説明

有機EL用基板及び有機EL素子

【課題】耐候性に優れる有機EL用基板を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステル層の裏側に、白色顔料含有層が設けられてなる有機EL用基板とする。前記液晶ポリエステル層は、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位とを有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、40モル%以上である液晶ポリエステルから構成される層であることが好ましい。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−O−Ar3−O− (3)
(Ar1は、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル層を有する有機EL(エレクトロルミネッセンス)用基板に関する。また、本発明は、この有機EL用基板を用いてなる勇気EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、通常、基板の上に一対の電極が配置され、この一対の電極間に有機EL層が配置されてなる構造を有しており、図1にその例を示す。この例では、基板1の上に、陰極4A、有機EL層5及び陽極4Bがこの順に配置され、さらにその上に封止層6が配置され、基板1と封止層6との間の周縁部が封止材3で封止されている。また、有機EL層5は、発光層5bと、その陰極4A側に配置された電子輸送層5aと、その陽極4B側に配置された正孔輸送層5cとから構成されている。
【0003】
基板1としては、通常、ガラス板が用いられるが、フレキシブル性に乏しため、有機EL素子の連続生産が困難であり、また、衝撃に弱く、重いという欠点がある。そこで、基板1として樹脂フィルムを用いることが検討されているが、一般的な樹脂フィルムは、水蒸気バリア性や寸法安定性が低いという問題がある。このような問題を解決するため、基板1として液晶ポリエステルフィルムを用いることが検討されており、例えば、特許文献1には、前記液晶ポリエステルフィルムを構成する液晶ポリエステルとして、4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位とフタル酸に由来する繰返し単位とp−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位とを有するものや、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位とp−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位とを有するものや、エチレングリコールに由来する繰返し単位とテレフタル酸に由来する繰返し単位とp−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位とを有するものや、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位とp−アミノフェノールに由来する繰返し単位とテレフタル酸に由来する繰返し単位とを有するものが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−32464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の如き液晶ポリエステル層を有する従来の有機EL用基板は、耐候性が必ずしも十分でなく、例えば、反射光により裏側から長期間にわたり光照射を受けると、反って、剥がれたり、破れたりすることがある。そこで、本発明の目的は、液晶ポリエステル層を有し、耐候性に優れる有機EL用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、液晶ポリエステル層の裏側に、白色顔料含有層が設けられてなる有機EL用基板を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記有機EL用基板と、前記有機EL用基板上に配置された一対の電極と、前記一対の電極間に配置された有機EL層とを有する有機EL素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の有機EL用基板は、耐候性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】有機EL素子の例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL基板の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の有機EL用基板は、図2に示す如く、液晶ポリエステル層23の裏側(発光面とは反対の面側)に、白色顔料含有層26が設けられてなるものである。
【0011】
液晶ポリエステル層23を構成する液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
【0012】
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
【0013】
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるものが挙げられる。
【0014】
液晶ポリエステルとしては、水蒸気バリア性に優れることから、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1)ということがある)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(2)ということがある)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(3)ということがある)とを有するものが、好ましく用いられる。
【0015】
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−O−Ar3−O− (3)
【0016】
(Ar1は、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
【0017】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
【0018】
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Ar1が2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位が好ましい。
【0019】
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Ar2が2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位、及びAr2が1,4−フェニレン基であるもの、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位が好ましい。
【0020】
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Ar3が1,4−フェニレン基であるもの、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位、及びAr3が4,4’−ビフェニリレン基であるもの、すなわち4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位が好ましい。
