板状体
【課題】その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を図ることができる板状体を提供すること。
【解決手段】多数の凸部12をこの凸部12同士の間に平板部13が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部12同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部12は平面視が円形を呈して縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。またこの凸部12のうちの連結されない凸部12Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部12B同士は最も近い部位で残存する平板部13を分断するように各架橋部14を介して連結される。従って、凸部12Aとこの凸部12Aを中心として放射状に配設される各凸部12Bとの間には平板部13が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部12B同士は各架橋部14により平板部13が分断されて連結される。
【解決手段】多数の凸部12をこの凸部12同士の間に平板部13が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部12同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部12は平面視が円形を呈して縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。またこの凸部12のうちの連結されない凸部12Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部12B同士は最も近い部位で残存する平板部13を分断するように各架橋部14を介して連結される。従って、凸部12Aとこの凸部12Aを中心として放射状に配設される各凸部12Bとの間には平板部13が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部12B同士は各架橋部14により平板部13が分断されて連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータや、自動車のホィールエプロン、トウボード、カウルパネルなどや、また自動車以外にも適用できる板状体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヒートインシュレータは、自動車の車両フロア下方の空きスペースに設置されることが多いため、フューエルチューブ等との干渉を避けるためにビードを十分突出させることができない場合やビードを板面全体には形成できない場合があるので、ヒートインシュレータの板厚を厚くすることで剛性を確保するのが一般的である。
【0003】
また、ヒートインシュレータの薄板化・軽量化技術としてエンボス技術が普及してきているが(特許文献1参照)、これはエンボス形状によって剛性の向上が図れ、薄板化による軽量化及び材料原価の低減を実現する技術であるが、エンボス成形した板状体を後工程でプレス成形してヒートインシュレータとして製品形状にすることから、成形余裕度を十分に確保することが重要であり、如何に少ない表面積で剛性を得るかということが設計的な指標となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−180125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、市場からは更なる性能向上を求める声が大きくなっているが、単に剛性だけを向上させても、成形余裕度が無くなってしまえば、製品としての価値が下がってしまうため、成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を実現する新たなエンボス形状が求められている。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を図ることができる板状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように、前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように且つ他の凸部と連結されない凸部の周囲に配列された前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部は少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから成ることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部を少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから構成し、前記平板部を分断するように前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を図ることができる板状体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図2】第1の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】第2の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図5】第2の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図6】図4のB−B断面図である。
【図7】第3の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図8】第3の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図9】図7のC−C断面図である。
【図10】第4の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図11】第4の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図12】図10のD−D断面図である。
【図13】図10のE−E断面図である。
