説明

材料試験機

【課題】 軸心調整を容易に行うことが可能な材料試験機を提供する。
【解決手段】 歪みゲージ61は、テスト用試験片10aの上・中・下の異なる高さ位置に各4個、合計12個貼設される。テスト用試験片10aに貼設された歪みゲージ61は、計測手段であるデータロガー62に接続され、歪みゲージ61の検出値が記録および保存される。データロガー62は、ディスプレイ63と、筐体64内にCPU等を備えたパーソナルコンピュータ65に接続され、筐体64内において、歪みゲージ61の検出値に基づいてテスト用試験片10aの上・中・下の高さ位置ごとの歪みが算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験片を把持するつかみ具の軸心を調整するための軸心調整装置を備えた材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような材料試験機は、上つかみ具および下つかみ具によりその両端を把持した試験片に対して負荷を与えながら、ロードセルと変位検出器によりそのときの試験力と変位とを測定することにより、試験片の試験力−変位特性や、S−N線図を求める構成となっている。このような材料試験機においては、上つかみ具と下つかみ具との軸心が整合していないと、正確な材料試験を実行することができない。このため、このような材料試験機においては、上つかみ具と下つかみ具との軸心を調整するための軸心調整装置が配設されている。
【0003】
また、このような軸心調整を行う材料試験機として、例えば、試験片に取り付けた複数の歪みゲージの検出値に基づいて、下つかみ具を設けたXYステージの位置を自動調整することにより、軸心のズレを補正できる材料試験機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−31033号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オペレータが軸心調整を行う場合には、現在の軸心のズレの程度を的確に把握し、その状況に応じた調整操作を確実に実行する必要がある。特に、繰返し回数が10以下の低サイクル疲労試験と呼ばれる材料試験では、上つかみ具と下つかみ具との軸心のズレが試験データの精度や信頼性に及ぼす影響が大きくなるため、精度の高い軸心調整が要求される。このため、このような精度の高い軸心調整は、オペレータにとって精度を出すために比較的長い時間が費やされる困難な作業となっている。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、オペレータが軸心調整に必要とする情報を視覚的に容易に把握できるように情報表示を充実させることにより、軸心調整を容易に行うことが可能な材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数の調整ネジを操作することにより、試験片を把持するつかみ具の軸心を調整する軸心調整装置を備えた材料試験機であって、試験片に負荷を加える負荷手段と、試験片の異なる複数の高さ位置ごとに貼設される複数の歪みゲージと、前記複数の歪みゲージからの信号を記録する計測手段と、前記計測手段からの信号に基づいて、試験片の歪み方向と歪み量を複数の高さ位置ごとに算出する演算手段と、前記演算手段により算出された複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を、複数の高さ位置の負荷軸に略直交する面ごとに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記表示手段は、前記軸心調整装置における調整ネジを表示するとともに、前記調整ネジの操作メッセージを、前記演算手段により算出された複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量に基づいて表示する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記表示手段は、複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を立体的に表示する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記複数の歪みゲージは、試験片の同一高さ位置において等間隔に貼設される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記調整ネジは、つかみ具の位置を調整するための位置調整ネジと、つかみ具の角度を調整するための角度調整ネジである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記複数の歪みゲージは、試験片の同一高さ位置において4個備えられるとともに、前記位置調整ネジおよび前記角度調整ネジは、それぞれ4方向からつかみ具の位置および角度を調整する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、表示手段に、試験片の歪み方向と歪み量を複数の高さ位置の負荷軸に略直交する面ごとに表示することから、オペレータがこれらの情報を視覚的に容易に把握することができ、軸心調整に費やす時間を短縮することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、表示手段に、軸心調整装置の調整ネジと調整ネジの操作メッセージを、演算手段により算出された複数の高さ位置ごとの歪み量と歪み方向に基づいて表示することから、オペレータが必要な調整操作を視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、表示手段は、複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を立体的に表示することから、オペレータがこれらの情報をより視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、複数の歪みゲージが試験片の同一高さ位置において等間隔に貼設されることから、高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を正確に算出することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、位置調整ネジと角度調整ネジで調整することから、より精密な軸心調整を行うことが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、試験片の同一高さ位置に4個の歪みゲージを貼設し、位置調整ネジと角度調整ネジのそれぞれが4方向からつかみ具の位置および角度を調整することから、4個の歪みゲージの貼設位置と、位置調整ネジと角度調整ネジの調整方向を対応させることができ、より正確な歪み方向と歪み量の算出と、容易かつ精密な軸心調整を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る材料試験機の概要図である。
【図2】軸心調整装置13の概要図である。
【図3】軸心調整装置13における角度調整用カラー部材134付近の平面概要図である。
【図4】軸心調整装置13における位置調整用カラー部材135付近の平面概要図である。
【図5】テスト用試験片10aの歪みを測定する様子を示す概要図である。
【図6】テスト用試験片10aにおける歪みゲージ61の貼設位置を示す説明図である。
【図7】軸心のズレとそれに対応する軸心調整装置13の調整操作を示す表示例である。
【図8】軸心のズレとそれに対応する軸心調整装置13の調整操作を示す他の表示例である。
【図9】他のテスト用試験片10aにおける歪みゲージ61の貼設位置を示す説明図である。
【図10】他のテスト用試験片10aにおける歪みゲージ61の貼設位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る材料試験機の概要図である。
【0021】
この材料試験機は、基台16と、この基台16上に立設された左右一対のねじ棹17と、左右一対のねじ棹17と螺合するナット部を備え、ねじ棹17に対して昇降するクロスヘッド23とを備える。クロスヘッド23には、上つかみ具11が、軸心調整装置13を介して付設されている。また、基台16には下つかみ具12が、ロードセル15を介して付設されている。試験片10は、その両端をこれらの上つかみ具11および下つかみ具12により把持される。
【0022】
一対のねじ棹17の下端部には、各々、同期ベルト22と係合する同期プーリー21が配設されている。また、この同期ベルト22は、モータ18の駆動により回転する同期プーリー19とも係合している。このため、一対のねじ棹17は、モータ18の駆動により同期して回転する。そして、一対のねじ棹17が同期して回転することにより、クロスヘッド23は、一対のねじ棹17の軸心方向に昇降する。
【0023】
試験片10に負荷される試験力は、ロードセル15により検出される。また、試験片10の上下の標点間の変位量は、変位計14により検出される。ロードセル15および変位計14からの信号は図示しない制御回路に入力される。この制御回路は、ロードセル15および変位計14からの信号に基づいて、モータ18の駆動制御信号を作成する。これにより、モータ18の回転が制御され、引張や圧縮等の各種材料試験が行われる。
【0024】
図2は、軸心調整装置13の概要図である。
【0025】
この軸心調整装置13は、クロスヘッド23と上つかみ具11との間に介在されるものであり、クロスヘッド23と上つかみ具11とを連結する連結軸131と、この連結軸131の中央部に固定された枠部材139と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、クロスヘッド23に固定された角度調整用カラー部材134と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、上つかみ具11に固定された位置調整用カラー部材135とを備える。
【0026】
連結軸131は、角度調整用カラー部材134、枠部材139および位置調整用カラー部材135を貫通するとともに、連結軸131の上端部は取付板132と螺合しており、連結軸131の下端部は上つかみ具11と螺合している。また、取付板132は、一組のジャッキボルト133を介してクロスヘッド23と連結されている。このため、一組のジャッキボルト133を利用して取付板132をクロスヘッド23に対して上方に移動させることにより、上つかみ具11を所定の力でクロスヘッド23に対して締結することができる。
