説明

有機EL装置

【課題】内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30(14,16,18)と、有機EL層30(14,16,18)上に配置された特性分離層22と、特性分離層22上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える有機EL装置2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置に関し、特に、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光素子として有機EL(EL:Electroluminescence)素子を用いた表示装置や照明装置が実用化に向けて開発が進められている。このような有機EL素子は、一般的には、ガラス基板、透明プラスチックフィルムなどの透明支持基板上に陽極である透明電極と、有機層と、陰極である金属電極を順に積層して作製される。
【0003】
透明電極と金属電極との間に印加された電圧により、陰極から供給された電子と、陽極から供給された正孔とが有機層内で再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際にEL発光する。EL発光した光は、透明電極を透過し、透明支持基板の側から外部に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/010634号
【特許文献2】特開2009−9861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような有機EL素子においては、有機層で生じた光を外部に十分に取り出すことができないという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された光学特性調整層と、前記光学特性調整層上に配置された第2電極層とを備える有機EL装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された光学特性調整層と、前記光学特性調整層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された第2電極層とを備える有機EL装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された第2電極層と、前記第2電極層上に配置された高屈折率散乱層とを備える有機EL装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図2】比較例に係る有機EL装置において、キャリア注入バランスの動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図3】比較例に係る有機EL装置において、光取り出し効率の動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図4】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、キャリア注入バランスの動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図5】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、光取り出し効率の動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図6】第1の実施の形態に係る有機EL装置の動作方法を説明する模式的断面構造図であって、(a)アノード電極層とカソード電極層間に電圧を印加する例、(b)アノード電極層と特性分離層間に電圧を印加する例、(c)アノード電極層とカソード電極層と短絡された特性分離層間に電圧を印加する例。
【図7】第2の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図8】第3の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図9】第3の実施の形態の変形例に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図10】第4の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図11】第4の実施の形態に係る有機EL装置において、光学特性調整層24の模式的平面パターン構成図であって、(a)円形パターン例、(b)正方形パターン例、(c)三角形を基調とする円形パターン例、(d)長方形パターン例。
【図12】(a)第4の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図、(b)第4の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図13】(a)第4の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図、(b)第4の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図14】第5の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図15】第6の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図16】第7の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図17】第8の実施の形態に係る有機EL装置であって、(a)模式的断面構造図、(b)粒径分布とグレインサイズとの関係の模式図、(c)多結晶性有機材料層内におけるグレインの様子を示す模式図。
【図18】第9の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図19】第10の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図20】第11の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図21】第12の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図22】第13の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図23】第14の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図24】第15の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図25】第16の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図26】第17の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図27】第18の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図28】第19の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図29】第20の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図30】第21の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図31】第22の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図32】第23の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図33】第24の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図34】第25の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図35】第26の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図36】第27の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図37】第28の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図38】第28の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図39】第28の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図40】1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン(DPB)の化学構造式。
【図41】2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)の化学構造式。
【図42】2,5−ビス(4−ビフェニルイル)チオフェン(BP1T)の化学構造式。
【図43】p−クオターフェニル(p−4P)の化学構造式。
【図44】ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(NTDA)の化学構造式。
【図45】第29の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図46】第29の実施の形態に係る有機EL装置において、高屈折率散乱層34の模式的平面パターン構成図であって、(a)円形パターン例、(b)正方形パターン例、(c)三角形を基調とする円形パターン例、(d)長方形パターン例。
【図47】(a)第29の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図、(b)第29の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図48】(a)第29の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図、(b)第29の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図49】第30の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図50】第31の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図51】第32の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図52】第33の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図53】第34の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図54】第35の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図55】第35の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図56】第35の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図57】第35の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第7の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
又、以下に示す第1〜第7の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[第1の実施の形態]
(有機EL装置)
