説明

有機EL素子、その製造方法およびその用途

【課題】
化合物陰極を備えることにより量子効率および透明度が高く、しかも生産性に優れる有機EL化合物を提供すること。
【解決手段】
陽極層、発光性高分子化合物を含む有機EL化合物層、および陰極層をこの順序で積層してなる有機EL素子であって、
該陰極層が、
(i)該有機EL化合物層と接する、金属をドープした電子注入層、および
(ii)該金属をドープした電子注入層と接し、透明であり、非金属性である、電子を注入する材料
をさらに含んでなり、
該金属をドープした電子注入層が、正孔ブロック層として作用する材料、エキシトンブロック材料として作用する材料、および正孔とエキシトンの複合ブロック材料として作用する材料からなる群から選択される透明材料である
ことを特徴とする有機EL素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ITOのような、透明であり、非金属性である、電子を注入する陰極層、およびエキシトン(励起子)ブロック層および/または正孔ブロック層としても機能する、金属をドープした有機電子注入層を含んでなる陰極を用いる、効率が高くかつ透明性が高い有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子において発光を生じる機構は、典型的には、注入された電子と正孔との発光再結合に基づいている。具体的には、有機EL素子は、その陽極と陰極とを分離する少なくとも1種類の薄い有機層を含んでいる。この有機層に含まれる材料としては、正孔の注入および輸送を促進する材料の能力に基づいて選択される正孔輸送材料、電子の注入および輸送を促進する能力によって選択される電子輸送材料、および正孔あるいは/および電子の注入に伴い発光する発光材料が挙げられる。
【0003】
有機EL素子はこのような構造を有するので、陽極にかける電位が陰極にかける電位よりも正であるときには、この装置は順バイアスを有するダイオードとみることができる。これらのバイアス条件下では、陽極は正孔(正に帯電した担体)を正孔輸送層に注入し、陰極は電子を電子輸送層に注入する。したがって、陽極に隣接する発光媒体の部分は正孔注入および輸送ゾーンを形成し、陰極に隣接する発光媒体の部分は電子注入および輸送ゾーンを形成する。注入された正孔および電子は、それぞれ逆に帯電した電極方向に移動する。電子と正孔とが同一分子上に局在するときには、フレンケルエキシトンが形成される。この短命状態は、伝導電位から価電子帯へ降下(緩和)することができる電子を有するものと考えることができ、ある種の好ましい条件下では、緩和は光電放出機構によって起こる。薄層有機EL素子のこの典型的な動作機構の概念を採用すれば、有機EL化合物層は電極(陰極および陽極)からの移動電荷担体(電子および正孔)を受け取る発光領域を含んでなる。
【0004】
これらの有機EL素子の欠点の一つは、陰極の透明度であった。マグネシウム−銀(Mg-Ag)、カルシウムのような低仕事関数を有する金属層、あるいはLiF-AlまたはLiAlのよ
うな化合物電極を用いれば高い量子効率が得られるが、この金属層はスペクトルの可視領域では高反射性であり、かつ吸収性でもあるので、満足な透明度を得るのに十分な薄さにしなければならない。例えば、通常の透明有機EL素子では、透明なITOの厚い層を蒸着させて被覆した7.5〜10nmのMg-Ag層が用いられる。透過率が約70%の有機E
L素子を得ることができるが、化合物陰極からかなりの反射がある。さらに、カラー生成層の少なくとも1つが隣接するカラー生成有機EL素子の金属陰極間に含まれている積層有機EL素子では、マイクロキャビティー効果(microcavity effects)があり、カラー
チューニングの問題が生じる可能性がある(Z. Shen, P. E. Burrows, V. Bulovic, S. R. Forrest, and M. E. Thompson, Science 276, 2009 (1997))。このようなマイクロキ
ャビティー効果(microcavity effects)により、放射光線の望ましくない角度依存性を
生じることもある。さらに、薄いMg-Ag層は大気中で分解しやすく、したがって有機EL
素子の陰極としての機能の有効性を保存するように行うべき特殊なデザインと加工工程を必要とする。
【0005】
さらに高い透明度が求められる有機EL素子では、非金属陰極および有機界面層を含んでなる化合物陰極を用いることができる〔Parthasarathy, P. E. Burrows, V. Khalin. V. G. Kozlov, and S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett. 72, 2138 (1998) (「Parthasarathy I」)〕。Parthasarathy Iによって開示された、代表的なトリス-(8-ヒドロキシキノリ
ン)アルミニウム(以下「Alq3」ともいう。)を基材とする透明有機EL素子は、金属陰極層がないため、前方および後方散乱方向にほぼ同一レベルの光線を放射した。この非金属性の化合物陰極を用いて、少なくとも約85%の透光度を得た。しかしながら、このよ
うな陰極で作成した装置の量子効率は、装置の効率が約1%であるが透明度は約70%に過ぎないForrestらMg-Ag-ITO陰極を用いる有機EL素子(米国特許第5,703,43
6号明細書)と比較して、典型的には約0.1〜0.3%の範囲に減少する。したがって、非金属陰極は透明度を向上させるが、装置効率を減少させる。高透明性でしかも高効率の陰極が好ましい。
【0006】
