説明

有機重合体用硬化触媒及びそれを含有する湿気硬化型組成物

【課題】本発明は、安全性が高く、実用的な硬化速度を有し、安定に働き、しかも廉価に製造できる有機重合体用硬化触媒を提供する。さらに、該触媒を含む含有する湿気硬化型有機重合体組成物を提供する。
【解決手段】一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(III):
HO−R3−Y (III)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、Yは式:−OR4で示される基であるか、又は式:−NR56で示される基であり、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R5及びR6では同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物を含む触媒であって、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化に用いる触媒[B]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実用的な硬化性を有し、毒性、環境汚染性の少ない有機重合体用硬化触媒及びそれを含有する湿気硬化型有機重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
1液型の湿気硬化型ゴム組成物は、一般に硬化速度が速く、また使用前にベースポリマーや架橋剤、触媒等の各種添加剤を秤量し、混合する必要がないため、2液型のものに比べ液の混合調整等の必要がない等、作業性の点で優れている。
【0003】
これらの1液型の湿気硬化型ゴム組成物としては、シリコーン系ゴム、変性シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリサルファイド系ゴム等のものが知られている。
【0004】
シリコーン系ゴムの1液型の湿気硬化型ゴム組成物として、オルガノポリシロキサン組成物が広範囲に使用されており、室温で硬化してゴム弾性体を生成する。オルガノシロキサンが架橋重合した−Si−O−結合を主鎖とするシロキサンの高分子化合物は、撥水性、耐熱性、耐候性、耐寒性、電気絶縁性等の性質に優れていることから建築、土木工業、電気、電子工業、自動車工業等の分野で広く使用されている。
【0005】
変性シリコーン系ゴムの1液型の湿気硬化型ゴム組成物としては、ポリエーテルを主鎖とする架橋可能な加水分解性ケイ素官能基を有する重合体を含む組成物がある。この重合体の硬化型組成物は、ポリウレタン系ゴムのものに比べ貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、変色性が良好であり、ポリサルファイド系のものに比べ、硬化性に優れ、周囲への汚染性が少なく毒性がない。
【0006】
前記シリコーン系ゴムおよび変性シリコーン系ゴムが、硬化物となる過程における反応機構は、水共存下における加水分解性ケイ素含有基の縮合反応もしくは付加反応によるとされており、ポリマー化が進行し3次元網目構造のポリマー硬化体が形成されるものと考えられている。この反応において硬化を速やかに進行させるために、硬化触媒が使用される。
【0007】
この加水分解性ケイ素含有基を有するシリコーン系ゴムおよび変性シリコーン系ゴムの硬化組成物の硬化触媒として、従来から錫カルボン酸塩化合物、アルキル錫塩化合物、鉛カルボン酸塩化合物等が知られている。
【0008】
しかし、鉛化合物は環境への負荷が大きく、錫化合物は内分泌撹乱物質として生体への影響が懸念されていることから、使用に際しては十分な注意が必要となる。
【0009】
こうした環境汚染の恐れのある物質を使用しない湿気硬化型組成物として、特許文献1で、カルボン酸とアミンの併用触媒、また特許文献2で、安全性の問題の少ないビスマス化合物を使用することが提案されているが、いずれも、施工時に充分な硬化速度が得られないという問題点がある。
【0010】
また、特許文献3、特許文献4では、ジイソプロポキシチタンビス(アルキルアセトアセトネート)等のチタン酸エステル化合物を触媒として使用することが提案されているが、組成物中の添加剤や充填剤中に含まれる水分で分解されやすく、また、施工時の湿度により、硬化速度にばらつきが生じるため、安定した硬化物が得られない等の問題点がある。
【0011】
また、特許文献5では、アセチルアセトンアルミニウム等のアルミニウム化合物を触媒として使用することが提案されているが、施工時に実用的な硬化速度が得られないという問題点がある。
【0012】
また、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9では、ジルコニウム化合物やハフニウム化合物を触媒として使用することも提案されているが、ジルコニウム、ハフニウム共にレアメタルであるため製造コストが掛かってしまうという問題点がある。
【0013】
そこで、安全性が高く(毒性、環境汚染性が低く)、実用的な硬化速度を持ち、安定に働き、製造コストにもメリットがある有機重合体用硬化触媒の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平8−41358号公報
【特許文献2】特開平5−39428号公報
【特許文献3】特開昭60−161457号公報
【特許文献4】特公昭63−42942号公報
【特許文献5】特開昭63−6041号公報
【特許文献6】特開2004−231648号公報
【特許文献7】特開2004−231649号公報
【特許文献8】特開2004−238617号公報
【特許文献9】特開2004−238616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記従来技術に鑑みて、本発明は、安全性が高く、実用的な硬化速度を有し、安定に働き、しかも廉価に製造できる有機重合体用硬化触媒を提供することを目的とする。さらに、該触媒を含む含有する湿気硬化型有機重合体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意研究を行った結果、所定のジオール化合物と、所定のヒドロキシエーテル化合物又はヒドロキシアミン化合物とを一定の比率で反応させて得られるアルミニウム化合物が、上記の目的を達成できる優れた有機重合体用硬化触媒となり得ることを見いだした。かかる知見に基づき更に研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は次のアルミニウム化合物からなる硬化触媒、及び湿気硬化型組成物を提供する。
【0017】
項1. 一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(III):
HO−R3−Y (III)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、Yは式:−OR4で示される基であるか、又は式:−NR56で示される基であり、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R5及びR6では同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物を含む触媒であって、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化に用いる触媒[B]。
【0018】
項2. 一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜3モル、及び/又は、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む項1に記載の触媒[B]。
【0019】
項3. 一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜2モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む項1に記載の触媒[B]。
【0020】
項4. 一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜2モル、及び、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜2モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む項1に記載の触媒[B]。
