説明

杭穴掘削方法

【課題】標準貫入試験のN値、掘削負荷電流をそれぞれエネルギー量へ換算して対比することにより地盤性状を正確に把握して、高品質の根固め部を構築する。
【解決手段】式2によりなるデータBと、式1よりなるデータAとを深度と関連付けて,対比しながら表示して掘削する。mは標準貫入試験のハンマーの質量、hはハンマーの落下高さ、φはコーンの断面積、gは重力加速度、NはN値である。
(式2)En=mgh・N/(0.3×φ) [J/m
ave1 はある区間で、深さLを掘削速度vで掘削する場合の平均積算電流値、Vは掘削機のオーガー電圧、Dは杭穴径である。
(式1)Ep=Aave1×200V/(v・D・π/4) [J/m

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
既製杭を埋設する際の杭穴掘削(先掘工法、中掘工法)又は現場造成杭を構築する際に、杭穴掘削関連データを処理して掘削管理する手順に特徴を有する杭穴掘削方法に関する。
【0002】
とりわけ、この発明は、既製杭を使用した基礎杭の造成、またはその掘削工事の管理に適するものであり、確実かつ安定な杭穴の造成、または掘削排土の低減に効果が期待できる方法である。また、特に、下端部及びその側面部に凹凸を形成した既製杭を埋設する場合には、高品質の杭穴形成が要求されており、その既製杭を杭穴の根固め部に設置して、安定した確かな支持力を発現させる基礎杭の造成に有効である。
【背景技術】
【0003】
従来、以下のような杭穴掘削を管理する方法が提案されている。
【0004】
(1)特許文献1の発明
【0005】
通常、先掘り工法では、杭穴掘削機に装着された掘削ロッドを回転させ、掘削ロッドの先端の掘削ヘッドで地表面から所定径の杭穴を掘削し、所定深度の支持地盤まで略円柱状の杭穴を造成している。
【0006】
この根固め部は、必要により拡大して拡底根固め部として掘削している。杭穴の根固め部では、セメントミルクを注入して掘削土と混合してソイルセメントとし、このソイルセメント層内に、既製杭の下端部を沈設し、ソイルセメントを固化させ一体化させている。支持杭では、地上の荷重を既製杭の下端部よりソイルセメント層を経てこの支持層へ伝達させ、所定の支持力を発現させていた。従って、支持杭では、支持地盤を見極め、適切な深さに、杭穴根固め部を形成することが必要であった。
【0007】
この杭穴の掘削では、掘削ロッドを回転させるオーガーの負荷電流値をモニターすることにより、地盤の硬さと負荷電流値の相関関係により、硬い支持層の位置を把握し、その位置に根固め部を造成することにより、杭穴掘削を管理している。
【0008】
即ち、事前に収集したその施工地盤又はその周辺の地質調査データ(通常は、標準貫入試験のN値)を深度毎に表示し、杭穴掘削時に、杭穴掘削機のオーガーの負荷電流の積算値(掘削電流×掘削時間)と、地質調査データとを対比しながら掘削し、所定N値の地盤の深度近傍でこの積算電流値が大きくなった位置を支持地盤の深度と認定していた。また、支持力の発現には根固め部の強度が重要な要素となるので、掘削データの各種測定値及び注水量、セメントミルク注入量などを記録表示しているが、特に根固め部内へのセメントミルクの注入深度・注入量、掘削ヘッドの撹拌動作も管理していた。
【0009】
(2)特許文献2
【0010】
杭穴掘削において、掘削刃により地盤を崩さないように杭穴内壁を均したり、効率的に杭穴を掘削するために、掘削ロッドの回転数N、下降速度v、同一高さの掘削刃の数n、掘削刃の軸方向の長さL、等を種々調整して、地盤の特性に応じて最適の条件で掘削を管理する発明が開示されている。また、この最適の条件は、杭穴軸部の掘削と杭穴根固め部の掘削とで使い分けていた。
【0011】
この際、掘削深度毎に、掘削水の注入量を計測し、前記掘削ロッドの回転数N、下降速度v、同一高さの掘削刃の数n、掘削刃の軸方向の長さL等と共に、データを記録していた。
【特許文献1】特開2002−348868
【特許文献2】特開2003−213679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、掘削に際して、掘削ヘッドの周辺により多くの水があれば、地盤が軟らかくなり、掘削に要する時間を短縮できた。しかし、過度の水の注入は、杭穴壁の倒壊の原因や、過剰の水を地上に上げて、廃棄できるように処理すべき掘削泥土の容積も増加させることになっていた。
【0013】
