説明

材料除去方法及び材料除去装置

本発明は、一又は複数のサブビームから成るレーザービームを用いた所定の除去深度に対する加工対象物からの材料除去方法に関するものである。それぞれのサブビームは定義されたビーム軸を有し、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸が除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドされる。レーザービームは所定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を有し、値If(x)及び方向sであるポインティングベクトルSを定義する。空間に存在するエネルギーの流れの密度は、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、この除去面が除去端部を形成する。かかる方法は、除去面のそれぞれの法線ベクトルにより形成される除去面のそれぞれの入射角αとポインティングベクトルの方向sが、除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値αMAXを超えないような方向に設定され、この最大値を超えると、除去端部の上方部分の小さい溝の振幅から除去端部の下方部分の大きい振幅までの変化が発見されることを特徴とする。また、本発明は、前記材料除去方法を実施するための装置に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は複数のサブビームから成るレーザービームを用いた所定の除去深度に対する加工対象物からの材料除去方法に関するものである。それぞれのサブビームは定義されたビーム軸を有し、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸が除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドされる。レーザービームは所定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を有し、値If(x)及び方向sであるポインティングベクトルSを定義する。空間に存在するエネルギーの流れの密度は、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、この除去面が除去端部を形成する。さらに、本発明は、このような材料除去方法を実施するための材料除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー切断は、融解を通じた材料除去に対して確立された方法である。この方法によって形成される除去深度は加工対象物の厚み全体を含む。金属を切断する場合、除去面は融解しており、除去面は切断面ともよばれる。レーザーを用いた加工方法のうち、かかる方法は産業上の利用性において先導的な立場にある。ユーザーの視点からみれば、かかる方法についての生産性向上及び品質向上は不変の要求である。
【0003】
高性能のCO(炭酸ガス)レーザー(10μエミッター)は光線に近い波長を有することが知られている。(1mmから30mmの範囲で金属薄板に対して巨視的に利用する技術分野では)レーザー切断には、波長10μm及びレーザー出力1〜6kWのものが産業上用いられる。さらに、ファイバーレーザー及びディスクレーザー(1μエミッター)も光線に近い波長を有している。レーザー切断には、波長1μm及びレーザー出力1〜8kWのものが用いられる。これらの光源は特に経済的な利益を提供するため、次第に用いられるようになっている。しかしながら、加工対象物における切断部の品質は、例えば、使用する光源(ファイバーレーザー、ディスクレーザー1μエミッター、ガスレーザー10μエミッター)や、例えば、切断される加工対象物のシート厚および送り速度に依存することが明らかになりつつある。このため、レーザー融解による切断では次に示すような重要な品質的特徴を確実に獲得しなければならない。
【0004】
[作業性の向上]
基本的に要求されることは、機械加工時間をより短縮して、より大きな材料厚に対する高品質の除去または分離を行うことである。このため、大きなレーザー出力と高駆動性を有するシステムが生産現場に次第に導入されている。これらの開発は、作業管理に関する技術的限界の拡張を目指すものである。
【0005】
[切り口の品質]
表面粗さやバリの付着及び酸化被膜の形成に加えて、均一且つ直角であることが切り口についての重要な品質的特徴である。切断と溶接の作業連鎖は一つの例であり、これにより、接合部の隙間の形成に関する切り口の品質の重要性を認識することができる。研磨あるいは目直しによる後処理を一切必要とすることなく、レーザーを用いて溶接ラインを細く形成可能にするためには、構成部材の切断部が平面且つ直角の状態で接合されるとともに付着したバリが平滑化され且つ酸化物が結合していない状態が望ましい。したがって、次に示すように、これらについての以下の特徴が考慮されるべきである。
【0006】
金属薄板の厚みが増加するとともに、切り口は次第に粗削りな溝になる。この溝は特に切り口の下方部分に(あるいは磨耗切り口、それぞれに)現れる。この問題点は加工対象物のシート厚が大きくなればなる程さらに悪化する。
【0007】
特に低速又は高速による送り速度では、融解物が底部側から完全に除去されない。付着した後に凝固した融解物は好ましくないバリを形成する。そのようなバリが形成されるメカニズムはある程度しか理解されていない。
【0008】
溶接ラインにおけるクラックや細孔の形成は、接合した端部が酸化することに起因している。そのようなクラックや細孔は、火炎切断に伴って発生する。このため、酸化物が結合しない切り口を得るために不活性切断ガスを用いた融解切断が採用されている。
【0009】
レーザー光線を用いた金属切断に関する周知技術は、切断のためのエネルギーを導入するための関連のメカニズムを介して次のいずれかに分類される。活性切断ガス光線を用いたレーザービーム切断と、不活性切断ガス光線を用いたレーザービーム切断のいずれかである。
【0010】
活性切断ガス光線(酸素、圧縮空気など)を用いたレーザービーム切断においては、レーザービームおよび発熱化学反応が同時に切断のためのエネルギーを提供する。活性切断ガス光線を用いたレーザービーム切断に関する技術は、さらに、レーザービームが切断部の隙間で顕著に作用するもの(レーザービーム火炎切断)であるか、あるいは、レーザービームが金属薄板の表側の方へさらに放射されるもの(燃焼安定レーザービーム火炎切断)であるかによって区別される。
【0011】
不活性切断ガス光線(窒素など)を用いたレーザービーム切断においては、レーザービームが切断のためのエネルギーを生成する。不活性切断ガス光線を用いたレーザービーム切断は、さらに、融解の促進あるいは融解物の排出に関するさまざまなメカニズムによって区別される。切断ガス光線の影響に加えて、融解した材料の蒸発が融解を引き起こし、これを促進させることができる。融解した材料の蒸発によって、送り速度の増加とともに駆動性の効果が高まる。
【0012】
不活性切断ガス光線を用いたレーザービーム切断では、以下の三つの変形作業に区別される。
【0013】
(1)レーザービーム融解切断
融解物の表面温度は蒸発温度よりも低い温度に保たれ、融解物は切断ガス光線のみによって排出される。この変形作業は産業上、高純度で中間厚および厚手の金属薄板に対して使用される。融解物は切断面の尖部(頂点)、即ち、レーザービームの軸の前方で最初に流出する。溝やバリの形成は品質上の欠点となる。
【0014】
(2)急速切断
切断面の下方部分では蒸発温度を超えており、切断ガスに基づく排出効果と蒸発する材料の排出効果とは同程度である。融解物は切断面の前方の領域でレーザービームの軸の左右方向へ最初に流出する。この変形作業は、高純度で中間厚の金属薄板に対して使用することができる。溝やバリの形成は品質上の欠点となる。
【0015】
(3)高速切断
