説明

木質タール製造装置および方法

【課題】バイオマス処理によって生成される木質タールを燃料として有効活用するための木質タール製造装置および方法を提供する。
【解決手段】バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成するガス化炉5と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる温度まで熱分解ガスを冷却する熱交換器6と、前記熱分解ガスの冷却によって凝縮する液状分の木質タールを回収するタールタンク8とを備えており、バイオマスをガス化炉5で熱分解して熱分解ガスを生成し、熱交換器6で上記熱分解ガスを木質タールが凝縮する温度まで冷却し、タールタンク8に上記冷却にて凝縮させた液状分の木質タールを最大限に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス処理によって生成される木質タールを燃料として有効活用するために木質タールを製造する木質タール製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用、地球温暖化防止として、廃木材や間伐材などの木質系のバイオマスをエネルギーとして利用することが盛んに行われている。このバイオエネルギーの利用として、バイオマスをガス化炉にて無酸素或いは低酸素状態で熱分解することで水素やメタンなどを含んだ可燃性の熱分解ガスと炭化物を生成し、この可燃性の熱分解ガスを燃焼させて発電等に利用する方法が知られている。なお、廃木材や間伐材などの木質系のバイオマスを熱分解すると、副産物として木質タールが生成され、従来、このタールの利用用途がなくて処分に困っていた。
【0003】
そこで、本出願人らは、特開2010−91198号公報のように、常温では粘度が高い木質タールを35〜70℃に加熱して流動性を維持させて、ボイラーやドライヤ等の燃焼用のバーナに供給して燃焼させる装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−91198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーナの燃料として重油または都市ガスなどの化石燃料に代えて木質タールを使用できるとなると、カーボンニュートラルとなって地球温暖化防止のための二酸化炭素の排出量が抑制されることから、積極的にバーナの燃料として普及させようとするが、バイオマス処理の副産物である木質タールを大量に調達することはなかなか難しいという現状がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、燃料として利用される木質タールを専用に製造する装置及び方法を提供することを課題とするもので、請求項1のように、バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成するガス化炉と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる温度まで熱分解ガスを冷却する熱交換器と、前記熱分解ガスの冷却によって凝縮する液状分の木質タールを回収するタールタンクとを備えたことを特徴とする木質タール製造装置を提供するにある。
【0007】
また、請求項2のように、常温の清浄空気と熱交換させる熱交換器の下流に、熱交換器より導出される昇温した清浄空気を燃焼用空気として燃焼させるバーナを備え、熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼室と、該二次燃焼室から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する加熱乾燥装置とを備えたことを特徴とする木質タール製造装置を提供するにある。
【0008】
さらに、請求項3のように、バイオマスをガス化炉にて熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成する工程と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させて熱分解ガス中の木質タールが凝縮する温度まで冷却し、凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分を回収する工程と、回収した液状分から木質タールと木酢液を分離して燃料としての木質タールを得る工程とを有することを特徴とする木質タール製造方法を提供するにある。
【0009】
さらにまた、請求項4のように、木質タールを回収した熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼工程と、該二次燃焼工程から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する工程とを有することを特徴とする木質タール製造方法を提供するにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の木質タール製造装置は、請求項1のように、バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成するガス化炉と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる温度まで熱分解ガスを冷却する熱交換器と、前記熱分解ガスの冷却によって凝縮する液状分の木質タールを回収するタールタンクとを備えることによって、バイオマスをガス化炉で熱分解して熱分解ガスを生成し、熱交換器で上記熱分解ガスを木質タールが凝縮する温度まで冷却して木質タールを効果的に凝縮させ、タールタンクに上記冷却して凝縮させた液状分の木質タールを充填できて、木質タールを最大限に回収することができる。
【0011】
