説明

木質材料

【課題】高い変形性能を有し、かつ、意匠性に優れた木質材料を提供すること。
【解決手段】木材が接着剤により貼り合わされた木質材料において、木材1同士の間に形成された前記接着剤からなる接着部2に、所定の手順にて求めた静的弾性率が100MPa以下で、かつ、伸びが50%以上の接着成分(A)及び所定の手順にて求めた粘着力が1.20N/10mm以上の接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有することを特徴とする木質材料10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質材料に関する。
【背景技術】
【0002】
木材は、木目などの木材特有の外観を備えており、たとえば「温かい」、「やわらかい」、「高級感」等の印象を与える意匠性に優れた材料である。
一方、木材は、鉄と比較して、曲げ降伏後に容易に破断し、柔軟に変形させることが困難な材料でもある。これは、集成材、合板又は単板積層材(LVL)等、種々の形状の木材を接着剤により貼り合わせて再構成された木質材料についても同様である。
【0003】
従来、木質材料をねじったり、曲げたりする場合、木材に接着剤を塗布して圧縮成型した後、水分と熱を加えて軟化させる加工方法を用いることが一般的であった。
しかし、この加工方法においては、水分と熱が失われた後、木質材料が、変形された状態で固化してしまう。そのため、常に、ねじったり、曲げたりできる変形性能を有する木質材料の開発が望まれていた。
【0004】
この木質材料に変形性能を付与する技術としては、複数枚の木質単板と、複数枚のシート状エラストマーを交互に厚み方向に積層接着してなる方法により、柔軟性を備え、かつ、木材特有の装飾的価値を保持した木質材料が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−68712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された方法により製造される積層体は、エラストマーの木質単板に対する体積比が10〜50%であるため、当該積層体の外観に現れるエラストマー部の割合が充分に低いとはいえず、意匠性に劣るものであった。
また、当該積層体は、その柔軟性が未だ弱く、常に、ねじったり、曲げたりできる程に変形性能を発揮できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高い変形性能を有し、かつ、意匠性に優れた木質材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、木材同士を、特定の接着成分を含有する接着剤を用いて貼り合わせることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、木材が接着剤により貼り合わされた木質材料において、前記木材同士の間に形成された前記接着剤からなる接着部に、下記(i)の手順にて求めた静的弾性率が100MPa以下で、かつ、下記(i)の手順にて求めた伸びが50%以上の接着成分(A)及び下記(ii)の手順にて求めた粘着力が1.20N/10mm以上の接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有することを特徴とする木質材料である。
(i)JIS−K7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠して得られた樹脂成形体の引張応力−ひずみ曲線から、静的弾性率(常態)と伸び(常態)をそれぞれ求める。
(ii)JIS−Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠して得られた粘着テープ又は粘着シートの180°はく離試験から粘着力(常態)を求める。
【0008】
本発明の木質材料においては、前記接着成分(A)が変成シリコン(a1−1)又はシリル化ウレタン(a1−2)を含むことが好ましい。
また、本発明の木質材料においては、前記接着成分(A)がゴム(a2)を含むことが好ましい。
また、本発明の木質材料においては、前記接着成分(B)が粘着性成分(a3)を含むことが好ましい。
また、本発明の木質材料においては、前記接着部の前記木材に対する体積比が50%以下であることが好ましい。
また、本発明の木質材料は、板状の前記木材同士が前記接着部を介して層状に貼り合わされた積層体であることが好ましく、さらに、前記接着部の前記木材に対する体積比が10%未満であることが好ましい。
また、本発明の木質材料は、細分化された前記木材同士が前記接着部を介して接着一体化されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の木質材料によれば、高い変形性能を発揮でき、かつ、意匠性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
≪木質材料≫
本発明の木質材料は、木材が接着剤により貼り合わされたものである。
図1は、本発明の木質材料の一実施形態を示す斜視図である。
本実施形態の木質材料10は、板状の木材1同士が接着剤からなる接着部2を介して層状に貼り合わされた積層体である。
【0011】