【0027】
枠部材139は、連結軸131に螺合して固定された支持部137と、連結軸131の周囲を囲う矩形状の枠部136とから構成される。支持部137の上面には、半球状の凸部138が形成されており、角度調整用カラー部材134の下面にはこの凸部138と対応する形状を有する半球状の凹部が形成されている。また、支持部137の下面は平面状となっており、平面状の位置調整用カラー部材135の上面と当接している。
【0028】
図3は、軸心調整装置13における角度調整用カラー部材134付近の平面概要図である。
【0029】
この角度調整用カラー部材134は、平面視において矩形状の形状を有し、その外周面は、枠部材139における枠部136と螺合する4本のネジ141、142、143、144の先端部と当接している。このため、4本のネジ141、142、143、144を調整することにより、枠部材139を連結軸131とともに傾斜させて上つかみ具11の角度を調整することが可能となる。すなわち、4本のネジ141、142、143、144のうち、互いに対向する2本のネジの一方を緩め一方を締めた状態で、枠部材139の半球状の凸部138を角度調整用カラー部材134の半球状の凹部に沿って移動させることにより、枠部材139を連結軸131とともに傾斜させることが可能となる。そして、この連結軸131の傾斜に伴って、上つかみ具11が傾斜する。
【0030】
図4は、軸心調整装置13における位置調整用カラー部材135付近の平面概要図である。
【0031】
この位置調整用カラー部材135は、平面視において矩形状の形状を有し、その外周面は、枠部材139における枠部136と螺合する4本のネジ151、152、153、154の先端部と当接している。このため、4本のネジ151、152、153、154を調整することにより、枠部材139を連結軸131とともに移動させて上つかみ具11の位置を調整することが可能となる。すなわち、4本のネジ151、152、153、154のうち、互いに対向する2本のネジの一方を緩め一方を締めた状態で、枠部材139を位置調整用カラー部材135の上面に沿って移動させることにより、枠部材139を連結軸131とともに位置調整用カラー部材135に対して相対的に移動させることが可能となる。そして、この連結軸131の相対的な移動に伴って、上つかみ具11が移動する。
【0032】
上述したように、この軸心調整装置13においては、4本のネジ141、142、143、144および4本のネジ151、152、153、154に相当するネジを調整することにより、連結軸131の位置および角度の調整が可能となっている。すなわち、上つかみ具11の位置および角度を調整することにより、上つかみ具11と下つかみ具12の負荷軸、すなわち軸心の調整が可能となっている。
【0033】
図5は、テスト用試験片10aの歪みを測定する様子を示す概要図である。図6は、テスト用試験片10aにおける歪みゲージ61の貼設位置を示す説明図である。
【0034】
上つかみ具11と下つかみ具12との軸心の歪み方向と歪み量は、歪みゲージ61を貼設したテスト用試験片10aを、上つかみ具11と下つかみ具12に把持させた状態と、その状態でさらに軽い負荷(例えば20N程度)をテスト用試験片10aに与えた状態とで計測される。歪みゲージ61は、図6に示すように、テスト用試験片10aの上・中・下の異なる高さ位置に各4個、合計12個貼設される。
【0035】
図5に示すように、テスト用試験片10aに貼設された歪みゲージ61は、計測手段であるデータロガー62に接続される。データロガー62は、歪みゲージ61の検出値を記録しその結果を保存する計測機器であり、この実施形態では、同一高さ位置の歪みゲージ61ごとにデータロガー62を各1台備えている。
【0036】
各データロガー62は、表示手段であるディスプレイ63と、筐体64内部にROM,RAM,および演算手段であるCPU等を備えたパーソナルコンピュータ65とに接続される。そして、筐体64内において、歪みゲージ61の検出値に基づいて、テスト用試験片10aの上・中・下の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量が算出される。
【0037】
次に、歪み方向と歪み量の算出方法の一例を説明する。まず、データロガー62により記録されパーソナルコンピュータ65に送られた各歪みゲージ61の検出値から、各歪みゲージ61の位置ごとの歪み(G1〜G12)が計算される。図6に示すように、歪みゲージ61は同一高さ位置において等間隔に4つ貼設されていることから、その高さ位置の負荷軸に略直交する面において、向かい合う2個の歪みゲージ61間を結ぶ対角線が直交することになる。その直交する対角線のそれぞれをX軸方向およびY軸方向と規定して、上位置のX軸方向の歪み=(G1−G3)/2および上位置のY軸方向の歪み=(G2−G4)/2から、上位置の負荷軸に略直交する面における歪み方向と歪み量を表す(X,Y)座標を求める。同様に、中位置のX軸方向の歪み=(G5−G7)/2および中位置のY軸方向の歪み=(G6−G8)/2から、中位置の負荷軸に略直交する面における(X,Y)座標、そして、下位置のX軸方向の歪み=(G9−G11)/2および上位置のY軸方向の歪み=(G10−G12)/2から、下位置の負荷軸に略直交する面における(X,Y)座標を求める。なお、座標原点は、上・中・下の高さ位置における面と負荷軸が交わる点としている。