金属をドープした有機層を、有機EL素子中で、金属陰極とエミッター層間の界面に電子を注入する層として用いて、有機EL素子の量子効率を増加させ得ることが知られている。リチウムをドープしたAlq3の層は、固有の電子担体として働くAlq3のラジカルアニオンを生成し、電子注入のバリヤー高さを低くし、かつリチウムをドープしたAlq3層の電子導電率を高くする(J. Kido and T. Matsumoto, Applied Physics Letters, v.73, n.20, 2866 (1998))。これにより、量子効率は向上するが、有機EL素子は透明で
はなかった。
【0007】
一方、α-ナフチルフェニルビフェニル(α-NPB)のような、エミッター層と接触している、リチウムをドープしたCuPc(銅フタロシアニン)の層と、導電層としてのITOの層とを含んでなる化合物陰極は、透明度を向上させ、量子効率を若干向上させるが、比較的不透明な金属陰極よりも効率は低い(L. S. Hung and C. W. Tang, Applied Physics Letters, v.74, n.21, 3209 (1999))。
【0008】
ITOおよびCuPcまたはリチウムをドープしたCuPcを用いる化合物陰極と同程度に透明でありながら、金属陰極程度の量子効率を有する化合物陰極を備えた有機EL素子として、特表2003−526188号公報(特許文献1)では、ITOの層と、リチウムをドープした2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(以下「BCP
」ともいう。)層とを含んでなる化合物陰極を備えた有機EL素子が具体的に開示されている。
【0009】
この有機EL素子は、可視スペクトル全体にわたって効率および透明度が高い点で優れているが、この文献で具体的に提案されている有機EL化合物層は、4,4-ビス[N-(l-ナフチル)-N- フェニル-アミノ]ビフェニル(以下「NPD」ともいう。)層とトリス-(8- ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)層とを積層した構造であるため、膜厚や積層数のコントロールが難しく生産性に劣るという問題があった。
【特許文献1】特表2003−526188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、化合物陰極を備えることにより量子効率および透明度が高いだけでなく、生産性にも優れる有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、本発明を完成させた。本発明は以下の〔1〕〜〔33〕に関する。
【0012】
〔1〕
陽極層、発光性高分子化合物を含む有機EL化合物層、および陰極層をこの順序で積層してなる有機EL素子であって、
該陰極層が、
(i)該有機EL化合物層と接する、金属をドープした電子注入層、および
(ii)該金属をドープした電子注入層と接し、透明であり、非金属性である、電子を注入する材料
をさらに含んでなり、
該金属をドープした電子注入層が、正孔ブロック層として作用する材料、エキシトンブロック材料として作用する材料、および正孔とエキシトンの複合ブロック材料として作用する材料からなる群から選択される透明材料である
ことを特徴とする有機EL素子。
【0013】
〔2〕
前記金属をドープした電子注入層がエキシトンブロック層としても作用することを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0014】
〔3〕
前記金属をドープした電子注入層が正孔ブロック層としても作用することを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0015】
〔4〕
前記金属をドープした電子注入層にはLi、SrおよびSmからなる群から選択される金属がドープされていることを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0016】
〔5〕
前記金属をドープした電子注入層にはLiがドープされていることを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0017】
〔6〕
前記金属をドープした電子注入層にはLiがドープされていることを特徴とする上記〔2〕に記載の有機EL素子。
【0018】
〔7〕
前記金属をドープした電子注入層が2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロ
リンを含んでなることを特徴とする上記〔1〕または〔5〕に記載の有機EL素子。
【0019】
〔8〕
前記金属をドープした電子注入層が、少なくとも1015/cm3の電子密度を与えるの
に十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0020】
〔9〕
前記金属をドープした電子注入層が、少なくとも1021/cm3の電子密度を与えるの
に十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0021】
〔10〕
前記金属をドープした電子注入層が、前記有機EL素子について少なくとも1%の総外部量子効率を与えるのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔1〕に記載の有機EL素子。
【0022】
〔11〕
前記有機EL化合物層が燐光発光性高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の有機EL素子。