本発明において「体積比」とは、木質材料に占める木材全体の体積と、接着部全体の体積との比、すなわち、(接着部全体の体積)/(木材全体の体積)を意味する。
当該体積比は、たとえば、木質材料の断面における木材の合計体積と、接着部の合計体積とから算出することができる。
また、本実施形態の木質材料10のような直方体状の積層体の場合、当該積層体側面における木材の合計体積と、接着部の合計体積とから算出することもできる。
【0012】
本発明の木質材料においては、接着部の木材に対する体積比が50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
当該体積比が50%以下であると、木質材料の外観上、接着部の現れる割合が低くなり、木材の見える部分が多くなって木材特有の装飾的特長を充分に備え、意匠性に優れたものになる。
当該体積比の下限値は、木材同士の接着力がより向上することから、0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましい。
【0013】
本実施形態の木質材料10においては、さらに、接着部2の木材1に対する体積比が10%未満であることが好ましく、1%以上10%未満であることがより好ましく、1〜5%であることが特に好ましい。当該体積比の上限値以下であると、木材特有の装飾的特長を充分に備えて意匠性に優れたものになる。一方、下限値以上であると、木材1同士の接着力がより向上する。
【0014】
(木材)
木材1には、たとえば針葉樹又は広葉樹から切り出された材料の木が用いられる。
木材1の形状は、特に限定されず、軸材料や面材料等の種々の用途に適した形状のものを用いることができる。
木材1としては、より高い変形性能が得られやすいことから、曲げ剛性の低い形状のものが好ましく、たとえば、突き板、レース単板、ストランド、細分化された木材チップ等が好適なものとして挙げられる。
【0015】
(接着部)
接着部2は、接着剤からなり、木材1同士の間に形成される。
本実施形態の木質材料10において、接着部2は、対向する木材1、1の間に形成されている接着層であり、木材1同士を貼り合わせている。
【0016】
・接着成分について
本発明の木質材料において、接着部は、下記(i)の手順にて求めた静的弾性率が100MPa以下で、かつ、下記(i)の手順にて求めた伸びが50%以上の接着成分(A)及び下記(ii)の手順にて求めた粘着力が1.20N/10mm以上の接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有する。
(i)JIS−K7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠して得られた樹脂成形体の引張応力−ひずみ曲線から、静的弾性率(常態)と伸び(常態)をそれぞれ求める。
(ii)JIS−Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠して得られた粘着テープ又は粘着シートの180°はく離試験から粘着力(常態)を求める。
すなわち、本発明の木質材料は、木材同士の間に、低弾性又は高粘性の接着部を有する。
本発明において「接着成分」とは、木材同士を貼り合わせる効果を有する成分を意味し、接着剤(粘着剤を含む。)に含有される合成樹脂若しくは合成ゴム等の合成物、天然物;接着剤の塗布後、水や溶剤の蒸発によって固化したもの、反応した後の硬化物、加熱溶融物等を包含するものとする。
【0017】
・・接着成分(A)について
接着成分(A)の静的弾性率は100MPa以下であり、50MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがより好ましい。当該静的弾性率が100MPa以下であると、荷重負荷に対して変形しやすくなるとともに、復元力がより生じやすくなる。
当該静的弾性率の下限値は、木質材料の形態を保持することが必要なことから、0.1MPa以上であることが好ましく、1MPa以上であることがより好ましい。
【0018】
接着成分(A)の伸びは50%以上であり、75%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。当該伸びが50%以上であると、荷重負荷に対してより変形しやすくなる。
当該伸びは大きいほど好ましく、その上限値としては、1000%以下であることが好ましく、500%以下であることがより好ましい。
【0019】
静的弾性率(常態)と伸び(常態)について、具体的には、下記のようにして求める。
(i−1)接着成分(A)について、温度23±2℃、相対湿度50±5%、変形速度 50mm/分の条件にて、JIS−K7113に記載の引張試験を行い、図2に示すような樹脂成形体の引張応力−ひずみ曲線を得る(図2:2007年度版JISハンドブック, プラスチックI,第333頁)。
(i−2)引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分(引張弾性率のための補助線)を用いて、次の式によって接着成分(A)の静的弾性率(常態)を計算する。
静的弾性率(MPa)=(直線上の2点間の元の平均断面積による応力の差(MPa))/(同じ2点間のひずみの差)
(i−3)次の式によって、接着成分(A)の伸び(常態)を計算する。
伸び(%)=(破壊時の標線間距離(mm)−元の標線間距離(mm))/元の標線間距離(mm)×100