【図14】第5の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図15】第5の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図16】図13のF-F断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の板状体の第1の実施形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。この第1の実施形態は、自動車の車体に取り付けられて、触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータに使用される板状体であり、以下説明する。図1は板状体11の部分斜視図、図2は同じく部分平面図、図3は図1のA−A断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0014】
即ち、多数の凸部12をこの凸部12同士の間に平板部13が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部12同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部12は平面視が円形を呈して縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。またこの凸部12のうちの連結されない凸部12Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部12B同士は最も近い部位で残存する平板部13を分断するように各架橋部14を介して連結される。従って、前記凸部12Aとこの凸部12Aを中心として放射状に配設される各凸部12Bとの間には平板部13が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部12B同士は各架橋部14により平板部13が分断されて連結される。
【0015】
そして、6つの前記凸部12Bは結果として、例えば120度毎に形成される架橋部14を介して隣接する他の凸部12Bと連結されることとなる。従って、図2に示すように、縦方向の凸部2の列は、凸部2Aの次は架橋部4を介して連結された凸部12B、12Bとなり、また凸部12B、12Bの次は凸部12Aとなるように順次配列され、また斜めの配列も同様である。
【0016】
そして、前記架橋部14は前記凸部12Bが突出形成された方向と同じ方向に前記凸部12Bより低く突出して形成され、且つこの架橋部14により連結される凸部12B同士の間隔が遠い部位14A、14Aが最低部位であって平板部13に連なると共にこの架橋部14により連結される凸部12B同士の間隔が近い部位14Bが最高部位であって、前記遠い部位14A、4A同士の中間位置が近い部位4Bで最高部位である。しかも、一方の前記遠い部位14Aから近い部位14Bを経て他方の遠い部位14Aに至る稜線は、緩やかな曲線である。
【0017】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第1の実施形態によれば、残存する平板部13を分断する目的で設けられた架橋部14で凸部2Aを除いてその周囲の前記凸部2B同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0018】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第2の実施形態を、図4乃至図6に基づいて説明するが、第1の実施形態が他の凸部12Bと連結されない凸部12Aもあるが、この第2の実施形態は全ての凸部22同士が架橋部24を介して連結される実施形態である。図4は板状体21の部分斜視図、図5は同じく部分平面図、図6は図4のB−B断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0019】
即ち、多数の凸部22は、この凸部22同士の間に一定間隔を存するように規則的に形成する。この凸部22は縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。そして、各凸部22はその周囲の、例えば60度毎に形成される6つの凸部22と各架橋部24を介して連結される。従って、凸部22同士はごく小さな面積の平板部23を残して架橋部24を介して連結される。従って、残存する平板部23は架橋部24に分断されることとなる。
【0020】
従って、各凸部22は結果として、60度毎に形成される架橋部24を介して放射状に隣接する他の凸部22と互いに連結されることとなる。そして、前記架橋部24は前記凸部22が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部22より低く突出して形成され、且つこの架橋部24により連結される凸部22同士の間隔が遠い部位24A、24Aが最低部位であって平板部23に連なると共にこの架橋部24により連結される凸部22同士の間隔が近い部位24Bが最高部位であって、前記遠い部位24A、24A同士の中間位置が近い部位24Bで最高部位である。しかも、一方の前記遠い部位24Aから近い部位24Bを経て他方の遠い部位24Aに至る稜線は、緩やかな曲線である。
【0021】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第2の実施形態によれば、残存する平板部を分断する目的で設けられた架橋部24で全ての凸部22同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0022】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第3の実施形態を、図7乃至図9に基づいて説明するが、第1の実施形態が他の凸部12Bと連結されない凸部12Aもあるが、第2の実施形態と同様に、この第3の実施形態は全ての凸部32同士が架橋部34を介して連結される実施形態である。図7は板状体31の部分斜視図、図8は同じく部分平面図、図9は図7のC−C断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0023】
即ち、多数の凸部32は、この凸部32同士の間に一定間隔を存するように規則的に形成する。この凸部32は平面視が概ね正六角形を呈し、対角を形成する頂点を通る縦断面が円弧状を呈している。そして、各凸部32はその周囲の、例えば60度毎に形成される6つの凸部32と各辺の中間部において各架橋部34を介して連結される。従って、凸部32同士はごく小さな面積の三叉形状の平板部33を残して架橋部34を介して連結される。従って、各頂角に隣接して形成される平板部33は架橋部34に分断されることとなる。
【0024】