切断面上のほぼ全体で蒸発温度を超えている。排出効果は主に蒸発による。融解物はレーザービームの軸の周囲を流れ、レーザービームに続いて切断部の隙間の一部を閉じ、切断ガスの影響を経てそこへ排出される。この変形作業は、高純度の金属薄板に対して使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的は、溝やバリの形成を最小限に抑えることができ、且つ、除去作業中に最適なレーザー光線の形成が可能な、所定の除去深度に対する材料除去方法を提供することにある。従来から周知のように、除去パラメータ(切断パラメータなど)の不適切な設定により、除去深度が増加するほど溝の振幅が不要に激しく増加してしまう可能性がある。例えば、ガス圧が低すぎる場合、除去切り口が狭すぎる場合(細かい切断など)、あるいは送り速度が速すぎる場合などである。したがって、周知の手段を適切に使用してもなお減少させることができない溝が不要に大きい振幅で形成されるのを回避することが主な課題となる。本発明の目的は、従来技術に関する驚くべき見解に基づいて本発明者らにより発見されたものである。例えば、1μエミッター(ファイバーレーザー、ディスクレーザーなど)のような選択された光源をレーザー切断のために用いる場合、あるいは、大きな加工対象物を切断する場合には、大きい振幅の溝が形成される。周知の手段ではこれを回避することができない。また、周知の研究状態では、その原因またはメカニズムについての説明的な情報を提供できず、望ましくない大きい振幅の溝が形成される結果となってしまう。
【0017】
経験的見地から、望ましくなく、今日現在では回避できない溝を、ある除去深度(あるいは切断深度)の領域で溝の振幅を小さい値から著しく大きな値まで変化させ得るということが知られるようになった。この変化は、加工対象物の厚みと比べて小さい切断深度の領域で発生する可能性がある。切断中、この領域は切り口上(あるいは除去端部上、それぞれ)の様々な深度で発生してもよい。
【0018】
したがって、解決されるべき目的は、溝の形成に関するこの未知のメカニズムの影響を完全に抑える又は回避するために使用し得る方法を提供することにある。さらなる目的は、溝の振幅がある除去深度(あるいは切断深度、それぞれ)で小さい値から大きい値まで変わり始める未知の変化に影響を及ぼすパラメータを確立することにある。
【0019】
これに加えて、そのような方法を実施するための装置も提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の材料除去方法は、一又は複数のサブビームから成るレーザービームを用いた所定の除去深度に対する加工対象物からの材料除去方法であって、それぞれのサブビームは定義されたビーム軸を有し、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸が除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドされ、レーザービームは所定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を有し、値If(x)及び方向sであるポインティングベクトルSを定義し、空間に存在するエネルギーの流れの密度は、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、除去面が除去端部を形成し、除去面のそれぞれの法線ベクトルにより形成される除去面のそれぞれの入射角αとポインティングベクトルの方向sが、除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値αMAXを超えないような方向に設定され、最大値を超えると、除去端部の上方部分の小さい溝の振幅から除去端部の下方部分の大きい振幅までの変化が発見されることを特徴とする。
【0021】
本発明の材料除去方法は、除去端部の下方部分の大きい振幅が、尖部(頂点)からより離れた距離を含む所定の領域で減少されることを特徴とする。
【0022】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部で光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定されることを特徴とする。
【0023】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定され、ビーム成形光学素子として、気体及び/又は液体の媒体を用いることを特徴とする。
【0024】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定され、ビーム成形光学素子として、回折、屈折、反射及び/又は分散光学素子を用いることを特徴とする。
【0025】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、大きい直径を有する空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布を定めることによって設定されることを特徴とする。
【0026】
本発明の材料除去方法は、入射角αについてシステム固有の振動が時間に関連して発生するとともに、除去パラメータの発信振動の振幅が低減されることを特徴とする。
【0027】
本発明の材料除去方法は、レーザー出力、強度分布、ガス圧、及び/又は、移動速度の方向及び値がそれぞれ除去パラメータとして考慮されることを特徴とする。
【0028】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、ビーム成形光学素子の収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定されることを特徴とする。
【0029】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、ビーム成形光学素子の収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定され、ビーム成形光学素子として、気体及び/又は液体の媒体を用いることを特徴とする。
【0030】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、光学素子の正又は負の球面収差の値あるいは光学素子の色彩収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定されることを特徴とする。
【0031】
本発明の材料除去方法は、光学素子の収差が、回折、屈折、反射及び/又は分散光学素子を用いることによって生み出されることを特徴とする。
【0032】
本発明の材料除去方法は、光学素子の収差が、凹面レンズと凸面レンズとを組み合わせて用いることによって生み出されることを特徴とする。
【0033】
本発明の材料除去方法は、収差を生むレンズを組み合わせて用いて、レーザー光線の視準及び/又は焦点合わせを同時に行うことを特徴とする。
【0034】
本発明の材料除去方法は、光学素子の収差が、表面が非球面状の光学素子を用いることにより増加されることを特徴とする。
【0035】
本発明の材料除去方法は、光学素子が、アキシコン又はフレネルレンズとして設計されていることを特徴とする。
【0036】
本発明の材料除去方法は、光学素子の収差が、屈折率分布型の光学素子によって生み出されることを特徴とする。
【0037】
本発明の材料除去方法は、光学素子が、収差の値が調整可能なように適応する光学素子を用いて設計されていることを特徴とする。
【0038】
本発明の材料除去方法は、調整が、材料の種類、材料の厚み、切断速度、レーザー出力、のような作業パラメータについての適合性に関する制御が機械加工前及び/又は機械加工中に行われることを特徴とする。
【0039】
本発明の材料除去方法は、レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、入射角αが、所定の除去深度が単調に増加するように分布f(x)の幅を設定することによって設定されることを特徴とする。
【0040】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、レーザー共振器の内側又は外側に配置されたビーム成形光学素子を用いて楕円断面が形成される付近で除去面の尖部(頂点)に沿うように設定され、楕円断面の長半軸の位置が除去ラインの方向にあることを特徴とする。
【0041】
本発明の材料除去方法は、レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、入射角αが、レーザー共振器の内側又は外側に配置されたビーム成形光学素子を用いて、空間的に変動するエネルギーの流れの密度が小さい値の場所では除去が発生しない範囲まで端部の領域の分布f(x)を抑える(隠す)ことによって設定されることを特徴とする。
【0042】
本発明の材料除去方法は、入射角αを設定するために、複数のレーザービーム又はビーム分割光学素子を用いて一のレーザービームから分割された複数のビーム成分が使用可能であり、それぞれのレーザービーム又は一部のビームが異なる焦点深度に対して設定され、焦点深度が増加されたそれぞれのレーザービーム又は一部のビームは、ビーム半径をより小さく、レーリー長をより大きく設定することによって設定されることを特徴とする。
