説明

有色シルセスキオキサン

本発明は、染料で官能化されたシルセスキオキサンクラスター、その製造方法、および着色剤としてのその使用、またはその塩に関し、該化合物(官能化されたクラスターまたはナノ粒子)は、一般式(I)(式中、CAGEは、式(IA)で示される部分であり、Dは、発色団部分であり、他の記号は、本明細書において定義したような意味を有する)を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色シルセスキシロキサンの新規クラス、その調製方法、および、例えば各種担体を着色するための着色剤、顔料、染料等としての、(それ自体での、または組成物中の成分としての)その使用に関する。
【0002】
背景技術
有機シルセスキオキサンは、多くの論文および特許(例えば米国特許第5047492号)に記載されている。
【0003】
例えば、それらはハイブリッド材料中のナノフィラー、ナノ複合材料、フォトレジスト材料、デンドリマー、およびコモノマーとして使用することができる(M.Fujiwara et al.Advanced Functional Mater.13,371(2003))。
【0004】
多くのシルセスキオキサン前駆体、および各種の官能化された誘導体が市販されている(Aldrich)。適用されるヒドロシリル化反応は、高度に官能化された基を担持せず、過剰に使用される、単純な分子を有するシルセスキオキサンに関して記載されている。しかしながら、この技術は、適用される薬品に感受性があるようであり、したがってすべてのアルキレン誘導体に対して一般的に適用することができない。
【0005】
シルセスキオキサンをベースとする球状シリカクラスターは、熱安定性に優れ、例えば有機ポリマーの引張係数、またはコーティングの耐引掻性を向上させるナノフィラーとして有用であると主張されている(米国特許出願第2005/203227号)。米国特許第5047492号では、セスキシロキサンの誘導体を製造するためのヒドロシリル化の方法が記載されている。他の場合では(例えば、米国特許第5442025号;A.P.Somlai et al.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.788,L9.10(2004);G.H.Mehl et al.,Appl.Organometal.Ch.13,261(1999))、メソゲン基を有する誘導体が(例えば液晶ディスプレイに関して)記載されている。
【0006】
国際公開公報第2005/037955号では、少なくとも2個の異なる蛍光体がシルセスキオキサン分子ごとに結合しており、さもなくば消光が起こるであろう、OLEDに有用な発光組成物が記載されており、米国特許出願第2005/090015号では、化学気相センシングに有用であるように修飾されたシルセスキオキサンが記載されている。
【0007】
発明の概要
本発明の目的は、シルセスキオキサンのクラスのさらなる使用を提供することにある。
【0008】
今や、シルセスキオキサン誘導体の新規クラスが、各種用途での着色剤として有用であることがわかった。
【0009】
さらに、驚くべきことに、適切に官能化された染料、特に極性染料を、本明細書に記載のようにシルセスキオキサンとカップリングすることができ、これにより有用な着色剤が得られることがわかった。この可溶性の新規化合物は、各種分野における、例えば材料、物品、製剤、頭髪、爪、皮膚等(以下、まとめて担体とも呼ぶ)の着色剤として使用することができる。
【0010】
下記の本発明の化合物(クラスターとも呼ぶ)は、前記材料にさらなる効果、すなわち着色をもたらす。さらに、感受性のある染料および着色剤は、その技術的有用性を広げる球状のシリカクラスターに対する結合により安定化される。
【0011】
発明の詳細な説明
したがって、本発明は、第1の態様において、新規有色化合物(染料で官能化されたシルセスキオキサンクラスター)、その調製方法、および着色剤としてのその使用、またはその塩に関し、該化合物(官能化されたクラスターまたはナノ粒子)は、一般式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
AおよびA’は、それぞれ他から独立してC〜Cアルキルであり;
CAGEは、式IA:
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、星印()は、式
【0016】
【化3】

【0017】
で示される部分に結合している結合を示す)で示される部分であり、
Dは、発色団部分であるが、但し、式Iで示される分子中の全8個のD部分は同一であり;
Eが、**−C(R3a)(R)−C(H)(R3b)−**、および/または
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、二重星印(**)は、結合している結合をそれぞれ示し、R、R3aおよびR3bは、それぞれ他から独立して、水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである)であり;
Lは、直鎖または分岐(1回または複数回)の、非置換または置換C〜C25アルキレンであり、そのアルキレンは、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−およびフェニレン(ここで、Rは水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである)からなる群から選択される基のうち少なくとも1個により結合し、かつ/または中断されていてもよく;
Xは、−NR−または−O−であり;
は、水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである]を特徴とする。
【0020】
本発明の第2の態様は、式II:
【0021】
【化5】

【0022】
[式中、AおよびA’は、式Iで示される化合物に関して、請求項1または請求項2〜8のいずれか一項において定義した通りである]で示される化合物を、式III:
【0023】
【化6】