従って、各凸部32は結果として、60度毎に形成される架橋部34を介して放射状に隣接する他の凸部32と互いに連結されることとなる。そして、前記架橋部34は前記凸部32が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部32より低く突出して形成され、且つこの架橋部34により連結される凸部32の頂角部に近い部位34A、34Aが最低部位であって平板部33に連なると共にこの架橋部34により連結される凸部32の頂角部から遠い部位34Bが最高部位であって、前記近い部位34A、34A同士の中間位置が遠い部位34Bで最高部位である。しかも、この架橋部34の一方の前記近い部位34Aから遠い部位34Bを経て他方の近い部位34Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部34の近い部位34Aの幅が最小幅で、遠い部位34Bの幅が最大幅である。
【0025】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第3の実施形態によれば、残存する平板部を分断する目的で設けられた架橋部34で全ての凸部32同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0026】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第4の実施形態を、図10乃至図12に基づいて説明する。図10は板状体41の部分斜視図、図11は同じく部分平面図、図12は図10のD−D断面図、図13は図10のE−E断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0027】
即ち、多数の凸部42を縦横に一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部42は平面視が概ね円形を呈している。また、凸部42同士は各架橋部44を介して連結され、各架橋部44により平板部43が分断されて連結される。
【0028】
そして、各凸部42は隣接する凸部42と90度毎に最も近い部位である4箇所に形成される架橋部44を介して隣接する他の凸部42と連結されることとなる。従って、図10に示すように、縦方向及び横方向に隣接した凸部42同士は架橋部44を介して連結されると共に、斜め方向は凸部42と平面部43とが交互に配列される。
【0029】
そして、前記凸部42は頂面42A1を平面視円形状の平面として、この頂面42A1の周囲には円弧状の第1の面である曲面42A2が形成されて、更にこの曲面42A2の周囲に所定間隔を存して形成される4つの曲面状の第2の面である斜面42A3とから構成される。
【0030】
そして、前記架橋部44は前記凸部42が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部42より低く突出して形成され、且つ架橋部44は前記凸部42の斜面42A3が形成されない部位同士を連結する。この架橋部44の平板部43に連なる部位44A、44Aが最低部位であり、この部位44A、44A同士の中間位置の部位44Bが最高部位である。しかも、この架橋部44の一方の前記部位44Aから前記中間位置の部位44Bを経て他方の部位44Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部44の平板部43に連なる部位44A、44Aの幅が最大幅で、前記中間位置の部位44B近傍の幅が最小幅である。
【0031】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第4の実施形態によれば、残存する平板部43を分断する目的で設けられた架橋部44で凸部42同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0032】
しかも、前記凸部42は頂面42A1と、この頂面42A1の周囲の曲面42A2と、この曲面42A2の周囲に所定間隔を存して形成される4つの斜面42A3とから構成されて、この斜面42A3が形成された部位での縦断面は概ね台形状を呈し、このように縦断面形状が単なる円弧形状に比べて、前記斜面42A3のような縦壁の要素を取り入れた概ね台形状の方が剛性が高い。
【0033】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第5の実施形態を、図14乃至図16に基づいて説明する。図14は板状体51の部分斜視図、図15は同じく部分平面図、図16は図13のF−F断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0034】
即ち、多数の凸部52をこの凸部52同士の間に平板部53が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部52同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部52は平面視が概ね正六角形を呈している。また、この凸部52のうちの連結されない凸部52Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部52B同士は隣接する辺の中間部において各架橋部34を介して連結される。従って、前記凸部52Aとこの凸部52Aを中心として放射状に配設される各凸部52Bとの間には平板部53が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部52B同士は各架橋部54により平板部53が分断されて連結される。
【0035】
そして、6つの前記凸部52Bは結果として、例えば120度毎に形成される架橋部54を介して隣接する他の凸部52Bと連結されることとなる。従って、図13に示すように、縦方向の凸部52の列は、凸部52Aの次は架橋部54を介して連結された凸部52B、52Bとなり、また凸部52B、52Bの次は凸部52Aとなるように順次配列され、また斜めの配列も同様である。
【0036】
そして、前記凸部52Aは頂面52A1を平面視円形状の平面として、この頂面52A1の周囲には円弧状の曲面52A2が形成されて、更にこの曲面52A2の周囲に形成される6つの平面状の斜面52A3とから構成される。また、前記凸部52Bは頂面52B1を平面視円形状の平面として、この頂面52B1の周囲には円弧状の第1の面である曲面52B2が形成されて、更にこの曲面52B2の周囲に形成される6つの斜面とから構成される。この曲面52B2の周囲に形成される6つの斜面は、前記凸部52Aの斜面52A3と向かい合う平面状の第2の面である斜面52B3と向かい合わない曲面状の斜面52B4とが交互に形成される。
【0037】
