説明

未知の位相ずれが存在する場合のIQ不平衡イメージ抑制

無線通信システムの受信機が、周波数補正の実施前に、IQ利得不平衡を含む受信信号を補償する。信号内のIQ利得不平衡は、周波数補正の後に推定され、これにより、その後のIQ利得不平衡の補償のためのIQ利得不平衡推定値が与えられる。IQ利得不平衡推定は、I信号成分とQ信号成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成することと、I信号成分とQ信号成分との最大電力比を与える仮定を、実際の位相誤差として取得することと、を含む。最大電力比が、IQ不平衡推定値について微分される。IQ利得不平衡推定値は、その先行値、最大電力比、および最大電力比の導関数の関数として更新される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、主に無線通信に関し、特に、未知のIQ位相ずれが存在する場合にIQ利得不平衡を抑制することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
セルラ無線通信システムは、当該技術分野においてよく知られており、広く用いられている。広帯域CDMA(WCDMA)のHigh Speed Packet Access(HSPA)Evolutionトラック(track)は、複数アンテナ技術と高次変調とを組み合わせることにより、データレートを大幅に増加させる。たとえば、ダウンリンクでは、2×2複数入力複数出力(MIMO)送信および64QAM変調により、現行の単一アンテナ送信および16QAMで達成可能なデータレートを最大で3倍に引き上げることが可能である。伝搬チャネルからの干渉や他の外部ソースからの干渉が少ない「良好な条件」においては、そのような最大データレートが達成可能であると予想される。制限要因になると考えられるのは、むしろ、受信機のフロントエンド障害である。そのような障害は、電力割り当てや干渉制御では影響を除去できないことから、特に厄介である。アンテナにおける所望の信号対干渉比(SIR)を高くすると、RF障害は、支配的な妨害となり、誤りフロアおよび/またはスループットシーリングの原因になる。そのような障害の典型的なものとして、IQ不平衡、位相雑音、直流漏れ、量子化雑音、熱雑音などがある。
【0003】
MIMOおよび高次モード(HOM)の特徴を活かすためには、受信機フロントエンド全体の出力の信号対雑音比(SNR)を、シングルストリーム16QAMの場合に必要なSNRより、数dB高くしなければならないとされてきた。出力SNRを上げるためにRF回路の質を向上させると、ハードウェアのコストがかなり上昇する。このコスト上昇は、後続のベースバンド処理段が(たとえば、障害成分を除去する追加操作を行うことによって)低品質入力信号を扱うことが可能であれば、回避または限定することが可能である。
【0004】
典型的な、コスト効率の良いRF回路設計において、1つの重要なフロントエンド障害がIQ不平衡である。IQ不平衡は、受信機内のいくつかの場所で発生する可能性がある。それらは、(送信機および受信機の両方の)局部発振器(LO)、可変利得増幅器(VGA)チェーン、アナログデジタル変換器(ADC)などであり、また、IおよびQの選択性フィルタのカットオフ周波数が変動して不要な信号イメージを引き起こすことによって発生する可能性もある。IQ不平衡の様々な寄与が凝集的に蓄積されて、最も支配的なRF障害の1つが構成される可能性がある。このIQ不平衡の影響は、十分な品質のRF設計を利用することにより、許容可能なレベルまで低減可能である。これに対し、IQ不平衡イメージ成分をベースバンド処理によって除去または大幅に低減できるのであれば、低品質ながら、よりコスト効率の良いRFフロントエンドを用いることが可能である。本出願の譲受人に譲渡された、2007年8月2日に出願された、同時係属中の米国特許出願第11/832695号(件名「IQ Imbalance Image Suppression」)の明細書には、ベースバンドIQ不平衡の抑制について記載されており、この明細書は参照によってその全体が本明細書に組み込まれている。
【0005】