【0043】
本発明の材料除去方法は、入射角αを設定するために、複数のレーザービーム又はビーム分割光学素子を用いて一のレーザービームから分割された複数のビーム成分が使用可能であり、それぞれのレーザービーム又は一部のビームが異なる焦点深度に対して設定され、焦点深度が増加されたそれぞれのレーザービーム又は一部のビームは、ビーム半径をより小さく、レーリー長をより大きく、出力をより大きく設定することによって設定されることを特徴とする。
【0044】
本発明の材料除去方法は、入射角αが、焦点深度を増加させた個々のレーザービーム又は一部のビームのビーム軸の位置が除去方向に対して一律に補正する設定をさらに行うことにより設定されることを特徴とする。
【0045】
本発明の材料除去方法は、レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、分布f(x)が、あまり激しく下り勾配にならないように、あるいは、より適切に言えば、除去面で増加するように設定されることを特徴とする。
【0046】
本発明の材料除去方法は、距離xで空間的に下り勾配となる分布f(x)の成分が、より弱く下り勾配(拡大分布)になるように設定されることを特徴とする。
【0047】
本発明の材料除去方法は、距離xで空間的に下り勾配となる分布f(x)の成分が、一定(最上層の形状)となるように設定されることを特徴とする。
【0048】
本発明の材料除去方法は、空間的な前記分布f(x)が、除去面の領域で増加するように(リング状に)設定されることを特徴とする。
【0049】
本発明の材料除去方法は、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布f(x)が、ビーム成形のための一又は複数のアキシコンを用いることによって設定されることを特徴とする。
【0050】
本発明の材料除去方法は、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布f(x)が、収差を生む光学素子を用いることによって設定されることを特徴とする。
【0051】
本発明の材料除去装置は、定義されたビーム軸をそれぞれが有する一又は複数のサブビームから成るレーザービームを生成する手段と、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸を除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドする手段と、を備え、空間に存在するエネルギーの流れの密度が、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、該除去面が除去端部を構成し、レーザービームが、ポインティングベクトルSを定義する特定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を示し、除去面のそれぞれの法線ベクトルnにより形成される除去面のそれぞれの入射角αと、ポインティングベクトルの方向sとが、除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値を越えないように設定可能であることを特徴とする上記材料除去方法を実施するための材料除去装置。
【0052】
本発明の材料除去装置は、除去面においてポインティングベクトルSを回転させるためのビーム成形光学素子をレーザー内部又はレーザー外部に備えることを特徴とする。
【0053】
本発明の材料除去装置は、レーザー出力、強度分布、ガス圧、及び/又は、移動速度の方向及び値が除去パラメータとして、記録及び評価されることを特徴とする。
【0054】
本発明の材料除去装置は、収差が、レーザー内部又はレーザー外部の光学素子を増加させる手段を用いて生み出されることを特徴とする。
【0055】
本発明の材料除去装置は、光学素子を用いて収差を生み出す手段として、回折、屈折、反射、及び/又は分散光学素子が用いられることを特徴とする。
【0056】
本発明の材料除去装置は、光学素子を用いて収差を生み出す手段として、凹面レンズと凸面レンズとが組み合わせて用いられることを特徴とする。
【0057】
本発明の材料除去装置は、凹面レンズと凸面レンズの組み合わせにより、レーザー光線の視準及び/又は焦点合わせを同時に行うことを特徴とする。
【0058】
本発明の材料除去装置は、表面が非球面状の光学素子を含む光学素子の収差が増加されることを特徴とする。
【0059】
本発明の材料除去装置は、光学素子が、アキシコン又はフレネルレンズとして設計されていることを特徴とする。
【0060】
本発明の材料除去装置は、屈折率分布型の光学素子を含む光学素子の収差が生み出されることを特徴とする。
【0061】
本発明の材料除去装置は、光学素子が、収差の値が調整可能なように適応する光学素子を用いて設計されていることを特徴とする。
【0062】
本発明の材料除去装置は、除去面の尖部(頂点)に対する入射角を設定し、レーザー共振器の内側又は外側に配置され、長半軸の位置が除去ラインの方向になるように楕円断面を形成するビーム成形手段を備えることを特徴とする。
【0063】
本発明の材料除去装置は、複数のレーザービーム又はレーザービームを複数のビーム成分に分けるビーム分割手段を備え、それぞれのレーザービーム又はビームの一部が、異なる焦点深度に設定され、焦点深度が増加されたそれぞれのレーザービーム又はビームの一部は、ビーム半径がより小さく、レーリー長がより大きく設定されることを特徴とする。
【0064】
本発明の材料除去装置は、ビーム成形手段が、少なくとも一のアキシコンを備えることを特徴とする。
【0065】
本発明の材料除去装置は、収差を生む光学素子を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0066】
本発明による方法を用いれば、特にレーザー光線を用いて加工対象物を完全に分離する(切断する)ための加工対象物からの材料除去に関する従来からの技術で、シート厚がより大きい材料を切断する場合やより速い速度で切断を行う場合でも、溝の振幅が小さく基本的にはバリが形成されない切断の品質を得られるように改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明について考えられる加工形状の状態を説明するためのものであり、図2に示す除去ラインI−Iに沿った除去を示す。
【図2】レーザー光線を用いた材料除去により除去ラインに沿った除去端部が形成される材料片の概略斜視図を示す。
【図3】ガウスビームに基づく、集中的なレーザービームのくびれ部の半径についての相表面及びビーム軸に関する説明図を示す。
【図4】必須光学素子を備えた本発明の材料除去装置の一例についての概略説明図であり、detail“A”は拡大説明図を示す。
【図5】アキシコンを用いて図4に示す材料除去装置を改良した構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明の好ましい実施形態に係る材料除去方法は特許請求の範囲に記載された請求項2乃至請求項31から明らかになる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態に係る材料除去装置は特許請求の範囲に記載された請求項33乃至請求項46から明らかになる。
【0070】
以下にいくつかの概論を示す。特に、加工対象物の除去領域における形状に関しては任意であり、本発明に係る材料除去装置の具体例に関しても同様である。
【0071】
上述の目的は、一又は複数のサブビームから成るレーザービームを用いた所定の除去深度に対する加工対象物からの材料除去方法を用いることで達成される。本発明の好ましい実施形態に係る材料除去方法は、それぞれのサブビームは定義されたビーム軸を有し、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸が除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドされる。レーザービームは所定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を有し、値If(x)及び方向sであるポインティングベクトルSを定義する。空間に存在するエネルギーの流れの密度は、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、この除去面が除去端部を形成する。かかる方法は、除去面のそれぞれの法線ベクトルにより形成される除去面のそれぞれの入射角αとポインティングベクトルの方向sが、除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値αMAXを超えないような方向に設定され、この最大値を超えると、除去端部の上方部分の小さい溝の振幅から除去端部の下方部分の大きい振幅までの変化が発見されることを特徴とする。