前記従来の技術では、水の注入量のデータを保存し、掘削管理ディスプレイにデータを表示させることができた。しかし、そのデータを掘削管理オペレータが充分に活用できるように、データを提供できなかった。従って、結果として、掘削した杭穴毎に、掘削水の総注入量にばらつきが見られ、杭穴内の泥土の比重が異なり、この変動に応じて排土量にもばらつきがみられていた。従って、産業廃棄物管理上コストが増加し、環境管理面からも好ましくなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
然るにこの発明は、杭穴掘削時にオーガーの積算電流値を処理して、エネルギーとしての値を活用して杭穴の掘削管理をするので、前記問題点を解決した。
【0015】
即ちこの発明は、先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで、地盤を掘削して杭穴を形成する方法であって、下記式1により、Epの値が予め設定した値又は掘削作業中に設定した値、となった場合に、当該地盤を支持地盤と推定して、杭穴の根固め部を構築することを特徴とした杭穴掘削方法である。
ave1 はある区間で、深さLを掘削速度vで掘削する場合の平均積算電流値である。Vは、掘削機のオーガー電圧である。また、Dは杭穴径である。
(式1)Ep=Aave1×V/(v・D・π/4)
[J/m](=[W・S/m])
【0016】
また、他の発明は、先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで、地盤を掘削して杭穴を形成する方法であって、以下のようにして、杭穴掘削をすることを特徴とした杭穴掘削方法である。
【0017】
(1) 下記式1により、杭穴掘削時に、各深度毎に、掘削負荷電流を計測し、該掘削負荷電流をエネルギー量へ換算し、深度に関連づけてデータAとして、該データAを保存する。
ave1 はある区間で、深さLを掘削速度vで掘削する場合の平均積算電流値である。Vは、掘削機のオーガー電圧である。Dは杭穴径である。
(式1)Ep=Aave1×V/(v・D・π/4)
[J/m](=[W・S/m])
(2) 下記式2により、標準貫入試験のN値をエネルギー量へ換算し、深度と関連付けてデータBとして、該データBを保存する。
mは標準貫入試験のハンマーの質量、hはハンマーの落下高さ、φはコーンの断面積である。gは重力加速度である。NはN値である。
(式2)En=mgh・N/(0.3×φ) [J/m](=[W・S/m])
(3) (1)のデータAと(2)のデータBとを、深度ごとに対比して表示しながら掘削する。
【0018】
また、前記において、以下の処理をすることを特徴とした杭穴掘削方法である。
(1) 各深度の地盤種別及びN値に関連付けて生成した適正掘削水量をデータCとし、データCを保存する。
(2) データAをデータCで補正した値を、データAAとして、データAAを各深度に関連付けて、保存する。
(3) データAに代えてデータAAを表示する。
【0019】
また、前記において、以下の手順をとることを特徴とした杭穴掘削方法である。
(1) 土質に合わせて、予め注入する掘削水の量を設定する。
(2) データAとデータBとから把握される土質を推定する。
(3) 推定した土質に基づき(1) で決めた掘削水を注入する。
【発明の効果】
【0020】
(1) 積算電流値をエネルギー換算してた値Epを表示するので、支持地盤の把握が容易であり、根固め部をより適正な深さに確実に構築でき、杭穴の品質を高めることができる。この場合、施工現場毎の掘削補正係数を乗じて、エネルギー換算した値Epを補正すればより品質を高めることができる。
【0021】
(2) 標準貫入試験のN値(試験時の打ち込み回数)をエネルギー量へ換算し、さらに、掘削負荷電流も同様なエネルギー量へ換算しあるいは更に補正して、両者を深度ごとに対比して表示することにより、掘削作業内容の変動及び掘削中の品質(土質および地盤強度)の変化をリアルタイムに、かつ容易に把握できる。
【0022】
(3) 掘削時の注水量を、掘削工事着手前あるいは掘削工事中に、土質に合わせて調節することにより、掘削泥水の比重を一定に維持管理できる。掘削土と掘削水が適度に混合され、両者の分離を少なくすることができる。即ち、セメントミルク注入後のソイルセメントの比重を一定(所定範囲)に制御できる。
【0023】
よって、掘削土と掘削水が分離せず、掘削土の分離沈殿、あるいは、杭穴壁の崩落もの可能性も大幅に減るので、沈設時の杭の高止まりトラブル等を無くすことができ、基礎杭の施工工期を安定化することができる。
【0024】