無線通信システムの受信機は、多くの利用分野において、送信された搬送波周波数に対して周波数誤差(すなわち、周波数の不一致)がある。この周波数誤差は、当該技術分野において周知である自動周波数制御(AFC)技術を用いて追跡および補正される。しかしながら、IQ不平衡が発生してから周波数補正を実施する場合(典型的には、残留周波数誤差を補正するケース(たとえば、最大100Hzまで。これは、典型的には、デジタル的に補正される))、先行技術のIQ不平衡補償技術(たとえば、上で参照した出願に記載されている技術)では、IQ不平衡の十分な抑制が行われない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本明細書において開示され、特許請求される1つまたは複数の実施形態によれば、無線通信システムの受信機のIQ不平衡が、周波数補正の実施前に、IQ利得不平衡を含む受信信号を補償する。信号内のIQ利得不平衡は、周波数補正の後に推定され、これにより、その後のIQ利得不平衡の補償のためのIQ利得不平衡推定値が与えられる。IQ利得不平衡推定値は、I信号成分とQ信号成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成することと、I信号成分とQ信号成分との最大電力比を与える仮定を、実際の位相誤差として取得することと、を含む。
【0007】
一実施形態は、同相(I)信号成分および直角位相(Q)信号成分を含む受信無線通信信号のIQ利得不平衡を補償する方法に関する。I成分とQ成分との間の利得不平衡および未知の位相誤差と、送信機の搬送波周波数と受信機の搬送波周波数との間の周波数誤差と、を有する無線通信信号が受信される。最も最近計算されたIQ利得不平衡推定値を用いて、I信号成分およびQ信号成分のうちの少なくとも一方に対して利得補償が行われる。利得補償後に、上記信号に対して周波数補正が行われる。周波数補正後に、IQ利得不平衡推定値が更新される。更新されたIQ利得不平衡推定値を用いて、上記信号の、引き続いて受信された部分に対して利得補償が行われる。
【0008】
別の実施形態は、無線通信システムの受信機により、受信信号の周波数補正の後に、受信信号のIQ利得不平衡を連続的に推定する方法に関する。受信信号のI成分とQ成分との間の位相誤差の複数の仮定が生成される。各位相仮定について、I成分とQ成分との電力比が推定される。すべての位相仮定に対する最大電力比が特定される。最大電力比が、IQ利得不平衡について微分される。次に、先行のIQ利得不平衡推定値、最大電力比、および最大電力比の導関数に基づいて、新しいIQ利得不平衡推定値が生成される。
【0009】
さらに別の実施形態は、無線通信システムの受信機に関する。本受信機は、IQ利得不平衡推定値を記憶するように動作するメモリを含む。本受信機はまた、通信信号を受信し、受信信号を既知の周波数誤差に関して補正し、周波数補正された信号を出力するように動作する、第1の周波数補正部を含む。本受信機はまた、周波数補正された信号を受信し、周波数補正された信号のI成分とQ成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成するように動作し、さらに、それぞれが複数の位相仮定のうちの1つを仮定した、対応する複数の仮定信号を出力するように動作する、位相仮定部を含む。本受信機はまた、メモリにアクセスして複数の仮定信号を受信するように動作する制御部を含み、制御部はさらに、すべての位相仮定に対する、I成分とQ成分との最大電力比を特定することと、最大電力比をIQ利得不平衡推定値について微分することと、先行のIQ利得不平衡推定値、最大電力比、および最大電力比の導関数の関数として、更新されたIQ利得不平衡推定値を生成および出力することと、を行うように動作する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
【図1】IQ不平衡の発生源を示す、受信機の機能ブロック図である。
【図2】周波数補正後にIQ利得不平衡推定を行う受信機の機能ブロック図である。
【図3】周波数補正後にIQ利得不平衡推定を行う受信機の機能ブロック図であって、不平衡推定のために、その前の周波数補正が除去される機能ブロック図である。
【図4】周波数補正された信号についてIQ利得不平衡推定値を計算する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
図1は、IQ不平衡のいくつかの発生源を説明する、RF受信機10を示す図である。アンテナ12で受信される送信信号xは、
【数1】