【0021】
項5. 一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む項1に記載の触媒[B]。
【0022】
項6. 一般式(III)で表されるアルコール化合物が、一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R3及びR4は前記に同じ。)
で表される化合物である項1、2、4又は5に記載の触媒[B]。
【0023】
項7. 一般式(III)で表されるアルコール化合物が、一般式(IIIb):
HO−R3−NR56 (IIIb)
(式中、R3、R5及びR6は前記に同じ。)
で表される化合物である項1、2、4又は5に記載の触媒[B]。
【0024】
項8. 一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウムがトリイソプロポキシアルミニウムである項1〜7のいずれかに記載の触媒[B]。
【0025】
項9. 一般式(II)で表されるジオール化合物が2-メチル-2,4-ペンタンジオールである項1〜4のいずれかに記載の触媒[B]。
【0026】
項10. 一般式(III)で表されるアルコール化合物が2-ジメチルアミノエタノールである項1、2、4、5又は7に記載の触媒[B]。
【0027】
項11. 前記項1〜10のいずれかに記載の触媒[B]と、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]とを含む湿気硬化型組成物。
【0028】
項12. 前記有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]100重量部に対して、前記触媒[B]0.1〜20重量部を含む項11に記載の湿気硬化型組成物。
【0029】
項13. 前記有機重合体[A1]が、分子末端または側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し、主鎖がアルキレンオキシド重合体、ポリエステル重合体、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体及びジエン系化合物の重合体からなる有機重合体である項11又は12に記載の湿気硬化型組成物。
【0030】
項14. 前記オルガノポリシロキサン[A2]が、主鎖がSi−Oで表されるシロキサン結合で構成され、該シロキサンを構成するケイ素原子に有機基が結合した重合体である項11又は12に記載の湿気硬化型組成物。
【0031】
項15. さらに、充填剤[C]を含む項11〜14のいずれかに記載の湿気硬化型組成物。
【0032】
項16. 前記項11〜15のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を含むシーリング剤。
【0033】
項17. 前記項11〜15のいずれかに記載の湿気硬化型有機重合体組成物を含む接着剤。
【0034】
項18. 前記項12〜18のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を湿気と接触することを特徴とする硬化物の製造方法。
【0035】
項19. 前記項12〜18のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を湿気と接触させて得られる硬化物。
【0036】
項20. 一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(IIIb’):
HO−R3−NR5’6’ (IIIb’)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R5’及びR6’は同一又は異なって炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物、及び必要に応じ一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R3は前記に同じ。)
で表される化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物。
【発明の効果】
【0037】
本発明のアルミニウム化合物は、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化触媒として有効であり、しかも原料が廉価であり簡便に製造することができる。
【0038】
該化合物を硬化触媒として含む本発明の湿気硬化型組成物は、従来の湿気硬化型組成物に比べ早く硬化する。また、現在汎用されている錫化合物、チタン化合物からなる硬化触媒に比べて、本発明のアルミニウム化合物からなる硬化触媒は、各種添加剤に微量に含まれる水分で失活することなく安定的に使用可能である。
【0039】
また、変性シリコーン系(即ち、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1])の湿気硬化型組成物は、現在汎用されている錫化合物、チタン化合物、アルミ化合物からなる硬化触媒を含む組成物に比べて、硬化物の白色度合いが高く、黄色度合いが少ないため、有機錫化合物の代替として有用である。特に、シーリング材等の用途では、様々なカラーバリエーションが求められ、一般に白色の硬化物をベースに様々な顔料を添加して目的にあった色に調製される。そのため、出来るだけ顔料無添加の状態で白い方が使い勝手が良い。この観点から、本発明の湿気硬化型組成物は触媒の存在により着色が発生しないため好適である。
【0040】
さらに、錫化合物を硬化触媒として使用しないため内分泌撹乱物質による生体への影響、環境への影響の心配のない安全な硬化型組成物である。
【0041】
このような湿気硬化型組成物は、シーリング剤、コーティング剤、弾性接着剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0043】
有機重合体[A1]
本発明に用いる有機重合体[A1]は、加水分解性基と結合したケイ素原子を有する基(以下、加水分解性ケイ素含有基という場合がある)を、分子末端または側鎖に1分子当たり少なくとも1個有する有機重合体であり、該重合物の主鎖としては炭素原子を有するもの、例えば、アルキレンオキシド重合体、ポリエステル重合体、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体、ジエン系化合物の重合体などが挙げられる。これら有機重合体は室温で液状のものが好ましい。
【0044】
前記アルキレンオキシド重合体としては、
〔CH2CH2O〕
〔CH(CH3)CH2O〕
〔CH(C25)CH2O〕
〔CH2CH2CH2CH2O〕
などの繰り返し単位の1種または2種以上を有するものが例示される。ここで、nは同一又は異なって2以上の整数である。これらアルキレンオキシド重合体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記の繰り返し単位を2種以上含む共重合体も使用できる。
【0045】
ポリエステル重合体としては、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フタル酸、クエン酸、ピルビン酸、乳酸等のカルボン酸およびその無水物ならびにそれらの分子内および/または分子間エステルおよびそれらの置換体等を繰返し単位として有するものが例示される。
【0046】
エーテル・エステルブロック共重合体としては、上述したアルキレンオキシド重合体に用いられる繰り返し単位および上述したポリエステル重合体に用いられる繰り返し単位の両方を繰返し単位として有するものが例示される。
【0047】
また、エチレン性不飽和化合物及びジエン系化合物の重合体としては、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの単独重合体、またはこれらの2種以上の共重合体が挙げられる。より具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリクロロプレン、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を併用してもよい。
【0048】
