説明

板状物の連結構造

【課題】互いに連結・分離することが可能な板状物の連結構造について、板面に沿った方向および板面に垂直な方向での結合強度を共に確保し、設置面積がコンパクトな領域に収まる板状物の連結構造および当該連結構造を有する板状物を提供すること。
【解決手段】第1板状物の第1端辺には連結凹部が備えられ、第2板状物の第2端辺に連結凸部が備えられ、連結凹部に連結凸部が挿入され第1板状物と第2板状物とが連結される。連結凹部にある挿入凹部は第1板状物の板面で区画される第1開口幅を有している。また、連結凸部にある支持凸部の第1対向面は挿入凹部の板面に近接あるいは当接する。連結の際、挿入凹部に連接する抜止凹部に支持凸部に連接する抜止凸部が挿入され、第1板状物と第2板状物とが外れることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板面面積の拡大あるいは縮小のために、板状物の連結・分離に供される板状物の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに連結して板面の面積を拡大し、あるいは互いに分離して板面の面積を縮小する連結構造を有する板状物が知られている。例えば、特許文献1には、芝生敷設ユニットを連結するための構成が記載されている。芝生敷設ユニットの側壁は、水平方向の位置決めおよび連結のための水平連結機構として、互いに嵌合する蟻溝状凹部と蟻ほぞ状凸部とを備えている。また、垂直方向に連結ロックするための連結ロック機構として、互いに係止する係止孔と係合突部とを備えている。
【0003】
水平連結機構を構成する蟻溝状凹部は、平面視がいわゆる鳩尾形状を有しており、側壁外面から内方向に向かうにつれて次第に幅広となるような形状を有している。また水平連結機構を構成する蟻ほぞ状凸部は、蟻溝状凹部と嵌合する部材である。平面視がいわゆる鳩尾形状を有しており、側壁外面から外方向に離れるにつれて次第に幅広となるような形状を有している。
【0004】
また、連結ロック機構を構成する係合突部は、第1ユニットと第2ユニットとの間で蟻溝状凹部と蟻ほぞ状凸部とが垂直方向に嵌合される際に、弾性変形されて挿入され、係止孔に係入される。これにより、第1ユニットと第2ユニットとの間で、係止孔内においてその上端部と係合突部とが係止され、垂直方向への第1ユニットと第2ユニットとが連結ロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−99564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術に記載したとおり、従来より、板状物を連結する連結構造は知られてはいるものの、以下の点で問題がある。
【0007】
上記背景技術に記載された技術において、水平方向に連結する構造である水平連結機構は、蟻溝状凹部と蟻ほぞ状凸部との嵌合により構成される。ここで、各々の嵌合する部分の形状は鳩尾形状を有している。すなわち、蟻ほぞ状凸部は、鳩尾形状が側壁の壁面から外方に突出して形成されるものである。側壁の壁面から外方に向かって次第に幅広となるような形状である。このため、蟻ほぞ状凸部と蟻溝状凹部との嵌合部に加わる水平方向の外力は、主に蟻ほぞ状凸部の付け根部分に加わることとなる。蟻ほぞ状凸部の付け根部分は、鳩尾形状の基端部であり最も幅狭の部分である。幅狭な蟻ほぞ状凸部の付け根部分に外力が集中し、外力に対する強度を十分に確保できないおそれがある。破損等を招来するおそれがあり問題である。
【0008】
また、垂直方向に連結する構造である連結ロック機構は、係止孔と係合突部との係合により構成される。このため、垂直方向に加わる外力は、主に係合突部に加わることとなる。連結された状態で持ち運び等をする場合に連結部に板面に平行でない方向から負荷が加わることや、連結された状態で敷設されている場合に重量物により押圧されて連結部分に平行でない方向の負荷が加わることなどがある。この場合、係合突部に外力が集中し、外力に対する強度を十分に確保できないおそれがある。係合状態が外れて連結の解除を招来するおそれや破損等を招来するおそれがあり問題である。
【0009】