【0024】
[式中、R、R3a、R3b、L、XおよびDは、式Iで示される化合物に関して、請求項1または請求項2〜8のいずれか一項において定義した通りである]で示される染料化合物と、ヒドロシリル化条件下で反応させる工程
(ここで、官能基は保護してもよい);
次に保護基を除去する工程;
ならびに、所望に応じて、式Iで示される、得られる遊離化合物を塩に変換し、かつ/または式Iで示される化合物の得られる塩を、該遊離化合物もしくはその異なる塩に変換し;かつ/あるいは、式Iで示される化合物の得られる異性体を、式Iで示される化合物の得られる他の異性体から分離する工程を含む、式Iで示される化合物の製造方法に関する。
【0025】
ヒドロシリル化条件下で、式IIIで示される、適切に官能化された可溶性の染料前駆体を、式IIで示されるヒドリド化合物と、触媒、好ましくは触媒量の金属触媒の存在下、有機溶媒中で反応させる。ヒドロシリル化に適用される触媒は、ハロゲン化白金、例えばPtClまたはヘキサクロロ白金酸HPtCl・(HO)(スパイヤー触媒)、木炭担持PtO、カールシュテット触媒、白金−ジビニルテトラメチル−ジシロキサン錯体、および、例えば米国特許第5831080号において与えられ、ごく最近ではK.Yamamoto et al.Hydrosilylations:hydrosilylation of olefins.Transition Metals for Organic Synthesis(2nd Edition)(2004),267−181)により与えられる多くの他のものからなる群の1種または複数から選択できるが、白金触媒が好ましく、HPtCl・(HO)のような可溶性の白金触媒が最も好ましい。適用される触媒の量は、例えば、白金分の計算量、および式IIまたはIIIで示される試薬の量に対して、1〜1000、例えば2〜200(重量)ppm、好ましくは2〜50ppmの間で異なりうる。
【0026】
反応は、無溶媒で行ってもよいが、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン化溶媒、鎖状または環状のエーテルまたはエステル、およびアルコール、ならびにその混合物、好ましくは芳香族炭化水素、アルコールおよびエーテル、最も好ましくはトルエン、イソプロパノール、ジオキサンまたはテトラヒドロフランのような溶媒から選択される有機溶媒または溶媒混合物中で行うことが好ましい。
【0027】
反応温度は、0℃〜使用する溶媒の還流温度、好ましくは室温〜還流温度の間で異なりうる。
【0028】
驚くべきことに、式IIで示される化合物に対して十分かつ適切なモル過剰(例えば8倍モル量以上)の式IIIで示される化合物を使用した場合、式IIで示される化合物中の全8個のケイ素と結合した水素原子は、式IIIで示される染料誘導体とのヒドロシリル化に関与する。
【0029】
ヒドロシリル化によって、ケイ素および水素が結合している(E上の)二重結合に対する結合の位置に関して構造異性体が得られることがあるが、それは、特許請求されている化合物の所望の特性に決定的に影響を与えるものではなく、したがって下記の実施例では1個の異性体のみを表す。しかしながら、通常は、式III中のRとR3aの両方を担持する、末端の、または立体障害が小さい炭素のみが、式IIで示される化合物中の水素の代わりに、ケイ素原子に結合する。
【0030】
式Iで示される分子中の全8個のD部分が同一であるという条件は、これらの部分が、式Iで示される所与の分子内で同一であるが、例えば、結合している部分−E−L−が、出発原料(下記式IIIを参照)の二重結合における異なる結合を理由として、1分子中で異なることがあることを特に意味する。しかしながら、「式Iで示される化合物」という用語は、各分子がそれ自体で、その中の8個のD部分が同一であるという条件を満たす、異なるD部分を有するそのような2種以上の分子の混合物も含むことができる。
【0031】
式Iで示される化合物、またはその塩、および出発原料のいくつかの調製方法、ならびに上記および下記のいくつかのプロセスでは、各反応に関与せず、所望の反応を妨害するか、または副反応をもたらすであろう官能基を、必要に応じて保護する。保護の導入および除去は、それぞれ適切な段階において、例えばT.W.Greene and P.G.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York 1999で言及されているような、当技術分野で公知の標準的手順に従い、この手順から、例えばアミノ、ヒドロキシル、カルボキシまたは他の基の適切な保護基もまた好都合に推論することができる。
【0032】
式Iで示される化合物、ならびに出発原料の異性体混合物は、好適な分離方法により、それ自体が公知である様式で、その対応する異性体に分離することができる。構造異性体は、例えばクロマトグラフィーで分離することができる。
【0033】
塩形成基を有する、式Iで示される化合物の塩は、遊離化合物からそれ自体公知の様式で調製することができる。例えば塩基性基、例えばアミノまたはイミノ基を有する、式Iで示される化合物の酸付加塩は、例えば、遊離化合物を酸、または好適なアニオン交換試薬で処理することにより得ることができる。通常、式Iで示される化合物の塩は、例えば、好適な塩基性の試剤、例えばアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩または水酸化物、典型的には炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムで処理することにより、遊離化合物に変換することができる。式Iで示される化合物の塩は、適切な塩、例えば式Iで示される化合物の塩に対してモル過剰のそれを用いた処理によって、異なる塩に変換することもできる。
【0034】
さらなる態様では、本発明はまた、式Iで示される化合物および/またはその塩、あるいはそのような化合物および/または塩の混合物、あるいは式Iで示される1種もしくは複数の化合物および/またはその塩を含む組成物の、例えば、式Iで示される化合物および/またはその塩を、担体の外表面、内表面、および/またはバルク材料に適用することによる、担体の着色剤としての使用に関する。
【0035】
適用は、出発成分(例えば、プラスチック材料もしくは製品用の樹脂もしくは粒体)または組成物に対する混合、コーティング、および/あるいは含浸により行うことができ、適切かつ好都合であれば、式Iで示される化合物を、それ自体で、または、溶媒、結合剤、防腐剤、着香料等の他の慣習的な添加剤をさらに含む組成物として使用することにより行うことができる。そのような組成物においては、式Iで示される化合物は、例えば0.1〜90重量%の量で存在することができる。
【0036】
特記しない限り、本発明の開示において使用される一般的な用語および名称は、下記の意味を有することが好ましい(特許請求の範囲にも記されている本発明のより好ましい態様を定義するために、より具体的な定義を、いずれの場合でも別々に使用するか、または併用することで、より一般的な用語を代替することができる)。
【0037】
「低級」または「C〜C−」という用語は、最大7個、特に最大4個の炭素原子を含む、分岐または直鎖の部分を定義する。例えば、低級またはC〜C−アルキルは、n−ペンチル、n−ヘキシルもしくはn−ヘプチル、または好ましくはC〜C−アルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0038】
(特に式Iで示される)化合物に本明細書で言及する場合、これは、(特に明示されない限り)遊離化合物、および/または、塩形成基が存在するその塩を意味することを常に意図しており、そのような化合物または塩の溶媒和物、例えば水和物を含むことも意図している。また、特に言及のない場合であっても、出発原料は、塩形成基が存在する塩の形態でも使用することもでき、塩の形成により望ましくない反応が起こることはない。
【0039】
Lが存在し、非置換または置換C〜C25−アルキレンである、式Iで示される化合物、および任意の前駆体において、Lは、−O−、−S−、−N(R)−、−O−CO−および−N(R(CO)−からなる群からの基のうちの1個を介してではなく、L〜Eに属するC原子を介して結合していることが好ましい。これは、Eに直接結合しているそのようなヘテロ原子を有する化合物は、完全には排除されないが、化学的にはむしろ困難であるからである。
【0040】
式Iで示される化合物の塩は、特に、(アミノまたはイミノ中の窒素原子等の塩基性基の場合)酸付加塩、酸性(例えばカルボキシ、スルホまたはホスホ)基の場合は、塩基を有する塩であり、あるいは、いくつかの塩形成基が存在する場合は、混合塩、塩基を有する塩、または内部塩であってもよい。酸付加塩は、例えば、式Iで示される化合物と、無機酸、例えば、塩酸、硫酸もしくはリン酸等のハロゲン化水素酸、または有機カルボン、スルホン、スルホもしくはホスホ酸とから形成される。カルボキシ等の、式Iで示される化合物中の酸性基の塩は、例えば、元素周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb族の金属から誘導される非毒性の金属塩、例えば、ナトリウム塩もしくはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、あるいは、アンモニアもしくは有機アミン、または四級アンモニウム化合物と形成される塩などの、好適な塩基を有する塩である。酸性基と塩基性基の両方を有する、式Iで示される化合物は、内部塩を形成することもできる。
【0041】
「含む(comprising)」という用語を使用する場合、これは、以後で言及または列挙する成分または特徴を単独で実現できるというだけでなく、具体的に言及されたそれらに加えて、1種または複数の他の成分および/または特徴(例えば他の添加剤、他の作用)が存在する場合があることを意味することを意図している。これは、そのような表現の後では、具体的に言及されたそれらを除けば他の成分または特徴が含まれないことを意味し、したがって特徴および/または成分の完全な列挙/表示を示す、「含有する(containing)」または「からなる(consisting of)」という用語とは対照的である。「含む(comprising)」を使用する場合は、可能かつ好都合であれば、これを(他の出現からは独立して)より狭義の用語である「からなる(consisting of)」、または(プロセスもしくは方法の場合は)「工程を含有する(containing the step of)」で代替し、これにより本発明の具体的かつ好ましい態様をもたらすことができる。
【0042】
有色の(Colored)とは、式Iで示される化合物が、好ましくは1つの限定された波長範囲でのスペクトルの可視部分(波長約400〜約800nm)内で、少なくとも多少なりとも選択的に吸収することを意味する。そのとき、目視で具現化された色は、約400〜約800nmの波長域内のスペクトルの残りから得られる、吸収スペクトル域の各補色に対応している。
【0043】
発色団部分Dは、好ましくは、Xに結合している染料分子、好ましくは、
ヒドロキシアントラキノン、またはそのエーテルもしくはエステル;アミノアントラキノンもしくはアミノ−ヒドロキシアントラキノン、またはそれぞれのエーテルもしくはエステル、メルカプト−アントラキノン;1個もしくは複数の炭素環と縮合しているアントラキノン核を有する染料、例えば、ベンズアントロン、ペリレン誘導体、ジベンズアントロン、イソジベンズアントロン、ピラントロン、ジベンゾピレンキノン、ベンズアントラキノン、アントアントロン、ベンゾ−、ナフト−、もしくはアントラ−ジアントロン、アントラセン核が1個もしくは複数の炭素環と縮合している他の染料;炭素環を有するか、もしくは有さない1個もしくは複数の複素環と縮合しているアントラセン核を有する染料、例えば、ピラゾロアントロン、ベンズアントロニル−ピラゾロアントロン縮合物、ジピラゾロアントロン、イソチアゾロアントロン、イソキサゾロアントロン、イソセレナゾロアントロン、チオフェナントロン、ベンズ−アザベンズアントロン(アントラピリドン)、ベンズ−ジアザベンズアントロン、例えばアントラピリミドン、コエロキセン、コエルチエン、コエルアミデン、フラバントロン、アントラセン系のカルバゾール、アントリミドカルバゾール、アントラセン系の1.2アゾール、アントラセン系の1.3アゾール、アントラキノンアクリドンもしくはチオキサントロン、アミノアクリドン、アクリドンおよびカルバゾール環を含む化合物、ベンズアントロニル−アミノアントラキノンの縮合物、ピリジノアントラキノン、アントラセン系のアジン、パラ−ジアジン、ビス−アントラキノンジアジン(インダントロン)、チアジン、オキサジン、アントラセンのペリ−ジカルボン酸の環状イミドもしくはアミジン、ベンズアントレン、またはペリレン系;上記で与えられないアントラセン染料;インジゴイド染料、例えばビス−インドールインジゴ、インドン−チオナフテンインジゴ、他のインドール−インジゴ、ビス−チオナフテンインジゴ、他のチオナフテンインジゴ;バット染料、例えばアントラセン染料もしくはインジゴ染料のロイコ化合物のエステルもしくはエステル塩;例えばジアリールメタンから誘導され、トリアリールメタンから誘導されたジアリールもしくはトリアリールメタン染料、少なくとも1個の−OH基がアリール核に結合している、トリアリールメタンのヒドロキシ誘導体、フタレイン、アリール核に結合している−OH基が存在しないか、またはアリール核に結合している−OH基を含む、トリアリールメタンのアミノ誘導体、アミノ基を含むフタレイン、芳香核のうち少なくとも1個が複素環であるトリアリールメタン染料、ピロニン;
アクリジン、アジン、オキサジンまたはチアジン染料、例えば、アクリジン染料;ベンゼン系、ナフタレン系、またはフルオリンジンもしくはその誘導体のアジン染料;オキサジン染料、例えばアミノキニンから調製されるビスオキサジン;チアジン染料;
キノリンまたはポリメチン染料、例えば、メチンまたはポリメチン染料、例えば、メチン鎖を特徴とするシアニン染料、例えばシアニン、イソシアニン、プソイドシアニン、カルボシアニン、ポリカルボシアニン;または偶数の−>CH基を含むこと、分岐しているポリメチン鎖を特徴とするシアニン染料、例えばスチリル染料;またはヘテロ原子を含むポリメチン鎖を特徴とするシアニン染料;キノフタロン、ヒドラゾン染料、トリアゼン染料;
アゾ染料、例えば、アゾ基がジアゾ化およびカップリング以外の任意の方法で形成されている製剤、例えばタルトラジン;ジアゾ化およびカップリングにより調製されるモノアゾ染料;ジアゾ化およびカップリングにより調製される、A→B→C、A→B→C→D型等のジスアゾまたはポリアゾ染料;ジアゾ化およびカップリングにより調製される、A→K←B、A→B→K←C型等のジスアゾまたはポリアゾ染料;ジアゾ化およびカップリングにより調製される、A←D→B型のジスアゾまたはポリアゾ染料;ジアゾ化されたアミンをそれ自体とカップリングすることで調製されるアゾ染料;ジアゾ化およびカップリングにより調製される他のアゾ染料、他のアゾ化合物からのアゾ染料、オニウム基を含むアゾ染料、前述の群で与えられないアゾ染料;
ポルフィンまたはアザポルフィン、例えばフタロシアニン;
キナクリドン;
硫黄染料、例えば、ベンゼン、ナフタレンもしくはアントラセン系のニトロ化合物、ベンゼン、ナフタレンもしくはアントラセン系のアミノ化合物、アジン、オキサジン、チアジンもしくはチアゾール、尿素誘導体、ジフェニルアミン、インダミンもしくはインドフェノール、または他の化合物からの硫黄染料;
ニトロまたはニトロソ染料
キノンイミド、例えばインダミン、インドフェノール;
アゾメチン染料;
他の発色団系を含むアゾ染料、例えばアゾメチン−アゾ染料、スチルベン−アゾ染料、ビス−もしくはポリ−スチルベン−アゾ染料、スチリル−アゾ染料、アントラキノン−アゾ染料、フタロシアニン−アゾ染料、メチン−もしくはポリメチン−アゾ染料、ヒドラゾン−アゾ染料、トリアゼン−アゾ染料;
公知の構成を有する他の合成染料、例えばクマリン染料、イソインドリン染料、ナフトラクタム染料、ナフタルイミド染料、フタルイミド染料、ペリノン、すなわちナフトイレン−アリール−イミダゾール、ベンゾキサンテン染料;ベンゾチオキサンテン染料;
天然源から調製される天然起源の染料
ならびに、反応性染料、すなわち、担体と共有結合を形成するか、またはそれら自身と重合する染料、特に、択一的に特定される反応性基の結合を有する染料;択一的に特定される複素環、例えばトリアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、5員環、ある種の他の複素環と直接結合している反応性基を有する染料;複素環と直接結合していない反応性基を有する染料;あるいは、択一的に特定される反応性基であって、アクリロイル基、四級化もしくは非四級化アミノアルキルカルボニル基、または(−N)−CO−A−O−Xもしくは(−N)−CO−A−Hal基(式中、Aは、アルキレンまたはアルキリデン基であり、Xは、水素、または有機もしくは無機酸のアシル基であり、Halは、ハロゲン原子であり、nは、0または1である)である反応性基、ハロ−シクロブチル−カルボニル、ハロ−シクロブチル−ビニル−カルボニル、またはハロ−シクロブテニル−カルボニル基である反応性基、エステル化もしくは非エステル化ヒドロキシアルキルスルホニルもしくはメルカプトアルキルスルホニル基、四級化もしくは非四級化アミノアルキルスルホニル基、ヘテリルメルカプトアルキルスルホニル基、ビニルスルホニルもしくは置換ビニルスルホニル基、またはチオフェン−ジオキシド基である反応性基、エステル化もしくは非エステル化ヒドロキシアルキルスルホニルアミドもしくはヒドロキシアルキルアミノスルホニル基、四級化もしくは非四級化アミノアルキルスルホニルアミド基、または置換アルキルアミノスルホニル基、またはハロゲンアルキルスルホニルアミドもしくはハロゲンアルキルアミノスルホニル基、またはビニルスルホニルアミドもしくは置換ビニルスルホンアミド基である反応性基、エポキシまたはハロヒドリン基である反応性基、エチレンイミノもしくはN−アシル化エチレンイミノ基、または−CO−NH−CH−CH−X基(式中、Xは、ハロゲン原子、四級アンモニウム基、もしくはO−アシルであり、アシルは、有機もしくは無機酸から誘導される)、またはβ−置換エチルアミン基である反応性基、N−メチロール基またはそのO−誘導体である反応性基を有する染料;あるいは、他の反応性基を有する染料
からなる群から選択され、いずれの場合でも下記のクラス、すなわちアントラセン染料、アゾ染料、例えばモノアゾ染料、ジスアゾ、もしくはポリアゾ染料、ニトロ染料、ポルフィン;またはアザポルフィンのうち1つから選択される染料を含み、好ましくはそれからなる部分であり、
より好ましくは、アクリジン染料、アントラキノン染料、アザメチン染料;アゾ染料、例えばモノアゾ、ジスアゾまたはポリアゾ染料;ベンゾジフラノン染料、クマリン染料、ジケトピロロピロール染料、オキサジン染料、例えばフェノキサジン;ジオキサジン染料、カルボニル染料、例えばインジゴイドまたはアリザリン;メチン染料、例えばフェニロガスメチン染料、例えばジアリール(例えばフェニル)−メタンもしくはトリアリールメタン、例えばフェノールフタレインもしくはマラカイトグリーン、またはポリメチン、例えばピナシアノールもしくはペラルゴニジン;ポリメチン染料、ナフタルイミド染料、ナフトキノン染料、ニトロアリール染料、オキサジン染料、例えばフェノキサジン;ペリノン染料、ペリレン染料、フェナジン染料、ポリアザ−アンヌレン染料、例えばフタロシアニン;ピレンキノン染料、キナクリドン染料、キノンイミン染料、キノフタロン染料、チアジン染料、例えばフェノチアジン;チオキサンテン染料、アリール−カルボニウム染料、およびキサンテン染料を含み、好ましくはこれらからなる群から選択される基であり、さらに好ましくは、アントラキノン、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ、フタロシアニンおよびジオキサジン染料の基であり、上述の染料基はそれぞれ、非置換であってもよく、あるいは1個または複数、例えば1個〜4個の置換基で置換されていてもよく、置換基は、C〜C10−アルキル、ヒドロキシル、スルホ(−SOOH)および/またはスルファト(−OSO−OH)で置換されたC〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホおよび/またはスルファトで置換されたC〜C10−アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル(−COOH)、スルホ、スルファト、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ホスホ(−O−P(=O)(OH))、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、アセチルアミノ等のC〜C10−アルカノイルアミノ、モノ−もしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、カチオン性四級アンモニウム(例えば、式−N(G)(式中、Gは、同一または異なる意味を有していてもよく、かつ、−O−により中断されていてもよく、非置換であっても、ヒドロキシルまたはフェニルで置換されていてもよいC〜C12アルキルであり、該フェニル基は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシまたはハロゲンでさらに置換されていてもよく、あるいは、非置換であるか、またはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシもしくはハロゲンで置換されているフェニルであり;最も好ましくは、Gは、C〜C12アルキルである)で示されるもの)、あるいはカチオン性ホスホニウム基(特に、式−P(G)(式中、Gは上記で定義した通りである)で示されるもの)、ならびにフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基(好ましくは置換フェニルまたはベンゾイルを除く)のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)からなる群から特に選択され;酸性(例えばカルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ)または塩基性(例えばアミノ、モノ−もしくはジ−(C〜C10−アルキル)アミノ)基は、それぞれアニオンまたはカチオンの形態で存在してもよい(すなわち、塩を形成する)。
【0044】
最も好ましくは、発色団部分は、“#”印が式I(および式III)中のXに結合している結合の末端を示す、下記式:
【0045】
【化7】