このような変成シリコーン系ポリマーは、例えば、特公昭61−18569号公報に記載されている方法等の公知の方法によって製造することができか、或いは市販されている。市販品としては、例えば、株式会社カネカ製のMSポリマーS−203、MSポリマーS−303、MSポリマーS−903、MSポリマーS−911、サイリルポリマーSAT−200、サイリルポリマーMA430およびサイリルポリマーMAX447等が例示される。
【0049】
前記加水分解性ケイ素含有基は、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することにより縮合反応を起こす基のことである。具体的には、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基などが挙げられる。
【0050】
ここで、1つのケイ素原子に結合した加水分解性基の数は1〜3の範囲から選択される。また、1つのケイ素原子に結合した加水分解性基は1種であってもよく、複数種であってもよい。さらに加水分解性基と非加水分解性基が1つのケイ素原子に結合していてもよい。加水分解性ケイ素含有基としては、取り扱いが容易である点で、特にアルコキシシリル基(モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基を含む)が好ましい。
【0051】
加水分解性ケイ素含有基は重合体分子の末端に存在していても、側鎖に存在していてもよく、さらに末端と側鎖の両方に存在していてもよい。加水分解性ケイ素含有基は、重合体の1分子当たり少なくとも1個あればよいが、硬化速度、硬化物性の点からは、1分子当たり平均して1.5個以上あるのが好ましい。加水分解性ケイ素含有基を前記主鎖重合体に結合させる方法としては公知の方法が採用できる。 本発明で用いる有機重合体[A]の数平均分子量は、特に制限はないが、過度に高分子のものは高粘度であり、硬化性組成物とした場合、使用上困難となる為、30000以下が望ましい。このような有機重合体は、公知の方法によって製造することができるが、上記した株式会社カネカ製のカネカMSポリマー等の市販品を使用してもよい。
【0052】
オルガノポリシロキサン[A2]
本発明に用いるオルガノポリシロキサン[A2]は、主鎖がSi−Oで表されるシロキサン結合で構成されたものであり、さらにシロキサン結合を構成するケイ素原子に有機基が結合している。このような有機基としては、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基;シクロヘキシル等のシクロアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニル、クロチル等のアルケニル基;フェニル、トルイル、キシリル等のアリール基;ベンジル、フェニルエチル等のアラルキル基;及びこれら有機基の水素原子の全部もしくは一部がハロゲン原子で置換された基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などが挙げられる。
【0053】
オルガノポリシロキサン[A2]としては、
(−Si(R)2−O−)
(式中、Rは同一又は異なって有機基、mは2以上の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を有するものが例示される。具体例としては、
(−Si(CH32−O−)
(−Si(C252−O−)
(−Si(Ph)2−O−)
(−Si(−CH=CH22−O−)
などの繰り返し単位の1種または2種以上を有するものが例示される。ここでmは同一又は異なって2以上の整数である。オルガノポリシロキサン[A2]は単独の主鎖から構成されていてもよく、あるいは2種以上の主鎖から構成されていてもよい。
【0054】
オルガノポリシロキサン[A2]が有する加水分解性基と結合したケイ素原子(以下、加水分解性ケイ素含有基という場合がある)は、湿気の存在下に、または硬化触媒を使用したときに湿気の存在下に縮合反応を起こす基である。具体的には、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。
【0055】
ここで、1つのケイ素原子に結合したこれら加水分解性基の数は1〜3の範囲から選択される。また1つのケイ素原子に結合した加水分解性基は1種であってもよく、複数種であってもよい。さらに加水分解性基と非加水分解性基が1つのケイ素原子に結合していてもよい。加水分解性ケイ素含有基としては、取り扱いが容易である点で、とくにアルコキシシリル基(モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基を含む)が好ましい。
【0056】
加水分解性ケイ素含有基は、オルガノポリシロキサン分子の末端に存在していても、側鎖に存在していてもよい。加水分解性ケイ素含有基は、オルガノポリシロキサンの1分子当たり少なくとも1個あればよいが、硬化速度、硬化物性の点からは、1分子当たり平均して1.5個以上あるのが好ましい。加水分解性ケイ素含有基を前記主鎖重合体に結合させる方法としては公知の方法が採用できる。
【0057】
オルガノポリシロキサンは直鎖状であっても、3官能形(R’SiO1.5)または4官能形(SiO2)を含む分岐状のものであってもよい。また、硬化物の物性や用途により、必要に応じて2官能形(R’2SiO)や1官能形(R’3SiO0.5)を組み合わせてもよい(ここで、R’は有機基)。さらに加水分解性ケイ素含有基は分子末端、分子鎖の途中の何れに結合していてもよい。
【0058】
なお、オルガノポリシロキサンは一般的に平均組成式としてRaSiO4-a/2で示される(例えば、特開2005-194399号や特願平6-290588号公報等)。上記の表記はこれに従った。
【0059】
本発明で用いるオルガノポリシロキサン[A2]の粘度は特に制約はないが過度に高粘度のものは、作業性が低下したり、得られる硬化物の物性が損なわれたりする惧れがあるので、25℃における粘度が0.025〜100Pa・sの範囲にあるのが望ましい。このようなオルガノポリシロキサンは、公知の方法によって製造することができるが、GE東芝シリコーン(株)製のトスシールシリーズ、信越化学工業(株)製のシーラントシリーズ、東レダウコーニング(株)製のSHシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0060】
硬化触媒[B]
本発明に用いる硬化触媒[B]は、一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(III):
HO−R3−Y (III)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、Yは式:−OR4で示される基であるか、又は式:−NR56で示される基であり、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R5及びR6では同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物を含むことを特徴とする。この硬化触媒[B]は、上記した分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化に好適に用いられる。
【0061】
1で示される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖又は分岐していてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、tert―アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルなどが挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素原子数1〜4の炭化水素基である。さらに好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。
【0062】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウムとしては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、トリsec-ブトキシアルミニウム、トリtert-ブトキシアルミニウム、トリペンチロキシアルミニウム、トリヘキシロキシアルミニウム、トリへプチロキシアルミニウム、トリオクチロキシアルミニウム、トリノニロキシアルミニウム、トリデシロキシアルミニウム等が挙げられ、特に、トリイソプロポキシアルミニウムが好ましい。