【0020】
本発明において、接着成分(A)は、上記静的弾性率が100MPa以下で、かつ、上記伸びが50%以上のものであり、たとえば低弾性高分子化合物が挙げられる。
低弾性高分子化合物として具体的には、たとえば変成シリコン(a1−1)若しくはシリル化ウレタン(a1−2)、又はゴム(a2)が挙げられる。
【0021】
本発明において「変成シリコン(変性シリコーン)」とは、主体となるベースポリマーであるジメチルポリシロキサンの一部が有機基に置換されたものを意味する。たとえば、ジメチルポリシロキサンの側鎖に有機基が導入されたもの(側鎖型)、ジメチルポリシロキサンの主鎖の片末端に有機基が導入されたもの(片末端型)、主鎖の両末端に有機基が導入されたもの(両末端型)、側鎖と主鎖の片末端に有機基が導入されたもの(側鎖片末端型)、側鎖と主鎖の両末端に有機基が導入されたもの(側鎖両末端型)を包含する。
有機基としては、特に制限されず、反応性基であってもよく、非反応性基であってもよく、たとえば、−R’NH(アミノ変性)、エポキシ基(エポキシ変性)、−R’OH(カルビノール変性)、−R’(CO)(CO)H(ポリエーテル変性)、−R’COOH(カルボキシル変性);アルキル基、フェニル基、−R’(CO)(CO)R”(ポリエーテル変性)(R’およびR”はそれぞれ炭化水素基を表し、pおよびqはそれぞれ繰返し数を示す。)が挙げられる。
【0022】
本発明において「シリル化ウレタン」とは、ウレタンプレポリマーのイソシアネート末端がシリル基変性したものを意味する。
シリル基変性により導入される基としては、たとえばアルコキシシリル基が挙げられる。
【0023】
ゴム(a2)としては、たとえばクロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴムが挙げられ、そのなかでもクロロプレンゴムが好ましい。
【0024】
・・接着成分(B)について
接着成分(B)の粘着力は1.20N/10mm以上であり、1.60N/10mm以上であることが好ましく、2.40N/10mm以上であることがより好ましい。当該粘着力が1.20N/10mm以上であると、荷重負荷に対して変形しやすくなるとともに、復元力がより生じやすくなる。
当該粘着力の上限値は、粘着力が高いほど前記体積比(木質材料に占める接着部全体の体積の割合)が大きくなることから、50N/10mm以下であることが好ましく、25N/10mm以下であることがより好ましい。
【0025】
粘着力(常態)について、具体的には、下記のようにして求める。
(ii−1)接着成分(B)について、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件にて、JIS−Z0237に記載の180度引きはがし粘着力試験を行い、粘着力を測定する。
【0026】
本発明において、接着成分(B)は、上記粘着力が1.20N/10mm以上のものであり、たとえば粘着性の高い高分子化合物が挙げられる。
粘着性の高い高分子化合物として具体的には、たとえば粘着性成分(a3)が挙げられる。
【0027】
本発明において「粘着性成分」とは、ねばりつく性質を有する成分を意味し、JIS Z1528「両面粘着テープ」に準拠した試験方法において、粘着力(常態)が1.20N/10mm以上の成分をいう。
粘着性成分(a3)としては、たとえばアクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、天然ゴムが挙げられ、そのなかでもアクリル樹脂が好ましい。
本発明において「アクリル酸エステル共重合体」とは、アクリル樹脂の一種であり、アクリル酸エステルにアクリル酸モノマーを共重合させ、極性基の導入による界面の強化と水素結合による凝集力の向上を図ったものが好適なものとして挙げられる。
【0028】
本発明の木質材料においては、接着部に、1種単独の、又は2種以上の接着成分を含有してもよい。
上記のなかでも、接着成分としては、変形性能がより高く、木材同士の接着性が良好であることから、変成シリコン(a1−1)、シリル化ウレタン(a1−2)、ゴム(a2)及び粘着性成分(a3)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含むことが好ましく、変成シリコン(a1−1)、ゴム(a2)及び粘着性成分(a3)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含むことがより好ましい。
【0029】
また、接着成分としては、接着部を構成する接着剤の固化したもの、反応した後の硬化物若しくは加熱溶融物等であって、上記静的弾性率が100MPa以下で、かつ、上記伸びが50%以上のもの;接着部を構成する接着剤の固化したもの、反応した後の硬化物若しくは加熱溶融物等であって、上記粘着力が1.20N/10mm以上のものも挙げられる。
【0030】
本実施形態の木質材料10の製造方法は、特に限定されるものではなく、たとえば対向する木材の一方の面に、所定量の接着剤をスプレー等により塗布し、又は接着剤(粘着剤)を塗布してなる両面テープを木材寸法に応じて割付け貼付して、所定の厚さとなるように積層し、必要に応じて加熱しながら圧締操作を行う製造方法が挙げられる。
【0031】