【0072】
上述の目的は、一又は複数のサブビームから成るレーザービームを生成する手段を備えた、前述の材料除去方法を実施するための装置によっても達成される。本発明の好ましい実施形態に係る材料除去装置は、レーザービーム又はその一部の光線は定義されたビーム軸をそれぞれ有し、レーザービームの軸又は個々のサブビームの軸を除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドする手段を備える。空間に存在するエネルギーの流れの密度が、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、この除去面が除去端部を形成する。レーザービームは、ポインティングベクトルSを定義する特定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を示す。かかる装置は、ポインティングベクトルSを、除去面のそれぞれの法線ベクトルにより形成される除去面のそれぞれの入射角αとポインティングベクトルの方向sが、除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値を超えないような方向に設定可能にすることを特徴とする。
【0073】
この方法による好ましい手段の一つは、それぞれの入射角αが除去先端部の尖部(頂点)から離れた距離の領域で最大値αMAXを超えないようにすることによって、除去部の隙間の下方部分で溝の振幅が次第に減少する点にある。
【0074】
この方法に関する上記各手段では、ビーム成形光学素子を用いてレーザー内部又はレーザー外部でポインティングベクトルSが回転するように入射角を設定するのが好ましい。ポインティングベクトルSがレーザー内部で回転する設定は、例えば、ビーム成形光学素子と加工対象物との間の作動距離が極端に小さい切断作業が要求される場合に用いられ、このような場合にポインティングベクトルSがレーザー外部で回転する装置を用いるのは有益ではない。一方で、ポインティングベクトルSがレーザー外部で回転する設定は、例えば、一つの装置で切断作業の変更が頻繁に行われ、レーザー内部の光学素子についてのパラメータの継続的な調整が極端に複雑になる場合、あるいは、レーザーの機能(例えば、経時的安定性)に影響を及ぼす場合、あるいは、レーザー光線について追加の又は改造された光学素子がレーザー内部の放射には大きすぎるような場合に用いられる。
【0075】
入射角αは、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させ、気体及び/又は液体の媒体をビーム成形光学素子として用いることにより設定することができる。入射角αの設定を、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させ、回折、屈折、反射及び/又は分散光学素子をビーム成形光学素子として用いることにより行うことが別の選択肢として挙げられる。
【0076】
また、入射角αは、大きい直径を有する空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布を定めることによっても設定することができる。直径を大きくする一つの例としては、焦点位置を加工対象物の上方あるいは下方の設定することが挙げられる。
【0077】
本発明者らは、除去作業中、例えば、除去部に隙間が形成されている間、除去面の動きに対して内部が不安定な状態が存在することを認識しており、このことが、除去部の隙間の幅の変動及び加工対象物上の除去端部(切り口)の領域で形成される溝の原因となる。
【0078】
したがって、上述の条件での制御値は、dq/dx=g(α),q=μA(μ)If(x),μ=cos(α)で定められる。ここで、αMAX=αが不安定な状態への移行の構成要素となる。除去作業は、除去面上で入射角αが最大値を超える位置、即ちαMAX<αとなる位置では不安定である。入射角αの余弦μは、ポインティングベクトルの方向sにおける単位ベクトルと除去面の法線ベクトルのスカラー積μ=s(x)*n(x)である。
【0079】
除去面上でのレーザー光線の吸収度は入射角によって決まり、A(μ)で示される。レーザー光線の強度(経時的に平均化するポインティングベクトルSの値)は最大値Iと空間的な分布f(x)(0<f<1)によって特定される。xは歪んでいない状態の値(x=0)から振動によって歪んだ除去面までの距離を示す。特に、除去面の幾何学形状およびこのような除去面上の法線ベクトルnは、ポインティングベクトルSの所定の値If(x)値によって決まる。本発明によれば、入射角は、αMAX>α(t)をすべての時間tに適用するようなα(t)にいずれは設定される。このように、励起状態(又は不安定な状態)からは粗削りな溝は形成されず、溝の振幅は、固定設定された除去パラメータの回避不可能な振動によってのみ発生する最小可能値であるとみなす。除去面の領域での溝の振幅が急増するにつれて発生する変化は調整手段として用いられる。I<dで、z=Iは、励起状態(又は不安定な状態)になるはずの大きい振幅の溝に対して回避不可能な振動により形成される小さい振幅の溝に関する励起状態への移行深度を特定し、dは、αMAX>α(t)となるように加工対象物の表側からの除去深度(加工対象物の厚みが最大となる)を特定する。
【0080】
入射角αは、上述のとおりα=α[s*n]によって与えられる。
【0081】
はポインティングベクトルの方向における単位ベクトルであり、||=1である。||はポインティングベクトルの値である。は法線ベクトルであり、||=1である。
【0082】
本発明によれば、入射角の設定に関して次の点が考慮される。
【0083】
ポインティングベクトルの値および方向を通じてレーザービームが張られた完全な二次元位相空間が利用される。
【0084】
ポインティングベクトルの値および方向が互いに独立して設定される。
【0085】
>1となる、Mについて複数の値が意図的に設定される。M=1はレーザー光線の最高品位の物理的限界を示す。
【0086】
ビーム半径wについて複数の値が、意図的に設定される。
【0087】
収差の最大値が、意図的に設定される。
【0088】
入射角の値はこれらの大きさに従うものであると確認されたからである。これとは対照的に、従来技術では、作業パラメータの変化/変更は、一次元位相空間において近似的にのみ行われる。例えば、切断パラメータの変化あるいは光学パラメータの変化である。詳述すれば、レーザー光線の品質については物理的な理想値であるM=1ができる限り実現されるべきであり、ビーム半径wはできる限り小さく、さらには、収差が存在しない状態であるのが望ましい。M=1の条件下では、空間的な三次元の放射場に関してポインティングベクトルの値と方向との関係が固定される。例えば技術的欠点に起因するような条件設定が近似的に行われるだけでなく理想的に行われれば、一次元位相空間の限界に影響を及ぼす。
【0089】
これらの記載がシステムの又はシステム固有の特性について述べる限り、これは、作業を行うための構成要素全体について、あるいは、例えばビーム源、操作機械をそれぞれ含む構成要素全体およびガス流をガイドするための構成要素全体の固有の特性についてそれぞれ言及するものである。入射角αについてシステム固有の振動が時間に関連して発生するとともに、除去パラメータの発信振動の振幅がαMAX>α+Δα(t)を満たすように低減される。
【0090】
レーザー出力、強度分布、ガス圧、及び/又は、レーザービームまたはレーザービーム軸の移動速度の方向及び値がそれぞれ除去パラメータとして考慮される。システムの除去パラメータ値が固定された設定を用いる場合であっても、これらの値について技術的に回避不可能な振動が常に発生する。
【0091】
前述の規定αMAX>α+Δα(t)は、以下の内容を示す。即ち、除去パラメータの値が固定された設定条件での技術的に回避不可能な振動は、設定された入射角αの振動Δαの原因となる。また、これにより、振動の幅Δα(t)があまりにも大きくなるため、切断中に入射角α(t)=α+Δα(t)の許容値αMAXを超えてしまう。このようにして、最大入射角αMAXを上回り励起状態になる。これらの記載が励起状態について述べる限り、これは、入射角があまりにも大きい場合の影響について言及するものであり、波の振幅が増加するにしたがって、除去面が波形状となり不安定な状態になる。
【0092】