そして、前記架橋部54は前記凸部52Bが突出形成された方向と同じ方向に前記凸部52Bより低く突出して形成され、且つ架橋部54は前記凸部52Aの斜面とは向かい合わない斜面52B4同士を連結する。この架橋部54の平板部53に連なる部位54A、54Aが最低部位であり、この部位54A、54A同士の中間位置の部位54Bが最高部位である。しかも、この架橋部54の一方の前記部位54Aから前記中間位置の部位54Bを経て他方の部位54Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部54の平板部53に連なる部位54A、54Aの幅が最小幅で、前記中間位置の部位54Bの幅が最大幅である。
【0038】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第5の実施形態によれば、残存する平板部53を分断する目的で設けられた架橋部54で凸部52Aを除いてその周囲の前記凸部52B同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0039】
しかも、前記凸部52Aは頂面52A1と、この頂面52A1の周囲の曲面52A2と、この曲面52A2の周囲に形成される斜面52A3とから構成されて縦断面が概ね台形状を呈し、また前記凸部52Bも頂面52B1と、この頂面52B1の周囲の曲面52B2と、この曲面52B2の周囲に形成される斜面52B3、斜面52B4とから構成されて縦断面が概ね台形状を呈し、このように縦断面形状が単なる円弧形状に比べて、前記斜面のような縦壁の要素を取り入れた概ね台形状の方が剛性が高い。
【0040】
しかし、このような縦壁の要素が増えると同時に表面積は増加してしまう傾向となるため、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならざるを得ないし、また表面積を抑制するために凸部52周辺の平板部53の残存率を高くすると、今度は逆に剛性上不利になってしまう。そこで、剛性向上を重視した台形状の凸部52A、残存する平面を分断する橋架部53により連結された2つの凸部52Bとを交互に繰り返すこととし、異なる凸部のパターンの組み合わせによって不足する性能を補完し合い、結果として、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、より高い剛性を達成することができる。
【0041】
そして、以上のように、エンボス成形した板状体を後工程でプレス成形してヒートインシュレータとして製品形状にする。なお、自動車の触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータに限らず、その他自動車のホィールエプロン、トウボード、カウルパネルなどや、また自動車以外、例えば航空機、船舶などの部品にも適用できる板状体にも適用することができる。
【0042】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0043】
11、21、31、41、51 板状体
12、22、32、42、52 凸部
13、23、33、43、53 平板部
14、24、34、44、54 架橋部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータや、自動車のホィールエプロン、トウボード、カウルパネルなどや、また自動車以外にも適用できる板状体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヒートインシュレータは、自動車の車両フロア下方の空きスペースに設置されることが多いため、フューエルチューブ等との干渉を避けるためにビードを十分突出させることができない場合やビードを板面全体には形成できない場合があるので、ヒートインシュレータの板厚を厚くすることで剛性を確保するのが一般的である。
【0003】
また、ヒートインシュレータの薄板化・軽量化技術としてエンボス技術が普及してきているが(特許文献1参照)、これはエンボス形状によって剛性の向上が図れ、薄板化による軽量化及び材料原価の低減を実現する技術であるが、エンボス成形した板状体を後工程でプレス成形してヒートインシュレータとして製品形状にすることから、成形余裕度を十分に確保することが重要であり、如何に少ない表面積で剛性を得るかということが設計的な指標となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−180125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、市場からは更なる性能向上を求める声が大きくなっているが、単に剛性だけを向上させても、成形余裕度が無くなってしまえば、製品としての価値が下がってしまうため、成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を実現する新たなエンボス形状が求められている。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を図ることができる板状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように、前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように且つ他の凸部と連結されない凸部の周囲に配列された前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部は少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから成ることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部を少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから構成し、前記平板部を分断するように前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、更なる剛性の向上を図ることができる板状体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図2】第1の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】第2の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図5】第2の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図6】図4のB−B断面図である。
【図7】第3の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図8】第3の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図9】図7のC−C断面図である。