接着部2を形成する接着剤は、上記接着成分(A)及び接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有するものであり、必要に応じてその他成分を含んでいてもよい。又は、木材に塗布した後に、上記静的弾性率100MPa以下で、かつ、上記伸び50%以上となる接着部2を形成する接着剤、若しくは、木材に塗布した後に、上記粘着力が1.20N/10mm以上となる接着部2を形成する接着剤であってもよい。
【0032】
接着成分(A)として変成シリコン(a1−1)を含む接着剤は、たとえば、セメダイン(株)製のスーパーX(商品名、アクリル変性シリコーン樹脂を含有)、セメダイン(株)製のPM100(商品名、変性シリコーン樹脂を含有)、セメダイン(株)製のPM155(商品名、変性シリコーン樹脂を含有)、セメダイン(株)製のPM165(商品名、エポキシ変性シリコーン樹脂を含有)、セメダイン(株)製のPM200(商品名、主剤:エポキシ樹脂、硬化剤:変性シリコーン樹脂を含有)、セメダイン(株)製のEP001(商品名、主剤:エポキシ樹脂、硬化剤:変性シリコーン樹脂を含有)、コニシ(株)製のボンドEXクリヤー(商品名、変性シリコーン樹脂を含有)、コニシ(株)製のボンドMPX−1(商品名、変性シリコーン樹脂を含有)等の市販のものが挙げられる。
【0033】
接着成分(A)としてシリル化ウレタン(a1−2)を含む接着剤は、たとえば、コニシ(株)製のボンドSU200グレー(商品名、シリル化ウレタン樹脂を含有)、コニシ(株)製のボンドSUスーパークリヤー(商品名、シリル化ウレタン樹脂を含有)、コニシ(株)製のボンド ウルトラ多用途SU(商品名、シリル化ウレタン樹脂を含有)等の市販のものが挙げられる。
【0034】
接着成分(A)としてゴム(a2)を含む接着剤は、たとえば、セメダイン(株)製の575(商品名、クロロプレンゴムを含有)、コニシ(株)製のボンドG103(商品名、ニトリルゴムを含有)、コニシ(株)製のボンドGクリヤー(商品名、SBRゴムを含有)、コニシ(株)製のZ2(商品名、SBRゴムを含有)、コニシ(株)製のボンドG10Z(商品名、クロロプレンゴムを含有)、コニシ(株)製のボンドG17Z(商品名、クロロプレンゴムを含有)、住友スリーエム(株)製の55(商品名、アクリルゴムを含有)、住友スリーエム(株)製の111(商品名、クロロプレンゴムを含有)等の市販のものが挙げられる。
【0035】
接着成分(B)として粘着性成分(a3)を含む接着剤は、たとえばアクリル系粘着剤を用いて形成されたテープが挙げられ、具体的には、日東電工(株)製の5601(商品名、ポリエステル基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、日東電工(株)製の500、510、512(いずれも商品名、不織布の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、日東電工(株)製の5010(商品名、ポリエステル基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、(株)ニトムズ製のJ1310(商品名、ポリエチレン基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、(株)ニトムズ製のJ0700(商品名、紙基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、住友スリーエム(株)のY4914(商品名、アクリルフォーム基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、住友スリーエム(株)の4597(商品名、ポリエステル基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ)、住友スリーエム(株)製の950、465、468MP(いずれも商品名、アクリル系粘着剤のみからなるテープ)等の市販のものが挙げられる。
なお、本発明において「アクリル系粘着剤」とは、主剤としてアクリル樹脂を含有する粘着剤をいう。
【0036】
本実施形態の木質材料10は、常に、ねじったり、曲げたりすることができる高い変形性能を有する。また、木質材料10は、外観上、接着部2の現れる割合が低くなり、木材1の見える部分が多く、木材特有の装飾的特長を充分に備えて意匠性に優れる。
かかる効果が得られる理由としては、以下のように推測される。
一般に、気乾状態の木材は、引張破壊ひずみが小さく、繊維走向面におけるせん断強さが圧縮・引張強さと比較して劣る。そのため、当該木材を接着剤により貼り合わせてなる従来の木質材料は、当該木材に近い力学的特性を示すものであり、当該木材それ自体よりも柔軟に変形させることは困難であった。また、木質材料に変形性能を付与するため、従来、たとえば木材同士の間に配置されていたシート状エラストマーは、それ自体で木材同士を強く貼り合わせるものではなく、また、ある程度の厚さが必要であるため、外観に現れるエラストマー部の割合が充分に低いとはいえず、意匠性に劣るものであった。
これに対し、本実施形態の木質材料10は、木材1同士の間に、接着成分(A)及び接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有する接着部2を有する。当該接着部2は、低弾性又は高粘性の性質を有するため、荷重負荷に対して容易に変形し、かつ、復元力を生じる。これにより、木質材料10は高い変形性能を有すると考えられる。