のようにモデル化できる。ここで、項φは、IQ不平衡に寄与する送信機LOの誤差を表す。受信信号は、バンドバスフィルタおよび低雑音増幅器14でフロントエンド処理され、乗算器16、18で、受信機LOからの、位相をオフセットされた周期信号を乗算されることによって、同相(I)信号成分と直角位相(Q)信号成分とが分離される。Sin(ωt+δ)のδ項で表される、LO信号の位相不平衡も、IQ不平衡に寄与する。さらに、IQ不平衡は、Iローパスフィルタ20およびQローパスフィルタ22のカットオフ周波数の変動が寄与する可能性があり、さらに、IQ不平衡は、I VGA 24およびQ VGA 26の利得不平衡γから引き起こされる可能性もある。図1に示すように、複素出力信号yは、その同相成分の項と直角位相成分の項とで、I+jQと表される。なお、この信号は、前述の複数の発生源からのIQ不平衡を一括したものを含んでいる。
【0012】
上で定義した表記法を用いると、IQ不平衡の影響を特徴づけるために従来用いられてきた性能指標であるイメージ除去比(IRR)は、次のように計算される。
【数2】

【0013】
IQ不平衡のメカニズムの線形性により、送信機および図1に示した受信機の各段の寄与を、単一項にひとまとめにして一緒に扱うことが可能である。IQ不平衡は、振幅のように加算される。すなわち、2つのIQ不平衡発生源がそれぞれ30dBのイメージ除去比を有するとすれば、それらは、トータルでは(最悪の場合、すなわち、それらの不平衡の方向が同じである場合)24dBのイメージ除去比になる。典型的なRFアーキテクチャでは、位相不平衡δは、IRRが−30dBより小さく、利得不平衡γ(最悪の場合、IRR≒24dB)より小さい。したがって、利得不平衡γを推定および補償することが最も重要である。
【0014】
また、実際の受信機10では、LO搬送波周波数は、送信された搬送波周波数と完全には一致しないことが多い。したがって、図1に示すように、小さな周波数誤差Δf(典型的には、100Hz未満)が導入される。Δfは既知なので、受信信号を、利得推定の前に周波数補正(回転解除)することにより、経時位相ドリフトを除去することが可能である。しかしながら、厳密な絶対位相を特定して除去することはできない。
【0015】
図2は、受信機10の機能ブロック図を示す。周波数補正部32での信号の周波数補正の前に、利得補償部30が、(図示した実施形態では、受信信号のQ成分に対して)IQ利得不平衡補償を行う。周波数補償の後に、IQ利得不平衡推定部37において、IQ利得不平衡推定を行う。IQ利得不平衡推定部37は、位相仮定部38と、メモリ42にアクセスする制御部40とを含んでいる。操作がこの順序であるのは、典型的なユーザ端末(UE)受信機では、利得補償および周波数補正がUEの(典型的にはアナログの)RF回路で行われ、推定が(典型的にはデジタルの)ベースバンド処理回路で行われるためである。これらの回路は、図2に破線で示すように、別々の集積回路構成要素として実装可能である。
【0016】
周波数誤差Δfは、自動周波数制御部34において、受信通信信号を受信したチャネル推定部36から提供されるチャネル推定Hに基づいて推定され、周波数補正部32に送られる。周波数誤差が小さいと仮定すると、Δfの影響は、ある少数のサンプルにわたる一定の位相回転φとして近似することが可能である。位相φは、典型的には、IQ利得不平衡推定部37において未知である。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、位相仮定部38において、いくつかの位相仮定φが生成され、各仮定位相誤差φを仮定した信号が、制御部40で解析される。数学的には、周波数誤差補正後の受信信号をyとすると、次のようになる。
【数3】


ここで、
【数4】


は、位相仮定φを仮定した信号である。位相φが既知であれば、IQ利得不平衡推定値は、(たとえば、半スロットから2スロットに相当する)いくつかのチップサンプルにわたるI信号成分とQ信号成分との電力比を推定することにより、導出可能である。その場合、IQ利得不平衡は、電力比の平方根に比例する。
【0017】
位相φが未知であれば、各位相仮定について電力比Qを推定し、これらの比を比較して、最大比Mを与える位相仮定を特定する。
これを式で表せば、次のとおりである。
【数5】


ここで、添え字nは、n番目の測定時刻における電力推定値に関連付けられている。
【0018】
最大電力比Mの、IQ利得不平衡に関する導関数は、次のように推定される。
【数6】


このIQ利得不平衡の推定値は、最大電力比Mとその導関数とを用いて、次のように更新される。
【数7】

【0019】
これらの計算は、制御部40で行われる。IQ利得不平衡推定値の先行値γn−1、γn−2などと、最大電力比の先行値Mn−1は、メモリ42に記憶させることが可能であり、メモリ42は、図2に示したように、制御部40の一部であってよく、制御部40から外部アクセスされてもよい。なお、以上の式は、周波数補正の後に続くIQ利得不平衡推定の一実施形態の具体例を示したものである。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されない。一般に、IQ利得不平衡推定値は、γn−k、(k=1,2,…)と
【数8】


