説明

杭の建込方法、杭の建込用アタッチメント、杭を建て込む作業機及び雇い杭

【課題】
キャップ体に装着される緩衝部材の交換作業の頻度が少なくなるようにして、作業性を高めるようにした、杭を建て込む作業機を提供する。
【解決手段】
作業機Sはアーム90及びブーム91を備えている。アーム90の先部には杭を建込用アタッチメントM1が取り付けてある。建込用アタッチメントM1は、取着金具1と、振動を発生させる振動発生装置2と、杭の上部側に被せるキャップ体3を備えている。キャップ体3は短円管形状に形成してあり、振動発生装置2の下面板21の下面から垂設してある。キャップ体3の内部にあたる下面板21には、スペーサ30が二列に並設して固着してある。キャップ体3の内周面には丸棒状の係止体31が固着してある。キャップ体3には、送液管32,33が、外部から周壁部を貫通して内部に冷却水を送ることができるよう設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置がアームの先端に設けてある油圧式ショベル系掘削機等の作業機を使用した杭の建込方法、杭の建込用アタッチメント、杭を建て込む作業機及び雇い杭に関する。
更に詳しくは、緩衝部材を使用して杭を建て込む場合において、杭保持部に装着される緩衝部材の交換作業の頻度が少なくなるようにして、作業性を高めるようにしたもの関する。
【背景技術】
【0002】
一般家屋等、建物の施工においては、建物の土台となる基礎の施工が重要である。基礎は地盤の上に設けられるので、十分な強度を有する基礎を施工するには地盤の強度を確保する必要がある。このような地盤強化の手段のひとつとして、地盤に多数の杭を建て込んで、その上に基礎をつくる方法が知られている。この方法は施工費も比較的安価にできるので広く利用されている。
【0003】
杭の建て込みには、例えば、アームの先端に建て込み用のアタッチメントを取り付けた油圧式ショベル系掘削機等の作業機が使用される。建込用アタッチメントには振動発生装置を備えたものがある。このような建込用アタッチメントは、振動発生装置の下側に杭の上部側を高速で打撃する金属製の当接板を備えており、当接板の下面に杭の上部側に被せる杭保持部材である円環形状のキャップ体が垂設してある構造を有している。
【0004】
従来、杭は、地盤上に立てた状態でキャップ体を上部側に被せ、当接板で上面を直接打撃して建て込まれていた。しかし、この建て込み方法では金属製の当接板を杭の上面に直接当てていたので、建て込み時に相当の騒音が発生するという問題があった。そこで近年では、キャップ体内に所要の厚みを有する円盤状の木製の緩衝部材を入れ、この緩衝部材によって杭の上面を打撃して建て込まれている。これにより建て込み時の騒音を抑えることができる。上記した緩衝部材は、キャップ体の開口側が下方を向いた場合でも落下しないように、キャップ体の内部にきつく嵌った状態で取り付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、緩衝部材を使った杭の建て込みにも、次のような課題があった。
キャップ体内に緩衝部材を入れた建込用アタッチメントで杭を建て込む場合、始めの数本はなんら支障なく建て込むことができる。しかし、ある程度の本数を建て込んだときから摩擦熱によって次第に緩衝部材から白煙が発生し始め、更に杭を建て込むことにより緩衝部材は黒く焦げてぼろぼろに砕けてしまっていた。そのため実際の作業では、白煙が発生し始めたら一旦作業を中断して緩衝部材を新しいものに交換している。建て込む本数が多い場合ではこの交換作業を何度も繰り返していた。つまり、緩衝部材を使用した建て込み方法は、騒音を抑える効果はあるものの、交換の手間とそのための作業時間を要するので作業性が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、緩衝部材を使用して杭を建て込む場合でも、緩衝部材の交換作業の頻度が少なくなるようにして作業性を高めるようにした、杭の建込方法、杭の建込用アタッチメント、杭を建て込む作業機、雇い杭を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機を使用する杭の建込方法であって、
振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、当該緩衝手段を冷やしながらアームを下げて杭を地盤に建て込むことを特徴とする、
杭の建込方法である。
【0008】
第2の発明にあっては、
振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機を使用する杭の建込方法であって、
振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、当該緩衝手段に冷却液をかけながらアームを下げて杭を地盤に建て込むことを特徴とする、