また、接着成分(A)及び接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有する接着剤は、それ自体で木材1同士を貼り合わせることができ、さらに接着力が強いため、少量で使用することができる。これにより、接着部2の厚さを薄くできることから意匠性に優れると考えられる。
すなわち、木材1同士を、低弾性又は高粘性の性質を有する接着部2を介して貼り合わせて、木材1に大きな引張ひずみを生じさせず、接着部2にひずみを大きく負担させることで、木質材料10全体で大変形が可能となると推測される。
【0037】
本発明の木質材料は、図1に示す木質材料10に限定されず、たとえば、図3(a)〜(b)に示すようなものであってもよい。
図3(a)に示す木質材料10は、木材1同士が接着剤からなる接着部2を介して層状に貼り合わされた円柱状の積層体である。
図3(b)に示す木質材料10は、たとえば木材チップ等の細分化された木材1同士が接着部2を介して円柱状に接着一体化されたものである。
図3(a)に示す木質材料10は、円柱状であることから、いずれの方向にもねじったり、曲げたりすることが可能であり、格段に高い変形性能を有する。
図3(b)に示す木質材料10は、細分化された木材を用いているため、図3(a)に示すものに比べて、さらに高い変形性能を有する。
図3(a)〜(b)に示す木質材料10についても、外観上、接着部の現れる割合を低くでき、木材の見える部分が多い、木材特有の装飾的特長を充分に備えて意匠性に優れたものである。
図3(a)に示す木質材料10は、たとえば、図1に示す木質材料と同様の製造方法により積層体を作製し、円柱状に加工することにより製造できる。
図3(b)に示す木質材料10は、たとえば、細分化された木材1と、接着剤とを混合し、円柱状に圧縮成型等することにより製造できる。
以上のように、本発明の木質材料は、原料の木材を、接着剤を用いて適宜、軸材料又は面材料へと再構成することができる。
【0038】
本発明の木質材料は、接着部が高いせん断変形を示すことから、従来の木材用接着剤で貼り合わされてなる木質材料の破壊ひずみを超える領域であっても、可撓性を示し、また、せん断変形に対して良好な復元力を生じる。これにより、低弾性・高靱性・塑性に富む単板積層材、集成材などの木質材料の設計が可能である。
また、本発明の木質材料は、接着剤の組合せや接着成分の選択によって靱性を広範に制御できる。
また、本発明の木質材料は、手の力や体重によって容易に変形し、一般人が木材に対して抱いている「やわらかい」という印象を、木材の外観だけでなく、実際に体感できる「やわらかい木質材料」である。
【0039】
さらに、本発明の木質材料は、変形性能及び意匠性に加えて、繰返しの負荷に対する再現性(繰返し疲労特性)、衝撃吸収性能にも優れている。また、たとえばアクリル系粘着剤の中に反応性の架橋剤を添加すれば、木質材料を変形させた後に紫外線や熱を加えて粘着層(接着部)を硬化させることができることから、従来よりも多様な形状で、かつ、その形状を保った木質材料を得ることもできる。
このように、本発明の木質材料は、従来の木質材料では体現不可能であった新たな機能を発現できることから多分野への展開が可能であり、さらに、新しい木の使い方をも開拓するものである。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
本実施例において使用した木材、接着剤は下記の通りである。
(木材)
ナラ:厚さ1.0mmの突き板(幅100mm×長さ300mm,幅100mm×長さ500mm)。全乾密度0.61g/cm
スギ:厚さ0.5mmの突き板(幅100mm×長さ300mm,幅100mm×長さ500mm)。全乾密度0.28g/cm
無垢材:厚さ20mm(幅100mm×長さ500mm)。
【0042】
(接着剤)
PF:接着成分 フェノール樹脂(静的弾性率4GPa、伸び2%)、商品名「PL−3690」、群栄化学工業(株)製。
EP:接着成分 エポキシ樹脂、商品名「Eセット」、コニシ(株)製。
AC:接着成分 酢酸ビニル樹脂、商品名「CH−18」、コニシ(株)製。
SR:接着成分(A) 変成シリコン、商品名「スーパーX」、セメダイン(株)製。
CR:接着成分(A) クロロプレンゴム、商品名「575」、セメダイン(株)製。
DST:接着成分(B)(粘着性成分)アクリル樹脂(粘着力10.7N/20mm)、商品名「5010」、日東電工(株)製;厚さ0.04mmのポリエチレン基材の両面にアクリル系粘着剤が塗布されたテープ。
AAT:接着成分(B)(粘着性成分)アクリル樹脂(粘着力2.7N/cm)、商品名「8142」、住友スリーエム(株)製;アクリル系粘着剤のみからなるテープ。
【0043】
なお、上記接着剤において、接着成分の静的弾性率、伸びは、上述(i)の手順にしたがって求めた。また、粘着力に関しては製品データシート(JIS−Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠したもの)から引用した。
【0044】
(実施例1〜13、比較例1〜9)
[試験体の製造]
図1に示す木質材料10と同様の形態の試験体(単板積層材)を以下のようにして製造した。