また、掘削中の杭孔内への注水量を適正に制御することにより、注水量が減るので、杭穴造成時の排土量も注入量に見合った量すなわち20%程の削減が可能である。従って、環境に優しい高支持力工法がさらにより環境に優しい工法となる。
【0025】
(4) N値と掘削負荷電流の表示を同一の単位で比較することにより、各掘削作業似ようの変動及び杭穴の土質がリアルに正確に把握できるので、掘削しながら、この把握された土質に合わせて注入する掘削水を制御することにより安定な杭穴内の泥水比重を管理することができる。
【0026】
(5) 掘削水の注入量も前記地盤の単位エネルギー値と一緒にリアルに表示するので、掘削オペレータが一見して容易に確実に調整・管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(1) ある区間で、掘削負荷電流(積算電流値)を単位体積当たりのエネルギーヘ換算したデータを「積算抵抗値」と定義する。即ち、積算抵抗値は、積算電流量を掘削速度(単位:掘削深さ/経過時間)と掘削断面積で除した値となる。
【0028】
積算抵抗値の中の、積算電流量ΣAに関して、掘削は「電気エネルギーの関数」と考え、掘削については、単位区間の積算電流量からその区間の掘削に要した電力量(W・秒)を算出し、その区間の掘削体積(区間長×掘削断面積)で除して、その区間の単位体積当りの掘削に要した電力量Ep(W・秒/m)を求める。
【0029】
区間1は、深さLで、掘削に時間Tを要し、平均積算電流Aave1 であった。掘削機のオーガーの電圧は200(V)であるので、区間1の掘削に要した電力量は、
ave1×200×T
となる。
【0030】
よって、単位掘削体積あたりに換算すれば、Epが求められる。
Ep=Aave1×200×T/(L・D・π/4)
[W・S/m](=[J/m])
=Aave1×200/((L/T)・(D・π/4) [J/m
=Aave1×200/(v・D・π/4) [J/m
ここで、vは、深さ方向に掘進する掘削速度で、
=L/T [m/秒]
である。
このように得られたEpのデータを各深さで関連づけて保存する。
【0031】
(2) 一方N値は、質量m(=63.5kg)のハンマーを高さh(=75cm)から落下させ、コーン(サンプラー)を30cmを貫入させるための打撃回数と、定義される。この場合、コーンの断面積をφ(cm)とする。
【0032】
N値は、ハンマーの位置エネルギーの関数と考えられるので、30cm貫入区間の単位体積当たりの貫入エネルギー量(位置エネルギー)をEnとする。
En=mgh・N/(0.3×φ) [J/m
このようにして、得られたEnのデータを深さに関連づけて保存する。
【0033】
(3) このようにして得たEpとEnを、掘削深度を縦軸として、横軸を単位体積当たりのエネルギーとしてた座標中に表記した(図2)。実際には、予め、Enのデータを保存しておき、杭穴掘削中に各深さ毎にEpのデータを算出して、掘削管理画面にEnのデータとEpのデータを重ねて表示し(図2)、あるいは並べて表示する(図示していない)。
【0034】
EnのデータとEpのデータとは同じエネルギーの次元であり(図3)、図2ではEnと10×Epとがほぼ比例関係にあることが分かる。一般には、
En=k×Ep (k:掘削補正係数)
の関係がある。
【0035】
(4) 土質と注水量の関係では、シルト層の場合に従来の注水量では比重が低くなり、掘削土が分離し、掘削泥水の排出が多くなり、抗沈設時に高止まりし易い。従って、土質により掘削水の注入量を調節する。
【0036】
また、掘削泥水の比重が低いと良く混合されず分離され易いので比重は高く設定すべきであるが、根固め部のソイルセメントの比重が1.7であるので、ソイルセメントとの混合管理を確実にするため、掘削泥水の比重を1.6以下で、可能ならば1.5程度に抑えることが望ましい。
【0037】
(5) この発明の杭穴掘削方法では、以上のように、設定されるEnとEpとを、杭穴掘削作業中に、掘削機のオペレータ室のパソコン画面あるいは管理室のパソコン画面に表示しながら、掘削をする。このようなEn、Epの情報、当該地盤又は周辺地盤のN値情報を、地盤種別の情報などを深さと対応させて表示する。これらの表示を比較することにより、掘削ヘッドが支持地盤へ到達したことをより正確に把握できる。支持地盤への到達が確認された後に、従来の方法で杭穴の底部に根固め部を構築する。
【0038】