また、請求項2のように、常温の清浄空気と熱交換させる熱交換器の下流に、熱交換器より導出される昇温した清浄空気を燃焼用空気として燃焼させるバーナを備え、熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼室と、該二次燃焼室から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する加熱乾燥装置とを備えたことによって、木質タール製造装置での木質タールを回収した後の可燃性の熱分解ガスを燃焼させ、発生する高温排ガスを加熱乾燥装置に導入して被加熱物を加熱乾燥でき、木質タール製造装置と被加熱物の加熱乾燥装置とを併設することで、木質タール製造装置から発生する熱分解ガスの有効活用が図れる。
【0012】
さらに、請求項3のように、バイオマスをガス化炉にて熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成する工程と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させて熱分解ガス中の木質タールが凝縮する温度まで冷却し、凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分を回収する工程と、回収した液状分から木質タールと木酢液を分離して燃料としての木質タールを得る工程とを有することによって、上記のようにバイオマスをガス化炉で熱分解して熱分解ガスを生成し、熱交換器で上記熱分解ガスを木質タールが凝縮する温度まで冷却して木質タールを効果的に凝縮させ、タールタンクに上記冷却して凝縮させた液状分の木質タールを充填でき、木質タールを最大限に回収することができる。
【0013】
さらにまた、請求項4のように、木質タールを回収した熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼工程と、該二次燃焼工程から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する工程とを有することによって、木質タールを回収した後の可燃性の熱分解ガスを燃焼処理し、発生する高温排ガスの保有熱にて被加熱物を加熱乾燥することで熱分解ガスの有効活用が図れる。例えば、木質タール製造装置をアスファルトプラントと併設し、アスファルト混合物の素材であり、かつ含水率の高い砂を予備加熱乾燥することでアスファルトプラントの省エネルギーを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の木質タール製造装置は、バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成するガス化炉と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる温度まで熱分解ガスを冷却する熱交換器と、前記熱分解ガスの冷却によって凝縮する液状分の木質タールを回収するタールタンクとを備えたことを特徴としている。
【0016】
また、木質タール製造方法は、バイオマスをガス化炉にて熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成する工程と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させて熱分解ガス中の木質タールが凝縮する温度まで冷却し、凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分を回収する工程と、回収した液状分から木質タールと木酢液を分離して燃料としての木質タールを得る工程とを有することを特徴としている。
【0017】
木質タール製造装置1は、図1のように廃木材や間代材などの木質系のバイオマスを回収して貯留するバイオマスホッパー2を配設して、その下流に破砕機3を配設し、バイオマスを取り扱いやすいチップ状に破砕処理するようにしている。
【0018】
そして、この破砕処理したチップ状のバイオマスを適宜量ずつ払い出してスクリュコンベヤ等のコンベヤ4でガス化炉5に投入し、バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成処理するようにしている。ガス化炉5は、アップドラフト式ガス化炉として、木質タールが大量に発生する約400℃〜600℃程度の温度にて乾留を行う。なお、アップドラフト式ガス化炉は、比較的タール量が多い熱分解ガスが得られるため、本発明のように燃料として極力多くの木質タールを回収することを目的としているような場合には特に好ましいが、これに限定するものではなく、例えば、熱分解ガス中のタール量は若干少なくなるもののダウンドラフト式や間接加熱式等のガス化炉を採用することもできる。
【0019】
そして、図1のようにこのガス化炉5に熱交換器6を配管接続し、常温等の清浄空気(外気)をコイル状等の冷却管7を介して流入させてガス化炉5で生成した高温の熱分解ガスを熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる適宜温度まで熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の木質タールを凝縮させ、この凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分のタール含有液をタールタンク8に回収するようにしている。
【0020】
上記熱交換器6においては、生成した熱分解ガスを熱交換によって冷却して木質タールを凝縮させて回収する際、例えば、燃料としては不要な木酢液の混入量を抑えるのであれば、木酢液の主成分である酢酸の沸点が118℃であることを考慮して、それよりも若干高い約120℃程度に冷却して主に木質タールのみを凝縮させて回収するようにすればよく、また水の混入だけ抑えながら木質タールを最大限に回収するのであれば(後述するように、木質タールに含まれる木酢液はタールタンク8にて容易に沈降分離可能)、水の沸点が100℃であることを考慮して、約100℃程度まで冷却して木質タールと木酢液を一緒に凝縮させてタール含有液として回収するようにすればよい。なお、減圧して熱交換させるようにしてもよく、その場合にはより効果的に木質タールを凝縮させて回収することが可能となる。