杭の建込方法である。
【0009】
第3の発明にあっては、
作業機のアームの先端に設けて使用される杭の建込用アタッチメントであって、
緩衝部材が装着可能な杭保持体と、
当該杭保持体を振動させる振動発生装置と、
上記杭保持体に装着される緩衝部材を冷やす冷却手段と、
を備えたことを特徴とする、
杭の建込用アタッチメントである。
【0010】
第4の発明にあっては、
アームを備えた作業機であって、
アームの先端に設けてある第3の発明に係る建込用アタッチメントと、
杭保持体に装着可能な緩衝部材と、
を備えたことを特徴とする、
杭を建て込む作業機である。
【0011】
第5の発明にあっては、
緩衝部材が装着可能な雇い杭保持体と、当該雇い杭保持体を振動させる振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機と共に使用する雇い杭であって、
所要長さを有する雇い杭本体を備えており、当該雇い杭本体には、上記振動発生装置の振動を杭に伝えることができるよう設けられる上記緩衝手段を冷やす冷却手段が備えてあることを特徴とする、
雇い杭である。
【0012】
第6の発明にあっては、
緩衝部材が装着可能な雇い杭保持体と、当該雇い杭保持体を振動させる振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機と共に使用する雇い杭であって、
所要長さを有する雇い杭本体を備えており、雇い杭本体の上部には冷却液が貯液可能な貯液空間部が設けてあり、当該雇い杭本体は、上記振動発生装置によって振動したときに上記貯液空間部の通液部から冷却液が溢れ出して上記緩衝部材を冷やすことができるよう構成してあることを特徴とする、
雇い杭である。
【0013】
(作 用)
本発明に係る杭の建込方法によれば、杭は、振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、この状態で緩衝手段を冷やしながらアームを下げて建て込まれる。
【0014】
本発明に係る杭の建込方法によれば、杭は、振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、この状態で冷却液によって緩衝手段を冷やしながらアームを下げて建て込まれる。
【0015】
本発明に係る杭の建込用アタッチメントは、作業機のアームの先端に設けた状態で杭保持体に緩衝部材を装着し、当該杭保持体で杭を保持して振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにして、冷却手段によって緩衝部材を冷やしながらアームを下げて杭を建て込むよう使用される。
【0016】
本発明に係る作業機は、アームの先端に設けた建込用アタッチメントの杭保持体に緩衝部材を装着し、当該杭保持体で杭を保持して振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにして、冷却手段によって緩衝部材を冷やしながらアームを下げて杭を建て込むよう使用される。
【0017】
本発明に係る雇い杭は、アームの先端に設けてある雇い杭保持体に緩衝部材を装着し、当該雇い杭保持体で雇い杭を保持して振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにして、雇い杭が備える冷却手段が緩衝部材を冷やしながらアームを下げて杭を建て込むよう使用される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、緩衝手段を冷やしながら杭を建て込むことができるので、緩衝手段が焦げてぼろぼろになることを防止することができ、緩衝手段の寿命を延ばすことができる。これにより緩衝手段の交換作業の頻度を少なくすることができるので、交換にかかる手間や時間が軽減でき、ひいては単位時間当たりに建て込むことのできる杭の本数も増加させることができる。つまり、杭の建て込み作業における作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る作業機の一実施の形態を示す使用状態説明図、
図2はアームの先端に設けられる建込用アタッチメント、緩衝部材及び木杭を示す分解斜視説明図、
図3は建込用アタッチメントの底面図、
図4は建込用アタッチメントの縦断面説明図である。
【0020】
符号Sは杭を建て込む作業機を示している。作業機Sはアーム90及びブーム91を備えている。アーム90の先部には杭を建て込む建込用アタッチメントM1が前後方向に回動操作可能に取り付けてある。
【0021】
主に図2を参照して、建込用アタッチメントM1について詳細に説明する。
建込用アタッチメントM1は、作業機Sのアーム90に取り付けるための取着金具1と、振動を発生させる振動発生装置2と、杭の上部側に被せる杭保持体であるキャップ体3を備えている。