対向する木材の一方の面に、DSTとAATについては、当該木材寸法に応じてテープをそれぞれ割付け貼付し、それ以外の接着剤については、塗布量100g/mをそれぞれ塗布した。
そして、積層後の試験体の厚さが15mm、20mmとなるように積層し、圧締操作をそれぞれ行うことにより、木材同士を接着し、積層体を作製した。
圧締操作は、積層の後、PFを用いた例については140℃、40秒/mmで熱圧締した。その他の接着剤を用いた例については40℃、40秒/mmでそれぞれ加温養生した。
その後、得られた積層体から、厚さ15mm×幅15mm×長さ300mm、厚さ20mm×幅20mm×長さ400mm、厚さ15mm×幅15mm×長さ15mmのサイズにそれぞれ切り出し、各例の試験体(単板積層材)を製造した。
得られた試験体の詳細について表1に示す。
なお、体積比(%)は、試験体の厚さ方向において、木材と接着部(接着層)のそれぞれの合計の厚さを実測することにより求め、接着部(接着層)の合計の厚さを、木材の合計の厚さで除して算出した。
【0045】
【表1】

【0046】
表1から、実施例1〜13の試験体はいずれも、外観上、接着部がほとんど現れていないため、木材特有の装飾的特長を充分に備えて意匠性に優れるものであることが確認できた。
【0047】
上記各例の試験体に対して、以下に示す力学性能の評価、すなわち、静的曲げ試験、繰り返し曲げ試験、衝撃曲げ試験、横圧縮試験をそれぞれ行った。
【0048】
(静的曲げ試験、繰り返し曲げ試験)
静的曲げ試験及び繰り返し曲げ試験は、万能型試験機を用いて、荷重速度5mm/分、スパン240mmに設定し、木材に対する荷重の加力方向をflatwiseとし、中央集中荷重方式で行った。
静的曲げ試験において、試験体には、比較例1〜3のもの、実施例1〜5のものをそれぞれ用いた。なお、接着剤を用いずに、木材(単板)15枚を積み重ねただけの単板束をコントロール(試験例1)として用いた。
静的曲げ試験の評価結果を図4〜6、表2(図4、表2:静的曲げ性能の評価)(図5〜6:静的曲げ荷重下での変形挙動の評価)に示した。
表2に記載の「密度(g/cm)」、「曲げヤング率MOE(GPa)」、「曲げ強度MOR(MPa)」、「曲げ仕事量(J)」は、いずれも静的曲げ試験を行うことにより決定する試験体についての特性である。表中、「−」は、スパン中央部のたわみ40mmで、試験体が未破壊であったことを示す。
繰り返し曲げ試験において、試験体には、実施例3のものを用いた。その評価結果を図9(繰り返し負荷に対する応答の評価)に示した。
【0049】
(衝撃曲げ試験)
衝撃曲げ試験は、容量98.0Jのシャルピー型試験機を用いて、スパン240mmに設定し、木材に対する荷重の加力方向をflatwiseとし、中央集中荷重方式で行った。
衝撃曲げ試験において、試験体には、比較例4〜6のもの、実施例6〜9のものをそれぞれ用いた。なお、接着剤を用いずに、木材(単板)20枚を積み重ねただけの単板束をコントロール(試験例2;Cont.)として用いた。また、同サイズ(厚さ20mm×幅20mm×長さ400mm)の無垢材を試験例3として用いた。
衝撃曲げ試験の評価結果を図7〜8(衝撃吸収エネルギーの評価)に示した。
【0050】
(横圧縮試験)
横圧縮試験は、万能型試験機を用いて、荷重速度2mm/分に設定し、厚さ(積層)方向に横圧縮加力し、圧縮ひずみ10%までの測定を行った。
横圧縮試験について、試験体には、比較例7〜9のもの、実施例10〜13のものをそれぞれ用いた。
横圧縮試験の評価結果を図10(横圧縮特性の評価)に示した。
【0051】
本実施例において「スパン中央部のたわみ」とは、試験体に荷重を加える前後の、試験体のスパン中央部の位置の変化量を意味し、たとえば図5における「実施例5−たわみ60mm」に対応する図中に示す距離Lをいう。かかる図中においては、距離Lがたわみ60mmであることを意味する。
【0052】
[静的曲げ性能の評価]
図4は、本実施例に係る試験体について得られた、荷重とスパン中央部のたわみとの関係を示すグラフである。
図4に示すグラフから、接着剤としてSR、CR、DST、AATを用いた実施例1〜4の試験体は、荷重が加わるとすぐに変形してスパン中央部がたわむこと、いずれも荷重600N未満でかつたわみ20mm以上(実施例3、実施例4についてはさらに荷重100N以下でかつたわみ40mm以上)の変形を示すことが分かる。
一方、接着剤としてPF、EP、ACを用いた比較例1〜3の試験体は、荷重を加えてもスパン中央部のたわみが小さく、いずれも荷重700N以上でかつたわみ10mm未満で破壊することが確認された。
【0053】
表2は、本実施例に係る試験体について得られた、曲げ性能に関する各特性値を示す表である。
【0054】
【表2】

【0055】
表2の結果から、実施例1〜4の試験体は、比較例1〜3の試験体に比べて、曲げヤング率MOEが著しく低いことが分かる。
両者においては、曲げヤング率MOEに差が認められる一方、曲げ仕事量ではほとんど差がないことが確認された。
【0056】
[静的曲げ荷重下での変形挙動の評価]
図5は、本実施例に係る試験体について得られた、静的曲げ荷重下での変形挙動を示す図である。
図5中、「荷重20%低下」は、試験体に荷重を加え続け、試験体が破壊した後、最大荷重よりも当該最大荷重の20%分低い荷重を加えた時点を意味する。
