説明

板材レポジション位置決定装置および決定プログラム

【課題】 与えられた加工データに対して、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置が決定できる板材レポジション位置決定装置および決定プログラムを提供する。
【解決手段】 このレポジション位置決定装置1は、レポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定部5と、指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定部6とを有する。必要条件を充足すると判定された候補位置につき評価する評価部7と、探索終了条件に達するまで候補位置の指定および評価を行わせ、最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力するレポジション位置決定部8を有する。候補位置指定部5は、加工ヘッドM1〜M3毎に加工をグループ化し、メイン加工ヘッドM1に対する処理で済むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板金加工機を代表とする板材加工機の加工プログラムの作成等に適用される板材レポジション位置決定装置および決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な板材加工工程では、まず配電盤や制御盤などの製品設計を行い、その製品を構成する部品板材の展開図を作成する。そして、その部品板材に対して金型の割り付けを行い(パンチプレスによる加工の場合)、金型が割り付けられた部品板材を素材板材から効率良く取るためのネスティング作業を行う。最後に、ネスティング結果を加工データとして出力し、加工を行う。
この加工を行う際に、最大加工可能な範囲を超えるか、またはデッドゾーンがあるなどの理由により、板材送り装置のワークホルダによる1回の把持位置では、全ての加工ができない場合がある。この場合、板材加工機はワークを把持しているワークホルダの掴み換え処理であるレポジションを行う。このレポジションは、ワークが設定位置からずれないように、レポジションパッドによりワークを押し付けながら行う。しかし、レポジションに要する時間は加工効率の低下に繋がり、またレポジションによるワークの掴み換えは、加工精度の低下に影響する。
そのため、板金加工データとして、レポジション回数が少なく、かつ加工時間の短い加工データの出力が望まれる。
【0003】
これらの加工データの生成作業は、計算機(板金加工用CAD/CAMシステム)上で行われるが、作業工程の中で生成される金型が割り付けられた展開部品には様々な種類の金型が割り付けられており、また複合加工機では、使用する加工ヘッド(パンチ加工ヘッド、レーザ加工ヘッド、タップ加工ヘッド等)によって加工範囲に違いがあるため、生産効率の良い加工データを出力する作業は非常に困難な作業であった。
この作業を支援するためのシステムとして、様々なシステムが開発されており、実用化されている。しかし,加工位置の組み合わせは様々であり、十分に対応できないケースが存在していた。
【0004】
なお、図19は、従来のシステムによるレポジション動作の例を示す。同図(A)は、素材板材Wから各部品板材Waを加工するにつき、ワークホルダ36による板材の持ち替えであるレポジションを2回行う概念を示す。図中、符号Eは、加工ヘッドによる加工可能領域を示す。同図(B)は、計算機上でのオペレータの操作を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3444150号公報
【特許文献2】特許第3269450号公報
【特許文献3】特開2002−1464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の板材レポジション位置決定システムは、いずれもレポジションを行う動作が固定されている。例えば、レポジションする量が材料サイズによって固定されていたり、ワークホルダに干渉する等の現象が生じた場合のみ、ある一定量回避したりする位置決定方法が採られている。そのため、与えられたデータに応じた加工位置を決定できなかった。
【0007】
この発明の目的は、与えられた加工データに対して、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置が決定できる板材レポジション位置決定装置および決定プログラムを提供することである。
例えば、適切なレポジション位置の決定に際して、加工位置,加工順序を含み、さらに加工性や加工時間を考慮した様々なレポジション結果を提示できる柔軟なシステムとすることも目的とする。
この発明の他の目的は、板材加工機が複数の加工ヘッドを持つ複合加工機である場合にも、簡単な処理で効率良く適切なレポジション位置が決定できるようにすることである。 この発明のさらに他の目的は、加工部位の配置レイアウトの方向転換を考慮に入れたより一層適切なレポジション位置が決定できるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、レポジション回数を少なくできるレポジション位置の決定を可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、板材加工機の加工プログラムの自動プログラミング過程における、レポジション位置の決定が適切に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の板材レポジション位置決定装置(1)は、平板状の板材(W)に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機(30)に適用される装置である。
前記板材加工機(30)は、板材(W)を載せるテーブル(31)と、このテーブル(31)上の板材(W)に加工を行う加工ヘッド(M(M1 ,M2 ,M3 ))と、板材(W)を把持するワークホルダ(36)を有し板材(W)を加工ヘッド(M)に対して相対的に前後左右に移動させる板材送り機構(33)と、前記ワークホルダ(36)による板材(W)の把持位置を変更するレポジション動作を行う時に、板材(W)をテーブルに押さえ部材(41)で押し付ける板材押さえ機構(42)とを備える。
この板材押さえ位置決定装置(1)は、
前記板材(W)に施す加工の情報である加工情報を加工情報記憶手段(3)に記憶させるデータ入力手段(2)と、
この加工情報記憶手段(3)に記憶された加工情報に基づき前記レポジション動作を行うときのワークホルダ(W)の把持位置の変更先位置であるレポジション位置を決定するレポジション位置決定手段(4)とを備える。
このレポジション位置決定手段(4)は、
設定規則(R1)に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定部(5)と、
この候補位置指定部(5)により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定部(6)と、
この必要条件判定部(6)で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則(R2)に従って評価値として評価する評価部(7)と、
探索終了条件に達するまで前記候補位置指定部(5)による候補位置の指定および前記評価部(7)による評価を行わせ、前記評価部(7)で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力するレポジション位置決定部(8)とを有する。
【0009】
この構成によると、データ入力手段(2)により、板材(W)に施す加工の情報である加工情報を加工情報記憶手段記憶(3)に記憶させる。加工情報は、加工する形状を直接に図形データとして示した情報に限らず、例えば、使用工具の識別情報と、各工具による加工位置の情報と、使用工具の形状の情報とであっても良い。
レポジション位置決定手段(4)は、候補位置指定部(5)により、設定規則(R1)に従ってレポジション位置の複数の候補位置を順次指定する。加工完了までに複数回のレポジションが必要な場合は、その各回のレポジション位置を示す情報を、一纏まりの候補位置して指定し、このような一纏まりの候補位置の指定を、複数回順次行う。必要条件判定部(6)は、候補位置指定部(5)により指定された候補位置が、設定必要条件を充足するか否かを判定する。設定必要条件は、適宜定めれば良いが、実行可能な位置であるか等を判定する。評価部(7)は、必要条件判定部(6)で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、適切性を設定規則(R2)に従って評価値として評価する。適切性は、例えばレポジション回数である。レポジション位置決定部(8)は、探索終了条件に達するまで前記候補位置指定部(5)による候補位置の指定および前記評価部(7)による評価を行わせ、前記評価部(7)で評価された最も評価値の高い候補位置(P)を押さえ位置として決定し出力する。