【0063】
2で示される炭素原子数2〜10のアルキレン基としては、炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルカンの異なる炭素原子上の2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。該炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルカンとしては、例えば、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。好ましくは、炭素原子数4〜8の直鎖又は分岐のアルカンの1,3位の位置にある炭素原子上の2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。
【0064】
2で示される炭素原子数2〜10のアルケニレン基としては、炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルケンの異なる炭素原子上の2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。該炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルケンとしては、例えば、エチレン、プロペン、イソプロペン、シクロプロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、イソヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン等が挙げられる。
【0065】
2で示される炭素原子数2〜10のアルキニレン基としては、炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルキンの異なる炭素原子上の2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。該炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルケンとしては、例えば、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−イソペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、1−イソヘキシン、2−イソヘキシン、ヘプチン、オクチン、ノニン、デシン等が挙げられる。
【0066】
一般式(II)で表されるジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール 、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、cis-2-ブテン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール 、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、特に、2-メチル-2,4-ペンタンジオールが好ましい。
【0067】
3で示される炭素原子数2〜10のアルキレン基としては、炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルカンの異なる炭素原子上の2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。該炭素原子数2〜10の直鎖、分岐又は環状のアルカンとしては、例えば、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。好ましくは炭素原子数2〜6のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。
【0068】
4で示される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖又は分岐していてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、tert―アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルなどが挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素原子数1〜4の炭化水素基である。さらに好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。
【0069】
4で示されるアリール基としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基があげられる。好ましくは炭素原子数6〜10のアリール基である。さらに好ましくはフェニルで表される。
【0070】
5及びR6で示される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖または分岐または環状であってよい。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数1〜10直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基である。さらに好ましくはメチルである。
【0071】
一般式(III)で表されるアルコール化合物は、さらに一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R3及びR4は前記に同じ。)
で表される化合物、及び/又は、一般式(IIIb):
HO−R3−NR56 (IIIb)
(式中、R3、R5及びR6は前記に同じ。)
で表される化合物に分類できる。
【0072】
このうち、一般式(IIIb)で表される化合物を含むアルミニウム化合物が、触媒活性が高いという点で好ましい。
【0073】
一般式(IIIa)で表される化合物としては、例えば2-メトキシエタノール 、2-エトキシエタノール 、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、2-ブトキシエタノール、エチレングリコールモノベンジルエーテル、2-フェノキシエタノールが挙げられる。特に、2-メトキシエタノールや2-ブトキシエタノールが好ましい。
【0074】
一般式(IIIb)で表される化合物としては、例えば2-アミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-(ベンジルアミノ)エタノール、2-ジメチルアミノエタノール等が挙げられ、特に、2-ジメチルアミノエタノールが好ましい。
【0075】
上記で得られるアルミニウム化合物としては、一般式(IIIb)で表される化合物と反応させる、一般式(II)及び/又は一般式(III)で表される化合物の当量数を変化させて、種々の化合物を製造することができる。
【0076】
例えば、一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜3モル、及び/又は、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を製造することができる。通常、反応は、不活性ガス雰囲気下にトリアルコキシアルミニウムとジオール化合物及び/又はアルコール化合物を加えて還流させた後、生成するアルコール(R1OH)を減圧留去することによりアルミニウム化合物を得る。反応温度は一般に80〜120℃程度であり、反応時間は2〜6時間程度である。
【0077】
なお、加えるジオール化合物及び/又はアルコール化合物の種類や当量数等に応じて、生成するアルミニウム化合物の化学構造は変化しまた混合物として存在する可能性があるため、本発明において得られるアルミニウム化合物を製造方法で規定することとした。
【0078】
他の例として、一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜3モルを反応させてアルミニウム化合物を製造できる。具体例として、ジオール化合物として2-メチル-2,4-ペンタンジオールを用いた場合には、主に下記(a)〜(c)で示されるアルミニウム化合物が得られると考えられる。
【0079】
【化1】