図5に示す図から、接着剤としてSR、CR、DSTを用いた実施例1〜3、5の試験体は、接着剤としてEP、ACを用いた比較例2、3の試験体に比べて、スパン中央部のたわみが大きく、高い変形性能を有することが分かる。
【0057】
図6(a)〜(b)は、それぞれ、本実施例に係る試験体について得られた、静的曲げ荷重下での加力点付近の変形挙動を示す図である。
図6(a)は、接着剤としてSRを用いた実施例1の試験体の最大荷重における加力点付近の変形挙動を示す図である。
図6(b)は、接着剤としてACを用いた比較例3の試験体に最大荷重を加えた際の加力点付近の変形挙動を示す図である。
図6(a)に示す図から、実施例1の試験体においては、接着部が伸びて変形し、接着部を介して対向する単板同士が接着部との接着を維持したまますべり合っていることが分かる(これは、試験体側面の縦線が、加力方向とほぼ平行であることから示唆される)。この変形挙動は、CR、DST、AATを用いた他の実施例2〜4の試験体においても同様であることが確認された。かかる変形挙動を示すことによって、本発明の木質材料は、高い変形性能を有すると考えられる。
図6(b)に示す図から、比較例3の試験体においては、接着部が変形せず、接着部を介して対向する単板同士がすべり合うことはほとんどないことが分かる(これは、試験体側面の縦線が、加力方向と平行でないことから示唆される)。この変形挙動は、PF、EPを用いた他の比較例1、2の試験体においても同様であることが確認された。
【0058】
[衝撃吸収エネルギーの評価]
図7は、本実施例に係る試験体について得られた、衝撃吸収エネルギーを示すグラフである。
図7に示すグラフから、接着剤としてSR、CR、DST、AATを用いた実施例6〜9の試験体は、接着剤としてPF、EP、ACを用いた比較例の4〜6の試験体に比べて、衝撃吸収エネルギーが高いことが分かる。
一方、比較例の4〜6の試験体は、試験例3の無垢材が示す衝撃吸収エネルギーと同程度又はそれ以下であることが確認された。
【0059】
図8(a)〜(b)は、それぞれ、本実施例に係る衝撃吸収エネルギーの評価における各試験体の破壊形状を示す図である。
図8(a)に示す図から、実施例6〜9の試験体においては、引張破壊に加えて、単板と接着部とが剥離する等の層間のせん断破壊が生じていることが確認された。これにより、かかる試験体は、高い衝撃吸収エネルギーを有すると考えられる。また、かかる試験体は、高い衝撃吸収エネルギーを有することにより、衝撃吸収性や吸音性にも優れると考えられる。
図8(b)に示す図から、比較例の4〜6の試験体においては、生じた破壊の大部分が引張破壊であり、層間のせん断破壊はほとんど認められないことが確認された。
【0060】
[繰り返し負荷に対する応答の評価]
図9(a)〜(c)は、それぞれ、実施例3の試験体について得られた、曲げ負荷回数を変化させた際の荷重とスパン中央部のたわみとの関係を示すグラフである。
図9(a)〜(c)は、この順に、試験体のスパン中央部に加える最大荷重が大きくなり、これに伴ってスパン中央部のたわみも大きくなっている(曲率半径 最大225mm)。いずれの場合についても、同じ曲げ試験を5回繰り返した結果である。
図9(a)〜(c)に示すグラフから、いずれの場合も、5回目の曲線が他の回数の曲線とほぼ同様の曲線を描いていることから、実施例3の試験体は、繰返しの負荷に対する再現性(繰返し疲労特性)に優れていることが分かる。
【0061】
[横圧縮特性の評価]
図10は、本実施例に係る試験体について得られた、横圧縮時の圧縮応力と圧縮ひずみとの関係を示すグラフである。
図10に示すグラフから、接着剤としてSR、CR、DST、AATを用いた実施例10〜13の試験体は、接着剤としてPF、EP、ACを用いた比較例の7〜9の試験体に比べて、圧縮ひずみに対する圧縮応力が低いことが分かる。
【0062】
表3は、本実施例に係る試験体について得られた、力学性能に関する各特性値を示す表である。表中、「−」は、スパン中央部のたわみ40mmで、試験体が未破壊であったことを示す(表2に同じ)。
表3に記載の「衝撃吸収エネルギー(J/cm)」は衝撃曲げ試験を行うことにより、また、「横圧縮弾性係数(GPa)」は横圧縮試験を行うことにより、それぞれ決定する試験体についての特性である。
【0063】
【表3】

【0064】
表3の結果から、接着剤としてSR、CR、AATを用いた実施例の試験体は、高い変形性能を示すことが分かる。
静的な曲げ仕事量では、接着剤間に差が認められなかった。
接着剤としてSR、CR、AATを用いた実施例の試験体は、接着剤としてPF、EP、ACを用いた比較例の試験体に比べて、衝撃吸収エネルギーで優位性を示していることが分かる。
また、接着剤としてSR、CR、AATを用いた実施例の試験体は、接着剤としてPF、EP、ACを用いた比較例の試験体に比べて、横圧縮弾性係数及び降伏応力が低下していることが確認された。