【0021】
液晶ポリエステル中、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量、すなわち、Ar1が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、Ar2が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、及びAr3が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(3)の合計含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、40モル%以上である。これにより、液晶ポリエステル層の水蒸気バリア性を高めることができる。この2,6−ナフチレン基の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
【0022】
また、液晶ポリエステル中、繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%、さらに好ましくは45〜65モル%であり、繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%であり、繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%である。このような所定の繰返し単位組成を有する液晶ポリエステルは、耐熱性と成形性とのバランスに優れている。なお、繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量とは、実質的に等しいことが好ましい。また、液晶ポリエステルは、必要に応じて繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有していてもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0023】
耐熱性や溶融張力が高い液晶ポリエステルの典型的な例は、全繰返し単位の合計量に対して、Ar1が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位を、好ましくは40〜74.8モル%、より好ましくは40〜64.5モル%、さらに好ましくは50〜58モル%有し、Ar2が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、Ar2が1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位を、好ましくは0.2〜15モル%、より好ましくは0.5〜12モル%、さらに好ましくは2〜10モル%有し、Ar3が1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、かつ、Ar2が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)の含有量が、Ar2が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)及びAr2が1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)の合計含有量に対して、好ましくは0.5モル倍以上、より好ましくは0.6モル倍以上のものである。
【0024】
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、繰返し単位(2)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジカルボン酸と、繰返し単位(3)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジオールとを、2,6−ナフチレン基を有するモノマーの合計量、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジオールの合計量が、全モノマーの合計量に対して、40モル%以上になるようにして、重合(重縮合)させることにより、製造することができる。その際、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールのそれぞれの一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体を用いてもよい。芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。
【0025】
また、液晶ポリエステルは、モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や溶融張力が高い液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
【0026】
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上、さらに好ましくは295℃以上であり、また、通常380℃以下、好ましくは350℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や溶融張力が向上し易いが、あまり高いと、溶融させるために高温を要し、成形時に熱劣化し易くなる。
【0027】
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において、4℃/分の昇温速度で液晶ポリエステルの加熱溶融体をノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48,000ポイズ)を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0028】
こうして得られる液晶ポリエステルは、水蒸気バリア性に優れており、厚さ50μmのフィルムにしたときの温度40℃及び相対湿度90%にて測定される水蒸気透過度が、通常0.1g/m2・24h以下、好ましくは0.05g/m2・24h以下、より好ましくは0.01g/m2・24h以下、さらに好ましくは0.005g/m2・24h以下となる。
【0029】
液晶ポリエステルには、必要に応じて他の成分を配合して、組成物としてもよい。他の成分の例としては、充填材、液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂及び添加剤が挙げられる。組成物全体に占める液晶ポリエステルの割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
【0030】
充填材の例としては、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、チタン酸カリウムウイスカー、アルミナウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、炭化けい素ウイスカ、窒化けい素ウイスカ等の金属又は非金属系ウイスカ類、ガラスビーズ、中空ガラス球、ガラス粉末、マイカ、タルク、クレー、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウム、ウォラスナイト、炭酸カルシウム(重質、軽質、膠質等)、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸ソーダ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、けい酸カルシウム、けい砂、けい石、石英、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄グラファイト、モリブデン、アスベスト、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、炭素繊維、カーボンブラック、ホワイトカーボン、けいそう土、ベントナイト、セリサイト、シラス及び黒鉛が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、ガラス繊維、マイカ、タルク及び炭素繊維が好ましく用いられる。