第1の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図1に示すように表される。また、比較例に係る有機EL装置において、キャリア注入バランスの動作原理を説明する模式的断面構造は、図2に示すように表され、比較例に係る有機EL装置において、光取り出し効率の動作原理を説明する模式的断面構造は、図3に示すように表される。
【0015】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、図1に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された特性分離層22と、特性分離層22上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える。
【0016】
一方、比較例に係る有機EL装置は、図2に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。
【0017】
一般的に、発光効率は、[キャリア注入バランス]×[励起子生成効率]×[励起子の輻射再結合確率]×[光取り出し効率]で表される。
【0018】
キャリア注入バランスは、図2に示すように、カソード電極層20から注入される電子(e)とアノード電極層12から注入される正孔(h)がバランス良く発光層16内において電子−正孔対を生成する確率で表される。カソード電極層20から注入される電子(e)が、直接アノード電極層12まで到達するなど、発光層16内において電子−正孔対を生成しない場合には、発光ロスになる。
【0019】
励起子生成効率は、発光層16内で有効に励起子を生成する確率で表される。発光層16内で有効に励起子が生成されず、再結合しない場合には、発光ロスになる。
【0020】
キャリア注入バランスおよび励起子生成効率は、有機EL層各層内の電子移動度・正孔移動度などの電気的特性、および膜厚によって決定される。
【0021】
励起子の輻射再結合確率は、材料に依存する値である。
【0022】
光取り出し効率は、図3に示すように、発光層16で発光した光が直接光、若しくはカソード電極層20と電子輸送層18の界面での反射光として、アノード電極層12・基板10を透過して、外部に出射される確率で表される。発光層16で発光した光がカソード電極層20と電子輸送層18の界面での反射光との光学干渉によって、出射光が打ち消されると発光ロスになる。
【0023】
光取り出し効率は、有機EL層各層内の屈折率などの光学的特性、および膜厚によって決定される。
【0024】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、キャリア注入バランスの動作原理を説明する模式的断面構造は、図4に示すように表される。また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、光取り出し効率の動作原理を説明する模式的断面構造は、図5に示すように表される。
【0025】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図4に示すように、特性分離層22を備えることによって、特性分離層22よりも下部の有機EL層30内のキャリアバランスや励起子生成効率を一定に保つことができる。例えば、光学特性調整層24の膜厚を変更しても有機EL層30内のキャリアバランスはほとんど変化しない。すなわち、特性分離層22よりも下部の有機EL層30内の各層を膜厚調整することで、キャリアバランスと励起子生成効率を最適化することができ、結果として、内部量子効率を最大化することができる。
【0026】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図5に示すように、光学特性調整層24を備えることによって、光学特性調整層24の膜質や膜厚を調整することによって、光学的特性を調整して、光取り出し効率を向上することができる。すなわち、光学特性調整層24の膜厚を調整することによって、光学干渉の最適化を図ることができ、結果として、光取り出し効率の最大化することができる。このとき、上述の通り、光学特性調整層24の膜厚を変更しても、有機EL層30内のキャリアバランスは維持されている。
【0027】
以上により、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、内部量子効率と光取り出し効率のそれぞれの調整が独立して行えるため、最終的な外部量子効率の最大化を容易に図ることができる。
【0028】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22と光学特性調整層24を備え、特性分離層22よりも下部の有機EL層30内のキャリアバランスや励起子生成効率を一定に保ちつつ、光学特性調整層24の膜質や膜厚を調整することによって、光学的特性を調整が独立に実行可能であるため、最終的な外部量子効率の最大化が容易となる。
【0029】
第1の実施の形態に係る有機EL装置の動作方法を説明する模式的断面構造であって、アノード電極層12とカソード電極層20間に電圧を印加する例は、図6(a)に示すように表され、アノード電極層12と特性分離層22間に電圧を印加する例は、図6(b)に示すように表され、アノード電極層12と、カソード電極層20と短絡された特性分離層22間に電圧を印加する例は、図6(c)に示すように表される。
【0030】
第1の実施の形態に係る有機EL装置の電極端子の取り出し方法においては、図6(a)に示すように、アノード電極層12とカソード電極層20からそれぞれ主電極を取り出しても良い。また、図6(b)に示すように、アノード電極層12と特性分離層22からそれぞれ主電極を取り出しても良い。また、図6(c)に示すように、アノード電極層12と、カソード電極層20と短絡された特性分離層22からそれぞれ主電極を取り出しても良い。
【0031】
基板10は、光を透過する透明基板として、例えば、ガラス基板やガスバリア膜付プラスチックフィルムなどを適用することができる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度である。また、基板10には、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0032】
第1電極層12は、厚さが、例えば、約50nm〜500nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。また、第1電極層12は、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンースズ酸化物)、或いはPEDOTT−PSSで形成することもできる。また、Agなど金属の薄膜による半透明電極でも良い。
【0033】
有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0034】
正孔輸送層14は、第1電極層12から注入された正孔を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル−1−)N−フェニル−アミノ]−ビフェニルなどで形成することができる。
【0035】
発光層16は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、ドーパントとして、ルブレンや、遷移金属原子を含む錯体がドーピングされたアルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0036】
電子輸送層は、第2電極層20から注入された電子を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、アルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0037】
なお、有機EL層30は、上記、正孔輸送層、電子輸送層以外の層、例えば、正孔注入層、電子注入層等を用いて構成しても良い。
【0038】
光学特性調整層24は、電子輸送層や正孔輸送層に使用されるような可視光領域で透明な有機材料で形成することができる。すなわち、光学特性調整層24は、電子輸送性材料層や正孔輸送性材料層で形成することができる。
【0039】
光学特性調整層24は、有機EL層30と同等以上の屈折率を有することが望ましい。また、光学特性調整層24には、SiO2、SiNなどの無機化合物が含まれていても良い。また、光学特性調整層24には、ZnS、ZnO、TiO2、ITO、IZO、AlOなどの金属化合物が含まれていても良い。
【0040】
特性分離層22は、電荷発生層若しくは透明電極層で形成することができる。ここで、電荷発生層としては、例えば、HAT−CNなど、透明電極層としては、例えば、ITO、IZOなどの金属酸化物、若しくはAl、Ag、Cs、Li、Ca、Mg,Znなどの金属による半透過状態の導電性薄膜層などを適用可能である。
【0041】
また、光学特性調整層24は、正孔輸送性材料層または電子輸送性材料を含んでいても良い。
【0042】
また、特性分離層22は、電荷発生層、透明電極層、或いは導電性薄膜層で形成されていても良い。
【0043】
また、光学特性調整層24は、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を有していても良い。
【0044】
光学特性調整層24に正孔輸送性材料層を適用する場合には、特性分離層22は、電荷発生層であることが望ましい。
【0045】
また、光学特性調整層24に電子輸送性材料層を適用する場合には、特性分離層22は、透明電極層、或いは導電薄膜層であることが望ましい。
【0046】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、光学特性調整層24には、金属がドープされていても良い。ドープされる金属としては、例えば、Al、Ag、Mg、Ca、Li、Cs、Ni、Pd、Pt、Zn、Auなどを適用可能である。
【0047】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、光学特性調整層24には、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされていても良い。電荷移動錯体の例としては、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体などを適用可能である。
【0048】
上記において、特性分離層22を電荷発生層で形成する場合、電荷発生層の厚さは、例えば、約0.1nm〜100nm程度である。また、このような電荷発生層のLUMOは、絶対値として4.0eV以上であることが望ましい。
【0049】
また、上記において、光学特性調整層24のHOMOは、絶対値として6.0eV以下であることが望ましい。
【0050】
また、光学特性調整層24のHOMOと電荷発生層のLUMOのエネルギー準位差は、1eV以下であることが望ましい。
【0051】
第2電極層20は、材質が、例えば、Al、Agなどの高反射率を有する金属膜で形成することができる。なお、後述するトップエミッション構成の場合には、第1電極層12と同様の透明電極で構成する。
【0052】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、図1に示すように、基板10が発光面を有する透明基板で形成され、第2電極層20が金属層で形成されたボトムエミッション構成を備えている。
【0053】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、基板10が透明基板で形成され、第1電極層12および第2電極層20が透明電極で形成されたトップエミッションおよびボトムエミッション構成を備えていても良い。
【0054】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、基板10が不透明基板で形成され、第1電極層12が金属層で形成され、第2電極層20は透明電極で形成されたトップエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、シリコン基板やステンレス基板で形成され、第1電極層12は、例えば、アルミニウム蒸着膜で形成され、第2電極層20は、例えば、ITOで形成されていても良い。