【0021】
また、タールタンク8は、所要の容量としていて、上記したように熱交換器6で凝縮させた木質タールと木酢液を含むタール含有液を回収し、図1のようにタールタンク8内にて重質の木質タールを沈降させて分離し、木質タール、木酢液をそれぞれに分けて取り出すようにしている。なお、遠心分離機を介して遠心分離することもできる。
【0022】
また、図1のように熱交換器6の下流には二次燃焼室9を接続しており、熱交換器6で熱分解ガスとの熱交換によって昇温した清浄空気(外気)を二次燃焼室9一端に備えたバーナ10に燃焼用空気として導入してバーナ10を燃焼するとともに、熱交換器6より導出される熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を二次燃焼室9に導入し、前記バーナ10の火炎や熱風に晒して燃焼分解させる一方、この燃焼によって二次燃焼室9から導出される高温排ガスを下流の加熱乾燥装置であるドライヤ11に供給し、適宜の被加熱物を加熱乾燥処理するようにしている。
【0023】
加熱乾燥装置としては、特に限定するものではないが、例えば、上記のようなロータリーキルン式のドライヤ11等であれば高温の排ガス熱を効率よく有効利用できて好適に採用することができる。前記ドライヤ11は、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム12を機台13上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにしており、ドラム12一端部のホットホッパ14側より二次燃焼室9から導出される高温排ガスを導入させる一方、他端部のコールドホッパ15に連結した排気煙道16の末端に備えた排風機17にて排ガスを吸引してドラム12内を通過する高温ガス流を維持するとともに、バグフィルタ等の集塵機18を経由させて清浄化した排ガスを煙突19より大気中へ放出する構成としている。
【0024】
また、前記ドライヤ11の近傍には被加熱物である骨材を貯留する貯留ホッパー20を備えており、該貯留ホッパー20より骨材を所定量ずつ払い出し、払い出した骨材をベルトコンベヤ21を介して前記ドライヤ11のコールドホッパ15側よりドラム12内に送り込み、掻き上げ羽根で掻き上げながらドラム12内を転動流下させる間に、二次燃焼室9から導入される高温排ガスのガス流と接触させて加熱乾燥させ、加熱乾燥した骨材はホットホッパ14下端の排出部より排出するようにしている。
【0025】
このように、木質タールを回収した後に残る可燃性の熱分解ガスは二次燃焼室9にて燃焼分解処理する一方、その際に発生する高温排ガスの保有熱は適宜の被加熱物の加熱乾燥処理等に利用することができ、例えば本実施例のように、木質タール製造装置1と被加熱物の加熱乾燥装置であるドライヤ11等とを併設することで、木質タール製造装置1から発生する熱分解ガスの有効活用が図れる。
【0026】
なお、木質タール製造装置1をアスファルトプラントに併設し、該アスファルトプラントには骨材を所望温度に加熱乾燥処理する通常の骨材ドライヤとは別に、含水率の高い砂を予備的に加熱乾燥処理する砂乾燥用のドライヤを備えておき、前記木質タール製造装置1にて木質タールを回収した後に残る可燃性の熱分解ガスを二次燃焼室9に導入して燃焼分解させた際に発生する高温排ガスを前記砂乾燥ドライヤに導入させるようにすれば、含水率の高い砂を予備的にある程度乾燥処理させてから通常のドライヤにて効率よく所望温度に加熱乾燥処理することが可能となり、アスファルトプラントの省エネルギーを効果的に図ることができる。
【0027】
このとき、アスファルトプラントでは、アスファルト混合物の出荷量、出荷時間等に応じて骨材ドライヤを稼働・停止させるため、タイミングが合わなければ二次燃焼室9から導出される高温排ガスを必ずしも有効利用できないが、砂の予備乾燥用に砂乾燥ドライヤを別途備えておき、該砂乾燥ドライヤに高温排ガスを導入させるようにすれば、アスファルト混合物の出荷量、出荷時間等にかかわらず常に有効利用することが可能となって好適である。
【0028】
また、木質タール製造装置1と、回収した廃石膏ボードを破砕・分別処理して得られる廃石膏を所定温度で加熱処理することで再生する廃石膏加熱再生装置とを併設し、木質タール製造装置1から発生する高温排ガスを前記廃石膏加熱再生装置に設置される加熱乾燥装置のロータリーキルンに導入させるようにすれば、二水石膏の状態にある廃石膏を高温排ガスの保有熱にて加熱して土壌固化材等として利用可能な半水石膏の状態に転移させて再生することができるなど、本発明の趣旨にもとづいて種々の被加熱物の加熱乾燥処理に有効活用できる。
【0029】
ところで、バイオマス処理によって生成される木質タールは、そのままでは流動性が低くて利用用途が限られるが、例えば70℃以下、好ましくは35〜70℃程度に加熱することにより適当な流動性が得られ、ボイラーやドライヤ等のバーナの燃料用としても好適に有効利用可能となり、例えば、二次燃焼室9のバーナ10の燃料用として、或いはアスファルトプラントの骨材ドライヤに設置されるバーナの燃料用等として利用するようにすれば、アスファルトプラントの省エネルギーをより効果的に図れるとともに、カーボンニュートラルとなってアスファルトプラントからの二酸化炭素の排出量を低減できるといった効果も期待できる。
【0030】