更に、上記背景技術では、水平連結機構を構成する蟻溝状凹部および蟻ほぞ状凸部と、連結ロック機構を構成する係止孔および係合突部とは、それぞれ別部材として形成されている。そのため、蟻溝状凹部、蟻ほぞ状凸部、係止孔、および係合突部は、互いに異なる部材として側壁の別個の位置に配置しなければならない。それぞれの部材の配置領域を確保する必要があり、側壁における占有領域が大きくなり問題である。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、互いに連結・分離することが可能な板状物の連結構造として、板面に沿った方向での連結強度および板面に垂直な方向での結合強度を共に確保すると共に、配置面積がコンパクトな領域に収まる板状物の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に係る板状物の連結構造は、第1板状物と第2板状物とを連結する構造である。第1板状物の第1端辺には連結凹部が備えられ、第2板状物の第2端辺には連結凸部が備えられている。連結凹部に連結凸部が挿入され第1板状物と第2板状物とが連結される。連結凹部には挿入凹部と抜止凹部とが備えられている。挿入凹部は、第1板状物の板面で区画される第1開口幅を有している。抜止凹部は、第1端辺に沿った方向で挿入凹部に連接されている。また、連結凸部には支持凸部と抜止凸部とが備えられている。支持凸部は、連結凸部が連結凹部に連結される際、挿入凹部において板面に近接あるいは当接する第1対向面で区画されている。抜止凸部は、第2端辺に沿った方向で支持凸部に連接されている。抜止凹部への抜止凸部の挿入により、連結された第1板状物と第2板状物とが外れることが防止される。
【0012】
ここで、抜止凹部には端凹部と奥凹部とが備えられていてもよい。端凹部は、第1端辺側にあって第1開口幅より狭幅の第2開口幅を有している。奥凹部は、端凹部の内方に連接されて第1開口幅を有している。また、抜止凸部には先凸部が備えられていてもよい。先凸部は、第1対向面で区画されており、第1対向面が奥凹部において板面に近接あるいは当接する。
【0013】
更に、抜止凸部には、先凸部と第2端辺との間を連絡する元凸部が備えられていてもよい。元凸部は第2対向面で区画されている。第2対向面が抜止凸部の抜止凹部への挿入状態において端凹部の第2開口幅を区画する面に近接あるいは当接する。
【0014】
また、連結凹部と連結凸部との連結は、以下のステップで行なわれることが好ましい。すなわち、挿入凹部に支持凸部とこれに連接される抜止凸部とが共に挿入される。挿入の後、第1板状物の第1端辺と第2板状物の第2端辺とが互いに反対方向に摺動され、抜止凹部に抜止凸部が挿入される。
【0015】
また、連結凹部および連結凸部にはロック機構が備えられていてもよい。ロック機構により連結凹部と連結凸部との連結状態がロックされる。
【発明の効果】
【0016】
本願に係る板状物の連結構造によれば、第1板状物と第2板状物とを連結した際、第1板状物の抜止凹部に第2板状物の抜止凸部が挿入されることにより、連結された第1板状物と第2板状物との板面方向への抜けが防止される。これに加えて、連結状態で、第1板状物の挿入凹部における第1開口幅を区画する板面と、第2板状物の支持凸部を区画する第1対向面とが、近接あるいは当接する。これにより、第1および第2板状物を連結した状態で、一方の板状物を持ち上げたり、お互いの板状物を連結部分で屈曲させたりなどして、板状物に対して板面に平行ではない方向に外力を加えた場合にも、連結構造への加重負荷を軽減させることができる。この場合の外力は、連結構造において挿入凹部の板面と支持凸部の第1対向面とにより面で支えられることになるためである。外力により板面と第1対向面とが当接して面全体で外力を受けることにより、外力による加重が分散されて加重負荷が軽減されるのである。連結された状態での板状物の持ち運びの作業性や持ち運び時の連結部分の外力に対する強度を優れたものとすることができる。
【0017】
また、抜止凹部に端凹部と奥凹部とが備えられ、抜止凸部に先凸部が備えられていれば、抜止凹部に抜止凸部が挿入された際、抜止凹部の内方側にある奥凹部に抜止凸部の先凸部が挿入され、奥凹部の板面と先凸部の第1対向面とが近接あるいは当接する。これにより、挿入凹部の板面と支持凸部の第1対向面とに加えて、奥凹部の板面と先凸部の第1対向面とにより外力を受けることができる。外力による加重が更に分散されて連結構造への加重負荷を更に軽減することができる。