【0031】
充填材は、必要に応じて、表面処理されたものであってもよく、この表面処理剤の例としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等の反応性カップリング剤、及び高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の潤滑剤が挙げられる。
【0032】
充填材の配合量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
【0033】
液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。
【0034】
添加剤の例としては、フッ素樹脂、金属石鹸類等の離型改良剤、核剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、着色防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、潤滑剤及び難燃剤が挙げられる。
【0035】
こうして得られる液晶ポリエステル又はその組成物をフィルム化することにより、本発明の有機EL用基板の液晶ポリエステル層23となる液晶ポリエステルフィルムを得ることができる。フィルム化の方法としては、例えば、押出成形法、プレス成形法、溶液流延法及び射出成形法が挙げられ、押出成形法が好ましい。押出成形法としては、例えば、Tダイ法やインフレーション法が挙げられ、Tダイ法において、一軸延伸してもよいし、二軸延伸してもよい。
【0036】
一軸延伸フィルムの延伸倍率(ドラフト比)は、通常1.1〜40、好ましくは10〜40、より好ましくは15〜35である。二軸フィルムのMD方向(押出方向)の延伸倍率は、通常1.2〜40倍であり、二軸フィルムのTD方向(押出方向に垂直な方向)の延伸倍率は、通常1.2〜20倍である。インフレーションフィルムのMD方向の延伸倍率(ドローダウン比=バブル引取速度/樹脂吐出速度)は、通常1.5〜50、好ましくは5〜30であり、インフレーションフィルムのTDの延伸倍率(ブロー比=バブル径/環状スリット径)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜5である。
【0037】
液晶ポリエステル層23の厚さは、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは10〜250μmであり、さらに好ましくは15〜200μmである。あまり薄いと、強度が不十分になり、あまり厚いと、フレキシブル性が不十分になる。
【0038】
液晶ポリエステル層23は、水蒸気バリア性に優れており、温度40℃及び相対湿度90%にて測定される水蒸気透過度が、通常0.1g/m2・24h以下、好ましくは0.05g/m2・24h以下、より好ましくは0.01g/m2・24h以下、さらに好ましくは0.005g/m2・24h以下となる。
【0039】
液晶ポリエステル層23には、その少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層24が設けられてもよい。すなわち、液晶ポリエステル層23となる液晶ポリエステルフィルムは、その少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層24を設けて、積層フィルムとしてもよい。なお、図2の例では、液晶ポリエステル層23の裏側に、水蒸気バリア層24が設けられているが、液晶ポリエステル層23の表側に設けられてもよいし、液晶ポリエステル層23の表側と裏側とに設けられてもよい。
【0040】
水蒸気バリア層24を構成する物質としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の単体、酸化物、窒化物及び酸窒化物が好ましく、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0041】
水蒸気バリア層24の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等のCVD法、及びゾル−ゲル法、めっき法、塗布法等のウェット法が挙げられる。また、別途調製乃至入手した箔を、液晶ポリエステルフィルムに貼合してもよい。
【0042】
水蒸気バリア層24の厚さは、好ましくは5〜250nm、より好ましくは40〜100nmである。あまり薄いと、水蒸気バリア性が不十分になり、あまり厚いと、フレキシブル性が不十分になる。
【0043】
こうして構成される液晶ポリエステル層23と水蒸気バリア層24との積層体は、水蒸気バリア性に優れており、温度40℃及び相対湿度90%にて測定される水蒸気透過度が、通常0.005g/m2・24h以下、好ましくは0.001g/m2・24h以下、より好ましくは0.0005g/m2・24h以下、さらに好ましくは0.0001g/m2・24h以下となる。
【0044】
液晶ポリエステル層23の裏側には、白色顔料含有層26が設けられる。これにより、耐候性に優れる有機EL用基板2を得ることができる。なお、図2の例では、接着層25を介して、白色顔料含有層26が設けられているが、接着層25を介さずに、例えば熱融着により白色顔料含有層26が設けられてもよい。
【0045】
白色顔料含有層26に含まれる白色顔料としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3・Pb(OH)2(鉛白)等)、塩基性硫酸鉛(2PbSO4・Pb(OH)2等)、塩基性ケイ酸鉛(Pb2SiO4・Pb(OH)2等)、亜鉛華(ZnO(酸化亜鉛))、硫化亜鉛、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、三酸化アンチモン及び酸化チタンが好ましく、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0046】
白色顔料含有層26は、白色顔料を含む樹脂フィルムを用いて設けることが好ましく、この樹脂フィルムすなわち白色顔料含有層26に含まれる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルが好ましい。白色顔料含有層中の白色顔料の含有量は、白色顔料含有層の全量に対して、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%である。また、白色顔料含有層56の厚さは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜400μmである。
【0047】
液晶ポリエステル層23表側には、意匠性を付与するために、他の樹脂層、好ましくはポリオレフィン層21を設けてもよい。なお、図2の例では、接着層22を介して、ポリオレフィン層21が設けられているが、接着層22を介さずに、例えば熱融着によりポリオレフィン層21が設けられてもよい。
【0048】