の値の関数として、様々な方法で計算可能である。
【0020】
図3は、電力比を特定するためにサンプルを取得する時間に対して周波数誤差が大きい場合に有利な一実施形態を示す。この場合、周波数誤差は、一定位相で近似されると仮定することが可能である。これは、たとえば、1スロット分を超えるデータを取得し、周波数誤差が200Hzより大きい場合である。この場合は、残留周波数誤差が大きすぎて、不平衡補正の適正な位相を追跡することができない。したがって、この場合は、ブロック32でRF段において行われた周波数補正を、ブロック44で除去する。これにより、次式のような、一定の位相誤差を有するが回転を含まない信号xが得られる。
=yjΔft (7)
IQ利得不平衡推定の正確な位相を特定するために、前述のように、以下を与える位相誤差仮定を生成する。
【数9】


ここで、
【数10】


は、位相仮定φを仮定した信号である。
【0021】
図4のフロー図は、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って、受信通信信号をIQ利得不平衡に関して補償する方法50を示す。当業者であれば、方法50が、反復されるものであって、連続して実行されることを理解されよう。しかしながら、説明のために、本方法は、最も最近のIQ利得不平衡推定値に基づいて、新しく受信した信号をIQ利得不平衡に関して補償する(ブロック52)時点で、「開始される」ものとする。次に、この信号を、既知の周波数誤差(たとえば、AFC部34で計算されたΔf)に関して周波数補正する(ブロック54)。
【0022】
周波数補正後に、IQ利得不平衡を推定する。I信号成分とQ信号成分との間の位相誤差は未知であるため、複数の位相仮定を生成する(ブロック56)。各位相仮定について(ブロック60)、I信号成分とQ信号成分との電力比を導出する(ブロック58)。次に、すべての位相仮定に対する最大電力比を特定し(ブロック62)、その最大電力比の、IQ利得不平衡推定値に関する導関数を計算する(ブロック64)。次に、IQ利得不平衡推定値を、その先行値、最大電力比、および最大電力比の導関数の関数として更新する(ブロック68)。
次に、更新されたIQ利得不平衡推定値を用いて、受信信号をIQ利得不平衡に関して補償し(ブロック52)、次に周波数補正を行い(ブロック54)、本方法を繰り返す。
【0023】
当業者であれば、図2および3に示した各機能単位が、特定の機能を実施することを理解されるであろう。これらの機能単位は、電気回路や、プログラム内蔵式プロセッサまたはデジタル信号プロセッサで実行されるソフトウェアモジュールや、回路およびソフトウェアを様々に融合させたファームウェアなど、様々な実施形態で実施可能である。さらに、電気回路は、集積回路でもディスクリート回路でもよく、回路またはソフトウェアへの機能性の実装は、図示された機能分割に従わなくてもよい。制御部40からアクセスされるメモリ42は、1つまたは複数のレジスタまたはラッチ、RAM(DRAM、SRAM、SDRAMなど)、フラッシュメモリ、EEPROM、または他の任意の、当該技術分野において知られている読み取り/書き込みメモリ技術を含んでよい。メモリ42は、図示したように制御部40内にあってよく、代替として、当該技術分野において周知のように、制御部40の外部にあってもよい。後者の場合、制御部40は、メモリバス経由でメモリにアクセスする。
【0024】
もちろん、本発明は、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に説明した方法以外の方法でも実行可能である。本明細書に記載の実施形態は、あらゆる点において制限的ではなく例示的であると見なすべきであり、添付の特許請求項の意味および等価性の範囲に収まるあらゆる変更は、本明細書に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同相(I)信号成分および直角位相(Q)信号成分を含む受信無線通信信号のIQ利得不平衡を補償する方法であって、
I成分とQ成分との間の利得不平衡および未知の位相誤差と、送信機の搬送波周波数と受信機の搬送波周波数との間の周波数誤差と、を有する無線通信信号を受信することと、
最も最近に計算されたIQ利得不平衡推定値を用いて、前記I信号成分およびQ信号成分のうちの少なくとも一方に対して利得補償を行うことと、
前記利得補償後に、前記信号に対して周波数補正を行うことと、
前記周波数補正後に、前記IQ利得不平衡推定値を更新することと、
前記更新されたIQ利得不平衡推定値を用いて、前記信号の、引き続いて受信された部分に対して利得補償を行うことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記IQ利得不平衡推定値を更新することは、前記I信号成分とQ信号成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IQ利得不平衡推定値を更新することはさらに、各位相仮定についてI成分とQ成分との電力比を推定することと、前記電力比のうちの最大の電力比を特定することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記IQ利得不平衡推定値を更新することはさらに、前記最大電力比の、前記IQ利得不平衡に関する導関数を推定することと、前記IQ利得不平衡推定値を、前記IQ利得不平衡推定値の先行値、前記最大電力比、および前記最大電力比の前記導関数の関数として更新することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の位相誤差仮定を仮定した複数の信号が次式のとおりであり、
【数1】