【0022】
取着金具1は二枚のブラケット10,10を備えている。ブラケット10,10は振動発生装置2の上面板20上に所要間隔を設けた状態で垂設してある。各ブラケット10には二箇所にピン挿入孔100,100が形成してある。
【0023】
振動発生装置2は、アーム90の先部側に設けられた油圧管(オイルライン)から動力を得る公知技術のものを使用したので、詳細な説明は省略する。しかし、振動発生装置2は上記したものに限定するものではなく、例えば、振動発生装置自体に動力発生装置を備えたものを使用することもできる。
【0024】
キャップ体3は所要の外径を有する短円管形状に形成してある。キャップ体3は振動発生装置2の下面板21の下面から垂設してある。キャップ体3の内部にあたる下面板21の下面には、所要の厚みを有するスペーサ30が間隔を設けた状態で複数個を二列に並設して固着してある。キャップ体3の内周面には、所要径を有する丸棒状の係止体31が周方向に等間隔で四箇所に固着してある。
【0025】
キャップ体3には、冷却手段である送液管32,33が、外部から周壁部を貫通して内部に冷却液である冷却水を送ることができるよう設けてある。詳しくは送液管32は、下面板21の下面に取り付けたスペーサ30と対応するようにしてあり、スペーサ30によって形成された隙間を通して、キャップ体3内に入れた緩衝部材4(後述)の上面40に冷却水をかけることができるような高さの位置に設けてある。また、送液管33は、杭の建て込み時において振動によって断続的に形成される杭の上面と緩衝部材4の僅かな隙間を通して、緩衝部材4の下面41に冷却水をかけることができるような高さの位置に設けてある。なお、説明は省略したが送液管32,33には冷却水として水道水が供給できるようにしてある。
【0026】
キャップ体3の周壁部には、縦方向に長穴形状を有する取着孔34,34が対向して形成してある。取着孔34,34には、必要に応じて例えばオーガ等の器具が取り付けられる。
【0027】
建込用アタッチメントM1は、取着金具1のピン挿入孔100,100に取着ピンPを設けることで、アーム90の先端に取り付けられる。
【0028】
建込用アタッチメントM1を使用した杭の建て込みには、キャップ体3の内部に所要の厚みを有する円盤状の木製の緩衝手段である緩衝部材4が設けられる。緩衝部材4は、半円形状を有する構成部材の直線部を突き合わせて円盤を形成し、この直線部が互いに直交するよう円盤を二層に重ねて形成してある。また、緩衝部材4は、四箇所に設けた係止体31・・・の内側部分による内径より外径がやや大きくなるよう形成してある。従って、緩衝部材4は、内部に入れた状態で縁部が係止体31にやや食い込んだ状態で取り付けられ、これにより落下し難くしてある。緩衝部材4は、キャップ体3内に入れて上面40をスペーサ30に当て、スペーサ30による隙間がキャップ体3内に形成されるようにして取り付けられる。
【0029】
(作 用)
図1ないし図4を参照し、本実施の形態で示す作業機S及び建込用アタッチメントM1の作用を説明する。なお、本実施の形態で杭は、全長4mの木杭Kを使用した。
【0030】
木杭Kは、地盤上に立てた状態の上部側に、建込用アタッチメントM1のキャップ体3を被せ、作動させた振動発生装置2の振動が緩衝部材4を介して伝えられるようアームを下げて地盤に建て込まれる。
【0031】
木杭Kを数本建て込むことにより緩衝部材4からは摩擦熱によって白煙が発生し始める。白煙が発生したら送液管32,33から冷却水をキャップ体3の内部に供給する。冷却水は送液管32,33の高さがそれぞれ変えてあるので、送液管32から供給されたものは、スペーサ30によって形成された隙間を通して、更に、スペーサ30の隙間を通って緩衝部材4の上面40にかかる。また、送液管33から供給されたものは、振動によって緩衝部材4との間に断続的に形成される隙間を通して下面41にかかる。これにより緩衝部材4は冷却され、焦げてぼろぼろになることが防止できる。
【0032】
送液管32,33から供給された冷却水は、緩衝部材4の上面40と下面41から緩衝部材4内にも染み込む。これにより緩衝部材4はやや膨張し、係止体31に更に食い込んだ状態となって、より落下し難くなる(図3の想像線参照)。
【0033】
また、送液管32,33から供給された冷却水は、緩衝部材4を冷却した後、係止体31によって形成されたキャップ体3の内周面と緩衝部材4の外縁部の隙間から垂れてキャップ体3の外部に排水される。
【0034】
このように建込用アタッチメントM1によれば、キャップ体3内に供給した冷却水により緩衝部材4を冷却して、緩衝部材4が焦げてぼろぼろになることを防止することができ、緩衝部材4の寿命を延ばすことができる。これにより緩衝部材4の交換作業の頻度を少なくすることができるので、交換にかかる手間や時間が軽減でき、ひいては単位時間当たりに建て込むことのできる杭の本数も増加させることができる。つまり、杭の建て込み作業における作業性を高めることができる。