(6) 前記における注水量の調節は、例えば、過去の現場における掘削データとその注水量データとからなるデータを統計的に処理して、当該地盤での深さ毎の最適の注水量を設定することにより、行う。過去の掘削データは、地盤種別、N値、掘削負荷電流等のデータの1つ又は複数のデータとする。また、最適注水量のデータを掘削作業中の地盤に適用して、実際の注水量と比較検討することにより、前記Epの値を修正して、修正Epのデータを表示することもできる。
【実施例1】
【0039】
図4〜図7に基づき、この発明の実施例を説明する。杭穴掘削時にデータを収集して分析し、積算抵抗値とN値と相関関係等を確認した。
【0040】
(1) 杭打ち機1は、マスト2に昇降自在にオーガー3が設置され、オーガー3には回転自在に掘削ロッド4を取り付けてある。掘削ロッド4は、先端に掘削ヘッド5を有し、掘削ヘッド5は揺動する掘削腕6、6の先端に掘削刃7を形成してある。
【0041】
また、杭打ち機1には掘削水供給装置8のホース9が連結され、掘削ヘッド5に掘削水を供給できるようになっている。
【0042】
杭打ち機1で、地面16から掘削ヘッド5で杭穴17の掘削が開始される。杭穴17掘削に従って、
・電流測定器10からオーガー3の積算電流値
・深度・速度計計測用のワイヤー11により繰り出し量を深度計12で計測する深度データ・掘進する速度データ
・流量計13から、掘削水やセメントミルクの注入流量のデータ
が計測され、オペレータ席14のパソコンに保存され処理して、オペレータ席14のパソコンのモニターに、関連するデータが表示される。オペレータは画面を見ながら、掘削の管理ができる。また、オペレータ席14のパソコンに保存されたデータはアンテナ15から、別の室内に設置されたデータ処理室に送られて、処理される(図4)。
【0043】
(2) データを60現場(300件)として同様な検討を行った。さらに、その中から同一オペレータによる8現場(40件)のデータを用いて、「施工の個人差」の影響についても調査した。
【0044】
(3) 地盤と掘削抵抗の関係を定量的に把握するため、N値と補正積算抵抗値(掘削水量の影響を考慮したもの)を比較した。図5は細砂層のデータで、図5(a)は全体(複数のオペレータ:データ数1223)、図5(b)は一人のオペレータのデータ(データ数203)である。
【0045】
全体のデータについては、回帰式は積算抵抗値R=12.7N×103、相関係数r=0.40となった。各N値ごとの積算抵抗値の平均値(○印)については、回帰式はR=12.5N×103、相関係数r=0.93となった。また、細砂層の場合、積算抵抗値の平均値は、N値0〜20、25〜40、40以上の3つのグループで異なった傾向があった。
【0046】
一方、一人のオペレータ(同施工機械)を限定して、データを解析した結果、回帰式は積算抵抗値R=5.0N×103、相関係数r=0.68となり、全体データ(図5(a))より相関係数は大きくなった。また、図5(b)からもわかるようにデータのバラツキの幅もかなり狭くなった。各N値ごとの積算抵抗値の平均値(○印)については、回帰式はR=4.6N×103、相関係数r=0.93となり、相関係数は全体データと同じ結果となった。また、積算抵抗値の平均値は、全体データと同様に3つのグループで異なった傾向があったが、そのN値の区間は0〜25、30〜45、50以上となっており、全体データとは若干異なる結果となった。但し、
電力量Ep=(積算抵抗値)×(オーガー電圧)
である。
【0047】
(4) 前記のようにして、まず、掘削については、単位区間の積算電流量からその区間の掘削に要した電力量[W・秒]を算出し、その区間の掘削体積(区間長×掘削断面積)で除して、その区間の単位体積当りの掘削に要した電力量Ep[W・秒/m]を求める。また、N値については、重錘の位置エネルギーmghのN倍のエネルギーとし、これを単位体積(30cm×コーン断面積)で除して、その30cm貫入区間の単位体積当りの貫入エネルギー量En[J/m3]を算出する。
【0048】
この2つのエネルギーは同次元のものだから
En∝k×Ep
なる関係がある(図3)。ここでkは、掘削補正係数であり、地盤種別(砂質土・粘性土・礫等)によって変動する定数である。この掘削補正係数は、施工深度や掘削水量・施工時の個人差などの掘削条件にも影響を受けていると考えられる。
【0049】
EpとEnの比較例を図6、図7に示す。この両者の傾向はよく似ており、相関性は高い。この2例の場合、定数kは、全体で約10であり、
En≒10×Ep
なる関係がある。
【0050】
(5) 以上から、以下のよう結果を得られた。
【0051】