【0055】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、波長域380nm〜780nmのうち少なくとも一部の波長域において、光学特性調整層24を形成する材料のバルクの屈折率が、基板10、有機EL層30、第1電極層12、もしくは第2電極層20のいずれかの屈折率よりも高くなされていても良い。尚、この点は、以下の第2〜第27の実施の形態に係る有機EL装置2においても同様である。
【0056】
第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、特性分離層を備えることによって、特性分離層よりも下部の有機EL層内のキャリアバランスや励起子生成効率を一定に保つことができる。すなわち、特性分離層よりも下部の有機EL層内の各層を膜厚調整することで、キャリアバランスと励起子生成効率を最適化することができ、結果として、内部量子効率を最大化することができる。
【0057】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、光学特性調整層を備えることによって、光学特性調整層の膜質や膜厚を調整することによって、光学的特性を調整して、光取り出し効率を向上することができる。すなわち、光学特性調整層の膜厚を調整することによって、光学干渉の最適化を図ることができ、結果として、光取り出し効率の最大化することができる。
【0058】
以上により、第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、内部量子効率と光取り出し効率のそれぞれの調整が独立して行えるため、最終的な外部量子効率の最大化を容易に図ることができる。
【0059】
第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、特性分離層と光学特性調整層を備え、特性分離層よりも下部の有機EL層内のキャリアバランスや励起子生成効率を一定に保ちつつ、光学特性調整層の膜質や膜厚を調整することによって、光学的特性を調整が独立に実行可能であるため、最終的な外部量子効率の最大化が容易となる。
【0060】
第1の実施の形態によれば、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、図7に示すように、光学特性調整層24の代わりに、多結晶性有機材料層26を備える。多結晶性有機材料層26は、可視光領域で透明であり、かつ光散乱特性を有する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0062】
第2の実施の形態によれば、通常では全反射によって有機EL層内に閉じ込められていた光も、多結晶性有機材料層の散乱を利用して基板外部に取り出すことができるため、光取り出し効率の更なる向上を図ることができる。
【0063】
第2の実施の形態によれば、多結晶性有機材料層を適用することによって、光散乱特性が増大し、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0064】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図8に示すように、光学特性調整層24と第2電極層20との界面は、ランダムな凹凸面を有する。光学特性調整層24と第2電極層20との界面にランダムな凹凸面を有することによって、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を向上することができる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0065】
第3の実施の形態の変形例に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図9に示すように、光学特性調整層24と第2電極層20との界面は、ランダムな凹凸面を有すると共に、第2電極層20は、部分的に特性分離層22と接している。特性分離層22は、電荷発生層若しくは透明電極層で形成することができるため、第2電極層20と部分的に短絡されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0066】
第3の実施の形態の変形例によれば、第2電極層20と特性分離層22を短絡することで第2電極側からキャリアを注入する際、光学特性調整層24を介さずに特性分離層22に直接キャリア注入できるため、駆動電圧を低く抑えることができる。
【0067】
また、光学特性調整層24として多結晶化する材料などを用い、光学特性調整層24の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0068】
第3の実施の形態およびその変形例によれば、光学特性調整層と第2電極層との界面に、ランダムな凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0069】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図10に示すように表される。また、第4の実施の形態に係る有機EL装置2において、光学特性調整層24の模式的平面パターン構成あって、円形パターン例は、図11(a)に示すように表され、正方形パターン例は、図11(b)に示すように表され、三角形を基調とする円形パターン例は、図11(c)に示すように表され、長方形パターン例は、図11(d)に示すように表される。
【0070】
第4の実施の形態に係る有機EL装置2は、図10に示すように、光学特性調整層24が所定のパターン構造でパターニングされ、かつ第2電極層20は、部分的に特性分離層22と接している。また、パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有する。所定のパターン構造でパターニングされた光学特性調整層24を有するため、光学特性調整層24と第2電極層20との界面は、規則的な凹凸面を有すると共に、第2電極層20は、部分的に特性分離層22と接している。特性分離層22は、電荷発生層若しくは透明電極層で形成することができるため、第2電極層20と部分的に短絡されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0071】
図10に示す光学特性調整層24の段差は、例えば、約0.1μm〜10μm程度である。また、このような凹凸パターンピッチは、例えば、約0.1μm〜500μm程度である。
【0072】
図11(a)〜図11(d)に示す光学特性調整層24のパターン構造は、例えば、メタルマスクを用いて形成可能である。
【0073】
第4の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図12(a)に示すように、光学特性調整層24が長方形の断面構造を備える。また、変形例2に係る有機EL装置2は、光学特性調整層24が台形の断面構造を備える。また、変形例3に係る有機EL装置2は、光学特性調整層24が三角形の断面構造を備える。また、変形例4に係る有機EL装置2は、光学特性調整層24が半円形の断面構造を備える。変形例1〜4に係る有機EL装置2は、所定の規則的な断面構造の光学特性調整層24を有するため、光学特性調整層24と第2電極層20との界面は、規則的な凹凸面を有すると共に、第2電極層20は、部分的に特性分離層22と接している。特性分離層22は、電荷発生層若しくは透明電極層で形成することができるため、第2電極層20と部分的に短絡されていても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0074】
第4の実施の形態に係る有機EL装置2は、図10に示すように、パターニングされた光学特性調整層24を備えることによって、結果として、第2電極層20に凹凸形状を付与することができる。その結果、有機EL層30内や基板10内に閉じ込められた光が、乱反射されて基板外部の出るようになり、外部発光効率を向上することができる。
【0075】
第4の実施の形態およびその変形例1〜4によれば、光学特性調整層と第2電極層との界面に、規則的な凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0076】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係る有機EL装置2は、図14に示すように、図10に示される第4の実施の形態において、光学特性調整層24の代わりに、パターンニングされた多結晶性有機材料層26を備える。多結晶性有機材料層26は、可視光領域で透明であり、かつ光散乱特性を有する。その他の構成は、第4の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0077】
第5の実施の形態によれば、パターンニングされた多結晶性有機材料層を適用することによって、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0078】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図15に示すように、光学特性調整層24が波型構造を備え、凹部28を有する第2電極層20が部分的に特性分離層22と接している。光学特性調整層24として、有機EL層30のガラス転移点Tよりも低いガラス転移点Tjを有する有機材料を適用することによって、図15に示す構造を形成可能である。すなわち、第2電極層20を形成後、光学特性調整層24のガラス転移点Tjよりも高く、有機EL層30のガラス転移点Tよりも低い温度で加熱することによって、光学特性調整層24を柔軟化することができ、かつ第2電極層20に線形膨張係数の高い材料を用いれば、応力によって第2電極層20は歪むため、図15に示す構造が形成可能である。ここで、有機EL層30のガラス転移点Tは、例えば、約80℃である。
【0079】
尚、図15においては、光学特性調整層24が規則的な波型構造を有する例が示されているが、このような構成に限定されるものではなく、光学特性調整層24と第2電極層20の界面はランダムな凹凸構造としても形成可能である。
【0080】
第6の実施の形態によれば、光学特性調整層と第2電極層との界面に、凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0081】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態に係る有機EL装置2は、図16に示すように、光学特性調整層24aを、図1に示す第1の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0082】
第7の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0083】
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態に係る有機EL装置2は、図17(a)に示すように、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備える。粒径分布とグレインサイズdとの関係は、模式的に図17(b)に示すように表され、例えば、グレインサイズd=Dにおいて、粒径分布はピーク値Pを示す。また、多結晶性有機材料層26a内におけるグレインGの様子は、図17(c)に示すように模式的に表される。グレインGのグレインサイズdは、例えば、D/10〜10Dの範囲に分布している。
【0084】
第8の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備えることから、正面方向の光(従来の外部射出光)に対しての散乱効果は小さく、水平に近い伝播光(薄膜モード)に対しての散乱効果を増大することができる。多結晶性有機材料層26aの厚さは、駆動電圧を低減する上で、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0085】