【図10】第4の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図11】第4の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図12】図10のD−D断面図である。
【図13】図10のE−E断面図である。
【図14】第5の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分斜視図である。
【図15】第5の実施形態の凸部を形成した後の板状体の部分平面図である。
【図16】図13のF-F断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の板状体の第1の実施形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。この第1の実施形態は、自動車の車体に取り付けられて、触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータに使用される板状体であり、以下説明する。図1は板状体11の部分斜視図、図2は同じく部分平面図、図3は図1のA−A断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0014】
即ち、多数の凸部12をこの凸部12同士の間に平板部13が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部12同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部12は平面視が円形を呈して縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。またこの凸部12のうちの連結されない凸部12Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部12B同士は最も近い部位で残存する平板部13を分断するように各架橋部14を介して連結される。従って、前記凸部12Aとこの凸部12Aを中心として放射状に配設される各凸部12Bとの間には平板部13が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部12B同士は各架橋部14により平板部13が分断されて連結される。
【0015】
そして、6つの前記凸部12Bは結果として、例えば120度毎に形成される架橋部14を介して隣接する他の凸部12Bと連結されることとなる。従って、図2に示すように、縦方向の凸部2の列は、凸部2Aの次は架橋部4を介して連結された凸部12B、12Bとなり、また凸部12B、12Bの次は凸部12Aとなるように順次配列され、また斜めの配列も同様である。
【0016】
そして、前記架橋部14は前記凸部12Bが突出形成された方向と同じ方向に前記凸部12Bより低く突出して形成され、且つこの架橋部14により連結される凸部12B同士の間隔が遠い部位14A、14Aが最低部位であって平板部13に連なると共にこの架橋部14により連結される凸部12B同士の間隔が近い部位14Bが最高部位であって、前記遠い部位14A、4A同士の中間位置が近い部位4Bで最高部位である。しかも、一方の前記遠い部位14Aから近い部位14Bを経て他方の遠い部位14Aに至る稜線は、緩やかな曲線である。
【0017】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第1の実施形態によれば、残存する平板部13を分断する目的で設けられた架橋部14で凸部2Aを除いてその周囲の前記凸部2B同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0018】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第2の実施形態を、図4乃至図6に基づいて説明するが、第1の実施形態が他の凸部12Bと連結されない凸部12Aもあるが、この第2の実施形態は全ての凸部22同士が架橋部24を介して連結される実施形態である。図4は板状体21の部分斜視図、図5は同じく部分平面図、図6は図4のB−B断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0019】
即ち、多数の凸部22は、この凸部22同士の間に一定間隔を存するように規則的に形成する。この凸部22は縦断面が円弧状を呈しており、球の一部を構成する形状である。そして、各凸部22はその周囲の、例えば60度毎に形成される6つの凸部22と各架橋部24を介して連結される。従って、凸部22同士はごく小さな面積の平板部23を残して架橋部24を介して連結される。従って、残存する平板部23は架橋部24に分断されることとなる。
【0020】
従って、各凸部22は結果として、60度毎に形成される架橋部24を介して放射状に隣接する他の凸部22と互いに連結されることとなる。そして、前記架橋部24は前記凸部22が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部22より低く突出して形成され、且つこの架橋部24により連結される凸部22同士の間隔が遠い部位24A、24Aが最低部位であって平板部23に連なると共にこの架橋部24により連結される凸部22同士の間隔が近い部位24Bが最高部位であって、前記遠い部位24A、24A同士の中間位置が近い部位24Bで最高部位である。しかも、一方の前記遠い部位24Aから近い部位24Bを経て他方の遠い部位24Aに至る稜線は、緩やかな曲線である。
【0021】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第2の実施形態によれば、残存する平板部を分断する目的で設けられた架橋部24で全ての凸部22同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0022】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第3の実施形態を、図7乃至図9に基づいて説明するが、第1の実施形態が他の凸部12Bと連結されない凸部12Aもあるが、第2の実施形態と同様に、この第3の実施形態は全ての凸部32同士が架橋部34を介して連結される実施形態である。図7は板状体31の部分斜視図、図8は同じく部分平面図、図9は図7のC−C断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0023】