また、奥凹部の外方側である第1端辺側に連接される端凹部は、第1開口幅より狭幅の第2開口幅であるので、第1開口幅を有する先凸部は、第2開口幅を有する端凹部により第1端辺側への移動が規制される。これにより、第1板状物と第2板状物とが分離する方向、即ち、連結が外れる方向に抜けることを防止することができる。また、連結解除を規制する第1開口幅と第2開口幅の段差は、抜止凹部と抜止凸部との幅全体に形成されるため、抜け方向の外力を分散して受止めることができる。
【0018】
更に、抜止凸部に先凸部と第2端辺との間を連絡する元凸部が備えられていれば、抜止凹部の第1端辺側にある端凹部に抜止凸部の元凸部が近接あるいは当接する。これにより、挿入凹部の板面と支持凸部の第1対向面、および奥凹部の板面と先凸部の第1対向面とに加えて、端凹部の第2開口幅を区画する面と元凸部の第2対向面とにより外力を受けることができる。外力による加重が更に分散されて連結構造への加重負荷を更に軽減することができる。
【0019】
また、連結凹部および連結凸部にロック機構が備えられていれば、第1板状物と第2板状物とを連結状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】板状物1を第1端辺3側から見た斜視図である。
【図2】板状物1を第2端辺5側から見た斜視図である。
【図3】連結凹部7A、7Bの拡大斜視図である。
【図4】板状物1の上側の板面を切り欠いた状態で上側から見た連結凹部7A、7Bの拡大斜視図である。
【図5】板状物1の下側の板面を切り欠いた状態で下側から見た連結凹部7Aの拡大斜視図である。
【図6】連結凸部9A、9Bの拡大斜視図である。
【図7】板状物1の連結手順を示す図である。
【図8】別例の板状物1Aを示す斜視図である。
【図9】他の別例の板状物1Bを示す斜視図である。
【図10】板状物1Bに荷物を載置した状態を示す斜視図である。
【図11】板状物1Bを連結した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、2は、板状物1の斜視図である。図1は、板状物1を第1端辺3側から見た斜視図であり、図2は、板状物1を第2端辺5側から見た斜視図である。第1端辺3と第2端辺5とは、板状物1において互いに対向する端辺である。以下の説明では、図1、2の斜視図に表示されている板面を板状物1の上面、反対側の板面を下面とする。
【0022】
ここで、板状物1は、壁長が延長可能に連結される隔壁を組み立てる際の壁材用プレート、OAフロアやスノコ等の床材において接地面積の拡縮を調整可能に組み立てられる床材プレート、あるいは土砂や芝等の植物を人や自動車等の踏圧から保護するためのプレートであって接地面積が調整可能に組み立てられる保護プレートなどに適用される。また、板状物1をコンテナ等の箱体の壁面に利用することも可能である。板状物1がこれらの用途に使用され互いに連結された場合に、板状物1の間でしっかりと連結状態が保持されることが必要である。以下では、こうした用途に使用される板状物1に適用して、連結状態が十分に保持される構成について例を示して説明する。
【0023】
図1において、板状物1の第1端辺3に、等間隔で4つの連結凹部7A、7Bが開口されている。このうち、連結凹部7Aは、後述する連結時のロック機構を備えており第1端辺3の両端に配置されている。連結凹部7Bは、ロック機構を備えておらず第1端辺3の内側に配置されている。
【0024】
図2において、第1端辺3に対向する端辺である第2端辺5に、連結凹部7A、7Bの配置位置に対応して4つの連結凸部9A、9Bが開口されている。連結凹部7Aに対応する連結凸部9Aは、後述する連結時のロック機構を備えており第2端辺5の両端に配置されている。連結凹部7Bに対応する連結凸部9Bは、ロック機構を備えておらず第2端辺5の内側に配置されている。
【0025】
図3乃至図5は、連結凹部7A、7Bの拡大斜視図である。このうち、図4は、板状物1の上側の板面15Aを切り欠いた状態で上側から見た連結凹部7A、7Bの拡大斜視図であり、図5は、板状物1の下側の板面15Bを切り欠いた状態で下側から見た連結凹部7Aの拡大斜視図である。
【0026】
連結凹部7Aは、挿入凹部11と、挿入凹部11から第1端辺3に沿って第1端辺3の正面視で右方向に連接して抜止凹部13Aとを備えている。同様に、連結凹部7Bは、挿入凹部11と、挿入凹部11から第1端辺3に沿って第1端辺3の正面視で右方向に連接して抜止凹部13Bとを備えている。
【0027】