さらに、第8の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、金属がドープされていても良い。ドープされる金属としては、例えば、Al、Ag、Mg、Ca、Li、Cs、Ni、Pd、Pt、Zn、Auなどを適用可能である。
【0086】
また、第8の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされていても良い。電荷移動錯体の例としては、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体などを適用可能である。
【0087】
第8の実施の形態に係る有機EL装置2においては、多結晶性有機材料層26aに、金属若しく電荷移動錯体を形成し得る材料をドープすることによって、駆動電圧を低減することができる。
【0088】
[第9の実施の形態]
第9の実施の形態に係る有機EL装置2は、図18に示すように、光学特性調整層24aを、図8に示す第3の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0089】
第9の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0090】
[第10の実施の形態]
第10の実施の形態に係る有機EL装置2は、図19に示すように、図1に示す第1の実施の形態において、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、光学特性調整層24および特性分離層22を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、光学特性調整層24および特性分離層22を有機EL層30の下側に配置している。
【0091】
より具体的には、第10の実施の形態に係る有機EL装置2は、図19に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された特性分離層22と、特性分離層22上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0092】
光学特性調整層24などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0093】
したがって、第10の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる光学特性調整層24をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0094】
第10の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第2電極層20と特性分離層22からそれぞれ主電極を取り出しても良い。第2電極層20と、第1電極層12に短絡された特性分離層22からそれぞれ主電極を取り出しても良い。尚、このような電極取り出し方法については、以下の第11〜第27の実施の形態に係る有機EL装置2においても同様である。
【0095】
[第11の実施の形態]
第11の実施の形態に係る有機EL装置2は、図20に示すように、光学特性調整層24aを、図19に示す第10の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0096】
第11の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0097】
[第12の実施の形態]
第12の実施の形態に係る有機EL装置2は、図21に示すように、図7に示す第2の実施の形態において、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、多結晶性有機材料層26および特性分離層22を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26で形成され、多結晶性有機材料層26および特性分離層22を有機EL層30の下側に配置している。
【0098】
より具体的には、第12の実施の形態に係る有機EL装置2は、図21に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された多結晶性有機材料層26と、多結晶性有機材料層26上に配置された特性分離層22と、特性分離層22上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0099】
多結晶性有機材料層26などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0100】
したがって、第12の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる多結晶性有機材料層26をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0101】
[第13の実施の形態]
第13の実施の形態に係る有機EL装置2は、図22に示すように、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備える。粒径分布とグレインサイズdとの関係は、模式的に図17(b)と同様に表され、例えば、グレインサイズd=Dにおいて、粒径分布はピーク値Pを示す。また、多結晶性有機材料層26a内におけるグレインGの様子は、図17(c)と同様に模式的に表される。グレインGのグレインサイズdは、例えば、D/10〜10Dの範囲に分布している。
【0102】
第13の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備えることから、正面方向の光(従来の外部射出光)に対しての散乱効果は小さく、水平に近い伝播光(薄膜モード)に対しての散乱効果を増大することができる。多結晶性有機材料層26aの厚さは、駆動電圧を低減する上で、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0103】
さらに、第13実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、金属がドープされていても良い。ドープされる金属としては、例えば、Al、Ag、Mg、Ca、Li、Cs、Ni、Pd、Pt、Zn、Auなどを適用可能である。
【0104】
また、第13の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされていても良い。電荷移動錯体の例としては、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体などを適用可能である。
【0105】
第13の実施の形態に係る有機EL装置2においては、多結晶性有機材料層26aに、金属若しく電荷移動錯体を形成し得る材料をドープすることによって、駆動電圧をさらに低減することができる。
【0106】
また、第13の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる多結晶性有機材料層26aをITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0107】
[第14の実施の形態]
第14の実施の形態に係る有機EL装置2は、図23に示すように、図8に示す第3の実施の形態において、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、光学特性調整層24および特性分離層22を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、光学特性調整層24および特性分離層22を有機EL層30の下側に配置している。
【0108】
より具体的には、第14の実施の形態に係る有機EL装置2は、図23に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された特性分離層22と、特性分離層22上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0109】
第14の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図23に示すように、光学特性調整層24と特性分離層22との界面は、ランダムな凹凸面を有する。光学特性調整層24と特性分離層22との界面にランダムな凹凸面を有することによって、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を向上することができる。
【0110】
また、第14の実施の形態に係る有機EL装置2において、図示は省略するが、光学特性調整層24と第1電極層12との界面にランダムな凹凸面を有していても良い。
【0111】
また、光学特性調整層24として多結晶化する材料などを用い、光学特性調整層24の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0112】
第14の実施の形態によれば、光学特性調整層と特性分離層との界面に、ランダムな凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0113】
光学特性調整層24などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0114】
したがって、第14の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる光学特性調整層24をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0115】
[第15の実施の形態]
第15の実施の形態に係る有機EL装置2は、図24に示すように、光学特性調整層24aを、図23に示す第14の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0116】
第15の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0117】
[第16の実施の形態]
第16の実施の形態に係る有機EL装置2は、図25に示すように、図1に示す第1の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第16の実施の形態に係る有機EL装置2は、図25に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24は、電子輸送層で形成される。
【0118】
第16の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0119】
[第17の実施の形態]
第17の実施の形態に係る有機EL装置2は、図26に示すように、図7に示す第2の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第17の実施の形態に係る有機EL装置2は、図26に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された多結晶性有機材料層26と、多結晶性有機材料層26上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、多結晶性有機材料層26は、電子輸送層で形成される。
【0120】
第17の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0121】
[第18の実施の形態]
第18の実施の形態に係る有機EL装置2は、図27に示すように、図8に示す第3の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第18の実施の形態に係る有機EL装置2は、図27に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24は、電子輸送層で形成される。
【0122】
第18の実施の形態に係る有機EL装置2は、図27に示すように、光学特性調整層24と第2電極層20との界面に、ランダムな凹凸面を有する。光学特性調整層24と第2電極層20との界面にランダムな凹凸面を有することによって、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を向上することができる。