このように、レポジション位置とする複数の候補位置につき、設定規則(R2)により適切性等を評価値として評価し、最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定する。そのため、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置を決定することができる。また、レポジション位置とする複数の候補位置につき、順次、評価して比較するため、候補位置の決定や探索終了条件の設定を適宜行うことで、実用可能な演算処理時間で適切なレポジション位置を決定することができる。
【0010】
この発明において、前記板材加工機(3)は、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッド(M(M1 ,M2 ,M3 ))を互いに離れて有するものであっても良い。加工ヘッド(M)の個数は、2個であっても、3個であっても、また4個以上であっても良い。その場合、前記レポジション位置決定手段(4)は、
データ入力手段(2)に入力される加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッド(M1,M2,M3)を用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド(M1,M2,M3)毎にグループ分けするグループ化部(9)と、
このグループ分けされたグループ毎にグループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算部(10)と、
全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッド(M1)のグループ内加工領域に対し、他の加工ヘッド(M2,M3)のグループ内加工領域については、メイン加工ヘッド(M1)と該当グループの加工ヘッドとの設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算部(11)とを有し、
前記候補位置指定部(5)は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行うものとしても良い。
このように、加工情報を加工に使用する加工ヘッド(M1,M2,M3)毎にグループ分けし、一つのメイン加工ヘッド(M1)を基準とする共通加工領域を計算することにより、一つのメイン加工ヘッド(M1)を基準としてレポジション位置の候補位置の指定や評価が行える。そのため、互いに離れた複数の加工ヘッド(M1,M2,M3)を使用する加工の場合にも、簡単な演算処理で適切なレポジション位置を得ることができる。
【0011】
この発明において、前記候補位置指定部(5)、前記必要条件判定部、(6)および前記評価部(7)は、レポジション動作後に残る各加工部位の全体の配置レイアウトにつき、データ入力手段(2)により入力された加工情報における配置レイアウトに対して180°方向転換するかまたは表裏を反転した配置レイアウトの場合と、この方向転換または表裏反転をしない配置レイアウトとの両方を含めて、候補位置の指定、設定必要条件の充足の判定、および評価をそれぞれ行うものとしても良い。
このようにレポジション動作後に残る各加工部位の全体の配置レイアウトにつき、方向転換や表裏反転を行った場合を含めて判定すると、より適切なレポジション位置を決定することができる。なお、上記全体の配置レイアウトは、上記グループ化を行う場合は、その共通加工領域の各加工部位の配置レイアウトとする。
【0012】
この発明において、前記評価部(7)の設定規則(R2)は、前記評価値の計算に、全加工部位の加工の終了までに必要なレポジション回数を用い、レポジション回数が少ないほど高い評価値とするものであっても良い。
上記のように評価部(7)の設定規則(R2)を定めことにより、レポジション回数が少ないレポジション位置に決定することができる。レポジション回数を少なくすることで、効率的な加工が行える。
【0013】
この発明において、前記レポジション位置決定部(8)で決定して出力されるレポジション位置は、前記板材加工機(30)を数値制御する加工プログラム(15)の自動プログラミング装置(20)において、前記加工プログラム(15)における板材押さえ機構(42)による押さえ動作の命令(Rb)、およびワークホルダの把持解除の命令の後に、板材送り機構(33)に位置決め動作を行わせる送り命令(Rc)の指令位置とされる位置であっても良い。
この構成により、加工プログラム(15)の自動プログラミング過程における、レポジション位置の適切な決定を行うことができる。
【0014】
この発明の板材レポジション位置決定プログラムは、平板状の板材(W)に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機(30)の制御において、板材加工機(30)のワークホルダ(36)による板材(W)の把持位置を変更する動作であるレポジション動作におけるワークホルダ(36)の把持位置の変更先位置となるレポジション位置を決定するプログラムであって、コンピュータにより実行可能なプログラムである。
この板材レポジション位置決定プログラムは、
前記板材(W)に施す加工の情報である加工情報を所定の記憶エリアに記憶させるデータ入力手順(S1)と、
この記憶された加工情報に基づき、前記レポジション位置を決定するレポジション位置決定手順(S2)とを含む。
このレポジション位置決定手順(S2)は、
設定規則に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定手順(Q2)と、
この候補位置指定手順(Q2)により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定手順(Q3)と、
この必要条件判定手順(Q3)で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価手順(Q4)と、
探索終了条件に達するまで前記候補位置指定手順(Q2)による候補位置の指定および前記評価手順(Q4)による評価を行わせ、前記評価手順(Q4)で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する決定,出力手順(Q6,Q8)とを有する。
この構成の板材レポジション位置決定プログラムによると、この発明の板材押さえ位置決定装置(1)につき説明したと同様に、与えられた加工データに対して、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置を決定することができる。
【0015】
この発明の板材レポジション位置決定プログラムは、前記板材加工機(30)が、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッド(M1,M2,M3)を互いに離れて有する場合にも適用することができる。その場合、
前記レポジション位置決定手順(S2)は、
データ入力手段に入力される加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッド(M1 ,M2 ,M3 )を用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド(M1,M2,M3)毎にグループ分けするグループ化手順(U1)と、
このグループ化手順(U1)でグループ化されたグループ毎に、グループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算手順(U2)と、
全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッド(M1)のグループ内加工領域に対して、他の加工ヘッド(M2,M3)のグループ内加工領域については、メイン加工ヘッド(M1)と該当グループの加工ヘッド(M2,M3)との設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算手順(U3)とを含み、
前記候補位置指定手順(Q2)は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行う手順としても良い。