【0023】
〔12〕
前記有機EL化合物層が発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の有機EL素子。
【0024】
〔13〕
前記有機EL化合物層が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の有機EL素子。
【0025】
〔14〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えた面発光光源。
【0026】
〔15〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えた表示装置用バックライト。
【0027】
〔16〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えた表示装置。
【0028】
〔17〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えた照明装置。
【0029】
〔18〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えたインテリア。
【0030】
〔19〕
上記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の有機EL素子を備えたエクステリア。
【0031】
〔20〕
基材上に陽極層、発光性高分子化合物を含む有機EL化合物層、透明な電子注入層、および透明な電子を注入する層を順に調製する工程を含み、
該透明な電子注入層が、正孔ブロック層として作用する材料、エキシトンブロック層として作用する材料、および正孔とエキシトンの複合ブロック層として作用する材料からなる群から選択される材料であり、
該調製が、該透明な電子注入層に金属をドープして、金属をドープした透明な電子注入層を形成する工程を含む
ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【0032】
〔21〕
前記透明な電子注入層を成膜する前に、前記有機電子輸送層上に前記金属の超薄層を蒸着することによって、前記透明な電子注入層に前記金属がドープされることを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0033】
〔22〕
前記透明な電子を注入する層を成膜する前に、前記透明な電子注入層上に前記金属の超薄層を蒸着することによって、前記透明な電子注入層に前記金属がドープされることを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0034】
〔23〕
前記電子を注入する層がITOを含んでなることを特徴とする上記〔20〕に記載の製
造方法。
【0035】
〔24〕
前記金属の超薄層の厚みが0.5〜1.0nmであることを特徴とする上記〔21〕に記載の製造方法。
【0036】
〔25〕
前記金属がLi、SrおよびSmからなる群から選択される金属を含んでなることを特徴とする上記〔21〕に記載の製造方法。
【0037】
〔26〕
前記金属がLiを含んでなることを特徴とする上記〔21〕に記載の製造方法。
【0038】
〔27〕
前記金属をドープした透明な電子注入層が2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナ
ントロリンを含んでなることを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0039】
〔28〕
前記金属をドープした透明な電子注入層が少なくとも1015/cm3の電子密度を与え
るのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0040】
〔29〕
前記金属をドープした透明な電子注入層が少なくとも1021/cm3の電子密度を与え
るのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0041】
〔30〕
前記金属をドープした透明な電子注入層が前記有機EL素子について少なくとも1%の総外部量子効率を与えるのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする上記〔20〕に記載の製造方法。
【0042】
〔31〕
前記有機EL化合物層が燐光発光性高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔0〕〜〔30〕のいずれかに記載の製造方法。
【0043】
〔32〕
前記有機EL化合物層が発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔20〕〜〔31〕のいずれかに記載の製造方法。
【0044】
〔33〕
前記有機EL化合物層が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔20〕〜〔32〕のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0045】
本発明の有機EL素子は、発光効率および透明度が高い。しかも、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物および発光性化合物の種類および比率を調整した有機EL化合物を塗布することによって有機EL化合物層を形成できるため、生産性にも優れており、この点は特に有機EL素子をパネル化する際に有利である。
【0046】