【0123】
また、第18の実施の形態に係る有機EL装置2は、光学特性調整層24として多結晶化する材料などを用い、光学特性調整層24の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0124】
第18の実施の形態によれば、光学特性調整層と第2電極層との界面に、ランダムな凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0125】
第18の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0126】
[第19の実施の形態]
第19の実施の形態に係る有機EL装置2は、図28に示すように、図16に示す第7の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第19の実施の形態に係る有機EL装置2は、図28に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された光学特性調整層24aと、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24aは、電子輸送層で形成される。
【0127】
第18の実施の形態に係る有機EL装置2は、図18に示すように、光学特性調整層24aを、図25に示す第16の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0128】
第19の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0129】
第19の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0130】
[第20の実施の形態]
第20の実施の形態に係る有機EL装置2は、図29に示すように、図18に示す第9の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第20の実施の形態に係る有機EL装置2は、図29に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された光学特性調整層24aと、光学特性調整層24上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24aは、電子輸送層で形成される。
【0131】
第20の実施の形態に係る有機EL装置2は、図29に示すように、光学特性調整層24aを、図25に示す第16の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0132】
第20の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0133】
第20の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0134】
第20の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図29に示すように、光学特性調整層24aと第2電極層20との界面は、ランダムな凹凸面を有する。光学特性調整層24aと第2電極層20との界面にランダムな凹凸面を有することによって、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を向上することができる。
【0135】
また、光学特性調整層24aとして多結晶化する材料などを用い、光学特性調整層24aの形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0136】
第20の実施の形態によれば、光学特性調整層と第2電極層との界面に、ランダムな凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0137】
[第21の実施の形態]
第21の実施の形態に係る有機EL装置2は、図30に示すように、図17に示す第8の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第21の実施の形態に係る有機EL装置2は、図30に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された多結晶性有機材料層26aと、多結晶性有機材料層26a上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、多結晶性有機材料層26aは、電子輸送層で形成される。
【0138】
第21の実施の形態に係る有機EL装置2は、図30に示すように、多結晶性有機材料層26aを、図26に示す第17の実施の形態の多結晶性有機材料層26に比べ、薄層化した構成を備える。
【0139】
第21の実施の形態に係る有機EL装置2は、図30に示すように、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備える。粒径分布とグレインサイズdとの関係は、模式的に図17(b)と同様に表され、例えば、グレインサイズd=Dにおいて、粒径分布はピーク値Pを示す。また、多結晶性有機材料層26a内におけるグレインGの様子は、図17(c)と同様に模式的に表される。グレインGのグレインサイズdは、例えば、D/10〜10Dの範囲に分布している。
【0140】
第21の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備えることから、正面方向の光(従来の外部射出光)に対しての散乱効果は小さく、水平に近い伝播光(薄膜モード)に対しての散乱効果を増大することができる。多結晶性有機材料層26aの厚さは、駆動電圧を低減する上で、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0141】
さらに、第21の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、金属がドープされていても良い。ドープされる金属としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Zn、Auなどを適用可能である。
【0142】
また、第21の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされていても良い。電荷移動錯体の例としては、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体などを適用可能である。
【0143】
第21の実施の形態に係る有機EL装置2においては、多結晶性有機材料層26aに、金属若しく電荷移動錯体を形成し得る材料をドープすることによって、駆動電圧をさらに低減することができる。
【0144】
[第22の実施の形態]
第22の実施の形態に係る有機EL装置2は、図31に示すように、図19に示す第10の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第22の実施の形態に係る有機EL装置2は、図31に示すように、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、光学特性調整層24を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、光学特性調整層24を有機EL層30の下側に配置している。
【0145】
より具体的には、第22の実施の形態に係る有機EL装置2は、図31に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24は、正孔輸送層で形成される。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0146】
光学特性調整層24などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0147】
したがって、第22の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる光学特性調整層24をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる
第22の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0148】
[第23の実施の形態]
第23の実施の形態に係る有機EL装置2は、図32に示すように、光学特性調整層24aを、図31に示す第22の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0149】
第23の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0150】
[第24の実施の形態]
第24の実施の形態に係る有機EL装置2は、図33に示すように、図21に示す第12の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第24の実施の形態に係る有機EL装置2は、図33に示すように、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、多結晶性有機材料層26を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、多結晶性有機材料層26を有機EL層30の下側に配置している。
【0151】
より具体的には、第24の実施の形態に係る有機EL装置2は、図33に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された多結晶性有機材料層26と多結晶性有機材料層26上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、多結晶性有機材料層26は、正孔輸送層で形成される。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0152】
多結晶性有機材料層26などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0153】
したがって、第24の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる多結晶性有機材料層26をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0154】
第24の実施の形態に係る有機EL装置2においては、特性分離層22を省略することによって、駆動電圧を低減することができ、また材料コストを低減することができる。
【0155】
[第25の実施の形態]
第25の実施の形態に係る有機EL装置2は、図34に示すように、多結晶性有機材料層26aを、図33に示す第24の実施の形態の多結晶性有機材料層26に比べ、薄層化した構成を備える。
【0156】
第25の実施の形態に係る有機EL装置2は、図34に示すように、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備える。粒径分布とグレインサイズdとの関係は、模式的に図17(b)と同様に表され、例えば、グレインサイズd=Dにおいて、粒径分布はピーク値Pを示す。また、多結晶性有機材料層26a内におけるグレインGの様子は、図17(c)と同様に模式的に表される。グレインGのグレインサイズdは、例えば、D/10〜10Dの範囲に分布している。
【0157】
第25の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層が多結晶性有機材料層26aで形成され、かつその厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さい構成を備えることから、正面方向の光(従来の外部射出光)に対しての散乱効果は小さく、水平に近い伝播光(薄膜モード)に対しての散乱効果を増大することができる。多結晶性有機材料層26aの厚さは、駆動電圧を低減する上で、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0158】