挿入凹部11において、板状物1の幅方向は、板状物1の板面15A、15Bに区画されており、挿入凹部11は第1開口幅L1を有している。ここで、板面15Aは、板状物1の上側の面であり板状物1の全域に広がる板面である。一方、板面15Bは、板状物1の下側に備えられている面である。板状物1の下面は裏面であるので、板面15Bは少なくとも挿入凹部11を形成する領域に備えられている(不図示)。挿入凹部11は、第1端辺3に沿った方向に連結凸部9A、9Bと略同長の幅を有しており、連結の際、連結凸部9A、9Bが挿入される。
【0028】
抜止凹部13A、13Bは、第1端辺3側の端凹部17を備え、端凹部17に連接された内方側には、それぞれ奥凹部19A、19Bを備えている。
【0029】
端凹部17において、板状物1の幅方向は、板状物1の板面15A、15Bから内方に突出した狭幅規制ブロック18に区画されており、第1開口幅L1より狭幅の第2開口幅L2を有している。尚、狭幅規制ブロック18は、板状物1の上側の板面15Aを内方に向かってオフセットした凹状部21により形成されている。また、狭幅規制ブロック18の成形強度を確保するため、凹状部21の中間部をリブ21Lが連絡している。尚、図示はされていないが、板状部1の下側も同様に、凹状部とリブとを備えて狭幅規制ブロック18が構成されている。尚、端凹部17において、第1端辺3に沿った方向は、後述する元凸部37と略同等の長さを有している。
【0030】
奥凹部19A、19Bにおいて、板状物1の下面側では、共に開口部29により開口されている。これに対して板状物1の上面側では、それぞれに異なる構成を備えている。
【0031】
奥凹部19Aの上面側には、板状物1のロック機構を備えている。ロック係止孔23とロック係止孔23から第1端辺3に沿って第1端辺3の正面視で右方向に連接してロック機構部規制面25とを備えている。ロック係止孔23は、連結凹部7Aと連結凸部9Aとの連結状態において後述するロック係止片43と係合する開孔である。ロック機構部規制面25は、板状物1の上側の板面15Aを内方に向かってオフセットした凹状部27により形成されている。連結凸部9Aのロック機構を形成する領域の面と近接あるいは当接する面である。また、ロック係止孔23およびロック機構部規制面25の成形強度を確保するため、ロック係止孔23とロック機構部規制面25との境界辺にリブ23Lが備えられている。
【0032】
尚、奥凹部19A、19Bの下面側は、開口部29に代えて板面15Bで区画する構成とすることもできる。
【0033】
図6は、連結凸部9A、9Bの拡大斜視図である。連結凸部9Aは、支持凸部31と、支持凸部31から第2端辺5に沿って第2端辺5の正面視で左方向に連接して抜止凸部33Aとを備えている。更に、ロック機構を備えている。連結凸部9Bは、支持凸部31と、支持凸部31から第2端辺5に沿って第2端辺5の正面視で左方向に連接して抜止凸部33Bとを備えている。
【0034】
連結凸部9Bでは、支持凸部31は、挿入凹部11を第1開口幅L1に区画する板面15A、15Bに近接あるいは当接する厚みを有している。支持凸部31の上側面は、板面15Aに近接あるいは当接して対向する第1対向面35で区画されている。支持凸部31の下側面(不図示)は、連結凸部9Bの強度を確保するリブの外方端辺で区画されている。リブの外方端辺が板面15Bに近接あるいは当接する。また、第1対向面35と同様に板面15Bと対向する対向面で区画する構成とすることもできる。
【0035】
抜止凸部33Bは、第2端辺5に連接されて元凸部37と、元凸部37から外方に連接される先凸部39とで構成されている。先凸部39は、支持凸部31と同様に、挿入凹部11の第1開口幅L1に近接あるいは当接する厚みを有しており、上下両面が支持凸部31から連続する第1対向面35およびリブ(不図示)の外方端辺で区画されている。抜止凹部13Bの奥凹部19Bにおいて上側面および下側面に近接あるいは当接する。元凸部37は、端凹部17を第1開口幅L1より狭幅の第2開口幅L2に区画する狭幅規制ブロック18に近接あるいは当接する厚みを有しており、第2対向面38で区画されている。また、元凸部37から先凸部39への連接の端部では、第2開口幅L2に対応する面と第1開口幅L1に対応する面との間で段差が形成されている。この段差が狭幅規制ブロック18に当接することにより、抜止凸部33Bと抜止凹部13Bとが係合して連結状態からの抜けが防止される。
【0036】