【0038】
また、この実施形態では、X軸は、上述した軸心調整装置13におけるネジ141とネジ142とを結ぶ線、および、ネジ151とネジ152とを結ぶ線と略同一であり、Y軸は、上述した軸心調整装置13におけるネジ143とネジ144とを結ぶ線、および、ネジ153とネジ154とを結ぶ線と略同一である。なお、X軸およびY軸の数値の単位は、マイクロストレイン(με)である。歪みは、単位長さ当たりの変形量で表されるため無次元量であるが、歪み計測に関する技術分野では、歪みを表す単位として慣習的にストレイン(ε:strain)が使用されている。このため、この実施形態においても数値の単位としてストレインを用いている。
【0039】
上述した算出方法により求められた各(X,Y)座標は、上・中・下の高さ位置ごとの後述する座標図71にプロットされ、ディスプレイ63に表示される。図7は、軸心のズレとそれに対応する軸心調整装置13の調整操作を示す表示例である。
【0040】
この表示例では、上・中・下の高さ位置ごとの座標図71を、負荷軸である中心軸を基準として立体的に表示している。オペレータは、このような立体表示により、座標図71にプロットされた(X,Y)座標の中心軸からのズレ、すなわち軸心のズレをイメージとして視覚的に把握することができる。
【0041】
また、この表示例では、軸心調整装置13を模した調整ネジの配置図72と、座標図71に表示された軸心のズレ(歪み方向と歪み量)の度合いに対応する、調整操作が必要な調整ネジを矢印で指し示すとともに、具体的な調整ネジの操作を操作メッセージ表示部73に表示している。なお、調整ネジの配置図72のA00、A90、A180、A270は、それぞれ図3に示す、角度調整ネジであるネジ144、141、143、142に相当する。また、調整ネジの配置図72のC00、C90、C180、C270は、それぞれ図4に示す、位置調整ネジであるネジ154、151、153、152に相当する。
【0042】
操作メッセージ表示部73に表示する操作メッセージの内容は、軸心のズレの度合いに対応させて、位置調整および角度調整のそれぞれについて、パーソナルコンピュータ65の筐体64内の記憶部(ROM等)に格納されている。
【0043】
次に、軸心調整について説明する。軸心調整は、まず位置調整、次に角度調整の順で行なわれる。例えば、上・中・下の高さ位置ごとの座標図71において、図7に示すように、それぞれの(X,Y)座標が中心軸と平行な同一軸線上にないときには、まず、上・中・下の座標が同一軸線上となるように上・下の座標を中の座標に近づける操作が行なわれる。この操作は、ネジ151、152、153、154を操作する位置調整である。そのときには、操作メッセージ表示部73に、記憶部から読み出された「C90を緩めて、C270を締めて下さい。」等の操作メッセージが表示される。そして、オペレータは、その操作メッセージに従って調整ネジを操作し、位置調整を行う。しかる後、中の座標をさらに座標中心に近づける操作が行われる。この操作は、ネジ141、142、143、145を操作する角度調整である。このときには、操作メッセージ表示部73に、図7に示すように記憶部から読み出された「A270を緩めて、A90を締めて下さい。」等の操作メッセージが表示される。そして、オペレータは、その操作メッセージに従って調整ネジを操作し、角度調整を行う。
【0044】
オペレータが軸心調整のため調整ネジを操作している間も、歪みゲージ61からのデータはデータロガー62により計測および記録がされており、座標図71には、リアルタイム座標が表示される。オペレータは、ディスプレイ63の表示を見ながら軸心調整を行ない、上・中・下の高さ位置ごとの軸心のズレがいずれも閾値内となれば、ほぼ軸心調整はできたものと判断して、操作を終了する。なお、ここでの閾値は、例えば、X軸およびY軸において半径50マイクロストレイン程度のズレを想定している。
【0045】
図8は、軸心のズレとそれに対応する軸心調整装置13の調整操作を示す他の表示例である。この表示例は、図7に示す座標図71に替えて、上・中・下の高さ位置ごとの軸心のズレを各高さ位置の2次元図である座標図74に示している。
【0046】
この表示例の座標図74のように、上・中・下の高さ位置ごとの2次元図を、X軸およびY軸のスケールをあわせて縦方向に整列させるレイアウトを行った場合でも、軸心のズレの全体イメージを視覚的に把握することができる。
【0047】