【0046】
[式中、
101およびR102(それらが結合している環において水素の代わりに)(存在しなくてもよく(0で示す)、あるいは、最大で右下の指数で示す所与の数だけ存在してもよい)は、存在しないか、あるいは、C〜C12アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12−アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシル置換C〜C12アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル(−COOH)、スルホ(S(O)OH)、スルファト(−O−S(O)OH)、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ホスホ(−O−P(=O)(OH))、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、アセチルアミノ等のC〜C10−アルカノイルアミノ、モノ−もしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、カチオン性四級アンモニウム(例えば、式−N(G)(式中、Gは、同一または異なる意味を有していてもよく、かつ、−O−により中断されていてもよく、非置換であっても、ヒドロキシルまたはフェニルで置換されていてもよいC〜C12アルキルであり、該フェニル基は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシまたはハロゲンでさらに置換されていてもよく、あるいは、非置換であるか、またはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシもしくはハロゲンで置換されているフェニルであり;最も好ましくは、Gは、C〜C12アルキルである)で示されるもの)、あるいはカチオン性ホスホニウム基(特に、式−P(G)(式中、Gは上記で定義した通りである)で示されるもの)、あるいはフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基(好ましくは置換フェニルまたはベンゾイルを除く)のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)から互いに独立して選択される置換基であり;酸性(例えばカルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ)または塩基性(例えばアミノ、モノもしくはジ−(C〜C10−アルキル)アミノ)基は、それぞれアニオンまたはカチオンの形態で存在してもよく(すなわち、塩を形成する);
103およびR104は、水素、C〜C12−アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12アルキル、またはフェニルもしくはフェニル−C〜C10アルキル(いずれにおいてもフェニルは、非置換であるか、あるいは、C〜C12アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12−アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシル置換C〜C12アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ(−O−P(=O)(OH))、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、アセチルアミノ等のC〜C10−アルカノイルアミノ、モノもしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、フェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基(好ましくは置換フェニルまたはベンゾイルを除く)のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)から独立して選択される1個または複数、特に最大3個の部分で置換されている)からなる群から独立して選択され;酸性(例えばカルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ)または塩基性(例えばアミノ、モノもしくはジ−(C〜C10−アルキル)アミノ)基は、それぞれアニオンまたはカチオンの形態で存在してもよく(すなわち、塩を形成する);フェニルまたはフェニル−C〜C10アルキルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、スルホ、ヒドロキシまたはアミノで置換されていることが好ましく;R103およびR104のうち少なくとも1つは水素であることが好ましい]を有する基の群から特に選択される、非置換または置換アントラキノン部分である。
【0047】
式1a、1bおよび1cのR101、R102、R103およびR104部分の右下の指数は、0〜2個(“0−2”)、0〜3個(“0−3”)、または0〜4個(“0−4”)の該部分が存在しうることを意味する。
【0048】
置換C〜C12−アルキルにおいては、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル(−COOH)、スルホ(S(O)OH)、スルファト(−O−S(O)OH)、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ホスホ(−O−P(=O)(OH))、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、アセチルアミノ等のC〜C10−アルカノイルアミノ、モノ−もしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、あるいはフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基(好ましくは置換フェニルまたはベンゾイルを除く)のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)からなる群から互いに独立して選択されることが好ましい、1個または複数、特に最大3個の置換基が存在し;酸性(例えばカルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ)または塩基性(例えばアミノ、モノもしくはジ−(C〜C10−アルキル)アミノ)基は、それぞれアニオンまたはカチオンの形態で存在してもよい(すなわち、塩を形成する)。
【0049】
−O−、−S−、−N(R)−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−およびフェニレン(ここで、Rは水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである)からなる群から選択される基のうち少なくとも1個により結合し、かつ/または中断されていてもよい、置換C〜C25アルキレンにおいては、C〜C25−アルキルに関して上述した置換基、および、非置換または置換C〜C12アルキルのRから互いに独立して選択される、1個または複数、特に最大3個の置換基が存在する。
【0050】
ヒドロキシル置換(例えばC−C12)アルキルにおいては、1個または複数、好ましくは1個または2個の水酸基が存在しうる。
【0051】
この可溶性の新規化合物は、着色剤として、(それ自体で、または1種もしくは複数の添加剤を有する組成物の形態で)使用することができる。
【0052】
本発明の化合物を用いて着色できる担体という用語は、式Iで示される化合物を用いた染色(dying)および/または顔料での着色(pigmenting)により着色できる、材料、物品、製剤、頭髪、皮膚、爪もしくは歯等の生物界内の天然担体、または任意の他の有形物を含む。
【0053】
式Iで示される化合物により着色できる材料は、例えば、プラスチック材料、木材、石、砂、セメント、モルタル、樹脂、コーティング材料、金属、合金、繊維材料、紙、厚紙、革、象牙質、エナメル、または他の天然もしくは人工材料を含み、いずれも、内表面にも関わる含浸、または、可能な場合、例えばプラスチック、セメント、モルタル、樹脂、紙もしくはコーティング材料の場合は製造もしくは加工中のバルク添加により、表面上に着色することができる。最終的な材料または物品を得るための中間材料も含まれる。シリカ、アルミナ、アルモシリカまたはチタノ材料のような無機材料を、特許請求されているクラスターの部分加水分解により着色することで、この色官能化され、今や部分開口したクラスターを該無機材料に共有結合的に組み入れて、有機−無機ナノ−ハイブリッド材料を形成することができる。これらの材料は、例えばセンシング装置中の光インジケータまたは光検出器として有用である。有色ナノクラスターは、セラミックス上またはコンクリート材料中の有色コーティングを製造するために使用することができる。
【0054】
物品は、任意の完成した物品もしくは物体、または製品の部品、例えば、電子ペーパー、織物、布、靴、家具、車両または車両部品、例えばタイヤ、印刷製品、電子製品、包装材料、機械、工具、機器、楽器、補綴、装置、容器、床材等であることができ、半製品などの不完全な製品も含まれる。
【0055】
製剤は、他の慣習的な添加剤(例えば溶媒、可溶化剤等)、および、存在する場合は活性な実体(例えば薬学的に活性な実体)をさらに含む、治療用組成物、診断用組成物、化粧品組成物、肥料組成物、歯科用組成物、洗浄組成物、または他のホームケア組成物でありうる。他の製剤は、塗料、ラッカー、静電トナー、プラスチックおよびポリマーに対するインク添加剤、シーラント、カラーフィルター、有色接着剤、ならびに/または印刷系を含む。
【0056】
生物界内での天然担体は、例えば、頭髪、爪、皮膚、歯、羽毛等でありうる。
【0057】
さらに、式Iで示される化合物の使用は、例えば、包装、タグ付け、およびラベル付け用途等でありうる。
【0058】
出発原料
本発明はまた、適切かつ好都合であれば、新規出発原料、出発原料および中間体の新規製造方法、ならびに、製造工程の方法の新規組み合わせに関するものである。
【0059】
式IIで示される出発原料は、公知であるか、または、当技術分野で公知の方法に従って、例えば実施例に記載の方法によって、もしくはそれに類似して調製することができる。
【0060】
式IIIで示される出発原料は、基本的に、X−L−C(R3b)=C(R)(R3a)基(式中、X、L、R、R3aおよびR3bは、式Iで示される化合物に関して定義した通りである)を担持する、対応する染料分子基Dである。
【0061】
これらの化合物は、公知の方法で、もしくはそれに類似して調製できるか、公知であるか、および/または市販されている。例えば、式IV:
【0062】
【化8】