【0080】
【化2】

【0081】
【化3】

【0082】
また、他の例として、一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜2モル、及び、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜2モルを反応させてアルミニウム化合物を製造できる。具体例として、ジオール化合物として2-メチル-2,4-ペンタンジオールを用い、アルコール化合物として一般式(IIIa)を用いた場合には、例えば、下記(d)で示されるアルミニウム化合物が得られると考えられる。
【0083】
【化4】

【0084】
(式中、R及びRは前記に同じ。)
また、ジオール化合物として2-メチル-2,4-ペンタンジオールを用い、アルコール化合物として一般式(IIIb)を用いた場合には、例えば、下記(e)で示されるアルミニウム化合物が得られると考えられる。
【0085】
【化5】

【0086】
(式中、R及びRは前記に同じ。)
また、他の例として、一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モル(さらに1〜2モル)を反応させてアルミニウム化合物を製造できる。具体例として、一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(IIIa)で表される化合物を1〜3モル、及び/又は一般式(IIIb)で表される化合物を1〜3モルを反応させて、或いは、一般式(IIIa)で表される化合物を1〜2モル、及び一般式(IIIb)で表される化合物を1〜2モルを反応させて製造できる。
【0087】
アルコール化合物として一般式(IIIa)及び/又は一般式(IIIb)を用いた場合には、例えば、下記(f)〜(i)で示されるアルミニウム化合物が得られると考えられる。
【0088】
【化6】

【0089】
【化7】

【0090】
【化8】

【0091】
【化9】

【0092】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じ。上記Rは同一又は異なっていてもよい。)
なお、上記したアルミニウム化合物のうち、一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は前記に同じ。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は前記に同じ。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(IIIb’):
HO−R3−NR5’6’ (IIIb’)
(式中、R5’及びR6’では同一又は異なって炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R3は前記に同じ。)
で表されるアルコール化合物、及び必要に応じ一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R3は前記に同じ。)
で表される化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物は新規化合物であり、上記した、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化に用いる触媒[B]として好適に用いられる。
【0093】
一般式(IIIb’)で表されるアルコール化合物における、R5’及びR6’で示される炭素原子数1〜10のアルキル基は、上記のR5及びR6で示したものと同義である。
【0094】
一般式(I)で表されるアルミニウム化合物は毒性、環境汚染性が低く、前記有機重合体の硬化触媒として使用した場合に、速硬化性を有し、組成物中の添加剤や充填剤中に含まれる水分で分解されにくく、また、施工時の湿度により硬化速度にばらつきが生じず、速やかに安定した硬化物を与える。したがって、前記有機重合体を主剤とする湿気硬化型組成物、とくに1液型の湿気硬化型組成物における硬化触媒として有用である。
【0095】
湿気硬化型組成物
本発明の湿気硬化型組成物は、上記の硬化触媒[B]と、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]とを含み、必要に応じ後述する他の添加剤を含めても良い。本発明の湿気硬化型組成物の調製は、乾燥条件下で両者を混合すればよく、その混合形態は特に限定はない。通常、温度15〜30℃程度、60%RH以下の雰囲気下で混合すればよい。
【0096】
本発明の湿気硬化型組成物中において、硬化触媒[B]の含有量は、前記有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]100重量部に対して0.1〜20重量部、さらに0.5〜10重量部、特に3〜8重量部が好ましい。硬化触媒[B]の含有量が0.1重量部未満では硬化性能が不十分であり、20重量部を超えると硬化後の硬化物の復元率、耐候性などの物性、貯蔵中の安定性が悪くなることがある。
【0097】
本発明の湿気硬化型組成物には、さらに充填剤[C]を配合しても良い。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、クレー、焼成クレー、ガラス、ベントナイト、有機ベントナイト、シラスバーン、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、粉砕石英、珪藻土、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン等があげられる。充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。充填剤を加えることにより、湿気硬化型組成物のハンドリングが良くなる。また、硬化物のゴム補強剤としても働く。最大のメリットは、増量剤として添加することで使用する樹脂の量を減らす事が出来るためコストダウンが出来ることである。
【0098】
中でも、硬化後の硬化性組成物の優れた表面ノンタック、50%モジュラス、作業性および耐候性等を維持する点から、炭酸カルシウム、酸化チタンが好ましい。炭酸カルシウムを使用する場合は、その割合を、前記有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]100重量部に対して、1〜200重量部とするのが好ましい。上記範囲であると、硬化後の特性を損なわない。
【0099】
本発明の湿気硬化型組成物には、さらに硬化促進剤、着色剤、可塑剤、硬化遅延剤、タレ防止剤、老化防止剤、溶剤等、硬化性組成物に通常添加される添加剤を加えてもよい。
【0100】
硬化促進剤としては、例えば、公知の種々のアミノ基置換アルコキシシラン化合物、またはその縮合物を使用することが出来る。具体的に例示すると、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、δ―アミノブチル(メチル)ジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンおよび、これらの部分加水分解等があげられ、これらは基材への密着性を向上させる効果もある。
【0101】
着色剤としては、具体的には、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が使用される。
【0102】
可塑剤としては、具体的には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、オレイン酸ブチル等の脂肪酸カルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル類等のグリコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン等が使用される。
【0103】
タレ防止剤としては、具体的には、水添ヒマシ油、無水ケイ酸、有機ベントナイト、コロイド状シリカ等が使用される。
【0104】
また、他の添加剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の接着付与剤、紫外線吸収剤、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤、各種の老化防止剤等が使用される。
【0105】
本発明の硬化型組成物は、室温で十分に安定であるため貯蔵性に優れ、かつ、湿気に接触すると配合された硬化触媒[B]により硬化反応が自発的に進行する。また、スナップタイム(半ゲル化し流動性が無くなるまでの時間)やタックフリー時間(表面タックの無くなるまでの時間)も短く作業性に優れる。
【0106】
上記の特性から、本発明の硬化型組成物は1液型シーリング材として用いることができる。具体的には、建築物、船舶、自動車等の車両のシーリング材、接着剤、密封剤、防水用の目止め材等の用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例を用いて具体的に説明するが、これによって本発明の範囲を限定するものではない。
【0108】
製造例1
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、トリイソプロポキシアルミニウム153.2g(0.75mol)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(以下、へキシレングリコールと記載する)88.65g(0.75mol)を量り込み、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去した。次に2-ジメチルアミノエタノール66.85g(0.75mol)を量りこみ、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去し、淡黄色液体のアルミニウム化合物Aを170g(収率98%)得た。この化合物をFT−IRにて分析し、各アルコールのOHの吸収(3350〜3400cm-1)が存在しないことを確認した。また、次の元素分析の結果より、トリイソプロポキシアルミニウムとへキシレングリコールと2-ジメチルアミノエタノールのモル比1:1:1の反応物であることを確認した。
【0109】
【表1】

