説明

有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法

【課題】適切なガンマ補正を行うことが可能な有機EL表示装置を実現すること。
【解決手段】複数の有機EL素子を具備する発光部1と、有機EL素子に対応する標準的なガンマ補正データから成る標準ガンマテーブルを記憶保持する記憶部6と、色調調整データおよび/または階調調整データが入力され、入力された色調調整データおよび/または階調調整データに基づいて標準ガンマテーブルを調整し、この調整された被調整ガンマテーブルを出力するテーブル出力部15と、テーブル出力部によって出力された被調整ガンマテーブルに基づいて有機EL素子に対応する画像データをガンマ補正する駆動IC5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置および有機EL表示装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイルコンピューティングが盛んになるにつれて、平面型の表示装置に対する需要が増加している。平面型の表示装置としては、従来、液晶表示装置が一般に用いられている。しかしながら、液晶表示装置には、視野角が狭い、応答特性が悪いといった問題点が存在していた。
【0003】
これに対して、視野角が広く、しかも応答特性がよい平面型の画像表示装置として、近年、有機EL素子を用いた画像表示装置(以下「有機EL表示装置」という)が注目されている。有機EL素子は、発光層に注入された正孔と電子とが発光再結合することによって自らが発光する機能を有しているため、液晶表示装置では必要とされるバックライトが不要となり、装置の薄型化に最適であるとともに、視野角にも制限がない。このため、液晶表示装置に替わる次世代の表示装置として実用化が期待され、また、一部の用途ではすでに実用化されている。
【0004】
ところで、画像表示装置では、表示パネル上の各画素に入力される入力画像信号と表示パネル上の当該各画素における輝度との関係を示すガンマ特性が、表示パネルごとに異なるというのが一般的であるため、入力画像信号と発光輝度との関係を、表示パネル固有のガンマ特性に合致させるためのガンマ補正を行う必要があった。
【0005】
ここで、液晶表示装置におけるガンマ補正技術を開示した文献として、例えば下記に示す特許文献1などがある。この特許文献1では、液晶表示装置の用途の多様化に伴い、例えば表示パネルが車載用として使用される場合を想定し、広い温度範囲で良好な画像表示を可能とするために、液晶表示装置に具備するようにしたガンマ補正回路が、使用周囲温度に依存して変化する表示パネルのガンマ特性を検出温度に基づいて補正する技術が開示されている。なお、この文献の段落「0024」には、「ガンマ補正が必要な表示装置(例えば有機EL表示装置)にも適用することが可能である」旨の記述がなされているが、具体的な構成や手段等は明らかにされていない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−3413598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のガンマ補正に関し、例えば液晶表示装置では、アナログ信号にてガンマ補正を行うアナログ方式が使用されることが多い。その理由は、主として、つぎの2点が挙げられる。まず、液晶表示装置の場合には、ガンマ特性の傾きの変化が大きく、中間調においては低階調および高階調に比べて高精度の制御が必要とされるが、この処理を効率的に実現するには、非直線性の特性を有するDA(ディジタル・アナログ)コンバータを使用するのが有効となるからである。また、液晶表示装置では、RGBの各色を表示する画素として同一画素の使用が可能であり、RGBの各画素への入力画像信号として同一のガンマ特性を使用することができので、アナログ方式を使用したとしても、回路規模の増大を抑制することができるからである。このような理由で、液晶表示装置には、一般的にアナログ方式が用いられることが多い。
【0008】
一方、有機EL表示装置では、RGBの各色を表示する画素として異なる画素が使用されるので、RGBの各画素に用いられる発光素子には色ごとに特性の差異が存在する。また、有機EL表示装置では、製造ロットが異なると、製造ばらつきによって、表示パネルの製造ロットごとに特性の差異が存在する。さらに、これらの差異は、発光素子を制御する駆動トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)の特性の優劣とも相まって増大する。このように、有機EL表示装置の各画素におけるガンマ特性の差異は、液晶表示装置のそれとは大きく異なる。