ポリオレフィン層21を構成するポリオレフィンは、好ましくはポリエチレン、より好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、さらに好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。ポリオレフィン層21は、ポリオレフィンフィルムを用いて設けることが好ましく、意匠性を付与するためにポリオレフィン層21を設ける場合は、ポリオレフィンフィルムすなわちポリオレフィン層21に、所望の色の顔料や染料を含ませればよい。ポリオレフィン層21の厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。
【0049】
こうして得られる本発明の有機EL用基板は、図1示す如く、その上に、一対の電極4A,4Bが配置され、この一対の電極4A,4Bの間に、有機EL層5が配置される。図2に示すように、有機EL用基板2が、液晶ポリエステル層23の一方の面上のみに水蒸気バリア層24を有する場合、液晶ポリエステル層23の水蒸気バリア層24が配置された面とは反対側の面上に、一対の電極4A,4B及び有機EL層5を配置することが好ましい。
【0050】
なお、図1では、有機EL用基板2の上に、陰極4A、有機EL層5及び陽極4Bがこの順に配置されているが、有機EL用基板2の上に、陽極4B、有機EL層5及び陰極4Aがこの順に配置されていてもよい。また、図1では、有機EL層5が、発光層5bと、その陰極4A側に配置された電子輸送層5aと、その陽極4B側に配置された正孔輸送層5cとから構成されているが、発光層5b及び電子輸送層5aに代えて、両者の機能を備える発光層兼電子輸送層を有してもよいし、発行層5b及び正孔輸送層5cに代えて、両者の機能を備える発光層兼正孔輸送層を有してもよい。
【0051】
発光層5bの材料は、高分子型であってもよいし、低分子型であってもよい。また、陰極4A及び陽極4Bの材料は、それぞれ独立に、アルミニウム、銅等の金属であってもよいし、インジム錫オキシド、亜鉛錫オキシド等の金属酸化物であってもよいが、発光層5bから発せられる光を透すために、少なくとも一方に透明性が求められる。本発明の有機EL用基板2は、液晶ポリエステル層を有し、通常、透明性に劣るため、これを基板とする有機EL素子1は、発光層5bから有機EL用基板2とは反対側の方向に光が発せられるトップエミッションタイプであることが好ましい。そして、有機EL素子1がトップエミッションタイプの場合、発光層5bを基準に、有機EL用基板2とは反対側に配置される電極(図1では陽極4B)に透明性が求められ、その上に配置される封止層6にも、透明性が求められる。
【0052】
封止層6としては、水蒸気バリア性の点では、ガラス板が好ましいが、フレキシブル性の点では、樹脂フィルムが好ましい。封止材3としては、紫外線硬化型樹脂が好ましく用いられる。また、封止層6として、ガラス板や樹脂フィルムの如き板状部材を用いずに、紫外線硬化型樹脂の如き封止材で、一対の電極及び有機EL層を覆ってもよい。
【0053】
こうして得られる有機EL素子は、基板として、耐候性に優れる本発明の有機EL用基板を用いているので、例えば、反射光により裏側から長期間にわたり光照射を受けても、反り難く、剥がれたり、破れたりし難い。
【実施例】
【0054】
〔流動開始温度の測定〕
フローテスター((株)島津製作所製の「CFT−500型」)を用いて、試料約2gを、内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2)の荷重下において、昇温速度4℃/分で試料を溶融させながら押し出し、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定した。
【0055】
〔水蒸気バリア性の評価〕
JIS K7129 C法に準拠して、ガス透過率・透湿度測定装置(GTRテック(株)の「GTR−30X」)により、温度40℃、相対湿度90%の条件で、水蒸気透過度を測定した。
【0056】
〔耐候性の評価〕
促進耐光性試験機(スガ試験機(株)の「強エネルギーキセノンウェザーメーターSC700−WN」)を用いて、バックシートに次の条件でキセノン照射を行い、バックシートの外観を目視で観察した。
波長:275nm以上の連続光(フィルターにより短波長側をカット)
強度:160W/m2(ランプ出力)
温度:65℃(照射面と同位置のフラットパネル温度計により測定)
時間:60時間
【0057】
製造例1(1)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、ヒドロキノン272.52g(2.475モル:2,6−ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の合計量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸1226.87g(12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで15分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで10時間かけて昇温し、310℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルは、全繰り返し単位の合計量に対して、Ar1が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)を55モル%、Ar2が2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)を17.5モル%、Ar2が1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)を5モル%、及びAr3が1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)を22.5%有し、その流動開始温度は333℃であった。
【0058】
製造例2(1)
製造例1と同様の反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸911g(6.6モル)、イソフタル酸91g(0.55モル)、テレフタル酸274g(1.65モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル409g(2.2モル)、無水酢酸1235g(12.1モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで15分かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、1−メチルイミダゾール1.7gを添加した後、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、327℃であった。
【0059】
製造例1(2)
製造例1(1)で得られた液晶ポリエステルを、二軸押出機((株)池貝の「PCM−30」)で造粒し、ペレット状にした後、一軸押出機(スクリュー径50mm)に供給して溶融させ、Tダイ(リップ長さ300mm、リップクリアランス1mm、ダイ温度350℃)からフィルム状に押し出して冷却し、厚さ50μmの液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルフィルムの水蒸気透過度は、0.0030g/m2・24hであった。
【0060】
製造例2(2)
製造例2(1)で得られた液晶ポリエステルを、二軸押出機((株)池貝の「PCM−30」)で造粒し、ペレット状にした後、一軸押出機(スクリュー径50mm)に供給して溶融させ、Tダイ(リップ長さ300mm、リップクリアランス1mm、ダイ温度350℃)からフィルム状に押し出して冷却し、厚さ50μmの液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルフィルムの水蒸気透過度は、0.080g/m2・24hであった。