本発明による方法を用いれば、特にレーザー光線を用いて加工対象物を完全に分離する(切断する)ための加工対象物からの材料除去に関する従来からの技術で、シート厚がより大きい材料を切断する場合やより速い速度で切断を行う場合でも、溝の振幅が小さく基本的にはバリが形成されない切断の品質を得られるように改善できる。
【0093】
周知のように意図的な調整を行わない方法では、除去に関するパラメータはその切断面において時間をかけて平均化されたエネルギーバランスから経験的に導き出される。溝は、切り口の輪郭に形成されたほぼ空間的な周期振動であり、切断中の作業の動きの結果である。したがって、この動きに関する課題を解決しなければならない。
【0094】
すべての切断パラメータの調整を行う周知の方法では、溝の振幅を所望に減少させることはできない。それらの方法は移動速度を低減してバリが形成されるのを回避することを第一の目的としている。切り口の品質を変えることなく、切断速度をより速くしたり切断可能な材料の厚みをより大きくしたりして輪郭の切断を行えばバリが発生するからである。
【0095】
本発明によれば、切断パラメータについての回避不可能な振動に基づいてパラメータを特定する。このパラメータを用いて軸方向に走る光線が弱められる。軸方向に走る光線は励起していない。これにより、新たに(今まで解決されなかった)上記の動きに関する課題が解決される。
【0096】
本発明は、複数の除去パラメータのうちのいずれかが回避不可能な振動に起因して内部が不安定な状態になることにより除去を行う際の振動が励起状態になることが原因で、あるいは回避不可能な振動が周波数の間隔内にあることが原因で溝が形成されるという知識を利用するものである。これは除去を行う際の振動の振幅が大きくなる原因であり、このときの除去を行う際の振動の振幅はあまりにも大きいものである。今日まで、この内部が不安定な状態は知られておらず、本発明者らによって初めて溝の形成について関連性があるものとして認識されることになった。また、本発明者らによって初めて除去又は切断それぞれの品質の改善に利用されることになった。
【0097】
したがって、本発明者らは、外部の振動に起因して除去を行う際の振動が弱められた状態から励起状態へと移行するのは、特に、レーザービームの強度の最大値I及びレーザービームの強度の空間的な分布f(x)である光線について特定の位置の入射角αによって決まるということを認識している。
【0098】
除去を行う際の振動が励起状態へ移行するのは、以下のような場合である。即ち、光線の入射角αがあまりにも大きい値に設定されている場合、レーザービームの強度の最大値Iがあまりにも高く設定されている場合、及び、吸収面または切断面それぞれに対して垂直な方向における分布f(x)が、あまりにも激しく下り勾配になるように設定され、ほぼdf(x)/dx<c<0となるような場合である。
【0099】
除去面のそれぞれの法線ベクトルnおよびそれぞれのポインティングベクトルの方向sにより定義される除去面について問題となる入射角αは、光学素子における光学的画像の収差を増加させることにより設定することができる。
【0100】
光学素子の収差は、屈折(レンズなど)、反射(鏡など)、回折(開口部など)、分散(素粒子など)光学素子を用いることによって増加させることができる。屈折光学素子は小さいレーザー出力(COレーザーで6kWよりも小さい場合など)を目的として利用される。反射光学素子は大きいレーザー出力のビーム成形を目的として有利に利用される。吸収により加熱される間の屈折光学素子の負荷は、好ましくない収差の原因に、あるいは光学素子の破壊の原因にさえなる可能性がある。回折光学素子は偏向角度が大きくなる場合や、あるいはレーザー光線の端部の領域のみが成形される場合に有効に利用される。
【0101】
光学素子の収差は、凹面レンズと凸面レンズとを組み合わせて用いることによっても増加させることができる。そのような光学素子は収差の値を特に大きい値に設定可能であるという点において有利である。収差を生むレンズを組み合わせて用いれば、レーザー光線の視準及び/又は焦点合わせを同時に行うことができるため、構造上の支出を低減することができる。
【0102】
光学素子の収差は、表面が非球面状の光学素子を用いることによっても増加させることができる。光学素子はアキシコンあるいはフレネルレンズを用いて設計してもよい。アキシコンは増加した値を有する分布f(x)が除去面でリング状に形成されるように設定すべき場合に用いるのが好ましい。一方、フレネルレンズは偏向角度が大きくなる場合に有効である。
【0103】
また、光学素子の収差は、レーザー内部またはレーザー外部に設けられた屈折率分布型の光学素子によっても生み出すことができる。屈折率分布型の光学素子は、例えば、屈折率分布型ファイバーあるいは屈折率分布型レンズを用いて設計してもよい。
【0104】
適応する光学素子を用いて適宜設計することで、収差の値が調整可能となる。
【0105】
レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有するという規定の条件下では、入射角は、所定の除去深度が単調に増加するように分布f(x)の幅を設定することによって設定される。
【0106】
さらに、入射角は、レーザー共振器の内側又は外側に配置されたビーム成形光学素子を用いて楕円断面が形成される付近で除去面の尖部(頂点)に沿うように設定される。このとき、楕円断面の長半軸の位置は除去ラインの方向にある。除去面の尖部(頂点)は、除去方向における除去面の先端部として定義される。この基準は、励起状態に起因する波の振幅が最大となる場所では、尖部(頂点)に近い位置でのみ励起状態が回避されるということ、及び、励起状態に起因する波の振幅がより小さい場所では、この場所の外側の励起状態は意図的に許容されるということを利用するものである。
【0107】
レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有するという規定の条件下では、入射角は、空間的に変動するエネルギーの流れの密度が小さい値の場所では除去が発生しない範囲まで端部の領域の分布f(x)を抑える(隠す又は再配分する)ことによって設定される。この基準は、入射角が不要に小さくなるのを回避するものである。入射角は、特に端部の領域の分布において小さくなる可能性がある。
【0108】
入射角αを設定するために、複数のレーザービーム又はビーム分割光学素子を用いて一のレーザービームから分割された複数のビーム成分が使用可能であり、それぞれのレーザービーム又はビームの一部が異なる焦点深度に対して設定され、焦点深度が増加されたそれぞれのレーザービーム又はビームの一部は、ビーム半径をより小さく、レーリー長をより大きく、出力をより大きく設定することにより設定される。そのような基準は、特に急勾配な除去面が形成されるような場合であっても励起状態が回避される点で有利であり、厚みが大きい加工対象物の除去を行う場合や、移動速度が速い場合に利用される。例えば、位相関係が異なる独立した複数のレーザービーム源から形成される複数のレーザービームを使用すれば、技術的消費量がより大きくなるため有効である。それぞれの波動場について非干渉的に重ね合わせを行うことが利用可能になり、除去面におけるポインティングベクトルSの二つの自由度(値および方向)について所望の調整を選択することが可能になるからである。
【0109】
厚みが大きい加工対象物の除去を行う場合や移動速度が高速に達する場合において励起状態を回避するためには、入射角は、焦点深度を増加させた一部のビームのビーム軸の位置が除去方向に対して一律に補正する設定をさらに行うことにより設定されるべきである。
【0110】
レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有するという規定の条件下では、分布f(x)は、あまり激しく下り勾配にならないように、あるいは、より適切に言えば、除去面で増加するように設定され、これにより、入射角が減少される。この場合、距離xで空間的に下り勾配となる分布f(x)の成分は、より弱く下り勾配(拡大されたガウス分布など)になるように設定されるのが好ましい。ここで、レーザー光線は、複数の一部のビームとその分布との協調性についても言及するものであり、次に、複数の一部のビームの重ね合わせについて説明する。
【0111】
除去端部の下方部分での溝の形成をさらに減少させるためには、入射角が許容値よりも小さい値に設定された所定の領域が、尖部(頂点)からより離れた距離を含むものとしなければならない。これは、距離xで空間的に下り勾配となる分布f(x)の成分が最上層の形状において一定となるように設定することにより達成される。
【0112】