また本発明の有機EL素子の製造方法によれば、発光効率および透明度が高い有機EL化合物を優れた生産性で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に、本発明の有機EL素子、その製造方法およびその用途についてさらに詳細に説明する。
[有機EL素子およびその製造方法]
まず本発明の有機EL素子(以下「有機発光素子」ともいう。)の各構成要素について説明する。
【0048】
(1)陽極;
陽極は、ITOに代表される導電性かつ光透過性の層により形成される。当該陽極は、金属の酸化物、窒化物、セレン化物および硫化物からなる群より選ぶこともできる。また、光透過性の良好なITOの表面に、光透過性を損なわないように1〜3nmの薄い膜として、上記の金属を成膜したものを陽極として用いることもできる。これらの陽極材料表面への成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法、真空蒸着法などを用いることができる。陽極の厚さは2〜300nmが好ましい。
【0049】
(2)素子構成;
図1は、本発明の有機発光素子構成の一例を示す断面図であり、透明基板上に設けた陽極と陰極の間に正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次設けたものである。
また、本発明に用いられる有機発光素子の構成は図1の例に限定されず、陽極と陰極の間に順次、1)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層、2)陽極バッファー層/発光層/電子輸送層、3)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、5)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物を含む層、6)陽極バッファー層/発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、7)陽極バッファー層/正孔電子輸送性化合物、発光性化合物を含む層を設けた素子構成などを挙げることができる。
【0050】
また、図1に示した発光層は1層であるが、発光層を2層以上有していてもよい。さらに、陽極バッファー層を用いずに直接的に、正孔輸送性化合物を含む層が陽極の表面に接していてもかまわない。
【0051】
なお、本明細書中においては、特に断りのない限り、電子輸送性化合物、正孔輸送性化合物、発光性化合物の全てあるいは一種類以上からなる化合物を有機EL化合物、また層を有機EL化合物層と呼ぶこととする。
【0052】
(3)陽極表面処理;
また、陽極バッファー層、あるいは、正孔輸送性化合物を含む層の成膜時に陽極表面を前もって処理することによりオーバーコートされる層の性能(陽極基板との密着性、表面平滑性、正孔注入障壁の低減化など)を改善することができる。前もって処理する方法には高周波プラズマ処理を始めとしてスパッタリング処理、コロナ処理、UVオゾン照射処理、または酸素プラズマ処理などがある。
【0053】
(4)陽極バッファー層(バイトロンなどを使う場合);
陽極バッファー層をウェットプロセスにて塗布して作製する場合には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などを用いて成膜することが出来る。
【0054】
上記ウェットプロセスによる成膜で用い得る化合物は、陽極表面とその上層に含まれる有機EL化合物に良好な付着性を有した化合物であれば特に制限はないが、これまで一般に用いられてきた陽極バッファーを適用することがより好ましい。例えば、ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPEDOT、ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPANIなどの導電性ポリマーを挙げることができる。さらに、これら導電性ポリマーにトルエン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を添加して用いてもよい。また、界面活性剤などの第三成分を含む導電性ポリマーでもよい。前記界面活性剤としては、例えばアルキル基、アルキルアリール基、フルオロアルキル基、アルキルシロキサン基、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボキシレート、アミド、ベタイン構造、および第4級化アンモニウム基からなる群から選択される1種の基を含む界面活性剤が用いられるが、フッ化物ベースの非イオン性界面活性剤も用い得る。
【0055】
(5)有機EL化合物;
本発明の有機発光素子における有機EL化合物層、すなわち発光層、正孔輸送層、および電子輸送層に使用する化合物としては、高分子化合物が使用される。本発明においては、組成等を調整した高分子化合物を、たとえば塗布することによって有機EL化合物層が形成されるため、有機EL素子の生産性優れ、パネル化の際にも有利である。
【0056】
本発明の有機発光素子の発光層を形成する有機EL化合物としては、大森裕:応用物理、第70巻、第12号、1419−1425頁(2001年)に記載されている発光性低分子化合物および発光性高分子化合物などを例示することができる。この中でも、素子作製プロセスが簡素化されるという点で発光性高分子化合物が好ましく、発光効率が高い点で燐光発光性化合物が好ましい。したがって、特に燐光発光性高分子化合物がさらに好ましい。
【0057】
また、発光性高分子化合物は、共役発光性高分子化合物と非共役発光性高分子化合物とに分類することもできるが、中でも非共役発光性高分子化合物が好ましい。
