説明

板状ケーブル用コネクタ

【課題】FPC等の板状ケーブルを容易且つ確実に接続でき、しかも低背化が可能な板状ケーブル用コネクタの提供。
【解決手段】ケーブル端子部6が嵌め込まれる凹溝状のケーブル嵌合部2を上面側に配したハウジング3と、弾性接触部4を各々有する複数のコンタクト5,5...とを備え、ハウジング3は、ケーブル嵌合部2両内側面上縁部よりコネクタ幅方向内向きに張り出した浮き上がり防止片36,36と被係合部7のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部31,31と、浮き上がり防止片36,36のコネクタ奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材20,20とを備え、弾性抜け止め部材20は、ケーブル嵌合部2内に出入り可能に突出し、被係合部7のコネクタ奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片23を有し、弾性係止片23は、底板側に押圧されることによりケーブル嵌合部2より退避する方向に移動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)等の板状ケーブルを接続基板に接続するための板状ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の板状ケーブル用コネクタには、上面側に凹溝状のケーブル嵌合部を有するハウジングと、ハウジングの底面部よりケーブル嵌合部内に弾性的に突出させた弾性接触部を有する複数のコンタクトとを備え、板状ケーブル端部に配置されたケーブル端子部を上面側よりケーブル嵌合部に嵌め込み、ケーブル端子部の下面側に露出させた各信号配線用端子を弾性接触部と弾性接触させることにより、板状ケーブルと接続基板とを電気的に接続させるようにした所謂トップエントリー型のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなケーブル用コネクタでは、ケーブル嵌合部の両内側上縁部よりコネクタ幅方向内側に向けて突出させた係合部材が備えられ、この係合部材が板状ケーブルの上面部と互いに係合することにより板状ケーブルの浮き上がりを防止している。
【0004】
この係合部材は、先端側をコネクタ幅方向内側下向きに折り曲げた形状に形成され、板状ケーブルを上面側より嵌め込んだ際に板状ケーブルの下面に押圧されてケーブル嵌合部内より退避する方向に弾性変形し、板状ケーブルが収容部内に嵌め込まれた後、弾性復帰して板状ケーブルの上面部に係合するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−97077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、板状ケーブルを上面側より嵌め込んだ際にケーブル嵌合部内より退避する方向に弾性変形し、然る後弾性復帰してケーブル上面部に係合する構造を有する係合部材をケーブル嵌合部の内側上面部に配置するためコネクタ厚さ方向の嵩が増し、そのためにコネクタ全体の低背化が困難であるという問題があった。
【0007】
また、コネクタ奥行き方向において板状ケーブルをコンタクトの接触圧により保持しているため、振動や落下により抜けてしまうおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、FPC等の板状ケーブルを容易且つ確実に接続でき、しかも低背化が可能な板状ケーブル用コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、平板状の板状ケーブルに形成されたケーブル端子部が嵌め込まれる凹溝状のケーブル嵌合部を上面側に配したハウジングと、前記ケーブル嵌合部内に底面側より突出させた弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、前記ケーブル嵌合部に前記ケーブル端子部を嵌め込むことにより、前記弾性接触部と前記ケーブル端子部の片面側に露出させた信号配線用端子とを互いに弾性接触させるようにした板状ケーブル用コネクタであって、前記ハウジングは、前記ケーブル嵌合部両内側面上縁部よりコネクタ幅方向内向きに張り出して前記ケーブル端子部の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置され、前記ケーブル端子部側部に形成された被係合部のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、該弾性抜け止め部材は、前記ケーブル嵌合部内に出入り可能に突出し、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記ケーブル嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことを特徴としてなる板状ケーブル用コネクタ。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をコネクタ幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成されたことにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えたことにある。