【0110】
製造例2
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、トリイソプロポキシアルミニウム153.2g(0.75mol)、へキシレングリコール132.94g(1.125mol)を量り込み、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去し、淡黄色ガム状のアルミニウム化合物Bを298.8g(収率99%)得た。この化合物をFT−IRにて分析し、へキシレングリコールのOHの吸収(3367cm-1)が存在しないことを確認した。また、次の元素分析の結果より、トリイソプロポキシアルミニウムとへキシレングリコールのモル比2:3の反応物であることを確認した。
【0111】
【表2】

【0112】
製造例3
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、トリイソプロポキシアルミニウム153.2g(0.75mol)、2-ジメチルアミノエタノール66.85g(2.25mol)を量りこみ、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去し、淡黄色液体のアルミニウム化合物Cを211.9g(収率97%)得た。この化合物をFT−IRにて分析し、2-ジメチルアミノエタノールのOHの吸収(3398cm-1)が存在しないことを確認した。また、次の元素分析の結果より、トリイソプロポキシアルミニウムと2-ジメチルアミノエタノールのモル比1:3の反応物であることを確認した。
【0113】
【表3】

【0114】
製造例4
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、トリイソプロポキシアルミニウム153.2g(0.75mol)、へキシレングリコール88.65g(0.75mol)を量り込み、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去した。次に2-メトキシエタノール57.0g(0.75mol)を量りこみ、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去し、淡黄色液体のアルミニウム化合物Dを168.2g(収率97%)得た。この化合物をFT−IRにて分析し、各アルコールのOHの吸収(3300〜3400cm-1)が存在しないことを確認した。また、次の元素分析の結果より、トリイソプロポキシアルミニウムとへキシレングリコールと2-メトキシエタノールのモル比1:1:1の反応物であることを確認した。
【0115】
【表4】

【0116】
製造例5
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、トリイソプロポキシアルミニウム153.2g(0.75mol)、へキシレングリコール88.65g(0.75mol)を量り込み、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去した。次に2-ブトキシエタノール88.6g(0.75mol)を量りこみ、30分還流させた後、生成したイソプロピルアルコールを減圧留去し、淡黄色液体のアルミニウム化合物Eを187.4g(収率96%)得た。この化合物をFT−IRにて分析し、各アルコールのOHの吸収(3300〜3400cm-1)が存在しないことを確認した。また、次の元素分析の結果より、トリイソプロポキシアルミニウムとへキシレングリコールと2-ブトキシエタノールのモル比1:1:1の反応物であることを確認した。
【0117】
【表5】