上記の理由から、本発明で用いられる発光材料としては、燐光発光性非共役高分子化合物(前記燐光発光性高分子であり、かつ前記非共役発光性高分子化合物でもある発光材料)が特に好ましい。
【0058】
本発明に用いられる有機発光素子における有機EL化合物層は、好ましくは燐光を発光する燐光発光性単位とキャリアを輸送するキャリア輸送性単位とを一つの分子内に備えた、燐光発光性高分子を少なくとも一つ含む。前記燐光発光性高分子は、重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物を共重合することによって得られる。燐光発光性化合物はイリジウム、白金および金の中から一つ選ばれる金属元素を含む金属錯体であり、中でもイリジウム錯体が好ましい。
【0059】
前記重合性置換基を有する燐光発光性化合物としては、例えば下記式(E−1)〜(E−42)に示す金属錯体の一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。
【0060】
【化1】

【0061】
【化2】

【0062】
【化3】

【0063】
【化4】

【0064】
【化5】

【0065】
これらの燐光発光性化合物における重合性置換基としては、例えばビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基およびその誘導体、ビニルアミド基およびその誘導体などが挙げられ、中でもビニル基、メタクリレート基、スチリル基およびその誘導体が好ましい。これらの置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して金属錯体に結合していてもよい。
【0066】
前記重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物は、正孔輸送性および電子輸送性の内のいずれか一方または両方の機能を有する有機化合物における一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。このような化合物の代表的な例として、下記式(E−43)〜(E−60)に示した化合物を挙げることができる。
【0067】
【化6】

【0068】
【化7】

【0069】
なお、上記式(E−39)〜(E−42)において、Phはフェニル基を表す。
例示したこれらのキャリア輸送性化合物における重合性置換基はビニル基であるが、ビニル基をアクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基およびその誘導体、ビニルアミド基およびその誘導体などの重合性置換基で置換した化合物であってもよい。また、これらの重合性置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して結合していてもよい。
【0070】
重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。また、重合体の分子量は重量平均分子量で1,000〜2,000,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。ここでの分子量はGPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量である。
【0071】
前記燐光発光性高分子は、一つの燐光発光性化合物と一つのキャリア輸送性化合物、一つの燐光発光性化合物と二つ以上のキャリア輸送性化合物を共重合したものであってもよく、また二つ以上の燐光発光性化合物をキャリア輸送性化合物と共重合したものであってもよい。
【0072】
燐光発光性高分子におけるモノマーの配列は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれでもよく、燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数をm、キャリア輸送性化合物構造の繰り返し単位数をnとしたとき(m、nは1以上の整数)、全繰り返し単位数に対する燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は0.001〜0.5が好ましく、0.001〜0.2がより好ましい。
【0073】
燐光発光性高分子のさらに具体的な例と合成法は、例えば特開2003−342325号公報、特開2003−119179号公報、特開2003−113246号公報、特開2003−206320号公報、特開2003−147021号公報、特開2003−171391号公報、特開2004−346312号公報、特開2005−97589号公報に開示されている。
【0074】
本発明の有機発光素子における発光層は、好ましくは前記燐光発光性化合物を含む層であるが、発光層のキャリア輸送性を補う目的で正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物が含まれていてもよい。これらの目的で用いられる正孔輸送性化合物としては、例えば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)などの低分子トリフェニルアミン誘導体や、ポリビニルカルバゾール、前記トリフェニルアミン誘導体に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレンなどが挙げられ、また、電子輸送性化合物としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体などの低分子材料や、上記の低分子電子輸送性化合物に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどの既知の電子輸送性化合物が使用できる。