さらに、第25の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、金属がドープされていても良い。ドープされる金属としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Zn、Auなどを適用可能である。
【0159】
また、第25の実施の形態に係る有機EL装置2において、多結晶性有機材料層26aには、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされていても良い。電荷移動錯体の例としては、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体などを適用可能である。
【0160】
第25の実施の形態に係る有機EL装置2においては、多結晶性有機材料層26aに、金属若しく電荷移動錯体を形成し得る材料をドープすることによって、駆動電圧をさらに低減することができる。
【0161】
また、第25の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる多結晶性有機材料層26aをITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0162】
[第26の実施の形態]
第26の実施の形態に係る有機EL装置2は、図35に示すように、図23に示す第14の実施の形態において、特性分離層22を省略した構成を備える。すなわち、第26の実施の形態に係る有機EL装置2は、図35に示すように、有機EL層30を第2電極層20側に配置し、光学特性調整層24を第1電極層12側に配置した構成を備える。すなわち、光学特性調整層24を有機EL層30の下側に配置している。
【0163】
より具体的には、第26の実施の形態に係る有機EL装置2は、図35に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された光学特性調整層24と、光学特性調整層24上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、光学特性調整層24は、正孔輸送層で形成される。有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。
【0164】
第26の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図35に示すように、光学特性調整層24と正孔輸送層14との界面は、ランダムな凹凸面を有する。光学特性調整層24と正孔輸送層14との界面にランダムな凹凸面を有することによって、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を向上することができる。
【0165】
また、第26の実施の形態に係る有機EL装置2において、図示は省略するが、光学特性調整層24と第1電極層12との界面にランダムな凹凸面を有していても良い。
【0166】
また、光学特性調整層24として多結晶化する材料などを用い、光学特性調整層24の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0167】
第26の実施の形態によれば、光学特性調整層と正孔輸送層14との界面に、ランダムな凹凸面を有するため、光散乱特性が増大し、かつ内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0168】
光学特性調整層24などの薄膜層内を伝播する薄膜モード光は、ITOなどで形成される、より屈折率の高い第1電極層12の内部とその近辺により多く存在している可能性が高い。
【0169】
したがって、第26の実施の形態に係る有機EL装置2においては、散乱層となる光学特性調整層24をITOなどで形成される第1電極層12に隣接させて配置することで、より光を外部に取り出しやすくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0170】
[第27の実施の形態]
第27の実施の形態に係る有機EL装置2は、図36に示すように、光学特性調整層24aを、図35に示す第26の実施の形態の光学特性調整層24に比べ、薄層化した構成を備える。光学特性調整層24aの厚さは、例えば、200nm以下であることが望ましい。
【0171】
第27の実施の形態に係る有機EL装置2においては、光学特性調整層24aを薄層化することによって、駆動電圧を低減することができる。
【0172】
[第28の実施の形態]
第28の実施の形態に係る有機EL装置は、図37に示すように、図1に示す第1の実施の形態において、光学特性調整層24の代わりに、透明電極(第2電極層)32を備え、第2電極層(カソード電極層)20の代わりに、高屈折率散乱層34を備える。
【0173】
より具体的には、第28の実施の形態に係る有機EL装置2は、図37に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層30と、有機EL層30上に配置された透明電極32と、透明電極32上に配置された高屈折率散乱層34とを備える。
【0174】
ここで、有機EL層30は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。なお、有機EL層30の各層については、積層順序を適宜変更しても良い。また、混合層を用いても良い。
【0175】
透明電極32は、ITO(インジウム−スズ酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)などの酸化物半導体や、薄いMgAg合金・Alなどの金属半透明膜などで構成される。なお、透明電極32は、上記材料以外であっても、光を透過し、且つ導電性を備える材料であれば適用可能である。
【0176】
高屈折率散乱層34は、可視光領域で透明な有機材料層または多結晶性有機材料層で構成することができる。
【0177】
具体的には、図40〜図44に化学構造式を示す、1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン(DPB)、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD:2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole)、2,5−ビス(4−ビフェニルイル)チオフェン(BP1T:2,5-Bis(4-biphenylyl)thiophene)、p−クオターフェニル(p−4P:p-Quaterphenyl)、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(NTDA)などを適用することができる。ここで、例えば、PBDのLUMO準位は約2.4eV、HOMO準位は約5.9eVであり、HOMO−LUMO間のエネルギー差は、約3.5eVである。また、例えば、BP1TのHOMO準位は約5.1eVである。また、例えば、p−4PのLUMO準位は約2eV、HOMO準位は約5.7eVであり、HOMO−LUMO間のエネルギー差は、約3.7eVである。
【0178】
高屈折率散乱層34の厚さは、約10nm〜10μm(好ましくは、約100nm〜1μm)とされる。特に、高屈折率散乱層の厚さは、200nm以下であることが望ましい。
【0179】
図37に示すように、高屈折率散乱層34の表面は、ランダムな凹凸面を有する。また、高屈折率散乱層34として多結晶化する材料などを用い、高屈折率散乱層34の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。これにより、光散乱特性が向上される。
【0180】
第28の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図38に示すように、高屈折率散乱層34は、透明電極32上に島状に形成されている。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0181】
高屈折率散乱層34として多結晶化する材料などを用い、高屈折率散乱層34の形成条件を調整することによって、ランダムな凹凸面のラフネスRaを増大させることができる。
【0182】
第28の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図39に示すように、透明電極32上に、結晶粒界を有する高屈折率散乱層34を配置した構成を備えていても良い。これにより、高屈折率散乱層34の表面に凹凸を設けることなく、光散乱特性を向上できる。
【0183】
結晶粒界を有する高屈折率散乱層34は、多結晶性有機材料層で構成することができる。ここで、多結晶性有機材料層の厚さが結晶粒径と同程度か若しくはそれ以下であると良い。
【0184】
その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0185】
第28の実施の形態およびその変形例1,2に係る有機EL装置2では、波長域380nm〜780nmのうち少なくとも一部の波長域において、高屈折率散乱層34を形成する材料のバルクの屈折率が、基板10、有機EL層30、第1電極層12、もしくは第2電極層(透明電極)32のいずれかの屈折率よりも高くなされていても良い。尚、この点は、以下の第29〜第35の実施の形態に係る有機EL装置2においても同様である。
【0186】
第28の実施の形態およびその変形例1,2に係る有機EL装置2では、基板10側および高屈折率散乱層34側の両面から光(hν)が出射される。
【0187】
第28の実施の形態およびその変形例1,2によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0188】
また、高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0189】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0190】
[第29の実施の形態]
第29の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、図45に示すように表される。また、第29の実施の形態に係る有機EL装置2において、高屈折率散乱層34の模式的平面パターン構成あって、円形パターン例は、図46(a)に示すように表され、正方形パターン例は、図46(b)に示すように表され、三角形を基調とする円形パターン例は、図46(c)に示すように表され、長方形パターン例は、図46(d)に示すように表される。
【0191】
第29の実施の形態に係る有機EL装置2は、図45に示すように、図37に示す第28の実施の形態において、ランダムな凹凸面を有する高屈折率散乱層34の代わりに、所定のパターン構造でパターニングされた多結晶材料で構成される高屈折率散乱層34を備える。
【0192】
また、パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有する。所定のパターン構造でパターニングされた高屈折率散乱層34を有する。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0193】
高屈折率散乱層34の段差は、約10nm〜10μm(好ましくは、約100nm〜1μm)とされる。
【0194】
図46(a)〜図46(d)に示す高屈折率散乱層34のパターン構造は、例えば、メタルマスクを用いて形成可能である。
【0195】
第29の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図47(a)に示すように、高屈折率散乱層34が長方形の断面構造を備える。また、変形例2に係る有機EL装置2は、図47(b)に示すように、高屈折率散乱層34が台形の断面構造を備える。
【0196】
また、変形例3に係る有機EL装置2は、図48(a)に示すように、高屈折率散乱層34が三角形の断面構造を備える。また、変形例4に係る有機EL装置2は、図48(b)に示すように、高屈折率散乱層34が半円形の断面構造を備える。