したがって、有機EL表示装置において、RGBごとのグラデーションを確保しつつ良好な表示制御を行うためには、液晶表示装置におけるガンマ補正技術をそのまま適用することは困難であり、有機EL表示装置に固有なガンマ補正技術を検討する必要があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、適切なガンマ補正を実行可能とする有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる有機EL表示装置は、複数の有機EL素子を具備する表示部と、前記有機EL素子に対応する標準的なガンマ補正データから成る第1ガンマテーブルを記憶保持する第1記憶部と、色調調整データおよび/または階調調整データが入力され、該入力される色調調整データおよび/または階調調整データに基づいて前記第1ガンマテーブルを調整し、該調整された第2ガンマテーブルを出力するテーブル出力部と、前記テーブル出力部によって出力された前記第2ガンマテーブルに基づいて前記有機EL素子に対応する画像データをガンマ補正する駆動部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置は、上記の発明において、前記テーブル出力部によって出力された前記第2ガンマテーブルを記憶保持する第2の記憶部を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置は、上記の発明において、前記第2の記憶部は、前記第2ガンマテーブルが記憶保持される前の初期設定の状態では、前記第1ガンマテーブルが記憶保持されていることを特徴とする。
【0013】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置は、上記の発明において、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う前の画像データのビット数をn(nは自然数)、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正された画像データのビット数をm(mは自然数)とすると、m>nの関係を満足することを特徴とする。
【0014】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置は、上記の発明において、表示部が配置される基板と、前記テーブル出力部及び/または前記入力部が配置される外部基板と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置の駆動方法は、複数の有機EL素子を有する有機EL表示装置に駆動方法において、前記有機EL素子に対応する標準的なガンマ補正データからなる第1ガンマテーブルを準備するステップと、前記第1ガンマテーブルを、入力される色調調整データおよび/または階調調整データに基づいて調整し、前記第2ガンマテーブルを出力するステップと、前記第2ガンマテーブルに基づいて前記有機EL素子の画像データをガンマ補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置の駆動方法は、上記の発明において、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う前の画像データのビット数をn(nは自然数)、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正された画像データのビット数をm(mは自然数)とすると、m>nの関係を満足することを特徴とする。
【0017】
また、つぎの発明にかかる有機EL表示装置の駆動方法は、上記の発明において、前記色調調整データおよび/または階調調整データは外部よりユーザによって入力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1ガンマテーブルを、入力される色調および/または階調に関する調整データに基づいて調整し、調整された第2ガンマテーブルを出力するようにしたことから、表示パネルの製造ロットごとの特性の差異や発光素子を制御する駆動トランジスタの特性の優劣の影響、あるいは、ユーザ側の好みの色調や階調(硬調または軟調)で表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明にかかる有機EL表示装置の好適な実施の形態および有機EL表示装置の駆動方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、携帯情報端末などの表示部に適用される本発明の好適な実施の形態にかかる有機EL表示装置の概略構成を示す図であり、この有機EL表示装置を正面から視認したときの主要構成部の概略配置を図示している。
【0021】
図1に示す有機EL表示装置は、マトリックス状に配置される複数の画素から成る発光部1(表示部)を有し、ガラス等を組成とする素子基板2と、ガラス等を組成とし、発光部1の表面を覆うように素子基板2に対向して設けられた封止基板3と、素子基板2と封止基板3との間に配置され、発光部1を取り囲み、素子基板2と封止基板3とを接合(接着)するためのシール材である封止材4と、を備えた構成を有している。
【0022】
素子基板2は、その上面の発光部1を構成する各画素内に、画像表示信号に基づいて発光する有機EL素子(通常、RGBの有機EL素子が存在する)を有している。さらに、素子基板2の上面のうち、発光部1以外の領域には、有機EL素子を駆動するための駆動IC5と、発光部1を構成する有機EL素子の特性等を考慮して決定されるガンマテーブル(以下「標準ガンマテーブル」という)を記憶保持する、例えばEEPROMである記憶部(第1の記憶部)6と、この標準ガンマテーブル(第1ガンマテーブル)に対して、後述する被調整ガンマテーブル(第2ガンマテーブル)を記憶保持する例えばSRAMである記憶部(第2の記憶部)7と、が備えられている。
【0023】