また、木質タール製造装置1にて生成される木質タールを、併設されるアスファルトプラント等での利用に限らず、例えば、周辺地域等に設置される他のアスファルトプラント工場等にも供給し、上記同様にドライヤ等のバーナの燃料用として従来の重油や都市ガス等の化石燃料に代えて利用するようにしてもよく、その場合にはより一層効果的にアスファルトプラントにおける省エネルギーと二酸化炭素の排出量の低減が図れる。
【実施例】
【0031】
図1は、本発明の一実施例を示すもので、木質タール製造装置1は、図のように廃木材や間代材などの木質系のバイオマスを回収して貯留するバイオマスホッパー2を配設し、その下流に破砕機3を配設して、バイオマスを取り扱いやすいチップ状に破砕処理するようにしている。そして、この破砕処理したチップ状のバイオマスを適宜量ずつ払い出してスクリュコンベヤのコンベヤ4にてアップドラフト式のガス化炉5に投入し、バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成処理するようにしている。
【0032】
前記ガス化炉5では、約400℃〜600℃程度の温度にて乾留を行うようにし、木質タールを大量に発生するようにしている。
【0033】
そして、図1のようにこのガス化炉5に熱交換器6を配管接続し、常温の清浄空気(外気)をコイル状の冷却管7を介して流入させて、ガス化炉5で生成した高温の熱分解ガスを熱交換して冷却して凝縮させ、凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分のタール含有液を所要の容量のタールタンク8に回収するようにしている。
【0034】
上記熱交換器6では、生成した熱分解ガスから不要な水の混入を抑えながら極力多くの木質タールを凝縮させて回収できる約100℃程度まで熱分解ガスの温度を降下させるようにして、木質タールを最大限に回収できるようにしている。
【0035】
そして、熱交換器6の下流には二次燃焼室9を接続して、熱交換器6で熱分解ガスとの熱交換で昇温した清浄空気(外気)を二次燃焼室9一端に備えたバーナ10に燃焼用空気として導入してバーナ10を燃焼するとともに、熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を二次燃焼室9に導入し、バーナ10の火炎や熱風に晒して燃焼分解させる一方、この燃焼によって二次燃焼室9から導出される高温排ガスを加熱乾燥装置であるドライヤ11に導入させ、適宜の被加熱物を加熱乾燥処理するようにしている。
【0036】
このように、木質タール製造装置1と被加熱物の加熱乾燥装置とを併設することで、木質タール製造装置1から発生する熱分解ガスから燃料としての木質タールの回収を図れるとともに、木質タールを回収した後に残る可燃性の熱分解ガスを燃焼分解処理し、この際に発生する高温排ガスの保有熱にて被加熱物を加熱乾燥することで熱分解ガスの更なる有効活用を図ることができる。
【0037】
また、木質タール製造装置1をアスファルトプラントと併設し、この木質タール製造装置1を木質タールの製造基地とし、生成される木質タールを、この併設されたアスファルトプラントや周辺地域の他のアスファルトプラント工場等に供給を行い、ボイラーやドライヤ等のバーナの燃料用として従来の重油や都市ガス等の化石燃料に代えて利用するようにすれば、周辺地域のアスファルトプラントにおいても省エネルギーと二酸化炭素の排出量の低減が効果的に図れ、新たなビジネスモデルとして展開できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、バイオマス処理によって生成される木質タールを燃料として有効活用するための木質タールの製造等に広く利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1…木質タール製造装置 5…ガス化炉 6…熱交換器 8…タールタンク
9…二次燃焼室 10…バーナ 11…ドライヤ(加熱乾燥装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成するガス化炉と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させ、熱分解ガス中の木質タールを凝縮させる温度まで熱分解ガスを冷却する熱交換器と、前記熱分解ガスの冷却によって凝縮する液状分の木質タールを回収するタールタンクとを備えたことを特徴とする木質タール製造装置。
【請求項2】
常温の清浄空気と熱交換させる熱交換器の下流に、熱交換器より導出される昇温した清浄空気を燃焼用空気として燃焼させるバーナを備え、熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼室と、該二次燃焼室から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する加熱乾燥装置とを備えたことを特徴とする請求項1記載の木質タール製造装置。
【請求項3】
バイオマスをガス化炉にて熱分解して熱分解ガスと炭化物を生成する工程と、生成した高温の熱分解ガスを常温の清浄空気と熱交換させて熱分解ガス中の木質タールが凝縮する温度まで冷却し、凝縮した木質タールと木酢液を含む液状分を回収する工程と、回収した液状分から木質タールと木酢液を分離して燃料としての木質タールを得る工程とを有することを特徴とする木質タール製造方法。
【請求項4】
木質タールを回収した熱分解ガス中の凝縮しない残余のガス分を燃焼させる二次燃焼工程と、該二次燃焼工程から導出される高温排ガスにて被加熱物を加熱乾燥する工程とを有することを特徴とする請求項3記載の木質タール製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−126807(P2012−126807A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278832(P2010−278832)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】