溝の振幅が除去部の隙間の下方部分で最小値に達することが必要とされる場合は、前記所定の領域が、尖部(頂点)から最も離れた距離を含むものとすべきである。これは、除去面の領域における空間的な分布f(x)が空間的に増加するように設定することにより達成され、その結果、分布f(x)がリング状に形成される。
【0113】
空間的に変動するエネルギーの流れの密度の分布f(x)は、ビーム成形のための一又は複数のアキシコンを用いるによって設定することができる。前記設定は、収差を生む上述のような光学素子を用いることによっても行うことができる。
【0114】
機械加工中に軸方向に走る波の励起状態の評価を行い、これを決定するために、切断面の領域における融解被膜の高温面の熱放射、アンダーカットの潜在的な発生、及びさらなる光源の反射をカメラで記録してもよい。
【0115】
そのような光源は切断面の上方端部に配置され、上方端部での除去面の位置を決定するために材料表面の予熱の熱的効果が測定される。このようにして決定された上方端部での除去面の位置で入射角を決定する。
【0116】
カメラ画像の集中的な照明域の拡大および測定信号の明暗が評価される。その目的は以下のとおりである。切断前に測定された特別に形成されたレーザー光線の値を用いてこれらを調和することによって実際に現れた切断面の幾何学形状を監視するため、前記設定を用いて成された入射角のαに関する値を監視するため、このほか、さらに制御効率も監視するためである。
【0117】
監視している間に、フォトダイオードを用いて融解被膜の高温面の熱放射を示すことができる。集中的な照明域および測定信号の明暗も、フォトダイオードの空間的に平均化された信号によって定性的に記録される。
【0118】
上述してきたように、回避不可能な程度を超え、溝の形で反射されるような、除去パラメータについての不要に大きな振動は、回避可能な振動といってもよく、少なくとも減少されるべきものである。
【0119】
図2は、加工対象物3において除去ラインI−I(符号2)に沿ってレーザービームを用いて形成した切断部1を概略的に示すものである。切断部1における材料の除去は、ガス光線により蒸発を行うレーザービームを用いて加工対象物の材料を融解させることにより(あるいは蒸発させることによっても)行われる。加工対象物の材料に関して、ガス光線は活性のものであっても不活性のものであってもよい。
【0120】
切断部1は、二の切り口、即ち複数の除去端部4(図2の半切断面においてはこれらのうちの一つのみが示されている)及び除去正面部11を有する切断部の隙間である。一般的に、除去端部即ち切り口4は、加工対象物の底側9上において下方にある切り口8で、程度の差はあるが特徴的な溝6及び場合によってはバリ7をそれぞれ現す。
【0121】
溝6及びバリ7は後処理を行ってもよく、また、回避あるいは少なくとも減少されるべきものである。
【0122】
図1に基づいて、切断部1の中心で図2に示す除去ラインI−Iに沿った切断部を示すいくつかの理論的意図について説明する。
【0123】
ビーム軸10を備えたレーザービームのごく僅かな部分強度ΔIが加工対象物3の材料を吸収し融解させる。融解した除去面11はx方向の速度vで移動する。決められた座標zは、加工対象物3の表側12を始点とする、切断部1の分離部又は切断部の隙間におけるそれぞれの切り取り位置を示す。融解した除去面の移動(尖部(頂点)ともいう)は、レーザービームの吸収エネルギーの流れの密度qによって決まる。同様に、吸収エネルギーの流れの密度qは、除去面11上におけるレーザービームのビーム軸10の入射角αおよび吸収度Aによって決まり、吸収度Aは、使用されるレーザーの波長λと入射角αの余弦とによって決まる。次の考案では、集中的なレーザービーム13のレーザービーム軸10の入射角αの使用は近似式のみで構成される。さらに正確に言えば、レーザービーム(ポインティングベクトル)のそれぞれの相表面における法線phの角度が基準となる。(図3参照)
【0124】
図3は、相表面15a、15b、15cと、…、集中的なレーザービーム13のくびれ部の半径wと、ゼロ次のガウスビームに基づくビーム軸10との相関関係を示すものである。しかしながら、材料の機械加工によく用いられる高次のガウスビームは、このような単純な説明で示されるものではない。
【0125】
図2で再度示すように、例えば、加工対象物の表側12の方向に小さい溝の振幅を有する複数の溝6が、除去端部即ち切り口4に沿って観測され、符号14で示される。一方、下方部分では、大きい溝の振幅が特定の状況下で現れ、符号15で示される。これらは、加工対象物の下方側9に向かう領域で発生する。
【0126】
所定領域の境界は、図2において符号16で示される。この所定領域は、溶解した除去面11で形成される軸方向に伸びる波(符号5)が観測される領域である。
【0127】
レーザービームで形成される切断部1の半値幅が符号17で示され、除去深度が符号18で示される。
【0128】
図1に示すように、入射角αの余弦cos(α)=s*nは、ポインティングベクトルS=l(x)sの単位ベクトルsと吸収面11上における法線ベクトルnとのスカラー積から成る。
【0129】
ここで思い出すべきことは、上述のように、除去部あるいは切断部それぞれの内部が不安定な状態であることに起因して粗い溝が発生するという知識が得られたということである。不安定な状態への移行に関するあるいは除去を行う際の振動の励起に関する制御変数がそれぞれ表される。さらに、除去作業で10μエミッター及び1μエミッターのうちどちらを用いた場合でも同様のメカニズムに起因して溝が発生することが発見された。本来、溝は切断パラメータ(レーザー及び機械的パラメータ)の振動に起因して発生するものであり、このことは、除去を行う速度に関する振動(除去を行う際の振動)が発生する原因となる。
【0130】
励起状態への移行とは、切断面の移動について弱い反応動作から不安定な状態へ変化すること、あるいは、切断パラメータの外部の振動に対する除去を行う際の振動に関する感度について所望の小さい値から望ましくない大きい値へほとんど突然変化することである。
【0131】
物理量|dq(x,z,t)/dx|は、切断面の移動について弱い反応動作から不安定な状態へ移行するための制御変数である。本発明によれば、溝の振幅の形成を減少するために、この励起状態への移行が回避される。励起状態への移行を回避するために、制御変数dq(x,z,t)/dxの設定または減少がそれぞれ行われる。
【0132】
とりわけ、制御変数は、吸収度およびレーザー光線の波長によって決まる。10μエミッターの標準値は、1μエミッターと比べて最大で4倍ほど小さい。そのため、技術的に及び科学的により優れた検査が行われた10μエミッターに対してあまりにも大きい入射角の影響は、技術的に興味が湧かないボーダーケースとなる可能性がある。したがって、不安定な状態への移行に関する影響は、移行についての制御変数と同様に知られていない。
【0133】
不安定な状態への移行を超えた後、時間内に素早く安定した位置へ戻ろうとする除去面の回避可能な様々な動作が、回避不可能な振動又は除去面が固定された形からの狂いからそれぞれ発生するという事実から、具体的な課題の解決方法が得られるということが新たな発見である。移動速度からの速度v(x,z,t)の狂いは制御変数の値で単調に増加する。そして除去面の回避不可能な狂いが安定した位置に戻るまでの時間TRelaxationが重要である。本発明によれば、除去パラメータは、速度v(x,z,t)の狂いが小さい値であると仮定して、全体的な切断深度を超えるのを免れるために緩和時間TRelaxationが融解時間TEscapeよりも大きくなるように設定される。図4は、上述した本発明による材料除去方法を行うための装置の概略図を示すものである。この装置は、所定の除去深度の全域で材料除去を行うことを目的とするものである。
【0134】
本発明の材料除去装置は、光源としてファイバー誘導型レーザー光線を有する任意のレーザーを備え、概略的に矢印20で示されている。符号10で示されるビーム軸をそれぞれ有するレーザー20またはファイバー光学素子によって放出される光線は、視準光学素子21を介して視準合わせが行われる。視準合わせされたレーザービーム22は収差光学素子23に供給される。収差光学素子23は、具体的には、凹凸面状の光学素子である。
【0135】
収差光学素子23によって放出される光線は、さらに集束光学素子24を介して加工対象物(図示省略)上における「detail“A”(図4参照)」に拡大して示されている集束領域に対して焦点合わせされる。この「detail“A”」を見てみると、収差ビームの焦点を、表示された平面25の周辺で確認することができる。
【0136】