【0075】
(6)有機EL化合物層の形成法;
上記の有機EL化合物層は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などにより形成することが可能である。
【0076】
(7)陰極;
本発明に用いられる陰極は、ITOのような透明な非金属の電子を注入する陰極層と直接接触している金属をドープした有機電子注入層を含んでなり、金属をドープした有機電子注入層がエキシトンブロック層および/または正孔ブロック層としても機能する。金属をドープした有機電子注入層は、電気的陽性が高い金属の超薄層を層中に拡散することによって形成できる。
【0077】
この陰極においては、ITOのような電子注入陰極材料にすぐ隣接している有機電子注入層中に拡散させることができる、リチウムのような電気的陽性な金属の超薄層の使用に特徴がある。超薄層は、厚みが約0.5〜1.0nmの程度に過ぎない層を表す。電気的陽性な金属は電子注入層の中に容易に拡散できるので、電気的陽性な金属を電子注入層のいずれかの側または両側に蒸着してもよい。
【0078】
例えば、基材、陽極、有機EL化合物層を調製した後、電気的陽性な金属を超薄金属層として有機EL化合物層に直接蒸着させることができる。続いて、この超薄金属層に電子注入層が成膜され、次に、電子を注入するITO層が、この有機電子注入層に成膜される。
【0079】
あるいは、有機電子注入層を有機EL化合物層に成膜した後、電気的陽性な金属の層を有機電子注入層に蒸着させることができる。この場合、続いて電子を注入するITO層が電気的陽性な金属の層に成膜される。
【0080】
特許文献1によれば、それぞれの場合に、電気的陽性な金属が電子注入層中に拡散して、高度にドープした電子注入層が生成し、電気的陽性な金属によって自由電子が電子注入層に供与されると考えられる。電気的陽性な金属は、電子を容易に失い又は供与する金属、例えば、周期律表の1、2および3族の元素またはランタニド族の元素が挙げられ、好ましくは、例えば、Li、SrおよびSmが挙げられ、最も好ましくはLiが挙げられる。
【0081】
超薄金属層の厚みは約0.5〜10nmに限定されているので、電気的陽性な金属は実質的にすべて電子注入層に拡散し、そのような拡散の後には、超薄金属層は、もはや電子を注入する層の表面にはないと考えられる。したがって、陰極は単独の金属層を含まないので、電子を注入するITO層および電子注入層を両方とも含んでなる陰極の全体は、非金属性であるといえる。ITO層に含まれる金属元素であるインジウムおよびスズは、それぞれ化学的に結合した酸化物の形態で存在しており、一方リチウムのような電気的陽性な金属は、電子注入層中に拡散しているので、金属形態では存在しない。
【0082】
電気的陽性な金属が電子注入層中へ拡散することにより、有機EL素子への電子注入を促進する、高縮重的にドープした層を作成することができると考えられる。さらに具体的には、電気的陽性な材料が電子を有機電子注入層に供与し、それによって電子注入層の導電率を、バンド結合が生じてこの層への電荷の注入が促進される値まで増加させると考えられる。導電率が増加すると、電子注入層にドープした電気的陽性な金属を含まない従来の装置と比較して、 電子注入層へ電子を注入するためのバリヤーが減少する。電子注入
バリヤーが減少すると、金属をドープした電子注入層を含む有機EL素子の操作電圧が減少する。
【0083】
リチウムをBCP層にドープする、本発明に用いられる陰極の代表的態様では、電気的陽性なリチウム金属のBCP層中への拡散によって高縮重金属をドープしたBCP層が生成すると考えられる。しかしながら、完全に縮重するのに十分なほどはドープしていない高ドープ金属層も、本発明の範囲内および精神で機能することができると考えられる。電子注入層へ拡散する金属原子のどの部分が層の測定可能な又は電荷を有する電子密度に寄与することができるかは正確には知られていないかもしれないが、この層の金属原子密度は、それぞれの金属原子が電子注入層中の分子に対してただ1個の電荷を有する電子を提供するという仮定に基づいて、理論的に予想される電子密度を生成するのに十分なように選択することができる。例えば、この仮定に基づいて、この層中の金属原子密度を、電子密度が1015/cm3〜1022/cm3となるように選択することができる。したがって、本発明による金属ドープ層は、少なくとも1015/cm3の金属原子密度を有し、好まし
くは少なくとも1021/cm3の金属原子密度を有する。
【0084】
あるいは、電子注入層の金属原子密度は、厚い金属陰極を用いる有機EL素子の効率より大きな総外部量子効率を達成し、しかも透明度がより大きくなるように調製することができる。さらに具体的には、電子注入層の金属原子密度は、有機EL素子の総外部量子効率が少なくとも1%となるように選択することができる。
【0085】
本発明に用いられる陰極のさらなる特徴は、エキシトンブロックおよび/または正孔ブロック材料を電気的陽性な金属にドープした有機電子注入層として使用することである。金属をドープした有機電子注入層がエキシトンブロック層として機能させ得る材料を選択することによって、金属をドープした有機電子注入層はエキシトンのこの層への拡散をブロックする働きをし、したがって放射層内のさらに多くのエキシトンが有機EL素子の効率に寄与するようになる。有機EL素子においてエキシトンブロック層として用いられる材料は、有機EL化合物層で生成するエキシトンエネルギーよりも大きな、基底状態におけるエキシトンでの電子と正孔との間のエネルギー差として定義されるエキシトンエネルギーを有する材料として定義することができる。基底状態のエキシトンにおける近傍の電子と正孔との間のクーロン力により、有機材料のエキシトンエネルギーは、典型的には材料の最低非占有分子軌道(LUMO)と最高被占分子軌道(HOMO)とのエネルギー差より若干小さい。