この構成のプログラムとすれば、この発明の板材押さえ位置決定装置(1)につき説明したと同様に、板材加工機(30)が複数の加工ヘッド(M1,M2,M3)を持つ複合加工機である場合にも、簡単な処理で効率良く適切なレポジション位置を決定することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の板材レポジション位置決定装置は、平板状の板材に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機に適用される板材レポジション位置決定装置であって、前記板材加工機は、板材を載せるテーブルと、このテーブル上の板材に加工を行う加工ヘッドと、板材を把持するワークホルダを有し板材を加工ヘッドに対して相対的に前後左右に移動させる板材送り機構と、前記ワークホルダによる板材の把持位置を変更するレポジション動作を行う時に、板材をテーブルに押さえ部材で押し付ける板材押さえ機構とを備え、この板材レポジション位置決定装置は、前記板材に施す加工の情報である加工情報を加工情報記憶手段に記憶させるデータ入力手段と、この加工情報記憶手段に記憶された加工情報に基づき前記レポジション動作を行うときのワークホルダの把持位置の変更先位置であるレポジション位置を決定するレポジション位置決定手段とを備え、このレポジション位置決定手段は、設定規則に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定部と、この候補位置指定部により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定部と、この必要条件判定部で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価部と、探索終了条件に達するまで前記候補位置指定部による候補位置の指定および前記評価部による評価を行わせ、前記評価部で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力するレポジション位置決定部とを有するため、与えられた加工データに対して、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置を決定することができる。例えば、適切なレポジション位置の決定に際して、加工位置,加工順序を含み、さらに加工性や加工時間を考慮した様々なレポジション結果を提示できる柔軟な装置とすることも可能となる。
【0017】
前記板材加工機が、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッドを互いに離れて有し、前記レポジション位置決定手段が、データ入力手段に入力される加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッドを用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド毎にグループ分けするグループ化部と、このグループ分けされたグループ毎にグループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算部と、全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッドのグループ内加工領域に対し、他の加工ヘッドのグループ内加工領域については、メイン加工ヘッドと該当グループの加工ヘッドとの設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算部とを有し、前記候補位置指定部は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行うものとした場合は、板材加工機が複数の加工ヘッドを持つ複合加工機である場合にも、簡単な処理で効率良く適切なレポジション位置を決定することができる。
【0018】
前記候補位置指定部、前記必要条件判定部、および前記評価部が、レポジション動作後に残る各加工部位の全体の配置レイアウトにつき、データ入力手段により入力された加工情報における配置レイアウトに対して180°方向転換するかまたは表裏を反転した配置レイアウトの場合と、この方向転換または表裏反転をしない配置レイアウトとの両方を含めて、候補位置の指定、設定必要条件の充足の判定、および評価をそれぞれ行うものである場合は、加工部位の配置レイアウトの方向転換,表裏反転を考慮に入れたより適切なレポジション位置の決定を行うことができる。
【0019】
前記評価部の前記設定規則が、前記評価値の計算に、全加工部位の加工の終了までに必要なレポジション回数を用い、レポジション回数が少ないほど高い評価値とするものである場合は、レポジション回数を少なく決定することができる。
【0020】
前記レポジション位置決定部で決定して出力されるレポジション位置が、前記板材加工機を数値制御する加工プログラムの自動プログラミング装置において、前記加工プログラムにおける板材押さえ機構による押さえ動作の命令、およびワークホルダの把持解除の命令の後に、板材送り機構に位置決め動作を行わせる送り命令の指令位置とされる位置である場合は、板材加工機の加工プログラムの自動プログラミング過程における、レポジション位置の決定を適切に行うことができる。
【0021】
この発明の板材レポジション位置決定プログラムは、コンピュータにより実行可能であり、平板状の板材に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機の制御において、板材加工機のワークホルダによる板材の把持位置を変更する動作であるレポジション動作におけるワークホルダの把持位置の変更先位置となるレポジション位置を決定する板材レポジション位置決定プログラムであって、前記板材に施す加工の情報である加工情報を所定の記憶エリアに記憶させるデータ入力手順と、この記憶された加工情報に基づき、前記レポジション位置を決定するレポジション位置位置決定手順とを含み、このレポジション位置決定手順は、設定規則に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定手順と、この候補位置指定手順により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定手順と、この必要条件判定手順で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価手順と、探索終了条件に達するまで前記候補位置指定手順による候補位置の指定および前記評価部による評価を行わせ、前記評価手順で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する決定,出力手順とを有するため、与えられた加工データに対して、効率の良い加工が行える適切なレポジション位置を決定することができる。
【0022】
前記板材加工機が、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッドを互いに離れて有し、前記レポジション位置決定手順が、データ入力手段に入力される加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッドを用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド毎にグループ分けするグループ化手順と、このグループ化手順でグループ化されたグループ毎にグループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算手順と、全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッドのグループ内加工領域に対し、他の加工ヘッドのグループ内加工領域については、メイン加工ヘッドと該当グループの加工ヘッドとの設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算手順とを有し、前記候補位置指定手順は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行うものである場合は、板材加工機が複数の加工ヘッドを持つ複合加工機である場合にも、簡単な処理で効率良く適切なレポジション位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態に係る板材レポジション位置決定装置を備えた自動プログラミング装置の概念構成の説明図、(B)はその板材レポジション位置決定装置と板材加工機の概念構成を示す説明図である。