【0035】
また、緩衝部材4の寿命を延ばすことができるので、一現場で使用する緩衝部材4の数も従来より少なくでき、ゴミとなる緩衝部材4の数も少なくできる。
【0036】
なお、本実施の形態では白煙が発生した後に、送液管32から冷却水を供給するようにしたが、これは限定するものではなく、冷却水は白煙の発生前から供給することもできる。また、冷却水は連続して供給することもできるし、断続して供給することもできる。
【0037】
また、本実施の形態で緩衝部材は木製のものを使用したが、これも限定するものではなく、例えば、ゴム製、合成樹脂製のもの等を使用することもできる。
【0038】
本実施の形態では杭として木杭Kを使用したが、これは限定するものではなく、例えば、コンクリート杭、鋼管杭、コンクリートや鉄筋等を組み合わせた複合杭等を使用することもできる。コンクリート杭や複合杭等を建て込む場合では、緩衝部材を使用することで縁の欠けを防止することもできる。
【0039】
図5は本発明に係る雇い杭の一実施の形態を示す使用状態説明図である。
符号5は雇い杭を示している。雇い杭5は、円管体で形成してある雇い杭本体50を備えている。雇い杭本体50の上端と下端からやや内部に入った箇所には、円盤状の閉塞板51,52が固着してある。このうち上側の閉塞板51は、雇い杭本体50の内周面と水密に固着してある。下部側に設けた閉塞板52は、木杭Kの上面と当接する当接面となる。
【0040】
雇い杭5の上部側には、アーム90に設けた建込用アタッチメントM2(後述)と連結するための連結軸を差し入れる連結軸挿通部53が、雇い杭本体50を貫通して長さ方向と直交するように形成してある。連結軸挿通部53は、円筒体530を雇い杭本体50内に差し込んで、雇い杭本体50に水密に固着して形成してある。この円筒体530の下部は閉塞板51と接しており、この箇所も水密にしてある。
【0041】
連結軸挿通部53の上部には、二枚の区画壁54,54が所要間隔を設けた状態で立てて設けてある。各区画壁54は、雇い杭本体50及び円筒体530と水密に設けてある。また、区画壁54,54の間に当たる雇い杭本体50の周壁部分は切除してあり、これにより雇い杭5の上部には区画壁54,54によって溝部55が形成されている。溝部55の幅は、円筒体530が構成する連結軸挿通部53の内径よりも小さくしてある。
【0042】
雇い杭5の上端部には、半円形状の閉塞板56,56が、雇い杭本体50の上端部及び区画壁54に蓋のように被さって水密に固着してある。こうして雇い杭本体50内の上部の溝部55を挟んだ両側に、水密に形成された冷却手段である貯液空間部57が作られる。各閉塞板56には通液部である貫通孔560が形成してあり、貯液空間部57は貫通孔560を介して外部と連通した状態になる。
【0043】
符号58は作業機によって雇い杭5を持ち上げるときに使用する吊り金具を示している。吊り金具58,58は雇い杭本体50の外周部に対向するよう設けてある。各吊り金具58には、ワイヤーYを掛ける貫通孔580が形成してある。
【0044】
(作 用)
図6は図5に示す雇い杭及び建込用アタッチメントを使用して木杭を建て込んでいる状態を示す説明図である。
図6を参照し、建込用アタッチメントM2及び雇い杭5の作用を説明する。なお、図6において上記図1ないし図4で示したものと同一または同等箇所には同一の符号を付して示している。また、以下の説明において構造について上記で示した箇所と重複する説明は、必要な事項を除き省略する。また、上記した建込用アタッチメントM1と共通する構成により生じる略同様の作用、効果については説明を省略する。
【0045】
作業機のアーム90の先部には、建込用アタッチメントM2が取り付けてある。建込用アタッチメントM2は、建込用アタッチメントM1で示す緩衝部材4の下面41に冷却水を供給する一方の送液管33を備えていないこと以外は、上記した建込用アタッチメントM1と略同じ構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0046】
建て込み前の作業として、雇い杭5の貯液空間部57内に冷却水を注入する。冷却水は貯液空間部57内を満杯にするよう貫通孔560から注入する。また、建込用アタッチメントM2のキャップ体3内に緩衝部材4を入れる。そして、吊り金具58の貫通孔580に通したワイヤーYによって雇い杭5を作業機のアーム90に繋ぎ、更に、取着孔34,34と連結軸挿通部53に連結軸(図示省略)を通すことで、この雇い杭5をキャップ体3に回動可能に取り付ける。
【0047】