また、有機EL表示装置の本体側には、外部より色調調整データ及び/または階調調整データが入力される入力部11と、該入力部11に入力された色調調整データ及び/または階調調整データに基づいて標準ガンマテーブルを変換して被調整ガンマテーブルを出力するテーブル出力部15を有する制御IC10と、が基板9に搭載され、この本体側の基板9と表示部側の素子基板2との間には、FPC(Flexible Print Circuitboard)8が接続されている。なお、本体側の制御IC10と表示部側の駆動IC5や記憶部6,7との間の所要の通信は、このFPC8を通じて行われ、制御IC10は、全体の制御も行っている。また、入力部11としては、ボタンやスイッチ、色調調整データや階調調整データが記憶されたメモリーカード等の記憶媒体が接続されるアダプタ等の構成が考えられ、かかる構成によって色調調整データや階調調整データが入力される。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる標準ガンマテーブルの変換処理過程を示す図であり、より詳細には、標準ガンマテーブル(第1ガンマテーブル)、被調整ガンマテーブル(第2ガンマテーブル)および被調整ガンマテーブルによってガンマ補正された画像データ(以下「被調整画像データ」という)を、図1に示した記憶部(EEPROM)6、制御IC10、記憶部(SRAM)7および駆動IC5の各構成部間の入出力に関係づけて示した図である。図2に示すように、記憶部6には標準ガンマテーブルが記憶される。また、制御IC10にはテーブル出力部15が設けられる。また、記憶部7には、被調整ガンマテーブルがルックアップテーブル(LUT)として記憶される。なお、ルックアップテーブルは、駆動IC5の中に保存されていてもよい。
【0025】
つぎに、標準ガンマテーブル、被調整ガンマテーブルおよび被調整画像データが生成出力される処理の流れについて図2および図3を参照して説明する。ここで、図3は、標準ガンマテーブルから被調整ガンマテーブルが生成される概念を示す図である。図3の上段部には、記憶部6に保持される標準ガンマテーブルの一例を色(赤・緑・青)ごとに示している。一方、同図の下段部には、被調整ガンマテーブルの一例(赤色の場合)を、階調/色調別に示している。また、上段部及び下段部に示された各テーブルの横軸は画像入力データであり、縦軸は画像出力データ(画像入力データがガンマテーブルによって補正された結果を示す画像データ)である。
【0026】
(1)まず、標準ガンマテーブルが保持された記憶部6より標準ガンマテーブルが制御IC10に読み込まれる。また、制御IC10には外部より所望の色調/階調調整データが入力される。色調調整データは、1階調上昇させた場合の発光輝度の上昇度合い(以下、「輝度勾配」という。)を表すデータである。各色の有機EL素子の輝度勾配を個々に変動させることで、各色の出力が調整され、色調を変化させることができる。階調調整データは、輝度勾配の変化の度合いを表すデータであり、表示画像の硬調あるいは軟調の度合いを決定するものである。階調調整データが硬調側にシフトされると、高階調レベルにおいて輝度勾配が大きくなり、低階調レベルにおいて輝度勾配が小さくなる。一方、階調調整データが軟調側にシフトされると、高階調レベルにおいて輝度勾配が小さくなり、低階調レベルにおいて輝度勾配が大きくなる。
(2)つぎに、制御IC10のテーブル出力部15は、入力された色調/階調調整データに基づいて標準ガンマテーブルを調整することにより、被調整ガンマテーブル(図3の下段部参照)を作成し、これを被調整ガンマテーブルとして記憶部7に伝送する。
(3)そして、制御IC10から伝送された被調整ガンマテーブルは、ルックアップテーブルとして記憶部7に保持される。このようにして、記憶部7に被調整ガンマテーブルがルックアップテーブルという形で保持された状態下において、例えば6ビットの画像データが記憶部7に入力された場合には、ルックアップテーブルに基づいて、入力された6ビットの画像データから例えば8ビットの画像データが駆動IC5に出力される。そして、駆動IC5に出力された画像データに基づいて、各画素内の有機EL素子が所望のレベルで発光することになる。
【0027】
なお、上記の処理の中で、ルックアップテーブルによって補正される前の画像データ(画像入力データ)はルックアップテーブルによって6ビットから8ビットに変換されたが、画像入力データおよび画像出力データが共に6ビットであってもよい。すなわち、画像入力レベルがn(nは自然数)ビットで、画像出力レベルがm(m≧n)ビットであればよい。ただし、画像入力レベルよりも画像出力レベルが大きい方がルックアップテーブルによって細かな補正が行なえるため、本実施形態のように画像入力データよりも画像出力データのビット数を多くする方が好ましい。
【0028】
また、上記の処理では、記憶部7のルックアップテーブルに保持されるガンマテーブルは、制御IC10から伝送された被調整ガンマテーブルであるように説明したが、ルックアップテーブルには予め標準ガンマテーブルを入力しておくことが好ましい。このような処理とすれば、テーブル出力部15に対して色調調整データおよび階調調整データが入力されず、標準ガンマテーブルの調整処理を行う必要がない場合、すなわち初期設定の状態で使用する場合には、本体側の制御IC10から被調整ガンマテーブルに関する情報を伝送する必要はなく、初期設定の状態で使用する旨の制御情報のみを伝送するだけでよい。
【0029】