連結凸部9Aは、連結凸部9Bと同じ基本構造を備えており同様の作用効果を奏する。加えて、基端面41と基端面41の一部に配置されるロック係止片43とを備えている。基端面41とロック係止片43とは、連結凸部9Aの先端部において、抜止凸部33Aから支持凸部31にかけて配置されている。ロック係止片43は、基端面41を基端として第2端辺5の正面視で右方向に向かって競り上がる傾斜を有して構成されている。ロック係止片43が抜止凹部13Aの奥凹部19Aにあるロック係止孔23に係合して連結状態が維持される。また、この状態で、基端面41が抜止凹部13Aの奥凹部19Aにあるロック機構部規制面25に近接あるいは当接される。
【0037】
図7は、板状物1を連結する際の手順を示す図である。一方の板状物1の連結凹部7A、7Bに備えられている挿入凹部11に他方の板状物1の連結凸部9A,9Bが挿入される。挿入により互いに当接した第1端辺3と第2端辺5とが摺動され、連結凹部7A、7Bに備えられている抜止凹部13A、13Bに連結凸部9A、9Bに備えられている抜止凸部33A、33Bが挿入される。これにより、互いの板状物1の端辺が面一に連結される。
【0038】
支持凸部31の第1対向面35は、挿入凹部11の板面15A、15Bに近接あるいは当接している。また、抜止凸部33A、33Bの元凸部37の第2対向面38が抜止凹部13A、13Bの端凹部17の狭幅規制ブロック18に近接あるいは当接している。また、抜止凸部33A、33Bの先凸部39の第1対向面35が抜止凹部13A、13Bの奥凹部19A、19Bの板面15A、15Bに近接あるいは当接している。また、抜止凸部33Aの基端面41が抜止凹部13Aの奥凹部19Aのロック機構部規制面25に近接あるいは当接している。これらの面による近接あるいは当接により、連結状態の板状物1の板面に交差する方向に外力が加わったとしても連結部分に加わる力を十分に大きな面積で受け止めることができる。連結部分に過度な負担が加わることはない。
【0039】
また、ロック係止片43がロック係止孔23に係合され連結状態が維持される。また、抜止凹部19A、19Bに抜止凸部33A、33Bが挿入されて、元凸部37と先凸部39とが連接される境界面の段差が狭幅規制ブロック18に当接して、連結凹部7A、7Bと連結凸部9A、9Bとの抜けが防止される。
【0040】
図8は、別例の板状物1Aを例示する斜視図である。板面の中央部を矩形状に1段下げた凹部51が形成されている。凹部51に矩形定形状の荷物を載置することにより安定して積載することができる。荷物運搬用のトレー、コンテナ、容器等に利用可能である。
【0041】
図9は、他の別例の板状物1Bを例示する斜視図である。荷物運搬用のトレー、コンテナ、容器等に利用可能な他の別例である。板面は開口61が設けられている。開口61は、積載する荷物の有する固有な形状を逃すために設けられているものである。荷物によっては、特殊な突状形状やその他の複雑な形状を有している場合がある。こうした形状の荷物は板面に安定して載置することができない場合もある。開口61を設けることにより、複雑な形状部分を開口61で逃がしてやれば安定して載置することができる。
【0042】
開口61の4つの隅部には、荷物を載置する際の荷物の支持台である荷物載置ブロック63が設けられている。更に、その外方には、載置された荷物の位置決め用に位置決めブロック65が設けられている。また、板状物1Bの4つの端辺のほぼ中央部には結束バンド73(図10、参照)を架け渡すバンド孔67が開孔されている。図10に荷物71が板状物1Bに載置された状態を示す。荷物71は位置決めブロック65に位置決めされて載置されている。図示はされていないが、荷物71の下面に突状部がある場合にも開口61に突状部を位置させれば安定した載値が可能となる。また、載置された荷物71は、板状物1Bの対向する端辺の開孔67を介して十字状に結束バンド73が架け渡され載置された荷物71を結束する。
【0043】
また、開口61の端辺のうち少なくとも1辺、あるいは対向する2辺に、板状物1Bを手で持ち運ぶための持ち手部69を備えている。持ち手部69は、対向する端辺にある場合には、連結凹部、連結凸部のある端辺に設けることが好ましい。これにより、図11に示すように、連結された板状物1Bを手持ち搬送することができる。手持ち搬送する場合にも、連結された部分に加わる負荷は十分な面積で受け止められるため、連結部分に過度な負担が加わることなく持ち運ぶことが可能となる。