【図2】同実施形態にかかる板材レポジション位置決定プログラムの概略流れ図である。
【図3】同板材レポジション位置決定プログラムにおけるレポジション位置決定手順の流れ図である。
【図4】同板材レポジション位置決定プログラムのグループ化による候補位置指定手順の流れ図である。
【図5】同板材レポジション位置決定装置および決定プログラムにおける全体の処理の概念図である。
【図6】加工情報全体の加工部位とメイン加工ヘッドの加工可能領域との関係を平面図で示す説明図である。
【図7】メイン加工ヘッドとこのメイン加工ヘッドによる加工グループの加工部位との関係を平面図で示す説明図である。
【図8】サブ加工ヘッド(レーザ)とこのサブ加工ヘッドによる加工グループの加工部位との関係を平面図で示す説明図である。
【図9】サブ加工ヘッド(タップ)とこのサブ加工ヘッドによる加工グループの加工部位との関係を平面図で示す説明図である。
【図10】M2グループのオフセット後のグループ内加工領域の説明図である。
【図11】M3グループのオフセット後のグループ内加工領域の説明図である。
【図12】共通加工領域の説明図である。
【図13】レポジション前の共通加工領域とメインヘッドの加工可能領域の関係を示す説明図である。
【図14】レポジション位置後の新たな共通加工領域の説明図である。
【図15】新たな共通加工領域の加工とメインヘッドの加工可能領域の関係を示す説明図である。
【図16】加工内容とレポジションの関係を示す一例のイメージ図である。
【図17】配置レイアウトの方向転換を考慮する例の説明図である。
【図18】同板材レポジション位置決定装置の決定結果を利用する板材加工機の一例を示す斜視図である。
【図19】従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施形態を図1ないし図18と共に説明する。図18は、この板材押さえ位置決定装置を適用する板材加工機30の一例を示す。この板材加工機30は、平板状の板材Wに対して局部的な部位の加工を複数箇所に施す加工機である。この板材加工機30は、板材Wを載せるテーブル31と、このテーブル31上の板材Wに孔明け加工を行う複数の加工ヘッドM(M1,M2,M3)と、板材Wを把持するワークホルダ36を有し板材Wを加工ヘッドMに対して相対的に前後左右に移動させる板材送り機構33と、ワークホルダ36による板材Wの把持位置を変更するレポジション動作を行う時に板材Wをテーブル31に押さえ部材41で押し付ける板材押さえ機構42とを備える。
【0025】
この実施形態の板材加工機30はタレット式のパンチプレスを基本とした複合加工機であって、メインの加工ヘッドM1がパンチ加工ヘッドであり、サブ加工ヘッドM2,M3として、それぞれレーザ加工ヘッド、およびタップ加工ヘッドが設けられている。これら複数の加工ヘッドM1,M2,M3は、互いに左右方向(X軸方向)離れて配置されている。なお、サブ加工ヘッドM2は、レーザ加工ヘッドの代わりに、例えば、部品板材最終切り離し用の、単独の金型を有するパンチ加工ヘッドを設けても良い。これら複数の加工ヘッドM1,M2,M3は、互いに前後方向(Y軸方向)にも離れていても良い。フレーム45には、複数のパンチ工具(図示せず)を搭載した水平旋回可能なタレット44が設けられ、上記メイン加工ヘッドM1は、加工ヘッド中心となる所定の加工位置O1 に位置したパンチ工具を昇降させるラムからなる。サブ加工ヘッドM2,M3は、加工ヘッド中心となる加工位置O2,O3で加工を行う。
【0026】
板材送り機構33は、フレーム45の下フレーム部45a上を前後(Y方向)に移動自在なキャリッジ34に、クロススライド35を左右(X方向)移動自在に搭載し、クロススライド35に複数のワークホルダ36を左右に並べて取付けてなる。キャリッジ34およびクロススライド35は、それぞれ各軸のサーボモータ37,38(図1)により、ボールねじ等の送りねじ機構を介して進退させられる。ワークホルダ36は、板材Wの縁部を上下に挟む上下一対の顎部を有していて、エアシリンダ(図示せず)等の駆動源により開閉駆動される。板材押さえ機構42は、レポジションパッド等と呼ばれる押さえ部材41を、エアシリンダ等の昇降駆動源43で昇降させるものであり、フレーム45の上フレーム部45bに設置されている。
【0027】
図1において、この板材レポジション位置決定装置1は、加工プログラム15を作成する自動プログラミング装置20の一部として設けられる。加工プログラム15は、板材加工機30を数値制御する数値制御装置(図示せず)に実行させるプログラムである。加工プログラム15は、板材加工機30の板材送り機構33の各軸の送り命令や、加工ヘッドM(M1,M2,M3)に加工動作を行わせる命令(例えば、ラムからなる加工ヘッドM1を下降させるパンチ動作命令)などを、NCコード等によって実行順に記載したプログラムである。この加工プログラム15の命令の一つとして、レポジション命令Rが設けられる。
【0028】
レポジション命令Rは、次の一連の命令、すなわち板材送り機構33により板材Wを押さえ部材41により押える位置へ移動させる移動命令Ra、板材押さえ機構42に押さえ動作を行わせる押さえ命令Rb、ワークホルダ36を開いて把持を解除させる命令(図示せず)、ワークホルダ36を板材Wの次の把持位置に移動させる移動命令Rc、その移動後にワークホルダ36を再度把持させる命令(図示せず)により構成される。
板材レポジション位置決定装置1は、上記のワークホルダ36の把持解除後に、ワークホルダ36を板材Wの次の把持位置に移動させる送り命令Rcにおける移動先を決定する装置である。
【0029】
自動プログラミング装置20は、コンピュータとこれに実行させるプログラム(図示せず)とでなり、これらによって、板取り手段16と実行NCデータ化手段19とが構成されている。板取り手段16は、素材板材Wの形状を示す素材形状データF1と、素材板材Wから切り取る複数の部品板材Wm(図8参照)の形状を示す部品形状データF2とから、素材板材Wに対する各部品板材Mの配置を、設定規則によって定める処理であるネテスィクを行う手段である。部品形状データF2は、外周形状を示す図形データと、部品板材Wmの内部の穴の形状を示す図形データとが含まれる。実行NCデータ化手段19は、素材板材Wに対して部品板材Wmの配置が定められたデータから、実行可能な形式の加工プログラム15を生成する手段である。板材加工機30がパンチプレスまたはパンチ加工ヘッドを含む複合加工機である場合は、その板材加工機30が保有する各パンチ工具の識別情報(工具番号等)および工具の形状を記憶した工具情報記憶手段17と、部品板材Mの外周や内部の穴の加工に、工具情報記憶手段17に記憶されたパンチ工具のうちのどのパンチ工具を用いるかを設定規則またはオペレータの指定によって定める工具割り付け手段18とを有するものとされる。板取り手段16は、工具割り付け手段18による工具割り付けの前後のいずれに行うものとしても良い。板材加工機30がパンチ加工ヘッドを含まない場合は、工具情報記憶手段17および工具割り付け手段18は設けない。
【0030】
板材レポジション位置決定装置1は、上記自動プログラミング装置20の実行NCデータ化手段19の一部として設けられ、自動プログラミング装置20を構成するコンピュータのハードウェアおよびそのオペレーションシステム(図示せず)と、このコンピュータで実行可能な板材レポジション位置決定プログラムとで構成される。板材レポジション位置決定プログラムは、後に図2〜図4に流れ図で示すプログラムである。
【0031】
板材レポジション位置決定装置1は、上記のコンピュータと板材レポジション位置決定プログラムとにより、図1(B)に示す各機能達成手段が構成されたものである。この板材レポジション位置決定装置1は、データ入力手段2と、レポジション位置決定手段4とを備える。データ入力手段2は、図2の板材押さえ位置決定プログラムを示す流れ図のうち、データ入力手順S1を実行する手段であり、レポジション位置決定手段4は図2の押さえ位置決定手順S2を実行する手段である。
【0032】
データ入力手段2は、板材Wを各加工ヘッドM1,M2,M3によりどのように加工するかを定めた形状等の情報である加工情報を、自動プログラミング装置20の板取り手段16や実行NCデータ化手段19から得て、加工情報記憶手段3の加工情報記憶部3aに記憶させる手段である。
【0033】
加工情報における部品板材Wmの形状を示す情報は、必ずしも形状を直接に示す情報でなくてもよく、例えば、使用工具の識別情報と、その工具を使用する座標位置の情報であっても良い。その場合、データ入力手段2は、使用工具の識別情報を工具情報記憶手段17と照合して使用工具の形状を得て、その使用工具の形状と使用する座標位置とから加工済み形状の図形を作成し、加工情報記憶部3aに記憶させるものとしても良い。