【0063】
[式中、Dは、式Iで示される化合物に関して定義した通りであり、Halは、ハロゲン、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである]で示されるフッ化物を、式V:
【0064】
【化9】

【0065】
[式中、X、L、R、R3aおよびR3bは、式Iで示される化合物に関して定義した通りである]で示される化合物と、例えば、金属炭酸塩、例えば炭酸セシウム、ナトリウムもしくはカリウム等の適切な塩基の存在下、有用であれば2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび/またはPd(dba)(dba=ジベンジリデンアセトン)等の触媒の存在下、適切な溶媒、例えば、ジオキサン等のエーテル中、例えば約0℃〜反応混合物の還流温度、例えば0〜100℃の温度でカップリングさせて、式IIIで示される対応する化合物を得ることができる。
【0066】
あるいは、式III中の(R)(R3a)C=C(R)−基と結合しているカルボニル基である、−K−C(=O)−基(式中、Kは、単独のNHもしくはO、またはそれに加えてパラ−フェニレン基である)によって、Lが中断されている、式IIIで示される化合物は、式VI:
【0067】
【化10】

【0068】
[式中、Kは、OまたはNHであり、L’は、単独の、または上述したさらなるp−フェニレン基を有する−O−C(=O)基がまだ存在しておらず、代わりに水酸基が存在している、式Iで示される化合物に関して定義した通りであるL基の前駆体基(すなわち、引き続いて定義されるQ−C(=O)−O−と一緒になって対応するL部分を形成する相補的な基)である]で示される化合物と、式VII:
【0069】
【化11】

【0070】
[式中、R、R3aおよびR3bは、式Iで示される化合物に関して定義した通りであり、Qは、存在しないか、あるいは、p−フェニレン、またはその反応性誘導体、例えばそのエステル、無水物、ハロゲン化物(例えば塩化物)もしくは活性エステルである]で示される不飽和酸とから、トルエンまたはジクロロメタン等の適切な溶媒または溶媒混合物中、酵素、例えばNOVO435(Novozymes、デンマーク)等のリパーゼ、および/または適切な塩基、例えば三級窒素塩基の非存在下または存在下、例えば−50〜60℃の範囲の温度で、所望に応じて軽度の真空下で得ることができ、その反応により、−Q−C(=O)−K−L’が一緒にL(の特別な変形)を形成する式IIIに該当する、式III
【0071】
【化12】

【0072】
[式中、R、R3a、R3bおよびXは、式Iで示される化合物に関して定義した通りであり、K、QおよびL’は、式VIおよび式VIIで示される化合物に関してそれぞれ定義した通りである]で示される化合物が得られる。
【0073】
式VIで示される化合物は、例えば、式VIII:
【0074】
【化13】