これらの視準光学素子21および集束光学素子24は一のレンズとしてあるいは複数のレンズを備えたシステムとして設計することができる。また、収差光学素子23についても、凹面と凸面の他の組合せで設計可能であり、透過光学素子は、反射及び/又は回折光学素子に置換できるのみならず、乱反射光学素子に置換することもできる。また、集束光学素子及び/又は視準光学素子と収差光学素子とを一の光学システムとして一体化することも可能である。
【0137】
図5は、図4に示す収差光学素子23が複数のアキシコン26、27で形成された実施形態を示すものである。これらのアキシコンは表面に等角部を有し、互いが向き合う方向に配置されている。図5の集束光学素子28は単レンズにより概略的に表されている。
【0138】
図5に示された収差光学素子であるアキシコン26,27は、表面に等角部または非等角部を有していてもよく、あるいはレーザー光線の伝播方向に関しては、逆方向性を有していてもよい。また、一のアキシコンを用いてもよく、あるいは二以上のアキシコンを用いてもよい。さらに、曲面状のアキシコンを用いてもよく、あるいは、反射光学素子として設計されたアキシコンを用いることもできる。
【符号の説明】
【0139】
1:切断部
2:除去ラインI−I
3:加工対象物
4:除去端部、切り口
5:軸方向に伸びる波
6:溝
7:バリ
8:切り口
9:底側、下方側
10:ビーム軸
11:除去面、吸収面
12:表側
13:レーザービーム
14:小さい溝の振幅
15:大きい溝の振幅
16:所定領域の境界
17:切断部の半値幅
18:除去深度
20:レーザー
21:視準光学素子
22:レーザービーム
23:収差光学素子
24、28:集束光学素子
25:平面
26、27:アキシコン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数のサブビームから成るレーザービームを用いた所定の除去深度に対する加工対象物からの材料除去方法であって、
前記それぞれのサブビームは定義されたビーム軸を有し、
前記レーザービームの軸又は個々の前記サブビームの軸が除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドされ、
前記レーザービームは所定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を有し、値If(x)及び方向sであるポインティングベクトルSを定義し、
前記空間に存在するエネルギーの流れの密度は、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、該除去面が除去端部を形成し、
前記除去面のそれぞれの法線ベクトルにより形成される該除去面のそれぞれの入射角αとポインティングベクトルの方向sが、該除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値αMAXを超えないような方向に設定され、
前記最大値を超えると、前記除去端部の上方部分の小さい溝の振幅から該除去端部の下方部分の大きい振幅までの変化が発見されることを特徴とする、材料除去方法。
【請求項2】
前記除去端部の下方部分の大きい振幅が、尖部(頂点)からより離れた距離を含む所定の領域で減少されることを特徴とする、請求項1に記載の材料除去方法。
【請求項3】
前記入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部で光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の材料除去方法。
【請求項4】
前記入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定され、
前記ビーム成形光学素子として、気体及び/又は液体の媒体を用いることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の材料除去方法。
【請求項5】
前記入射角αが、レーザー内部又はレーザー外部でビーム成形光学素子を介してポインティングベクトルSを除去面で回転させることにより設定され、
前記ビーム成形光学素子として、回折、屈折、反射及び/又は分散光学素子を用いることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の材料除去方法。
【請求項6】
前記入射角αが、大きい直径を有する空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布を定めることによって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項
5のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項7】
入射角αについてシステム固有の振動が時間に関連して発生するとともに、除去パラメータの発信振動の振幅が低減されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項8】
レーザー出力、強度分布、ガス圧、及び/又は、移動速度の方向及び値がそれぞれ前記除去パラメータとして考慮されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項9】
前記入射角αが、前記ビーム成形光学素子の収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項10】
前記入射角αが、前記ビーム成形光学素子の収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定され、
前記ビーム成形光学素子として、気体及び/又は液体の媒体を用いることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項11】
前記入射角αが、光学素子の正又は負の球面収差の値あるいは光学素子の色彩収差の値を生むことにより又は増加させることにより設定されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項12】
前記光学素子の収差は、回折、屈折、反射及び/又は分散光学素子を用いることによって生み出されることを特徴とする、請求項9から請求項11のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項13】
前記光学素子の収差は、凹面レンズと凸面レンズとを組み合わせて用いることによって生み出されることを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項14】
収差を生むレンズを組み合わせて用いて、レーザー光線の視準及び/又は焦点合わせを同時に行うことを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項15】
前記光学素子の収差が、表面が非球面状の光学素子を用いることにより増加されることを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項16】
前記光学素子が、アキシコン又はフレネルレンズとして設計されていることを特徴とする、請求項15に記載の材料除去方法。
【請求項17】
前記光学素子の収差が、屈折率分布型の光学素子によって生み出されることを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項18】
前記光学素子が、収差の値が調整可能なように適応する光学素子を用いて設計されていることを特徴とする、請求項9から請求項17のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項19】
前記調整が、材料の種類、材料の厚み、切断速度、レーザー出力、のような作業パラメータについての適合性に関する制御が機械加工前及び/又は機械加工中に行われることを特徴とする、請求項1から請求項18のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項20】
前記レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、
前記入射角αが、所定の除去深度が単調に増加するように分布f(x)の幅を設定することによって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項21】
前記入射角αが、レーザー共振器の内側又は外側に配置されたビーム成形光学素子を用いて楕円断面が形成される付近で除去面の尖部(頂点)に沿うように設定され、
前記楕円断面の長半軸の位置が除去ラインの方向にあることを特徴とする、請求項1から請求項20のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項22】