【0012】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3の構成に加え、前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備え、該弾性押上片は、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置されたことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る板状ケーブル用コネクタは、上述したように、平板状の板状ケーブルに形成されたケーブル端子部が嵌め込まれる凹溝状のケーブル嵌合部を上面側に配したハウジングと、前記ケーブル嵌合部内に底面側より突出させた弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、前記ケーブル嵌合部に前記ケーブル端子部を嵌め込むことにより、前記弾性接触部と前記ケーブル端子部の片面側に露出させた信号配線用端子とを互いに弾性接触させるようにした板状ケーブル用コネクタであって、前記ハウジングは、前記ケーブル嵌合部両内側面上縁部よりコネクタ幅方向内向きに張り出して前記ケーブル端子部の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置され、前記ケーブル端子部側部に形成された被係合部のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、該弾性抜け止め部材は、前記ケーブル嵌合部内に出入り可能に突出し、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記ケーブル嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことにより、FPC等の板状ケーブルを容易且つ確実に基板に接続させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をコネクタ幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成されたことにより、板状ケーブルを上面側より押し込んだ際に、該板状ケーブルをコネクタ幅方向の正しい位置に誘導し、容易に接続できる。
【0015】
さらに本発明において、前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えたことにより、弾性係止片の変形が防止され、確実な嵌合状態を維持することができる。
【0016】
更にまた、本発明において、前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備え、該弾性押上片は、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置されたことにより、板状ケーブルを弾性抜け止め部材を介して容易且つ確実に接続基板に形成されたグランドパターン等に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る板状ケーブル用コネクタの一例を示す斜視図である。
【図2】同上の板状ケーブルの取付け方向を違えた例を示す斜視図である。
【図3】図1中の板状ケーブルの一例を示す底面図である。
【図4】(a)は図1中のハウジング部を示す上側から見た斜視図、(b)は同底面側から見た斜視図である。
【図5】(a)は図4中の弾性抜け止め部材の一例を示す平面図、(b)は同正面図、(c)は同底面図である。
【図6】(a)は図4中のホールドダウン部材を示す斜視図、(b)は同底面側から見た斜視図である。
【図7】(a)〜(c)はハウジングに板状ケーブルを装着する手順を説明するための斜視図である。
【図8】本発明に係る板状ケーブル用コネクタの他の一例を示す斜視図である。
【図9】図8中の板状ケーブルを示す底面図である。
【図10】図8中のハウジングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る板状ケーブル用コネクタの実施の態様を図1〜図7に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は板状ケーブル用コネクタ、Bは接続基板、CはFPC等の板状ケーブルである。
【0019】
この板状ケーブル用コネクタ1は、図1、図2に示すように、上面側に凹溝状のケーブル嵌合部2を有するハウジング3と、ハウジング3の底面部よりケーブル嵌合部2内に弾性的に突出させた弾性接触部4を各々有する複数のコンタクト5、5...とを備え、板状ケーブルCの端部に形成されたケーブル端子部6をケーブル嵌合部2に嵌め込み、ケーブル端子部6の片面側に露出させた各信号配線用端子S,S...を各弾性接触部4,4...と弾性接触させることにより、板状ケーブルCと接続基板Bとを電気的に接続させるようになっている。
【0020】
板状ケーブルCは、図3に示すように、可撓性を有する素材をもって細長板状に形成され、その一方の端部には、片面側に複数の信号配線端子S,S...をケーブル幅方向に間隔を置いた配置に露出させたケーブル端子部6が形成されている。
【0021】
ケーブル端子部6は、両側部に外向きに突出した被係合部7,7を備え、板状ケーブルCの端部がケーブル幅方向に幅広に形成されている。
【0022】
このケーブル端子部6の配線端子S,S...とは反対側面には、薄板状の補強板8が貼り合わされ、この補強板8は、導電性金属材をもって構成され、外来ノイズに対するシールド効果を発揮するようになっている。
【0023】
ハウジング3は、図4に示すように、絶縁樹脂製のモールド部材10と、導電性金属材からなるホールドダウン部材11とをもって一体的に形成され、上面側にコネクタ奥行き方向に貫通した凹溝状のケーブル嵌合部2を有し、このケーブル嵌合部2にケーブル端子部6が嵌め込まれ、且つコネクタ奥行き方向の何れ側にも板状ケーブルCが延出できるようになっている。
【0024】