【0075】
[式中、L’およびXは、式VIで示される化合物に関して定義した通りである]で示される化合物と、上記の式IVで示される化合物とを、式IVで示される化合物と式Vで示される化合物との反応に関して上記した条件と同一または類似の条件下で反応させ、KがNHである場合は、必要に応じて、NHを例えばtert−ブトキシ基で保護し、反応後に保護基を除去することで、あるいは、例えば、銅粉、および酢酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等の塩基の存在下、トルエン中、例えば30〜90℃の高温で反応させることで調製することができる。
【0076】
好ましくは、式IIIで示される化合物は、実施例に記載のように調製することができる。
【0077】
本発明の好ましい実施形態
Lの非常に重要な意味は、式−C〜C25アルキレン−の架橋メンバーであり、C〜C25アルキレン基は、中断されていないか、あるいは、−N(R)−、−O−もしくは−S−、およびフェニレンからなる群から選択される基のうち少なくとも1個を介して結合しているか、またはそれにより中断されているが、但し、C〜C25アルキレンおよびフェニレンは、上記のように置換されていてもよく、上記の構造上の例外によって置換されていないことが好ましい。
【0078】
本発明は特に、参照により本明細書に組み入れられる、請求項、特に従属項において与えられる、式Iで示される化合物、プロセス、方法および使用、特に、実施例において与えられる化合物、その製造、および/またはその使用に言及する。
【0079】
実施例:
下記の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく例示する。部またはパーセントは重量による。
【0080】
後続の実施例で使用される出発原料は、以下のように調製することができる。
【0081】
参考例A)式(1.1)で示される化合物の合成
【0082】
【化14】

【0083】
式(1.1)で示される化合物を、(市販の、または欧州特許第0430434号に従って調製される)対応する1−フルオロ−アントラキノンから得る。ジオキサン150ml中のフルオロ−アントラキノン7.5gと、アリルアミン(Fluka)25mlおよび炭酸カリウム(Fluka)4.5gとの混合物を、40℃で、出発フッ化物のすべてが消費されるまで約24時間激しく撹拌する。次に、反応混合物を濾過し、溶媒を留去する。得られた残渣を酢酸エチル中に取り込み、0.1N塩化水素(2回)、炭酸水素ナトリウム、最後にブラインで順次洗浄する。溶媒を留去して、純粋な1−N−アリル−アントラキノン(1.1)をアモルファス固体として得る。H−NMR(CDCl,300MHz):δ 3.94(m,2H);5.17(dq,1H);5.27(dq,1H);5.91(ddt,1H);6.96(dd,1H);7.44(dd,1H);7.52(dd,1H);7.61(dt,1H);7.67(dt,1H);8.15(ddd,1H);8.20(ddd,1H);9.77(broad s,NH).13C−NMR(CDCl,75MHz):δ 44.12;114.67;115.46;116.92;125.47(2C);131.70;131.80;132.45;132.65;132.82;133.41;133.72;133.93;150.29;183.79;184.00.
【0084】
参考例B)式(2.1)で示される化合物の合成
【0085】
【化15】

【0086】
化合物(2.1)を、(例えば、K.S.Chamberlain,Synthetic Commun.1995,25,27に従って調製される)1−ブロモ−4−(N−メチルアミノ)−アントラキノンから得る。その臭化物5.0g、アリルアミン(Fluka)1.8ml、炭酸セシウム(Fluka)15.4g、BINAP(Aldrich)0.78g、およびPd(dba)(Aldrich)0.10gを、乾燥ジオキサン100ml中、窒素雰囲気下、出発臭化物のすべてが消費されるまで4時間かけて100℃に加熱する。得られた混合物を冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水、次いでブラインで順次洗浄する。溶媒を留去して得た残渣(resiue)を、シリカゲルカラム(Fluka:メッシュ230〜400)および溶離液(ヘキサン−酢酸エチル15:1(v/v))上で精製して、式(2.1)で示される化合物を得る。H−NMR(CDCl,300MHz):δ 3.00(d,3H);3.97(m,2H);5.14(dq,1H);5.23(dq,1H);5.91(ddt,1H);7.09(s,2H);7.60(m,2H);8.23(m,2H);10.47(broad s,NH);10.67(broad s,NH).13C−NMR(CDCl,75MHz):δ 29.77;45.36;110.03;110.25;116.64;122.81;123.71;126.13;126.17;132.02;132.10;134.54(2C);134.62;145.79;146.95;182.22;182.56.
【0087】
参考例C)式(3)で示される公知化合物(オクタキス(ヒドロジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン)を、文献のプロトコル(D.Hobbel et al.,Z.Chem.1989,260)に従って、市販のかご型化合物(3a)(Aldrich)から約82%で合成する。(3)の構造は、下記のNMRデータから判明する。あるいは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich(“Aldrich”)から(3)を直接購入できる。
【0088】
【化16】

【0089】
(式(3a)に示されない対イオン)
H−NMR(CDCl,500MHz):δ 0.20(s,6H);4.75(s,1H).
13C−NMR(CDCl,75MHz):δ 0.00.
29Si−NMR(CDCl,99MHz):δ −108.65;−1.35.
【0090】
実施例1:赤色クラスター化合物(1)((3)および(1.1)からの合成):
【0091】
【化17】

【0092】
アルゴン雰囲気中で、化合物(3)(参考例C))7.2g、アントラキノン化合物(1.1)(参考例(A))19.3g、および、ヘキサクロロ白金酸溶液1.0ml(テトラヒドロフラン10ml中0.10g)を、乾燥トルエン340ml中に溶解させ、化合物(3)が消費されるまで24時間かけて100℃に加熱する。次に、溶媒を留去し、残渣をショートシリカゲルパッド(Fluka:メッシュ230〜400)および溶離液(ヘキサン−酢酸エチル10:1(v/v))上を通過させて、未反応の過剰アントラキノンを除去する。次に、所望の生成物を、シリカゲルカラム(Fluka:メッシュ230〜400)および溶離液(メタノール−ジクロロメタン1:10(v/v))上で精製して、赤色クラスター化合物(1)を単一の異性体として得る。H−NMR(CDCl,500MHz):δ 0.29(s,6H);0.82(m,2H);1.83(m,2H);3.33(q,2H);6.87(dd,1H);7.39(m,2H);7.62(m,2H);8.10(ddd,2H);9.60(broad t,NH).13C−NMR(CDCl,75MHz):δ −1.17;14.24;21.90;44.92;111.62;114.51;116.64;125.65(2C);131.92(2C);132.89;133.44;133.84;134.20;150.44;182.43;183.63.29Si−NMR(CDCl,99MHz):δ −108.79;13.13.
【0093】
実施例2:青色クラスター化合物(2)((3)および(2.1)からの合成)
【0094】
【化18】

【0095】
アルゴン雰囲気中で、化合物3 3.0g、アントラキノン化合物(2.1)(参考例(B))10.3g、および、ヘキサクロロ白金酸溶液0.8ml(テトラヒドロフラン10ml中0.10g)を、乾燥トルエン150ml中に溶解させ、化合物(3)が消費されるまで24時間かけて100℃に加熱する。次に、溶媒を留去し、残渣をショートシリカゲルパッド(Fluka:メッシュ230〜400)および溶離液(ヘキサン−酢酸エチル10:3(v/v))上を通過させて、未反応の過剰アントラキノンを除去する。次に、所望の生成物を、シリカゲルカラム(Fluka:メッシュ230〜400)および溶離液(メタノール−ジクロロメタン1:3→2:3(v/v))上で精製して、青色クラスター化合物(2)を単一の異性体として得る。H−NMR(CDCl,500MHz):δ 0.36(s,6H);0.87(m,2H);1.90(m,2H);2.92(d,3H);3.31(m,2H);6.85(d,1H);6.93(d,1H);7.66(dd,2H);8.27(dd,2H);10.45(broad q,NH);10.75(broad t,NH).13C−NMR(CDCl,75MHz):δ 0.00;15.51;23.40;29.32;46.04;109.39(2C);122.58;122.96;125.82(2C);131.55(2C);134.31(2C);146.46(2C);181.65(2C).
29Si−NMR(CDCl,99MHz):δ −108.6;13.15.
【0096】
下記の実施例は、上述の実施例に類似して調製することができる。
下記の実施例中の化合物の式:
【0097】
【化19】

【0098】
[式中、CAGEは、式Iで示される化合物に関して定義した通りであり、部分:
【0099】
【化20】

【0100】
は表中で定義した通りである(半結合での星印は、式Iで示される化合物において結合が形成されている位置を示し、式IA中の半結合も星印で示す)]:
【0101】
【表1】



【0102】
式IIIで示される対応する出発原料は、以下のように調製することができる。
【0103】
実施例3:式(3.1)で示される化合物の合成
【0104】
【化21】

【0105】
式(3.1)で示される赤色化合物を、式(3.2)で示される化合物0.25g、およびアクリル酸メチルエステル1.00mlから、下記の化合物6.1に類似して得る。H−NMR(CDCl,300MHz):3.49(dt,2H;4.31(t,2H);5.76(dd,1H);6.05(dd,1H);6.35(dd,1H);6.90(dd,1H);7.33(dd,1H);7.39(dd,1H);7.54(m,2H);8.04(m,2H);9.67(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):41.85;62.90;113.59;116.19;117.57;126.75;126.84;128.19;131.63;133.04;133.09;133.96;134.75;134.91;135.37;151.37;166.06;183.42;185.00.
【0106】
化合物3.2:
赤色化合物3.2
【0107】
【化22】

【0108】
を、1−フルオロ−アントラキノン1.50g、およびエタノールアミン1.00mlから、参考例A)に類似して得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.65(s,broad,2H);3.47(t,2H);3.90(t,2H);7.01(dd,1H);7.43(dd,1H);7.50(dd,1H);7.57−7.68(m,2H);8.14(m,2H);9.56(broad t,1H).
【0109】
実施例4:
式4.1で示される化合物
【0110】
【化23】