【0044】
尚、ここで、板状物1、1A、1Bは請求項に記載の第1板状物および第2板状物の一例を示す構成である。
【0045】
以上、詳細に説明したように、本願の実施形態に記載の板状物1、1A、1Bの連結構造によれば、板状物1、1A,1Bを連結した際に、連結凹部7A、7Bにある抜止凹部13A,13Bに連結凹部9A、9Bにある抜止凸部33A、33Bが挿入される。これにより、連結された板状物1、1A,1Bの板面方向への抜けが防止される。これに加えて、連結状態で、挿入凹部11の第1開口幅L1を区画する板面15A、15Bと支持凸部31を区画する第1対向面35およびその下面(不図示)とが近接あるいは当接する。これにより、板状物1、1A、1Bを連結した状態で、一方の板状物1、1A、1Bを持ち上げたり、連結部分で屈曲させたりなどして、板面に平行ではない方向に外力が加えられた場合にも、加えられる外力は十分な面積で受け止められる結果、連結構造への加重負荷を軽減させることができる。
【0046】
また、抜止凹部13A、13Bには端凹部17と奥凹部19A、19Bとが備えられ、抜止凸部33A、33Bに先凸部39が備えられている。これにより、抜止凹部13A、13Bの内方側にある奥凹部19A、19Bに抜止凸部33A、33Bの先凸部39が挿入され、奥凹部19A、19Bの板面と先凸部39の第1対向面35およびその下面(不図示)とが近接あるいは当接して外力を受けることができる。外力を面で受け止めるため外力による加重が更に分散されて連結構造への加重負荷を更に軽減することができる。
【0047】
また、端凹部17は、第1開口幅L1より狭幅の第2開口幅L2であるので、第1開口幅L1を有する先凸部39は、第2開口幅L2を有する端凹部17により板状物1、1A、1Bの端辺側への移動が規制される。これにより、連結が外れる方向に抜けることを防止することができる。
【0048】
また、抜止凸部33A、33Bに先凸部39と第2端辺5との間を連絡する元凸部37が備えられており、抜止凹部13A、13Bの端凹部17の狭幅規制ブロック18に元凸部37の第2対向面38およびその下面(不図示)が近接あるいは当接する。これにより、面で外力を受けることができる。外力による加重が更に分散されて連結構造への加重負荷を更に軽減することができる。
【0049】
また、連結凹部7Aにロック係止孔23が備えられ、連結凸部9Aにロック係止片43が備えられているので、板状物1、1A、1Bを連結状態に維持することができる。
【0050】
また、複数備えられる連結凹部と連結凸部とのうち、端辺の両端に連結凹部7Aと連結凸部9Aとが備えられている。これにより、連結状態を安定して維持することができる。
【0051】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本願では、連結凹部7A、7Bと連結凸部9A、9Bとが、板状物1の対向する第1端辺3と第2端辺5との各々に備えられる場合を例示して説明したが、本願はこれに限定されるものではない。他の端辺にも連結凹部、連結凸部の何れかがある構成とすることもできる。また、1端辺に連結凹部と連結凸部との双方を構成することも可能である。逆に、連結凹部と連結凸部とを、各々、別の板状物に構成することも可能である。
【0052】
また、本実施形態では、ロック機構を端辺の両端に配置されている連結凹部7Aと連結凸部9Aとに備える場合を例示したが、本願はこれに限定されるものではない。全ての連結凹部7Aと連結凸部9Aとに備えることも可能である。また、端辺に備えられる複数の連結凹部7Aと連結凸部9Aとの組み合わせのうち、何れか1つのユニットに備える構成とすることもできる。
【0053】
また、本実施形態では、板状物1、1A、1Bの下面は、挿入凹部11の下側の板面15Bの部分を除いて強度確保のためのリブが露わに備えられる構成として説明したが、本願は、この場合の他、板面15Bを延長して下面全体を板面で覆う構成とすることもできる。また、抜止凹部13A、13Bの奥凹部19A、19Bの下側にある開口部29に代えて、板面15Bで覆うことも可能である。これにより、外力を支える板面として両面の板面を有効に使用することができる。
【0054】