補正積算抵抗値とN値との関係の調査では、全体(複数のオペレータ)では、対象となる個体数も増え、個人差・個体差によるバラツキの影響が大きくなった。また、一人のオペレータ・施工機械に限定して検討した結果、複数のオペレータで検討したものよりもバラツキの幅は小さくなった。施工現場での掘削作業の度に、その掘削補正係数を設定して表示し、きめ細かな施工管理をすることにより、より安定して所望の杭穴を掘削が可能となる。
【0052】
また、エネルギーの観点から積算抵抗値とN値の関係を検討した結果、EpとEnの相関が認められた(図6、図7)。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施に使用する、深さ−掘削電流値のグラフである。
【図2】この発明の積算抵抗値Epとエネルギー換算したN値データEnとの比較する「深さ−エネルギー」のグラフである。
【図3】この発明のEpとEnの関係を概略した図である。
【図4】この発明の実施例で使用する杭穴掘削機の正面図である。
【図5】N値における積算抵抗値に分布を表すグラフで、(a)全オペレータのデータ、(b)は個別オペレータのデータを夫々表す。
【図6】深度と、Ep及びEnの関係を表すグラフである。
【図7】同じく深度と、Ep及びEnの関係を表すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 杭打ち機
2 マスト
3 オーガー
4 掘削ロッド
5 掘削ヘッド
6 掘削腕
7 掘削刃
8 掘削水供給装置
9 ホース
10 電流測定装置
11 ワイヤー
12 深度計
13 流量計
14 オペレータ室
15 アンテナ
16 地面
17 杭穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで、地盤を掘削して杭穴を形成する方法であって、下記式1により、Epの値が予め設定した値又は掘削作業中に設定した値、となった場合に、当該地盤を支持地盤と推定して、杭穴の根固め部を構築することを特徴とした杭穴掘削方法。
ave1 はある区間で、深さLを掘削速度vで掘削する場合の平均積算電流値である。Vは、掘削機のオーガー電圧である。また、Dは杭穴径である。
(式1)Ep=Aave1×V/(v・D・π/4) [J/m
【請求項2】
先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドで、地盤を掘削して杭穴を形成する方法であって、以下のようにして、杭穴掘削をすることを特徴とした杭穴掘削方法。
(1) 下記式1により、杭穴掘削時に、各深度毎に、掘削負荷電流を計測し、該掘削負荷電流をエネルギー量へ換算し、深度に関連づけてデータAとして、該データAを保存する。
ave1 はある区間で、深さLを掘削速度vで掘削する場合の平均積算電流値である。Vは、掘削機のオーガー電圧である。Dは杭穴径である。
(式1)Ep=Aave1×V/(v・D・π/4) [J/m
(2) 下記式2により、標準貫入試験のN値をエネルギー量へ換算し、深度と関連付けてデータBとして、該データBを保存する。
mは標準貫入試験のハンマーの質量、hはハンマーの落下高さ、φはコーンの断面積である。gは重力加速度である。NはN値である。
(式2)En=mgh・N/(0.3×φ) [J/m
(3) (1)のデータAと(2)のデータBとを、深度ごとに対比して表示しながら掘削する。
【請求項3】
以下の処理をすることを特徴とした請求項2記載の杭穴掘削方法。
(1) 各深度の地盤種別及びN値に関連付けて生成した適正掘削水量をデータCとし、データCを保存する。
(2) データAをデータCで補正した値を、データAAとして、データAAを各深度に関連付けて、保存する。
(3) データAに代えてデータAAを表示する。
【請求項4】
以下の手順をとることを特徴とした請求項2又は3記載の杭穴掘削方法。
(1) 土質に合わせて、予め注入する掘削水の量を設定する。
(2) データAとデータBとから把握される土質を推定する。
(3) 推定した土質に基づき(1) で決めた掘削水を注入する。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−348515(P2006−348515A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173721(P2005−173721)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】