雇い杭5は、杭を建て込むとき下部側を木杭Kの上部側に被せて、雇い杭本体50の内部に設けた閉塞板52を木杭Kの上面に当てた状態にする。また、雇い杭5の上部側は、キャップ体3内に入れて緩衝部材4に閉塞板56を当てた状態にする。
【0048】
木杭Kは、振動発生装置2の振動が緩衝部材4及び雇い杭5を介して伝えられるようアームを下げて地盤に建て込まれる。
【0049】
木杭Kを建て込んでいるときは振動発生装置2によって雇い杭5も振動している。従って、貯液空間部57に注入されていた冷却水は、閉塞板56の貫通孔560から外部に溢れ出し、緩衝部材4の下面41にかかるようになる。これにより下面41が冷却でき、緩衝部材4が焦げてぼろぼろになることが防止できる。なお、緩衝部材4の上面40は、送液管32から供給される冷却水によって冷却される。
【0050】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る作業機の一実施の形態を示す使用状態説明図。
【図2】アームの先端に設けられる建込用アタッチメント、緩衝部材及び木杭を示す分解斜視説明図。
【図3】建込用アタッチメントの底面図。
【図4】込用アタッチメントの縦断面説明図である。
【図5】本発明に係る雇い杭の一実施の形態を示す使用状態説明図。
【図6】図5に示す雇い杭及び建込用アタッチメントを使用して木杭を建て込んでいる状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
S 作業機
M1 建込用アタッチメント
M2 建込用アタッチメント
K 木杭
P 取着ピン
Y ワイヤー
1 取着金具
10 ブラケット
100,100 ピン挿入孔
2 振動発生装置
20 上面板
21 下面板
3 キャップ体
30 スペーサ
31 係止体
32 送液管
33 送液管
34 取着孔
4 緩衝部材
40 上面
41 下面
5 杭
50 杭本体
51 閉塞板
52 閉塞板
53 連結軸挿通部
530 円筒体
54 区画壁
55 溝部
56 閉塞板
560 貫通孔
57 貯液空間部
58 吊り金具
580 貫通孔
90 アーム
91 ブーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機を使用する杭の建込方法であって、
振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、当該緩衝手段を冷やしながらアームを下げて杭を地盤に建て込むことを特徴とする、
杭の建込方法。
【請求項2】
振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機を使用する杭の建込方法であって、
振動発生装置の振動が緩衝手段を介して杭に伝えられるようにしてあり、当該緩衝手段に冷却液をかけながらアームを下げて杭を地盤に建て込むことを特徴とする、
杭の建込方法。
【請求項3】
作業機のアームの先端に設けて使用される杭の建込用アタッチメントであって、
緩衝部材が装着可能な杭保持体と、
当該杭保持体を振動させる振動発生装置と、
上記杭保持体に装着される緩衝部材を冷やす冷却手段と、
を備えたことを特徴とする、
杭の建込用アタッチメント。
【請求項4】
アームを備えた作業機であって、
アームの先端に設けてある請求項3記載の建込用アタッチメントと、
杭保持体に装着可能な緩衝部材と、
を備えたことを特徴とする、
杭を建て込む作業機。
【請求項5】
緩衝部材が装着可能な雇い杭保持体と、当該雇い杭保持体を振動させる振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機と共に使用する雇い杭であって、
所要長さを有する雇い杭本体を備えており、当該雇い杭本体には、上記振動発生装置の振動を杭に伝えることができるよう設けられる上記緩衝手段を冷やす冷却手段が備えてあることを特徴とする、
雇い杭。
【請求項6】
緩衝部材が装着可能な雇い杭保持体と、当該雇い杭保持体を振動させる振動発生装置がアームの先端に設けてある作業機と共に使用する雇い杭であって、
所要長さを有する雇い杭本体を備えており、雇い杭本体の上部には冷却液が貯液可能な貯液空間部が設けてあり、当該雇い杭本体は、上記振動発生装置によって振動したときに上記貯液空間部の通液部から冷却液が溢れ出して上記緩衝部材を冷やすことができるよう構成してあることを特徴とする、
雇い杭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−265965(P2006−265965A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87008(P2005−87008)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(395001600)
【Fターム(参考)】