【0197】
変形例1〜4に係る有機EL装置2は、所定の規則的な断面構造の高屈折率散乱層34を有し、光散乱特性が向上される。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0198】
第29の実施の形態およびその変形例1〜4に係る有機EL装置2では、基板10側および高屈折率散乱層34側の両面から光(hν)が出射される。
【0199】
第29の実施の形態およびその変形例1〜4によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0200】
また、規則的な凹凸面を有する高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0201】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0202】
[第30の実施の形態]
第30の実施の形態に係る有機EL装置2は、図49に示すように、図45に示される第29の実施の形態において、多結晶材料で構成される高屈折率散乱層34の代わりに、パターンニングされた多結晶性有機材料で構成される高屈折率散乱層34を備える。その他の構成は、第29の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0203】
多結晶性有機材料としては、図40〜図44に化学構造式を示す、DPB、PBD、BP1T、p−4P、NTDAなどを適用することができる。
【0204】
第30の実施の形態に係る有機EL装置2では、基板10側および高屈折率散乱層34側の両面から光(hν)が出射される。
【0205】
第30の実施の形態によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0206】
また、多結晶材料で構成される高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0207】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0208】
[第31の実施の形態]
第31の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図50に示すように、高屈折率散乱層34が波型構造を備える。高屈折率散乱層34として、有機EL層30のガラス転移点Tよりも低いガラス転移点Tjを有する有機材料を適用することによって、図50に示す構造を形成可能である。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0209】
第31の実施の形態に係る有機EL装置2では、基板10側および高屈折率散乱層34側の両面から光(hν)が出射される。
【0210】
第31の実施の形態によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0211】
また、波型構造を備える高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0212】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0213】
[第32の実施の形態]
第32の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図51に示すように、図37に示される第28の実施の形態において、アノード電極層12を金属電極層38とした構成を備える。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0214】
金属電極層38は、AgやAlなどで構成することができる。
【0215】
金属電極層38の厚さは、光が実質的に透過しない程度とすることが好ましい。
【0216】
図51に示すように、第32の実施の形態に係る有機EL装置2は、発光層16で発光した光(hν)が金属電極層38の表面で反射されて高屈折率散乱層34から出射されるトップエミッション構成となっている。
【0217】
第32の実施の形態によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0218】
また、高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0219】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0220】
また、第32の実施の形態によれば、発光層16で発光した光を金属電極層38の表面で反射させるトップエミッション構成により開口率を高めることができる。
【0221】
[第33の実施の形態]
第33の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図52に示すように、図37に示される第28の実施の形態において、高屈折率散乱層34上に高反射率の金属層40を配置した構成を備える。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0222】
高反射率の金属としては、例えばAg、Al、Mo、Taなどが挙げられる。
【0223】
図52に示すように、第33の実施の形態に係る有機EL装置2は、発光層16で発光した光(hν)が高反射率の金属層40で反射されて基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0224】
第33の実施の形態によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0225】
また、高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0226】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0227】
[第34の実施の形態]
第34の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図53に示すように、図37に示される第28の実施の形態において、高屈折率散乱層34上に保護層42を配置した構成を備える。その他の構成は、第28の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0228】
保護層42は、例えばSiO、SiN等の無機材料や所定の有機材料の薄膜で構成される。
【0229】
第34の実施の形態に係る有機EL装置2では、基板10側および高屈折率散乱層34側の両面から光(hν)が出射される。
【0230】
第34の実施の形態によれば、透明電極32を用いることにより、表面プラズモン損失を軽減または無くすことができる。
【0231】
また、高屈折率散乱層34を設けたことにより、薄膜モードを基板モード、外部モードに変換することができる。
【0232】
これにより、割合の多い表面プラズモン損失分や、薄膜導波モード分を取り出すことができ、光取出し効率を大幅に改善することができる。
【0233】
また、高屈折率散乱層34上に保護層42を配置することにより、後述の第35の実施の形態のように有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34を樹脂等によって封止する際に、高屈折率散乱層34および有機EL層30にダメージを与える事態を回避することができる。
【0234】
[第35の実施の形態]
第35の実施の形態に係る有機EL装置2においては、図54に示すように、基板10上に形成される封止部46と、この封止部46の上に配置される封止板48と、封止部46および封止板48と、有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34との隙間に充填された充填材44とを備える。封止部46と封止板48とによって、有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34が封止されている。尚、図54では、基板10上に配置された第1電極層12上に封止部46が配置されているが、封止部46は、基板10上に直接配置されていても良い。例えば、パターニングによって、基板10上に第1電極層12が無い領域を形成し、封止部46をこの部分の基板10上に直接配置する場合もあるからである。また、補助配線を使用する場合もある。
【0235】
封止部46は、UV硬化樹脂やガラスフリット等で構成することができる。
【0236】
封止板48は、ポリマー樹脂基板もしくはガラス基板等で構成することができる。
【0237】
充填材44は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などの不活性オイルまたはゲル材あるいは窒素ガス等の希ガスで構成することができる。これらの充填材44は、透明または白濁していることが望ましい。
【0238】
第35の実施の形態に係る有機EL装置2では、基板10側および封止板48側の両面から光(hν)が出射される。
【0239】
また、第35の実施の形態に係る有機EL装置2では、封止板および基板の少なくとも一方の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有していても良い。
【0240】
(変形例1)
第35の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図55に示すように、封止板48の表面に、プリズムシートなどで構成される光取り出しフィルム50aを貼付した構成を備える。
【0241】
(変形例2)
また、第35の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置は、図56に示すように、封止板48の表面および基板の裏面に、プリズムシートなどで構成される光取り出しフィルム50a、50bを貼付した構成を備える。
【0242】
(変形例3)
第35の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、図57に示すように、補助配線36a・36bを備える。
【0243】
第35の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2においては、図57に示すように、基板10上に形成される封止部46と、この封止部46の上に配置される封止板48と、封止部46および封止板48と、有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34との隙間に充填された充填材44とを備える。封止部46と封止板48とによって、有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34が封止されている。尚、図57では、基板10上に配置された第1電極層12上に、補助配線36aを介して、封止部46が配置されている。また、図57では、基板10上に配置され、第1電極層12と絶縁された第1電極層12b上に、透明電極32に接続された補助配線36bを介して、封止部46が配置されている。尚、変形例1と同様に、封止板48の表面に、プリズムシートなどで構成される光取り出しフィルム50aを貼付した構成を備えていても良い。また、変形例2と同様に、封止板48の表面および基板の裏面に、プリズムシートなどで構成される光取り出しフィルム50a、50bを貼付した構成を備えていても良い。
【0244】
第35の実施の形態および変形例1〜3によれば、有機EL層30、特性分離層22、透明電極32および高屈折率散乱層34が封止され、充填材44が充填されているので、有機EL装置の耐久性を向上させることができる。
【0245】
また、第35の実施の形態の変形例1〜3によれば、光取り出しフィルム50aまたは50bを設けているので、封止板48側および基板10側から効率的に光(hν)を出射させることができる。
【0246】
なお、第35の実施の形態および変形例1〜3に係る有機EL装置においても、図53に示すように、高屈折率散乱層34上に保護層42を配置した構成を適用しても良い。保護層42によって、高屈折率散乱層34と充填材44との化学反応を抑制することができるからである。