【0111】
を、メタクリル酸メチルエステルを用いて、化合物3.1に類似して得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.90(s,3H);3.62(dt,2H);4.36(t,2H);5.52(t,1H);6.11(s,1H);7.06(dd,1H);7.50(m,2H);7.65(m,2H);8.17(m,2H);9.83(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):17.24;40.43;61.67;112.32;114.85;116.29;124.99;125.43;125.49;131.72;132.61;132.65;133.50;133.63;134.04;134.67;136.55;150.14;165.91;182.22;183.79.
【0112】
実施例5:
式5.1で示される化合物
【0113】
【化24】

【0114】
を実施例3.1)に類似して得る。H−NMR(C,300MHz):2.79(dt,2H);3.92(t,2H);4.81(d,1H);5.29(dd,1H);6.15(dd,1H);6.32(dd,1H);6.78−6.88(m,5H);7.47(dd,1H);7.87(m,2H);7.96(m,2H);9.78(broad t,1H).
【0115】
実施例6:
式6.1で示される化合物
【0116】
【化25】

【0117】
を以下のように得る:式(6.2)で示される化合物を、生体触媒NOVO435(Novozymes、デンマーク)の存在下でエステル化する。50℃、および約450mbarの真空下で、式(6.2)で示される化合物10.0g、アクリル酸メチルエステル22.2ml、および生体触媒5.0gを、トルエン75ml中で、式(6.2)で示される出発化合物のすべてが消費されるまで24時間反応させる。次に、混合物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、溶媒を留去する。真空乾燥の後、式6.1)で示される所望の赤色アクリル酸エステルを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.35−1.77(m,8H);3.25(dt,2H);4.10(t,2H);5.73(dd,1H);6.04(dd,1H);6.28(dd,1H);6.96(dd,1H);7.44(dd,1H);7.50(dd,1H);7.60(dt,1H);7.66(dt,1H);8.14(m,2H);9.64(broad,t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):26.15;27.23;28.93;29.40;43.19;64.77;113.11;115.77;117.98;126.83;126.88;128.78;130.67;133.04;133.22;134.06;134.87;135.22;135.43;151.90;166.40;183.87;185.04.
【0118】
化合物(6.2):
【0119】
【化26】

【0120】
1−フルオロ−アントラキノン6.0g、ヘキサノールアミン(FLUKA)3.4g、および炭酸カリウム4.0gの混合物を、出発フッ化物が消費されるまで25時間かけて、95℃に加熱撹拌する。次に、反応混合物を濾過し、ジオキサンを留去する。赤色残渣を酢酸エチル中に取り込み、1N塩化水素(3回)、飽和(satured)塩化水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次抽出する。溶媒を留去して得た赤色残渣を、ショートシリカゲルカラム(メッシュ230〜400、Fluka)および溶離液(ヘキサン−酢酸エチル10:2(v/v))上で精製して、式(6.2)で示される所望の赤色化合物を得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.40−1.81(m,8H);3.26(ddd,2H);3.66(t,2H);6.98(dd,1H);7.45(ddd,1H);7.50(dd,1H);7.62−773(m,2H);8.15−8.22(m,2H).13C−NMR(CDCl,75MHz):25.85;27.29;29.34;32.79;43.06;62.70;112.94;115.76;118.11;126.78;126.83;133.05;133.13;134.13;134.74;135.18;135.45;151.78;184.06;184.99.
【0121】
実施例7:
【0122】
【化27】

【0123】
化合物6.1の合成に類似して、式(7.1)で示されるエステル10.5gを、式(6.2)で示されるアルコール10.0gおよび生体触媒8.0gから、トルエン60ml中で得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.36−1 68(m,8H);1.87(dd,3H);3.8(m,2H);4.08(t,2H);5.45(m,1H);6.01(m,1H);6.76(dd,1H);7.23(ddd,1H);7.35(ddd,1H);7.48−7.60(m,2H);8.02(m,2H);9.44 broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):18.65;26.14;27.16;28.89;29.90;40.05;64.79;112.95;115.47;117.70;125.31;126.56;126.65;132.77;132.99;133.78;134.50;134.97;135.09;136.59;151.51;167.38;183.31;184.49.
【0124】
実施例8:
【0125】
【化28】

【0126】
式(8.1)で示される化合物を実施例6.1に類似して得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.20−165(m,8H);3.17(q,2H);4.23(t,2H);2.26(dd,1H);5.73(dd,1H);6.59(dd,1H);6.87(dd,1H);7.28−7.44(m,4H);7.50−7.62(m,2H);7.84(m,2H);8.09(m,2H);9.56(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):24.78;25.76;27.57;27.91;41.68;63.67;111.55;114.22;115.15;116.45;124.80(2xC);125.33(2xC);128.27;128.54(2xC);131.48;131.70;132.51;133.27;133.68;133.86;134.71;140.55;150.32;165.00;182.24;183.40.
【0127】
実施例9:
【0128】
【化29】

【0129】
式(9.2)で示される化合物(6.50g)を、トリエチルアミン10.1mlと共に、室温(約1時間)で、乾燥ジクロロメタン120ml中に完全に溶解させた後、−40℃〜−50℃に冷却する。この温度で、ジクロロメタン50mlに溶解させたアクリル酸クロリド1.80mlを45分以内で加える。さらなるジクロロメタン(100ml)を反応混合物に加える。次に、有機相を、1N塩化水素(3回)、飽和(satured)炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、留去して式(9.1)で示される所望のアクリルアミドを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.20−1.58(m,6H);1.64−1.74(m,2H);3.19−3.32(m,4H);5.54(dd,1H);5.71(broad,s,1H);6.02(dd,1H);6.18(dd,1H);6.94(dd,1H);7.42(dd,1H);7.47(dd,1H);7.56−7.68(m,2H);8.14(m,2H);9.61(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):27.01;27.18;29.29;29.82;39.81;43.11;112.95;115.72;117.99;126.24;126.76;126.80;131.25;133.01;133.12;134.03;134.71;135.12;135.38;M 151.80;165.77;183.77;184.90.
【0130】
化合物9.2:
【0131】
【化30】

【0132】
室温で、式(9.3)で示されるBoc保護化合物10.2gを、ジオキサン50mlに溶解させる。次に、この混合物に、4N塩化水素50mlのジオキサン溶液を小分けして加え、式(9.3)で示される出発化合物が消費されるまで激しく撹拌する。式(9.2)で示される化合物をその塩化水素塩として濾去し、ジオキサン、ヘキサンおよびジクロロメタンで順次洗浄し、最後に高真空乾燥させて赤色粉末を得る。H−NMR(CDOD,300MHz):1.26−1.85(m,6H);2.94(t,2H);3.24(dt,2H);6.96(dd,1H);7.43(dd,1H);7.49(dd,1H);7.60(dt,1H);7.67(dd,1H);8.16(m,2H);9,64(broad t,1H).13C−NMR(CDOD,75MHz):27.03;27.45;29.48;34.08;42.51;43.27;113.09;115.74;118.03;126.83;126.88;133.03;133.24;134.07;134.89;135.24;135.43;151.95;183.91;184.05.
【0133】
化合物9.3:
【0134】
【化31】

【0135】
N−Boc−1,6−ジアミノヘキサン(ALFA AESAR)6.75g、炭酸カリウム3.60g、および1−フルオロ−アントラキノン5.80gの混合物を、ジオキサン70ml中、75℃で、出発1−フルオロ−アントラキノンが消費されるまで23時間撹拌する。次に、反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチル中に取り込み、1N塩化水素(3回)、飽和(satured)炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次洗浄する。溶媒を留去して式(9.3)で示される赤色化合物を得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.30−1.52(m,15H);1.66−1.74(m,2H);3.06(broad q,2H);3.25(dq,2H);4.45(broad s,1H);6.97(dd,1H);7.44(dd,1H);7.50(dd,1H);7.61(dt,1H);7.67(dd,1H);8.14(m,2H);9,64(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):26.89;27.23;28.80;29.39;30.40;40.08;43.20;79.78;111.84;115.77;118.03;126.85;126.88;133.04;133.13;134.07;134.84;135.18;135.45;151.08;184.00;184.59.
【0136】
実施例10:
【0137】
【化32】

【0138】
化合物9.1の合成に類似して、式(9.2)で示されるアミン5.20gを、メタクリル酸クロリド2.10mlを用いて、式(10.1)で示されるアミドに変換する。式(10.1)で示される化合物を、ショートシリカゲル(230〜400メッシュ、FLUKA)およびヘキサン−酢酸エチル1:1(v/v)上で精製する。H−NMR(CDCl,300MHz):1.20−1.83(m,8H);1.96(dd,3H);3.33(dt,2H);5.29(quint.,1H);5.65(quint.,1H);5.85(broad,1H);7.05(dd,1H);7.52(dd,1H);7.47(dd,1H);7.57(dd,1H);7.63(dd,1H);7.74(dd,1H);8.24(m,2H);9.71(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):19..09;27.03;27.21;29.34;29.91;39.91;43.17;113.10;115.78;118.03;119.25;126.83;126.88;133.06;133.22;134.07;134.85;135.22;135.46;140.48;151.91;168.55;183.88;185.07.
【0139】
実施例11:
【0140】
【化33】