即ち、多数の凸部32は、この凸部32同士の間に一定間隔を存するように規則的に形成する。この凸部32は平面視が概ね正六角形を呈し、対角を形成する頂点を通る縦断面が円弧状を呈している。そして、各凸部32はその周囲の、例えば60度毎に形成される6つの凸部32と各辺の中間部において各架橋部34を介して連結される。従って、凸部32同士はごく小さな面積の三叉形状の平板部33を残して架橋部34を介して連結される。従って、各頂角に隣接して形成される平板部33は架橋部34に分断されることとなる。
【0024】
従って、各凸部32は結果として、60度毎に形成される架橋部34を介して放射状に隣接する他の凸部32と互いに連結されることとなる。そして、前記架橋部34は前記凸部32が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部32より低く突出して形成され、且つこの架橋部34により連結される凸部32の頂角部に近い部位34A、34Aが最低部位であって平板部33に連なると共にこの架橋部34により連結される凸部32の頂角部から遠い部位34Bが最高部位であって、前記近い部位34A、34A同士の中間位置が遠い部位34Bで最高部位である。しかも、この架橋部34の一方の前記近い部位34Aから遠い部位34Bを経て他方の近い部位34Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部34の近い部位34Aの幅が最小幅で、遠い部位34Bの幅が最大幅である。
【0025】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第3の実施形態によれば、残存する平板部を分断する目的で設けられた架橋部34で全ての凸部32同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0026】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第4の実施形態を、図10乃至図12に基づいて説明する。図10は板状体41の部分斜視図、図11は同じく部分平面図、図12は図10のD−D断面図、図13は図10のE−E断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0027】
即ち、多数の凸部42を縦横に一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部42は平面視が概ね円形を呈している。また、凸部42同士は各架橋部44を介して連結され、各架橋部44により平板部43が分断されて連結される。
【0028】
そして、各凸部42は隣接する凸部42と90度毎に最も近い部位である4箇所に形成される架橋部44を介して隣接する他の凸部42と連結されることとなる。従って、図10に示すように、縦方向及び横方向に隣接した凸部42同士は架橋部44を介して連結されると共に、斜め方向は凸部42と平面部43とが交互に配列される。
【0029】
そして、前記凸部42は頂面42A1を平面視円形状の平面として、この頂面42A1の周囲には円弧状の第1の面である曲面42A2が形成されて、更にこの曲面42A2の周囲に所定間隔を存して形成される4つの曲面状の第2の面である斜面42A3とから構成される。
【0030】
そして、前記架橋部44は前記凸部42が突出形成された方向と同じ方向に前記凸部42より低く突出して形成され、且つ架橋部44は前記凸部42の斜面42A3が形成されない部位同士を連結する。この架橋部44の平板部43に連なる部位44A、44Aが最低部位であり、この部位44A、44A同士の中間位置の部位44Bが最高部位である。しかも、この架橋部44の一方の前記部位44Aから前記中間位置の部位44Bを経て他方の部位44Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部44の平板部43に連なる部位44A、44Aの幅が最大幅で、前記中間位置の部位44B近傍の幅が最小幅である。
【0031】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第4の実施形態によれば、残存する平板部43を分断する目的で設けられた架橋部44で凸部42同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0032】
しかも、前記凸部42は頂面42A1と、この頂面42A1の周囲の曲面42A2と、この曲面42A2の周囲に所定間隔を存して形成される4つの斜面42A3とから構成されて、この斜面42A3が形成された部位での縦断面は概ね台形状を呈し、このように縦断面形状が単なる円弧形状に比べて、前記斜面42A3のような縦壁の要素を取り入れた概ね台形状の方が剛性が高い。
【0033】
次に、ヒートインシュレータに使用される板状体の本発明の第5の実施形態を、図14乃至図16に基づいて説明する。図14は板状体51の部分斜視図、図15は同じく部分平面図、図16は図13のF−F断面図であり、初めに例えば、厚さが0.3mmのアルミニウム製の1枚の平板状の板体をプレス金型装置内にセットして、以下のような形状に形成する。
【0034】
即ち、多数の凸部52をこの凸部52同士の間に平板部53が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部52同士を一定間隔を存して規則的に形成する。この凸部52は平面視が概ね正六角形を呈している。また、この凸部52のうちの連結されない凸部52Aを中心とし、放射状にその周囲に60度毎に形成される6つの凸部52B同士は隣接する辺の中間部において各架橋部34を介して連結される。従って、前記凸部52Aとこの凸部52Aを中心として放射状に配設される各凸部52Bとの間には平板部53が直線状に残らないように連続して配列されるが、これら凸部52B同士は各架橋部54により平板部53が分断されて連結される。
【0035】
そして、6つの前記凸部52Bは結果として、例えば120度毎に形成される架橋部54を介して隣接する他の凸部52Bと連結されることとなる。従って、図13に示すように、縦方向の凸部52の列は、凸部52Aの次は架橋部54を介して連結された凸部52B、52Bとなり、また凸部52B、52Bの次は凸部52Aとなるように順次配列され、また斜めの配列も同様である。
【0036】
そして、前記凸部52Aは頂面52A1を平面視円形状の平面として、この頂面52A1の周囲には円弧状の曲面52A2が形成されて、更にこの曲面52A2の周囲に形成される6つの平面状の斜面52A3とから構成される。また、前記凸部52Bは頂面52B1を平面視円形状の平面として、この頂面52B1の周囲には円弧状の第1の面である曲面52B2が形成されて、更にこの曲面52B2の周囲に形成される6つの斜面とから構成される。この曲面52B2の周囲に形成される6つの斜面は、前記凸部52Aの斜面52A3と向かい合う平面状の第2の面である斜面52B3と向かい合わない曲面状の斜面52B4とが交互に形成される。