ここで、本願に係るその他の技術的観点として、第1端辺には連結凹部が複数備えられており、第2端辺には各々の連結凹部に対応して連結凸部が複数備えられていてもよい。この場合、ロック機構は、少なくとも1組の連結凹部および連結凸部に備えられていればよい。あるいは、第1および第2端辺の両端に配置される連結凹部および連結凸部に備えられていることが好ましい。
【0055】
これにより、連結凹部と連結凸部とが複数備えられている場合に、ロック機構を少なくとも1組の連結凹部および連結凸部に備えていれば、連結状態を維持することができる。また、第1および第2端辺の両端に配置される連結凹部および連結凸部にロック機構を備えていれば、連結状態を安定して維持することができる。
【0056】
また、連結凸部は、第2板状物の第2端辺に備えられることに加えて、第1板状物の第1端辺とは異なる端辺に備えられていてもよく、連結凹部は、第1板状物の第1端辺に備えられることに加えて、第2板状物の第2端辺とは異なる端辺に備えられていてもよい。
【0057】
これにより、板状物が連結凹部を備える端辺と連結凸部を備える端辺とを共に備えていれば、板状物の連結の際、自由度を確保することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、1B 板状物
3 第1端辺
5 第2端辺
7A、7B 連結凹部
9A、9B 連結凸部
11 挿入凹部
13A、13B 抜止凹部
15A、15B 板面
17 端凹部
18 狭幅規制ブロック
19A、19B 奥凹部
23 ロック係止孔
25 ロック機構部規制面
31 支持凸部
33A、33B 抜止凸部
35 第1対向面
37 元凸部
38 第2対向面
39 先凸部
41 基端面
43 ロック係止片
L1 第1開口幅
L2 第2開口幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板状物と第2板状物とを連結する板状物の連結構造であって、
前記第1板状物の第1端辺に備えられる連結凹部と、
前記第2板状物の第2端辺に備えられ、前記連結凹部と連結される連結凸部とを備え、
前記連結凹部は、
前記第1板状物の板面で区画される第1開口幅を有する挿入凹部と、
前記第1端辺に沿った方向で前記挿入凹部に連接される抜止凹部とを備え、
前記連結凸部は、
前記連結凹部に連結される際、前記挿入凹部において前記板面に近接あるいは当接する第1対向面で区画される支持凸部と、
前記第2端辺に沿った方向で前記支持凸部に連接され、前記抜止凹部に挿入される抜止凸部とを備え、
前記抜止凹部への前記抜止凸部の挿入により、連結された前記第1板状物と前記第2板状物とが外れることが防止されることを特徴とする板状物の連結構造。
【請求項2】
前記抜止凹部は、
前記第1端辺側にあって前記第1開口幅より狭幅の第2開口幅を有する端凹部と、
前記端凹部の内方に連接されて前記第1開口幅を有する奥凹部とを備え、
前記抜止凸部は、
前記第1対向面で区画され、前記奥凹部において前記板面に近接あるいは当接する先凸部を備えることを特徴とする請求項1に記載の板状物の連結構造。
【請求項3】
前記抜止凸部は、更に、
前記抜止凹部への挿入状態において前記端凹部の前記第2開口幅を区画する面に近接あるいは当接する第2対向面で区画され、前記先凸部と前記第2端辺との間を連絡する元凸部を備えることを特徴とする請求項2に記載の板状物の連結構造。
【請求項4】
前記挿入凹部には、前記支持凸部と前記支持凸部に連接される前記抜止凸部とが共に挿入され、挿入後、前記第1板状物の前記第1端辺と前記第2板状物の前記第2端辺とを、互いに反対方向に摺動することにより、前記抜止凹部に前記抜止凸部が挿入されることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の板状物の連結構造。
【請求項5】
前記連結凹部および前記連結凸部にあって、前記連結凹部と前記連結凸部との連結状態をロックするロック機構を備えることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の板状物の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−100841(P2013−100841A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243538(P2011−243538)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】