【0141】
化合物6.1の合成に類似して、式(11.2)で示される化合物0.25gを、メタクリル酸メチルエステル1.00mlおよび生体触媒0.5gを用い、トルエン5ml中、60℃でエステル化して、シリカゲルカラム(230〜400メッシュ、FLUKA)および溶離液酢酸エチルを経て式(11.1)で示される青色エステルを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.96(dd,3H);2.89(d,3H);3.53(dt,2H);4.32(t,2H);5.55(dq,1H);6.14(dq,1H);6.90(d,1H);7.00(d,1H);7.75(m,2H);8.18(m,2H);10.32(broad q,1H);10.61(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):18.69;29.66;41.63;63.45;110.06;110.54;122.75;122.99;126.07;126.15;126.40;131.96;132.11;134.42;134.56;136.10;145.37;146.85;167.33;182.15;182.61.
【0142】
化合物11.2:
【0143】
【化34】

【0144】
1−N−メチル−4−ブロモアントラキノン(5.0g)、エタノールアミン(FLUKA)2.0ml、銅粉0.1g、および酢酸ナトリウム1.8gをトルエン15ml中に投入し、激しく撹拌しながら80℃に加熱する。3時間後、混合物をシリカゲル(230〜400メッシュ、FLUKA)カラムに適用し、ジクロロメタン−メタノール10:1(v/v)で溶離して、式(11.2)で示される所望のアルコールを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):3.01(s,3H);3.52(t,2H);3.88(t,2H);7.08(d,1H);7.18(d,1H);7.57(m,2v H);8.22(m,2H);10.48(broad,1H);10.74(broad,1H).
13C−NMR(S(O)(CD,75MHz):30.00;45.53;60.71;109.06;109.11;124.54;125.25;126.22;126.26;132.73(2xC);134.47;134.51;146.62;147.28;181.06(2xC).
【0145】
実施例12:
【0146】
【化35】

【0147】
化合物6.1の合成に類似して、式(12.2)で示されるアルコール5.0gを、生体触媒4.0gの存在下で、式(12.1)で示されるエステルに変換する。触媒から濾過し、生体触媒をジクロロメタンで洗浄して、式(12.1)で示されるエステルを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.35−1.76(m,8H);3.02(d,3H);3.32(dt,2H);4.09(t,2H);5.74(dd,1H);6.04(dd,1H);6.28(dd,1H);7.15(s,2H);7.61(m,2H);8.23(m,2H);10.53(broad q,1H);10.66(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):
【0148】
化合物12.2:
【0149】
【化36】

【0150】
化合物11.2の合成に類似して、1−N−メチル−4−ブロモアントラキノン1.0g、6−アミノヘキサノール(FLUKA)1.0g、炭酸カリウム0.6g、および銅粉0.2gを、トルエン5ml中で26時間かけて100℃に加熱する。反応混合物を濾過し、アセトンで洗浄し、残渣をジクロロメタンに溶解させる。青色溶液をシリカゲル(230〜400メッシュ、FLUKA)に適用し、ジクロロメタン−メタノール10:2(v/v)で溶離して、式(12.2)で示される所望の青色アルコール0.5gを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.32−1.61(m,6H);1.69(quint.,2H);2.99(d,3H);3.29(q,2H);3.58(t,2H);7.10(dd, 2H);7.60(dd,2H);8.21(dd,2H);10.51(broad,1H);10.64(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):25.86;27.27;29.83;29.88;32.95;43.11;63.04;109.90;110.09 123.24;123.69;126.17(2xC);132.10(2xC);134.03;134.68;146.34;147.03;182.35(2xC).
【0151】
実施例13:
【0152】
【化37】

【0153】
化合物6.1の合成に類似して、式(12.2)で示されるアルコール1.7gを、生体触媒2.5gの存在下で、式(13.1)で示されるエステルに変換する。触媒から濾過し、生体触媒をジクロロメタンで洗浄し、最後にシリカゲル(230〜400メッシュ、FLUKA)カラム(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル10:3(v/v))上で精製して、式(13.1)で示されるエステルを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.37−1.52(m,4H);1.60−1.77(m,4H);1.87(dd,3H);3.02(s,3H);3.32(dt,2H);4.08(t,2H);5.45(quint.,1H);6.00 quint.,1H);7.15(m,2H);7.61(m,2H);8.23(m,2H);10.50(broad,1H);10.70(broad,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):
【0154】
実施例14:
【0155】
【化38】

【0156】
式(14.2)で示される化合物(3.20g)を、トリエチルアミン2.8mlと共に、室温で乾燥ジクロロメタン45ml中に溶解させた後、−40℃〜−50℃に冷却する。この温度で、ジクロロメタン5mlに溶解させたアクリル酸クロリド0.88mlをその混合物に滴下する。式(14.2)で示される出発アミンのすべてが消費された後、有機相を、1N塩化水素(3回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次抽出する。有機相を留去して得た青色残渣を、シリカゲル(メッシュ230〜400、Fluka)カラムおよび溶離液ジクロロメタン−メタノール8:2(v/v)上で精製して、式(14.1)で示されるアミドを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.33−1.58(m,4H);1.65−1.75(m,2H);3.03(s,3H);3.24−3.37(m,4H);5.54(dd,1H);5.60(broad s,1H);6.00(dd,1H);6.18(dd,1H);7.17(d,2H);7.58(m,2H);8.23(m,2H);10.56(broad q,1H);10.68(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):26.94;27.84;29.72;29.75;29.84;39.75;42.93;109.57;109.75;123.13;123.51;126.00;126.08(2xC);128.97;131.30;131.93(2xC);134.54;146.19;146.91;165.91;182.32;182.37.
【0157】
化合物14.2:
【0158】
【化39】

【0159】
室温で、式(14.3)で示されるBoc保護化合物2.2gを、ジオキサン5mlに溶解させる。次に、この混合物に、4N塩化水素10mlのジオキサン溶液を小分けして加え、式(14.3)で示される出発化合物が消費されるまで激しく撹拌する。次に、混合物を留去し、得られた残渣を水に溶解させる。水相をジクロロメタンで抽出し、次に4N水酸化ナトリウム溶液でpH=10にし、ジクロロメタンで再抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて所望の青色アミンを回収する。溶媒を留去して式(14.2)で示される化合物を得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.31−1.52(m,4H);1.68−1.77(m,2H);2.68(broad t,2H);3.02(d,3H);3.30(dq,2H);7.08(d,2H);7.60−7.65(m,2H);8.27(m,2H);10.53(broad q,1H);10.65(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):27.03;27.44;29.78;29.98;34.07;42.49;43.16;109.82;110.04;123.08;123.60;126.12;131.95;132.02;134.63;134.68;146.22;146.92;153.08;182.20;182.24.
【0160】
化合物14.3:
【0161】
【化40】

【0162】
1−N−メチル−4−ブロモアントラキノン(11.0g)、炭酸カリウム4.8g、銅粉0.5g、およびN−Boc−1,6−ジアミノヘキサン(ALFA AESAR)8.3gをトルエン70ml中に投入し、激しく撹拌しながら75℃に加熱する。2.5日後、別のバッチの保護ジアミン0.8gを加える。さらに3.5日後、さらなるバッチの保護ジアミン1.0gを加え、さらに24時間撹拌を続ける。混合物を濾過し、有機相を、2N塩化水素(2回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次洗浄する。溶媒を留去して式(14.3)で示される保護アミンを得る。これをさらに精製せずに加工する。H−NMR(CDCl,300MHz):1.37−1.57(m,15H);1.72−1.81(m,2H);3.06−3.16(m,5H);3.37(dt,2H);4.60(broad s,1H);7.20(s,2H);7.64−7.69(m,2H);8.32(m,2H);10.60(broad q,1H);10,72(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):26.88;27.19;28.81;29.85;29.90;40.11;43.12;79.78;109.96;110.14;123.24;123.70;126.20(2xC);132.12(2xC);134.68(2xC);146.31;147.04;153.08;182.44(2xC).
【0163】
実施例15:
【0164】
【化41】

【0165】
化合物9.1の合成に類似して、式(14.2)で示されるアミン3.50gを、メタクリル酸クロリド1.7mlおよびトリエチルアミン5.5mlを用いて、式(15.1)で示されるアミドに変換する。室温に温めた後、有機相を、1N塩化水素(3回)、飽和(satured)炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインで順次抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、留去して得た青色残渣を、シリカゲル(メッシュ230〜400、Fluka)カラムおよび溶離液酢酸エチル上で精製して、式(15.1)で示される青色アミドを得る。H−NMR(CDCl,300MHz):1.36−1.62(m,6H);1.71(quint.,2H);1.94(dd,3H);3.02(d,3H);3.29(m,4H);5.26(broad q,1H);5.64(broad q,1H);6.01(broad t,1H);7.08(s,2H);7.64(m,2H);8.26(m,2H);10.54(broad q,1H);10.65(broad t,1H).13C−NMR(CDCl,75MHz):19.09;26.99;27.1;29.73;29.77;29.81;39.89;43.00;109.72;109.91;119.28;123.10;123.54;126.06;126.10;131.96(2xC);134.60;134.61;140.42;146.17;146.91;168.62;182.05(2xC).
【0166】
実施例16:色箔の調製のための使用
前述の実施例1〜15のいずれか1つに係る染料を、箔用のPE−LD溶融物に、0.5重量%の割合で加える。混合物を押出加工して色箔を得る。染料のナノ構造によって、色箔の有利な特性が得られる。
【0167】
実施例17:羊毛の着色
羊毛をKal(SO(カリウムミョウバン(alumn))で媒染処理する。次に、前述の実施例1〜15のいずれか1つに係る染料を加える。染料のナノ構造によって、有利な特性を有する有色羊毛が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化42】