前記レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、
前記入射角αが、レーザー共振器の内側又は外側に配置されたビーム成形光学素子を用いて、空間的に変動するエネルギーの流れの密度が小さい値の場所では除去が発生しない範囲まで端部の領域の分布f(x)を抑える(隠す)ことによって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項21のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項23】
前記入射角αを設定するために、複数のレーザービーム又はビーム分割光学素子を用いて一のレーザービームから分割された複数のビーム成分が使用可能であり、
それぞれの前記レーザービーム又は一部のビームが異なる焦点深度に対して設定され、
前記焦点深度が増加された前記それぞれのレーザービーム又は一部のビームは、ビーム半径をより小さく、レーリー長をより大きく設定することによって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項22のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項24】
前記入射角αを設定するために、複数のレーザービーム又はビーム分割光学素子を用いて一のレーザービームから分割された複数のビーム成分が使用可能であり、
それぞれの前記レーザービーム又は一部のビームが異なる焦点深度に対して設定され、
前記焦点深度が増加された前記それぞれのレーザービーム又は一部のビームは、ビーム半径をより小さく、レーリー長をより大きく、出力をより大きく設定することによって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項23のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項25】
前記入射角αが、焦点深度を増加させた個々のレーザービーム又は一部のビームのビーム軸の位置が除去方向に対して一律に補正する設定をさらに行うことにより設定されることを特徴とする、請求項23又は請求項24に記載の材料除去方法。
【請求項26】
前記レーザー光線が、最大値Iおよび分布f(x)(0<f<1)を用いて表される、空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)を有し、
前記分布f(x)が、あまり激しく下り勾配にならないように、あるいは、より適切に言えば、前記除去面で増加するように設定されることを特徴とする、請求項1から請求項25のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項27】
距離xで空間的に下り勾配となる前記分布f(x)の成分が、より弱く下り勾配(拡大分布)になるように設定されることを特徴とする、請求項26に記載の材料除去方法。
【請求項28】
距離xで空間的に下り勾配となる前記分布f(x)の成分が、一定(最上層の形状)となるように設定されることを特徴とする、請求項26に記載の材料除去方法。
【請求項29】
空間的な前記分布f(x)が、除去面の領域で増加するように(リング状に)設定されることを特徴とする、請求項26に記載の材料除去方法。
【請求項30】
空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布f(x)が、ビーム成形のための一又は複数のアキシコンを用いることによって設定されることを特徴とする、請求項26から請求項29のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項31】
空間的に変動するエネルギーの流れの密度の値If(x)の分布f(x)が、収差を生む光学素子を用いることによって設定されることを特徴とする、請求項7から請求項14のいずれか一つに関連する請求項26から請求項29のいずれか一つに記載の材料除去方法。
【請求項32】
定義されたビーム軸をそれぞれが有する一又は複数のサブビームから成るレーザービームを生成する手段と、
前記レーザービームの軸又は個々の前記サブビームの軸を除去ラインに沿って所定の移動速度でガイドする手段と、を備え、
空間に存在するエネルギーの流れの密度が、除去方向の先端部近傍に尖部(頂点)が形成されるように除去面を形成し、該除去面が除去端部を構成し、
前記レーザービームが、ポインティングベクトルSを定義する特定の空間に存在するエネルギーの流れの密度を示し、
前記除去面のそれぞれの法線ベクトルnにより形成される該除去面のそれぞれの入射角αと、前記ポインティングベクトルの方向sとが、該除去面の尖部(頂点)周辺の所定の領域で最大値を越えないように設定可能であることを特徴とする、請求項1から請求項31のいずれか一つに記載の材料除去方法を実施するための材料除去装置。
【請求項33】
前記除去面において前記ポインティングベクトルSを回転させるためのビーム成形光学素子をレーザー内部又はレーザー外部に備えることを特徴とする、請求項32に記載の材料除去装置。
【請求項34】
レーザー出力、強度分布、ガス圧、及び/又は、移動速度の方向及び値が前記除去パラメータとして、記録及び評価されることを特徴とする、請求項32又は請求項33に記載の材料除去装置。
【請求項35】
前記収差が、レーザー内部又はレーザー外部の光学素子を増加させる手段を用いて生み出されることを特徴とする、請求項32から請求項34のいずれか一つに記載の材料除去装置。
【請求項36】
光学素子を用いて収差を生み出す手段として、回折、屈折、反射、及び/又は分散光学素子が用いられることを特徴とする、請求項35に記載の材料除去装置。
【請求項37】
光学素子を用いて収差を生み出す手段として、凹面レンズと凸面レンズとが組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項35に記載の材料除去装置。
【請求項38】
前記凹面レンズと前記凸面レンズの組み合わせにより、レーザー光線の視準及び/又は焦点合わせを同時に行うことを特徴とする、請求項37に記載の材料除去装置。
【請求項39】
表面が非球面状の光学素子を含む光学素子の収差が増加されることを特徴とする、請求項35に記載の材料除去装置。
【請求項40】
前記光学素子が、アキシコン又はフレネルレンズとして設計されていることを特徴とする、請求項39に記載の材料除去装置。
【請求項41】
屈折率分布型の光学素子を含む光学素子の収差が生み出されることを特徴とする、請求項35に記載の材料除去装置。
【請求項42】
前記光学素子が、収差の値が調整可能なように適応する光学素子を用いて設計されていることを特徴とする、請求項35から請求項40のいずれか一つに記載の材料除去装置。
【請求項43】
前記除去面の尖部(頂点)に対する入射角を設定し、レーザー共振器の内側又は外側に配置され、長半軸の位置が除去ラインの方向になるように楕円断面を形成するビーム成形手段を備えることを特徴とする、請求項32から請求項42のいずれか一つに記載の材料除去装置。
【請求項44】
複数のレーザービーム又はレーザービームを複数のビーム成分に分けるビーム分割手段を備え、
前記それぞれのレーザービーム又はビームの一部が、異なる焦点深度に設定され、
焦点深度が増加された前記それぞれのレーザービーム又はビームの一部は、ビーム半径がより小さく、レーリー長がより大きく設定されることを特徴とする、請求項35から請求項43のいずれか一つに記載の材料除去装置。
【請求項45】
前記ビーム成形手段が、少なくとも一のアキシコンを備えることを特徴とする、請求項32から請求項44のいずれか一つに記載の材料除去装置。
【請求項46】
収差を生む光学素子を備えることを特徴とする、請求項32から請求項44のいずれか一つに記載の材料除去装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−527793(P2010−527793A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508746(P2010−508746)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004134
【国際公開番号】WO2008/145311
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(505201168)フラウンホファー ゲゼルシャフト ツール フェルドルンク デル アンゲヴァントテン フォルシュンク エー ファウ (10)
【Fターム(参考)】