また、図2の構成では、色調および/または階調に対する調整処理を行うテーブル出力部15の機能を本体側の基板9に配置される制御IC10内に設けるようにしているが、この処理機能を表示部側の駆動IC5内に設けることも可能である。ただし、色調および/または階調に対する調整処理は、例えばユーザの好みの画面に変更する場合や、視認性の向上のために昼夜間で画面を切り替えて使用する場合など、本体装置側から主導的に行われる場合が多い。したがって、本実施の形態のように、テーブル出力部15の機能を表示部が形成された素子基板2以外の領域(例えば、FPC8や基板9等の外部基板)に設けることが好ましい。また、同様の理由により入力部11についても、素子基板2側ではなく、FPC8や基板9等の外部基板に設けることが好ましい。なお、このように構成すれば、表示部の製造者と本体側の製造者とが異なった場合であっても、両者間の機能の切り分けや信号授受が容易になる。
【0030】
つぎに、画像データに関して色調および階調の調整を行う処理について図3を参照して説明する。
【0031】
ここで、色調および階調の調整処理は、例えば次式を用いて行なわれる。
fr=αr×α0r×(dr/63)γ×γ0r (γ:0.5〜2.0、αr:0.5〜2.0) …(1)
fg=αg×α0g×(dg/63)γ×γ0g (γ:0.5〜2.0、αg:0.5〜2.0) …(2)
fb=αb×α0b×(db/63)γ×γ0b (γ:0.5〜2.0、αb:0.5〜2.0) …(3)
【0032】
なお、上記、(1)〜(3)式における記号の意味はつぎのとおりである。
dr,dg,db:画像入力信号(RGB)の各入力値(6ビット)
fr,fg,fb:画像出力信号(RGB)の各出力値(8ビット)
γ:RGBの各色共通のγ値
γ0r,γ0g,γ0b:標準ガンマテーブルにおけるγ値
αr,αg,αb:RGBごとに定められる色調調整係数
α0r,α0g,α0b:標準ガンマテーブルにおける色調係数
【0033】
上記の各式において、γ=1の場合は、階調に関して補正を行なわず、標準ガンマテーブルを用いるという意味である。γ>1の場合は、γが大きいほど階調が硬調側にシフトし、γ<1の場合はγが小さいほど軟調側にシフトする。γの値を各色共通の値としている理由は、階調を軟調化あるいは硬調化させても、ホワイトバランスを良好に維持するためであるが、この点を問題視しないのであれば、各色個別に値を設定するようにしてもよい。
【0034】
また、色調調整係数は、1よりも値が大きいと、標準ガンマテーブルよりも輝度勾配が大きくなり、当該色が強調され、1よりも値が小さいと標準ガンマテーブルよりも輝度勾配が小さくなり、当該色が弱調される。従って、αr=αg=αb=1の場合は、色調に関して補正を行なわず、標準ガンマテーブルを用いるという意味になる。また、例えばαrをαgやαbよりも大きくすると全体として赤が強調された色となる。なお、γ0r,γ0g,γ0bは、ディスプレイによって異なるが、2.0〜2.5に設定されることが多い。
【0035】
図3の下段部左側に示す階調にかかる特性は、同図の上段部左側に示した赤色の標準ガンマテーブルの階調を、軟調(K1:γ×γ0≒1)から段階的に硬調側(K2,K3:γ×γ0>1)に調整した場合の一例を示している。また、同図の下段部右側に示す色調にかかる特性は、同図の上段部左側に示した赤色の標準ガンマテーブルの色調を、標準(M1:αr=1)から弱調側(M2,M3:αr<1)に調整した場合の一例を示している。
【0036】
なお、上記では、赤色の階調および色調にかかる被調整ガンマテーブルについて説明したが、緑色および青色についても、同様な被調整ガンマテーブルが生成される。また、これらの被調整ガンマテーブルは、表示部側の記憶部7に伝送され、ルックアップテーブルとして保持されることは前述のとおりである。
【0037】
以上説明したように、この実施の形態によれば、有機EL素子を具備する複数の画素を発光駆動する際の初期値として使用する標準ガンマテーブルを、入力される色調および/または階調調整データに基づいて調整し、被調整ガンマテーブルを作成する。そして被調整ガンマテーブルをルックアップテーブルとして記憶保持し、このルックアップテーブルの出力に基づいて複数の各画素を発光駆動するようにしている。従って、表示パネルの製造ロットごとの特性の差異や発光素子を制御する駆動トランジスタの特性の優劣の影響が抑制され、RGBごとのグラデーションを確保しつつ良好な表示制御が可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる標準ガンマテーブルの変換処理過程を示す図である。実施の形態1との差異は、標準ガンマテーブルの変換処理によって生成された被調整ガンマテーブルを記憶部7に予め保持しておく点にある。なお、各処理部の構成や変換処理過程等については、実施の形態1と同一または同等であり、それらにかかる説明は省略する。
【0039】
図4には、記憶部7に予め保持しておくルックアップテーブルとして、例えば、標準γ、色温度高、色温度低、γ=2.0、γ=1.0、γ=0.8、・・・・等の典型的な被調整ガンマテーブルが準備されている。このように、典型的な被調整ガンマテーブルをルックアップテーブルに予め保持しておくことにより、例えば画面表示変更の要求がなされた場合であっても、テーブル出力部15から記憶部7に対して被調整ガンマテーブルを伝送することなく、ルックアップテーブルの選択信号(LUT選択信号)のみで所望の被調整画像データを駆動IC5に出力することができ、画面表示変更の要求を瞬時に反映させることが可能となる。
【0040】
なお、典型的な被調整ガンマテーブルが保持される領域とは別に、テーブル出力部15から伝送される被調整ガンマテーブルを保持するための領域を確保するようにすれば、記憶部7に予め保持された典型的な被調整ガンマテーブル以外の画面表示への設定変更も可能となる。
【0041】