【0118】
実施例1〜5(硬化性試験)
シリル基含有有機重合体(株式会社カネカ製MSポリマーS303)100重量部に対して、製造例1〜5で得られたアルミニウム化合物A、B、C、D、Eに各種添加剤を、表6に示される配合割合で配合し、混練して湿気硬化型組成物を調製した。また、アルミニウム化合物Bは可塑剤に溶解させて使用した。なお、材料の配合、混練、硬化までの操作は25℃、60%RHの雰囲気下で行った。
【0119】
得られた湿気硬化型組成物について、スナップタイム(半ゲル化し流動性のなくなるまでの時間)およびタックフリータイム(表面タックのなくなるまでの時間)を測定した。
【0120】
スナップタイムは、予めシリル基含有有機重合体と触媒以外の添加剤を良く混練しておき、そこに触媒を添加し、更に3分間混練した。混練終了後、直径6.5cm、深さ1cmの円形容器に35g量り取り静置した。混練終了時から時間のカウントを開始し、容器を90度傾けても垂れが無く(1分間保持)、ゴム弾性が現れるまでに要した時間を測定した。
【0121】
タックフリータイムは、エチルアルコールで清浄した指先で、表面の3箇所に軽く触れ、混練終了時から試料が指先に付着しなくなるまでに要した時間を測定した。
【0122】
また、色差計(有限会社東京電色製 TC−PIII型)にてHW値、YI値を測定した。なおHW値は白色度を意味し、上限が100で100に近いほど白色に近い。また、YI値は黄色度を意味し、数値が高いほど黄色い。
【0123】
比較例1〜8
シリル基含有有機重合体(株式会社カネカ製MSポリマーS303)100重量部に対して、シリコーンの硬化剤に用いられている従来の錫化合物として、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジアセテートを、チタン化合物として、テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセチルアセトネート)またはチタニウムテトラアセトアセトネートを、アルミニウム化合物として、トリイソプロポキシアルミニウムとヘキシレングリコールと2-ジメチルアミノエタノールとのモル比1:0.5:0.5の反応生成物(アルミニウム化合物F)とトリイソプロポキシアルミニウムとヘキシレングリコールと2-ジメチルアミノエタノールとのモル比1:4:4の反応生成物(アルミニウム化合物G)を、及び各種添加剤を、表7に示される配合割合で25℃にて配合し、混練して硬化型組成物を調製した。
【0124】
得られた硬化型組成物について実施例1〜5と同様にしてスナップタイムおよびタックフリータイムを測定した。また、色差計(有限会社東京電色製 TC−PIII型)にてHW値、YI値を測定した。
【0125】
実施例1〜5及び比較例1〜8の結果を表6、7に示す。表6、7における材料の配合量は重量部である。表6、7に示す材料の詳細は次のとおりである。
【0126】
炭酸カルシウム:充填剤
ノクラックNS−6:老化防止剤(大内新興化学工業(株)製)
スモイルP−350:流動パラフィン(村松石油(株)製)
A−171:ビニルアルコキシシラン化合物(日本ユニカー(株)製)
A−1100:アミノ基置換アルコキシシラン化合物(日本ユニカー(株)製)
アセチルアセトンアルミニウム:東京化成(株)製、一級試薬
ネオスタンU−200:ジブチル錫ジアセテート(日東化成(株)製)
ネオスタンU−100:ジブチル錫ジラウレート(日東化成(株)製)
サニーキャットT−100:ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセトネート)(日東化成(株)製)
チタンテトラアセチルアセトネート:東京化成(株)製、特級試薬
テトライソプロポキシチタン:東京化成(株)製、特級試薬
【0127】
【表6】

【0128】
【表7】

【0129】
表6、7の結果より、実施例1〜5では、比較例1〜5に対し、スナップタイム及びタックフリータイムが大幅に短縮されることが確認された。また、本発明の
実施例1〜5では、従来のアルミニウム系硬化触媒を使用する比較例3と比較して、HW値が高く、またYI値が顕著に小さいことが分かった。
【0130】
実施例1〜5では、従来のチタン系硬化触媒を使用する比較例6〜8と比較して、HW値及びYI値において顕著に優れていることが分かった。
【0131】
実施例6〜10(硬化性試験)
加水分解性珪素含有基を有するオルガノポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製トスシール371)100重量部に対して、製造例1、2、3、4または5で得られたアルミニウム化合物A、B、C、DまたはE、および表8に示される各種添加剤を表8に示される割合で配合し、混練して湿気硬化型組成物を調製した。また、アルミニウム化合物Bは可塑剤に溶解させて使用した。
【0132】
得られた湿気硬化型組成物について、スナップタイム(半ゲル化し流動性のなくなるまでの時間)およびタックフリータイム(表面タックのなくなるまでの時間)を測定した。なお、材料の配合、混練、硬化までの操作は25℃、60%RHの雰囲気下で行った。結果を表8に示す。
【0133】
スナップタイムは、予め加水分解性ケイ素含有基を有するオルガノポリシロキサンと触媒以外の添加剤を良く混練しておき、そこに触媒を添加し、更に3分間混練した。混練終了後、直径6.5cm、深さ1cmの円形容器に35g量り取り静置した。混練終了時から時間のカウントを開始し、容器を90度傾けても垂れが無く(1分間保持)、ゴム弾性が現れるまでに要した時間を測定した。
【0134】
比較例9〜16
加水分解性珪素含有基を有するオルガノポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、トスシール371)100重量部に対して、シリコーンの硬化剤として用いられている従来の錫化合物としてジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジアセテート、チタン化合物として、テトライソプロポキシチタン、チタンテトラアセチルアセトネートまたはジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセトナート)、アルミニウム化合物としてアセチルアセトンアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウムとヘキシレングリコールと2-ジメチルアミノエタノールとのモル比1:0.5:0.5の反応性生物(アルミニウム化合物F)とトリイソプロポキシアルミニウムとヘキシレングリコールと2-ジメチルアミノエタノールとのモル比1:4:4の反応性生物(アルミニウム化合物G)および各種添加剤を表9に示される割合で配合し、混練して硬化型組成物を調製した。
【0135】
得られた硬化型組成物について実施例6〜10と同様にしてスナップタイムおよびタックフリータイムを測定した。結果を表9に示す。
【0136】
実施例6〜10及び比較例9〜16の結果を表8,9に示す。表8,9における材料の配合量は重量部である。また、表8,9に示す材料の詳細は次のとおりである。
【0137】
炭酸カルシウム:充填剤
ノクラックNS−6:老化防止剤(大内新興化学工業(株)製)
スモイルP−350:流動パラフィン(村松石油(株)製)
アセチルアセトンアルミニウム:東京化成(株)製、一級試薬
A−171:ビニルアルコキシシラン化合物(日本ユニカー(株)製)
A−1100:アミノ基置換アルコキシシラン化合物(日本ユニカー(株)製)
ネオスタンU−200:ジブチル錫ジアセテート(日東化成(株)製)
ネオスタンU−100:ジブチル錫ジラウレート(日東化成(株)製)
サニーキャットT−100:ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセトネート)(日東化成(株)製)
テトライソプロポキシチタン:東京化成(株)製、特級試薬
チタンテトラアセチルアセトネート:東京化成(株)製、特級試薬
【0138】
【表8】