【0061】
製造例1(3)
製造例1(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムの片面に、ガスバリア層として厚さ20nmのアルミニウム酸化物薄膜を形成し、積層フィルムを得た。この積層フィルムの水蒸気透過度は、0.0001g/m2・24h未満(検出下限値未満)であった。
【0062】
製造例2(3)
製造例2(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムの片面に、ガスバリア層として厚さ20nmのアルミニウム酸化物薄膜を形成し、積層フィルムを得た。この積層フィルムの水蒸気透過度は、0.0020g/m2・24hであった。
【0063】
実施例1
厚さ250μmの白色PETフィルム(東レ(株)の「ルミラーE20」:酸化チタン含有)の片面に、ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株):主剤「タケラックA511」/硬化剤「A50」=10/1(質量比))を塗布し、製造例1(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムを貼り合わせ、積層フィルムを得た。次いで、この積層フィルムの液晶ポリエステルフィルム面に、ウレタン系接着剤(同上)を塗布し、厚さ50μmのLLDPEフィルムを貼り合わせ、積層フィルムを得た。得られたバックシートについて、白色PETフィルム側からキセノン照射することにより、耐候性を評価した結果、反り等の形状変化や破れは見られなかった。
【0064】
実施例2
厚さ250μmの白色PETフィルム(東レ(株)の「ルミラーE20」:酸化チタン含有)の片面に、ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株):主剤「タケラックA511」/硬化剤「A50」=10/1(質量比))を塗布し、製造例2(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムを貼り合わせ、積層フィルムを得た。次いで、この積層フィルムの液晶ポリエステルフィルム面に、ウレタン系接着剤(同上)を塗布し、厚さ50μmのLLDPEフィルムを貼り合わせ、バックシートを得た。得られた積層フィルムについて、白色PETフィルム側からキセノン照射することにより、耐候性を評価した結果、反り等の形状変化や破れは見られなかった。
【0065】
実施例3
厚さ250μmの白色PETフィルム(東レ(株)の「ルミラーE20」:酸化チタン含有)の片面に、ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株):主剤「タケラックA511」/硬化剤「A50」=10/1(質量比))を塗布し、製造例1(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムを貼り合わせ、積層フィルムを得た。次いで、この積層フィルムの液晶ポリエステルフィルム面に、ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株):主剤「タケラックA511」/硬化剤「A50」=10/1(質量比))を塗布し、製造例1(2)で得られた液晶ポリエステルフィルムを貼り合わせた。さらに、この積層フィルムの液晶ポリエステルフィルム面に、ウレタン系接着剤(同上)を塗布し、厚さ50μmのLLDPEフィルムを貼り合わせ、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、白色PETフィルム側からキセノン照射することにより、耐候性を評価した結果、反り等の形状変化や破れは見られなかった。
【符号の説明】
【0066】
1・・・有機EL素子、2・・・基板、3・・・封止材、4A・・・陰極、4B・・・陽極、5・・・有機EL層、5a・・・電子輸送層、5b・・・発光層、5c・・・正孔輸送層、6・・・封止層、21・・・ポリオレフィン層、22・・・接着層、23・・・液晶ポリエステル層、24・・・水蒸気バリア層、25・・・接着層、26・・・白色顔料含有層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステル層の裏側に、白色顔料含有層が設けられてなる有機EL用基板。
【請求項2】
前記液晶ポリエステル層が、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位とを有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、40モル%以上である液晶ポリエステルから構成される層である請求項1に記載の有機EL用基板。
−O−Ar1−CO− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−O−Ar3−O− (3)
(Ar1は、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【請求項3】
前記液晶ポリエステル層の温度40℃及び相対湿度90%にて測定される水蒸気透過度が、0.1g/m2・24h以下である請求項1又は2に記載の有機EL用基板。
【請求項4】
前記液晶ポリエステル層の厚さが、5〜500μmである請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL用基板。
【請求項5】
前記白色顔料含有層が、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン及び酸化チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の白色顔料を含む層である請求項1〜4のいずれかに記載の有機EL用基板。
【請求項6】
前記白色顔料含有層が、ポリエステルを含む層である請求項1〜5のいずれかに記載の有機EL用基板。
【請求項7】
前記液晶ポリエステル層の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の有機EL用基板。
【請求項8】
前記水蒸気バリア層が、アルミニウム、ケイ素、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の単体、前記元素の酸化物、前記元素の窒化物並びに前記元素の酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質から構成される層である請求項7に記載の有機EL用基板。
【請求項9】
前記水蒸気バリア層の厚さが、5〜250nmである請求項7又は8に記載の有機EL用基板。
【請求項10】
前記液晶ポリエステル層の表側に、ポリオレフィン層が設けられている請求項1〜9のいずれかに記載の有機EL用基板。
【請求項11】
前記ポリオレフィン層の厚さが、5〜200nmである請求項10に記載の有機EL用基板。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の有機EL用基板と、前記有機EL用基板上に配置された一対の電極と、前記一対の電極間に配置された有機EL層とを有する有機EL素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−169208(P2012−169208A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30912(P2011−30912)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】