【0086】
金属をドープした有機電子注入層が正孔ブロック層として機能することを可能にする材料を選択することによって、金属をドープした有機電子注入層は正孔の層中への拡散をブロックする働きをして、一層多くのエキシトンを放射層内に生成させ、有機EL素子の効率を高めるのに寄与するようにする。したがって、金属をドープした有機電子注入層は、エキシトンブロック層として、正孔ブロック層として、またはエキシトンブロック層および正孔ブロック層の両方として機能することができる。
【0087】
電子注入層も電荷担体、特に電子を伝導する機能を有するので、電子注入材料のイオン化電位(IP)およびバンドギャップは、隣接発光性化合物層への効率的な電荷担体流を提供する。これらの材料の要件および特徴は、1998年9月14日出願の米国特許出願第09/153,144号明細書、および1999年5月13日出願の米国特許第09/311,126号明細書に記載されている。
【0088】
本発明に用いられる陰極の、さらに具体的な製造例や性能については、特許文献1を参照することができる。
(8)封止;
陰極作製後、該有機発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該有機発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板、金属などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0089】
(9)基板種類;
本発明に係る有機EL素子の基板としては、発光性化合物の発光波長に対して透明な絶
縁性基板、例えば、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートを始めとする透明プラスチック、シリコン基板などの既知の材料が使用できる。
【0090】
[用途]
本発明の有機EL素子は、たとえば面発光光源、表示装置用バックライト、表示装置、照明装置、インテリア、エクステリアなどに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の有機EL素子の一実施態様の断面図である。
【図2】電子を注入する材料6aおよび金属をドープした電子注入層6bを含んでなる化合物陰極を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1 透明基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極
6a 電子を注入する材料
6b 金属をドープした電子注入層
10 有機EL素子の、陰極以外の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極層、発光性高分子化合物を含む有機EL化合物層、および陰極層をこの順序で積層してなる有機EL素子であって、
該陰極層が、
(i)該有機EL化合物層と接する、金属をドープした電子注入層、および
(ii)該金属をドープした電子注入層と接し、透明であり、非金属性である、電子を注入する材料
をさらに含んでなり、
該金属をドープした電子注入層が、正孔ブロック層として作用する材料、エキシトンブロック材料として作用する材料、および正孔とエキシトンの複合ブロック材料として作用する材料からなる群から選択される透明材料である
ことを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記金属をドープした電子注入層がエキシトンブロック層としても作用することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記金属をドープした電子注入層が正孔ブロック層としても作用することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項4】
前記金属をドープした電子注入層にはLi、SrおよびSmからなる群から選択される金属がドープされていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記金属をドープした電子注入層にはLiがドープされていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項6】
前記金属をドープした電子注入層にはLiがドープされていることを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子。
【請求項7】
前記金属をドープした電子注入層が2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロ
リンを含んでなることを特徴とする請求項1または5に記載の有機EL素子。
【請求項8】
前記金属をドープした電子注入層が、少なくとも1015/cm3の電子密度を与えるの
に十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項9】
前記金属をドープした電子注入層が、少なくとも1021/cm3の電子密度を与えるの