【0037】
そして、前記架橋部54は前記凸部52Bが突出形成された方向と同じ方向に前記凸部52Bより低く突出して形成され、且つ架橋部54は前記凸部52Aの斜面とは向かい合わない斜面52B4同士を連結する。この架橋部54の平板部53に連なる部位54A、54Aが最低部位であり、この部位54A、54A同士の中間位置の部位54Bが最高部位である。しかも、この架橋部54の一方の前記部位54Aから前記中間位置の部位54Bを経て他方の部位54Aに至る稜線は、緩やかな曲線であって、またこの架橋部54の平板部53に連なる部位54A、54Aの幅が最小幅で、前記中間位置の部位54Bの幅が最大幅である。
【0038】
剛性を上げるには断面2次モーメントを上げるのが最も効果的であるが、以上のように、この第5の実施形態によれば、残存する平板部53を分断する目的で設けられた架橋部54で凸部52Aを除いてその周囲の前記凸部52B同士を連結したから、表面積を極力増加させずに、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならないように、剛性を向上させることができる。
【0039】
しかも、前記凸部52Aは頂面52A1と、この頂面52A1の周囲の曲面52A2と、この曲面52A2の周囲に形成される斜面52A3とから構成されて縦断面が概ね台形状を呈し、また前記凸部52Bも頂面52B1と、この頂面52B1の周囲の曲面52B2と、この曲面52B2の周囲に形成される斜面52B3、斜面52B4とから構成されて縦断面が概ね台形状を呈し、このように縦断面形状が単なる円弧形状に比べて、前記斜面のような縦壁の要素を取り入れた概ね台形状の方が剛性が高い。
【0040】
しかし、このような縦壁の要素が増えると同時に表面積は増加してしまう傾向となるため、後工程に於けるプレス成形余裕度が犠牲にならざるを得ないし、また表面積を抑制するために凸部52周辺の平板部53の残存率を高くすると、今度は逆に剛性上不利になってしまう。そこで、剛性向上を重視した台形状の凸部52A、残存する平面を分断する橋架部53により連結された2つの凸部52Bとを交互に繰り返すこととし、異なる凸部のパターンの組み合わせによって不足する性能を補完し合い、結果として、その後になされるプレス成形に備えて成形余裕度を維持しながら、より高い剛性を達成することができる。
【0041】
そして、以上のように、エンボス成形した板状体を後工程でプレス成形してヒートインシュレータとして製品形状にする。なお、自動車の触媒コンバータやマフラなどの断熱に好適に使用できるヒートインシュレータに限らず、その他自動車のホィールエプロン、トウボード、カウルパネルなどや、また自動車以外、例えば航空機、船舶などの部品にも適用できる板状体にも適用することができる。
【0042】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0043】
11、21、31、41、51 板状体
12、22、32、42、52 凸部
13、23、33、43、53 平板部
14、24、34、44、54 架橋部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように、前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【請求項2】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように且つ他の凸部と連結されない凸部の周囲に配列された前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【請求項3】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部は少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから成ることを特徴とする板状体。
【請求項4】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部を少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから構成し、前記平板部を分断するように前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【請求項1】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように、前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【請求項2】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記平板部を分断するように且つ他の凸部と連結されない凸部の周囲に配列された前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【請求項3】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部は少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから成ることを特徴とする板状体。
【請求項4】
多数の凸部が平板部から突出形成された板状体において、前記凸部同士の間に平板部が直線状に残らないような配列状態で且つ各凸部同士を一定間隔を存して規則的に形成し、前記凸部を少なくとも縦断面が円弧状の第1の面と、この第1の面と前記平板部とに連なる第2の面とから構成し、前記平板部を分断するように前記凸部同士をこの平板部から突出形成された各架橋部を介して連結したことを特徴とする板状体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−255454(P2012−255454A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232096(P2009−232096)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(592259037)株式会社深井製作所 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(592259037)株式会社深井製作所 (7)
【Fターム(参考)】
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