モールド部材10は、板状の底板部12と、底板部12のコネクタ幅方向両側縁より上向きに立ち上げた形状の側壁部13,13とを備え、両側壁部13,13間にケーブル嵌合部2が形成されている。
【0025】
底板部12は、コネクタ幅方向に長い矩形状に形成され、その中央部に厚み方向に貫通した中央開口部14が形成されている。
【0026】
また、底板部12には、中央開口部14のコネクタ奥行き方向手前側部にインサート成形により各コンタクト5,5...の一部が埋設され、弾性接触部4側をコネクタ奥行き方向奥側に向けて各コンタクト5,5...がコネクタ幅方向に間隔を置いた平行配置に組み込まれている。
【0027】
各コンタクト5,5...は、導電性金属材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより形成され、細長板状の基部15と、基部15の一方の端部より上向きに傾けて折り曲げた形状の弾性接触部4と、基部15の他方の端部より下向きに傾斜した連結部16と、連結部16より水平方向に向けて折り曲げた形状の基板接続部17とを備えている。
【0028】
コンタクト5は、基部15の一部及び連結部16がモールド部材10に埋設され、弾性接触部4が基部15に支持されて上下方向に弾性変形できるようになっている。尚、各弾性接触部4,4...は、下側に中央開口部14が配置されており、弾性変形時に底板部12と干渉しないようになっている。
【0029】
一方、基板接続部17は、連結部16の一端よりコネクタ奥行き方向手前側に向けて延出され、ハウジング3底面に露出し、接続基板Bに形成された端子パターンP,P...に半田付けされるようになっている。
【0030】
また、モールド部材10の底板部12には、コネクタ奥行き方向手前側両側部に切欠き部18,18が形成され、この切欠き部18に弾性抜け止め部材20がインサート成型により一体的に組み込まれている。
【0031】
弾性抜け止め部材20は、図5に示すように、導電性金属板材を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体に形成され、平板状の固定板部21と、固定板部21の側縁より垂直上向きに折り曲げた形状の支持部22と、支持部22の上縁に支持された弾性係止片23とを備えている。
【0032】
固定板部21は、矩形状の本体21aと、本体21aの一方の隅部に配置された固定用突片21bとをもって形成され、本体21a及び固定用突片21bには、モールド部材10側の縁部に沿って底面側に段差部24,24...が形成されている。
【0033】
このように本体21a及び固定用突片21bに各々段差部24を設けたことにより、インサート成型時に絶縁性樹脂が段差部24,24に入り込み、それにより弾性抜け止め部材20が固定板部21をハウジング3底面に露出させた状態でモールド部材10に固定できるようになっている。
【0034】
また、固定板部本体21aには、支持部22と直交する配置に変形防止ガイド片部25が形成されている。
【0035】
この変形防止ガイド片部25は、固定板部本体21a縁部より上向きに折り曲げた形状に形成され、弾性係止片23のコネクタ奥行き方向手前側且つ弾性係止片23の側縁と互いに対向する配置に形成され、弾性係止片23の変形を防止するようになっている。
【0036】
一方、支持部22は、モールド部材10に組み込まれた際にハウジング3側面に露出する位置になるように形成されている。
【0037】
また、弾性係止片23は、支持部22の上縁よりコネクタ幅方向内側下方に向けて傾斜した形状のガイド片部26と、ガイド片部26のコネクタ幅方向内側に配置された係止部27とを備え、支持部22側端部を基軸に上下方向で弾性変形できるようになっている。
【0038】
ガイド片部26は、先端がコネクタ幅方向でケーブル嵌合部2の内側面と略同じ位置且つ内底面と略同じ高さとなるように形成され、板状ケーブルCを装着する際の位置決め用ガイドとして機能するようになっている。
【0039】
係止部27は、ガイド片先端部より上方に膨出した円弧状に折り曲げた形状に形成され、ケーブル嵌合部2側部のコネクタ奥行き方向手前側部に出入り可能に突出し、この係止部27を上方より押圧することにより弾性係止片23が弾性変形してケーブル嵌合部2内より退避する方向に移動し、押圧力が解除されると弾性復帰してケーブル嵌合部2内に突出するようになっている。
【0040】
ホールドダウン部材11は、図6に示すように、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、コネクタ幅方向に長い細長板状のフレーム部30と、フレーム部30の両側部より上向きに折り曲げた形状の当て止め部片31,31と、当て止め部片31より水平方向外向きに折り曲げた配置の上板片32と、上板片32の側縁より下向きに折り曲げた形状の側板片33と、側板片33の下縁より内向きに折り曲げた形状の基板接続片34とを備えている。
【0041】
また、ホールドダウン部材11には、上板片32、側板片33及び基板接続片34をもって断面コ字状の固定部35が形成され、この固定部35が側壁部13の外側面部に嵌め込まれ、モールド部材10とホールドダウン部材11とを一体化させるようになっている。
【0042】
フレーム部30は、コネクタ奥行き方向奥側縁部にモールド部材10の底面部縁部と互いに係合される凹部30aが形成され、この凹部30aがモールド部材10の底面縁部12aと係合することによりモールド部材10に対するホールドダウン部材11のコネクタ奥行き方向の移動が規制されるようになっている。
【0043】
当て止め部片31は、ホールドダウン部材11とモールド部材10とを組み込むことによりケーブル嵌合部2の内側部且つコネクタ奥行き方向奥側に配置されて当て止め部を構成し、板状ケーブルCをケーブル嵌合部2に嵌め込んだ際に、この当て止め部31,31に被係合部7のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止めされるようになっている。