は、前記周波数補償後の前記受信信号であり、φは、i番目の位相仮定であり、
前記i番目の位相仮定の電力比Qは、次式のとおりであり、
【数2】


すべての位相仮定に対する最大電力比Mは、次式のとおりであり、
【数3】


前記IQ利得不平衡に対する前記最大電力比Mの導関数は、次式のとおりであり、
【数4】


前記更新されたIQ利得不平衡推定値γは、次式のとおりである、
【数5】


請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記受信信号の周波数誤差が所定しきい値を上回る場合、前記信号に対して周波数補正を行うことは、推定のために前記補正を除去することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記信号を、まず、仮定された一定位相で周波数補正して信号yを生成し、次に、補正を解除して信号
=yjΔft
を取得する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記位相誤差仮定は、
【数6】


を与え、
【数7】


は、位相仮定φを仮定した信号である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
無線通信システムの受信機により、受信信号の周波数補正の後に、前記受信信号のIQ利得不平衡を連続的に推定する方法であって、
前記受信信号のI成分とQ成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成することと、
各位相仮定についてI成分とQ成分との電力比を推定することと、
すべての位相仮定に対する最大電力比を特定することと、
前記最大電力比を前記IQ利得不平衡について微分することと、
先行のIQ利得不平衡推定値、前記最大電力比、および前記最大電力比の前記導関数に基づいて、新しいIQ利得不平衡推定値を生成することと、
を含む方法。
【請求項10】
前記位相誤差仮定を生成する前に、前記受信信号を周波数誤差に関して補正することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記受信信号に対して周波数補正を行う前に、前記新しいIQ利得不平衡推定値を用いて、前記I信号成分およびQ信号成分のうちの少なくとも一方を利得補償することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
無線通信システムの受信機であって、
IQ利得不平衡推定値を記憶するように動作するメモリと、
通信信号を受信するように動作し、前記信号を既知の周波数誤差に関して補正し、周波数補正された信号を出力するように動作する、第1の周波数補正部と、
前記周波数補正された信号を受信するように動作し、前記周波数補正された信号のI成分とQ成分との間の位相誤差の複数の仮定を生成するように動作し、さらに、それぞれが前記複数の位相仮定のうちの1つを仮定した、対応する複数の仮定信号を出力するように動作する、位相仮定部と、
前記メモリにアクセスして前記複数の仮定信号を受信するように動作する制御部であって、
すべての位相仮定に対する、I成分とQ成分との最大電力比を特定することと、
前記最大電力比をIQ利得不平衡推定値について微分することと、
先行のIQ利得不平衡推定値、前記最大電力比、および前記最大電力比の前記導関数の関数として、更新されたIQ利得不平衡推定値を生成および出力することと、をさらに行うように動作する前記制御部と、
を含む受信機。
【請求項13】
前記第1の周波数補正部の上流にあって、受信信号のI成分およびQ成分のうちの少なくとも一方を、最も最近のIQ利得不平衡推定値に関して補償するように動作する利得補償部をさらに含む、請求項12に記載の受信機。
【請求項14】
前記第1の周波数補正部および利得補償部は、RFフロントエンド回路内に配置され、前記位相仮定部、制御部、およびメモリは、ベースバンド処理回路内に配置される、請求項12に記載の受信機。
【請求項15】
前記RFフロントエンド回路はアナログであり、前記ベースバンド処理回路はデジタルである、請求項14に記載の受信機。
【請求項16】
前記通信信号を受信するように動作し、送信チャネルの推定値を導出して出力するように動作する、チャネル推定部と、
チャネル推定値を受信するように動作し、送信機と前記受信機との間の周波数誤差の表示を計算して前記第1の周波数補正部に出力するように動作する、自動周波数補償(AFC)部と、
をさらに含む、請求項12に記載の受信機。
【請求項17】
前記第1の周波数補正部と前記位相仮定部との間に配置され、前記第1の周波数補正部によって加えられた補正値を除去するように動作する周波数補正解除部をさらに含む、請求項12に記載の受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535441(P2010−535441A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518595(P2010−518595)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058767
【国際公開番号】WO2009/016000
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】