【0139】
【表9】

【0140】
表8、9の結果より、実施例6〜10では、比較例9〜16に対し、スナップタイムが大幅に短縮されることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(III):
HO−R3−Y (III)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、Yは式:−OR4で示される基であるか、又は式:−NR56で示される基であり、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R5及びR6では同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物を含む触媒であって、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]の硬化に用いる触媒[B]。
【請求項2】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜3モル、及び/又は、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む請求項1に記載の触媒[B]。
【請求項3】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜2モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む請求項1に記載の触媒[B]。
【請求項4】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(II)で表されるジオール化合物1〜2モル、及び、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜2モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む請求項1に記載の触媒[B]。
【請求項5】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウム1モルに対して、一般式(III)で表されるアルコール化合物1〜3モルを反応させて得られるアルミニウム化合物を含む請求項1に記載の触媒[B]。
【請求項6】
一般式(III)で表されるアルコール化合物が、一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R3及びR4は前記に同じ。)
で表される化合物である請求項1、2、4又は5に記載の触媒[B]。
【請求項7】
一般式(III)で表されるアルコール化合物が、一般式(IIIb):
HO−R3−NR56 (IIIb)
(式中、R3、R5及びR6は前記に同じ。)
で表される化合物である請求項1、2、4又は5に記載の触媒[B]。
【請求項8】
一般式(I)で表されるトリアルコキシアルミニウムがトリイソプロポキシアルミニウムである請求項1〜7のいずれかに記載の触媒[B]。
【請求項9】
一般式(II)で表されるジオール化合物が2-メチル-2,4-ペンタンジオールである請求項1〜4のいずれかに記載の触媒[B]。
【請求項10】
一般式(III)で表されるアルコール化合物が2-ジメチルアミノエタノールである請求項1、2、4、5又は7に記載の触媒[B]。
【請求項11】
前記請求項1〜10のいずれかに記載の触媒[B]と、分子末端もしくは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し主鎖に炭素原子を有する有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]とを含む湿気硬化型組成物。
【請求項12】
前記有機重合体[A1]又はオルガノポリシロキサン[A2]100重量部に対して、前記触媒[B]0.1〜20重量部を含む請求項11に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項13】
前記有機重合体[A1]が、分子末端または側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも1個有し、主鎖がアルキレンオキシド重合体、ポリエステル重合体、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体及びジエン系化合物の重合体からなる有機重合体である請求項11又は12に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項14】
前記オルガノポリシロキサン[A2]が、主鎖がSi−Oで表されるシロキサン結合で構成され、該シロキサンを構成するケイ素原子に有機基が結合した重合体である請求項11又は12に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項15】
さらに、充填剤[C]を含む請求項11〜14のいずれかに記載の湿気硬化型組成物。
【請求項16】
前記請求項11〜15のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を含むシーリング剤。
【請求項17】
前記請求項11〜15のいずれかに記載の湿気硬化型有機重合体組成物を含む接着剤。
【請求項18】
前記請求項12〜18のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を湿気と接触することを特徴とする硬化物の製造方法。
【請求項19】
前記請求項12〜18のいずれかに記載の湿気硬化型組成物を湿気と接触させて得られる硬化物。
【請求項20】
一般式(I):
Al(OR1 (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1は同一又は異なっていてもよい。)
で表されるトリアルコキシアルミニウムに、一般式(II):
HO−R2−OH
(式中、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。)
で表されるジオール化合物、及び/又は、一般式(IIIb’):
HO−R3−NR5’6’ (IIIb’)
(式中、R3は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R5’及びR6’は同一又は異なって炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコール化合物、及び必要に応じ一般式(IIIa):
HO−R3−OR4 (IIIa)
(式中、R4は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、R3は前記に同じ。)
で表される化合物を反応させて得られるアルミニウム化合物。

【公開番号】特開2009−19137(P2009−19137A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183658(P2007−183658)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000227342)日東化成株式会社 (28)
【Fターム(参考)】