【0034】
データ入力手段2は、加工情報の他に、加工機情報と任意設定条件とを、キーボードやその他の手操作の入力機器(図示せず)や、データ通信手段(図示せず)から得て、加工情報記憶手段3の加工機情報記憶部3bおよび任意設定情報記憶部3cにそれぞれ記憶させる。
上記「加工機情報」は、板材加工機30の構成や機能に関する情報であり、例えば、各加工ヘッドM1,M2,M3の位置や種類、複数のワークホルダ36の配置間隔、大きさの情報、板材送り機構33の前後左右のストローク範囲の情報、各押さえ部材41の加工位置Oに対する位置の情報等である。これらの「加工機情報」は、レポジション位置決定手段4における処理で、変数に代入する実際の数値として用いられる。なお、これらの「加工機情報」は、必ずしてもデータ入力手段2から入力して加工機情報記憶部3bに記憶させなくても良く、例えば、レポジション位置決定手段4に定数として設定しておいても良い。
上記「任意設定条件」は、レポジション位置決定手段4で設定条件等として用いる値のうち、オペレータが任意に入力できる値や任意に選択できる値などである。データ入力手段2による「任意設定条件」の入力は、例えば、データ入力手段2によって、液晶ディスプレイ等の表示装置(図示せず)の画面に入力を案内する記載と、入力された値を示す画面とを出力し、キーボードやマウス等の入力機器から入力させる。
【0035】
レポジション位置決定手段4は、候補位置指定部5、必要条件判定部6、評価部7、およびレポジション位置決定部8を有する。上記候補位置指定部5は、グループ化部9、グループ内加工領域計算部10、共通加工領域計算部11、単独回の候補位置指定部12、加工終了条件判定部13、および残存情報更新部14を有する。各部4〜16の詳細は、後に図2〜4の流れ図、および図5〜図18の説明図と共に説明するが、まず、その基本となる機能を説明する。
【0036】
候補位置指定部5は、設定規則(例えば上記各部9〜14に定められた規則)R1に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する手段である。この各回の指定において、加工完了までに複数回のレポジションが必要な場合は、その各回のレポジション位置を示す情報を、一纏まりの候補位置して指定する。このような一纏まりの候補位置の指定を、複数回順次行う。候補位置指定部5は、図3のステップQ2の手順を実行する手段であり、詳しくは図4に流れ図で示す手順を実行する手段である。
【0037】
必要条件判定部6は、候補位置指定部5により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する手段であり、図3のステップQ3の手順を実行する手段である。設定必要条件は、適宜定めれば良いが、例えば候補位置がレポジション動作の実行可能な位置であるか等を判定する条件とする。
【0038】
評価部7は、必要条件判定部6で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則R2に従って評価値として評価する手段であり、図3の流れ図におけるステップQ4およびQ5の手順を実行する手段である。設定規則R2は、任意に定めれば良いが、例えば、前記評価値の計算に、全加工部位の加工の終了までに必要なレポジション回数を用い、レポジション回数が少ないほど高い評価値とする。また、例えば、前記評価値の計算に、全加工部位の加工の終了までに必要なレポジション回数とレポジション動作の距離とを用い、レポジション回数が少ないほど高い評価値とし、レポジション回数が同じの場合はレポジション動作の距離が短いほど高い評価値としても良い。この場合のレポジション動作の距離は、複数回のレポジションを行う場合、これら複数回の中で最も長いレポジション動作の距離を評価対象としても、各回のレポジション時の距離の合計を評価対象としても良い。前記設定規則R2による評価値の計算には、レポジション回数,レポジション動作の距離の他に、適宜の項目を用いて行うようにしても良い。
【0039】
評価部7による評価は、最良評価値記憶部(図示せず)に記憶された評価値と比較する処理とされる。すなわち、候補位置指定部5で指定される最初の候補位置については、比較対象がないため、比較は行われず、その候補位置の評価値が最良評価値記憶部(図示せず)の初期設定値となるが、以後の候補位置については、最良評価値記憶部(図示せず)に記憶された評価値と比較し(Q4)、新たな候補位置の方が評価値が高い場合は、その候補位置をレポジション位置の暫定解として残し、その候補位置の評価値で最良評価値記憶部に記憶される評価値を更新する(Q5)。
【0040】
レポジション位置決定部8は、探索終了条件に達するまで前記候補位置指定部5による候補位置の指定、および前記評価部7による評価を行わせ、前記評価部7で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する手段である。レポジション位置決定部8は、図3のステップQ6〜Q8の手順を実行する手段となる。探索終了条件は、例えば設定探索回数や設定探索演算時間等とされる。レポジション位置決定部8は、終了条件判定部8aおよび決定,出力部8bを有する。終了条件判定部8aは上記探索終了条件に達したか否かを判定し、決定,出力部16は、探索終了条件に達したときに、評価部7で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する。探索終了条件に達しないときは、選択基準を更新し(ステップQ7)、候補位置指定部5による候補位置の指定の手順(Q2)に戻る。選択基準の更新の手順(ステップQ7)では、候補位置指定部5で指定を行うについての基準、例えば、残りの全ての加工部位を含む加工領域と加工ヘッドMの加工可能領域とを対比してレポジション位置を定めるにつき、加工領域の右端を基準とするか、左端を基準とするか等の基準や、レポジション距離の基準等である。
【0041】
図2,図3と共に、レポジション位置決定プログラムの概要を説明する。このレポジション位置決定プログラムは、データ入力手順S1と、レポジション位置決定手順S2とで構成され、レポジション位置決定手順S2は、図3に流れ図で示す各手順で構成される。 データ入力手順S1は、図1のデータ入力手段2につき前述した入力処理、つまり加工情報を自動プログラミング装置20の板取り手段16や実行NCデータ化手段19等から得て、所定の記憶エリアとなる加工情報記憶部3aに記憶させる手順である。データ入力手順S1における加工情報の入力は、オペレータに任意の記憶手段から情報を得て入力させる手順としても良い。データ入力手順S1では、この他に、加工機情報記憶部3bへの前述の加工機情報、および任意設定条件記憶部3cへの「任意設定条件」の入力の処理を行う。「任意設定条件」は、候補位置指定部5の設定条件R1や、評価部7の設定規則R2等で、オペレータの入力に委ねられた条件等である。
【0042】
レポジション位置決定手順S2を、図3と共に説明する。
レポジション位置決定手順S2は、
初期選択基準設定の手順Q1と、
設定規則に従ってレポジション位置の複数の候補位置を順次指定する候補位置指定手順Q2と、
この候補位置指定手順Q2により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定手順Q3と、
この必要条件判定手順Q3で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価手順Q3,Q4と、
探索終了条件に達するまで前記候補位置指定手順Q2による候補位置の指定および前記評価手順Q4,Q5による評価を行わせ、前記評価手順Q4,Q5で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する決定,出力手順Q6,Q7,Q8とを有する。
初期選択基準設定の手順Q1では、候補位置指定部5で指定を行うについての条件、例えば、上記のように、加工領域の右端を基準とするか左端を基準とするか等の基準や、レポジション動作による移動距離等の条件を定める。選択基準の更新の手順Q7では、その初期選択基準設定の手順Q1で設定した条件の更新、例えば右端基準から左端基準への基準更新等を行う。
【0043】
図3の候補位置指定手順Q2は、この実施形態では、詳しくは、図4に流れ図で行うグループ化を考慮した手順U1〜U7からなる。すなわち、グループ化手順U1、グループ内加工領域計算手順U2、共通加工領域計算手順U3、単独回のレポジション位置の候補位置の指定手順U4、加工終了条件の判定手順U5、グループ情報の更新手順U6、加工終了までの各回のレポジション位置の候補位置の決定の手順U7とでなる。