このように、上述した2つの表示例では、上・中・下の高さ位置ごとの軸心のズレをそれぞれ表示することで、オペレータが軸心のズレをイメージとして把握できるため、軸心調整の方向性がオペレータにとって理解しやすいものとなっている。また、現状の軸心のズレから、どの調整ネジをどのように調整すればよいのかを、調整ネジの配置図72と操作メッセージ表示部73に示しているので、オペレータは、それらの情報をイメージとして視覚的に容易に把握でき、調整操作を容易に行うことが可能となる。さらに、これらの表示例に、(X,Y)座標の具体的な数値等を同時に表示させ、より軸心調整に必要とされる情報の表示を充実させるようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、軸心調整装置13が上つかみ具11側のみに配設されており、下つかみ具12はロードセルを介して基台16に固定されているため、上つかみ具11の位置および角度変更の影響を受けやすいテスト用試験片10aの上・中の位置に歪みゲージ61を貼設し、それらの位置の軸心のズレに基づいて軸心調整を行うことも可能である。
【0049】
また、上述した実施形態では、テスト用試験片10aの同一高さ位置において4個の歪みゲージ61を貼設しているが、歪みゲージ61を等間隔に貼設していれば3個であってもよい。すなわち、規定した座標系において、各高さ位置の平面における歪み方向と歪み量をあらわす(X,Y)座標が求められればよく、同一高さ位置における歪みゲージ61の個数は4個に限定されるものではない。
【0050】
図9および図10は、他のテスト用試験片10aにおける歪みゲージ61の貼設位置を示す説明図である。このように、軸心調整に用いるテスト用試験片10aの形状は、上述した実施形態における丸棒状のものに限定されるものではなく、図9に示す厚板状のもの、もしくは図10に示す薄板状のものであっても、それらのテスト用試験片10aの上、中、下の異なる高さ位置に歪みゲージ61をそれぞれ4枚貼り付けることにより、各歪みゲージ61の位置ごとの歪み(G1〜G12)から算出された異なる高さ位置ごとの軸心のズレに基づいて軸心調整を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 試験片
10a テスト用試験片
11 上つかみ具
12 下つかみ具
13 軸心調整装置
14 変位計
15 ロードセル
17 ねじ棹
18 モータ
23 クロスヘッド
61 歪みゲージ
62 データロガー
63 ディスプレイ
64 筐体
65 パーソナルコンピュータ
71 座標図
72 調整ネジの配置図
73 操作メッセージ表示部
131 連結軸
132 取付板
133 ジャッキボルト
134 角度調整用カラー部材
135 位置調整用カラー部材
136 枠部
137 支持部
138 凸部
139 枠部材
141 ネジ
142 ネジ
143 ネジ
144 ネジ
151 ネジ
152 ネジ
153 ネジ
154 ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の調整ネジを操作することにより、試験片を把持するつかみ具の軸心を調整する軸心調整装置を備えた材料試験機であって、
試験片に負荷を加える負荷手段と、
試験片の異なる複数の高さ位置ごとに貼設される複数の歪みゲージと、
前記複数の歪みゲージからの信号を記録する計測手段と、
前記計測手段からの信号に基づいて、試験片の歪み方向と歪み量を複数の高さ位置ごとに算出する演算手段と、
前記演算手段により算出された複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を、複数の高さ位置の負荷軸に略直交する面ごとに表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする材料試験機。
【請求項2】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記表示手段は、前記軸心調整装置における調整ネジを表示するとともに、前記調整ネジの操作メッセージを、前記演算手段により算出された複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量に基づいて表示する材料試験機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の材料試験機において、
前記表示手段は、複数の高さ位置ごとの歪み方向と歪み量を立体的に表示する材料試験機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の材料試験機において、
前記複数の歪みゲージは、試験片の同一高さ位置において等間隔に貼設される材料試験機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の材料試験機において、
前記調整ネジは、つかみ具の位置を調整するための位置調整ネジと、つかみ具の角度を調整するための角度調整ネジである材料試験機。
【請求項6】
請求項5に記載の材料試験機において、
前記複数の歪みゲージは、試験片の同一高さ位置において4個備えられるとともに、前記位置調整ネジおよび前記角度調整ネジは、それぞれ4方向からつかみ具の位置および角度を調整する材料試験機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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