製品。
【請求項51】
前記部品がフラックス汚染されている請求項50記載の製品。
【請求項52】
回路ボードに接着的に取り付けられている電子部品を有する製品であって、前記電子部品が請求項15記載の組成物の硬化物によって前記ボードに接着的に取り付けられている製品。
【請求項53】
前記部品および/または前記ボードがフラックス汚染されている請求項52記載の製品。
【請求項54】
請求項15記載の組成物の硬化物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−505674(P2006−505674A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551618(P2004−551618)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034419
【国際公開番号】WO2004/044081
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】