【0044】
図1の候補位置指定部5を構成する各部9〜14は、それぞれ図4の各手順U1〜U7を実行する手段である。すなわちグループ化部9はグループ化手順U1を実行する手段、グループ内加工領域計算部10はグループ内加工領域計算手順U2、共通加工領域計算部11は共通加工領域計算手順U4、単独回の候補位置指定部12は単独回の候補位置指定手順U4、残存情報更新部14はグループ内情報の更新手順U6をそれぞれ実行する手段である。加工終了判定部13は、加工終了判定手順U5および候補位置の決定手順U7を実行する手段である。
【0045】
図4に示す候補位置指定手順Q2を構成する各手順U1の詳細を、図5〜図18と共に説明する。図5は処理の概略を、図6以降は具体例をそれぞれ示す。なお、図5では、簡明のために、各加工ヘッドM(M1〜M3)による加工部位を簡略化して図示してあり、図6以下の具体例とは図示内容が異なっている。
【0046】
候補位置指定手順Q2(図4)では、互いに位置の異なる複数の加工ヘッドM1,M2…を用いる加工について、一つのメイン加工ヘッドM1に対する処理で適切なレポジション位置の判断が行えるようにするために、次のようにグループ化を行い、各加工ヘッドM1,…の位置のオフセットを用いて処理を行う。
【0047】
まず、グループ化手順U1では、図1の記憶情報記憶部3aに記憶された加工情報を、加工に使用する加工ヘッドM1,M2,…毎にグループ分けする。加工情報には、素材板材Wに対して、複数の加工ヘッドM1,M2…を用いる加工が割り当てられている。例えば、図6に示すように、素材Wから各部品板材Wmの外周Wmaを加工する加工部位の加工と、各部品板材Wmの内部の加工部位の加工とがあって、これら各加工部位に施す加工の形状や加工種類(使用する加工ヘッドM1,M2,…の種類を含む)の情報が含まれていている。同じ加工部位に複数の加工ヘッドにより加工を施す場合、例えばパンチヘッドで孔加工を行った後、その孔にタップ加工を施す場合もある。なお、図6は、素材板材Wの右側端から左側端側へ順次加工するデータであって、各部品板材Wm毎に加工する加工情報である。
【0048】
グループ化手順U1では、このような種々の加工ヘッドMを用いる情報が含まれた加工情報を、加工ヘッドM1〜Mm毎に、m個のグループ(M1〜Mm)に分ける(mは加工ヘッドMの個数であり自然数)。図5(A1)〜(A3)はグループ分けの概要を示す。図示の例は、いずれも、加工ヘッドMとして、パンチ加工ヘッドからなるメイン加工ヘッドM1と、サブ加工ヘッド(レーザ)M2と、サブ加工ヘッド(タップ)M3を用いる場合を示す。
図5(A1)は、メイン加工ヘッドM1を用いるM1グループの加工部位aM1を、斜線を施して示す。図5(A2)は、加工ヘッドM2を用いるM2グループの加工部位aM2を、逆傾斜の斜線を施して示す。図5(A3)は、加工ヘッドM3を用いるM3グループの加工部位aM3を、交差斜線を施して示す。また、同図(A)〜(C)には、各加工ヘッドM1〜M3で加工可能な加工可能領域(EM1〜EM3)を矩形の領域で示してある。
【0049】
グループ内加工領域計算手順U2(図4)では、上記グループ化手順U1でグループ化されたグループM1,M2…毎に,グループM1,M2…内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域(AM1〜AM3)を計算する(図5(C1)〜(C3))。グループ内加工領域(AM1〜AM3)は、例えば矩形の領域とする。
【0050】
共通加工領域計算手順U3では、まず、全てのグループM(M1,M2,…)のグループ内加工領域AM1,AM2…を含む領域である共通加工領域AMC(図5(B1)を計算する。
図5(B1),(B2)の概要を説明すると、図5(B1)に示す「1回目」(レポジション前)の、実線ハッチングを施して示す3つの部品板材と、同図(B2)に示す「2回目」(レポジション1回後)の実線ハッチングで示す2つの部品板材が、それぞれの加工位置で加工する部品板材になる。図5(C1)〜(C3),(D1)〜(D3)までの手順を踏んで、この「1回目」の加工位置および加工する部品板材が決定される。そして、残された部品(「1回目」の位置で加工されなかった部品)の加工について、「1回目」の加工位置を決定したのと同様の手順を踏んで、「2回目」の加工位置および加工する部品が設定される。
【0051】
具体例で説明すると、図6は、素材板材W1に対して全ての加工ヘッドM1〜M3で加工する加工部位a(aM1〜aM3)加工情報の内容を示す。
図7は、メイン加工ヘッドM1で加工する各加工部位aM1の加工形状と、グループ内加工領域AM1と、加工可能領域EM1を太線で示す。
図8は、サブ加工ヘッド(レーザ)M2で加工する各加工部位aM2の加工形状と、グループ内加工領域AM2と、加工可能領域EM2を示す。同図のように、この加工可能領域EM2は、メイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1よりも右側へオフセットしている。
図9は、サブ加工ヘッド(タップ)M3で加工する各加工部位aM3の加工形状と、グループ内加工領域AM3と、加工可能領域EM3を示す。同図のように、この加工可能領域EM3は、メイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1よりも左側へオフセットしている。
【0052】
ここで、共通加工領域計算手順U3(図4)では、メイン加工ヘッドM1の加工領域で(M1グループ基準)で全ての加工位置を決定できるようにするために、メイン加工ヘッドM1での加工可能領域EM1に対して全ての加工可能な領域のオフセット量を考慮して、各グループM1,M2…のオフセット後の加工領域である共通加工領域AMC(図12)を生成する。この共通加工領域AMCの生成手法を説明する。
M2グループでは、加工可能領域EM2がメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1に対して右側にオフセットされていたので、オフセット後のグループ内加工領域AM2′(図10)は、左側へ同じオフセット量だけオフセットした領域となる。よって、ある加工位置で、メイン加工ヘッドM1で加工可能な領域EM1と、オフセット後のグループ内加工領域AM2′とが重なる領域が、サブ加工ヘッドM2で加工可能なエリアとなる。
これと同様に、M3グループでは、加工可能領域EM3がメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1に対して左側にオフセットされていたので、オフセット後のグループ内加工領域AM3′(図11)は、左側へ同じオフセット量だけオフセットした領域となる。
【0053】
M1グループのオフセット後のグループ内加工領域AM1に変化はない。よって、これら3つのグループのオフセット後のグループ内加工領域AM1,AM2′,AM3′を統合した領域が、共通加工領域AMC(図12)となる。すなわち、メイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1と包含関係を調べることで、全ての加工ヘッドM1,M2,…に対して加工の可否が判断できる上記共通加工領域AMCとなる。
【0054】
そのため、次のレポジション位置の候補位置の指定手順U4(図4)では、この共通加工領域AMCに対してレポジション位置の候補位置を指定し、かつ図3の必要条件の充足判定手順Q3、評価手順Q4等の全ての手順においても、加工領域については上記共通加工領域AMCを対象として処理を行う。
【0055】
図12の例では、板材加工機30に素材板材Wを搬入したときの位置であるローディングポジション(図12の位置)で全ての加工を行うことは不可能であり、複数回のレポジションを必要とする。
この例は右搬出であるので、右側から加工することが標準となる。よって、共通加工領域AMCの右辺と、メイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の右辺とが一致するように位置決めする。
【0056】
ついで、この加工位置で加工可能な範囲を選択する(図13)。この例では、部品毎加工であるので、部品板材Wmの単位で加工可能な範囲を選択している。同図に外形線で示す各部品板材Wmを含む範囲が加工可能な範囲として選択される範囲である。
次に、その選択された範囲を上記共通加工領域AMCから除いた範囲を、新たな共通加工領域AMC1として決定する。同図に示す領域BMCは、未加工として残された加工領域である。新たな共通加工領域AMC1は、図13において破線で示された部品板材Wmが残された加工であり、この残された加工に対して上記と同様の処理を行うと、図14に太線で示す領域が新たな共通加工領域AMC1となる。