また、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、種々の変更や改良が可能である。例えば、上述の実施形態において、入力部11を省略し、入力部11より入力される色調調整データまたは階調調整データを、予め記憶部6や記憶部7、その他の記憶手段によって記憶保持させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明にかかる有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法は、有機EL表示装置に固有なガンマ補正技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかる有機EL表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる標準ガンマテーブルの変換処理過程を示す図である。
【図3】標準ガンマテーブルから被調整ガンマテーブルが生成される概念を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる標準ガンマテーブルの変換処理過程を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 発光部
2 素子基板
3 封止基板
4 封止材
5 駆動IC
6,7 記憶部
8 FPC
9 基板
10 制御IC
11 入力部
15 テーブル出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の有機EL素子を具備する表示部と、
前記有機EL素子に対応する標準的なガンマ補正データから成る第1ガンマテーブルを記憶保持する第1記憶部と、
色調調整データおよび/または階調調整データが入力され、該入力される色調調整データおよび/または階調調整データに基づいて前記第1ガンマテーブルを調整し、該調整された第2ガンマテーブルを出力するテーブル出力部と、
前記テーブル出力部によって出力された前記第2ガンマテーブルに基づいて前記有機EL素子に対応する画像データをガンマ補正する駆動部と、
を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL表示装置において、
前記色調調整データおよび/または階調調整データが入力される入力部を更に備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置において、
前記テーブル出力部によって出力された前記第2ガンマテーブルを記憶保持する第2の記憶部を更に備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の有機EL表示装置において、
前記第2の記憶部は、前記第2ガンマテーブルが記憶保持される前の初期設定の状態では、前記第1ガンマテーブルが記憶保持されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の有機EL表示装置において、
前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う前の画像データのビット数をn(nは自然数)、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正された画像データのビット数をm(mは自然数)とすると、m>nの関係を満足することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の有機EL表示装置において、
前記表示部が配置される基板と、前記テーブル出力部及び/または前記入力部が配置される外部基板と、を備えたことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
複数の有機EL素子を有する有機EL表示装置に駆動方法において、
前記有機EL素子に対応する標準的なガンマ補正データからなる第1ガンマテーブルを準備するステップと、
前記第1ガンマテーブルを、入力される色調調整データおよび/または階調調整データに基づいて調整し、前記第2ガンマテーブルを出力するステップと、
前記第2ガンマテーブルに基づいて前記有機EL素子の画像データをガンマ補正するステップと、
を含むことを特徴とする有機EL表示装置における有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項7に記載の有機EL表示装置の駆動方法において、
前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う前の画像データのビット数をn(nは自然数)、前記第2ガンマテーブルに基づいてガンマ補正された画像データのビット数をm(mは自然数)とすると、m>nの関係を満足することを特徴とする有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の有機EL表示装置の駆動方法において、
前記色調調整データおよび/または階調調整データは外部よりユーザによって入力されることを特徴とする有機EL表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−274198(P2007−274198A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95768(P2006−95768)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】