以上の結果から、木材同士を、低弾性又は高粘性の性質を有する接着部を介して貼り合わせた単板積層材(木質材料)は、高い変形性能を有し、かつ、意匠性に優れることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の木質材料は、接着部が接着成分(A)及び接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有する接着剤を用いる以外は、大型の設備投資等を必要とせず、従来の木質材料の製造工程と同じプロセスを適用することにより製造が可能である。また、本発明の木質材料は、たとえば(1)住宅用接合具:木質製のボルト(折れない木製ボルト)等;(2)家具:総木製の超ユニバーサルデザイン椅子やベッドの背もたれ(座る人の体型に合わせて座面や背もたれが変形する。)、クッション材、フローリング材等;(3)衝撃吸収・吸音材:ガードレール、防音壁、免震(制震)材料、幼児や高齢者に向けた木製の衝撃吸収床・階段等;(4)身の回りの小物:ハンガー(肩部が服の重さに合わせてたわむ。)、シューズ・履き物(足裏の動きに追従する。)、かばんやドアの取っ手、肩たたき、照明器具のアーム、インテリア雑貨等;(5)フィットネス:エキスパンダー等(6)教育用資材:学校の図工・技術科の教材等、の多分野への展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の木質材料の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】接着成分(A)について得られた、樹脂成形体の引張応力−ひずみ曲線の一例を示すグラフである。
【図3】図3(a)〜(b)は、それぞれ、本発明の木質材料の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】本実施例に係る試験体について得られた、荷重とスパン中央部のたわみとの関係を示すグラフである。
【図5】本実施例に係る試験体について得られた、静的曲げ荷重下での変形挙動を示す図である。
【図6】図6(a)〜(b)は、それぞれ、本実施例に係る試験体について得られた、静的曲げ荷重下での加力点付近の変形挙動を示す図である。
【図7】本実施例に係る試験体について得られた、衝撃吸収エネルギーを示すグラフである。
【図8】図8(a)〜(b)は、それぞれ、本実施例に係る衝撃吸収エネルギーの評価における各試験体の破壊形状を示す図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、それぞれ、実施例3の試験体について得られた、曲げ負荷回数を変化させた際の荷重とスパン中央部のたわみとの関係を示すグラフである。
【図10】本実施例に係る試験体について得られた、横圧縮時の圧縮応力と圧縮ひずみとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 木材 2 接着部 10 木質材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材が接着剤により貼り合わされた木質材料において、
前記木材同士の間に形成された前記接着剤からなる接着部に、
下記(i)の手順にて求めた静的弾性率が100MPa以下で、かつ、下記(i)の手順にて求めた伸びが50%以上の接着成分(A)及び下記(ii)の手順にて求めた粘着力が1.20N/10mm以上の接着成分(B)からなる群から選択される少なくとも1種の接着成分を含有することを特徴とする木質材料。
(i)JIS−K7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠して得られた樹脂成形体の引張応力−ひずみ曲線から、静的弾性率(常態)と伸び(常態)をそれぞれ求める。
(ii)JIS−Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠して得られた粘着テープ又は粘着シートの180°はく離試験から粘着力(常態)を求める。
【請求項2】
前記接着成分(A)が変成シリコン(a1−1)又はシリル化ウレタン(a1−2)を含むことを特徴とする請求項1記載の木質材料。
【請求項3】
前記接着成分(A)がゴム(a2)を含むことを特徴とする請求項1記載の木質材料。
【請求項4】
前記接着成分(B)が粘着性成分(a3)を含むことを特徴とする請求項1記載の木質材料。
【請求項5】
前記接着部の前記木材に対する体積比が50%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木質材料。
【請求項6】
板状の前記木材同士が前記接着部を介して層状に貼り合わされた積層体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木質材料。
【請求項7】
前記接着部の前記木材に対する体積比が10%未満であることを特徴とする請求項6記載の木質材料。
【請求項8】
細分化された前記木材同士が前記接着部を介して接着一体化されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木質材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−36359(P2010−36359A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198546(P2008−198546)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月29日 第58回日本木材学会大会実行委員会発行の「第58回日本木材学会大会研究発表要旨集」に発表
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】