【0044】
上板片32は、コネクタ幅方向の幅が側壁部13の壁厚より長く、且つ当て止め部片31よりコネクタ奥行き方向手前側に向けて延長された矩形状に形成され、ホールドダウン部材11とモールド部材10とを一体化させることにより内側縁部が側壁部13の上縁より内側に張り出し、ケーブル嵌合部2のコネクタ奥行き方向奥側にケーブル嵌合部2内側面上縁部よりコネクタ幅方向内向きに張り出した薄板状の浮き上がり防止片36として機能するようになっている。
【0045】
基板接続片34は、ハウジング3底面に露出し、接続基板Bに形成された固定用パターンに半田付けにより固定され、それによりハウジング3全体が接続基板Bに接続されるようになっている。
【0046】
このように構成された板状ケーブル用コネクタ1は、図7(a)〜(b)に示すように、ケーブル端子部6をケーブル嵌合部2の奥行方向手前側でハウジング3上面側より底板側に向けて押し込み、更に、図7(b)〜(c)に示すように、その状態でコネクタ奥行き方向奥側に向けてケーブル端子部6をスライド移動させることにより板状ケーブルCをケーブル嵌合部2に嵌め込み、各コンタクト5,5...の弾性接触部4と板状ケーブルCの信号配線用端子S,S...とを弾性的に接触させるようになっている。
【0047】
このケーブル端子部6をハウジング3上面側より底板側に向けて押し込む際には、ガイド片部26,26が互いにコネクタ幅方向内側に向けて傾斜しているのでケーブル端子部6のコネクタ幅方向位置がケーブル嵌合部2の位置から逸脱していてもガイド片部26,26によってハウジング中央側に誘導されるようになっている。
【0048】
また、弾性係止片23は、板状ケーブルCの被係合部7,7下面により底板側に押圧されてケーブル嵌合部2より退避する方向に弾性変形し、ケーブル端子部6をケーブル嵌合部2に向けて水平スライド移動させる際にその移動を阻害しないようになっている。
【0049】
一方、ケーブル端子部6をスライド移動させると被係合部7が浮き上がり防止片36,36下に挿入されるとともに、被係合部7のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止め部31,31に当て止めされてケーブル端子部6がケーブル嵌合部2内に嵌り込み、ケーブル端子部6の移動に伴い被係合部7の位置が弾性係止片23上より移動すると、弾性係止片23,23が押圧された状態から解除されて弾性復帰し、被係合部7のコネクタ奥行き方向手前側に向けた移動を規制するようになっている。
【0050】
このように板状ケーブル用コネクタ1では、容易に板状ケーブルCをケーブル嵌合部2内に嵌め込むことができ、また、浮き上がり防止片36,36により板状ケーブルCの浮き上がり方向の移動が規制されるとともに、被係合部7が当て止め部31と弾性係止片23との間に挟持されてコネクタ奥行き方向の移動が規制されるので、確実に装着がなされ、振動や落下により板状ケーブルCがハウジング3より離脱することを防止することができる。
【0051】
また、ケーブル端子部6が弾性接触部4,4...により上向きに押圧され、補強板8が浮き上がり防止片36,36に圧接されているので、補強板8がホールドダウン部材11を介してグランド接続されシールド材として機能するようになっている。
【0052】
尚、本発明に係る板状ケーブル用コネクタは、上述の実施例で説明した弾性抜け止め部材20に換えて図8〜図10に示すように弾性抜け止め部材40,40を使用したものであってもよい。尚、図中符号41は弾性抜け止め部材40を使用した板状ケーブル用コネクタ、符号C2はFPC等の板状ケーブルであり、また、上述の実施例と同様の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
板状ケーブルC2は、図9に示すように、ケーブル端子部6の両端にグランド配線用端子G,Gを備え、両グランド配線用端子G,G間に複数の信号配線用端子S,S...が配置されている。
【0054】
一方、弾性抜け止め部材40は、導電性金属板材を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体に形成され、上述の実施例と同様に、平板状の固定板部21と、固定板部21の側縁より垂直上向きに折り曲げた形状の支持部22とを備えている。
【0055】
尚、固定板部21は、接続基板Bに形成されたグランドパターンGPに半田付けされるようになっている。
【0056】
また、この弾性抜け止め部材40は、支持部22の上縁部に支持された互いに平行な二股状に形成され弾性係止片42と弾性押上片43とを備え、弾性押上片43は、弾性係止片42のコネクタ奥行き方向奥側に配置されている。
【0057】
また、弾性係止片42及び弾性押上片43は、同形状に形成され、支持部22の上縁よりコネクタ幅方向内側下方に向けて傾斜した形状のガイド片部42a,43aを備えるとともに、ガイド片部42a,43aのコネクタ幅方向内側にそれぞれ係止部42b、接触部43bを備え、支持部22側端部を基軸に上下方向で弾性変形できるようになっている。
【0058】
両ガイド片部42a,43aは、先端がコネクタ幅方向でケーブル嵌合部2の内側面と略同じ位置且つ内底面と略同じ高さとなるように形成され、板状ケーブルC2を装着する際の位置決め用ガイドとして機能するようになっている。
【0059】
係止部42b及び接触部43bは、ガイド片先端部より上方に膨出した円弧状に折り曲げた形状に形成され、ケーブル嵌合部2側部のコネクタ奥行き方向手前側部に出入り可能に突出し、この係止部42b及び接触部43bを上方より押圧することにより弾性係止片42及び弾性押上片43が弾性変形してケーブル嵌合部2内より退避する方向に移動し、押圧力が解除されると弾性復帰してケーブル嵌合部2内に突出するようになっている。