[式中、
AおよびA’は、それぞれ他から独立してC〜Cアルキルであり;
CAGEは、式IA:
【化43】


(式中、星印()は、式
【化44】


で示される部分に結合している結合を示す)で示される部分であり、
Dは、発色団部分であるが、但し、式Iで示される分子中の全8個のD部分は同一であり;
Eは、**−C(R3a)(R)−C(H)(R3b)−**、および/または
【化45】


(式中、二重星印(**)は、結合している結合をそれぞれ示し、R、R3aおよびR3bは、それぞれ他から独立して、水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである)であり;
Lは、直鎖または分岐の、非置換または置換C〜C25アルキレンであり、そのアルキレンは、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−およびフェニレン(ここで、Rは水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである)からなる群から選択される基のうち少なくとも1個により結合し、かつ/または中断されていてもよく;
Xは、−NR−または−O−であり;
は、水素、または非置換もしくは置換C〜C12アルキルである]で示される有色化合物、またはその塩。
【請求項2】
Dが、結合により式Iで示される分子の残りと結合している、アントラキノン、アクリジン、アジン、オキサジン、チアジン、キノリン、ポリメチン、アゾ、ポルフィン、アザポルフィン、キナクリドン;硫黄、テトラゾリウム、ニトロ、ニトロソ、キノンイミドまたはアゾメチン染料、他の発色団系を含むアゾ染料、公知の構成を有する他の合成染料、天然源から調製される天然起源の染料、および、担体と共有結合を形成するか、またはそれら自身と重合する反応性染料から選択される染料の基であり、上述の染料基はそれぞれ、非置換であってもよく、あるいは、C〜C10−アルキル、ヒドロキシル、スルホおよび/またはスルファトで置換されたC〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホおよび/またはスルファトで置換されたC〜C10−アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、C〜C10−アルカノイルアミノ、モノもしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、カチオン性四級アンモニウム、ならびにカチオン性ホスホニウム、ならびにフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)からなる群から特に選択される、1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
A、A’、CAGE、E、L、R、R3a、R3b、R、XおよびRは、請求項1において定義した通りである、
請求項1記載の式Iで示される化合物、またはその塩。
【請求項3】
Dが、アクリジン染料、アントラキノン染料、アザメチン染料;アゾ染料、例えばモノアゾ、ジスアゾまたはポリアゾ染料;ベンゾジフラノン染料、クマリン染料、ジケトピロロピロール染料、オキサジン染料、例えばフェノキサジン;ジオキサジン染料、カルボニル染料、例えばインジゴイドまたはアリザリン;メチン染料、例えばフェニロガスメチン染料、例えばジアリール(例えばフェニル)−メタンもしくはトリアリールメタン、またはポリメチン、例えばピナシアノールもしくはペラルゴニジン;ポリメチン染料、ナフタルイミド染料、ナフトキノン染料、ニトロアリール染料、オキサジン染料、例えばフェノキサジン;ペリノン染料、フェナジン染料、ポリアザ−アンヌレン染料、例えばフタロシアニン;ピレンキノン染料、キナクリドン染料、キノンイミン染料、キノフタロン染料、チアジン染料、例えばフェノチアジン;チオキサンテン染料、アリール−カルボニウム染料、およびキサンテン染料を含む群から、または、好ましくはこれらからなる群から選択される染料の基、より好ましくはアントラキノン、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ、フタロシアニンおよびジオキサジン染料の基であり、上述の染料基はそれぞれ、非置換であってもよく、あるいは、C〜C10−アルキル、ヒドロキシル、スルホおよび/またはスルファトで置換されたC〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホおよび/またはスルファトで置換されたC〜C10−アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、C〜C10−アルカノイルアミノ、モノもしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、カチオン性四級アンモニウム、カチオン性ホスホニウム基、ならびにフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)からなる群から選択される、1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
A、A’、CAGE、E、L、R、R3a、R3b、R、XおよびRは、請求項1において定義した通りである、
請求項1記載の式Iで示される化合物、またはその塩。
【請求項4】
Dが、“#”印が式I中のXに結合している結合の末端を示す、下記式:
【化46】


[式中、
101およびR102は、存在しないか、あるいは、C〜C12アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12−アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシル置換C〜C12アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、C〜C10−アルカノイルアミノ、モノもしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、カチオン性四級アンモニウム、またはカチオン性ホスホニウム基、およびフェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の置換基のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)から互いに独立して選択される置換基であり;
103およびR104は、水素、C〜C12−アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12アルキル、またはフェニルもしくはフェニル−C〜C10アルキル(いずれにおいてもフェニルは、非置換であるか、あるいは、C〜C12アルキル、ヒドロキシル置換C〜C12−アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシル置換C〜C12アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、カルボキシル、スルホ、スルファト、ホスホノ、ホスホ、シアノ、ニトロ、アミジノ、ウレイド、カルバモイル、スルファモイル、アミノ、アセチルアミノ等のC〜C10−アルカノイルアミノ、モノもしくはジ−(C〜C12−アルキル)アミノ、フェニルまたはベンゾイル(ここで、フェニルまたはベンゾイルは、非置換であるか、あるいは上述の他の置換基のうち少なくとも1個、特にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはスルホで、フェニル環において置換されている)から独立して選択される1個または複数、特に最大3個の部分で置換されている)からなる群から独立して選択される]を有する基の群から特に選択される、非置換または置換アントラキノン部分であり;
A、A’、CAGE、E、L、R、R3a、R3b、R、XおよびRは、請求項1において定義した通りである、
請求項1記載の式Iで示される化合物、またはその塩。
【請求項5】
Dが、式:
【化47】


で示される部分、または式:
【化48】


で示される部分[式中、“#”印は、式I中のXに結合している結合の末端を示す]であり;
n、A、A’、CAGE、E、L、R、R3a、R3b、R、XおよびRは、請求項1において定義した通りである、
請求項1記載の式Iで示される化合物、またはその塩。
【請求項6】
nが8であり、AおよびA’がそれぞれメチルであり、
CAGEが、請求項1において示すような式IAで示される部分であり、
Dが、式:
【化49】


で示される部分、または式:
【化50】


で示される部分[式中、“#”印は、式I中のXに結合している結合の末端を示す]であり;
Eが、**−C(R3a)(R)−C(H)(R3b)−**、および/または
【化51】


[式中、二重星印(**)は、結合している結合をそれぞれ示し、R、R3aおよびR3bは、それぞれ水素である]であり;
Lが、直鎖または分岐のC〜C12−アルキレンであり、そのアルキレンは、(特にパラ)フェニレン、−CO−O−および−CO−NH−からなる群から選択される基のうち1個または2個により結合し、または中断されていてもよく;
Xが、−NH−または−O−である、
請求項1〜4のいずれか一項記載の式Iで示される化合物、またはその塩。
【請求項7】
下記式:
【化52】


で示される化合物からなる群から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項8】
CAGEが、式Iで示される化合物に関して請求項1において定義した通りであり、部分:
【化53】


が下記の表:
【表2】




において定義されるものから選択される一つである、これらの化合物からなる化合物の群から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項9】
式II:
【化54】


[式中、AおよびA’は、式Iで示される化合物に関して、請求項1または請求項2〜8のいずれか一項において定義した通りである]で示される化合物を、式III:
【化55】


[式中、R、R3a、R3b、L、XおよびDは、式Iで示される化合物に関して、請求項1または請求項2〜8のいずれか一項において定義した通りである]で示される染料化合物と、ヒドロシリル化条件下で反応させ
(ここで、官能基は保護してもよい);
次に保護基を除去し;
所望に応じて、式Iで示される、得られる遊離化合物を塩に変換し、かつ/または式Iで示される化合物の得られる塩を、該遊離化合物もしくはその異なる塩に変換し;かつ/あるいは、式Iで示される化合物の得られる異性体を、式Iで示される化合物の得られる他の異性体から分離する、
請求項1または請求項2〜8のいずれか一項記載の式Iで示される化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1において示される式Iの化合物、または請求項1において示される式Iの化合物の混合物の、遊離形および/または塩としての、単独または組成物の形態での、担体の着色のための使用。
【請求項11】
担体が、材料、物品、製剤、天然担体、および包装、タグ付けまたはラベル付け用途で有用なものからなる群から選択される、請求項10記載の使用。
【請求項12】
式Iで示される化合物および/またはその塩、そのような化合物および/または塩の混合物、ならびに/あるいはそのような化合物および/または塩の組成物が、前記担体の外表面、内表面、および/またはバルク材料に適用される、請求項10〜11のいずれか一項記載の使用。

【公表番号】特表2009−541246(P2009−541246A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515820(P2009−515820)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055639
【国際公開番号】WO2007/147742
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】