【0057】
ここで、新たな共通加工領域AMC1とメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1との関係を調べる。右搬出であるため、基本的には最初の加工位置を決定した処理と同様に、共通加工領域AMC1の右辺とメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の右辺とが一致するような位置に位置決めを行う。ただし、この場合、共通加工領域AMC1の左辺とメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の左辺が一致するような位置決めを行った方が、加工位置の移動量が少なくなる。そのため、残り共通加工領域AMC1の左辺とメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の左辺が一致するような位置決めの方が好ましい。
【0058】
そこで、図3のレポジションの候補位置指定手順Q2として、図4の流れ図の手順で各回のレポジション位置の候補位置を定め、図3の評価手順Q4等により最適化の処理を図る。図4の未説明の部分については、後に説明することとし、先に具体例の結果を説明する。
【0059】
図15に示すように、この具体例では、残り共通加工領域AMC1の左辺とメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の左辺が一致するように、レポジションの位置決めをする。そして、この加工位置で加工可能な加工を選択する。同図の例では、ここで終了し、ローディングポジションに戻る。まだ、未加工の加工が残されていれば、再度同様の処理を続ける。
【0060】
すなわち、図4の共通加工領域計算手順U3の後、単独回のレポジションの候補位置の指定手順U4では、適宜定めた規則により、レポジションの候補位置を指定する。上記の適宜定めた規則は、例えば、最初は残りの共通加工領域AMC1の右辺がメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の右辺と一致する位置を、レポジションの候補位置とする規則等である。加工終了の判定手順U5では、上記レポジション位置で、残りの加工のうちの加工可能な加工を選択し、そのレポジション位置で加工不可能な加工が残っていないかを判定する。加工不可能な加工が残っていると、グループ情報の更新の手順U6として、各グループM1,M2…の加工情報を、その残りの加工に更新する。この残りの加工に更新した加工情報に対して、グループ内加工領域計算手順U2、共通加工領域計算手順U3、レポジションの候補位置の指定U4を行い、上記加工終了の判定手順U5を実行する。この加工終了の判定手順U5で加工が終了すると判定されると、加工開始から加工終了までの各回のレポジションの候補位置の決定を行う。
【0061】
このように決定された各回のレポジションの候補位置について、図3の評価手順Q4による評価を行う。
【0062】
図3の選択基準の更新の手順Q7では、例えば、レポジションの候補位置指定手順Q2における、図4の単独回のレポジションの候補位置指定手順U4において、残りの共通加工領域の左辺がメイン加工ヘッドM1の加工可能領域EM1の右辺と一致する位置を、レポジションの候補位置とする等の基準に更新する。
【0063】
このように選択基準を更新した後、図3のレポジションの候補位置の指定手順Q2以降の各手順Q3〜Q8を実行する。これにより、最適のレポジション位置を決定することができる。
【0064】
図16は、最適として定められる加工内容とレポジションの関係例を概念的に示すイメージ図である。レポジションは3回行うようにしている。
図16(A)のローディングポジションおよび同図(B)の1回目のレポジション位置において、範囲Hが未加工の範囲である。同図(B)の1回目のレポジション位置では、矩形で示す領域Eが加工可能領域であり、この加工可能領域Eのうち、範囲G1の加工を行う。同図(C)の2回目のレポジション位置では、範囲G2の加工を行う。図16(C),(D)の範囲Jは加工済の範囲を示す。
【0065】
上記のグループ化を含む例は、加工ヘッドMが3個である場合の具体例を交えて説明したが、一般化し、整理し直して説明する。
素材板材W上に複数の加工が割り付けられているとし、それらは使用する加工ヘッドMによってm個のグループ(Ml〜Mm)に分けられるとする。つまり、あるレポジション位置ではそれぞれのグループの加工可能な範囲に違いがあるということである。Mlグループを基準とし、Mkグループ(k=l〜m)のMlグループに対するオフセット量を(Xk,Yk)とする。また、ここでは各加工ヘッドMで加工可能な領域は同じであるとする。このことは、Mlグループの加工を行う加工ヘッドM1の加工領域が(Hx _min ,Hy _min ,Hx _max ,Hy _max )とすると、Mkグループの加工を行う加工ヘッドMkの加工領域は(Hx _min +Xk ,Hy _min +Yk,Hx _max +Xk ,Hy _max +Yk )で表される。
【0066】
最初に、各グループ内での加工領域(rkx _min ,rky _min ,rkx _max ,rky _max )を計算する。次に、これらの加工領域に対して、Mlグループの加工領域にオフセット量を考慮して投影した共通加工領域(Rx_min ,Ry_min ,Rx_max ,Ry_max )を計算する。つまり、Mkグループの加工領域は、(rkx _min-Xk,rky _min-Yk,rkx _max-Xk,rky _max-Yk)としてMlグループの加工領域に投影される。
【0067】
ここで計算された共通加工領域に対して、ある基準を元にレポジション位置を決定する。この選択基準として、右基準及び左基準がある。右基準の場合には、加工領域の右側と共通加工領域の右側が一致するようにレポジション位置を決定する方式であり、左基準は、加工領域の左側と共通加工領域の左側が一致するようにレポジション位置を決定する方式である。この具体的なイメージは図5に示す。
【0068】
このようにレポジション位置が決定されれば、このレポジション位置で加工可能な加工を決定する。ここでワークに割り付けられたすべての加工が終了すれば、割り付けられた加工を処理するために一連の1つのレポジション結果が得られることとなる。まだ未加工の加工が残っていれば、未加工の加工のみでグループ情報の更新を行う。そして再度グループ内加工領域計算の処理に戻る。
これらの手順をすべての加工が終了するまで繰り返す。
【0069】
この手法を用いて決定されたレポジションは、実際の制約条件(取り出し順,搬出方向,切り離し加工等)によって必ずしも実行可能な結果が得られるわけではない。そのため、この手法を繰り返し行うことで実行可能でありなおかつ最適な結果を得ようとする。その最適化処理手順が、図3と共に前述した手順である。
【0070】
なお、上記実施形態は、加工領域の方向が一定の場合につき説明したが、加工領域の方向、つまり各加工部位の全体の配置レイアウトの方向を、例えば図18(A)から(B)に示すように、180°方向転換してレポジション位置の候補位置の指定、およびレポジション位置の決定を行っても良い。また前記配置レイアウトの方向を、図18(A)から(C)に示すように表裏反転させても良い。
すなわち、図1の候補位置指定部5、必要条件判定部6、および前記評価部7は、レポジション動作後に残る各加工部位の全体の配置レイアウトにつき、データ入力手段2により入力された加工情報における配置レイアウトに対して180°方向転換した場合、および表裏反転した場合と、この方向転換や表裏反転をしない配置レイアウトとの両方を含めて、設定必要条件の充足の判定、および評価をそれぞれ行うものとしても良い。上記180°方向転換の方向転換と表裏反転のいずれかのみを行った場合と、これら方向転換や表裏反転を行わない場合とにつき、設定必要条件の充足の判定、および評価をそれぞれ行うものとしても良い。
【0071】
このような、方向転換や表裏反転を行った方が、レポジション位置の適切な位置を得られる場合がある。
【0072】
また、前記実施形態では、加工プログラム15の作成過程におけるレポジション位置の決定に適用した場合につき説明したが、この板材レポジション位置決定装置1および決定プログラムは、加工プログラム15を数値制御装置で実行する過程で板材押さえ位置を決定する処理に用いても良い。
【符号の説明】
【0073】
1…板材レポジション位置決定装置