【0060】
このように構成された板状ケーブル用コネクタ41は、板状ケーブルC2をケーブル嵌合部2に嵌め込む際に、弾性係止片42及び弾性押上片43が板状ケーブルC2の被係合部7,7下面により底板側に押圧されてケーブル嵌合部2より退避する方向に弾性変形し、ケーブル端子部6をケーブル嵌合部2に向けて水平スライド移動させる際にその移動を阻害しないようになっている。
【0061】
一方、ケーブル端子部6をスライド移動させると被係合部7が浮き上がり防止片36,36下に挿入されるとともに、被係合部7,7のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止め部31,31に当て止めされてケーブル端子部6がケーブル嵌合部2内に嵌り込み、ケーブル端子部6の移動に伴い被係合部7,7の位置が弾性係止片42,42上より移動すると、弾性係止片42,42が押圧された状態から解除されて弾性復帰し、図9に示すように、弾性係止片42,42が被係合部7,7のコネクタ奥行き方向手前側に突出して板状ケーブルC2の移動を規制する一方、弾性押上片43,43が板状ケーブルC2の片面側に露出したグランド配線端子G,Gに弾性接触するようになっている。
【0062】
これにより、板状ケーブルC2の各グランド配線用端子G,Gは、弾性抜け止め部材40,40を介してグランド接続されてシールド効果を発揮し、信号配線S,S...に対する外部ノイズを遮蔽できるようになっている。
【0063】
尚、上述の実施例では、ホールドダウン部材11と弾性抜け止め部材20(40)とをそれぞれ独立した部品とした例について説明したが、ホールドダウン部材と弾性抜け止め部材とを同一の金型を用いて一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
B 接続基板
C,C2 板状ケーブル
S 信号配線用端子
G グランド配線用端子
1 板状ケーブル用コネクタ
2 ケーブル嵌合部
3 ハウジング
4 弾性接触部
5 コンタクト
6 ケーブル端子部
7 被係合部
8 補強板
10 モールド部材
11 ホールドダウン部材
12 底板部
13 側壁部
14 中央開口部
15 基部
16 連結部
17 基板接続部
18 切欠き部
20 弾性抜け止め部材
21 固定板部
22 支持部
23 弾性係止片
24 段差部
25 変形防止ガイド片部
26 ガイド片部
27 係止部
30 フレーム部
31 当て止め部片
32 上板片
33 側板片
34 基板接続片
35 固定部
36 浮き上がり防止片
40 弾性抜け止め部材
41 板状ケーブル用コネクタ
42 弾性係止片
43 弾性押上片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の板状ケーブルに形成されたケーブル端子部が嵌め込まれる凹溝状のケーブル嵌合部を上面側に配したハウジングと、前記ケーブル嵌合部内に底面側より突出させた弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、前記ケーブル嵌合部に前記ケーブル端子部を嵌め込むことにより、前記弾性接触部と前記ケーブル端子部の片面側に露出させた信号配線用端子とを互いに弾性接触させるようにした板状ケーブル用コネクタであって、
前記ハウジングは、前記ケーブル嵌合部両内側面上縁部よりコネクタ幅方向内向きに張り出して前記ケーブル端子部の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置され、前記ケーブル端子部側部に形成された被係合部のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のコネクタ奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、
該弾性抜け止め部材は、前記ケーブル嵌合部内に出入り可能に突出し、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記ケーブル嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことを特徴としてなる板状ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記被係合部のコネクタ奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をコネクタ幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成された請求項1に記載の板状ケーブル用コネクタ。
【請求項3】
前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えた請求項1又は2に記載の板状ケーブル用コネクタ。
【請求項4】
前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備え、該弾性押上片は、前記弾性係止片のコネクタ奥行き方向奥側に配置された請求項1、2又は3に記載の板状ケーブル用コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−101798(P2013−101798A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244145(P2011−244145)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】