【0247】
以上に説明した実施の形態によれば、内部量子効率と光取り出し効率を同時に最適化可能な有機EL装置を提供することができる。
【0248】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態およびその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0249】
例えば、有機EL層30は、1層以上の電荷発生層と、2層以上の発光層を有するマルチフォトンエミッション型の有機EL層の構成を備えていても良い。
【0250】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明の有機EL装置は、高輝度有機EL照明分野、高輝度有機ELディスプレイ分野などに適用可能である。
【符号の説明】
【0252】
2…有機EL装置
10…基板
12…第1電極層(アノード電極層)
14…正孔輸送層
16…発光層
18…電子輸送層
20…第2電極層(カソード電極層)
22…特性分離層
24、24a…光学特性調整層
26、26a…多結晶性有機材料層
28…凹部
30…有機EL層
32…第2電極層(透明電極)
34、34a…高屈折率散乱層
36a、36b…補助配線
38…金属電極層
40…金属層
42…保護層
44…充填材
46…封止部
48…封止板
50a、50b…光取り出しフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された光学特性調整層と、
前記光学特性調整層上に配置された第2電極層と
を備えることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記有機EL層上に配置された特性分離層を備え、前記光学特性調整層は、前記特性分離層上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された光学特性調整層と、
前記光学特性調整層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された第2電極層と
を備えることを特徴とする有機EL装置。
【請求項4】
前記光学特性調整層上に配置された特性分離層を備え、前記有機EL層は、前記特性分離層上に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記光学特性調整層は、可視光領域で透明な有機材料層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記特性分離層は、電荷発生層若しくは透明電極層であることを特徴とする請求項2または4に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記光学特性調整層は、正孔輸送性材料層または電子輸送性材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記特性分離層は、電荷発生層、透明電極層、或いは導電性薄膜層であることを特徴とする請求項2または4に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記第2電極層は、高反射率を有する金属膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記光学特性調整層は、可視光領域で透明であり、かつ光散乱性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項11】
前記光学特性調整層は、多結晶性有機材料層であることを特徴とする請求項10に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記光学特性調整層と前記第2電極層との界面は、ランダムな凹凸面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項13】
前記光学特性調整層と前記特性分離層との界面は、ランダムな凹凸面を有することを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記光学特性調整層と前記第1電極層との界面は、ランダムな凹凸面を有することを特徴とする請求項3または4に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記第2電極層は、部分的に特性分離層と接していることを特徴とする請求項12に記載の有機EL装置。
【請求項16】
前記光学特性調整層は、所定のパターン構造でパターニングされ、かつ前記第2電極層は、部分的に特性分離層と接していることを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項17】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項16に記載の有機EL装置。
【請求項18】
前記光学特性調整層のガラス転移点は、前記有機EL層のガラス転移点よりも低いことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項19】
前記光学特性調整層の厚さは、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項20】
前記多結晶性有機材料層の厚さが結晶粒径と同程度か若しくは結晶粒径よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の有機EL装置。
【請求項21】
前記光学特性調整層には、金属がドープされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項22】
前記光学特性調整層には、電荷移動錯体を形成し得る材料がドープされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項23】
前記第1電極層と前記第2電極層からそれぞれ主電極を取り出すことを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項24】
前記第1電極層と前記特性分離層からそれぞれ主電極を取り出すことを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項25】
前記第1電極層と、前記第2電極層に短絡された特性分離層からそれぞれ主電極を取り出すことを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項26】
前記第2電極層と前記特性分離層からそれぞれ主電極を取り出すことを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項27】
前記第2電極層と、前記第1電極層に短絡された特性分離層からそれぞれ主電極を取出すことを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項28】
波長域380nm〜780nmのうち少なくとも一部の波長域において、前記光学特性調整層を形成する材料のバルクの屈折率が、前記基板、前記有機EL層、前記第1電極層、もしくは前記第2電極層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1〜27のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項29】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に配置された高屈折率散乱層と
を備えることを特徴とする有機EL装置。
【請求項30】
前記高屈折率散乱層は、可視光領域で透明な有機材料層または多結晶性有機材料層であることを特徴とする請求項29に記載の有機EL装置。
【請求項31】
前記第2電極層は、透明電極層もしくは導電性薄膜層であることを特徴とする請求項29または30に記載の有機EL装置。
【請求項32】
前記高屈折率散乱層の表面は、ランダムな凹凸面を有することを特徴とする請求項29〜31のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項33】
前記高屈折率散乱層は、所定のパターン構造でパターニングされていることを特徴とする請求項29〜31のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項34】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項33に記載の有機EL装置。
【請求項35】
前記高屈折率散乱層は、結晶粒界を有することを特徴とする請求項29〜34のいずか1項に記載の有機EL装置。
【請求項36】
前記第1電極層は、金属電極層であることを特徴とする請求項29〜35のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項37】
前記高屈折率散乱層上に配置された高反射率を有する金属膜を備えることを特徴とする請求項29〜36のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項38】
前記高屈折率散乱層上に配置された保護層を備えることを特徴とする請求項29〜36のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項39】
前記基板上に形成される封止部と、
前記封止部の上に配置される封止板と、
前記封止部および前記封止板と、前記有機EL層、前記第2電極層および前記高屈折率散乱層との隙間に充填されている充填材と
を備え、前記封止部と前記封止板とによって、前記有機EL層、前記第2電極層および前記高屈折率散乱層が封止されることを特徴とする請求項29〜38のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項40】
前記充填材は、固形状または液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成されることを特徴とする請求項39に記載の有機EL装置。
【請求項41】
前記封止板および前記基板の少なくとも一方の表面に、光取り出しフィルムを備えることを特徴とする請求項39または40に記載の有機EL装置。
【請求項42】
前記封止板および前記基板の少なくとも一方の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有することを特徴とする請求項39または40に記載の有機EL装置。
【請求項43】
前記高屈折率散乱層の厚さは、200nm以下であることを特徴とする請求項29〜42のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項44】
前記高屈折率散乱層の厚さが結晶粒径と同程度か若しくはそれ以下であることを特徴とする請求項35に記載の有機EL装置。
【請求項45】
波長域380nm〜780nmのうち少なくとも一部の波長域において、前記高屈折率散乱層を形成する材料のバルクの屈折率が、前記基板、前記有機EL層、前記第1電極層、もしくは前記第2電極層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項29〜44のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項46】
前記有機EL層は、1層以上の電荷発生層と、2層以上の発光層を有するマルチフォトンエミッション型の有機EL層であることを特徴とする請求項1〜45のいずれか1項に記載の有機EL装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate


【公開番号】特開2013−33706(P2013−33706A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10200(P2012−10200)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】