2…データ入力手段
3a…加工情報記憶部
4…レポジション位置決定手段
5…候補位置指定部
6…必要条件判定部
7…評価部
8…レポジション位置決定部
8a…終了条件判定部
8b…出力部
9…グループ化部
10…グループ内加工領域計算部
11…共通加工領域計算部
12…単独回の候補位置指定部
13…加工終了条件判定部
14…残存情報更新部
15…加工プログラム
20…自動プログラミング装置
30…板材加工機
31…テーブル
33…板材送り機構
36…ワークホルダ
41…押さえ部材
42…板材押さえ機構
AM1,AM2,AM3…グループ内加工領域
AM2′,AM3′…グループ内加工領域(オフセット後の)
AMC,AMC1…共通加工領域
a,aM1〜aM3…加工部位
E,EM1〜EM3…加工可能領域
M(M1,M2,M3)…加工ヘッド
M1〜M3…グループ
R…レポジション命令
Ra…送り命令
Rb…押さえ命令
Rc…送り命令
R1,R2…設定規則
W…板材
Wm…部品板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の板材に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機に適用される板材レポジション位置決定装置であって、
前記板材加工機は、板材を載せるテーブルと、このテーブル上の板材に加工を行う加工ヘッドと、板材を把持するワークホルダを有し板材を加工ヘッドに対して相対的に前後左右に移動させる板材送り機構と、前記ワークホルダによる板材の把持位置を変更するレポジション動作を行う時に、板材をテーブルに押さえ部材で押し付ける板材押さえ機構とを備え、
この板材レポジション位置決定装置は、
前記板材に施す加工の情報である加工情報を加工情報記憶手段に記憶させるデータ入力手段と、
この加工情報記憶手段に記憶された加工情報に基づき前記レポジション動作を行うときのワークホルダの把持位置の変更先位置であるレポジション位置を決定するレポジション位置決定手段とを備え、
このレポジション位置決定手段は、
設定規則に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定部と、
この候補位置指定部により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定部と、
この必要条件判定部で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価部と、
探索終了条件に達するまで前記候補位置指定部による候補位置の指定および前記評価部による評価を行わせ、前記評価部で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力するレポジション位置決定部とを有する、
板材レポジション位置決定装置。
【請求項2】
前記板材加工機は、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッドを互いに離れて有し、
前記レポジション位置決定手段は、
データ入力手段に入力された加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッドを用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド毎にグループ分けするグループ化部と、
このグループ分けされたグループ毎にグループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算部と、
全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッドのグループ内加工領域に対し、他の加工ヘッドのグループ内加工領域については、メイン加工ヘッドと該当グループの加工ヘッドとの設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算部とを有し、
前記候補位置指定部は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行うものとした請求項1記載の板材レポジション位置決定装置。
【請求項3】
前記候補位置姿勢部、前記必要条件判定部、および前記評価部は、レポジション動作後に残る各加工部位の全体の配置レイアウトにつき、データ入力手段により入力された加工情報における配置レイアウトに対して180°方向転換するかまたは表裏を反転した配置レイアウトの場合と、この方向転換または表裏反転をしない配置レイアウトとの両方を含めて、レポジション位置の候補位置の指定、設定必要条件の充足の判定、および評価をそれぞれ行うものとした請求項1または請求項2記載の板材レポジション位置決定装置。
【請求項4】
前記評価部の前記設定規則は、前記評価値の計算に、全加工部位の加工の終了までに必要なレポジション回数を用い、レポジション回数が少ないほど高い評価値とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の板材レポジション位置決定装置。
【請求項5】
前記レポジション位置決定部で決定して出力されるレポジション位置は、前記板材加工機を数値制御する加工プログラムの自動プログラミング装置において、前記加工プログラムにおける板材押さえ機構による押さえ動作の命令、およびワークホルダの把持解除の命令の後に、板材送り機構に位置決め動作を行わせる送り命令の指令位置とされる位置である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の板材押さえ位置決定装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行可能であり、平板状の板材に対して局部的な加工部位の加工を複数箇所に施す板材加工機の制御において、板材加工機のワークホルダによる板材の把持位置を変更する動作であるレポジション動作におけるワークホルダの把持位置の変更先位置となるレポジション位置を決定する板材レポジション位置決定プログラムであって、
前記板材に施す加工の情報である加工情報を所定の記憶エリアに記憶させるデータ入力手順と、
この記憶された加工情報に基づき、前記レポジション位置を決定するレポジション位置位置決定手順とを含み、
このレポジション位置決定手順は、
設定規則に従ってレポジション位置とする複数の候補位置を順次指定する候補位置指定手順と、
この候補位置指定手順により指定された候補位置が設定必要条件を充足するか否かを判定する必要条件判定手順と、
この必要条件判定手順で必要条件を充足すると判定された候補位置につき、設定規則に従って評価値として評価する評価手順と、
探索終了条件に達するまで前記候補位置指定手順による候補位置の指定および前記評価手順による評価を行わせ、前記評価手順で評価された最も評価値の高い候補位置を押さえ位置として決定し出力する決定,出力手順とを含む、
板材レポジション位置決定プログラム。
【請求項7】
前記板材加工機は、互いに異なる加工を行う複数の加工ヘッドを互いに離れて有し、
前記レポジション位置決定手順は、
データ入力手段に入力される加工情報における個々の加工の情報として、異なる加工ヘッドを用いる加工の情報が混在する場合に、前記加工情報における個々の加工の情報を、加工に使用する加工ヘッド毎にグループ分けするグループ化手順と、
このグループ化手順でグループ化されたグループ毎にグループ内の全ての加工を行う領域であるグループ内加工領域を計算するグループ内加工領域計算手順と、
全てのグループのグループ内加工領域を含む領域である共通加工領域を計算し、この共通加工領域は、基準として定める一つのメイン加工ヘッドのグループ内加工領域に対し、他の加工ヘッドのグループ内加工領域については、メイン加工ヘッドと該当グループの加工ヘッドとの設置位置のオフセット量だけオフセット方向と逆方向にずらせた領域とする共通加工領域計算手順とを有し、
前記候補位置指定手順は、前記共通加工領域に対して前記候補位置の指定を行うものとした請求項6記載の板材レポジション位置決定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−158697(P2010−158697A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2151(P2009−2151)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(592167411)香川県 (40)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】