に十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項10】
前記金属をドープした電子注入層が、前記有機EL素子について少なくとも1%の総外部量子効率を与えるのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項11】
前記有機EL化合物層が燐光発光性高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項12】
前記有機EL化合物層が発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項13】
前記有機EL化合物層が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えた面発光光源。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えた表示装置用バックライト。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えた表示装置。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えた照明装置。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えたインテリア。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれかに記載の有機EL素子を備えたエクステリア。
【請求項20】
基材上に陽極層、発光性高分子化合物を含む有機EL化合物層、透明な電子注入層、および透明な電子を注入する層を順に調製する工程を含み、
該透明な電子注入層が、正孔ブロック層として作用する材料、エキシトンブロック層として作用する材料、および正孔とエキシトンの複合ブロック層として作用する材料からなる群から選択される材料であり、
該調製が、該透明な電子注入層に金属をドープして、金属をドープした透明な電子注入層を形成する工程を含む
ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項21】
前記透明な電子注入層を成膜する前に、前記有機電子輸送層上に前記金属の超薄層を蒸着することによって、前記透明な電子注入層に前記金属がドープされることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記透明な電子を注入する層を成膜する前に、前記透明な電子注入層上に前記金属の超薄層を蒸着することによって、前記透明な電子注入層に前記金属がドープされることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記電子を注入する層がITOを含んでなることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項24】
前記金属の超薄層の厚みが0.5〜1.0nmであることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項25】
前記金属がLi、SrおよびSmからなる群から選択される金属を含んでなることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項26】
前記金属がLiを含んでなることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項27】
前記金属をドープした透明な電子注入層が2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナ
ントロリンを含んでなることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項28】
前記金属をドープした透明な電子注入層が少なくとも1015/cm3の電子密度を与え
るのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項29】
前記金属をドープした透明な電子注入層が少なくとも1021/cm3の電子密度を与え
るのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項30】
前記金属をドープした透明な電子注入層が前記有機EL素子について少なくとも1%の総外部量子効率を与えるのに十分な金属原子密度を有することを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項31】
前記有機EL化合物層が燐光発光性高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項20〜30のいずれかに記載の製造方法。
【請求項32】
前記有機EL化合物層が発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項20〜30のいずれかに記載の製造方法。
【請求項33】
前記有機EL化合物層が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項20〜32のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−59783(P2007−59783A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245779(P2005−245779)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】